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TDMを活用した抗菌薬療法

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

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2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

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添付文書の薬物動態情報 ~基本となる3つの薬物動態パラメータを理解する~

減量・コース投与期間短縮の基準

耐性菌届出基準

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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第11回感染制御部勉強会 『症例から考える抗MRSA治療薬の使い方』

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あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

血中濃度を上げるために,VCM の負荷投与を考慮することが記載されている 6). 当院では VCM が抗 MR- SA 薬の第一選択薬として使用されている.2006 年より薬剤師が初期投与シミュレーションを本格的に開始した. 緊急を要する場合に初期投与量を1000mg/body で開始している例もあ

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

精神科専門・様式1

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

TDM研究 Vol.26 No.2

2.7.3(5 群 ) 呼吸器感染症臨床的有効性グレースビット 錠 細粒 表 (5 群 )-3 疾患別陰性化率 疾患名 陰性化被験者数 / 陰性化率 (%) (95%CI)(%) a) 肺炎 全体 91/ (89.0, 98.6) 細菌性肺炎 73/ (86

抗菌薬と細菌について。

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

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(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

用法・用量DB

福岡大学薬学部薬学疾患管理学教授

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

緒言

BSA(m 2 )= 体重 (kg) 身長 (cm) =1.27m 2 となり 173.6mL/min/1.73m 2 を 1.27m 2 である患者個人の腎機能に換算 ( で補正を外すと ) すると 127.4mL/min になりますが これでも実測 CCr

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

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者における XO 阻害薬の効果に影響すると予測される 以上の議論を背景として 本研究では CKD にともなう FX および尿酸の薬物体内動態 ( PK ) 変化と高尿酸血症病態への影響を統合的に解析できる PK- 薬力学 (PD) モデルを構築し その妥当性を腎機能正常者および CKD 患者で報告さ

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

添付文書がちゃんと読める 薬物動態学 著 山村重雄竹平理恵子城西国際大学薬学部臨床統計学

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未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

15,000 例の分析では 蘇生 bundle ならびに全身管理 bundle の順守は, 各々最初の 3 か月と比較し 2 年後には有意に高率となり それに伴い死亡率は 1 年後より有意の減少を認め 2 年通算で 5.4% 減少したことが報告されています このように bundle の merit

未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

総論 2 腎不全患者に特徴的な薬物動態の変化 薬効 薬物名 商品名 尿中排泄率 (%) 副作用 リバビリン レベトール 50 骨髄抑制, 意識障害 禁忌 アマンタジン シンメトレル 90 不穏, せん妄, 幻視 禁忌 抗ウイルス薬 オセルタミビル タミフル 70( 活性代謝物 99 悪心, 嘔吐,

染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

腎薬ニュース第 5 号 (2007 年 6 月 ;2012 年 1 月加筆修正 ) 熊本大学薬学部臨床薬理学分野平田純生 添付文書どおり腎機能に基づいた投与量にしても起こるアシクロビル中毒の原因は? 1. アシクロビル中毒の症状は? 慢性腎臓病 (CKD) 患者に頻発するアシクロビル バラシクロビル

第 88 回日本感染症学会学術講演会第 62 回日本化学療法学会総会合同学会採択演題一覧 ( 一般演題ポスター ) 登録番号 発表形式 セッション名 日にち 時間 部屋名 NO. 発表順 一般演題 ( ポスター ) 尿路 骨盤 性器感染症 1 6 月 18 日 14:10-14:50 ア

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

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婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

名称未設定

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

日本内科学会雑誌第98巻第12号

薬物動態開発の経緯 特性製品概要臨床成績副作用 mgを空腹時に単回経口投与副作用また 日本人及び白人健康成人男性において アピキサバン 薬物動態薬物動態非臨床試験に関する事項非臨床試験に関する事項1. 血中濃度 (1) 単回投与 (CV185013) 11) 日本人健康成人男性

3 病床数 施設 ~19 床 床 床以上 284 (3 施設で未回答 ) 4 放射線専門医数 ( 診断 治療を含む ) 施設 ~5 人 226 6~10 人 人

変更一覧表 変更内容新現備考 Peak 50~60 Trough 4 未満 Peak 20.0~30.0 Trough 8.0 以下 アミカシン 静注投与後 1 時間 Trough 1 未満 Peak 4.0~9.0 Trough 2.0 以下 トブラマイシン 静注投与後

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

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タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子

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スライド 1

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

(別添様式)

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

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Cpk=36.5 μg/ml =0.99 meq/l Cav=27.9 μg/ml =0.75 meq/l Ctr=20.7 μg/ml = 0.56 meq/l 4) 躁病治療の有効血中濃度は 0.3~1.2mEq/L であるが この投与量で治療効果が得られるか? Li は 2 分子含まれているの

57巻S‐A(総会号)/NKRP‐02(会長あいさつ)

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

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を用いる必要があります Du Bois の式を用いて体表面積を計算すると 3) BSA(m 2 )= 体重 (kg) 身長 (cm) =1.27m 2 となり 173.6mL/min/1.73m 2 を 1.27m 2 である患者個人の腎機能に換算 ( で補正

2017 年 9 月 画像診断部 中央放射線科 造影剤投与マニュアル ver 2.0 本マニュアルは ESUR 造影剤ガイドライン version 9.0(ESUR: 欧州泌尿生殖器放射線学会 ) などを参照し 前マニュアルを改訂して作成した ( 前マニュアル作成 2014 年 3 月 今回の改訂

づけられますが 最大の特徴は 緒言の中の 基本姿勢 でも述べられていますように 欧米のガイドラインを踏襲したものでなく 日本の臨床現場に則して 活用しやすい実際的な勧告が行われていることにあります 特に予防抗菌薬の投与期間に関しては 細かい術式に分類し さらに宿主側の感染リスクも考慮した上で きめ細

2011 年 11 月 2 日放送 NHCAP の概念 長崎大学病院院長 河野茂 はじめに NHCAP という言葉を 初めて聴いたかたもいらっしゃると思いますが これは Nursing and HealthCare Associated Pneumonia の略で 日本語では 医療 介護関連肺炎 と

家畜における薬剤耐性菌の制御 薬剤耐性菌の実態把握 対象菌種 食中毒菌 耐性菌の特徴 出現の予防 79

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日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 014 年 10 月 1 日版日本小児科学会 乳児期幼児期学童期 / 思春期 ワクチン 種類 直後 6 週 以上 インフルエンザ菌 b 型 ( ヒブ )

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

2015 年 7 月 8 日放送 抗 MRS 薬 最近の進歩 昭和大学内科学臨床感染症学部門教授二木芳人はじめに MRSA 感染症は 今日においてももっとも頻繁に遭遇する院内感染症の一つであり また時に患者状態を反映して重症化し そのような症例では予後不良であったり 難治化するなどの可能性を含んだ感

割合が10% 前後となっています 新生児期以降は 4-5ヶ月頃から頻度が増加します ( 図 1) 原因菌に関しては 本邦ではインフルエンザ菌が原因となる頻度がもっとも高く 50% 以上を占めています 次いで肺炎球菌が20~30% と多く インフルエンザ菌と肺炎球菌で 原因菌の80% 近くを占めていま

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

(別添様式1)

Transcription:

平成 24 年 11 月 29 日香川県 TDM 研究会 薬物解析ソフトEasy-TDM 投与設計編腎障害時の投与量バンコマイシン 腎障害患者に対する投与設計のポイントは? ~バンコマイシン (VCM) の TDM 解析をしましょう~ 日本化学療法学会と日本 TDM 学会が合同で 抗菌薬 TDM ガイドラインを作成 2012 年 6 月に神戸で開催された第 29 回日本 TDM 学会 学術大会で発表されました 今回は 抗 MRSA 薬のテイコプラニンにおける TDM ガイドラインの概要についてお示します バンコマイシン (VCM) のモニタリングポイント Ⅲ-1. バンコマイシン 1.TDMの適応 a. 4 日以上バンコマイシン (VCM) 治療を行う可能性のある場合に TDM を実施する b. VCM 高用量投与例 重症感染症例 腎機能障害例 ( 透析も含む ) 肥満または低体重患者 分布容積が予測困難な特殊病態症例では当初より TDM を計画する 2.PK-PD a. AUC /MIC 400 は臨床および細菌学的効果を予測する指標となるが 一般臨床ではルーチンの AUC 評価は推奨しない その他の目的で AUC を算出する場合 2 ポイント以上採血する b. 実臨床ではトラフ値を AUC の代替指標とする ただし 1 日 3 回以上投与 腎機能低下例 小児において トラフ値が AUC/MIC 400 達成の指標にならないことも多いので注意が必要である c. 腎毒性にはトラフ値を指標とし ピーク濃度 (Cpeak) を用いない d. 耳毒性の指標としての TDM の有用性に関しては コンセンサスは得られていない アミノグリコシド系薬など耳毒性を有する薬剤を併用する場合は考慮する 1

3.TDMの方法 ( 採血ポイントなど ) a. トラフ値を測定する ルーチンでのピーク値測定は推奨しない b. 腎機能正常で 1 日 2 回投与の場合 定常状態に達していると考えられる 4~5 回投与直前 (3 日目 ) に TDM を行う 腎機能低下時には半減期延長により 3 日目でも定常状態に達していない症例があり トラフ値過小評価の危険性を考慮する c. 初回 TDM 後は 1 週間に 1 回の TDM 実施を推奨する ただし TDM にて投与計画を変更した場合 血行動態が不安定な症例 高用量の投与を行っている患者 腎機能低下や不安定な患者 腎障害ハイリスク患者では より頻回の測定が必要になる d. トラフ値は投与前 30 分以内に採血を実施する Cpeak を測定する場合には 組織分布が完了した時点における血中濃度とし 点滴終了後 1-2 時間で採血を行う 4.TDMの目標値 a. 目標トラフ値は 10-20 μg/ml に設定する b. MRSA 感染症治療の有効性を高め また低感受性株を選択するリスクを避けるために トラフ値 10 μg/ml 以上を維持する c. トラフ値 20 μg/ml 以上は腎毒性の発現が高率となり推奨しない d. 菌血症 心内膜炎 骨髄炎 髄膜炎 肺炎 ( 院内肺炎 医療 介護関連肺炎 ) 重症皮膚軟部組織感染において 良好な臨床効果を得るためのトラフ値は 15-20 μg/ml を推奨する 5. 初期投与設計 ( 投与方法 ; 投与量 投与間隔 ) a. 腎機能正常例においては 1 回 15-20 mg/kg( 実測体重 ) を 12 時間毎に投与することを推奨する ただし 1 日 3g 以上の投与は慎重に行い 1 日 4gを上限とする b. 持続投与は推奨しない c. レッドマン症候群を回避するために 1 g では点滴時間は 1 時間を超える必要があり それ以上使用時には 500 mg あたり 30 分以上を目安に投与時間を延長する d. 通常量使用でも 心疾患合併 浮腫 脱水や全身状態悪化により予想外に高いトラフ値を呈することがあり 患者病態の変化には注意が必要である e. トラフ値 15-20 μg/ml を目標値とした場合の安全性に関する報告は限られており 初回投与は 通常投与量 またはトラフ値 10-15 μg/ml を目標とした投与設計にて行う その後 初回 TDM の結果が得られた段階で トラフ実測値 臨床経過や感染病巣の変化 分離 MRSA の MIC 値を参考に 必要と判断すれば その段階で 15-20 μg/ml を目標とした投与設計を行う f. 重篤な感染症や前述の複雑性感染の場合は 最初から 15-20 μg/ml を狙った投与設計が必要なこともあるが 患者状態を十分把握し 腎毒性のリスクをふまえて投与量を決定する g. 重篤な感染症や前述の複雑性感染症の場合は 早期に血中濃度を上げるために初回のみローディングドーズ 25-30 mg/kg を考慮する h. VCM の MIC=2 μg/ml の MRSA が原因菌の場合は代替療法を考慮する i. MIC=4 μg/ml の場合は VCM 中等度耐性 (VISA) であり 他の抗 MRSA 薬を選択する ただしテイコプラニンでは交差耐性の可能性がある VISA に対するダプトマイシンの有効性に関しては今後の検討を要する 6. 特殊病態 新生児 小児 a. 腎機能低下時 : 1 回量は 15-20 mg/kg( 実測体重 ) を目安として 投与間隔を 24 時間またはそれ以上に延長して調整する 2

b. 血液透析 (HD) 1) 初日は 15-25 mg/kg( 実測体重 ) を 1 回投与する ただし 15 mg/kg では目標血中濃度に達しない可能性があり 専門家はルーチンに初回における 2) ローディングドーズ (20-25 mg/kg) を推奨している 3) 透析で除去されるため 初回以降は透析日のみに透析後に通常量の半量 (7.5-10 mg/kg) の投与を行う 4) 透析患者において定常状態に達する時期は遅延する TDM 実施時期に関する明確な根拠はないが 通常使用開始後 1 週間以内に 透析日に合わせて TDM を実施する 5) 投与量の変更のない場合 2 回目以降のルーチンに行われる TDM の必要性に関しては一定の意見はない ( 未解決 ) 6) TDM は HD 前に行う HD 後はリバウンド現象があるため HD 終了直後の血中濃度は 正確に体内薬物濃度を反映しない 7) トラフ値は 20μg/mL 以下が望ましいが 透析患者において有害事象が高率となる血中濃度に関してはコンセンサスが得られていない ( 未解決 ) c. 持続的血液ろ過透析 (CHDF) 1) 初回は 15-20 mg/kg( 実測体重 ) を 1 回投与する 53 専門家はさらに高用量が必要としている 2) 維持量は 1 回通常量の半量 (7.5-10 mg/kg) を 24 時間毎に投与し 適宜 TDM で調節することを推奨する 3) 腎機能がある程度保たれた症例で メディエーター除去目的に実施される場合は TDM 結果により適宜増量が必要となる d. 持続的腹膜透析 (CAPD): 無尿の CAPD 関連腹膜炎患者には 15-30 mg/kg を 5-7 日おきに腹腔内投与 無尿ではない患者には 25% 増量して投与する e. 小児 1) 通常 小児 ( 幼児 学童 ) では初期に 1 回 15mg/kg を 1 日 4 回投与する しかし遅くとも VCM 投与開始 3 日目までには血中濃度を測定し 必要に応じて増量するなどの方策が必要である 12 歳以上の青年では 成人に準ずるが 1 回 15mg/kg を 1 日 3 回投与する場合もある 2) 小児でトラフ値 15-20 μg/ml とした場合の有効性および安全性は今後の課題である 3) 重症患者では ローディングドーズ 20-25 mg/kg を考慮する 7. 薬物間相互作用特記すべきことはない 8. 血中濃度測定法 FPIA 法 ( 蛍光偏光免疫測定法 ) では CRP 高値の患者や高コレステロール血症患者における TEIC 測定値への影響が報告されているため 注意して評価する 3

患者背景 :62 歳女性 身長 157cm 体重 50kg クレアチニンクリアランス値 30 ml/min バンコマイシン (VCM) にて治療予定だが 投与量をアドバイスしてほしい 投与量は以下の 3 つより検討する 1) Moellering( モレリング or モーラリング ) のノモグラム ( バンコマイシン添付文書に記載 ) 2) Matzke( マツケ ) のノモグラム ( ローデングドーズ 投与間隔コントロールが特徴 ) 3) TDM ガイドラインに従った投与方法 EasyTDM を使って これらの投与量での妥当性をシミュレーションし ベターな投与量を医師にアドバイスする story1 Moellering のノモグラムで検討する 体重 50kg CLcr30ml/min の場合 30/50 = 0.6 (X 軸 ) より 1 日投与量は 9.3(mg/kg/ 日 ) 50kg = 465 500 mg/ 日 4

1 患者情報の入力 患者番号 ;123456789 ( 適当な番号 ) 氏 名 ; 伴来舞 ( 適当でいいです ) 性 別 ; 女性 年 齢 ;62 歳 身 長 ;157cm 体 重 ;50kg 入力後 確定をクリック 2 薬剤情報の入力 薬剤区分 ; グリコペプチド系抗生物質一般名 ; バンコマイシン商品名 ; 塩酸バンコマイシンクレアチニンクリアランス ( 直接入力を ) ;30 ml/min 入力後 確定をクリック 5

3 投与スケジュールの入力 <1 日目の 500mg/ 分 1 の入力方法 > 1) 1 投与開始日 ;11 月 01 日 2) 2 投与期間 ; 無限 3) 4 投与スケジュール 投与時刻;9:00 投与量 ;500mg 点滴時間;1.0hr 4) 5 採血情報 入力しない 入力後 処方入力をクリック その後 解析をクリック 5 採血情報 を入力しない場合は ベイジアン推定は実行されません この場合 患者条件の 62 歳 50kg 女性 CLcr 値 30.0ml/min の母集団値より血中濃度推移グラフを作成します つまり 採血値がない場合の解析は 母集団の平均値 ( シュミレーション ) グラフであり 患者個別の血液濃度推移グラフではありません 4 血中濃度推移の確認 ポイント Moellering トラフ値が 8ug/ml 程度と低く 定状状態に達するのに3 日程度かかる 腎機能が低下するほどこのノモグラムを用いると定状状態に達するのに日数がかかるといわれている 6

story2 Matzke のノモグラムで検討する 体重 50kg CLcr30ml/min の場合 投与間隔 2 日おき ( 第 2 軸 ) より 初回は 25mg/kg 50kg = 1250 mg/ 日 2 回目以降 19mg/kg 50kg = 950 mg/ 日 1000 mg/ 日 ( 2 日間隔 ) 1 投与量の変更 < 初回の 1250mg/ 分 1 への変更入力 > 1) 解析結果画面で 投与変更をクリック ( 投与 / 採血スケジュール画面ですが 画面下に 変更番号 が表示される ) 2) 1 投与開始日 ;11 月 01 日 3) 2 投与期間 ; 設定日のみ 4) 4 処方投与スケジュール 処方削除をクリック ( 下図 ) 投与開始日 (2012/11/01) から投与終了日まで削除 確定をクリック 7

投与時刻;9:00 投与量 ;1250mg 点滴時間;1.0hr 入力後 処方入力をクリック <2 回目以降の 1000mg/ 分 1 の入力 > 5) 1 投与開始日 ;11 月 03 日 6) 2 投与期間 ; 無限 7) 3 投与間隔 ;2 日毎に設定 8) 4 処方投与スケジュール 投与時刻;9:00 投与量 ;1000mg 点滴時間;1.0hr 入力後 処方入力をクリック その後 解析をクリック 2 血中濃度推移の確認 青線が 変更 1 の薬物濃度推移である ( グラフスケールの Y 軸を 80ug/ml に変更すると見やすい ) ポイント Matzke ローディングドーズのため速く定状状態に達するが トラフ値が目標トラフ値 (10~20ug/ml) より低い (5ug/ml 程度 ) このノモグラムは重篤な腎機能の場合に良好な傾向がある * 前回の研究会で 腎障害患者にはローディングドーズを推奨しましたが Moellering より良印象です 8

story3 TDM ガイドライン準拠で検討する 6. 特殊病態 新生児 小児 a. 腎機能低下時 : 1 回量は 15-20 mg/kg( 実測体重 ) を目安として 投与間隔を 24 時間またはそれ以上に延長して調整する 体重 50kg CLcr30ml/min の場合 15~20mg/kg 50kg = 750~1000 mg/ 日 (24 時間毎 ) 1 投与量の変更 < 変更 3で 750mg/ 分 1 の入力 > 1) 解析結果画面で 投与変更をクリック 2) 1 投与開始日 ;11 月 01 日 3) 2 投与期間 ; 設定日のみ 4) 4 処方投与スケジュール 処方削除をクリック 投与時刻;9:00 投与量 ;750mg 点滴時間;1.0hr 入力後 処方入力をクリック その後 解析をクリック < 変更 4で 1000mg/ 分 1 の入力 > 1) 解析結果画面で 投与変更をクリック 2) 1 投与開始日 ;11 月 01 日 3) 2 投与期間 ; 設定日のみ 4) 4 処方投与スケジュール 処方削除をクリック 投与時刻;9:00 投与量 ;1000mg 点滴時間;1.0hr 入力後 処方入力をクリック その後 解析をクリック 9

2 血中濃度推移の確認緑色が 変更 2 750mg/ 分 1 投与水色が 変更 3 1000mg/ 分 1 投与 * 患者データ 変更 1 を外すと見やすい ポイント TDM ガイドライン準拠 Moellering Matzke に比べ目標値トラフ値に収まっている 10

医師への報告 ( 例 ) 伴来舞さんのように VCM を腎障害患者の腎機能に応じて投与量を設定する場合に次の3つの投与方法が推奨されています 一つ目は 添付文書に 1 回投与量を減量する方法である Moellering ですが 伴来舞さんの腎機能から求められた投与量は 500mg/ 日でしたが 定状状態になるまでに日数がかかり トラフ値も低く適切ではありませんでした このノモグラムは VCM が時間依存性の抗生物質であるため適しているように思われがちですが 腎機能が低下すればするほど 1 回投与量が少なくなりますので目標トラフ値に到達しない傾向にあります さらに VCM はほとんどが腎から排泄される抗生物質であるため 腎障害により半減期が著明に延長し Moellering の方法では末期腎不全患者では有効治療濃度に達するのに数日を要してしまうため 腎機能が低下するほど使いづらいといわれています そこで二つ目の設定方法に Matzke のノモグラムがあります 通常 感染症治療として早く有効治療濃度にする必要があるため 消失半減期が長い薬剤に適応する初回負荷投与 loading dose を考慮したのが Matzke のノモグラムです Matzke のノモグラムを使った 伴来舞さんの投与量は 初回 1250mg/ 日 以降 2 日おき 1000mg/ 日となります この投与量でシュミレーションした結果 早期に定状状態になりましたが こちらもトラフ値が低くい値で推移し これも適切な投与方法ではありませんでした その理由は Matzke のノモグラムが発表された1984 年頃は 添付文書に記載された推奨トラフ値が現在より低い 10mg/mL 以下に設定していたためです 最後に 今年発表された TDM ガイドラインに従った投与量は 750~1000mg/ 日で この投与量でシュミレーションした結果 3つの方法のうち最も良好な結果となりました トラフ値を 10~15mg/mL にコントロールしたい場合は 750mg/ 日を 15~20mg/mL にしたい場合は 1000mg/ 日を投与すると良好に推移いたします なお 早期に血中濃度を上げる必要がある場合は 初回のみローディングドーズ 25-30 mg/kg を考慮ください また 投与開始 3 日目の投与直前 (30 分以内 ) に血中濃度測定のご指示をお願いいたします 11

実力問題 医師は VCM 1000mg/ 日を投与すると言い 初日 1500 mg/ 日のローディングドーズをしたいので シュミレーションしてほしいと言われました EasyTDM を使って 伴来舞さんのシュミレーショングラフを描きなさい 回答 ) ヒント グラフスケールをうまく調整して見やすくしてね 12

各ノモグラムについて考える 下図は熊本大学薬学部の平田純生のスライドです このケースでは Matzke のノモグラムが最良であると先生はおっしゃております 確かに 体重が伴来舞さんと同じ 50kg の患者で CLcr が非常に悪く 5ml/min の患者に TDM ガイドラインの 15-20 mg/kg を投与すると トラフ値が 85ug/ml にも高くなってしまうのです いっぽう CLcr が80 歳の平均値である 50ml/min であった場合は トラフ値が 7ug/ml 程度ほど低くなります 血中濃度は 患者の分布容積とクリアランスによって高くなったり低くなったりします 分布容積は体重が重いほど大きくなり (V1(L)=0.21*WT) *1 クリアランスは CLcr が小さいほど小さくなります ( CL(mL/min/kg)=0.75*CLcr+0.05 ) *1 体重が重い CLcr が悪い 患者では 投与前に EasyTDM を使ってシュミレーションし有効性と安全性を確保することを推奨してください *1 Rodvold の母集団パラメータ値 13

次回のテーマ (CLcr 値の補正 ) EasyTDM では バンコマイシンのように母集団パラメータにクレアチニンクリアランス (CLcr) 値を 代入する薬剤 *1) に対して CLcr 値の妥当性 ( 患者の年齢から妥当な値であるかどうか ) を評価しています *) バンコマイシンの Rodvold 母集団パラメータ値 CL=0.75*CLcr+0.05(mL/min/kg) 評価の条件は 60 歳以上 &CLcr 値が 80ml/min 以上 右のように 注意メッセージを表示しています 理由は 高齢者になると腎機能が低下しているので 60 歳以 上の方の Clcra 値は 80ml/min 以下が妥当だから 年齢 平均 CLcr 値 60 歳 約 80ml/min 70 歳 約 60 ml/min 80 歳 約 50 ml/min 90 歳 約 40 ml/min (2011 年坂出市民香川先生の発表 ) Cockcroft-Gault 計算したら 70 歳 120ml/min になっちゃった! 患者さんは寝たきりのご老人なのに!? そういう時は CLcr 値の補正が必要なんです! 次は その CLcr 値の補正については様々な補正の方法が提案さ れておりますので次回は 皆でその特徴について学びましょう end 14