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2 / 6 ( 1) この改正は 2008 年 4 月 1 日以後の ( 租税条約未締結国の ) 非居住者 外国法人の国内源泉所得から適用される ただし 2008 年 4 月 1 日から 2008 年 4 月 29 日までの間に国内源泉所得を有する場合には 納税者の選択により 改正前の規定を適用し 日本国内に代理人 PE を有する非居住者 外国法人 として所得税 法人税の計算を行うことを認める経過措置を手当てしている ( 所得税法施行令附則第 14 条 法人税法施行令附則第 25 条参照 ) これは 他の所得で損失が生じているケース等では 従来通り独立代理人を PE として 確定申告により所得税 法人税のネット課税を適用した方が有利となることが想定される ( 源泉徴収相当額が還付となるケース等 ) 点に配慮した措置である 金融庁による上記公表は 独立代理人についての 独立 の要件等の明確化を図るため 国外ファンドと投資一任契約を締結し特定の投資活動を行う国内の投資運用業者が独立代理人に該当するかどうかの判定についてとりまとめたものである 以下 金融庁による上記公表を簡潔に解説するものとする Ⅱ. 独立代理人の要件等 1. 原則的な考え方 (1)OECD モデル租税条約の考え方の踏襲 独立代理人規定における独立の要件は 基本的に OECD モデル租税条約第 5 項 第 6 項及びそのコンメ... ンタリーの考え方を踏襲している それは 以下の 3 つの基本的な要件をすべて満たす必要がある点である 1 法的独立性 2 経済的独立性 3 通常業務性 (2) 法的独立性 代理人が法的に本人から独立しているか否かは 代理人が代理人として行動する上で十分な裁量権を有していることが重要なポイントとなる したがって 資本関係の存在のみをもって法的独立性が否定されるということはない すなわち 法的独立性の基準に関して 親会社が株主としてその子会社に対して行使する支配は 100% 子会社であったとしても 親会社の代理人としての子会社の独立性の検討にあたっては無関係である (3) 経済的独立性 経済的独立性があると言えるためには 企業家としてのリスクを負担していること そして代理人がその収入を全面的に一人の本人に依存していないことが重要である (4) 通常業務性 通常業務性があると言えるためには 代理人としての行動が慣習的に行われる事業活動でなければならない

3 / 6 2. 特定の投資活動 への独立代理人規定適用時の基本的な考え方 (1) 概要 特定の投資活動 への独立代理人規定適用時の基本的な考え方を簡易に図示すると 図表 1のようになる 図表 1 特定の投資活動 への独立代理人規定適用時の基本的な考え方 ( 出所 ) 金融庁資料を参考に大和総研制度調査部作成 組合契約により組成された国外ファンドの国外業務執行組合員が 当該国外ファンドの他の組合員である非居住者等のために ( 金融商品取引法第 28 条第 4 項に規定する 投資運用業 ( 同法第 2 条第 8 項第 12 号ロ ( 投資一任契約 ) に係る部分に限る ) を行うことについて同法第 29 条の登録を受けた ) 国内投資運用業者と投資一任契約を締結し 当該国内投資運用業者が後述する 特定の投資活動 を行う場合 後述する 4 要件 ( 以下 4 要件 という ) を満たすことにより 当該国内投資運用業者は当該国外ファンドの構成員の独立代理人とみなされる

4 / 6 (2) 特定の投資活動 独立代理人規定適用の対象となる 特定の投資活動 とは 以下の1から3の行為をいう 1 金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券 ( みなし有価証券を含む ) 又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として行う金銭その他の財産の運用 ( その指図を含む 以下同様 ) 2 投資信託及び投資法人に関する法律第 2 条第 1 項に規定する 特定資産 ( 2)( 土地 建物を除く ) に対する投資として行う金銭その他の財産の運用のうち 1に類するもの 3 1 及び2に付随する業務に係る行為 上記定義によると 独立代理人規定適用の対象となる 特定の投資活動 は いわゆるポートフォリオ投資が原則であり ( 上記 1 参照 ) 特定資産 を投資対象とする場合についても 1に類するもの に限定している ( 上記 2 参照 ) これにより 特定の投資活動 の範囲がポートフォリオ投資であることを明確化しているといえる (P3 図表 1 参照 ) したがって 例えば 不良債権処理業 ( 金銭債権の売買と回収によりリターンを得る業務 ) や プライベート エクイティ業務は 特定の投資活動 に該当しないものと思われる もっとも 増配要求など ポートフォリオ投資中の株主としての通常の権利行使は 特定の投資活動 に含まれるものと考えられる ( 2) 特定資産 とは 主として有価証券 不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるもの ( 投資信託及び投資法人に関する法律第 2 条第 1 項 ) をいい 具体的には以下の各号に掲げるものをいう ( 同法施行令第 3 条参照 ) 特定の投資活動 からは このうち土地 建物に対する投資が除かれている( 上記 2 参照 ) 一有価証券二デリバティブ取引に係る権利三不動産四不動産の賃借権五地上権六約束手形 ( 一に該当するものを除く ) 七金銭債権 ( 一 二及び六に該当するものを除く ) 八当事者の一方が相手方の行う一から七に掲げる資産の運用のために出資を行い 相手方がその出資された財産を主として当該資産に対する投資として運用し 当該運用から生ずる利益の配分を行うことを約する契約に係る出資の持分 ( 一に該当するものを除く ) (3)4 要件 4 要件の概要は以下のとおりである これらの要件はすべて 国内投資運用業者の独立性をテストするものといえる ( 3)

5 / 6 1 投資判断を一任されているといえること ( 詳細指示 テスト)( 4) 2 役員の半数以上が 国外業務執行組合員又は国外投資運用業者の役員又は使用人を兼務しているという事実がないこと ( 役職員兼務 テスト) 3 国外ファンド又は国外投資運用業者から投資一任を受けた運用資産の総額又は運用利益に連動した ( 当事者の貢献を反映した適切な ) 報酬を収受していること ( 成功報酬 テスト) 4 特定の国外ファンドに依存せず 事業を多角化する能力もしくは他の顧客を開拓する能力を有していること ( 多角化能力 テスト) ( 3) 具体的なケースについては 金融庁の 参考事例集 を参照されたい ( 4) 金融庁は Q&A にて リスク管理 資産配分 ( アセット アロケーション ) 投資制限 ( ネガティブ リスト等 ) 投資方針等の観点から 詳細な指示 の該当性を例示している (4) 補足 ( 国外ファンドの構成員が国外投資運用業者を介している場合 ) 国外ファンドの構成員が国外投資運用業者を介している場合における 特定の投資活動 (P4 2 参照 ) への独立代理人規定適用時の考え方を補足として記すものとする ( 参考事例集 事例 2 参照 ) このような場合を簡易に図示すると 図表 2 のようになる なお 独立代理人の要件等については 上記 (1) (2) 及び (3) と同様である 図表 2 国外ファンドが国外投資運用業者を介している場合 ( 出所 ) 金融庁資料を参考に大和総研制度調査部作成

6 / 6 図表 1(P3) と異なり ここでは本人 ( 国外ファンドの構成員 ) 代理人( 国外投資運用業者 ) 複代理人 ( 国内投資運用業者 ) の三者が存在する 独立代理人規定が適用されるためには 国内投資運用業者が国外ファンドの構成員の独立代理人と認められなければならない... そのためには 以下の 2 つの要件のいずれかを満たす必要がある 1 国内投資運用業者が国外投資運用業者の独立代理人と認められること 2 国外投資運用業者が国外ファンドの構成員の独立代理人と認められること 上記 1の要件 ( のみ ) を満たす場合 国内投資運用業者は ( 国外投資運用業者が国外ファンドの構成員の独立代理人にあたるか否かを問わず ) 国外投資運用業者及び国外ファンドの構成員双方の独立代理人と認められる これに対して 上記 2の要件のみを満たす場合 国内投資運用業者は国外ファンドの構成員の独立代理人と認められる 以上