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37, 9-14, 2017 : cefcapene piperacillin 3 CT Clostridium difficile CD vancomycin CD 7 Clostridium difficile CD CD associate

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23/2/23 津山中央病院エイズ対策委員会主催講演会 平成 25 年 2 月 26 日 ( 火 ) 44 歳 男性 これだけは知っておきたい HIV/ エイズ診療のポイント B 型肝炎 梅毒 帯状疱疹 血小板減少 川崎医科大学血液内科学和田秀穂 HIV 感染症 血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) HIV 感染症 HIV (Human Immunodeficiency Virus) が原因で CD4 陽性リンパ球の減少がおこり免疫低下を生じる 放置するとエイズを発症し死に至る 接触を防ぐバリア法で感染予防が可能である 無症状期間に感染を自覚していない人から感染が拡大している 感染に気づき治療を受けている人はもはや感染源とはなりにくい 治療は個人の病気の進行を抑える 予防につながる 目次. 疫学 ( 岡山県の現状 ) 2.HIV 感染症の臨床経過 3. 急性 HIV 感染症の見つけ方のコツ 4. 慢性無症候期の見つけ方のコツ 5. HIV 検査の新たな展開 6. HIV 治療の実際 (ART) 早期診断 早期治療は 個人にとって最大な利益であり 社会にとっても大きな利益である 人,2 HIV 感染者 AIDS 患者報告数 ( 年間 ) http://api-net.jfap.or.jp/, HIV 感染者 AIDS 患者. 疫学 ( 岡山県の現状 ) 8 6 4 2-989 99 99 992 993 994 995 996 997 998 999 2 2 22 23 24 25 26 27 28 29 2 2 988 年

23/2/23 日本国籍 HIV/AIDS 人 http://api-net.jfap.or.jp/ 8 HIV ( 異性間男性 ) HIV ( 同性間男性 ) HIV ( 異性間女性 ) 7 AIDS( 異性間男性 ) AIDS( 同性間男性 ) AIDS( 異性間女性 ) 6 5 4 3 2 985 986 987 988 989 99 99 992 993 994 995 996 997 998 999 2 2 22 23 24 25 26 27 28 29 2 エイズ患者 5 代 9% 平成 24 年度岡山県エイズ治療拠点病院連絡会議 6 代 2% 7 代 3% 4 代 4% 2 代 2% 代 % 3 代 24% N=33 年齢 HIV 感染者 7 代 2% 5 代 8% 4 代 5% エイズ患者はそれほど若い人ばかりではありません 6 代 % 3 代 33% 平成 2 年 ~ 平成 24 年 9 月 23 日 代 2% 2 代 29% N=52 平成 24 年度岡山県エイズ治療拠点病院連絡会議 東京都 % 兵庫県 % 福岡県 % 大阪府 3% 最近数年間の主な居住地 広島県 6% 海外 4% 不明 その他 3% 岡山県 7% 平成 2 年 ~ 平成 24 年 9 月 23 日 N=85 岡山県における HIV 感染者 / エイズ患者の年次推移 ( 件 ) 岡 山 県 25 2 5 4 9 8 8 5 3 7 3 3 3 2 3 3 7 7 2 2 3 4 4 5 3 4 昭和 6 昭和 6 昭和 62 昭和 63 平成元平成 2 平成 3 平成 4 平成 5 平成 6 平成 7 平成 8 平成 9 平成 平成 平成 2 平成 3 平成 4 平成 5 平成 6 平成 7 平成 8 平成 9 平成 2 平成 2 平成 22 平成 23 患者 感染者 累計報告総数 :HIV 感染者 77 名 (58%) AIDS 患者 56 名 (42%) 平成 24 年度岡山県エイズ治療拠点病院連絡会議 非ホジキンリンパ腫 2% カポジ肉腫 2% 単純ヘルペスウイルス感染症 2% サイトメガロウイルス感染症 % 活動性結核 5% エイズ指標疾患 HIV 消耗性症候群 7% HIV 脳症 7% 深在性カンジダ症 27% ニューモシスティス肺炎 36% 平成 2 年 ~ 平成 24 年 9 月 23 日 N=44( 重複あり ) の HIV 受診患者の推移 (26 年 4 月 ~2 年 4 月 ) Nursing outpatient department at Kawasaki Medical School Hospital 2

23/2/23 HIV 感染症の自然経過 急性感染期 ( /µl), 急性期 慢性無症候期 エイズ期 2. HIV 感染症の臨床経過 C D 4 陽性 T リンパ球 6 5 2 5 血中 HIV 量 CD4 陽性 T リンパ球数 無症候期 日和見感染 血中 H I V 量 エイズ発症期 HIV 感染 3 6 9 2 2 3 4 5 6 7 8 9 週 年 ヘルパー T 細胞の推移 HIV の免疫逃避のメカニズム HIV は感染後の最初の 2 日間で多数のヘルパー T 細胞を破壊するが 最も攻撃されるのはヘルパーメモリー T 細胞である 攻撃後 この細胞の数が回復することはない 初期のウイルス濃度を低く保てれば 発症までの日数は長い ( セットポイント ) 通常の HIV に対する免疫システムでは HIV の一部 (8~ 程度のアミノ酸 ) がヒト白血球抗原 (HLA) と結合し 感染細胞の表面で HIV に感染していることを表現 ( 抗原提示 ) する それを細胞障害性 T 細胞 (CTL) が認識し 感染細胞を攻撃する ( 左 ) ところが HIV の一部が変異すると CTL が HIV 感染ウイルスだと認識できなくなる 急性 HIV 感染症における HIV- 検査の推移 ( 自験例 ) HIV 抗体 WB GP 6 GP /2 P 68/66 P 55 P 52/5 GP 4 P 4 P 34/3 P 24/25 P 8/7 day 6 day 24 day 4 day 69 day 急性感染期 ( /µl), C D 4 陽性 T リンパ球 6 5 2 HIV 感染症の自然経過 慢性無症候期 CD4 陽性 T リンパ球数 エイズ期 抗 HIV 療法 日和見感染 血中 H I V 量 HIV-RNA (copies/ml) 5.3 5 3.2 5 2.9 5 2.9 5 4.2 5 CD4 (/µl) 45 49 583 383 327 WHO による WB 法の判定基準 : 陽性は gp4,gp2,gp6 のうち 2 本が検出 HIV 感染 5 血中 HIV 量 3 6 9 2 2 3 4 5 6 7 8 9 週年 ~3 年 3

36.8 36.5 36.8 36.5 37 37.2 37.2 37.5 37 37.6 37.6 37.9 38.8 38.3 37.7 37 38.6 36.8 37.9 38.6 38.7 38.2 38.2 37.3 36.9 38.6 39.2 39.9 37.8 37 36.5 37.7 36.8 36.4 36.9 36.5 37. 23/2/23 36.9 36.4 3. 急性 HIV 感染症の見つけ方のコツ 症例 2 歳代の男性 主訴 発熱 発疹 意識障害 けいれん 現病歴 2X 年 9 月 day -2から全身倦怠感 悪心 下痢が出現しその後関節痛 発熱を認めたためday -に近医入院した Day -6 頭痛 嘔吐が出現した Day - 夜 全身に発疹 ( 紅斑 ) が出現した Day 救急車で搬送中に全身性強直性けいれんを認め 神経内科に入院した 既往歴 症例 血液検査 WBC,42 /µl TP 7.8 g/dl Na 42 meq/l N.band 4. % Glu 28 mg/dl K 4.3 meq/l N.Seg. 29. % T-Bil.5 mg/dl Cl meq/l Eos. % ALP 233 IU/L P 4.2 mg/dl Bas.. % T-cho 69 mg/dl Ca 9.4 mg/dl Mon. 6. % γ-gtp 4 IU/L Mg 2.8 mg/dl Lym. 55. % LDH 37 IU/L Aty.Lym. 5. % Alb 4.7 g/dl RBC 563 4/ µl Glb 3. g/dl Hb 7. g/dl ALT 5 IU/L Ht 49.5 % AST 32 IU/L Plt 32.5 4 /µl CRN.84 mg/dl BUN 2 mg/dl CRP.6 mg/dl 単核球 6% 異型リンパ球 5% バイタルサイン 症例 入院時現症 BP 6/92 mmhg, Pulse 2/min, BT 38.8 身体所見 意識 :JCS -R GCS 3-2-4 呼びかけに開眼するが口頭指示は入らず 四肢を激しく動かす 反射 : 腱反射正常 Babinski 徴候 (+/+) 髄膜刺激徴候 : 項部硬直 Kernig 徴候 明らかなリンパ節腫脹なし 手足を含めた全身に紅斑あり 患者さんの許可を得て掲載しています 症例 臨床経過 day -2 発熱 嘔吐 関節痛 day -6 頭痛 day - 全身紅斑 ART (ABC+3TC+LPV/r) day day 3 day 4 day 3 WBC( /µl),42 3,5 5,49 4,25 リンパ球 ( /µl) 7,39 45 2,36 2,25 CD4( /µl) 73 562 62 血液 HIV-RNA (copies/ml) 75, 3, 94, 髄液 HIV-RNA 5 8 4 (copies/ml) HIV- p24 抗原 抗 HIV-/2 抗体 インフルエンザ A に罹患 4 4 39 38 37 36 35 倦怠感 食思不振 咽頭痛 前胸部痛 HIV 抗原 / 抗体検査 ( 第 4 世代 CLIA 法 ) 4.63 S/CO HIV-RNA 提出 症例 2 臨床経過 上部内視鏡 CMV 食道炎 頭痛 嘔気 髄液検査 細胞数 :2 /μl 単核球 :95% 蛋白 : 6mg/dL HIV-RNA 判明 3.2 6 copies/ml ART 開始 (DRV/ r+abc/3tc) 2 3 4 5 6 7 8 9 2 3 4 病日 2/8 2/9 2/ 2/ 2/2 2/3 2/4 2/5 2/6 2/7 2/8 2/9 2/2 2/2 福山医療センター坂田先生から提供 4

23/2/23 99mTc-ECD 脳血流シンチグラフィー 当院で経験した急性 HIV 感染症 入院時 初発症状 初診医臨床診断 HAART 導入 2 週間後 症例 発熱 頸部リンパ節腫脹 伝染性単核球症 症例 2 発熱 頸部リンパ節腫脹 伝染性単核球症 症例 3 発熱 黄疸 食欲不振 急性 B 型肝炎 症例 4 発熱 咽頭痛 体重減少 口腔内カンジダ症 食道カンジダ症 症例 5 発熱 嘔吐 下痢 皮疹 意識障害 痙攣 無菌性髄膜炎 症例 6 発熱 頭痛 無菌性髄膜炎 症例 7 発熱 全身倦怠感 食欲不振 伝染性単核球症 症例 8 発熱 意識障害 痙攣 無菌性髄膜炎 感染初期から エイズ発症例 当院で経験した急性 HIV 感染症 梅毒 B 型肝炎の既往 その他の既往症 合併症 症例 TPHA 陽性 ランブル鞭毛虫症 帯状疱疹 症例 2 HBc 抗体陽性 帯状疱疹 症例 3 HBc 抗体陽性 直腸裂傷 症例 4 TPHA 陽性 HBc 抗体陽性 急性膵炎 症例 5 HBc 抗体陽性 症例 6 TPHA 陽性 単純ヘルペス感染症 症例 7 TPHA 陽性 HBc 抗体陽性 肝膿瘍 症例 8 HBc 抗体陽性 4. 慢性無症候期の見つけ方のコツ TPHA と HBc 抗体は 性感染症 (STD) のスクリーニング検査 性感染症診断時に HIV 検査も行う 2 帯状疱疹や口腔内カンジダ症で疑う 急性 B 型肝炎 梅毒などの STD を診断した場合には この機を逃さず HIV の検査を勧める HBV と HIV は感染経路が同一 赤痢アメーバ ( 腸炎 肝膿瘍 ) 尖圭コンジローマおよび A 型肝炎は 男性同性間性的接触者の重要な STD STS(RPR 法 ),5R.U. TPHA 54,T.U. 患者さんの許可を得て掲載しています 3 慢性下痢 著しい体重減少 (-2kg/ 年 ) リンパ節腫脹 難治性口内炎などから疑う 全身 特に頸部の無痛性リンパ節腫脹は病期の初期に高頻度にみられる HIV の病期が進行してくると 微熱 慢性下痢や体重減少などの症状が出現してくる (ACC: 照屋先生のスライドから ) 5

23/2/23 4 HIV 関連反応性リンパ節炎 濾胞過形成を示すリンパ節で 不明瞭なマントル層 両側腋窩と後頸部に母指大 ~ 小豆大のリンパ節腫脹 (4 歳代男性 ) 境界不明瞭なマントル層が認められる (Naked Follicles) control 濾胞樹状細胞の突起にそって HIV が存在 PET/CT の経時的変化 濾胞樹状細胞の突起が虫食い状に破綻している (Follicular Lysis) CD2 HIV--p24 治療前 ART 開始 5 ヶ月後 ART 開始 5 ヶ月後 頸部 腋窩 腹腔内に広域に FDG の取り込みが見られたが ART 開始 5 か月後に著明な改善を認めた 5 検査値異常で HIV 感染を疑う 高 γ グロブリン血症は早期からみられる検査値異常であり これを反映して膠質反応 (TTT ZTT) の高値が高頻度に認められる 原因不明の肝機能障害と診断される 進行につれ 汎血球減少やリンパ球減少がみられる 好酸球の比率 WBC( /µl) Hb (g/dl) HIV 関連血小板減少症 (HIV-related thrombocytopenia) HIV 感染期間 感染経路および重症度にかかわらず HIV 感染者のおよそ 5~3% で血小板減少を認める HIV 感染者の約 % が初期症状として血小板減少を呈する HIV 感染者における血小板減少の原因として 免疫学的機序による血小板破壊 HIV 感染による血小板産生低下が多くを占める また日和見感染症や 悪性新生物 薬剤等により二次的に生じるものもある 6

23/2/23 当院で経験した HIV 関連血小板減少症の臨床像 症例 5 歳代男性 4 歳代男性 5 歳代男性 症例 PSL 2mg 臨床経過 前治療 PSL 6mg PSL 3mg 症例 2 PSL 6mg 白血球 5,84 7,7 2, /µl リンパ球 28. 4. 3. % CD4 陽性細胞数 9 55 26 /μl Hb 濃度 2.9 4.8 4.6 g/dl 血小板数.7.8.3 万 /μl 症例 3 PSL 3mg 血小板数 ( ⁴/μL) 3 2 HIV-RNA 定量 5.3 3 4.4 4.3 6 copies/ml PA IgG,4 348 78 ng/ 7 cells H.pylori(UBT, IgG) 陰性 陰性 陰性 ART TDF/FTC +LPV/r TDF/FTC +EFV ABC/3TC +RAL ART の開始時期 2 24 治療期間 ( ヶ月 ) 臨床経過 症例 症例 2 PSL 2mg PSL 6mg TPO 受容体作動薬 6 脂漏性皮膚炎や慢性痒疹で疑う 症例 3 PSL 3mg 血小板数 ( ⁴/μL) 3 2 ART の開始時期 2 24 治療期間 ( ヶ月 ) 東京都立駒込病院 :Dr. 今村より提供東京医科大学臨床検査医学科 :Dr 山元より提供 7 併存疾患の頻度から HIV 感染症を疑う 5 45 4 35 3 25 2 5 5 * *p<.5 * * * * * 高血圧狭心症心筋梗塞脳梗塞 DM CKD 癌 HIV HIV 22 IAS より 7

23/2/23 スクリーニング検査法の性能が向上 5. HIV 検査の新たな展開 世代特徴検出対象 第 世代 第 2 世代 ウイルス溶解物を抗原として使用 ペプチドあるいは組換えタンパク質を抗原として使用 HIV- 抗体 (IgG) HIV- 抗体 (IgG) HIV-2 抗体 (IgG) 第 3 世代 * サンドイッチ法 HIV- 抗体 (IgG+IgM) HIV-2 抗体 (IgG+IgM) 第 4 世代 * 抗原検出を加える HIV- 抗体 (IgG+IgM) HIV-2 抗体 (IgG+IgM) HIV- 抗原 * 迅速検査法 (IC 法 ) あり HIV スクリーニング法における p24 抗原と抗体の出現経過 HIV スクリーニング法における p24 抗原と抗体の出現経過 感染初期 無症候期 エイズ期 感染初期 無症候期 エイズ期 感染 感染 HIVp24 抗原 ( ) 検出可能 HIVp24 抗原 ( ) 検出可能 HIV 抗体 ( ) 検出可能 感染初期 HIV スクリーニング法における p24 抗原と抗体の出現経過 無症候期 エイズ期 川崎医大における HIV スクリーニング検査から確認試験までの流れ HIV スクリーニング 確認試験 感染 イムノクロマト法 2Western blot 法 3RT-PCR 法 第 4 世代迅速検査 4PCR 法 (provirus DNA) 抗原 HIVp24 抗原 ( ) 検出可能 HIV-p24 抗原陽性 HIV p24 抗原 抗体 抗 HIV 抗体陽性 抗原抗体 HIV 抗体 ( ) 検出可能 HIV 抗体 EDTA 2Na 採血管に 7mL 採血 HIV- 抗原 HIV-,2 抗体の検出 2HIV-,2 特異抗体検出 3HIV- RNA 検出および 4HIV- provirus DNA の検出 8

23/2/23 術前 処置前患者を対象とした HIVスクリーニング検査成績 検討対象と方法 検討期間 2年6月 2年5月の年間 対象 来院患者 7,352例 ) 術前 処置前患者 6,939例 2) 妊婦検診者 2例 3) HIV感染疑い患者 4) 輸血後患者 97例 対象 6,939 例 5例 HIVスクリーニング法 HIV抗原抗体同時検出法 迅速検査 HIVスクリーニング検査 陽性 29 例 HIV確認法 WB法によるHIV特異抗体検出 TaqMan法によるHIV- RNA検出 HIVスクリーニング陽性率.42 術前 処置前患者対象 6,939 例 Ag 例 HIVスクリーニング 29 例 Ab 28 例 2 妊婦検診群 WB法 PCR法 1 例 HIV抗原偽陽性率.4 % WB法 PCR法 26 例 HIV抗体偽陽性率.37 % HIVスクリーニング 2 例 対象 2 例 HIVスクリーニング 例 WB法 PCR法 2 例 HIV陽性率.28 % 3 感染疑い患者群 対象 97 例 HIVスクリーニング 9 例 HIVスクリーニング 6例 WB法 PCR法 HIVスクリーニング成績 WB法 PCR法 HIV抗体偽陽性率. % WB法 PCR法 HIV陽性率 5.2 % 対 象 対象患者数 HIVスクリーニング 陽性数 陽性率 HIVスクリーニング 偽陽性数 偽陽性率 確認試験 陽性数 陽性率 術前 処置前 患者群 6,939 29.42 % 27.39 % 2.28 % HIV感染疑い 患者群 97 6 6.8 %.3 % 5 5.5 % 妊婦検診群 2.5 %.5 %. % 輸血後患者群 5. %. %. % 計 7,352 36.49 % 29.39 % 7.9 % 9

23/2/23 各種試薬による HIV 抗原および抗体検査結果 検体名 測定対象世代測定原理判定 HIV 抗原抗体同時測定 HIV 抗原のみ測定 HIV 抗体のみ測定 ( 担体にリコンヒ ナント抗原使用 ) HIV 抗原抗体同時測定 第 4 世代試薬 CLEIA 判定 (C.O.I. 以上陽性 ) 測定値 5. C.O.I 5. C.O.I 6.2 C.O.I P24Ag 試薬 CLEIA 判定 (C.O.I. 以上陽性 ) 測定値. C.O.I 3. C.O.I.5 C.O.I 第 3 世代試薬凝集法判定 (32 倍以上陽性 ) 第 病日 2/8 血漿検体 第 病日 2/7 血清検体 第 3 病日 2/2 血清検体 測定値 <32 倍 52 倍 248 倍 第 4 世代試薬イムノクロマト法 Ag 判定 Ab 判定 6.HIV 治療の実際 ART: Anti-retroviral Therapy 福山医療センター坂田先生から提供 25 歳で HIV 診断時の平均余命 HIV のライフサイクル HIV と診断 Pre-ART 995~996 年 Late -ART 2~25 年 健常人 約 7 年 約 4 年 約 5 年 接着 HIV 逆転写酵素 CCR5 ウイルスRNA ウイルスDNA 融合脱外殻 HIVのライフサイクルウイルスmRNA プロテアーゼ インテグラーゼ 25 35 45 55 65 75 ( 歳 ) 25 歳で HIV 診断時の平均余命 (HCV の重複感染がない場合 ) HIV に対する多剤併用療法 (ART) の導入前と 最近の ART を受けている感染者の予後を示している Denmark Cohort (Ann Intern Med 27) から図を作成 放出 ウイルス蛋白構築ウイルスゲノムRNA 出芽 CD4 陽性細胞 兵庫医科大学血液内科日笠聡先生のスライドから改変 日本で承認されている抗 HIV 薬 (22 年 6 月 ) 一般名略号商品名 一般名略号商品名 HIV 患者への骨髄移植療法 ~HIV は根絶できるか ~ 核酸系逆転写酵素阻害薬 (NRTI) ジドブジン AZT(ZDV) レトロビル ジダノシン ddi ヴァイデックス / ヴァイデックス EC ラミブジン 3TC エピビル サニルブジン d4t ゼリット ジドブジン ラミブジン配合剤 AZT/3TC コンビビル アバカビル ABC ザイアジェン アバカビル ラミブジン配合剤 ABC/3TC エプジコム テノホビル TDF ビリアード エムトリシタビン FTC エムトリバ テノホビル エムトリシタビン配合剤 TDF/FTC ツルバダ 非核酸系逆転写酵素阻害薬 (NNRTI) ネビラピン NVP ビラミューン エファビレンツ EFV ストックリン デラビルジン DLV レスクリプター エトラビリン ETV インテレンス リルピビリン RPV エジュラント プロテアーゼ阻害薬 (PI) インジナビル IDV クリキシバン サキナビル SQV インビラーゼ リトナビル RTV ノービア ネルフィナビル NFV ビラセプト ロピナビル リトナビル配合剤 LPV/RTV カレトラ アタザナビル ATV レイアタッツ ホスアンプレナビル FPV レクシヴァ ダルナビル DRV プリジスタ インテグラーゼ阻害薬 ラルテグラビル RAL アイセントレス 侵入阻害薬 (CCR5 阻害薬 ) マラビロク MVC シーエルセントリ NRTI:nucleoside reverse transcriptase inhibitor NNRT:non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor PI:protease inhibitor HIV 感染症治療研究会.HIV 感染症 治療の手引き < 第 5 版 > より改変 HIV 患者 CCR5-Δ32 ヘテロ接合体 HLA 適合ドナー CCR5-Δ32 ホモ接合体 急性骨髄性白血病の治療 骨髄移植と移植後の HIV RNA 量 CD4 数 Allers K et al: Blood 7:279-2799, 2.

23/2/23 HIV 患者への骨髄移植療法 ~HIV は根絶できるか ~ 骨髄移植に伴う前処置と移植による CCR5-Δ32 細胞への置き換えで HIV 根治の可能性 患者末梢血での CCR5-Δ32 のヘテロ接合性からホモ接合性への移行 CCR5-Δ32( ヘテロ接合 ) は 3 本のバンドが出る 移植後の抗 HIV- 抗体の変化. 陽性コントロール 2. 移植 4 日前 3. 移植 625 日後 4. 陰性コントロール Allers K et al: Blood 7:279-2799, 2. H I R O S H I M A HIV 感染症を考える契機 Herpes zoster 帯状疱疹 Interstitial pneumonia 間質性肺炎 Rash, skin Rash 皮疹 Oral candidiasis 口腔内カンジダ症 Syphilis 梅毒 Hepatitis B B 型肝炎 Infectious mononucleosis 伝染性単核症 Mycobacterium tuberculosis 結核菌 ( 感染 ) Aseptic meningitis 無菌性髄膜炎 文責 : 和田秀穂 まとめ HIV 感染症は増加しているが 治療は格段に進歩した エイズ発症までの時間的猶予が縮まっている中 HIV 感染者を早期に発見することは その患者の命を救うことである 急性期 慢性無症候期 エイズ期のそれぞれで 内科系疾患を疑われて紹介される HIV 陽性症例には特徴がある HIV 感染症の治療はエイズ拠点病院の役割であるが 診断は一般診療で適切に行われるべきである よって病院間での診療ネットワークによる病診連携 病病連携は極めて重要である