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新製品作りについて せんべいのようなクッキーはどうか 卵白だけを使ってはどうか サックリ感を出すのにショートニングを入れてはどうか 焼いた後に粉糖を付けたクッキーはどうか 2 後日 提案していただいた 新製品 のレシピ a 卵を使わないクッキー ( 絞り袋を使ったクッキー ) b ブールドネージュ ( 粉糖を使ったクッキー ) c サンタの顔のクッキー ( 型抜きクッキー ) d ゴマのチュイール ( せんべい状のクッキー ) e ウォールナッツクッキー ( 小さなリンゴ状のクッキー ) f ラング ド シャ ( 生地を叩いて伸ばすクッキー ) g サブレ ポッシュ ( 絞り袋を使ったクッキー ) 専門家からの助言 (2) 作業内容の検討と教材等の準備 (~7 月末 ) 提案していただいた 新製品 のレシピから 生徒の実態や作業時間等を考慮しながら ブールドネージュ 卵を使わないクッキー サンタの顔のクッキー の3 種類のクッキーを選び 生徒へ直接指導していただけるように 専門家と連絡 調整を行った また 必要な道具や材料の購入についても助言していただきながら 生徒の実態に合った作業工程表等の教材作りや授業作りを行った (3) 専門家からの直接指導と改善 (8 月 10 日 ( 月 )) 直接指導をしていただくに当たって 新しく使う材料や道具 工程に絞って指導していただけるように専門家と連絡を取り 生地を事前に作っておくなどの準備をし 短時間で多く指導していただけるように調整を行った 1 卵を使わないクッキー ( 資料 2) 絞り袋 という生徒たちにとって慣れない道具を使うので 事前に生地を作り 絞り出す という工程だけに取り組んだ 丸口金から絞り出した生地が思うような形にならず いろいろな大きさや形になった 2ブールドネージュ ( 資料 3) 新しい材料も多くあり 材料の計量から始めた 新しい工程のポイントとしては 生地を棒状にする 生地を切る 粉糖をまぶす である ステンレストレイを使って生地を棒状にする工程においては 生地を同じ太さや大きさにすることが難しいことや 粉糖をまぶす方法にも改善が必要であった 3サンタの顔のクッキー ( 資料 4) 生地をハートや花の型抜きを使いながら サンタの顔のパーツを作って仕上げていく工程では 生地を均一の厚さに伸ばす方法がポイントで 補助具等も提案していただけた 生地の両側に厚さ5mmのアルミ板を置き その上で麺棒を使い板状にすることで均一の厚さにすることができた また サンタの顔に仕上げる際に 型抜きしたパーツの形が歪み 生地の扱いに課題が残った 専門家からの直接指導

(4) 授業 新製品 作りの実践と改善 (10 月 ~) 直接指導していただいた時の生徒の様子や実際に作業学習で行うことを考え 今年度 新製品 として取り組むクッキーを ブールドネージュ とした 改善が必要とされた 生地を棒状にする 工程と 粉糖をまぶす 方法については ステンレストレイの代わりに透明のアクリル板にすることで 生地の状況を分かりやすくし クッキーの大きさを均一にできるよう 生地を6 等分したものを長さ20cmの棒状にすることにした 長さが20cmになったか確認できるように アクリル板に20cm 幅の線を付け それに合わせて棒状にできるように道具を工夫した 粉糖をまぶす方法として 助言していただいたビニール袋の中に入れて振る方法を取り入れ 粉糖にココアやきな粉等を加え 味のバリエーションを増やす工夫をした 作業学習の授業としては 生徒の実態や課題に対応できるようにすることや 学校祭 での発表 販売に向けての生産性も考え 3グループに分けて作業を行うことにした 2グループは 生地作り 残りの1グループは 棒状にする 切る 工程を分担して行った (5) 授業 新製品 作りのまとめ (11 月 4 日 ( 水 )) 専門家に 新しいクッキー作り の授業を参観していただき 授業 新製品 作りのまとめとして 評価 助言していただいた その主な助言 ( ) と提案 ( ) 感想 ( ) は以下のようであった 生地作り 手の小さな生徒に対して 泡立て器の握り手の大きさに配慮する 泡立て器に付いた生地を取る時は 素手でもよいのではないか 棒状にする 打ち粉は 目の細かい強力粉を使うとよい 気候を考えて 冬等はしっかり練ってから棒状にすること 1cm 幅に切る まな板目盛り位置は 手前にあるとよい 目盛りに合わせて順に切るのではなく 印を付けてから切るとよい 切る時の包丁の刃の場所は 刃元で切ると切りやすい 生地を棒状にする時に使う板を 透明のアクリル板に工夫した点はよいと思う また 生徒にとって 新しい材料や道具の名前等覚えるのは大変なことだと感じた (6) 開発した教育コンテンツ 専門家から提案していただいた ブールドネージュ のレシピをもとに 生徒の実態や作業 学習の流れに合わせて 工夫改善した新製品のクッキーの名前を ゆきまるクッキー とした この ゆきまるクッキー の名前は 実際 にクッキー作りを行っている生徒からの提案 や意見をまとめ 決定した 1 ゆきまるクッキー レシピ a 材料 バター 170g グラニュー糖 50g 中力粉 220g スキムミルク 10g アーモンドダイス 50g 粉糖 適量 ( ココア きな粉 抹茶など ) 教育コンテンツ1 ゆきまるクッキー b 道具 はかり ボール 粉ふるい 泡立て器 へら タイマー バット まな板 包丁 アクリル板 シーラー

c 作り方 1) 材料を計る 2) 中力粉とスキムミルクを合わせて 粉ふるいでふるう 3) バターを 泡立て器を使い (3 分間 ) 柔らかくなるまで混ぜる 4) グラニュー糖を入れて (6 分間 ) よく混ぜる 5) 中力粉とスキムミルクを入れて へらを使ってしっかり混ぜる 6) アーモンドダイスを入れて へらを使ってしっかり混ぜる 7) 生地の重さを計り 6 等分し ラップに包んで冷蔵庫へ入れて生地をねかす 8) 生地を棒状にするために 生地をしっかり練る 9) 打ち粉をして アクリル板を使い 生地を長さ20cmの棒状にする 10) 形を崩さないようにラップに包み 冷凍庫へ入れる 11) 補助具を使って 幅 1cmの切れ目を付ける 12) 切れ目に合わせて 包丁の刃元で切る 13) 鉄板に並べて オーブンに入れ 180 で20 分間焼く 14) 粗熱をとってから 粉糖を入れたビニール袋の中に入れ 振って 粉糖をまぶす 15) しばらく時間をおいて 仕上げにもう一度粉糖をまぶす 16) ラベルの貼った袋に入れ シーラーで封をする 2 アクリル板 の作業器具 a 開発のポイント生地を棒状にする工程で使用する板を 生地の状態が見やすいように 透明のアクリル板にした また 生地の長さが20cmになったか すぐに確認できるように 20cm 間隔の直線を2 本付けた b 留意点生地を棒状にする前にしっかりと練るが その時の気温等に合わせて 練り方を工夫する必要がある また 棒状にする時に使う打ち粉は 強力粉を使うとよい 3 切れ目を付ける 補助具 a 開発のポイント最初は まな板に付いた目盛りに合わせて生地を切っていたが 同じ幅に切ることが難しく 時間がかかるため 先に切れ目を付けてから切るようにした また 切れ目を付ける際には 目盛りが生地の手前の上部に近い方が付けやすいという助言から 厚みのあるアクリル板に目盛りを付けた補助具を作成した b 留意点切れ目に沿って生地を切る時は 包丁の刃先は まな板に付け 包丁の刃元で切るようにする 教育コンテンツ 2 アクリル板 の作業器具 教育コンテンツ 3 切れ目を付ける 補助具

3 成果と課題 (1) 研究の成果今回開発した教育コンテンツの ゆきまるクッキー のレシピによって 今までの作業学習で使用していなかった調理器具や作業工程等が加わり 様々な生徒のニーズに対応した幅のある授業展開ができるようになった 特に今回 新製品化に取り組む中で 生地を6 等分する工程が加わり 計算などの学習活動ができた また 以前のレシピでは材料が 小麦粉 砂糖 であったものが 細かく種類分けされた 中力粉 や グラニュー糖 に変わったことで 新しい言葉や材料について学ぶきっかけとなり 他の教科と関連させて学習することができた 他にも 新作クッキー の名称やキャラクターを校内で募集したことで 他の生徒からの関心を集め 作業学習に取り組む学習キャラクターの募集意欲の高揚につながって 学校祭で発表 販売することができた また 作業工程で使う作業器具や補助具の開発 改善についても 生徒の実態や様子を把握しながら開発し 専門家からの助言を受け よりよいものに改善することができた (2) 今後の課題今後の課題としては 来年度の 作業学習の年間指導計画 作成の際には 今回開発した ゆきまるクッキー と これまで学校祭での販売の様子の ミックスクッキー の作業内容の特徴を把握し 生徒一人一人に合った指導計画を作成していきたい 他にも 今回専門家から提案していただいた残りのクッキーのレシピを 今回の ゆきまるクッキー のように新製品化できるように 作業工程等を研究したり 専門家からの助言をいただいたりしながら開発を進め 生徒のニーズに対応した幅のある作業学習にしていきたい