基礎統計 第 11 回講義資料
6.4.2 標本平均の差の標本分布 母平均の差 標本平均の差をみれば良い ただし, 母分散に依存するため場合分けをする 1 2 3 分散が既知分散が未知であるが等しい分散が未知であり等しいとは限らない
1 母分散が既知のとき が既知 標準化変量
2 母分散が未知であり, 等しいとき 分散が未知であるが, 等しいということは分かっているとき 標準化変量 自由度 の t 分布
3 母分散が未知であり等しいとは限らないとき ウェルチの近似法
第 7 章 : 統計的推定
正規母集団の母平均, 母分散の区間推定 (1) 母平均の信頼区間 となるを求めたい. ( 信頼上限, 信頼下限 ) 分散が既知の場合 標準化 は標準正規分布の上側 100α/2 パーセント点 母平均 μ の信頼係数 1-α の信頼区間
正規母集団の母平均, 母分散の区間推定 (2) 母平均の信頼区間 分散が未知の場合 は自由度 n-1 の t 分布の上側 100α/2 パーセント点 母平均 μ の信頼係数 1-α の信頼区間
正規母集団の母平均, 母分散の区間推定 (3) 母分散の信頼区間 は自由度 n-1 のカイ二乗分布の上側 100(1-α/2), 100α/2 パーセント点 母分散 の信頼係数 1-α の信頼区間
二つの正規母集団の母平均の差, 母分散の比の区間推定 (1) 母平均の差の信頼区間二つの正規母集団母平均の差 二つの母分散が等しい場合 未知 二つの母分散が等しいと仮定できない場合 は に最も近い整数
二つの正規母集団の母平均の差, 母分散の比の区間推定 (2) 母分散の比の信頼区間 例 : 母平均の差の信頼区間 母分散の比 : 信頼区間に 1 を含むかどうか ( ) 1を含む場合 1を含まない 数値例 : 実際は次章で紹介する母分散の比の検定をおこなう
二項, ポアソン母集団の各母数の信頼区間 中心極限定理より, 標準正規分布で近似することで求める 二項分布の場合 ポアソン分布の場合
点推定の考え方とその手順 推定量と推定値 推定量 母集団の母数を推定するために標本から求められる統計量 推定値 標本として具体的に n 個の観測値が与えられたとき, これを代入して計算される値が推定値である.
点推定の手順 (1) モーメント法 モーメント ( 積率 ) を用いる方法
モーメント ( 再録 ) X の ( 原点のまわりの )r 次のモーメント ( 積率 ) X の期待値 ( 平均 ) のまわりの r 次のモーメント X の r 次の標準化モーメント
点推定の手順 (1) 最尤法 最尤原理 : 現実の標本は確率最大のものが実現した 例 : コイン投げ 表が出る確率 p ( 裏が出る確率 1-p) 表が出たら 1 裏が出たら 0 とする 5 回投げたところ {1,1,0,1,0} という結果が出た 表が出る確率 p をどのように考えたらよいか? コインは公正にできている p=0.5 コインは歪んでいるかも知れない 表が出た割合で評価 p= 3/5= 0.6 どのような確率 p であっても {1,1,0,0,1} という結果が出る可能性があるので {1,1,0,0,1} という結果が出現する可能性が最も高いものを p とする => 最尤法
尤度と対数尤度 3 2 {1,1,0,0,1} が出る可能性 p ( 1 p) 尤度 ( 尤度関数 ) L 3 ( p) p (1 p ) 2 対数尤度 logl( p) 3log p 2log(1 d log L( p) 3 2 dp p 1 p p) ˆ 0.6 p 一般的には 尤度対数尤度 n L( ) f (, ) i 1 log L( ) n i 1 X i log f ( X i, ) L( ) もしくは logl( ) を最大にする を最尤推定量 ˆ と呼ぶ
点推定の基準 (1) 不偏性 推定量の期待値が, 真の母数の値となること は不偏推定量と呼ばれる 例 : は不偏推定量 は不偏推定量ではない
点推定の基準 (2) 一致性 標本の大きさ n が大きくなるに従い, 真の母数の値に近づく性質 例 : ( 確率収束 ) 一致推定量
点推定の基準 (3) 漸近正規性 標本分布の漸近分布が正規分布である性質 この性質をみたす推定量を漸近正規推定量と呼ぶ 例 : 有効性 不偏推定量の中でも, 分散が小さい方を有効とする いかなる不偏推定量よりも分散が小さい推定量が存在すれば, それは有効推定量または最小分散不偏推定量と呼ばれる 漸近的有効性 : 漸近分布が正規分布となる推定量のうち, 漸近分散が最小となる性質
点推定の例 母平均と母分散の推定 モーメント法と最尤法の結果が同じ 正規分布 二項分布 ポアソン分布 モーメント法と最尤法の結果が異なる 一様分布最尤法 モーメント法
正規分布に関する推定 ( 最尤法 ) 正規分布 の尤度関数 について解く 不偏ではない
ノンパラメトリックの場合 最尤法は使えない. 母集団分布の形がわからないため. モーメント法による推定 不偏ではない
第 8 章 : 統計的仮説検定
統計的仮説検定 仮説検定 事例 ( 問題設定 ) 白熱電球の寿命の平均が 1700 時間であるという 新型の電球が開発され光度が改良されたが 寿命が変化したか否かについては不明であるとする 電球の寿命は新型も従来のものも正規分布をなし その標準偏差は σ=180( 時間 ) であることがわかっている 仮説検定 : 新型電球の寿命の平均を μ 時間とおくと 帰無仮説 対立仮説 ( 新型電球の寿命に変化はない ) ( 新型電球の寿命に変化がある ) いずれが正しいか? 仮説検定する
帰無仮説と対立仮説 帰無仮説考察の基準となる仮説 対立仮説が棄却されたときに採択される仮説 両者を合わせて仮説検定あるいは検定という 結論としては 2 つの一方を選択する を棄却する (reject ) を採択する ( 受容する ) (accept ) 標本の値に基づいてこの選択を行うことを統計的仮説検定という 単に検定という 検定の手順や方法を検定方式と呼ぶ
検定方式 平均値の検定 標本から得られた平均値 1835 時間と 1700 時間との差に意味があるかどうか 差に意味があることを 差が有意であるという 意味のある差のことを有意差という どれほど差があれば有意差とみなせるか? を棄却する を採択する 検定統計量 臨界値
第 1 種の誤り 第 2 種の誤り 有意水準 統計的仮説検定では 誤りを犯す確率ができるだけ小さくなるように c を選択する 2 種類の誤り 第 1 種の誤り : 帰無仮説を棄却する誤り が正しいときに 帰無仮説 第 2 種の誤り : 対立仮説が正しいときに ( が誤っているときに ) 帰無仮説を採択する誤り 統計的仮説検定では第 1 種の誤りを重視する 有意水準 : 第 1 種の誤りの確率として許容できる値 α を事前に定める 第 1 種の誤りの確率 =P({ を棄却する }) =P( T >c) 例 :α=0.05 のとき c=1.96
母平均の検定 は正規母集団からの大きさの無作為標本とする このとき とおけば を棄却する を採択する は検定問題に対する有意水準 α の検定である
片側検定と両側検定 改良によって寿命が長くなることはあっても短くなることはないことが事前にわかっているときは? 対立仮説をとすればよい 片側仮説 を棄却する を採択する 右片側検定 左片側検定
片側検定 ( 右片側検定 ) は正規母集団からの大きさの無作為標本とする このとき とおけば を棄却する は 検定問題対する有意水準 αの検定である. を採択する に
検出力 第一種の誤り ( ) 帰無仮説が真であるにもかかわらず, 統計量の値が棄却域に入ってしまったために, 帰無仮説を棄却してしまう誤り. 第二種の誤り ( ) 帰無仮説が偽であるにもかかわらず, 統計量の値が棄却域に入らなかったために, 帰無仮説を棄却しない誤り. 検出力 ( ) 帰無仮説が真でないとき, その通りに, これを棄却する確率 検定方法の良さの評価基準 検出力が大きいことが望ましい
8.2 母平均の検定 8.2.1 両側 t 検定 は正規母集団からの大きさの無作為標本とする. 母分散は未知とする. 検定問題 検定統計量 自由度 n-1 の t 分布に従う
母平均の t 検定 は正規母集団からの大きさの無作為標本とする. このとき, を棄却するを採択する は検定問題に対する有意水準 αの検定である. ここにはの上側 100α/2% 点である
事例 : 電球の寿命 母分散が未知の場合 検定問題 有意水準 標本から得られる情報 棄却域 結論 : 帰無仮説は棄却される.
母平均の検定 1( 両側検定 母分散既知 ) 帰無仮説と対立仮説 検定統計量 例 : 牛乳の乳脂肪分 乳脂肪分が 3% の牛乳を製造販売する会社があったとする. 会社の主張は正しいといえるか. 有意水準 5% で検定せよ. 有意水準 棄却域 の密度関数 検定統計量 有意水準 標本数標本平均分散 ( 既知 ) 棄却域 帰無仮説は棄却される. 主張は正しくない.
母平均の検定 2( 両側検定 母分散未知 ) 帰無仮説と対立仮説 検定統計量 有意水準 棄却域 の密度関数 例 : 牛乳の乳脂肪分先ほどと同じ問題. 分散が未知 標本数標本平均標本分散 検定統計量 有意水準 棄却域 帰無仮説は有意水準 5% で棄却できない. 主張が正しくないとはいえない.
8.2.2 片側 t 検定 片側検定問題 右片側検定 左片側検定
母平均の片側 t 検定 は正規母集団からの大きさの無作為標本とする. このとき, を棄却するを採択する は検定問題に対する有意水準 αの検定である. ここにはの上側 100α/2% 点である
母平均の検定 3( 片側検定 母分散既知 ) 帰無仮説と対立仮説 例 : 改良の確認の検定分散既知とみなす 検定統計量 有意水準 棄却域 の密度関数 ( 右片側検定 ) 検定統計量 有意水準 棄却域 標本数標本平均分散 ( 既知 ) 有意水準 5% で帰無仮説は棄却される. この講義に効果があったと認められる.
母平均の検定 4( 片側検定 母分散未知 ) 帰無仮説と対立仮説 例 : 改良の確認の検定 検定統計量 ( 右片側検定 ) 標本数標本平均標本分散 有意水準 棄却域 の密度関数 検定統計量 有意水準 棄却域 有意水準 5% で帰無仮説は棄却される. この講義に効果があったと認められる.
8.3 母分散の検定 母分散の片側検定 は正規母集団からの大きさの無作為標本とする. 検定問題 検定統計量 自由度 n-1 のカイ 2 乗分布に従う
母分散の検定 は正規母集団からの大きさの無作為標本とする. このとき, を棄却する を採択する は 検定問題に対する有意水準 αの検定である. ここには自由度 n-1のカイ2 乗分布の上側 100α% 点である.
おさらい 母分散に対する仮説検定 両側検定 対立仮説 棄却域 片側検定 右片側検定 対立仮説 棄却域 左片側検定 対立仮説 棄却域 の密度関数 検定統計量
母平均の差の検定 二つのグループで結果に差があるかどうか 帰無仮説と対立仮説 両側 右片側 左片側 分散が等しい場合 分散が等しくない場合 ウェルチの検定
母分散の比の検定 母分散が等しい ( 母分散の比 =1) かどうかの検定 母平均の差の検定では, 母分散の比の検定の結果によって方式を選ぶことになる. 手順 帰無仮説と対立仮説 状況によっては片側検定もありうる 検定統計量 F 分布の密度関数 有意水準 棄却域
検定 観測度数をもとにして行われる検定 検定統計量はカイ二乗分布に従う 適合度検定 仮定された理論上の確率分布に対して, 標本から求められた度数が適合するか否かを検証する方法 独立性の検定 2 つの異なる属性を同時に測定し, 集計結果を分割表にしたとき,2 つの属性が独立かどうかを検証する方法
適合度検定 観測度数と理論度数の差が小さい 適合している カテゴリー 計 観測度数 理論確率 理論度数 サイコロ投げ 50 回 数字 1 2 3 4 5 6 計 回数 10 7 8 11 6 8 50 サイコロは正しく作られているか?
独立性の検定 観測度数と, 独立の場合の理論度数の差が小さい 独立である 計 計
比率の検定 中心極限定理を用いる検定 検定統計量が近似的に正規分布に従う場合は, 正規分布に対する検定の手続きを用いられる. 例 : 母比率の検定成功率 失敗成功 標本比率 成功回数試行回数 検定統計量 が大きいとき標準正規分布に従う
次回の講義内容 (7/2) 第 8 章仮説検定