1. 改革の方向性 女性の働き方に中立的な制度整備に当たっては 可処分所得の大幅な減少が生じないよう 負担を最小化 負担増減を円滑化するとともに こうした見直しが 負担増の生じる世帯 個人に ベネフィットとして戻ってくる制度改革とすることが不可欠 改革の進め方についての方針を明示し できるものから早

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資料9

短時間労働者への厚生年金 国民年金の適用について 1 日又は 1 週間の所定労働時間 1 カ月の所定労働日数がそれぞれ当該事業所 において同種の業務に従事する通常の就労者のおおむね 4 分の 3 以上であるか 4 分の 3 以上である 4 分の 3 未満である 被用者年金制度の被保険者の 配偶者であ

2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

被用者保険の被保険者の配偶者の位置付け 被用者保険の被保険者の配偶者が社会保険制度上どのような位置付けになるかは 1 まず 通常の労働者のおおむね 4 分の 3 以上就労している場合は 自ら被用者保険の被保険者となり 2 1 に該当しない年収 130 万円未満の者で 1 に扶養される配偶者が被用者保

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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厚生年金 健康保険の強制適用となる者の推計 粗い推計 民間給与実態統計調査 ( 平成 22 年 ) 国税庁 5,479 万人 ( 年間平均 ) 厚生年金 健康保険の強制被保険者の可能性が高い者の総数は 5,479 万人 - 約 681 万人 - 約 120 万人 = 約 4,678 万人 従業員五人

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

扶養手当制度の概要 1 支給要件 扶養親族 ( 他に生計の途がなく主として職員の扶養を受けているもの ) を有する職員に対して支給 年額 130 万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者は対象外 2 支給月額 配偶者 : 13,000 円子など : 1 人につき 6,500 円 ( 配偶者のない場

1

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平成19年度市民税のしおり

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あえて年収を抑える559万人

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平成19年度税制改正.xls

第 9 回社会保障審議会年金部会平成 2 0 年 6 月 1 9 日 資料 1-4 現行制度の仕組み 趣旨 国民年金保険料の免除制度について 現行制度においては 保険料を納付することが経済的に困難な被保険者のために 被保険者からの申請に基づいて 社会保険庁長官が承認したときに保険料の納付義務を免除す

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

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夫婦控除の創設について~家計の可処分所得への影響~

平成19年度分から

再任用と年金加入の関係をまとめると次のようになる ( 都道府県によって勤務形態は異なる ) 再任用の勤務形態フルタイム勤務 3/4 1/2 週の勤務時間 38 時間 45 分 29 時間 19 時間 15 分 共済年金 厚生年金 (2016 年 9 月 30 日まで ) 加入する年金 (2015 年

2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 介護保険は社会保険を構成する 1 つです 介護保険制度の仕組みや給付について説明していきます 介護保険制度 介護保険制度は 高齢者の介護を社会全体で支えるための制度

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第1章

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第 3 号被保険者と同様に 健康保険においても年収 130 万円未満で会社員や公務員等に扶養される配偶者等は 個別に健康保険料の負担をせず 会社員等の被扶養者として健康保険の給付を受けることができる 3 また 税制においても被扶養者の年収が103 万円以下であれば 扶養者が配偶者控除を受けられること

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2. 改正の趣旨 背景給与所得控除額の変遷 1 昭和 49 年産業構造が転換し会社員が急速に増加 ( 働き方が変化 ) する中 (1) 実際の勤務関連経費が給与所得控除を上回っても 当時は特定支出控除 ( 昭和 63 年導入 ) がなく 会社員は実際の勤務関連経費がいくら高くても実額控除できなかった

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本資料は 様々な世帯類型ごとに公的サービスによる受益と一定の負担の関係について その傾向を概括的に見るために 試行的に簡易に計算した結果である 例えば 下記の通り 負担 に含まれていない税等もある こうしたことから ここでの計算結果から得られる ネット受益 ( 受益 - 負担 ) の数値については

点及び 認定された日以降の年間の見込みの収入額のことをいいます ( 給与所得等の収入がある場合 月額 108,333 円以下 雇用保険等の受給者の場合 日額 3,611 円以下であること ) また 被扶養者の年間収入には 雇用保険の失業等給付 公的年金 健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます

<本調査研究の要旨>

消費税増税等の家計への影響試算(2018年10月版)

2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

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個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

参考資料

MR通信H22年1月号

Microsoft PowerPoint - 老後の年金格差(前半)HP用

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( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

退職後の健康保険の任意継続ってなに?

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Q3 なぜ 必要な添付書類が変わるのですか? A3 厚生労働省より 日本国内にお住いのご家族の方を被扶養者に認定する際の身分関係及び生計維持関係の確認について 申立のみによる認定は行わず 証明書類に基づく認定を行うよう 事務の取扱いが示されたことから 届出に際して 確認書類の添付をお願いすることとな

ます 60 歳以上は 180 万円未満まで OK という点に注意です そうすることで社長の 被扶養者 ( 第三号被 保険者 ) になりますので 保険料負担がなくなります 扶養 に関する社会保険と税金の違い ここで基本的なことをおさらいしておきます まず 扶養 といっても 社会保険上の扶養 と 税金上

この就業調整は俗に 103 万円の壁 130 万円の壁 とも言われます これに今年 10 月以降新たに 106 万円の壁が加わります 106 万円の壁ができるということは 妻本人が社会保険に加入するための条件が緩和され 妻の年収が 106 万円を超えると妻 自身が社会保険に加入しなければならなくなる

新旧児童手当、子ども手当と税制改正のQ&A


[Case 2-1] 横浜さんは 首尾良く就職できて昨年 4 月から新社会人となり仕事をしている 学生の時よりは自由な時間は減ったが 毎月 まとまった給与がもらえて 学生の時よりはるかに自分の自由になるお金を得ることができた しかし給与明細を見ると 支給額は 215,000 円のはずなのに 実際の手

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社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

(0830時点)PR版

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消費税増税等の家計への影響試算(2017年10月版)<訂正版>

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別紙2

税制について

第14章 国民年金 

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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自分にあった健康保険を見つけよう! それぞれの健康保険の特徴を踏まえ 自分にあった健康保険を選ぶようにしましょう! 今までの収入 扶養家族の有無によって どの健康保険に加入するとメリットがあるか 参考にしてください 健康保険の被保険者資格を喪失 再就職しない 再就職する 就職先の健康保険に加入できな

< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

金のみの場合は年収 28 万円以上 1 年金収入以外の所得がある場合は合計所得金額 2 16 万円以上が対象となる ただし 合計所得金額が16 万円以上であっても 同一世帯の介護保険の第 1 号被保険者 (65 歳以上 ) の年金収入やその他の合計所得が単身世帯で28 万円 2 人以上世帯で346

はしがき 配偶者控除 と 配偶者特別控除 は 昭和 36 年と昭和 62 年の税制改正で導入された歴史ある制度です ここ数年 配偶者控除の改正について様々な議論が行われてきましたが 平成 29 年度税制改正において 就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

2018年度税制改正大綱ポイント整理

被扶養者届に必要な添付書類一覧

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資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

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いずれも 賃金上昇率により保険料負担額や年金給付額を65 歳時点の価格に換算し 年金給付総額を保険料負担総額で除した 給付負担倍率 の試算結果である なお 厚生年金保険料は労使折半であるが 以下では 全ての試算で負担額に事業主負担は含んでいない 図表 年財政検証の経済前提 将来の経済状

平成 29 年 1 月度実施実技試験 ( 保険顧客資産相談業務 ) 73

ったと判断します なお 一時的に認定基準月額以上の収入がある月があっても 認定基準年額を超えるまでの間は認定できます また 勤務した月の給与が翌月以降に支払われる場合でも 原則 勤務月の収入として取扱います 継続して認定できる事例 認定基準月額未満であるので 継続して認定できます 認定基準月額以上の

政策課題分析シリーズ16(付注)

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消費税増税等の家計への影響試算

Transcription:

資料 1-2 女性の働き方に中立的な制度整備に向けて ~ 制度と慣行の見直し ~ ( 説明資料 ) 平成 26 年 10 月 21 日伊藤元重榊原定征高橋進新浪剛史

1. 改革の方向性 女性の働き方に中立的な制度整備に当たっては 可処分所得の大幅な減少が生じないよう 負担を最小化 負担増減を円滑化するとともに こうした見直しが 負担増の生じる世帯 個人に ベネフィットとして戻ってくる制度改革とすることが不可欠 改革の進め方についての方針を明示し できるものから早急に実行すべき 現在取り組んでいる女性の活躍推進に向けた様々な施策と一体性 総合性を確保すべき 制度改革に加え 国民の意識と慣行を変えていくことが不可欠 図表 1. 税 社会保険料による世帯所得の変化額イメージと見直しの方向性 現状 税と社会保険料負担 配偶者手当が支給停止される配偶者の給与収入限度額を境に 可処分所得が大きく減少 これをならすのが見直しの狙い 可処分所得 ( 万円 ) 550 配偶者の給与収入に応じた世帯の可処分所得と所得税額の変化のイメージ 見直しのイメージ 収入 103~150 万円位の間は可処分所得が増えない 可処分所得 500 配偶者手当の支給停止年収が一定金額を超えると 夫へ配偶者手当が支給されなくなる ここでは年収 103 万円で停止と仮定 社会保障制度における扶養限度年収 130 万円を超えると夫の扶養 (3 号等 ) から外れ それまでゼロであった社会保険料負担が発生する ここでは厚生年金 けんぽ協会に加入すると仮定 450 配偶者の給与収入 ( 万円 ) 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 夫が働き 妻が第三号被保険者として働きだす世帯を仮定 夫の給与収入が 500 万円 ( 配偶者手当が支給される場合はこれに加えて月 1.3 万円 年 15.6 万円支給 ) の夫婦世帯において 妻の給与収入によって世帯としての可処分所得と所得税額がどのように変化するかを示したもの 可処分所得の算定の際に考慮している負担は 所得税 住民税 年金保険料及び健康保険料 ( 介護分を除く ) 雇用保険料は考慮していない 年金 健康保険料を支払う場合は 夫婦ともに厚生年金 健康保険 ( 協会けんぽ ( 東京支部 )) に加入するものと仮定 社会保険料負担は 単純に年収額に被用者負担分の料率を乗じて算出 社会保障制度の見直しによる壁の分散 配偶者手当の見直しによる壁の分散 ( 備考 ) 左図は第 4 回産業競争力会議課題別会合 ( 平成 26 年 5 月 28 日 ) 森女性活力 子育て支援担当大臣兼内閣府特命担当大臣 ( 男女共同参画 ) 提出資料を基に作成 2

2. 具体的な取組 (1): 社会保険料 収入に応じて可処分所得が円滑に増加する仕組みにすることが必要 今後 第 2 号被保険者となる時間要件 所得要件を引き下げていくことになっているが 例えば 第 3 号被保険者の給与所得水準や働き方に応じて段階的に保険料負担が変わることで 世帯の可処分所得が大きく増減しないようにする案等を含め 経済への影響を勘案しながら働き方と雇い方に中立的な負担の仕組みに改善する検討をさらに進めるべき その際 被保険者が自らの負担が将来受取につながるという実感 確信が重要 図表 2. 3 号被保険者制度の改革イメージ 現状 1 号被保険者は 130 万円 ( 青線 ) 2 号被保険者は労働時間に応じて ( 赤線 ) 保険料を負担 ( 平成 28 年 10 月には 2 号被保険者の適用拡大 ( ピンク破線 ) を予定 ) 第 3 号被保険者は働き方によって 1 号もしくは 2 号になり 負担も大きく変化 具体的な制度の詳細は今後の検討として 負担増減の壁をなだらかにする方策として 例えば 例 1 又は 2: 給与や働き方に応じて段階的に負担をしていく ( 緑線 又は薄緑 ) 例 3: 厚生年金の適用拡大をさらに進める ( ピンク破線の左シフト ) ( 備考 ) 各種資料により内閣府作成 3

2. 具体的な取組 (2): 配偶者手当等 配偶者手当については 103 万円や 130 万円の給与所得まで一定額で支給され その後はゼロになることで可処分所得が減少する要因となり 働く意欲を阻害 例えば 配偶者の給与所得が増加するに連れて段階的に減額されていく仕組みや子育て支援の観点から家族手当全体のあり方について 国は来年度の人事院勧告から反映できるよう検討すべき また 政労使の場においても 配偶者手当の在り方を検討すべき 図表 3. 配偶者手当の見直しイメージ 現状では 定額の給付が一定のところでゼロになるため 受取側の変化が大きい これを階段状にすることで激変緩和 円滑化するのが提案の狙い 4

2. 具体的な取組 (3): 配偶者控除 配偶者特別控除の創設により 税制上の所得の逆転現象は既に解消 しかし 世帯全体の控除について 女性の働き方の選択に対して中立的にするため 例えば 配偶者の給与所得の有無に関わらず 夫婦に対しては一定額の控除を付する制度 ( 控除額にも 2 人分の基礎控除を合算するか 子育て支援策を加算するか等の案 ) 等 考え方について整理し 議論を進めるべき その際 家計の負担変動に留意し 経済の好循環と整合性を確保する必要 図表 4. 所得税の配偶者控除を巡る論点について 人口減少への対応や家族の在り方について様々な議論が進められている状況を踏まえ 複数案のメリット デメリットを示しつつ検討 議論を進めるべき その際 家計負担の変動に留意し 経済の好循環との整合性を確保すべき 現行制度 ( 世帯で見た各控除の関係 ) 現行制度 ( 税調において指摘されている課題 ) 配偶者の収入が 103 万円を超えると納税者本人が配偶者控除を受けられなくなることが女性の就労を抑制しているとの指摘 ( いわゆる 103 万円の壁 ) パート世帯においては 配偶者が基礎控除の適用を受けているにも関わらず納税者本人が配偶者控除の適用を受けているため 専業主婦 ( 夫 ) 世帯や共働き世帯よりも控除額の合計が多い ( 二重の控除 ) との指摘 働き方の選択への中立についての議論をきっかけに 家族 ( 結婚 子育て ) という視点 所得再分配上の影響などを総合的に組み込んで諸控除のあり方を検討すべきとの指摘 社会 経済の構造上の変化 ( 人口減少 働き方の多様化 家族のあり方の変化等 ) を踏まえ 所得税の負担構造について 税制上の配慮の重点をこれからの社会にふさわしいものにシフトさせていくべきとの指摘 ( 備考 ) 政府税制調査会総会 ( 平成 26 年 9 月 29 日 ) 基礎問題小委員会 (10 月 6 日 ) 資料等により内閣府にて作成 5

( 参考 ) 取り組むべき課題の概要 (1) ~103 万円の壁 ~ 30 歳以上有配偶女性の年間雇用所得は 100 万円前後に集中 多くの有配偶女性パートタイム労働者が 自分自身の課税見込みや配偶者の控除額の増減を重視して雇用調整を実施 配偶者手当も大きく影響 民間企業の 7 割以上で配偶者手当が支給され その半数が支給制限を ( 配偶者の非課税限度額である )103 万円に設定 図表 5. 有配偶女性の年間所得分布 (2010 年 ) 図表 6. 有配偶女性雇用調整理由 (2011 年 ) 30~40 歳台の所得分布をみると 100 万円前後にピーク 自身の課税見込み 扶養変化 配偶者の控除額の増減を重視して雇用調整を実施 自分の所得税の非課税限度額 (103 万円 ) を超えると税金を支払わなければならないから 一定額 (130 万円 ) を超えると配偶者の健康保険 厚生年金等の被扶養者からはずれ 自分で加入しなければならなくなるから 49.3 63.0 一定額を超えると配偶者の税制上の配偶者控除が無くなり 配偶者特別控除が少なくなるから 37.7 一定額を超えると配偶者の会社の配偶者手当がもらえなくなるから 20.6 正社員の所定労働時間の 3/4 以上になると健康保険 厚生年金等に加入しなければならないから 労働時間が週の所定労働時間 20 時間以上になると雇用保険に加入しなければならないから 会社の都合により雇用保険 厚生年金等の加入要件に該当しないようにしているため 現在 支給されている年金の減額率を抑える又は減額を避けるため 4.3 2.8 2.6 0.4 ( 備考 )1. 図表 5 は 内閣府 男女共同参画白書 ( 平成 25 年版 ) より引用 2. 図表 6 は 厚生労働省 パートタイム労働者総合実態調査 より作成 6.2 その他 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 ( 複数回答 ) ( 単位 :%) 6

( 参考 ) 取り組むべき課題の概要 (2) 第二稼得者の所得や労働時間が一定の水準を超えると社会保険料が発生 大幅な所得増加がない限り 可処分所得は減少 短時間労働者を雇う理由に社会保険の負担を挙げる事業主も一定程度存在 加えて 民間企業の家族手当の 2 割が支給制限を ( 社会保険料負担の発生する )130 万円に設定 また 国家公務員の扶養手当 ( 配偶者分 ) の支給制限額も 130 万円 ~130 万円の壁 ~ 図表 7. 短時間労働者を雇う理由 短時間労働者を使用する理由としては 繁忙への対応や簡単な業務への対応が多いが 社会保険の負担を理由に挙げる事業主も一定程度存在 7 ( 備考 ) 1. 図表 7 は ( 独 ) 労働政策研究 研修機構 社会保険の適用拡大が短時間労働に与える影響調査 (2013 年 ) により作成 2. 図表 8 は 人事院 平成 26 年職種別民間給与実態調査 により作成 図表 8. 家族手当の有無 民間の 7 割以上で配偶者手当 (14,347 円 / 月 ) が支給され 半数の支給制限が配偶者の所得が 103 万円家族手当制度の有無あり 76.8 うち配偶者に支給 92.7 なし 23.2 配偶者収入に対する制限の有無あり 82.2 うち 下記の制限額を設定している割合 130 万円 21.8 103 万円 54.9 なし 17.8 ( 注 ) 数値は % である 19.8 8.6 29.0 15.8 36.3 11.3 16.0 31.2 13.9 29.6 18.7 10.9 6.8 5.0 1.4 8.1 8.7 0 5 10 15 20 25 30 35 40 人を集めやすいから学卒等一般の正社員の採用 確保が困難だから経験 知識 技能のある人を活用したいから高齢者を活用するため1 日の忙しい時間帯に対応するため早朝 深夜など特殊な時間帯に対応するため季節的な繁忙や一定期間の繁忙に対応するため簡単な仕事内容だから責任が軽い仕事だから賃金が割安だから社会保険の負担が少なくて済むから雇用調整(人員調整)が容易だから退職した女性正社員を再雇用するため学生アルバイトや若年フリーターを雇用するためIT化 サービス情報化の進展によって 業務内容が変化したためその他無回答一般パートを雇用している事業所 (n=2,292) ( 平均選択数 2.9 個 ) ( 複数回答 ) %