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Tubing,PIERCE) を行った. 0.01 M CaCl2 in 0.01 M MES (ph 5.5) は, 2-(N-Morpholino) ethanesulfonic Acid,NaOH ( 特級関東化学株式会社 ) で調整した.FPLC 陽イオン交換クロマトグラフィーは, カラム POROS S/20 4.6 mmd/100 mml 1.662 ml) (BIO-RAD),Buffer は,running buffer : 0.01 M CaCl2 in 0.01 M MES (ph 5.5),elution buffer: 0 M 0.25 M NaCl with running buffer,flow rate: 10 ml/ min (5 ml/ tube), クロマトグラフィーシステム AKTA purifier (GE ヘルスケア ジャパン株式会社 ) を用いた. FPLC 陽イオン交換クロマトグラフィーにより, プロテアーゼ活性があり, 吸着されなかった画分をタイワンハブ毒 HR1 とした. 上記の方法で, 精製されたタイワンハブ毒 HR1 をマウスへの免疫および,ELISA 検出用抗原として用いた. 2. 抗タイワンハブ毒 HR1 抗体の作製抗毒素研究報告書 6),7) に準じて, タイワンハブ毒 HR1 を BALB/c マウスに免疫し, 抗体価の上昇がみられた 3 匹のマウスの脾臓を摘出し, 脾細胞とミエローマ細胞と細胞融合後, 得られたハイブリドーマを培養した. その中から安定したハイブリドーマを培養し, 抗タイワンハブ毒 HR1 抗体をアフィニティーカラムクロマトグラフィーにより精製を行った. 3.ELISA 間接法マウスの抗体価測定および, タイワンハブ毒検出に有効な株の選別には,96 ウェルプレート (Corning 1 8 Stripwell 96well plates medium binding surface,clear. ヒメハブ毒 PLA2 は,ELISA 用アミノプレート MS-8696F( 住友ベークライト株式会社 )) を用いた.10 mm CaCl2 in 0.01 M Tris で調整したタイワンハブ毒 HR1, 沖縄島産ハブ粗毒, サキシマハブ粗毒, ヒメハブ粗毒, ヒメハブ毒 PLA2 を 1 well あたり 250 ng/100 µl を加え, 一昼夜 4 で静置した. 各 well より溶液をアスピレートし,1%BSA (Sigma-Aldrich) /PBS を各 well に添加し, 一昼夜 4 で静置しブロッキングを行った. プレート使用時に, ブロッキング溶液をアスピレートし, PBS-T で 1 回洗浄後, プレート内の水滴を取り除き, 測定に用いた. 以下,96 ウェルプレートのアスピレート及び洗浄は,WELLWASH VERSA (Thermo Scientific), タイワンハブ毒および抗体のタンパク質濃度測定は, 微量サンプル分光光度計 nanovue (GE) の BSA モードおよび IgG モードを用いた. 1 次抗体として, タイワンハブ毒特異的抗体を 100 µl ずつプレートに添加し, 室温で 30 分, shaker incubator (DYNATECH) で撹拌し反応させた. 反応液をアスピレート後, PBS-T で 3 回洗浄した. 2 次抗体は,1%BSA/PBS で 5000 倍に希釈した抗マウス IgG ( 全分子 ) 抗体 ペルオキシダーゼ標識ヤギ宿主抗体 (Sigma-Aldrich) を各 well に 100 μl ずつ添加し, 室温で 30 分, shaker incubator で撹拌し反応させた. 反応液をアスピレート後,PBS-T で 3 回洗浄した. TMB Peroxidase 基質 ( コスモバイオ ) を各 well に 100 μl ずつ添加し, 室温で 5 分放置後,0.5 mol/l 硫酸 (nacalai tesque)100 μl を加え反応を停止させ,450 nm における吸光度を測定した. 吸光度測定には, マイクロプレートリーダー DYNEX MRX Revelation (DYNEX technologies) で測定した. 4.ELISA 直接法 3.ELISA 間接法 で作製したタイワンハブ毒 ELISA プレートおよびペルオキシダーゼを標識したタイワンハブ毒 HR1 特異的抗体を用いて,ELISA 直接法を行った. 標識抗体の調整は, 抗体を PBS で 150 µg/100 µl に調整後, Peroxidase Labeling Kit SH ( 株式会社同仁化学研究所 ) で標識した. 標識した抗体を 1%BSA/PBS で 5,000 倍希釈した溶液 100 µl を 1 次抗体とした. 各 well に 1 次抗体 100 μl ずつ添加し, 室温で 30 分,shaker incubator で撹拌し反応させた. 反応液をアスピレート後,PBS-T で 3 回洗浄した. TMB Peroxidase 基質を各 well に 100 μl ずつ添加し, 室温で 5 分放置後,0.5 mol/l 硫酸 100 μl を加え反応を停止させ,450 nm における吸光度を測定した. 吸光度測定には, マイクロプレートリーダー DYNEX MRX Revelation で測定した. 5.Sandwich ELISA 各タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体を PBS で 250 ng/100 µl に調整後,96 ウェルプレートに添加し, 一昼夜 4 で静置した. 各 well より溶液をアスピレートし,Pierce Protein Free(PBS) Blocking Buffer (Thermo scientific) を各 well に添加し, 室温で 60 分静置しブロッキングを行った. ブロッキング溶液をアスピレートし,PBS-T で 1 回洗浄後, プレート内の水滴を取り除き, 測定に用いた. タイワンハブ毒 HR1 を 0.01 M CaCl2 in 0.01 M MES (ph 5.5) により 0 ng/100 µl から 500 ng/100 µl まで希釈し 1well あたり 100 µl のタイワンハブ毒 HR1 溶液を加え, 室温で 30 分, shaker incubator で撹拌し反応させた. 反応液をアスピレート後,PBS-T で 5 回洗浄した. 検出抗体は, 4.ELISA 直接法 で調整した標識抗体を Pierce Protein Free(PBS) Blocking Buffer で 5,000 倍に希釈し, 各 well に 100 μl ずつ添加し, 室温で 30 分,shaker incubator で撹拌し反応させた. 反応液をアスピレート後,PBS-T で 5 回洗浄した.TMB Peroxidase 基質を各 well に 100 μl ずつ添加し, 室温で 5 分放置後,0.5 mol/l 硫酸 100 μl を加え反応を停止させ,450 nm における吸光度を - 57 -

測定した. Ⅲ 結果と考察 1. ELISA 間接法による抗タイワンハブ毒 HR1 抗体の各ハブ毒に対する反応 Ⅱ 方法 2. 抗タイワンハブ毒 HR1 抗体 で得られた抗体数は,34 抗体だった. その抗体を Ⅱ 方法 3. ELISA 間接法 で作製した各毒を固相化した ELISA プレートを用いて, 各毒への反応を吸光度により判断した. 抗タイワンハブ毒 HR1 抗体を 1 well あたり 0 ng/100 µl から 5000 ng/100 µl まで濃度変化させ, タイワンハブ毒 HR1 及びタイワンハブ粗毒に対し, シグモイド曲線を描き, かつサキシマハブ粗毒, 沖縄島産ハブ粗毒, ヒメハブ粗毒, ヒメハブ毒 PLA2,1%BSA,1% スキムミルク (nacalai tesque) に対して, 吸光度 0.5 以下だった抗体を抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体とした. 抗タイワンハブ毒抗体のブロッキング剤に対する非特異的反応は,1%BSA および 1% スキムミルクのみ固相化したプレートと抗体を反応させて判断した. その結果, 株番号 1206-16,1206-31,1213-17,1215-2,1215-3 から得られた 5 抗体を抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体とした ( 図 1(A),(B),(C),(D),(E)). 2.ELISA 直接法による抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体の反応上記 1.ELISA 間接法による抗タイワンハブ毒 HR1 抗体の各ハブ毒に対する反応 で得られた結果より, 抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体 1206-16,1206-31, 1213-17,1215-2,1215-3( 以後, 抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体 5 抗体 ) にペルオキシダーゼを標識し, 検出抗体を調整した. ペルオキシダーゼを各抗体に標識することにより, タイワンハブ毒 HR1 検出に影響があるかを調べた. 特異的抗体の 5 抗体とも, ペルオキシダーゼを標識後も,ELISA 直接法でタイワンハブ毒 HR1 を固相化したプレートと反応し, 吸光度が 2.0 以上だった. この結果より, 上記 5 抗体にペルオキシダーゼを標識することで, 抗体のタイワンハブ毒 HR1 検出には, 大きな影響はないと考えられる ( 図 2). また, タイワンハブ毒 HR1-58 -

がより強く固相化されるように, 以後, プレートは高結 合能マイクロプレート Greiner 655061 を用いた. HR1 が 2 量体であった. この結果より, 場所の異なる同じエピトープが, それぞれ捕捉抗体および検出抗体と反応したと考える. 今後は, 抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体 1206-31 を用いて, イムノクロマトグラフィーのテストストリップを用いて, タイワンハブ毒 HR1 が検出できるか分析を行う. 3.Sandwich ELISA によるタイワンハブ毒 HR1 検出抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体 5 抗体をそれぞれ捕捉抗体として, プレートに固相化した. ここでは示していないが, タイワンハブ毒 HR1 は, ブロッキングで用いた BSA に非特異的吸着する反応を示したので, 以後, ブロッキングは非タンパク質である Pierce Protein Free(PBS) Blocking Buffer( 以後,Protein Free) を使用した. 捕捉抗体が固相化されたプレートに, タイワンハブ毒 HR1 をタンパク質濃度 0 ng から 500 ng まで反応させ, 洗浄後 2.ELISA 直接法による抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体の反応 で作製した抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体 5 抗体にペルオキシダーゼを標識した検出抗体をそれぞれ反応させた ( 図 3). 抗タイワンハブ毒 HR1 特異的抗体 5 抗体を総あたりで組み合わせ, タイワンハブ毒 HR1 の検出を試みたが, 1206-31 が検出抗体になった場合, どの捕捉抗体においてもタイワンハブ毒 HR1 の濃度に依存した反応だった. 特に, 捕捉抗体と検出抗体を同じ 1206-31 にした組み合わせでは, タイワンハブ毒 HR1 5000 ng に吸光度 0.458 を示した ( 図 3). 抗原を 2 抗体で検出する際, 異なる結合部位を持つ抗体の組み合わせを考えるが, 今回の Sandwich ELISA によるタイワンハブ毒 HR1 検出では,1 種類の抗体の組み合わせで検出ができた. ここでは示していないが, ゲルろ過クロマトグラフィー用タンパク質分子量マーカーでタイワンハブ毒 HR1 を分析したところ, タイワンハブ毒 - 59 -

Ⅳ 謝辞 試験溶液等の調整にご協力いただきました宮城博俊氏, 真榮城徳之氏, 前野沙耶架氏に深謝いたします. Ⅴ 参考文献 1) 宮城良充 (2004). 蛇毒咬症. 総合臨床,53:625-629. 2) Guidelines for the management of snake-bites (2010). < http://apps.searo.who.int/pds_docs/b4508.pdf >. 2015 年 10 月アクセス. 3) 松田聖子 盛根信也 玉那覇康二 (2012). 医療機関への報告説明. 平成 23 年度抗ハブ毒ヒト抗毒素の実用化事業ヒト抗毒素需要予測等調査,10-12. 4) 野崎真敏 盛根信也 寺田考紀 (2002). 沖縄に生息するハブ属毒の交叉中和実験 - 沖縄ハブ サキシマハブ タイワンハブ 交雑種について-. 平成 14 年度抗毒素研究報告書,27-32. 5) 宮城良充 野崎真敏 (2007). ハブ咬症. 中毒研究,20 : 223-233. 6) 野崎真敏 盛根信也 松田聖子 坂本智代美 正代清光 江藤晶 有働睦夫 (2005). 抗ハブ毒ヒト抗体の作製に関する研究 -KM マウスを用いた抗ハブ毒ヒト抗毒素の作製 (5)-. 平成 16 年度抗毒素研究報告書, 3-12. 7) 盛根信也 松田聖子 大城聡子 玉那覇康二 江藤晶 (2011). 抗ハブ毒ヒト抗体の作製に関する研究 - KM マウスを用いた抗ハブ毒ヒト抗毒素の作製 (5)-. 平成 22 年度抗毒素研究報告書,3-9. - 60 -