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Transcription:

マルチ GNSS 解析に関する技術指針 検討資料作成業務 報告書 平成 25 年 3 月 国土交通省国土地理院

目次 1. 目的... 1 2. 概要... 1 2.1. 全世界的衛星測位システム (GNSS)... 1 2.2. 準天頂衛星システム (QZSS)... 1 2.3. マルチGNSS 業務概要... 4 3. 解析用データの取得... 5 3.1. 比較基線場におけるGNSS 観測... 5 3.1.1. 長距離基線... 5 3.1.2. 短距離基線... 8 3.2. 国土地理院周辺におけるGNSS 観測... 9 3.2.1. スタティック法に準用した観測... 11 3.2.2. キネマティック法に準用した観測... 19 3.3. 上空視界不良地域におけるGNSS 観測... 24 3.4. 観測スケジュール... 28 4. RTKLIB を用いた基線解析... 28 4.1. RTKLIBによる解析手法... 28 4.1.1. 解析設定... 29 4.1.2. 基線解析における留意点... 32 4.1.3. 本業務におけるRTKLIB 採用値... 34 4.2. 解析種類... 35 4.3. 観測データのrtkplotによる出図... 35 4.4. 網平均計算... 36 5. 解析結果と評価... 36 5.1. 比較基線場におけるGNSS 観測... 36 5.1.1. 長基線解析... 37 5.1.2. 短距離基線... 49 5.2. スタティック 2 周波... 59 5.3. スタティック 1 周波... 73 5.4. キネマティック... 91 5.4.1. トータル ステーションによる 3 級基準点測量... 100 5.5. 上空視界不良地域... 101 5.5.1. トータル ステーションによる上空視界不良地域の観測... 103 6. 総合評価... 104 6.1. 衛星の組み合わせによる評価 (GPS, 準天頂衛星,GLONASS)... 104 6.1.1. 比較基線場... 104

6.1.2. スタティック 2 周波解析... 111 6.1.3. スタティック 1 周波解析... 113 6.1.4. キネマティック解析... 115 6.1.5. 上空視界不良地域... 117 6.2. データ取得時の状況... 119 6.2.1. 天気図... 119 6.2.2. 気象データ... 126 6.2.3. 衛星数及びDOP... 133 7. まとめ... 137 7.1. 比較基線場におけるGNSS 観測... 137 7.2. スタティック 2 周波... 138 7.3. スタティック 1 周波... 139 7.4. キネマティック法に準用した観測... 139 7.5. 上空視界不良地域におけるGNSS 観測... 140

1. 目的国土地理院では 米国の GPS をはじめ 日本の準天頂衛星 QZSS ロシアの GLONASS EU の Galileo 等 複数の衛星測位システムのデータを統合的に利用した GNSS 高精度測位技術の開発および標準化を進めている 本業務は その一環として 準天頂衛星等の解析用データの収集 同データを用いた解析 解析結果等の分析および抽出およびそれらの取りまとめを行うことを目的とする 2. 概要 2.1. 全世界的衛星測位システム (GNSS) 全世界的衛星測位システム (Global Navigation Satellite System: 以下 GNSS という ) を利用した測位サービスは すでに交通 防災 測量 国土管理 レジャーなどの幅広い分野で利用されている とりわけ米国が運用する GPS(Global Positioning System) は わが国でも幅広く利用されている しかし わが国の国土はほぼ 60% が山岳地形で森林も深い また 都市部では建築物の高層化が著しい したがって 何処でも上空が開けている条件が得られないことから 衛星数の低下や衛星配置が悪くなり 衛星からの信号が受信できないなどの問題が指摘されている また GNSS 測位はスタティック法が最も高精度な測位手法であるが 長時間 GNSS 信号を受信し その信号の位相を解析しなければならない 短時間で高精度の測位解を得る方法としてリアルタイムキネマティック法があり 国土地理院の電子基準点網 (GEONET) を利用したネットワーク型 RTK-GPS 法がある この手法は 配信事業者が携帯電話で補正データ等を配信しているが 山間部など携帯電話のサービスエリア外ではネットワーク型 RTK-GPS 法が利用できないなどの問題が指摘されている 2.2. 準天頂衛星システム (QZSS) 1 これらの問題を解決するため わが国では準天頂衛星システム (Quasi-Zenith Satellite System) の開発 整備が進められている 準天頂衛星は 日本付近で常に天頂付近に 1 機の衛星が見えるように 複数の軌道面 ( 準天頂軌道 ) に配置 ( 表 1) した衛星システムであり 山間部や都市部のビル陰等に影響されず 全国をほぼ 100% カバーする高精度の衛星測位サービスの提供を可能とするものである 1 平成 22 年度準天頂衛星からの補正情報による精密測量技術実証実験業務報告書より引用 -1-

表 1 準天頂衛星の諸元 項 目 諸 元 外観形状 箱形外観 :2.4m 2.4m,4m 3.8m ( アンテナ パドルを除く ) 質 量 約 4 t( ドライ質量約 1.8 t) 発生電力 約 5 kw 姿 勢 三軸安定測位アンテナを地心方向へ指向 通 信 測位信号 :GPS 互換信号 + 独自信号 時刻比較 :Ku 帯 寿 命 10 年 ( バッテリ 太陽電池 推薬 12 年 ) 軌道傾斜角 :43±4 ( 初号機 :41 ) 離心率 :0.075±0.015 軌 道 周期 :23 時間 56 分軌道長半径 :42,164km( 平均 ) 近地点引数 :270 ±2 中心経度 :135±5 E 打ち上げロケット H-ⅡA ロケット 6.2m EDM 25.3m L1-SAIF L1 band Submeter - class Augmentation with Integrity Function L 図 1 準天頂衛星の模式図 表 2 準天頂衛星から送信される測位信号 信号用途信号名称中心周波数 [ MHz ] 備考 L1C/A 1575.42 既存の GPS 近 補完信号 L1C 1575.42 L2C 1227.60 L5 1176.45 代化 GPS との完全な相互運用性 共存性を確保 補強信号 L1-SAIF 1575.42 高速移動体向け LEX 1278.75 独自の実験用信号 -2-

表 3 準天頂衛星と GPS 衛星の座標系の比較 準天頂衛星 (JGS) GPS(WGS84) 原点 地球質量中心 (GRS80 の幾何中心 ) 地球質量中心 (WGS84 幾何中心 ) Z 軸 ( 回転軸 ) IERS の極方向 X 軸 IERS のグリニッジ子午線と赤道との交点方向 Y 軸 右手系地心固定座標系をなす方向 (JAXA:2009 より ) 図 2 準天頂衛星の軌道の地表投影図 3 地上から見た準天頂衛星のイメージ準天頂衛星の主な目的は GPS 衛星の補完機能と補強機能である (1) GPS 衛星補完機能準天頂衛星を天頂付近に配置させ GPS 衛星の互換信号を送信することで 都市部や山岳地形の谷間などの測位において 衛星の幾何学的配置を改善する (2) GPS 衛星補強機能測位の誤差要因 ( 電離層や対流圏による遅延等 ) を補正する情報を準天頂衛星の放送機能 (LEX 信号 ) により放送し GPS 測位を高精度化する 図 4 準天頂衛星の補完機能 ( 左 ) と補強機能 ( 右 ) の模式図 -3-

2.3. マルチ GNSS 業務概要 本業務は 平成 24 年 11 月 9 日から平成 25 年 3 月 15 日の期間で下記の通り 業務を実 施し マルチ GNSS 解析に関する技術指針検討資料を作成した (1) 解析用データの取得 (2) RTKLIB を用いた同機種間 異機種間での解析 (3) 解析結果の分析および課題の抽出 解析用データの取得においては 準天頂衛星が昼間時に日本上空の天頂付近に滞在する冬季を選び あらかじめ正確な位置がわかっている国土地理院 GNSS 比較基線場および 茨城県つくば市の国土地理院周辺において 観測を実施した 観測および本業務で使用した主要機器は 表 4のとおりである 表 4 主要機器一覧表 作業工程別 名称 機種名 数量 備考 JAVAD DELTA-G3T 3 台 貸与物品 JAVAD SIGMA-G3T 1 台貸与物品 GNSS 受信機 TOPCON NET-G3A 1 台貸与物品解析用デー TRIMBLE NetR9 1 台貸与物品タの取得 GNSS アンテナ JAVAD GrAnt-G3T 4 台貸与物品 受信機コントロール用 PC 2 台 貸与物品 トータル ステーション SOKKIA NET05AX 1 台 RTKLIB JAVAD 付属 RINEX 変換ソフト JPS2RIN 一式 貸与物品 を用いた同 基線解析ソフトウェア RTKLIB(Ver2.4.1) 一式 機種間 異機 BINEX 変換ソフトウェア BINEX2RINEX 一式 貸与物品 種間での解 PAG-U 析網平均アプリケーション 2 Kenq 一式 また 同機種間や異機種間での解析が可能なように 観測場所や観測時間を考慮し データの取得を行い 4 種類の受信機の組み合わせにおいてデータの解析を実施した 解析結果については 受信機の違いや 測位衛星の高度角マスクの違いによるデータ解析をまとめ 各観測条件における傾向の分析や マルチ GNSS 観測における課題の抽出を検討した 2 網平均計算ソフトは 株式会社パスコが開発したプログラムである -4-

3. 解析用データの取得 3.1. 比較基線場におけるGNSS 観測比較基線場においては 以下のとおりの項目を検証することを目的とする 1 利用する衛星測位システムを変えることによる解析値の変化 2 衛星数の変化 ( 増減 ) による解析値の変化 3 異なる受信機間による解析値の変化 表 5 機器番号の設定 通称名 受信機名 受信機 ID アンテナ名 アンテナ ID JAVAD-D JAVAD DELTA-G3T 00873 TOPCON TOPCON NET-G3A 618-01336 GrAnt-G3T 001689 JAVAD-D JAVAD DELTA-G3T 00876 GrAnt-G3T 001687 JAVAD-D JAVAD DELTA-G3T 00879 GrAnt-G3T 001678 JAVAD-S JAVAD SIGMA-G3T 00779 Trimble Trimble NETR9 5135K78129 GrAnt-G3T 001757 観測は 表 5の受信機を組み合わせて長距離基線 ( 約 10km) と短距離基線 ( 約 1km) で 受信機の同機種と異機種の観測が 2 セッションずつ実施できるように観測計画を立て実施した 受信機とアンテナの組み合わせは 本業務の観測内で統一した組み合わせを決めて観測を実施した TOPCON および Trimble のアンテナは JAVAD の GrAnt-G3T を使用し これらの受信機においても 使用するアンテナは同じ組み合わせになるように配慮した 3.1.1. 長距離基線比較基線場における長距離基線は No.13 国松から No.1 高岡 No.2 高岡 No.10 高岡の 3 基線を設定し観測した 観測時間は 準天頂衛星が測定可能な時間帯に設定し 日本時間で 9 時から 17 時を基本とした計画を立てた -5-

表 6 各セッションにおける GNSS 受信機 ( 比較基線場 ) SessionID ID 点名 通称名 アンテナ名 0001 高岡 No.1 Trimble H1 0002 高岡 No.2 JAVAD-D 0010 高岡 No.10 JAVAD-D GrAnt-G3T 0013 国松 No.13 TOPCON 0001 高岡 No.1 JAVAD-D H2 0002 高岡 No.2 TOPCON 0010 高岡 No.10 Trimble GrAnt-G3T 0013 国松 No.13 JAVAD-D 0001 高岡 No.1 TOPCON H3 0002 高岡 No.2 JAVAD-D 0010 高岡 No.10 JAVAD-D GrAnt-G3T 0013 国松 No.13 Trimble 0001 高岡 No.1 JAVAD-D H4 0002 高岡 No.2 JAVAD-D 0010 高岡 No.10 JAVAD-D GrAnt-G3T 0013 国松 No.13 JAVAD-S 比較基線場における観測は 4 セッションを計画した 各セッションの受信機組み合わせは 表 6のとおりである 観測時間は 3 時間の解析可能なように取得し 1 日 2 セッションの観測を実施した 観測日時は 以下のとおり実施した 1 11 月 26 日 ( 月 ) H1;09:30~12:30 H2;13:30~16:30 2 12 月 4 日 ( 火 ) H3;09:15~12:15 H4;13:30~16:30 3 12 月 6 日 ( 木 ) H1;09:15~12:15 H2;13:30~16:30 (11 月 26 日の観測が雨天のため検測 ) -6-

図 5 比較基線場長距離基線位置図 図 6 器械高測定および観測台 ( ピラー ) 設置状況 -7-

図 7 観測状況 (No.13 国松 ) 3.1.2. 短距離基線 図 8 比較基線場短距離基線位置図 短距離基線場の観測は 比較基線場における長距離基線の観測から得られたデータを用いて解析を実施することになったため 短距離基線のためだけの観測は実施していない 短距離基線は No.10 高岡から No.1 高岡 No.2 高岡の 2 基線に加え No.1 高岡から No.2 高岡の最短基線においても解析を実施し評価を実施した -8-

3.2. 国土地理院周辺におけるGNSS 観測現在の作業規定の準則は 平成 20 年 3 月 31 日に全部改定その後 平成 23 年 3 月 31 日に一部改正されたものが運用されている 作業規定の準則における GNSS の定義は 以下のとおりである GNSSとは 人工衛星からの信号を用いて位置を決定する衛星測位システムの総称で GPS GLONASS Galileo 及び準天頂衛星等の衛星測位システムがある GNSS 測量においては GPS 及びGLONASSを適用する したがって 現在の作業規定の準則では 準天頂衛星を含めた測量を適用していない 本マルチGNSS 解析に関する技術指針検討業務では 準天頂衛星を含めた解析をスタティック法 短縮スタティック法 キネマティック法について 作業規定の準則で定められた観測時間や許容範囲衛星数について検討する 表 7および表 8は 作業規定の準則の基準点測量において 定められた観測方法に対する観測時間と衛星数である 表 7 作業規定の準則に記載されているGNSS 測量機を用いる観測方法 観測方法 観測時間 データ取得間隔 摘要 120 分以上 30 秒以下 1 級基準点測量 (10km 以上 1) スタティック法 1 級基準点測量 ( 10km 未満 ) 60 分以上 30 秒以下 2 ~ 4 級基準点測量 短縮スタティック法 20 分以上 15 秒以下 3 ~ 4 級基準点測量 キネマティック法 10 秒以上 2 5 秒以下 3 ~ 4 級基準点測量 R T K 法 10 秒以上 3 1 秒 3 ~ 4 級基準点測量 ネットワーク型 R T K 法 10 秒以上 3 1 秒 3 ~ 4 級基準点測量 1 観測距離が10km以上の場合は 1 級 GNSS 測量機により 2 周波による観測を行う ただし 節点を設けて観測距離を10km 未満にすることで 2 級 GNSS 測量機により観測を行うこともで 備考 きる 2 10エポック以上のデータが取得できる時間とする 3 FIX 解を得てから10エポック以上のデータが取得できる 時間とする -9-

表 8 作業規定の準則に記載されているGNSS 観測方法による使用衛星数 観測方法 短縮スタティック法 スタティック法 キネマティック法 RTK 法 GNSS 衛星の組合せ ネットワーク型 RTK 法 GPS 衛星のみ 4 衛星以上 5 衛星以上 GPS 衛星及びGLONASS 衛星 5 衛星以上 6 衛星以上 1GLONASS 衛星を用いて観測する場合は GPS 衛星及びGLONAS S 衛星を それぞれ2 衛星以上を用いること 2GLONASS 衛星を用いて観測する場合は 同一機器メーカーのGNSS 摘要 測量機を使用すること 3スタティック法による10km以上の観測では GPS 衛星のみを用いて観測 する場合は5 衛星以上とし GPS 衛星及びGLONASS 衛星を用いて観測 する場合は6 衛星以上とする 現行の作業規定の準則によるスタティック法 短縮スタティック法 キネマティック法の定義は 以下の通りである <スタティック法及び短縮スタティック法 > (1) スタティック法は 複数の観測点にGNSS 測量機を整置して 同時にGNSS 衛星からの信号を受信し それに基づく基線解析により 観測点間の基線ベクトルを求める観測方法である (2) 短縮スタティック法は 複数の観測点にGNSS 測量機を整置して 同時にGNS S 衛星からの信号を受信し 観測時間を短縮するため 基線解析において衛星の組合せを多数作るなどの処理を行い 観測点間の基線ベクトルを求める観測方法である (3) 観測図の作成は 同時に複数のGNSS 測量機を用いて行う観測 ( 以下 セッション という ) 計画を記入するものとする (4) 電子基準点のみを既知点として使用する以外の観測は 既知点及び新点を結合する多角路線が閉じた多角形を形成させ 次のいずれかにより行うものとする (ⅰ) 異なるセッションの組み合わせによる点検のための多角形を形成する (ⅱ) 異なるセッションによる点検のため 1 辺以上の重複観測を行う (5) スタティック法及び短縮スタティック法におけるアンテナ高の測定は GNSSアンテナ底面までとする なお アンテナ高は標識上面からGNSSアンテナ底面までの距離を垂直に測定することを標準とする -10-

<キネマティック法 > 基準となるGNSS 測量機を整置する観測点 ( 以下 固定局 という ) 及び移動する観測点 ( 以下 移動局 という ) で 同時にGNSS 衛星からの信号を受信して初期化 ( 整数値バイアスの決定 ) などに必要な観測を行う その後 移動局を複数の観測点に次々と移動して観測を行い それに基づき固定局と移動局の間の基線ベクトルを求める観測方法である なお 初期化及び基線解析は 観測終了後に行う 3.2.1. スタティック法に準用した観測スタティック法に準用した観測では 平成 23 年度に実施された 準天頂を利用する GNSS 実験観測及び技術指針の検討 業務で使用された基準点を選点し 全ての標識が正常で観測可能であることを確認できたため 今回の業務では新点を設けていない 3.2.1.1. スタティック 2 周波スタティック 2 周波においては 以下のとおりの項目を検証することを目的とする 1 マルチ GNSS の効果による解析時間 ( 観測時間 ) の短縮の可否 2 短縮スタティックにおける 1 級基準点測量の可能性評価 3 異なる受信機間による解析値の変化 -11-

石下 公共 No.9 院内 No.11 公共 No.4 阿見 守谷 図 9 スタティック 2 周波観測点位置図 図 10 基準点院内 No.11-12-

図 11 基準点公共 No.4 図 12 基準点公共 No.9 本業務では 同機種および異機種間の基線を解析し 網平均後の座標値で検証するため 新点の成果を得るための電子基準点は 阿見 石下 守谷の 3 点を使用することになった 阿見 石下の受信機はTOPCON 社製 守谷の受信機は Trimble 社製である ( 表 9 参照 ) 新点 ( 院内 No.11 公共 No.4 公共 No.9) の観測は 2 セッションとし 1 セッション目は 新点同士が同一受信機となるように 2 セッション目は電子基準点 ( 石下 守谷 ) と新点 ( 院内 No.11 公共 No.9) の基線が同一受信機となるように実施した -13-

表 9 各観測点における GNSS 受信機 (2 周波スタティック ) 種類 ID 点名 通称名 SessionID アンテナ名 960584 阿見 TOPCON 2S1,2S2 電子 TPSCR.G5 GSI 960583 石下 TOPCON 2S1,2S2 基準点 93012 守谷 Trimble 2S1,2S2 TRM59800.80 GSI 1011 院内 No.11 JAVAD-D 2S1 TOPCON 2S2 与点 1004 公共 No.4 JAVAD-D 2S1 JAVAD-D 2S2 GrAnt-G3T 1009 公共 No.9 JAVAD-D 2S1 Trimble 2S2 2 周波スタティックの観測は 2 セッションを実施した 各セッションの受信機組み合わせは 表 9のとおりである 観測時間は 2 時間の解析可能なように取得し 1 日で 2 セッションの観測を実施した 観測日時は 以下のとおりである 1 11 月 29 日 ( 木 ) 2S1;09:15~11:15 2S2;12:00~14:00 図 13 院内 No.11 観測状況 図 14 公共 No.4 観測状況 -14-

図 15 公共 No.9 観測状況 図 16 院内 No.11 上空視界図 図 17 公共 No.4 上空視界図 図 18 公共 No.9 上空視界図 -15-

3.2.1.2. スタティック 1 周波スタティック 1 周波においては 以下のとおりの項目を検証することを目的とする 1 マルチ GNSS の効果による解析時間 ( 観測時間 ) の短縮の可否 2 短縮スタティックにおける 2 級基準点測量の可能性評価 3 異なる受信機の利用による解析値の変化既知点は スタティック 2 周波で求めた新点 ( 院内 No.11 公共 No.4 公共 No.9) として 1 級 No.1 および 1 級 No.2 の 2 点を新点として観測を実施した 表 10 各セッションにおける GNSS 受信機 (1 周波 ) SessionID ID 点名 通称名 アンテナ名 1011 院内 No.11 JAVAD-D 1S1 1009 公共 No.9 JAVAD-D 101 1 級 No.1 JAVAD-D GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 JAVAD-S 1011 院内 No.11 JAVAD-D 1S2 1004 公共 No.4 JAVAD-D 101 1 級 No.1 JAVAD-D GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 JAVAD-S 1011 院内 No.11 JAVAD-D 1S3 1009 公共 No.9 JAVAD-D 101 1 級 No.1 Trimble GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 TOPCON 1011 院内 No.11 JAVAD-D 1S4 1004 公共 No.4 JAVAD-D 101 1 級 No.1 Trimble GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 TOPCON 観測は 受信機 4 台を使用して 院内 No.11 1 級 No.1 1 級 No.2 公共 No.9 を測定するセッションと 院内 No.11 1 級 No.1 1 級 No.2 公共 No.4 を測定するセッションを実施した 各セッションで 1 時間観測を 2 回ずつ実施し 受信機の組み合わせが同機種および異機種の解析が可能なようにした ( 表 10 参照 ) -16-

院内 No.11 1 級 No.1 公共 No.4 1 級 No.2 公共 No.9 図 19 スタティック 1 周波観測点位置図 図 20 基準点 1 級 No.1-17-

図 21 基準点 1 級 No.2 図 22 1 級 No.1 観測状況 図 23 1 級 No.2 観測状況 図 24 1 級 No.1 上空視界図図 25 1 級 No.2 上空視界図観測日時は 以下のとおりである 1 12 月 3 日 ( 月 ) 1S1;09:15~11:15,1S2;10:45~11:45 1S3;13:00~14:00,1S4;14:30~15:30-18-

3.2.2. キネマティック法に準用した観測キネマティックにおいては 以下のとおりの項目を検証することを目的とする 1 キネマティックにおける 2 級基準点測量の可能性評価 2 異なる受信機の利用による解析値の変化キネマティックによる観測は 既知点距離が延長した場合の解析を実施するため 院内 No.11 を固定局とし 移動局は 3 級 No.1 3 級 No.2 1 級 No.1 1 級 No.2 公共 No.9 の 5 点を各点で 1 分間の観測を実施し 往復観測を実施した 使用した 3 級 No.1 および 3 級 No.2 は 平成 23 年度実施された観測と同じ測点で観測を実施した 院内 No.11 3 級 No.1 3 級 No.2 1 級 No.1 1 級 No.2 公共 No.9 図 26 キネマティック観測点位置図 -19-

図 27 基準点 3 級 No.1 図 28 基準点 3 級 No.2 図 29 3 級 No.1 上空視界図 図 30 3 級 No.2 上空視界図 -20-

表 11 各セッションにおける GNSS 受信機 ( キネマティック ) SessionID ID 点名 受信機名 アンテナ名 固定局 1011 院内 No.11 JAVAD-D GrAnt-G3T 301 3 級 No.1 K1 302 3 級 No.2 移動局 101 1 級 No.1 JAVAD-D GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 1009 公共 No.9 固定局 1011 院内 No.11 TOPCON GrAnt-G3T 301 3 級 No.1 K2 302 3 級 No.2 移動局 101 1 級 No.1 JAVAD-D GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 1009 公共 No.9 固定局 1011 院内 No.11 Trimble GrAnt-G3T 301 3 級 No.1 K3 302 3 級 No.2 移動局 101 1 級 No.1 JAVAD-D GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 1009 公共 No.9 固定局 1011 院内 No.11 Trimble GrAnt-G3T 301 3 級 No.1 K4 302 3 級 No.2 移動局 101 1 級 No.1 TOPCON GrAnt-G3T 102 1 級 No.2 1009 公共 No.9 図 31 院内 No.11 固定局観測状況 図 32 3 級 No.1 移動局観測状況 -21-

図 33 3 級 No.2 移動局観測状況 図 34 1 級 No.1 移動局観測状況 図 35 1 級 No.2 移動局観測状況 図 36 公共 No.9 移動局観測状況 キネマティック観測は 2m のポールに GNSS アンテナをセットし 1 箇所の観測は 1 秒サンプリングで約 1 分間データを取得し 移動した 固定局には 3 種類の受信機をセットし それぞれ往復観測を実施した 観測日時は 以下のとおりである 1 12 月 5 日 ( 水 ) K1 K2 K3 K4;09:00~17:00-22-

院内 No.11 3 級 No.1 接点 3 級 No.2 1 級 No.1 図 37 TS による観測位置図 キネマティック法の検証データとして 院内 No.11 から 1 級 No.1 にかけて トータル ステーション ( 以下 TS とする.) を用いて結合多角測量 ( 単路線 ) を実施した 図 38 TS による 3 級基準点観測状況 観測は 水平角観測を 2 対回 2 セット 距離観測を 2 読定 2 セット ( 双方向観測 ) 実施した 高さについては 鉛直角観測を 1 対回 2 セット双方向実施した 観測したデータは 株式会社パスコが開発した厳密網平均計算プログラム PAG-U を使用して座標値を決定した 観測は 11 月 29 日および 11 月 30 日の GNSS 観測の合間を利用して実施した -23-

3.3. 上空視界不良地域におけるGNSS 観測上空視界不良地域における観測は 以下のとおりの項目を検証することを目的とする 1 マルチ GNSS の効果による通常観測困難な場所での解析の可否 2 準天頂衛星の位置変化による精度評価 CS1 OS1 院内 No.11(OS2) CS2 図 39 上空視界不良地域 GNSS 観測位置図 上空視界不良地域の実証地域は 国土地理院構内に選点した TS による測量を考慮し 本館と食堂に囲まれた中庭に 2 点 (CloseSky1(CS1) CloseSky2(CS2)) の一時標識を埋標した 上空視界不良地域と同一セッションで 上空視界が良好な地域の観測を行うため 国土地理院グランドを挟んで 比較基線場基準点 No.11 付近に新たな点 OpenSky1 (OS1) を設けて 院内 No.11 を 2 点目の OpenSky2(OS2) とした 上空視界不良地域の GNSS 観測日時は 下記のとおり実施し TS 観測は セッションの F1 と F2 の間に実施した 11 月 27 日 ( 火 ) セッション F1;09:00~11:15 セッション F2;14:45~16:45 セッション F1 と F2 は 同機種 (JAVAD) で実施し セッション間は衛星の配置が十分変化するように間隔をあけて観測を実施した -24-

表 12 各セッションにおける GNSS 受信機 SessionID ID 略称 点名 受信機名 アンテナ名 5001 CS1 CloseSky1 JAVAD-D F1 5002 CS2 CloseSky2 JAVAD-D 5003 OS1 OpenSky1 JAVAD-S GrAnt-G3T 1011 OS2 院内 No.11 JAVAD-D 5001 CS1 CloseSky1 JAVAD-D F2 5002 CS2 CloseSky2 JAVAD-D 5003 OS1 OpenSky1 JAVAD-S GrAnt-G3T 1011 OS2 院内 No.11 JAVAD-D 図 40 CS1 観測状況図 41 CS2 観測状況 図 42 OS1 観測状況 図 43 CS1CS2 の観測状況 -25-

図 44 CS1 上空視界図 図 45 CS1 スカイプロット図 図 46 CS2 上空視界図 図 47 CS2 スカイプロット図 図 48 OS1 上空視界図 図 49 OS1 スカイプロット図 -26-

CS1 接点 OS1 院内 No.11 CS2 図 50 上空視界不良地域 TS による観測位置図 図 51 TS による観測状況 -27-

3.4. 観測スケジュール解析用データの取得に関するスケジュールは 表 13のとおりである 比較基線場のセッションH1 およびH2 に関しては 雨の影響による基線長の変化があるか不明であったため 同じ組み合わせによる観測を実施した 表 13 観測スケジュール一覧表 観測日 内 容 セッション ID 11 月 26 日 ( 月 ) 比較基線場 H1,H2 11 月 27 日 ( 火 ) 上空視界不良地域 F1,F2 11 月 29 日 ( 木 ) 2 周波スタティック 2S1,2S2 11 月 30 日 ( 金 ) 3 級 TS 観測 12 月 3 日 ( 月 ) 1 周波スタティック 1S1,1S2,1S3,1S4 12 月 4 日 ( 火 ) 比較基線場 H3,H4 12 月 5 日 ( 水 ) キネマティック K1,K2,K3,K4 12 月 6 日 ( 木 ) 比較基線場 H1,H2 4. RTKLIB を用いた基線解析 4.1. RTKLIBによる解析手法本業務で扱う解析プログラムは RTKLIB ver.2.4.1 3 である プログラム開発者から各種変更のパッチプログラムが提供されており 本業務では rtklib_2.4.1_p7 で提供されているものを使用した 本業務の解析途中で 2 周波で解析するとき L2 波の中に L2C がある場合 異機種間では Float 解となる事例が生じた RTKLIB は L2C と L2P(Y) があった場合 L2C を優先して使用する仕様である そこで 受信機で取得したデータを RINEX 変換する段階で L2C を除外したデータを作成した このときに用いたプログラムは rtkconv_2.4.2b9 である TOPCON 受信機および Trimble 受信機から RINEX の変換は 国土地理院開発の BINEX2RINEX を用いて RINEXversion2.12 に変換し 解析を実施した また 解析の条件による差が生じないことを確認するために 全ての組み合わせで解析の設定を統一し 基線解析を実施した 3 RTKLIB は 東京海洋大学の高須知二氏が作成したオープンソースプログラムである URL http://www.rtklib.com/ -28-