単元について 指導者 T1 呉市立横路小学校木村智子 T2 呉市立横路小学校末長裕 本単元は, 小学校学習指導要領第 4 学年の目標 (3) 図形を構成要素及びそれらの位置関係に着目して考察し, 平行 四辺形やひし形などの平面図形及び直方体などの立体図形について理解できるようにする, 内容 C(1) ア 直線の平 行や垂直の関係について理解すること イ 平行四辺形, ひし形, 台形について知ること を受けて設定している 本単元は, 第 2 学年の 三角形と四角形 の学習と系統的につながっている 第 2 学年では, 正方形や長方形について 学習しており, 本単元で学習する二つの直線の垂直や平行についての理解の基礎となる経験をしてきている 本単元で は, これらの経験をもとに, 直線の位置関係について理解したり, 作図したりすることができるようになることをねらいとして いる また, 既習の二つの図形を重ねることでできる四角形について, 向かい合う辺の関係に着目しながら弁別し, 四角 形を定義したり, 性質を理解したりする学習を行う その性質をもとに, 第 4 学年で学習した 角とその大きさ の学習を生 かして平行四辺形をかく さらに, 対角線の交わり方や対角線による合成 分解についても学習を深めていく これらの学 習は, 第 5 学年の 合同な図形 の学習や第 6 学年の 対称な図形 へと発展する 児童の実態について 本学級の児童の事前テストにおけるレディネスの結果は, 以下の通りである 事前テスト (%) 内 容 正答 誤答 ( 無答 ) 1 ジオボードから, 正方形, 長方形, 直角三角形を弁別することができる 78.4 21.6(2) 0 2 二等辺三角形, 正三角形の定義 性質を理解している 75.7 24.3(2.7) 3 頂点, 辺, 直角などの用語を理解している 64.9 35.1(2.7) 4 方眼紙を使って, 長方形, 正方形, 直角三角形をかくことができる 64.9 35.1(5.4) 5 3 辺の長さの異なる直角三角形 2 枚を使ってできる四角形を弁別することができる 35.1 64.9(5.4) 6 角の方向に気を付けて, 分度器を使ってかくことができる 54.1 45.9(2.7) この結果から, 図形についての構成が理解できていないことが分かる 5 の問題の中で, 長方形を弁別できなかった児 童が 27.0%, 平行四辺形を弁別できなかった児童が 37.8% 見られた また, 直角三角形の直角だけを意識して, 正方形 を弁別した児童が 18.9% 見られた 弁別する際, 補助線を書いて考えた児童は,10.8% しか見られなかった 図形につ いての感覚が正しい理解に結びついていないと考える また,1 の誤答分析から, 水平でない図形の弁別ができにくいことが分かった 6 の誤答分析から, 頂点を正しくかけて いなかったり, 方法は理解していても, 正確にかくことができなかったりする児童がみられた 下向きの 130 がかけなか った児童 15 名の内,5 名は 0 の線を理解できず, 分度器に書かれた数字の読みができていなかった 4 名は, 角の方向 が理解できず, 上向きに 130 をかいていた このことから, 角の方向が変わることに難しさを感じていることが分かる (1) 指導内容 指導方法について 指導改善のポイント 1 垂直や平行な二直線のかきかた及び台形, 平行四辺形, ひし形をかくことについて習熟を図る 算数タイムにおいて, ノートに水平な直線だけでなく, 傾いた直線に垂直 平行な直線をかかせたり, 二 直線が離れたりずれたりしている場合にもふれさせることで, 垂直と平行の感覚を養う 三角定規を使う場合, 方眼紙を使う場合, ジオボードを使う場合と, 多様な場面での垂直 平行の表現を 体験させる 第 4 学年 3 組算数科学習指導案 単元名 : 垂直 平行と四角形 チャレンジタイム等を活用して, 三角定規, 分度器, コンパスなどの用具の使い方を復習や練習をさせ, 四角形の作図に生かすことができるようにする
2 図形の定義や性質を見いだすための算数的活動を取り入れる 2 枚の長方形, 長方形と三角形,2 枚の三角形を重ねて四角形を作る活動を取り入れ, 向かい合う辺の平行関係に着目させたり, 長さに着目させたりしながら, 四角形を定義できるようにする コンパスや分度器, ものさし等を使って, 四角形の構成要素を調べる活動を取り入れ, 四角形の性質や対角線の交わり方について考えさせる その際, 判断の根拠とすることができるよう, 調べた辺の長さや角の大きさなどは, 図の中にその都度書き込ませる 3 図形についての感覚を豊かにするため, 身の回りから学習した図形を探す活動を仕組む 学習後に例を示すことで身の回りの図形と考えをつなげ, 考えさせる 家庭学習で身の回りの図形を見付けさせることで, 生活と結び付けて考えさせる (2) 研究主題とのかかわり本年度の研究主題 基礎 基本の定着と思考力 判断力 表現力の育成 既習の知識 技能を活かした授業づくりを通して を受け, まず, 三角定規や分度器を使ってかくことができる力を活かして垂直 平行な二直線をかくことができるようにさせたい そのために, チャレンジタイムや算数タイムを活用して繰り返し分度器やコンパスを使ってかかせる活動を行う さらに, かく活動でのスキルを活かして, 四角形の性質や対角線の交わり方を見いだすための算数的活動を確実に行うことができるようにする 単元の目標及び評価規準 (1) 単元の目標 身の回りから垂直 平行の関係にある直線や台形, 平行四辺形, ひし形の形を進んで見いだしたり調べたりしようとする ( 算数への関心 意欲 態度 ) 直線の位置関係に着目して垂直 平行の関係にあることや台形, 平行四辺形, ひし形の特徴を考えることができる ( 数学的な考え方 ) 垂直 平行の関係にある直線や台形, 平行四辺形, ひし形をかくことができる ( 数量や図形についての技能 ) 垂直 平行の意味や台形, 平行四辺形, ひし形の性質を理解する ( 数量や図形についての知識 理解 ) (2) 単元の評価規準算数への関心 意欲 態度 身の回りから, 垂直 平行の関係にある直線や台形, 平行四辺形, ひし形を見付けようとしている 平行四辺形, 台形, ひし形で平面を敷き詰める活動を楽しみ, できる模様の美しさや平面の広がりに気付いている 数学的な考え方 二直線について, 垂直や平行という位置関係があることを見いだしている 四角形 ( 台形, 平行四辺形, ひし形 ) について, その違いに気付き分類し, 分類した四角形の特徴を見いだしている 数量や図形についての技能 垂直な二直線や平行な二直線をかくことができる 平行四辺形, 台形, ひし形をかくことがでる 数量や図形についての知識 理解 直線の平行や垂直の関係や, 台形, 平行四辺形, ひし形の性質について理解している 指導と評価の計画 ( 全 14 時間 ) 次 一 二 学習内容 絵地図から, 二直線の交わり方を調べ, 垂直と平行の意味を理解する (2) 平行な二直線間の性質について調べる (1) 一組の三角定規を使って, 垂直 平行な直線をかく (1) 評 価 関考技知 評価規準 評価方法 直線の平行や垂直の関係について 発言 理解している ノート 平行な二直線の間の距離 ( 幅 ) は, 発言一定であることを理解している ノート 三角定規を使って, 垂直な二直線観察や平行な二直線をかくことがでノートきる
三 方眼紙上で,2つの直線の垂直や平行な関係を見いだしたりかいたりする (1) いろいろな方法で, 垂直 平行な直線をかき, 身の回りにある垂直や平行な関係にある直線を見付ける 算数タイム ( スキル ) (1) 三角形や長方形を重ねて色々な四角形をつくり, 辺の平行に着目して仲間分けをする 台形, 平行四辺形を知る (1) 対辺相等, 対角相等を調べ, 平行四辺形の性質をまとめる (1) 平行四辺形のかき方を考え, 作図する (1) ひし形の定義と用語を知り, その性質を調べたり, 身の回りから形を見付けたりする (1) 対角線の定義と用語を知り, 対角線の交わり方を調べる (1) 四角形の対角線による合成や分解をもとに, 四角形について説明する (1) 本時 形も大きさも同じ平行四辺形や台形, ひし形などを敷き詰める (1) 正方形の紙を指定された形に切り, それを使って, 色々な四角形を作る 算数タイム ( 発展 )(1) 方眼紙上で, 二直線について垂直や平行な位置関係を見いだしている いろいろな場合の垂直な二直線や平行な二直線をかくことができる 身の回りにある垂直や平行な関係にある直線を見付けようとして いる 台形, 平行四辺形について, その違いに気付き分類し, 分類した四角形の特徴を見いだしている 台形, 平行四辺形の意味を理解している 発言観察ノート観察ノート 発言観察ノート 平行四辺形の性質を理解してい発言る ノート 平行四辺形をかくことができる 発言ノート ひし形の意味や性質について理解発言している ノート 身の回りから, 台形, 平行四辺形, ひし形を見付けようとしている 平行四辺形やひし形の対角線の特徴を理解している 四角形の対角線の交わり方を理解し, それを使って説明することができる 平行四辺形, 台形, ひし形で平面を敷き詰める活動を楽しみ, できる模様の美しさや平面の広がりに気付いている 四角形から 4 つの四角形への変形を考えている 発言ノート発言ノート 発言ノート 発言ノート 本時の学習 (1) 本時の目標 四角形の対角線による合成や分解をもとに平行四辺形やひし形の概念や図形の見方の理解を深める (2) 既習の知識 技能 四角形の対角線の交わり方の理解 (3) 本時の学習展開指導上の留意点 (), ( 努力を要する 状況と判断される児童への手立て ), 学習活動 (* 肯定的評価 ) T1 T2 1 形も大きさも同じ三角形を組み合わせて, 四角形をつくる (10 分 ) 四角形をつくる 切り取った形も大きさも同じ2まいの三角形を組み合わせて, 課四角形をつくりましょう 題 把 握 形も大きさも同じとは, 何が同じことなのかを確認し, 同じもの ( 辺や角 ) に色分けして印をつける 三角形は, 裏返してもよいことを伝える 重ねさせて同じであることを確認し, 印の入っているものを提示する 同じ長さの辺を重ねれば四角形になることを確認する 具体の評価規準 ( 評価方法 )
できた四角形を発表し合う 2 学習課題を把握する (3 分 ) 個人思考 平行四辺形を弁別する 四角形の対角線の交わり方を使って, いろいろな四角形を説明することができる 学習コーナーを振り返らせ, 平行四辺形の対角線の特徴を振り返り, 見通しをもたせる 3 平行四辺形になる理由を見付ける (7 分 ) 平行四辺形だと思う図形を選 ( 平行四辺形 ) び, その理由を見 対角線の長付ける さが等しくない 2 本の対角線が真ん中で交わっている 対角線の交わり方が垂直ではない ( 平行四辺形ではない ) 対角線の長さは等しくないが,2 本の対角線が真ん中で交わっていない 対角線の長さは等しくないが, 対角線の交わり方が垂直になっている 四角形の対角線の交わり方を使って, 説明している ( ワークシート ノート ) 集団思考まとめ 振り返り * 対角線やその長さ, 交わる場所, 交わり方などについて調べて分かったことを図の中に書き込みながら, 平行四辺形であることを説明しようとしていることに対して, 肯定的評価を行う 4 平行四辺形だといえる根拠を出し合い, 説明する (13 分 ) 平行四辺形に選 1つの観点でしか比べていんだ図形について, ないものから発表させ, 長方その理由を話し合形やひし形と比べながら考う えさせ,3つの観点が必要な 説明の手順を用意し, 対角線の特徴を当てはめて考えさせる * 時間いっぱい取り組んでいる姿勢について, 肯定的評価を行う 説明が足りないところを児童の立場で質問したり, 補足したりする ことを理解させる 5 まとめ 振り返りをする (12 分 ) まとめる 対角線の長さ, 交わる場所, 交わり方の3つを調べれば, 説明することができる ひし形の対角線の交わり方を使って, 問題を解く 算数日記を書き, 本時の学習を振り返る ひし形を対角線で切ったときにできる三角形の名前を書きましょう 早くできた児童には, 長方形の問題にも取り組ませる 対角線の交わり方を使うことができたかどうかと, 友達の説明のよさなどについて, 振り返りをさせる 何を調べて説明したらよいのか, ヒントを与える 机間指導をし, ノートを確認する 四角形の対角線の交わり方を使って, 説明している ( ワークシート ノート )