2018 年 3 月 17 日 ( 土 )SEA 共催セミナー @ 大阪上流工程強化セミナー in 大阪 ~ システム再構築を成功に導くために ~ 講演 3 システム再構築の課題に対する企業の対応事例 ~ 再構築プロジェクトだからこそ知っておきたい 上流工程におけるコミュニケーションのツボ ~ SEA 共催セミナー @ 大阪 2018 年 3 月 17 日 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) 技術本部ソフトウェア高信頼化センター (SEC) IPA/SEC 研究員山本英明
目次 1. 会社概要 2. はじめに ( アブストラクト ) 3. 事例紹介 1( 比較表作成システム再構築 ) 4. 事例紹介 2( 契約事務基幹系システム再構築 ) 5. 事例紹介 3( 経理システム再構築 ) 6. 事例紹介 4( 事故対応システム再構築 ) 2
1. 会社概要 東京海上日動システムズ ( 株 ) 東京海上グループの IT 戦略を担うシステム会社東京海上グループ情報システムの企画 提案 設計 開発 保守 運用 システム活用支援 設立 1983 年 9 月 2004 年 10 月東京海上火災 日動火災 システムグループ3 社が合併して東京海上日動システムズ ( 株 ) が発足 社員数 1,362 名平均年齢 38 歳 (2016 年 4 月現在 ) 3
2. はじめに ( アブストラクト ) 本日の事例紹介のポイント プロジェクトにおいて コミュニケーションが大切なこと そして 上手に取ることが難しいことを誰もが知っています 特に上流工程におけるコミュニケーションは そのプロジェクトの行方を左右する 1 つの重要な要素となります 例えば コミュニケーション不足から 発生した課題の解決方針を確定できず 課題に対しての判断が遅れることにより スケジュール遅延 コスト超過 品質低下などのリスク発生確率が高まる恐れがあります 本講演では プロジェクトに関わるステークホルダ間での意思決定プロセスを明確化し 課題レベルに応じて責任者が適切に対応を判断できる体制を整えることで リスク軽減を図ったシステム再構築事例をご紹介します また 合わせて押さえておきたいコミュニケーションのツボ ( キーワードや場等 ) をお伝えします 4
3. 事例紹介 1 比較表作成システム 再構築 P6~P8 は 投影のみ 5
4. 事例紹介 2 契約事務 基幹系システム再構築 9
4. 事例紹介 2( 契約事務基幹系システム再構築 ) < システム概要 > UNIX サーバ上に構築されたオンラインシステム < プロジェクト概要 > WEB サーバのハードウェア保守切れに伴うリプレース サーバ集約を行い 運用コスト ロードを削減 基本的には単純移行のため 基盤担当主体で対応 Java バージョンアップに伴う非互換対応 OS 変更に伴う文字コード変換対応 非互換対応 文字コード変換対応 10
4. 事例紹介 2( 契約事務基幹系システム再構築 ) < 発生した問題 ( システムテストフェーズ )> 非互換対応の洗出し漏れがあり 動かないアプリケーションが複数発生 文字コード変換対応漏れがあり 文字化け多発!! 変換作業のやり直し & 要員を大幅に増員しての全画面再検証 非互換対応漏れ 文字化け多発 非互換対応 文字コード変換対応 11
4. 事例紹介 2( 契約事務基幹系システム再構築 ) < ポイント > 必ずしも ドキュメントがすべてではない ( 当システム構築当初のアプリ設計ガイド ) アプリ開発者と より具体的な内容 で会話をしておければ防げた可能性がある ( リプレースに伴う変更点だけではなく 調査範囲や方法を具体的に説明する場を設ける等 ) 非互換対応 文字コード変換対応 12
5. 事例紹介 3 経理システム再構築 P16~P19 P21 P22 は 投影のみ 13
5. 事例紹介 3( 経理システム再構築 ) < システム概要 > メインフレーム上に構築された経理システム < プロジェクト概要 > 老朽化対策ならびに四半期決算や国際財務報告基準 (IFRS) 等の環境変化へ柔軟に対応したい ERP パッケージ導入 BPR( ) を行わない ( 本番稼働優先 ) 要求実現可否を分析するフィージビリティ期間を確保 BPR:Business Process Re-engineering 老朽化 柔軟性の確保 14
5. 事例紹介 3( 経理システム再構築 ) < ポイント > ユーザ部門 IT 部門 ベンダーの 3 者の部門長によるステアリングコミッティを設置し 関係者へ周知 プロジェクト進捗報告ならびに 大きな課題等を論議し その場で方向性を確定 ステアリングコミッティ 参加者ユーザ部門部長 IT 部門部長 PM PMO ベンダー営業責任者 統括責任者 PM PMO 15
5. 事例紹介 3( 対応方針の決定 ) 重要事項 重要方針に係る意思決定 承認 2. 最新バージョン採用のメリット デメリット ( リスク ) 1. メリット 監査ログが標準機能で取得可能となり ログレベルも指定可能 追加開発の開発工数だけでなく テスト工数の削減効果も大きい 2. デメリット ( リスク ) 出荷直後の最新バージョンであり稼働実績がない 3. 伺い ( 意思決定 ) 最新バージョンを採用するメリットが大きく かつリスクも限定的であることから 本プロジェクトでも最新バージョンを採用することとしたい これに伴い 追加開発は (1) 検索処理のみとなる 状況変化にも柔軟に対応しつつ 課題の解決方針の合意形成 20
5. 事例紹介 3( 進捗管理 リスク対策 ) < 遅延タスク及びリスク対策 > タスク名 遅延理由 キャッチアップ策 期限 担当 新事務フロー構築 手順書細部の考慮漏れ 契約部を中心に手順書の確認会議を実施し 不明点の洗い出しと確定を行う 11 月末 契約部 会計 人事データの不整合 会計先と人事情報の不整合 会計部と経理部で確認会議を行い システム機能を制約事項とする前提で 運用フローを検討する 9 月末 会計部 経理部 進捗状況把握はもちろん 事務リスク システムリスクについて課題対策状況と解決責任部門 期限を管理している 23
5. 事例紹介 3( 経理システム再構築 まとめ ) < 実施効果 > 意思決定スピードの向上 組織的な対応力が求められるため プロジェクト推進力が強化 品質確保しつつ 当初計画通りの期限およびコストで本番稼働 好取組み事例として社内情宣ステアリングコミッティの重要性認知度 Up! 24
6. 事例紹介 4 事故対応システム再構築 P28 P29 は 投影のみ 25
6. 事例紹介 4( 事故対応システム再構築 ) < システム概要 > 事故対応サービス ( 事故受付 / 保険金支払 ) を行うオンラインシステム < プロジェクト概要 > 事務フローを含めた抜本的な再構築プロジェクトとして始動 米国社製のパッケージを導入する 老朽化 柔軟性 事務見直し 26
6. 事例紹介 4( エスカレーションルール ) < ポイント > イテレーション開発期間のエスカレーションルール設置 27
6. 事例紹介 4( 事故対応システム まとめ ) < 実施効果 > エスカレーションルールを明確にすることで現場レベルでの問題解決 ( 意思決定 ) スピードが向上 課題を確実に把握し 組織的に解決方針を決定 課題レベルに応じた意思決定プロセスの策定がポイント 30
おわりに 本日は 再構築プロジェクトに関わるステークホルダ間での意思決定プロセス ( ステアリングコミッティ ) の運営事例をご紹介いたしました 皆様の再構築プロジェクトにおいて リスク対策をタイムリーに実施し プロジェクト推進力を高めるための対応として ご参考にして頂ければ幸いです 31
全体のまとめ 目的 対策 再構築手法選択編最適な再構築手法選択現行業務の把握 計画策定編リスク対策を反映したシステム化計画現行業務の理解 リスクの 抽出 リスク対策 の検討 リスク対策 の合意 現行業務の理解をベースに 現行システムを理解し リスク対策を反映した計画を作成し ステークホルダ間で合意 32
ご清聴ありがとうございました SEC BOOKS: システム再構築を成功に導くユーザガイド ~ 再構築のリスクと対策の合意に向けて ~ http://www.ipa.go.jp/sec/publish/tn16-009.html 33