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ウィンドブリック施工要領書 2018 年 7 月

超高層RC造住宅のフルプレキャスト工法およびタワークレーンのフロアクライミング工法による超短工期施工

8 章橋梁補修工 8.1 橋梁地覆補修工 ( 撤去 復旧 ) 8.2 支承取替工 8.3 沓座拡幅工 8.4 桁連結工 8.5 現場溶接鋼桁補強工 8.6 ひび割れ補修工 ( 充てん工法 ) 8.7 ひび割れ補修工 ( 低圧注入工法 ) 8.8 断面修復工 ( 左官工法 ) 8.9 表面被覆工 (


Taro-094 鉄筋施工(H28改正)

屋根ブレース偏心接合の研究開発

建築支保工一部1a計算書

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説明書 ( 耐震性 ) 在来木造一戸建て用 ( 第二面 ) 基礎根入れ深さ深さ ( mm ) 住宅工事仕様書 適 基礎の 立上り部分 高さ ( mm ) 厚さ ( mm ) 基礎伏図 不適 各部寸法底盤の寸法厚さ ( mm ) 幅 ( mm ) 基礎詳細図 基礎の配筋主筋 ( 径 mm ) 矩計図

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もくじ 各 程での打合せ 確認事項 現場の作業 程と本柱脚設置 事のタイミング 1. 事前打合せ 2. 地業 ( 捨てコン打設 ) 3. 墨出し 4. 荷卸し 材料配り 5. アンカーフレーム設置 6. 配筋作業 7. 型枠建込み 8. 通り直し 9. コンクリート打設 10. 仮設材の撤去 11.

出来形管理基準及び規格値 単位 :mm 編章節条枝番工種測定項目規格値測定基準測定箇所摘要 1 共通編 2 土工 3 河川 海岸 砂防土工 2 1 掘削工 法長 ç 基準高 ±50 ç<5m -200 ç 5m 法長 -4% 施工延長 40m( 測点間隔 25m の場合は 50m) につき 1 ヶ所

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2-3. 設計段階の検討事項設計では本建物の条件として, 特に以下に着目した 1 兵庫県南部地震により杭への被災が想定される 2 建物外周地下に液状化対策として地盤改良が行われている 以上の条件で, 免震改修工法の検討を行うにあたり, 比較検証を基本設計で行った. 比較案は, 基礎下免震型 2 案,

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二重床下地 という 参考図参照) として施工する方法がある 二重床下地は 支持脚の高さを一定程度容易に調整することができること また コンクリートスラブと床パネルとの間には給排水管等を配置できる空間があることから 施工が比較的容易なものとなっている 2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及

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Transcription:

PCaPC,PCaRC 造段梁による野球場スタンドの施工 まるがめ - 丸亀市総合運動公園野球場メインスタンド新築工事 - 大阪支店 PC 建築部山内誠司 大阪支店 PC 建築部南淳一郎 大阪支店 PC 建築部市澤聡美 概要 : 丸亀市総合運動公園野球場は, 香川県丸亀市に位置し, 競技場, 体育館, テニスコート等が整備された総合運動公園内に建設された野球場である. およそ 5000 人収容の座席を有するメインスタンドは鉄筋コンクリート ( 以下 RC) 構造で, 柱および桁梁を現場打ち工法, 段梁および段床をプレキャスト ( 以下 PCa) 工法としている. 段梁の一部と段床にはプレストレストコンクリート ( 以下 PC) 構造を採用している. 当社にて行った,PCa 部材の製作および架設工事と PC 工事について報告する. Key Words:PCa 段梁,PCa 段床, 野球場, ディビダーク工法, 固定端定着体 1. はじめに丸亀市は香川県のほぼ中央に位置し, 瀬戸内海に面した人口約 11 万の都市である. 野球場のある丸亀市総合運動公園は, 丸亀市の北西に位置し, 陸上競技場, 体育館, テニスコートなどスポーツ施設が整備された総合運動公園である. 野球場は, 近隣の丸亀城敷地内にある城内グラウンドの老朽化に伴い, 代替施設として計画されたものである. 日本野球連盟の公認野球規則対応で, プロ野球公式戦の実施も可能な規模であり, バックスクリーンには LED フルカラースコアボードが採用されており, 野球のみならず様々なイベント開催に対応できる施設となっている.2015 年 3 月 1 日のプロ野球オープン戦 ( 阪神タイガース対福岡ソフトバンクホークス戦 ) がこけら落としとなり, 無事に供用が開始されたところである. 本工事においては, メインスタンド部分のうち, 現場打ち工法では難易度の高い工事となる段梁と段床を PCa 化している. さらに, 段梁の 5.5m の跳ね出しとなる片持ち部の先端に, 鉄骨屋根を支持する支柱が設けられる. その大荷重に抵抗するため, プレストレスを導入した PC 構造としている. 近年では段梁部分に PCa 部材を採用した事例は少なく, 新たに採用した技術を紹介すると共に, 近年では数少ない施工実績として報告する. 山内誠司南淳一郎市澤聡美 1 / 10

2. 工事概要 2.1 建物概要 建物概要を以下に示す. 全景を写真 -1 に示す. 工事名称 丸亀市総合運動公園野球場メインスタンド新築工事 発 注 者 丸亀市長 新井哲二 所 在 地 香川県丸亀市金倉町 敷地面積 41,686.04m 2 建築面積 6,701.08m 2 延床面積 5,741.96m 2 構造種別 RC 造 ( 一部 PC,S 造 ) 設 計 丸亀市都市整備局住宅課, 株式会社 山下設計 監 理 株式会社 東畑建築事務所 施 工 五洋 三聖特定建設工事共同企業体 P C 施工 株式会社 ピーエス三菱 工事期間 平成 24 年 9 月 ~ 平成 26 年 10 月 (PC 工事 : 平成 25 年 6 月 ~10 月 ( 梁 ), 平成 26 年 2 月 ~5 月 ( 床 )) 収容人数 10,000 人 ( メインスタンド席 3,000 人, 内野席 2,000 人, 外野芝生席 5,000 人 ) 施設規模 中堅 122m, 両翼 100m( 公認野球規則対応 ) 写真 -1 全景 2. 2 構造概要本建物は, レフトスタンド棟, メインスタンド棟, ライトスタンド棟, ピクニックデッキ棟に区分され, それぞれの棟が独立する構造形式となっている. 各棟間はエキパンションジョイントにより接続され,1 棟のスタンドを形成している. 各棟とも,XY 方向ともにラーメン架構である. 各棟とも基礎形式は杭基礎である. レフトスタンド棟の標準スパンは, スパン方向 10.0m+10.5m, 桁行き方向 7.0m となっている. メインスタンド棟は L 字の平面形状をしており, 標準スパンは, スパン方向 7.0m+10.5m+5.5m, 桁行き方向 7.0m となっている. スパン方向 5.5m は片持ち形式となっている.L 字形の折れ曲がり部分は 10 間隔の扇状に通りを配置している. ライトスタンド棟の標準スパンは, スパン方向 5.4m+15.1m, 桁行き方向 7.0m となっている. 2 / 10

技報 第 13 号 2015 年 ピクニックデッキ棟の平面形状は扇状となっており 7 間隔で通り芯配置されている 標準スパンは ス パン方向 6.8m 15.1m 桁行き方向 6.0m となっている 各棟とも基礎構造 柱及び桁梁 一部の通り D 通り を除く柱梁接合部は現場打ち在来工法となってい る メインスタンド メインスタンド棟 バックネットスタンド R1 R2 L1 L2 R 3 L3 L4 ス 塁 ド 1 L6 R7 ン R6 タ タ ス ン L5 塁 R 5 3 ド R4 L7 ン ト ラ 棟 イ L10 ド R10 ン ス タ タ L9 ス R9 ト ド フ 棟 L8 レ R8 R11 L11 R12 L12 R1 3' R13 E ッ ク デ R1 5 ッ キ 棟 R1 4 L13 ピ ク R1 6 ニ D R17 C B R 18 A D B ' A' 図-2 平面図 2. 3 工事工程 現場施工工程を図-1 に示す ピクニックデッキ棟の現場打ち PRC 配線 緊張 グラウトを施工した後 メインスタンド棟の施工を行っ た メインスタンド棟の段梁架設はレフトスタンド側からの施工順序とし 緊張 グラウトについても順次 行った 床版については 桁梁など在来工法部分を施工した後に架設となるため PCa 段梁の施工から約 4 ヶ月の期間を空けての施工となった 2012年 11 全体 準備工 12 2013年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 杭工事 12 2 屋根工事 レフトスタンド 3塁スタンド バックネット スタンド 1塁スタンド ライトスタンド ピクニックデッキ 3 防水 Pca段梁 架設 緊張 グラウト Pca段梁 架設 緊張 グラウト Pca段梁 架設 緊張 グラウト 4 5 フェンス 6 7 客席取付 内装工事 上段PCa段床架設 下 段 Pca 段 床 版 架 設 Pca段梁 架設 緊張 グラウト Pca段梁 架設 緊張 グラウト 中 段 Pca 段 床 版 架 設 内装工事 上段PCa段床架設 内装工事 上段PCa段床架設 内装工事 現場打ちPC工事 外野スタンド 2014年 1 基礎 工事 スコアボード 図-1 全体工程 3 / 10 内装工事 8 9 清掃 10 検査

3.PCa 部材 3.1 PCa 部材概要 本建物に採用された PCa 部材一覧を表 -1 に示す. 表 -1 PCa 部材一覧 部材数量 (p) 最大長さ (m) 最大重量 (t) 総重量 (t) PCaPC 梁 49 10.55 25.4 985.1 PCaRC 段梁 28 7.98 15.5 305.0 段床版 500 7.56 7.1 1180.8 ステップ版 571 1.95 0.4 123.4 3.2 部材製作 PCa 部材は, ピー エス コンクリート ( 株 ) 水島工場, オリエンタル白石 ( 株 ) 滋賀工場,( 株 ) 建研 水口工場, 北岡プレコン ( 株 ) の4 工場で製作した. 各工場の製作分担を表 -2 に示す. 表 -2 各工場の製作部材 所在地 製作部材 PSC 水島 岡山県 PCaPC 段梁, 段床版 ORS 滋賀 滋賀県 PCaPC 段梁 建研水口 滋賀県 PCaRC 段梁, 段床版 北岡プレコン 徳島県 ステップ版 3.2.1 段梁の製作段梁は, 柱梁接合部は水平目地であるのに対し, 梁部分は傾斜が付いているため, 製品を架設する方向のまま型枠を組もうとすると, 型枠を上げ底にする必要がある. 型枠底版を上げると型枠コストが上がるのと作業性が悪くなるため, これらを考慮して 90 寝かせる形で型枠を組み, コンクリートを打設することとした. 脱型後, 反転機を使用して建て起こしし, 仮置きすることとした. 型枠設置状況を写真 -2, 建て起こしに使用した反転機を写真 -3, 製品の養生状況を写真 -4 に示す. 写真 -2 型枠設置状況写真 -3 反転機 4 / 10

写真 -4 養生状況 段梁の階段状になる部分の入隅部分, 特に打設面側には, ひび割れが発生することが予想された. これは, 主筋との納まりの都合により, 増し打ち補強筋が内側へ配置することとなってしまい, かぶり厚が大きくなり, 乾燥収縮の影響で発生すると考えられる. また, 底版面側は自重自体でコンクリートが密に締められるのに対し, 打設面側はコテ押さえとなるため, 打設面側にのみひび割れが発生する. 対策として打設面には, 初期ひび割れ低減材である太平洋マテリアル ( 株 ) 製のガラス製繊維ネット ハイパーネット 60 を配置することとした. この対策により, 本製品の該当箇所へのひび割れの発生を抑制することができた. 写真 -5 にハイパーネット 60 を示す. 写真 -5 ハイパーネット 60 3.2.2 段床版製作 段床版製作は, 架設時底面となる側を打設面として上下反転させて, 平打ちで製作をおこなった. コンクリート打設状況を写真 -6, 工場内仮置き状況を写真 -7 に示す. 写真 -6 段床版製作状況写真 -7 工場内仮置き状況 5 / 10

4. 架設計画段梁の架設は, 野球場外周部の敷地がレフトスタンド, 及びライトスタンドに向かい次第に狭くなり, クレーンを旋回させるスペースに制限がある事とプレキャスト部材重量から揚重機の能力を計画し,200t クローラークレーンで主ブームのみの仕様とした. クレーン設置場所は地盤補強が必要な為, 設置場所を限定しクレーンの移動回数をできるだけ少なくなるように工区割を検討した結果, メインスタンド全体をレフトスタンド, ライトスタンド, また, 一塁スタンドからバックスタンド, および三塁スタンドまでを 6 分割した計 8 工区割とし, レフトスタンドからライトスタンドに向かって PC 工事を行った. 重機計画図を図 -3 に示す. 図 -3 重機計画図 段梁は, 下段 RC 段梁, 中段 上段 PC 段梁を基本として構成されている. 中段と上段 PC 段梁を圧着する構造となる. 下段 RC 段梁と中段 PC 段梁とのパネルゾーンでの主筋の納まりが写真 -8 に示すように複雑で,PC 段梁の圧着作業が困難な為, 中段 PC 段梁と上段 PC 段梁の架設 圧着作業を完了させた後に, 下段の RC 段梁を架設する手順とした. 中段 PC 段梁の架設状況を写真 -9 に示す. 段梁の施工順序を図 -4 に示す. 写真 -8 パネルゾーン納まり写真 -9 中段 PC 段梁支保工 6 / 10

作業足場 PCaPC 梁 PC ケーブル 作業足場 作業足場 梁目地 段梁主筋 PCaPC 梁 PCケーブル入線時 緊張時の作業足場 作業足場 PCaRC 梁 作業足場 5,400 3,000 7,000 10,500 5,500 A B C D E A 3,000 7,000 10,500 5,500 B C D E A 3,000 7,000 10,500 5,500 B C D E 図 -4 段梁施工順序 パネルゾーンの柱主筋, 及び梁主筋の取合から, スタンドの傾斜角度に合わせて真上から吊り下ろす必要 がある. 運搬は写真 -10 に示すような形で行われてくるため, 荷取り時に電動チェーンブロックを使用して 傾斜角度を調整し架設を行った. 架設状況を写真 -11 に示す. 写真 -10 搬入状況写真 -11 架設状況 段床版の架設は,PC 段梁工事完了後に在来 RC 部分の施工をメインスタンド全体で下段, 中段, 上段の 3 工区に分けて行い, 在来工事の進捗に合わせて, 順次段床版の架設を行った. 架設範囲の計画は, スタンド内部への進入路巾により揚重機が 50tラフタークレーンまでしか進入できない為, 下段は揚重機の能力に合わせた施工範囲とした. また, 上段施工時は, 外周部に 50tラフタークレーンまでしか設置出来ない為, 同様に上段の施工範囲を計画した. 残りの中段部分については, 外周側より 200tトラッククレーンを使用して床版敷設を行った. 5. 各部納まり 5.1 柱梁接合部柱梁接合部は,PCa 化した部分と現場打ちにした部分が混在している. 図 -4 で青色に示す D 通り上の範囲の柱梁接合部は,PCa 化した部分となっている. その他の赤色に示す接合部は,PCa 段梁を架設した後, 現場打ちコンクリートによって施工した部分となっている. 2FL 2FL 1FL(GL) 1FL(GL) 1FL(GL) 1FL(GL) A B B' C D A B C D E 図 -4 パネルゾーンの区別 7 / 10

5.1.1 PCa 柱梁接合部桁梁主筋はねじ式機械式継手を PCa 部材側に予め埋め込んでおき, 架設後鉄筋を取り付ける事で桁梁と接合した. 柱主筋は,PCa 部材側にスリーブ式機械式継手を埋め込み, 現場打ち柱の柱頭から所定長さ立ち上げた柱主筋にスリーブを差し込み, スリーブ管内にグラウトを充填することで現場打ち柱と接合した.PCa 部材架設後の柱梁接合部を写真 -12 に示す. 5.1.2 現場打ち柱梁接合部現場打ち柱梁接合部は, 現場打ち柱を段梁下端で打ち止めて,PCa 段梁を架設した後, 桁梁の主筋および柱梁接合部の帯筋を配筋し, コンクリートを打設して一体としている.PCa 段梁は, スタンド上段側部材と下段側部材からそれぞれ主筋が部材面から出ている状態であるため, 架設時に互いの鉄筋が干渉しないように水平方向にずらして配筋している. また, 柱頭部となるため, 柱主筋の端部折り曲げ定着や, 階段部分となる箇所には増し打ち補強筋の配置などが必要であり, 通常の柱梁接合部以上に鉄筋の配筋本数が多くなっている. 架設時の作業性を考慮しながら配筋位置を調整し部材図を作成したが, 柱主筋および PCa 段梁主筋については, 高い精度が要求されることとなった.PCa 部材架設後の柱梁接合部を写真 -13 に示す. 写真 -12 PCa 柱梁接合部写真 -13 現場打ち柱梁接合部 5.2 片持ち梁先端部メインスタンド部分の最上段にある片持ち梁先端部分は, 現場打ちとなっている. 片持ち梁主筋は,PCa 部材面にねじ式機械式継手を打ち込む形状とした. 緊張前に差し筋等が配筋されていると, 緊張ジャッキと干渉し作業が行えないため, 緊張およびグラウト注入作業が完了した後に主筋を接合することとした. 片持ち梁先端の緊張作業状況を写真 -14 に示す. 写真 -14 片持ち梁先端緊張状況 8 / 10

5.3 小梁取合部小梁接合部は,PCa 部材制作時のベッド面側は, ねじ式機械式継手とし, 打設面側は差し筋とした. 当初は, 両側共ねじ式機械式継手により接合する事にしていたが, 材料コスト抑制のため打設面側を差し筋へ変更した. ベッド面側も差し筋にすると, 差し筋の長さ以上に型枠底面を持ち上げる必要があることや運搬時に積載可能寸法を超えてしまうことから, ベッド面側は機械式継手を使用した. メインスタンド棟の扇状部分は, 桁梁の主筋もスタンド形状に合わせて折り曲げる必要がある.PCa 部材製作上は, 型枠面に鉛直に取り付ける事を基本としているため, 角度を付けようと思うと PCa 梁に接続した桁梁主筋を現場にて曲げ加工する必要があった. しかし, 鉄筋径も大きく, 作業スペースも狭いため, 足場上での曲げ加工は困難であった. そのため,PCa 部材内部で予め鉄筋を折り曲げておき,PCa 製品から角度をつけて斜めに引き出す形で配筋することとなった. それにより, 型枠面に対して鉛直でなくなるため, 機械式継手等の型枠固定方法を工夫する必要があった. 小梁断面サイズや主筋のサイズや本数はいくつかの種類があるため, 数種類の配筋パターンに対して, 鉄筋取り付け部分のみを取り替え可能な型枠とした. 通常であれば, 座堀型枠にテーパーを付けるところであるが, 今回は PCa 部材のコンクリート設計基準強度 Fc=60N/mm 2 に対して, 桁梁は Fc=30N/mm 2 であったため,PCa 部材側を切り欠かずにテーパー分だけ製品面から突出させる形状とした. 製品出来型を写真 -15 に示す. 写真 -15 メインスタンド棟機械式継手埋め込み状況 5.4 固定端定着体メインスタンド棟の PC ケーブル配線を図 -5 に示す. 運搬前に工場で緊張する 1 次緊張ケーブルを赤色, 現場にて架設後に緊張する 2 次緊張ケーブルを青色で示す. C D E 2FL 図 -5 メインスタンド棟 PC ケーブル配線 D 通り端は, 鉄骨屋根を受ける片持ち梁の基端となり大きな応力が発生することから, 梁せいも大きく,1 次緊張と 2 次緊張合わせて 8 ケーブルが配線されている. それに対して,E 通り端は片持ち梁先端となるた 9 / 10

め応力は小さく, 梁せいを絞っているため, 基端と同じだけの PC ケーブルを配線することができず, また同量のケーブルは不必要となる. ディビダーク工法の C-MA 定着体は他の定着体に比べてコンパクトな納まりが可能であるが, これまでは固定端定着体がなかった. そのため, この部材のように, 基端に集中して必要となるような場合は, 片持ち梁先端側で, 梁天端などからケーブル抜き出すしか方法が無かった. この抜き出す方法では, 定着体周りに大きな切り欠きが必要となり, 主筋との干渉も出てくるため, 納まりも複雑になっていた. しかし今回, 固定端定着体が新たに C-MA 定着体で開発されたことにより, 梁内部でケーブルを納めることが可能となった. 1 次緊張ケーブルに採用し, 基端側から必要な部分にのみ配線が可能となった. 固定端定着体の打設前配線状況を写真 -16 に示す. 写真 -16 ディビダーク工法固定端定着体 6. まとめ本野球場のように, 梁形状が複雑になる部材を現場打ちコンクリートで施工しようとすると, 作業が複雑になり, 手間もかかることになる. しかし, 本工事では PCa 工法を採用したことにより, 品質を確保でき, かつ工程も計画通りに安定して進めることができた. 本工事は, 東日本大震災の復興需要による鉄筋 型枠工の不足時期との重なりもあり, 安定して工程を進められる PCa 工法の採用は, 大いに効果を発揮できた. 段梁のように部材断面が大きくスパンも広く,1 部材のボリュームが大きくなうような部材を PCa 化する場合, 運搬上の制約が大きなポイントとなる. 部材を分割する必要も出てくるが, 部材の分割位置については熟慮の必要がある. 部材の製作性, 施工性の何れも考慮して決定する必要がある. 本物件においては, メインスタンドの片持ち梁の梁底面部分に雨樋を隠すような突起を付ける要望が施工時にあったが, 既に構造断面のみで運搬可能な積載重量の上限となっていたため, 対応できなかった. 設計段階であらかじめ調整しておくことはもちろんであるが, 施工段階での状況に合わせて対応できるよう, ある程度の余裕は残しておくことも必要と感じた. 柱梁接合部を現場打ちとする場合,PCa 製品と同じく現場打ち部分の施工精度も要求されるため, 元請けとの打ち合わせを綿密に行い, ポイントとなる部分を相互に理解して進めることが重要である. 本工事においては, 難しい納まりであったものの, 特に問題となる事象もなく, スムーズに施工を進められ無事に工事を完了することができた. 謝辞本工事においては, 丸亀市都市整備局住宅課,( 株 ) 山下設計,( 株 ) 東畑建築事務所, 五洋 三聖特定建設工事共同企業体の皆様には御指導 御協力頂き, 無事に工事を完了することができました. これら関係各位の皆様に, 心よりお礼申し上げます. 10 / 10