2 これまでの木造住宅密集市街地対策の課題 (1) 対象地域の拡大 ( 資料 3を参照 ) 防災上課題があるとして指定している いえ みちまち改善事業 対象地域以外でも火災による被害が大きく想定される地域が広く存在しています (2) 火災延焼に係る甚大な被害火災による焼失棟数 死者がこれまでの想定に

Similar documents
報告書_表紙.indd

第 3 号様式 ( 第 3 条関係 ) 不燃化推進特定整備地区整備プログラム 品川区 豊町 丁目 二葉 3 4 丁目及び西大井 6 丁目地区 平成 25 年 11 月第 1 回変更認定平成 27 年 10 月第 2 回変更認定平成 29 年 3 月 品川区

<4D F736F F D2081A196A78F578E738A58926E8DC490B695FB906A B95D2816A2E646F63>

id5-通信局.indd

第18期火災予防審議会地震対策部会

世田谷区

1 整備目標 方針 地区名大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目地区位置東京都品川区大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目の全域地区の現況 課題 現状 当地区は 品川区の南に位置しており 北側に滝王子通り 東側に補助 28 号線 ( 池上通り ) 西側にJR 東海道新幹線及びJR 横須賀線 南側に大田区

PowerPoint プレゼンテーション

(3) 東京都が掲げている目標を確実に達成するには 延焼遮断帯の形成やその主要な要素である特定整備路線の整備 老朽木造建築物の除去等の施策をより強制力をもって展開することが必要であり 一定の私権の制限もやむを得ないと考える その際 移転や住替えを余儀なくされる住民へ移転先をしっかりと確保するなど き

横 浜 市 地 震 防 災 戦 略

Microsoft Word - 02.H28秋 重点提言本文【合本】1110.doc

都市防火研究と災害調査

(100817)

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

基本方針

1 整備目標 方針 地名 位置 地の現況 課題 羽田二 三 六丁目地 ( 大田 ) 東京都大田羽田二丁目 三丁目 六丁目 現状 独立住宅を中心に 集合住宅や併用住宅も含めた住居系の土地利用がほとんどを占めている 幅員 4m 未満の道路が大半を占めており 幅員 2.7m 未満の道路も多くなっている ま

葛飾区

病院等における耐震診断 耐震整備の補助事業 (1) 医療施設運営費等 ( 医療施設耐震化促進事業平成 30 年度予算 13,067 千円 ) 医療施設耐震化促進事業 ( 平成 18 年度 ~) 医療施設の耐震化を促進するため 救命救急センター 病院群輪番制病院 小児救急医療拠点病院等の救急医療等を担

序章 計画改定の背景 足立区では 昭和 57 年 3 月に 大地震による火災から区民の生命と財産を守る た め 足立区防災まちづくり基本計画 を策定し この計画に基づき各種事業を展開し てきました その後 平成 7 年 1 月 17 日に発生した阪神 淡路大震災では 密集市街地に被害が 集中し 改め

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

不燃化推進特定整備地区整備プログラム/北区/志茂地区

江東区

三鷹市耐震改修促進計画(改定素案)

<323091E693F18FCD208E96914F959C8BBB82CC8EE F DF82E98FE382C582CC8AEE967B934982C88D6C82A695FB2D322E786477>

スライド 1

1 整備目標 方針 地区名 大森中地区 ( 西糀谷 東蒲田 大森中 ) 西糀谷一丁目 西糀谷四丁目 北糀谷二丁目 東蒲田二丁目の全域位置大森中二丁目 大森中三丁目 西糀谷二丁目 西糀谷三丁目 東蒲田一丁目 南蒲田一丁目の各一部地区の現況 課題 現況 当地区の幹線道路沿いは商業 業務施設及び中高層の集

2 計画 ( 素案 ) からの主な変更点 1 はじめに頁主な変更点 1 これまでの経緯に 不燃化特区補助制度の指定 地区計画と都市防災不燃化促進事業の導入についての記載を追加 また 大和町中央通り沿道地区は 平成 26 年に不燃化特区補助制度 ( 平成 32 年度まで ) の対象区域に指定されるとと

<4D F736F F D208EA98EE596688DD DD A8890AB89BB837D836A B2E646F63>

板橋区

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

<4D F736F F D2091E682528CB48D6581A A1917A92E882B782E9926E906B814592C A E646F63>

<303195F18D908E9197BF2E786C73>

PowerPoint プレゼンテーション

都市計画変更素案に関する説明会 建築規制の変更に関する説明会 特定整備路線補助 29 号線 井 東 込区間 (JR 横須賀線 区界 ) 沿道 日時 : 平成 29 年 8 3 ( ) 場所 : 品川区 伊藤 学校 前方右側に手話通訳者を配置しております 必要な方はお近くの席にお移り願います 1 本日

防災まちづくりの具体的な方向性を示す 方針 は 防災まちづくりに関するキーワードごとに 以下の12 項目にまとめました 防災まちづくりの方針 防災( 安全 安心 ) 地域コミュニティ ひと 1 多様な世代の交流や地域活動への参加が 防災 減災活動を支えるまち ( 自助 共助の話し合いが活発に行われて

第11回市民講座の準備について

大阪市防災 減災条例 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章本市の責務 ( 第 4 条 - 第 7 条 ) 第 3 章市民の責務 ( 第 8 条 ) 第 4 章事業者の責務 ( 第 9 条 ) 第 5 章災害予防 応急対策 ( 第 10 条 - 第 25 条 ) 第 6

⑴ 政策目的 市街地再開発事業の推進により 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るとともに コンパクトシティの推進及び密集市街地の解消を図る 新設 拡充又は延長を必要とする理由 ⑵ 施策の必要性 以下の施策の推進のため 本措置の延長により 民間事業者による早期かつ着実な保留床の取得を促

PowerPoint プレゼンテーション

別記様式第4

資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

第3 復興整備計画 参考様式集

目次 方針策定の背景 1-1. 用途地域指定の基本的な考え方 1-2. 住居系 [ 第一種低層住居専用地域 ] [ 第二種低層住居専用地域 ] [ 第一種中高層住居専用地域 ] [ 第二種中高層住居専用地域 ] [ 第一種住居地域 ] [ 第二種住居地域 ] [ 準住居地域 ] [ 田園住居地域 ]

< F2D E968BC681698E968CE3816A817A C8250>

H28秋_24地方税財源

第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画

Microsoft Word - 耐震改修促進計画【概要版】(第2期計画)(H28.3)施行

3 熊野地区 被災 共助 第 3 回ワークショップの議論をもとに わが地区における地震による時系列での と それへの 共助 をまとめました 1 建物倒壊 注 1 の は活動内容を示し は活動準備を示す 老朽木造住宅面的被害木造密集市街地激しい揺れブロック塀 電柱の倒壊建物倒壊家具の転倒ガラスの飛散生

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

(Microsoft Word p55\201`61\201E\221\3464\217\315.doc)

2

豊島区

<4D F736F F D B4C8ED294AD955C8E9197BF E894A8AFA8B7982D191E495978AFA82C982A882AF82E996688DD091D490A882CC8BAD89BB82C982C282A282C4816A48502E646F63>

建築物等震災対策事業について

白紙のページ

News Release 2014 年 3 月 24 日 伊丹市と新関西国際空港株式会社が 伊丹市域におけるまちづくりの推進 について合意 伊丹市と新関西国際空港株式会社は 伊丹市域の生活環境の改善 地域コミュニティの再生等を図るためのまちづくりを連携して推進するため 2014 年 3 月 24 日

Microsoft Word - 09安城中部.docx

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

04 Ⅳ 2(防災).xls

基本目標を実現するための個別目標 57 東日本大震災をはじめ 近年 私たちは多くの自然災害から教訓を得ました 都心南部直下地震の発生も予見されている中 過去の経験から学んだことを生かしていかなければなりません 様々な災害に備えるためには 市民が自らを守る 自助 の取り組

<4D F736F F D A81798AEB8B408AC7979D8AAF2088D38CA994BD89668CE3817A817995CA8E86817A8C8B89CA82CC837C E646F63>

四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

建物の建築の基準についての 都市計画変更 案に関する説明会 大田区東馬込二丁目 ( 補助 29 号線沿道地区 ) 高度地区の変更 防火地域の変更 用途地域の変更 日時 : 平成 30 年 11 月 19 日 ( 月 ) 場所 : 大田区立馬込小学校 大田区 1 本日の説明項目 1 本説明会の主旨 2

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

油漏洩 防油堤内 にて火災発生 9:17 火災発見 計器室に連絡 ( 発見 者 計器室 ) 発見後 速やかに計 器室に連絡してい る 出火箇所 火災の状況及び負傷者の発生状況等を確実に伝え 所内緊急通報の実施 火災発見の連絡を受 けて速やかに所内 緊急通報を実施し 水利の確保 ( 防災セ ンター 動

墨田区

不燃化推進特定整備地区整備プログラム【渋谷区】(本町二~六丁目地区)

スライド 1

<4D F736F F D20967B95B681698DC58F498D D8E968C888DD A2E646F63>

中央区耐震改修促進計画(資料編)

Taro-全員協議会【高エネ研南】

南海トラフ地震発生時の不安 南海トラフ地震が発生した場合 不安や危険に思うことは何ですか?( は 3 つまで ) 66.7% の人が 自宅の倒壊や損壊 49.2% の人が 家族等の安否やその確認手段 と答えています 自宅の

山県市地域防災計画【 改訂版】

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計


中井町緑の基本計画(概要版)

当面の事業概要 < 平成 25 年度 > 実施設計業務委託 < 平成 26 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 道路改築工事 < 平成 27 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 市道 1504,1505,1507 号線道路改築工事 < 平成 28 年度 > 市道 1504

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

本町二・四・五・六丁目地区の地区計画に関する意見交換会

7 制御不能な二次災害を発生させない 7-1) 市街地での大規模火災の発生 7-2) 海上 臨海部の広域複合災害の発生 7-3) 沿線 沿道の建物倒壊による直接的な被害及び交通麻痺 7-4) ため池 ダム 防災施設 天然ダム等の損壊 機能不全による二次災害の発生 7-5) 有害物質の大規模拡散 流出

<4D F736F F D2091E682558FCD E738CF CC90DD8C E A E322E646F63>

資料‐6

住まい まちづくりの基本目標と基本的施策の展開方向 1. 住まい まちづくりの理念と基本目標 だれもが安心して住み続けたいと感じる魅力ある とだ の住まい まちづくり を政策の基本理念とし これを実現するために次の 3 つを基本目標として総合的な施策を図るものとします 基本目標 -Ⅰ 多様なニーズに

防災業務計画 株式会社ローソン

事例: 大牟田市老朽危険家屋等除却促進事業 中心市街地老朽建築物除却促進事業 事業の目的 市民の安心 安全の確保と住環境の改善及び良好な景観の促進を図ることを目的とする 周辺住環境等を悪化させ放置されている木造若しくは軽量鉄骨造の建築物又事業の概要 はその部分で 大牟田市が定める判定基準を満たしたも

一宮市住宅マスタープラン ~ 住み続けたいまち 住んでみたいまち 人々が生き生きと暮らせるまち ~ 概要版 平成 2 5 年 3 月 一宮市

渋谷区

表1-表4-2


平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

基本事業評価シートA

1.UR 都市機構における再開発共同事業者エントリー制度の概要 1 参考資料 1

目 次 1 基本方針 再開発を促進すべき地区等の整備又は開発の方針... 2 別表再開発促進地区の整備又は計画の概要... 3 都市再開発方針図 ( 総括図 )... 6 都市再開発方針附図

<8ED089EF8E91967B90AE94F5918D8D878CF095748BE0955D89BF88CF88F589EF2E786477>

untitled

東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

「木密地域不燃化10年プロジェクト」不燃化特区制度先行実施地区整備プログラム【墨田区】京島周辺地区

Transcription:

木造住宅密集市街地対策に係る新たな取組 ( 延焼防止策 ) の検討状況 資料 1 1 地震防災戦略の策定等東日本大震災の教訓等を踏まえ 昨年度 本市防災計画を抜本的に見直すとともに 被害想定を軽減するための減災目標とその対策をまとめた 地震防災戦略 を策定しました ( 資料 2 参照 ) 今回の被害想定では 大規模地震等における建物火災において 前回の被害想定とは異なり 延焼する可能性のある範囲をひとつの塊 ( 延焼クラスター ) としてグループ化し 火災の連担性に着目した手法を用いて 被害状況を算出しました その結果 火災による焼失棟数 死者がこれまでの想定に比べ激増したものとなったため 地震防災戦略では 火災による被害の軽減 対策を重点施策のひとつとして位置づけました 被害想定 減災目標 被害想定比 ( 全体 ) 死者数 3,260 人 1,630 人 減 5 割減 全壊焼失 112,000 棟 56,000 棟減 5 割減 建物棟数 避難者数 577,000 人 230,800 人減 4 割減 表 1 地震防災戦略の減災目標 表 2 前回被害想定結果との比較 115

2 これまでの木造住宅密集市街地対策の課題 (1) 対象地域の拡大 ( 資料 3を参照 ) 防災上課題があるとして指定している いえ みちまち改善事業 対象地域以外でも火災による被害が大きく想定される地域が広く存在しています (2) 火災延焼に係る甚大な被害火災による焼失棟数 死者がこれまでの想定に比べ激増したことから 地震防災戦略の目標年次までに減災目標を達成しうる成果を出すためには これまでの木造住宅密集市街地対策の延長だけでは 十分な対応が望めません 事業手法の転換と既存施策の抜本的な見直し 新施策の打ち出しが必要不可欠です そこで 次年度以降の木造住宅密集市街地対策について 庁内 PJを設置し 新たな方策の導入も含めて 検討しています 3 今後の木造住宅密集市街地対策の考え方 ( 案 ) (1) 総論スピードアップの視点から 行政がまちづくりを先導する事業手法を積極的に導入することを前提とし 燃えにくい 燃え広がらない を実現する火災に強い都市空間の形成に資するハード施策で改善を図りながら 出火率の低減や初期消火力の向上等につながる各ソフト施策も同時並行で推進し ハード ソフトの両輪で対応します (2) 対策地域の考え方選択と集中の観点から 被害想定の延焼危険度等を踏まえ 甚大な被害が見込まれる地域に重点化して施策展開します 4 施策メニュー ( 案 ) 延焼クラスターを分断する都市計画道路の早期整備や新たな防火規制の導入等 これまでにない取組も含め 検討を進めています (1) 延焼遮断帯の形成ア延焼クラスターを分断する都市計画道路の早期整備イ既設都市計画道路の沿道不燃化 (2) 延焼速度を遅らせる建築物の不燃化対策を要する地域に対し 新たな防火規制等の規制誘導手法の導入と各種補助メニュー ( 住市総事業 ) を連動させ 老朽建築物の除却 不燃化 ( 建替 ) の促進を図ります 新たな防火規制 : 都市計画で定める防火地域や準防火地域とは異なり 建築基準条例等に基づき 全ての建築物を準耐火建築物以上とする等の規制を掛けること (3) 避難 / 消火迅速化の促進出火率の低下や初期消火力の強化のため 感震ブレーカー ( 一定以上の揺れを感知した場合に電気を自動的に遮断する機具 ) や初期消火箱等の設置推進を図ります 合わせて 狭あい道路の拡幅整備 小広場の整備等も推進します (4) その他専門家派遣の充実など 地域における個別相談機能を強化します 116

横浜市地震防災戦略 平成 25 年 4 月 横浜市 117

1 地震防災戦略の基本的事項 Ⅱ 地震防災戦略の基本的事項 (1) 対象地震地震 : 元禄型関東地震津波 : 慶長型地震 (2) 対象期間平成 25 年度 ~ 平成 34 年度 (10 年間 ) (3) 対策の選定と数値目標の設定想定被害の発生原因を抽出し それぞれの原因に対し減災効果の高い対策を重点的に推進することとします また 対策の着実な進捗を図るため 可能な限り各対策の数値目標を定め 減災効果を求めることとします なお 数値目標の設定や減災効果の試算が困難な対策であっても 一定の効果が見込める対策については 定性的な目標を設定して推進を図ることとします 2 定期的な見直しと推進組織 各施策の進捗状況を踏まえ おおむね3 年ごとに見直しを実施します 見直しにあたっては 戦略推進プロジェクトにおいて年度ごとに目標の達成度を確認し 目標の修正や対策の追加など 必要に応じて修正を加えます また 見直した結果については おおむね3 年ごとに地震防災戦略改訂版を作成し公表します なお 減災目標の着実な進捗を図るため 戦略の進捗管理と追加対策を検討 決定するための戦略推進プロジェクトの基には 特に重点的に推進していく対策について検討する部会を設置します 25 年度以降の地震防災戦略推進体制 ( 表記部会は当初から設置するもの ) 地震防災戦略推進プロジェクト 戦略全体の進捗管理と定期的な見直し 追加対策の決定など 自助 共助推進部会 よこはま地震防災市民憲章 等を活用した自助 共助の推進 被害軽減に向けた新たな対策の検討など 木造住宅密集市街地被害軽減部会 とりわけ被害が大きい同地区の被害軽減のための新たな対策の検討 建築物の建替促進に向けた新たな対策の検討など 118

横浜市地震防災戦略(平成34 年度の目標)3 減災目標と目標を達成するための施策と行動計画 各種対策を実施するなかで 被災数を限りなくゼロに近づけることを目指しますが 10 年後の平成 34 年度における減災目標については 実現可能性などを考慮し 3つの基本目標と9つの目標として定め それぞれの目標達成のための施策及び行動計画を設定します なお 国や県などの地震防災戦略における死者数や避難者数等に関する目標に加え 基礎自治体である本市では 発災時の混乱を抑え 市民の皆様の命を守る ことや 被災者の支援と早期復興を図る ことについても目標として定め 取組を進めていきます 基本目標 Ⅰ 被害を最小限に抑える 目標 1: 死者数 50% 減少 ( 約 3,260 人から約 1,630 人減少 ) 目標 2: 避難者数 40% 減少 ( 約 577,000 人から約 230,800 人減少 ) 目標 3: 建物被害棟数 ( 全壊 焼失 )50% 減少 ( 約 112,000 棟から約 56,000 棟減少 ) 基本目標 Ⅱ 発災時の混乱を抑え 市民の命を守る 目標 1: 帰宅困難者の安全確保 目標 2: 災害対策本部機能の強化と適切な情報発信 目標 3: 医療 緊急時の交通の確保 基本目標 Ⅲ 被災者の支援と早期復興を図る 目標 1: 避難者の安全 安心の確保目標 2: 被災者の早期生活再建支援目標 3: 被災中小企業支援など早期の経済再生 119

4 体系図 ~ 減災目標 施策 行動計画 < 重点施策 > (1) 死者発生の主な原因である建物倒壊及び火災延焼の防止に重点的に取り組みます (2) 被害軽減には自助 共助が欠かせないため 市民及び地域の防災力向上に取り組みます (3) 救急 物資輸送を支える道路ネットワークの構築や 災害時医療体制の強化を図ります (4) 避難生活が長期に亘った東日本大震災の教訓を踏まえ 地域防災拠点の充実 強化を進めます 目標を達成するための施策 網掛けは 重点施策施策 Ⅰ-1 建物倒壊等による被害防止施策 Ⅰ-2 火災による被害の軽減施策 Ⅰ-3 津波による被害防止施策 Ⅰ-4 がけくずれ 液状化対策の推進施策 Ⅰ-5 市民及び地域の防災力向上施策 Ⅰ-6 ライフラインの被害防止施策 Ⅱ-1 帰宅困難者の発生抑制と支援施策 Ⅱ-2 災害対策本部機能の強化施策 Ⅱ-3 市民への適切な情報発信施策 Ⅱ-4 災害時医療体制等の強化施策 Ⅱ-5 緊急輸送路等の整備施策 Ⅲ-1 地域防災拠点の充実 強化施策 Ⅲ-2 ボランティアとの連携強化施策 Ⅲ-3 被災者の早期生活再建支援施策 Ⅲ-4 速やかな経済再生 復興に向けた取組 行動計画 < 行動計画 1> 民間建築物の耐震化 < 行動計画 2> 公共建築物の耐震化 < 行動計画 3> 落下 転倒による負傷の防止 < 行動計画 4> 火災に強い都市空間の形成 < 行動計画 5> 出火防止に向けた取組 < 行動計画 6> 地域の消火能力の向上 < 行動計画 7> 公設消防力の向上 < 行動計画 8> 津波防護施設の整備 改修 < 行動計画 9> 津波襲来時の施設機能の維持 浸水対策 < 行動計画 10> 津波避難 救助対策の実施 < 行動計画 11> がけ地の安全対策の推進 < 行動計画 12> 液状化対策の推進 < 行動計画 13> 市民及び地域の防災力強化に向けた取組 < 行動計画 14> 災害時要援護者避難支援の推進 < 行動計画 15> ライフライン施設の耐震化 < 行動計画 16> 帰宅困難者対策の充実 < 行動計画 17> 外出者の帰宅支援 < 行動計画 18> 災害対策本部機能の強化 < 行動計画 19> 災害対策本部等における情報通信体制の強化 < 行動計画 20> 広報 広聴体制の強化 < 行動計画 21> 医療機関の機能 設備強化 < 行動計画 22> 医薬品等の備蓄及び供給体制の整備 < 行動計画 23> 遺体取扱体制の整備 < 行動計画 24> 緊急輸送路等の整備 < 行動計画 25> 港湾施設の強化等 < 行動計画 26> 地域防災拠点の充実 強化 < 行動計画 27> 燃料や飲料水等の備蓄 確保 < 行動計画 28> ボランティアの育成 支援 < 行動計画 29> 被災者に対する支援の充実 < 行動計画 30> 速やかな経済再生 < 行動計画 31> 事前復興計画の策定 120

Ⅲ 減災目標 施策 行動計画 基本目標 Ⅰ( 減災目標 ): 被害を最小限に抑える 平成 34 年度を目標年次として 死者数 建物被害棟数の 50% 減少と避難者数の 40% 減少に向け 建物の耐震化を着実に進めるとともに 新たな被害想定で増加した火災被害の軽減に向けた取組を拡充します よこはま地震防災市民憲章 に基づき 自助 共助の取組を拡充します 目標 1: 死者数 50% 減少 施策ごとの減災効果 [ 施策 Ⅰ-1] 建物倒壊等による被害防止約 370 人減 [ 施策 Ⅰ-3] 津波による被害防止及び [ 施策 Ⅰ-4] がけくずれ 液状化対策の推進微減 [ 施策 Ⅰ-5] 市民及び地域の防災力向上約 360 人減 [ 施策 Ⅰ-2] 火災による被害の軽減約 900 人減 < 参考 >[ 慶長型地震による津波の死者数約 400 人減 ] 死者数約 1,630 人減少 (50%) 約 3,260 人約 1,630 人 目標 2: 避難者数 40% 減少 施策ごとの減災効果 [ 施策 Ⅰ-1] 建物倒壊等による被害防止約 35,700 人減 [ 施策 Ⅰ-2] 火災による被害の軽減約 76,700 人減 [ 施策 Ⅰ-3] 津波による被害防止及び [ 施策 Ⅰ-4] がけくずれ 液状化対策の推進微減 [ 施策 Ⅰ-5] 市民及び地域の防災力向上約 92,400 人減 [ 施策 Ⅰ-6] ライフラインの被害防止約 26,000 人減 避難者数 約 577,000 人 約 230,800 人減少 (40%) 約 346,200 人 目標 3: 建物被害棟数 ( 全壊 焼失 )50% 減少 施策ごとの減災効果 [ 施策 Ⅰ-1] 建物倒壊等による被害防止約 7,500 棟減 [ 施策 Ⅰ-3] 津波による被害防止 及び [ 施策 Ⅰ-4] がけくずれ 液状化対策の推進微減 [ 施策 Ⅰ-5] 市民及び地域の防災力向上約 4,800 棟減 [ 施策 Ⅰ-2] 火災による被害の軽減約 43,700 棟減 建物被害棟数約 56,000 棟減少 (50%) 約 112,000 棟約 56,000 棟 121

施策 Ⅰ-2 火災による被害の軽減 ( 重点施策 ) 施策方針 平成 24 年 10 月に公表した横浜市地震被害想定において 火災による死者 1548 人 焼失棟数約 77,700 棟と算出されました これを受け 木造住宅密集市街地など地震による火災の延焼被害が大きい地域を中心に ハード対策 ( 建物の不燃化や延焼遮断帯の形成など ) とソフト対策 ( 出火防止対策や初期消火対策など ) の両輪で火災対策を推進します 行動計画 行動計画 4 火災に強い都市空間の形成 いえ みちまち改善事業によって 地域による防災まちづくり活動を支援するとともに 狭あい道路の拡幅整備 広場 公園整備 老朽建築物の建替促進等を実施し 災害に強いまちづくりを引き続き進めます 延焼被害が大きいと想定される地域について 道路 公園事業や市街地開発事業による再整備 防火 消火施策 空き家対策等の実施に向けて 検討を行います 10 年後の目標主な事業 ( 主管する局 ) 新たな木造住宅密集市街地対策の検討 実施 (~ 平成 34 年度 ) 街区公園 近隣公園の整備 (~ 平成 34 年度 ) いえ みちまち改善事業 : 広場等の整備面積 6,400 m2 (~ 平成 25 年度 ) 地域の拠点となる駅周辺の再整備 :8 地区 (~ 平成 34 年度 ) 木造住宅密集市街地等の対策検討調査( 政策局 ) 狭あい道路の重点整備促進( 建築局 ) 身近な公園の整備( 環境創造局 ) いえ みちまち改善事業 ( 都市整備局 ) 地域の拠点となる駅周辺の再整備( 都市整備局 ) など 行動計画 5 出火防止に向けた取組 地震発生時に自動的に個別の住宅への電気供給を遮断する感震ブレーカーや 家具類の転倒防止器具の設置 また防炎製品等への買い替えについて広く普及啓発すると共に 木造住宅密集市街地等への具体的支援を行うことで 出火率を低下させ火災被害の軽減を図ります 10 年後の目標主な事業 ( 主管する局 ) 感震ブレーカーの設置率 :0% 10%(~ 平成 34 年度 ) 家具の固定率 :58% 75%(~ 平成 34 年度 ) 再掲 感震ブレーカーの設置( 総務局 ) 家具転倒防止対策助成事業( 総務局 ) 再掲 震災時出火防止意識啓発事業 ( 消防局 ) など 122

行動計画 6 地域の消火能力の向上 370 件の炎上出火により 約 77,700 棟が焼失する被害を軽減するために 早期に地域住民が初期消火を実施できるよう初期消火器具及び軽可搬式ポンプの設置や 初期消火訓練の実施 風呂水の貯め置きなどの意識啓発を行い 住民の初期消火能力の向上を図ります 10 年後の目標主な事業 ( 主管する局 ) 初期消火箱設置補助 :200 基 (~ 平成 34 年度 ) 初期消火箱設置事業( 消防局 ) 初期消火器具等設置普及事業( 消防局 総務局 ) など 行動計画 7 公設消防力の向上 木造住宅密集地域における延焼火災対策として ミニ消防車を増強し 消防力の強化を図ります 木造住宅密集地域における消火栓使用不能時の対策として 遠距離送水資機材 低水位ストレーナー及び防火水槽を整備します 消防団各班に配備している可搬式小型ポンプを順次更新 整備するとともに ポンプ性能の向上について検討を行います 消防団の消火用資機材を強化整備し 小型ポンプ積載車 1 台あたりの放水能力の向上を図ります 消防団については キャンペーン等の実施により 新入消防団員の募集を推進します また 消防団員に対する震災時の役割や活動に係る教育を充実強化し 消防団員の震災対応能力の向上を図るとともに 地域への防災指導力の強化を図ります 10 年後の目標主な事業 ( 主管する局 ) ミニ消防車が必要な消防署所への配備 (~ 平成 27 年度 ) 遠距離送水用資機材配備 :7 消防署 (~ 平成 28 年度 ) 低水位ストレーナーの配備 : 鶴見水上消防出張所を除く 95 消防署所及び横浜市民防災センターへ各 1 基配備 (~ 平成 28 年度 ) 救助用資機材の配置 : 全ての特別救助隊 (18 隊 )(~ 平成 28 年度 ) 可搬式小型ポンプの整備 :270 台 (~ 平成 34 年度 ) 消火用資機材配備 : 木造密集地域等を受け持つ消防団への消火用資機材の配備 (~ 平成 28 年度 ) 消防団員の定数確保 (~ 平成 34 年度 ) ミニ消防車の増車( 消防局 ) 遠距離送水資機材の整備( 消防局 ) 消防団の資機材整備( 消防局 ) 防火水槽新設整備事業( 消防局 ) 非常用消防自動車の確保( 消防局 ) 消防団員の確保事業( 消防局 ) など 123

124

5. 住宅市街地総合整備事業の区域変更の考え方 木密住宅密集市街地対策に係る新たな取り組みに対応するため住宅市街地総合整備事業の区域 事業内容 事業期間 事業費等を変更します 現在 H26.4~ 重点整備地区種別 事業費 ( 百万円 ) 事業期間 面積 (ha) 重点整備地区整備地区 事業費 ( 百万円 ) 事業期間 面積 (ha) 整備地区 市場西中町地区 6.1 H20-H29 881.00 市場西中町地区変更 H05-H29 2,601.70 鶴見 2 地区 ( 密集型 ) 潮田 小野町地区 148.4 変更 H14-H29 518.00 鶴見小野駅周辺地区 ( 拠点型 ) 浦島町 子安通地区 7.4 H23-H32 1,470.10 浦島町 子安通地区変更 東久保町地区 20.4 H20-H29 3,134.30 東久保町地区変更 西戸部町地区 18.2 H21-H30 2,802.63 西戸部町地区変更 本郷町 3 丁目地区 17.4 H21-H30 1,804.00 本郷町 3 丁目地区 変更 三春台地区 22.7 H23-H32 340.00 三春台地区 変更 唐沢 平楽 八幡町地区 40.23 H16-H25 966.00 唐沢 平楽 八幡町地区 変更 125 滝頭 磯子地区 38.9 H20-H29 1,811.10 滝頭 磯子地区変更市域全域金沢南部地区 47.6 H23-H32 1,469.00 金沢南部地区変更 計 10 地区 中村 5 丁目は今年度終了予定のため除く区域変更 計 20 地区程度 ( 地区含む ) 今後変更予定