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Transcription:

薬の投与経路 : 経口 特殊な技能 器具を必要としない簡便な方法 速効性はない 肝臓で初回通過効果を受ける 消化管で分解される薬や刺激の強い薬は不適 プロドラックや腸溶錠などの工夫が必要 吸収過程でのロス 初回通過効果があるので 生物学的利用率 ( バイオアベイラビリティ ) は 100% ではない 経口投与時 AUC 静注投与時 AUC 100 (P24~25 30 参照 )

経口投与での吸収に影響する要因

薬の投与経路 : 非経口 初回通過効果および胃腸機能 食事の影響を受けない 舌下投与直腸内投与注射投与 口腔粘膜から吸収される薬のみ比較的速効性 日常的に使うには不適影響要因が少なく速効性 技能を要する ( 点滴 ) 静脈内注射 筋肉内注射 皮下注射 皮膚 ( 経皮 ) 投与 吸入 点鼻 局所投与 動脈内注射 脊髄腔内注射 組織内注射 簡便な方法 部位や状態で吸収に差がある習熟しないと効果が一定しない点眼 点耳や膣内投与など (P26~30 参照 )

治療の指標 Cmax : 最高血中濃度 効果の強さの指標 Tmax : 最高血中濃度到達時間 効果発現の早さの指標 t1/2 :( 生物学的 ) 半減期 効果持続の指標 AUC: 血中濃度曲線下面積 吸収量の指標 有効血中濃度 : 最小有効濃度と最小中毒濃度 ( 最大耐薬量 ) の間

分布容積 = 全身クリアランス = 安全性の指標 体内総薬物量薬物血中濃度 薬物消失速度薬物血中濃度 移行 蓄積の指標 排泄の早さの指標 (P37 参照 ) 50% 有効量 (ED50) 投与した動物の 50% に効果が現れる量 50% 致死量 (LD50) 投与した動物の 50% が死亡する量 治療係数 ( 安全係数 )= LD50 ED50 この値が大きいほど安全性が高い 毒薬 劇薬はこの値が小さい (P50 55 参照 ) 毒薬 :20mg/ kg以下の皮下注射で半数以上のマウスが死ぬ薬劇薬 :200mg/kg 以下の皮下注射で半数以上のマウスが死ぬ薬

定常状態 血中濃度が0になる前に反復投与して 一定範囲内に濃度が留まる状態 有効血中濃度の範囲内に留めて効果を持続

点滴の場合 : 消失速度と同じ速さで注入すれば血中濃度は一定になる 点滴注入速度 = 全身クリアランス 目標血中濃度 全身クリアランス経口の場合 : 全身クリアランス 生物学的利用率注入速度 投与量に置き換えて計算投与間隔投与量全身クリアランス = 目標血中濃度投与間隔生物学的利用率 迅速に治療濃度にする場合の初回投与量 分布容積に達する (= 全身に行きわたる ) 薬物量を一気に投与する 負荷投与量 = 目標血中濃度 分布容積 注意 : 緊急時のみ 通常はしない 脂溶性薬は最大耐用量を超える場合がある (P38~39 参照 )

薬物血中濃度モニタリング (TDM) 副作用の強い薬や有効血中濃度幅の狭い薬に対して 血中濃度を定期的に計測して治療の参考にする 臓器障害などで個別の薬学管理する必要がある場合にも活用 (P39~40 参照 ) 抗てんかん薬 ジギタリス製剤 キサンチン系薬 不整脈治療薬 抗躁薬 ( 炭酸リチウム ) 免疫抑制剤 アミノグリコシド系抗生物質 グリコペプチド系抗生物質

分布に影響する要因 血液中 結合型 : 血漿蛋白質と結合 移行せず薬効もない代謝 排泄も受けず遊離型の供給源になる遊離型 : 組織への移行が可能で薬効を発揮する親和性の高い薬がくると 入替えで遊離型が増加 薬物相互作用血漿蛋白質の欠乏 遊離型比率の増加 薬効の増大 組織移行 血流量の多い組織に分布量が多い傾向組織親和性 関門通過性によっても偏在脂溶性の高い薬は脂肪組織に移行 蓄積の問題

薬の代謝 主に肝臓で 毒性の低減や排泄の促進を目的に行う加工 酸化 還元 加水分解 抱合 多くの場合 水溶性を高める変化 多種の酵素が関係し 量や活性に人種差 性差 個人差がある 小児では未発達 老人 肝機能障害者では機能低下に注意 薬物相互作用 (P42~43 参照 ) 酵素誘導 : 代謝酵素を増やし 他薬の効果を減弱させる酵素阻害 : 代謝酵素を阻害し 他薬の効果を増大させる代謝拮抗 : 同じ代謝酵素の薬を併用すると 代謝が遅延する シトクローム P450( チトクローム P450 CYP) 代表的な酸化酵素 サブタイプによって薬選択性がある酵素誘導 酵素阻害 代謝拮抗の影響を受けやすい遺伝子多型による個人差にも関係する (P34 参照 )

薬の尿中排泄 尿中排泄 ( 腎 尿 ) 水溶性薬の主排泄経路糸球体濾過 : 遊離型の大部分が移動糸球体濾過値 (GFR): 水分濾過量で腎機能の指標クレアチニンクリアランス (CCr):GFRの推定この機能が低下すると 薬の排泄は著しく遅くなる CCr 値で使用量を調整する必要尿細管分泌 : 結合型が近位尿細管でATPポンプにより移動選択性が低いため 移動の競合がおこる 相互作用尿細管再吸収 : 遠位尿細管で水 栄養素 非解離型が再吸収栄養素の再吸収にはトランスポーターが関与する解離型は再吸収されない= 尿のpHが影響する (P35~36 43 参照 )

薬の胆汁中排泄ほか 胆汁中排泄 ( 肝臓 胆汁 糞便 ) 脂溶性薬の主排泄経路 代謝物が活性を有し 消化管障害を起こす場合もある 例 : イリノテカン活性代謝物で下痢誘発腸肝循環 : 腸内で加水分解などを受けて再吸収される 未変化体やグルクロン酸抱合体で排泄される薬 薬効の持続や蓄積に注意 (P33~34 参照 ) 乳汁中排泄 服用中の授乳に注意 汗中排泄 薬臭や汗の着色 唾液中排泄 睡眠導入剤服用による苦味など 涙液中排泄 コンタクトレンズ使用に支障 呼気排泄 毛髪排泄 (P36 参照 )

薬物動態学的相互作用 薬物相互作用 吸収 分布 代謝 排泄の過程で起こる相互作用主に 薬物濃度に変化をあたえる 薬力学的相互作用 作用部位の薬物濃度に変化がない状態で効果の増強や減弱が起こる相互作用同作用 類似作用 逆作用 作用機序への影響など相乗作用 :A+B 以上の作用相加作用 :A+Bの作用 拮抗作用 :A+B 以下の作用 ( ほぼ無効になる場合 = 阻害 ) 主作用を相乗 有害作用を拮抗とする組み合わせも可能

恒常性 ( ホメオスタシス ) 生体が生命維持のために保っている体内環境神経性調節と液性調節の機構が存在どちらの機構も受容体 ( レセプター ) を介して調節受容体生理活性物質と特異的に結合結合による刺激は 細胞内の別物質 ( セカンドメッセンジャー ) の増減を誘導し 機能性蛋白質の活性や量の調節で生体応対が変化する核内受容体のみは別物質を介さない イオンチャンネル内臓型 ( リガンド依存性イオンチャンネル ) Gタンパク質共役型 (GTP 結合蛋白質共役型 代謝型 ) キナーゼ連結型 ( 酵素活性型 ) 核 内 型 ( 細胞内型 )

受容体と薬 薬の大部分は細胞膜を通過できず受容体を介して作用する 親和性 : 受容体との結合しやすさ効力 : 細胞内へ情報伝達する力 受容体作動薬 ( アゴニスト ) 親和性 効力 受容体と特異的に結合し 細胞へ生理活性物質と同じ刺激を与える 受容体遮断薬 ( アンタゴニスト ) 親和性 効力 受容体と結合するが細胞を刺激せず 生理活性物質の作用を阻害する結合の様式によって競合的遮断と非競合的遮断に分けられる 受容体部分作動薬 親和性 効力 低刺激時にはアゴニスト 高刺激時にはアンタゴニストとして作用する (P18~19 参照 )

神経性調節機構 神経線維内の情報伝達は電気的シナプスでは神経伝達物質による受容体刺激 作用亢進作用抑制 アセチルコリン ノルアドレナリン セロトニン ドパミングルタミン酸 ɤアミノ酪酸 (GABA) など神経終末での伝達物質の合成 貯蔵を促進 神経終末からの伝達物質遊離を促進伝達物質のシナプス貯留時間を延長伝達物質受容体の直接刺激神経終末からの伝達物質遊離を阻害伝達物質の分解や取り込みを促進伝達物質受容体の直接遮断

液性調節機構 ホルモン 内分泌腺から血中に分泌され 標的臓器で作用 オータコイド生体内に出現する微量で短寿命の活性物質局所で産生され 局所で作用 ( 血中に入らない ) ヒスタミンセロトニン H1 受容体 : 肥満細胞から分泌 アレルギーに関与 H2 受容体 : 胃壁クロム親和性細胞から分泌 胃酸分泌に関与 5HT1 受容体 : 脳血管収縮 ヒスタミン遊離抑制に関与 5HT2 受容体 : 神経興奮 平滑筋収縮 血小板凝集に関与 5HT3 受容体 : 催吐に関与

レニン アンギオテンシン系 レニンアンキ オテンシン変換酵素 (ACE) アンギオテンシノーゲン アンギオテンシンⅠ アンギオテンシンⅡ AT1 受容体 : アンギオテンシンⅡが結合細胞内 Caイオンを増加させ 血管平滑筋を収縮遺伝子転写を促進し 心 血管細胞の増殖肥大アルドステロンの合成 分泌を促進し 腎のNa 再吸収を促進 キニン カリクレイン系 カリクレインキニナーゼキニノーゲン ブラジキニン 不活性蛋白 B2 受容体 : ブラジキニンが結合発痛 平滑筋収縮 血管透過性亢進などに関与キニナーゼにはⅠとⅡがあり キニナーゼⅡはACEと同一物質よって ACE 阻害剤でブラジキニンが増加し 空咳などの副作用発現

エイコサノイド ホスホリパーゼA2 細胞膜リン脂質 = エイコサエン酸 アラキドン酸 シクロオキシゲナーゼ (COX) アラキドン酸 プロスタグランジン トロンボキサン アラキドン酸 ロイコトリエンリポキシゲナーゼ PGE1 受容体 : 胃粘液分泌促進 胃酸分泌抑制 血管拡張に関与 PGE2 受容体 : 血管拡張 胃粘膜保護 発痛 発熱 子宮収縮に関与 PGF2 受容体 : 子宮収縮 眼圧低下に関与 PGI2 受容体 : 血小板凝集抑制 血管拡張 発痛 気管支拡張に関与 TXA2 受容体 : 血小板凝集促進 血管収縮 気管支収縮に関与 LTB4 受容体 : 白血球遊走に関与 LTD4 受容体 : 血管透過性亢進 血管収縮 気管支収縮に関与

サイトカイン インターロイキン (IL): 主に白血球から分泌され 免疫担当細胞間の情報伝達 T 細胞 B 細胞の分化 増殖に関与 インターフェロン (INF): ウイルス感染時に白血球や繊維芽細胞から分泌 抗ウイルス作用や免疫反応調節に関与 腫瘍壊死因子 (TNFα): 主にマクロファージから分泌され 腫瘍細胞を障害 炎症疾患の発症や進展にも関与 細胞増殖因子 : 特定細胞の分化 増殖を促進 神経成長因子 血管内皮細胞増殖因子 造血因子など 他にも候補物質が 10 種以上ある