造影剤の副作用について ESUR 欧州泌尿生殖器放射線学会造影剤ガイドラインの改定 Version 7.0 西大宮病院北澤健司
1 ヨード造影剤による副作用 腎以外 2 ヨード造影剤による副作用 腎 3 ガドリニウム造影剤による副作用 ( 臓器非特異性 ) 即時型 遅発型 超遅発型副作用の種類 危険因子 予防 4 その他 Contents
Topics egfr ビグアナイド系糖尿病薬 NSF( 腎性全身性繊維症 )
egfr とは 糸球体濾過量 (GFR) 糸球体が 1 分間でどれくらいの血液を濾過し尿を作れるか表したもの 慢性腎臓病 (CKD) を評価する指標 Cr 年齢 性別から計算式で求められる
慢性腎臓病 (CKD) の定義 1 尿異常 画像診断 血液 病理で腎障害の存在が明らかである ( 特に蛋白尿の存在 ) 2 egfr<60ml/ min/1.73 m2 1 2 のいずれか または両方が 3 か月以上持続する
ビグアナイド系糖尿病薬 糖尿病患者の内服薬 副作用として 胃腸障害 乳酸アシドーシス 高度の肝 腎機能異常の患者や心肺機能の低下した患者には使用禁忌 ヨード造影剤との併用注意
ヨードとの併用注意なのはなぜ? 乳酸アシドーシスとは血液中に乳酸が増えすぎて 血液が酸性状態となるアシドーシスを引き起こす状態 ヨード造影剤の投与によって 一過性の腎機能低下をきたす可能性があり その結果ビグアナイド剤の腎排出が減少し副作用を起こしやすくなると考えられている
NSF: 腎性全身性線維症 1997 年に初めて認識された 皮膚の硬化が主体の多臓器線維化性疾患 この疾患がなぜ 放射線技師と関係あるのか 今まで原因不明とされてきたが 2006 年以降 Gd 造影剤との関係が示唆されている
なぜ Gd 造影剤が関係するのか? Gd 造影剤とは毒性の強い金属 Gd を DTPA などのキレート剤と結合させたもの 腎不全患者の場合 Gd 造影剤は体内に長時間残留してしまう 金属 Gd がキレートから遊離し 皮膚に沈着 これが繊維化をもたらす (NSF の発生秩序の有力仮説 )
NSF 臨床所見 初発症状 ( 通常下肢から発症 ) 疼痛 瘙痒感 腫脹 紅斑 経過 皮膚と皮下組織の肥厚 筋肉 横隔膜 心臓 肝臓 肺など臓器の繊維化 転帰 拘縮 悪液質 死亡
Topics まとめ egfr 糸球体濾過量 慢性腎臓病 (CKD) を評価する指標 ビグアナイド系糖尿病薬 併用により 乳酸アシドーシスを引き起こす NSF( 腎性全身性繊維症 ) Gd 造影剤がキレートから遊離し 皮膚に沈着 これが繊維化をもたらす
1 ヨード造影剤による副作用 腎以外 2 ヨード造影剤による副作用 腎 3 ガドリニウム造影剤による副作用 ( 臓器非特異性 ) 即時型 遅発型 超遅発型副作用の種類 危険因子 予防 4 その他 Contents
ヨード造影剤による腎以外の副作用 発生までの時間 即時型 造影剤注入後 1 時間以内 遅発型 造影剤注入後 1 時間 ~1 週間経過後 超遅発型 造影剤注入後 1 週間以上経過
ヨード造影剤による腎以外の副作用 副作用 即時型 軽度 中等度 重度 悪心 嘔吐 蕁麻疹嘔吐 気管支痙攣 顔面 喉頭浮腫呼吸停止 心停止 痙攣 遅発型 他の薬疹と類似した型の皮膚反応が真の遅発型副作用 超遅発型 甲状腺中毒症
ヨード造影剤による腎以外の副作用 即時型 患者 副作用の既往 喘息 アレルギー 危険因子 造影剤 イオン性高浸透圧造影剤 遅発型 副作用の既往 インターロイキン 2 による治療 超遅発型 バセドウ病未治療 多結節性甲状腺機能自律亢進症
ヨード造影剤による腎以外の副作用 予防 即時型 すべての患者に対して 非イオン性造影剤を使用 造影剤注入後 30 分間は放射線科で患者管理 蘇生用の薬剤と装置の準備 リスクの高い患者に対して 代替検査を考慮 以前副作用のあったヨードとは異なるヨードを使用 前処置薬の使用 遅発型 超遅発型 一般的には進められない ステロイドの予防的投与 明らかな甲状腺機能亢進症の患者には投与しない
ヨード造影剤による腎以外の副作用 リスクの高い患者に対して 前処置薬の使用を考慮する場合 プレドニン 30mg を 造影剤投与 12 時間前と 2 時間前に経口投与
1 ヨード造影剤による副作用 腎以外 2 ヨード造影剤による副作用 腎 3 ガドリニウム造影剤による副作用 ( 臓器非特異性 ) 腎毒性副作用の種類 危険因子 予防 4 その他 Contents
ヨード造影剤による腎の作用 腎毒性造影剤の血管投与後 3 日以内に起こる腎機能障害
ヨード造影剤による腎の作用 副作用 患者関連 危険因子 造影剤関連 腎 毒 性 造影剤腎症 乳酸アシドーシス 脱水 うっ血性心不全 通風 71 歳以上 egfr が 60ml/ 分 /1.73 m2未満 高浸透圧製剤 過剰の造影剤 メトホルミン服用中の患者 ( ビグアナイド系糖尿病薬 )
ヨード造影剤による腎の作用 副作用 予防 すべての患者に対してリスクの高い患者に対して 低浸透圧製剤の使用 腎 毒 造影剤腎症 必要最低容量の 造影剤を使用 必要最低容量の使用 egfr が 60ml/ 分 /1.73 m2未満に対して 代替検査の考慮 水分補給 性 乳酸アシドーシス egfr が 60ml/ 分 /1.73 m2以上 30~60ml/ 分 /1.73 m2 30ml/ 分 /1.73 m2未満
ヨード造影剤による腎の作用 egfr (ml/ 分 /1.73 m2 ) 60 以上 30~60 30 未満 乳酸アシドーシスの副作用に対する予防 メトホルミン投与を継続してよい 造影剤投与前 48 時間はメトホルミンを中止 造影剤投与後 48 時間は服用を控える 48 時間後の血清クレアチニン値に変化が見られない場合のみメトホルミン投与を再開 水分補給を行う ( 検査前後少なくとも 6 時間生理食塩水を毎時 1ml/kg を投与 ) 腎機能 血清乳酸 及び血液の ph をモニターすると共に 乳酸アシドーシスの症状の有無を調べる 30 未満の場合 メトホルミンの服用は許可されていない ヨード造影剤は避けるべきである
1 ヨード造影剤による副作用 腎以外 2 ヨード造影剤による副作用 腎 3 ガドリニウム造影剤による副作用 ( 臓器非特異性 ) 即時型 遅発型 超遅発型副作用の種類 危険因子 予防 4 その他 Contents
ガドリニウム造影剤による副作用 発生までの時間 即時型 造影剤注入後 1 時間以内 遅発型 造影剤注入後 1 時間 ~1 週間経過後 超遅発型 造影剤注入後 1 週間以上経過
ガドリニウム造影剤による副作用 副作用 即時型 軽度 中等度 重度 悪心 嘔吐 蕁麻疹嘔吐 気管支痙攣 顔面 喉頭浮腫呼吸停止 心停止 痙攣 遅発型 超遅発型 腎性全身性線維症 :NSF ( 通常 1 週間以降に発現するが まれに早期に発現することがある )
ガドリニウム造影剤による副作用 患者関連 危険因子 造影剤関連 即時型 遅発型 超遅発型 副作用の既往 喘息 アレルギー リスク高慢性腎臓病ステージ 4 と 5 (egfr30 未満 ) 透析患者 リスク中慢性腎臓病ステージ 3 (egfr30~60) リスク無し腎機能正常 造影剤の浸透圧とは関連していない リスク高オムニスキャン マグネビスト リスク中プリモビスト リスク小マグネスコープ プロハンス
ガドリニウム造影剤による副作用 造影剤のリスク (NSF のリスク ) 製品名と NSF 発症率 最大 オムニスキャン マグネビスト 非イオン性線形キレート (DTPA BMA) NSF 発症率 :3~7% イオン性線形キレート (DTPA) NSF 発症率 :0.1~1% 中程度 プリモビスト イオン方線形キレート (EOB DTPA) NSF 発症率 : 単独使用での報告例なし 最小 マグネスコープ プロハンス イオン性環状キレート (DOT) NSF 発症率 : 単独投与での報告例なし 非イオン性環状キレート (HP DO3A) NSF 発症率 : 単独投与での報告例なし
ガドリニウム造影剤による副作用 予防 即時型 すべての患者に対して 造影剤注入後 30 分間は放射線科で患者管理 蘇生用の薬剤と装置の準備 リスクの高い患者に対して 代替検査を考慮 以前副作用のあったものとは異なるガドリニウムを使用 前処置薬の使用 遅発型 超遅発型 投与前の egfr の測定をする 診断を下すのに必要な最低容量の造影剤の使用し ガドリニウムの体内残存量が最低量となるようにする ( 臨床的に適応があるにも関らず 造影 MRI をしないことがあってはならない )
1 ヨード造影剤による副作用 腎以外 2 ヨード造影剤による副作用 腎 3 ガドリニウム造影剤による副作用 ( 臓器非特異性 ) 即時型 遅発型 超遅発型副作用の種類 危険因子 予防 4 その他 Contents
その他 透析と造影剤 造影剤の血管外漏出 妊娠と授乳と造影剤
透析と造影剤 ヨード造影剤もガドリニウム造影剤も血液透析または腹膜透析によって除去できる しかし 腎障害患者において透析が造影剤腎症 NSF の予防に有効であるというエビデンスはない 透析患者においては浸透圧性の物質や水分の過剰補給は避ける 造影剤投与と血液透析の時間をあわせる必要性はない
造影剤の血管外漏出 障害の型 危険因子 軽症 ほとんどの場合は軽症である 患者関連 意思疎通不能 脆弱で損傷のある静脈 肥満 重症 皮膚潰瘍 軟部組織の壊死 コンパートメント症候群 手技関連 自動注入機の使用 適当ではない注入部位 高浸透圧の造影剤
造影剤の血管外漏出 予防 治療 静脈注入に細心の注意を払い適切な静脈に最適な径のプラスチックカニューレを使用する 生理食塩水を試験注入する 非イオン性ヨード造影剤を使用する ほとんどの場合は保存療法が適している 患肢を挙上する アイスパックをあてて患部を冷やす 重篤な損傷が疑われる場合外科医に助言を求める
妊娠と授乳と造影剤 ヨード製剤 ガドリニウム製剤 妊婦への検査 ヨード造影剤を使用しても可 ( 特別な状況に限る ) 妊婦へヨード造影剤を投与した場合 新生児の甲状腺機能を生後一週間の間に検査すること 最も安定なガドリニウム製剤の最低用量投与が安全 ( マグネスコープ プロハンス ) 妊婦へガドリニウム造影剤を投与した場合は 新生児の検査は不要である 授乳 通常どうりに継続してよい 24 時間は授乳を避けるべき
副作用発生時のために 緊急時に備えて配備しておくべき薬と器具 酸素 アドレナリン 1mg/ml 坑ヒスタミン H1 剤 アトロピン β2 刺激薬定量墳霧式吸入器 静脈内輸液 生理食塩水もしくはリンゲル液 抗痙攣薬 ( ジアゼパム ) 血圧計 一方向人工呼吸補助具
副作用発生時のために 緊急時に医者や看護師と迅速な連絡が取れるような体制作りが重要である また 緊急時に対応できるようなマニュアルを整備することも重要である