免疫本試29本試験模範解答_YM

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図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

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年219 番 生体防御のしくみとその破綻 (Immunity in Host Defense and Disease) 責任者: 黒田悦史主任教授 免疫学 黒田悦史主任教授 安田好文講師 2中平雅清講師 松下一史講師 目的 (1) 病原体や異物の侵入から宿主を守る 免疫系を中心とした生体防御機構を理

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

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Microsoft Word - 最終:【広報課】Dectin-2発表資料0519.doc

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

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く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

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70,71 図 2.32, 図 2.33, 図 2.34 C3b,Bb C3bBb 70,71 図 2.32, 図 2.33, 図 2.34 C3b2,Bb C3b2Bb 72 7 行目 C3 転換酵素 (C4b2b) C3 転換酵素 (C4b2a) 91 図 2.50 キャプション 12 行目 リ


今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

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研究成果の概要 今回発表した研究では 独自に開発した B 細胞初代培養法 ( 誘導性胚中心様 B (igb) 細胞培養法 ; 野嶋ら, Nat. Commun. 2011) を用いて 膜型 IgE と他のクラスの抗原受容体を培養した B 細胞に発現させ それらの機能を比較しました その結果 他のクラ

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報道発表資料 2007 年 4 月 30 日 独立行政法人理化学研究所 炎症反応を制御する新たなメカニズムを解明 - アレルギー 炎症性疾患の病態解明に新たな手掛かり - ポイント 免疫反応を正常に終息させる必須の分子は核内タンパク質 PDLIM2 炎症反応にかかわる転写因子を分解に導く新制御メカニ

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研究の詳細な説明 1. 背景病原微生物は 様々なタンパク質を作ることにより宿主の生体防御システムに対抗しています その分子メカニズムの一つとして病原微生物のタンパク質分解酵素が宿主の抗体を切断 分解することが知られております 抗体が切断 分解されると宿主は病原微生物を排除することが出来なくなります

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医学部医学科 2 年免疫学講義 10/27/2016 第 9 章 -1: 体液性免疫応答 久留米大学医学部免疫学准教授 溝口恵美子

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2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

ごく少量のアレルゲンによるアレルギー性気道炎症の発症機序を解明

ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

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八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

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脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

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るマウスを解析したところ XCR1 陽性樹状細胞欠失マウスと同様に 腸管 T 細胞の減少が認められました さらに XCL1 の発現が 脾臓やリンパ節の T 細胞に比較して 腸管組織の T 細胞において高いこと そして 腸管内で T 細胞と XCR1 陽性樹状細胞が密に相互作用していることも明らかにな

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

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論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

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共同研究チーム 個人情報につき 削除しております 1

研究成果報告書

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Transcription:

学籍番号 名前 * 穴埋め問題を除き 解答には図を用いてよい 問題 1 (10 点 ) 下記は 病原体感染から免疫活性化 病原体排除までの流れを説明したものである 誤りがあるものを 10 選択せよ (1) 生体内に侵入した感染病原体は 初めにマクロファージや樹状細胞などの獲得免疫細胞に感知される (2) マクロファージや樹状細胞は 病原体を貪食したり 抗菌物質を放出したりすることにより病原体の排除を行う (3) マクロファージや樹状細胞は TNFa や IL-10 などの炎症性サイトカインを産生することで周囲の細胞を活性化する (4) マクロファージや樹状細胞は ケモカインを産生することで リンパ節から好中球を呼び寄せる (5) 炎症性サイトカインは 血管内皮細胞の弛緩を阻害することで 好中球の血管外への漏出を防ぐ (6) 好中球は血液中を高速で流れているが 炎症部位の血管内皮細胞に発現した接着分子によりトラップされて 炎症部位へ浸潤する (7) 病原体を取り込んだ樹状細胞はケモカイン受容体 CCR7 を発現することで 所属リンパ節に移動し T 細胞に抗原提示を行う (8) T 細胞が活性化するためには 樹状細胞により提示された抗原を認識できる MHC 分子を発現していることが必要である (9) T 細胞が活性化するためには 抗原提示と同時に 補助刺激分子および炎症性サイトカインによるシグナルが必要である (10) T 細胞の増殖 活性化には TGF-b とその受容体が必要である (11) 増殖 活性化した T 細胞は リンパ管を通り ケモカイン依存的に炎症局所へと戻る (12) 炎症局所へ戻ったヘルパー T 細胞は 周囲のサイトカイン環境に応じて Th1 Th2 Th17 などに分化して様々なサイトカイン産生を通じて 病原体排除を行う (13) 炎症局所へ戻ったヘルパー T 細胞の中には 制御性 T 細胞となり 抗炎症性サイトカインやネガティブセレクションにより 過剰な免疫応答を抑制する場合もある (14) 炎症局所に戻ったキラー T 細胞は パーフォリンやグランザイムなどの傷害顆粒を放出して 病原体を殺傷する (15) 病原体の排除が終わると 活性化した全ての T 細胞は記憶 T 細胞となり再感染に備える (16) 記憶 T 細胞には 炎症局所にとどまるエフェクターメモリー T 細胞と 二次リンパ組織に戻るセントラルメモリー T 細胞がある 解答 1 獲得免疫細胞 自然免疫細胞 3 IL-10 IL-1 IL-6 など 4 リンパ節 血中 5 阻害 防ぐ 誘導 促す 8 MHC 分子 T 細胞受容体 10 TGF-b IL-2 1

11 リンパ管 血管 13 ネティブセレクション 免疫抑制受容体 14 病原体 病原体が感染した細胞 15 全ての 一部の 問題 2 (10 点 ) 下記は T 細胞受容体のレパトア形成のメカニズムを説明したものである 空欄に入る語句を記述せよ T 細胞受容体はa 鎖とb 鎖 ( またはg 鎖とd 鎖 ) のヘテロ二量体であり a 鎖 ( またはg 鎖 ) をコードする遺伝子は ( A ), J,C の3つの断片に b 鎖 ( またはd 鎖 ) は ( A ), ( B ), J, C の4つの断片に分割されている 各断片は複数個存在し それぞれ配列が少しずつ異なり ゲノム上に並んでコードされている T 細胞になることが決まった細胞では これらの断片からランダムに1つずつが選ばれ 結合されることで T 細胞受容体遺伝子が出来上がる この断片の組み合わせによる多様性獲得機構を ( C ) と呼ぶ さらに 各断片の結合部位にランダムな塩基を挿入することで さらに多様性を増大させている こうしてランダムに作られた T 細胞受容体には 機能不全や自己反応性のものが含まれるため ( D ) において選抜が行われる 初めに ( D ) の ( E ) に存在する胸腺上皮細胞から MHC+ 自己抗原の提示を受け これが生存シグナルとなり生き延びる MHC+ 自己抗原に全く反応できない T 細胞受容体は 生存を維持できずに死滅する ( 自己 MHC を認識できない T 細胞の除去 ) これが ( F ) である 次に ( D ) の ( G ) に存在する胸腺上皮細胞から MHC+ 自己抗原の提示を受け 自己抗原を強く認識した T 細胞には細胞死が誘導される ( 自己反応性細胞の除去 ) これが( H ) である ( G ) の胸腺上皮細胞は ( I ) という分子を特異的に発現しており この働きにより胸腺外の抗原 ( 組織特異的抗原 ) を発現することができるため ( 例えばインスリンやアルブミンなど ) 多様な自己抗原に対する反応性を抑制できる このような胸腺における自己反応性の抑制を ( J ) 免疫寛容と呼ぶ ただし ( I ) は全ての抗原を発現できるわけではないため 一部の自己反応性 T 細胞は末梢に流出するが 末梢性免疫寛容により自己反応性が抑制されている 末梢性免疫寛容には欠失 不応答 制御性 T 細胞などによる免疫抑制がある A V B D C 遺伝子再構成 D 胸腺 E 皮質 F 正の選択 G 髄質 H 負の選択 I Aire J 中枢性 2

学籍番号 名前 問題 3 (10 点 ) 下記は 腸管免疫の説明をしたものである 各説明には 1 箇所ずつ間違いがある それを指摘して 正しい語句を記入せよ (1) 生体が外界と接する部位で皮膚以外のほとんどは粘膜組織であり 感染病原体の主要な侵入経路となっている 粘膜組織は粘液による物理的バリアーにより外敵の侵入から守られている 粘液の主成分はマクロファージにより産生される 高度に糖鎖化されたタンパク質ムチンである (2) 腸管は最大の粘膜組織であり 多くの感染病原体の侵入に対する生体防御を担うと同時に 腸内細菌や食物などに対しては過剰に反応しないようにするための特殊な免疫環境を構築している 絨毛の深部 クリプトには抗菌ペプチドを産生する b 細胞が存在する 絨毛の隙間に散在するパイエル板はリンパ節に似た組織であり M 細胞が管腔内の抗原を補足して抗原提示細胞に受け渡すことで免疫応答を誘導する (3) 腸管上皮細胞の間には腸管上皮細胞間リンパ球が存在し その大半はヘルパー T 細胞であり 病原体に感染した腸管上皮細胞の排除を担っている TCR や BCR を持たない自然リンパ球は 様々なサイトカインを産生して炎症やアレルギー反応を制御する (4) 腸管で産生される抗体は IgM が中心であり 固有粘膜層の B 細胞により産生され 腸管上皮細胞のポリ Ig 受容体に結合して 腸管上皮細胞の中を通り抜けて管腔内に放出される この時 受容体の一部は抗体に結合したままであり これが腸内細菌の産生するタンパク分解酵素からの分解を防いでいる (5) 粘膜組織で活性化した樹状細胞は粘膜組織にホーミングする分子を発現しており それにより 血流を循環して全身の粘膜組織に拡散する性質があり これは共通粘膜免疫機構と呼ばれ この作用により粘膜ワクチンの効果は全身の粘膜組織に拡散する 解答 間違えている語句 正しい語句 (1). (2). (3). (4). (5). 模範解答 (1) マクロファージ 杯細胞 (2) 細胞 パネート細胞 (3) ヘルパー T 細胞 キラー T 細胞 (CD8T 細胞 ) (4) IgM IgA (5) 樹状細胞 T 細胞 (B 細胞 ) 3

問題 4 1 ( 計 20 点 ) 自然免疫について誤っている記述を A~X のうちから 7 つ選べ A) リンパ球による獲得免疫機構以外の異物排除に関わる機構を まとめて自然免疫と呼ぶ B) 自然免疫の受容体の反応特異性は子孫に遺伝しない C) inos はアルギニンを基質として一酸化窒素 (NO) を産生し 食胞内の病原体の殺菌に関わる酵素である D) 呼吸バーストとは NADPH 酸化酵素により大量に酸素が産生される反応のことをいう E) 上皮組織はディフェンシンやカテリシジンなどの抗菌ペプチドを産生して生体防御に関わる F) パターン認識受容体 (PRR) とは 病原体に特徴的な分子構造 (PAMPS) を認識する受容体であり 樹状細胞やマクロファージは様々なタイプの PRR を発現するので 一つの細胞が様々な病原体に応答することが可能である G) PRR による PAMPS の認識は脊椎動物のみが有する異物応答機構である H) TLR は細胞外に存在する細菌の成分だけでなく ウイルス由来の成分も認識できる I) パターン認識受容体による炎症の惹起は 基本的に微生物の存在しない無菌環境では生じない J) パターン認識受容体を介して樹状細胞が活性化することを樹状細胞の成熟と呼ぶ K) インフラマゾームとはカスペース 1 の活性化を行なう複合体の総称であり DAMPS に応答して IL-1 や IL-18 の産生に関わる L) NOD1 や NOD は細胞質内の細菌を認識して 炎症性サイトカインを産生させる M) RLR(RLH) は細胞質内に存在し ウイルスに特徴的な核酸の構造を認識して I 型インターフェロン (IFN-a, IFN -b) を産生させる N) TLR4 が欠損すると グラム陰性菌の内毒素 (LPS) による敗血症ショックに耐性となる O) C 型レクチン受容体である Dectin-1 や Dectin-2 は真菌に特徴的なリポペプチドを認識して真菌感染防御に関わる P) 補体の第二経路は 微生物表面に直接 C3b が共有結合することで開始される Q) 補体のレクチン経路の活性化は PRR による PAMPS の認識によって開始される R) 古典経路を活性化できる抗体のサブクラスは IgG と IgM のみである S) DAF は補体の制御タンパクとして働いて宿主細胞表面での補体活性化を防いでいる T) 補体の活性化によって生じた C3a や C5a はアナフィラトキシンと呼ばれ 微生物の表面に結合して貪食細胞による貪食を促す U) C5 転換酵素は全ての補体活性化カスケードで形成される V) 補体成分の欠損は SLE 様の自己免疫疾患を引き起こす W) NK 細胞は抗体が結合した細胞を Fc 受容体を介して認識し 殺傷することができる X) NK 細胞は ウイルスの感染により MHC クラス I 分子の発現が高まった細胞を認識して攻撃する 解答欄 4

学籍番号 名前 問題 4 2 リンパ球の活性化について誤っている記述を A~N から 3 つ選べ A) 抗原受容体に認識される物質を抗原と呼ぶため 自然免疫のパターン認識受容体で認識されるものを抗原とは呼ばない B) TCR シグナルは 胸腺での T 細胞の正負の選択にも必要である C) TCR や BCR 自体は シグナル伝達モチーフ (ITAM) を持たない D) PLCg は細胞内へのカルシウムの流入に関わる A) G タンパク質は GTP 結合型から GDP 結合型に変換されることで活性化し MAPK カスケードを活性化する (O オー ) B) 免疫抑制剤であるタクロリムス (FK506) やサイクロスポリンは MAPK を阻害することで AP-1 の活性化を阻害する (P ピー ) E) CBM 複合体は抗原受容体を介した NF-kB の活性化に必須である F) プロテアソームは NF-kB の活性化に関わる G) CD28 シグナルはナイーブ T 細胞のプライミングに必要である H) CD28 のリガンドは パターン認識受容体を介して活性化した成熟樹状細胞に発現する I) CTLA-4 や PD-1 は TCR シグナルを抑制する分子であり これを阻害すると自己免疫疾患が発症するリスクがある J) CTLA-4 や PD-1 は TCR シグナルを抑制する分子であり これを阻害することでがん免疫を活性化することが可能である K) FcγRIIB による BCR シグナルの抑制は 抗原を認識する IgG によって生じるので これによって抗体の産生量が一定以上にならないよう制御されている L) X 連鎖無 γ グロブリン血症は BTK の欠損により生じる疾患であり T 細胞と B 細胞両方の活性化不全が原因となる M) 外因性アポトーシス経路の欠損により ALPS が発症する N) Wiscott-Aldrich 症候群 (WAS) は TCR のシグナル不全による免疫不全症である 解答欄 ( 以下余白 ) 5

問題 5 ( 計 10 点 ) 免疫回避の機構として 1) 貪食細胞に貪食された後 貪食細胞内で殺病原体機構を回避する 2) 脱皮をす る 病原体種がいる こうした回避機構について 以下の設問に答えよ 1) 貪食細胞に貪食された後 貪食細胞内で殺病原体機構を回避 について 病原体は 貪食細胞の殺病原体作用をどのように回避しているのか? そしてどのような利点があるか? 例を ( 少なくとも1つ ) 上げて説明しなさい (5 点 ) 2) 脱皮による回避 について 2 1) 脱皮をして回避する病原体は何か?(2 点 ) 2 2) 脱皮をすると病原体にとってどのような利点があるか?(3 点 ) 1) 結核菌 ) 食胞とリソソームの融合を抑制し 殺菌分子の作用を阻害 リステリア菌 ) マクロファージに貪食されたのち 食胞から細胞質に脱出することにより殺菌作用を回避 Histoplasma capsulatum) 食胞とリソソームの融合により形成されるファゴリソソームの ph 低下を抑制することで殺菌活性を抑制 Leishmania) マクロファージに貪食されたのち 食胞とリソソームの融合を抑制する など 殺病原体されることを回避できるので 細胞内で増殖することが出来る そしてその増殖は貪食細胞内で行うので 抗体など液性免疫から逃れることが出来る 抗原提示が抑制され 免疫応答の誘導を抑制する など ( 教科書に記載されているもの 授業で取り上げたものを例に挙げます そのほかの例が記載された場合は論文などで確認します ) 2-1) 蠕虫 ( 寄生虫種を答えても OK) 2-2) 脱皮をすることで個体表面の抗原性を変化させ 抗体による認識を回避できる ( 以下余白 ) 6

学籍番号 名前 問題 6 (5 点 x2) 一般に癌に対しては免疫が成立すると考えられている これは どのような実験 またはヒトで見られる事象 ( 現象 ) で説明できるか 例をあげて説明せよ マウスで 不活化がん細胞によるワクチンが成立する チェックポイント阻害剤 ( 要説明 ) が効く 癌ワクチンが臨床で用いられている など 甲状腺癌が剖検例などで見られる は 講義で説明しましたが これだけでは-1 しています 単に甲状腺癌が大きくならない などを示しているかもしれない ( 免疫の関与とは限らない ) からです チェックポイント阻害薬について知ることを記せ チェックポイントに関わる分子 (CTLA-4 や PD-1/PD-L1) とそれが T 細胞に対して抑制性に作用するという 記述 ( 今使われている薬は ) 生物製剤 ( 抗体 ) で 上記の分子に結合することにより抑制作用を解除 免疫 を高める = 癌免疫を高める などの説明 副作用としては 自己免疫 問題 6 (10 点 ) アレルギーの分類と発症機序に関して Goombs と Gell の分類を簡単に記載せよ 教科書にある表などを記載 名称 エフェクター分子とその作用 = 病態 代表的な病気の例 7

問題 7 (10 点 ) 家族性地中海熱の病態について 下記キーワードを全て用いて説明せよ ( キーワードには下線をつけてい る ) キーワード : インフラマソーム Pyrin( ピリン ) IL-1 NLRP3 Caspase-1( カスパーゼ 1) 家族性地中海熱は 炎症経路のひとつであるインフラマソームの働きを抑えるパイリン ( ピリン ) の異常で発症する自己炎症性疾患である ピリンは NLFP3 インフラマソームに対して抑制的に作用するが この異常や欠損により インフラマソームが過剰に活性化し Caspase-1 の活性化による IL-1 の切断による活性化をもたらし 炎症が生じる 発作性の発熱漿膜炎による激しい疼痛を特徴とする 問題 8 (5 点 x2) 抗生物質の皮内反応は通常 15 分後に判定するが ツベルクリン反応は 48 時間後に判定する それぞれの検 査の意味 ( どういう免疫現象を検出するか など ) と 判定時間の違いについて説明せよ 皮内反応が I 型アレルギーを見るもので 既に IgE が作られ感作されているかどうかを見る = 即時型アレルギ ーで 数分 15 分の反応で 血管の拡張や局所の浮腫を見る ツベルクリン反応は 細胞性免疫が成立しているかを見る =BCG または既感染による免疫が成立していると Th1 細胞の活性化 マクロファージなどの遊走と活性化により膨疹や硬結が生じる これには 数時間以上 24 48 時間必要 (* 接種する場所が違うから は不可 ) モノクロナル抗体を用いた疾患治療について知ることを述べよ チェックポイント阻害剤による癌治療や サイトカインに対する中和抗体による関節リウマチなどの炎症性疾患の治療 癌 (B 細胞など ) 細胞に対する抗体による癌細胞の死滅 除去を期待した治療 Her2 に対する抗体による乳癌増殖抑制 ( 治療 ) など また マウス抗体 ヒト化抗体 ヒト型抗体 の話など 8