1 訪問リハ導入で, 家族の介護負担の軽減, 自身の活動の広がりが図れた事例 脳梗塞 ( 中程度の右片麻痺 )(60 代女性 ) 経過 脳梗塞と診断され A 病院に入院 1 ヶ月後リハ目的で B 病院に転院し,6 ヶ月後自宅に退院しました 退院後はすぐに訪問リハを導入しています 疾患 : 脳血管疾患

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別紙 1-2 移乗介助 ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器 移乗開始から終了まで 介助者が一人で使用することができる ベッドと車いすの間の移乗に用いることができる ( ベッドと車いすの間の移乗における使い勝手は ステージゲート審査での評価対象となる点に留

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A5 定刻に評価するためには その時刻に責任をもって特定の担当者が評価を行うことが必要 となる Q6 正看護師 准看護師 保健師 助産師以外に医師 セラピストなどが評価してもよいか A6 よい ただし 医療職に限られ 評価者は所定の研修を修了した者 あるいはその者が実施した院内研修を受けた者であるこ

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2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

< 集計分析結果 > ( 単純集計版 ) 在宅介護実態調査の集計結果 ~ 第 7 期介護保険事業計画の策定に向けて ~ 平成 29 年 9 月 <5 万人以上 10 万人未満 >


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図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

軽度者に対する対象外種目の 福祉用具貸与取扱いの手引き 平成 25 年 4 月 綾瀬市福祉部高齢介護課

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事業内容

各論第 3 章介護保険 保健福祉サービスの充実

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訪問介護事業所の役割 1 訪問介護計画や手順書への記載居宅サービス計画に通院介助及び院内介助の必要性が位置付けられている場合に限り 訪問介護サービスとして 介助が必要な利用者が 自宅から病院 受診手続きから診察 薬の受け取り 帰宅までの一連の行為を円滑に行うために訪問介護員が行うべき援助内容を訪問介

通所リハビリテーションとは 介護保険で認定を受けられた要支援 要介護の方を対象に機能訓練 歩行訓練や日常生活訓練 脳への刺激で認知症予防などを目的に リハビリテーション ( 以下 リハビリ ) を行う通いのサービスです 通所リハビリテーション ( 以下 通所リハビリ ) は 利用者様が可能な限り自宅

平成17年度社会福祉法人多花楽会事業計画(案)

目 次 はじめにはじめに この事例集のねらい 1. この事例集のねらい 交換利用事例の分析結果交換利用事例の分析結果 効果的な交換利用のための取り組み効果的な交換利用のための取り組み 事例の紹介事例の紹介

摂食嚥下訓練 排泄訓練等を開始します SCU で行うリハビリテーションの様子 ROM 訓練 ( 左 ) と端坐位訓練 ( 右 ) 急性期リハビリテーションプログラムの実際病棟訓練では 病棟において坐位 起立訓練を行い 坐位耐久性が30 分以上となればリハ訓練室へ移行します 訓練室訓練では訓練室におい

平成21年度 介護サービス事業者における事故発生状況

復習問題

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

短期集中リハビリ入所ご案内 介護老人保健施設ウエルハウス西宮


基本料金明細 金額 基本利用料 ( 利用者負担金 ) 訪問看護基本療養費 (Ⅰ) 週 3 日まで (1 日 1 回につき ) 週 4 日目以降緩和 褥瘡ケアの専門看護師 ( 同一日に共同の訪問看護 ) 1 割負担 2 割負担 3 割負担 5, ,110 1,665 6,

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資料 1( 調査票 ) 在宅介護実態調査調査票 被保険者番号 A 票の聞き取りを行った相手の方は どなたですか ( 複数選択可 ) 1. 調査対象者本人 2. 主な介護者となっている家族 親族 3. 主な介護者以外の家族 親族 4. 調査対象者のケアマネジャー 5. その他 A 票 認定調査員が 概

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

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事業案内 障害のある方や高齢者の自立生活や社会参加を支援します 自分らしい生活を送るために必要な福祉用具や住宅改修などの相談 支援を行います 具体的な技術支援を必要とされる方には リハビリテーションセンターの専門職が医療 保健 福祉関係機関と連携して相談 支援に対応します 相談内容 身体状況の確認日

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リハビリテーション歩行訓練 片麻痺で歩行困難となった場合 麻痺側の足にしっかりと体重をかけて 適切な刺激を外から与えることで麻痺の回復を促進させていく必要があります 麻痺が重度の場合は体重をかけようとしても膝折れしてしまうため そのままでは適切な荷重訓練ができませんが 膝と足首を固定する長下肢装具を

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高齢者の日常生活機能維持 回復のための リハビリテーション 日本リハビリテーション病院 施設協会 会長 全国デイ ケア協会 会長 医療法人真正会 霞ヶ関南病院 理事長 斉藤正身 1

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選考会実施種目 強化指定標準記録 ( 女子 / 肢体不自由 視覚障がい ) 選考会実施種目 ( 選考会参加標準記録あり ) トラック 100m 200m 400m 800m 1500m T T T T33/34 24

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

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グループ紹介 上尾中央医科グループ 上尾中央医科グループは 関東圏を中心とする病院 老健 学校 研究所などからなる関東有数の医療機関グループです * 理念 : 愛し愛される病院 施設 * 施設 : 病院 27 老健 20 学校 3 等 * 総病床数 :9,167 床 * 総職員数 :15,534 詳

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介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

福祉用具を使用した移乗介助法の導入-取り組みと事例を通し、導入のあり方を考える-

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ご自宅で充分なリハビリをしていると感じていますか? デイケア 訪問リハビリのご案内 しっかりとリハビリをすればもっと良くなります してもらうリハビリ から 自ら動くリハビリ へ 退院はゴールではありません!! 3 時間デイケア 軽度 :1 階のご利用 : 要支援 1 2 概ね要介護 1 までの方 サ

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まちの新しい介護保険について 1. 制度のしくみについて 東温市 ( 保険者 ) 制度を運営し 介護サービスを整備します 要介護認定を行います 保険料を徴収し 保険証を交付します 東温市地域包括支援センター ( 東温市社会福祉協議会内 ) ~ 高齢者への総合的な支援 ( 包括的支援事業 )~ 介護予

A-2-(1)-1 利用者の自律 自立生活のための支援を行っている A-2-(1)-2 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている A-2-(1)-3 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている A-2-(1)-4 個別支援計画にもとづく日中活動と

( 別紙様式 21 の 2) 患者氏名 : 男 女生年月日 ( 西暦 ) 年月日計画評価実施日年月日主治医リハ担当医 PT OT ST 診断名 障害名 ( 発症日 手術日 診断日 ): 合併症 ( コントロール状態 ): 発症前の活動 社会参加 : 日常生活自立度 : J1 J2 A1 A2 B1

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ている さらに, 施設内通貨等を用い利用者自 身が目標に向けて能動的に取り組めるように促 す工夫も行っている 次に, 実際の事例を通して通所介護計画の立 案, 支援の内容, 結果等を紹介する 例 歩いて自宅に帰る ことを目標とした事例 Fさん,60 代, 男性 現病歴 : 脳出血 ( 右片麻痺, 失

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クリニカルインディケーター 2017 の刊行にあたって 当院は開院以来 重症者にも対応できる医療 リハケア体制の整備 スタッフの量的および質的充実に向けた教育 研修体制の構築 チームアプローチの徹底や情報共有の強化 急性期病院および地域医療 介護との連携推進 生活 期リハの充実等 様々な取り組みを組

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

資料編

P-2 3 自分で降りられないように ベットを柵 ( サイドレール ) で囲む 実施の有無 1 他に介護の方法がないため 2 同室者 他の利用者からの依頼 4 不穏や不安など本人の混乱を防止 5 暴力行為など他人への迷惑行為を防止の為 6 夜間以外の徘徊を防止 7 夜間の徘徊を防止 8 不随運動があ

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Q1 訪問看護の導入時期は どのように判断すればよいでしょうか? A 医療処置や医療機器の管理などが必要な場合は比較的早期に訪問看護の依頼がありますが ADLの維持 向上などの予防的ケアや病気の悪化予防の目的での訪問看護についても できるだけ早期の導入が理想的です また ターミナル時期の利用者の場合

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大阪府福祉のまちづくり条例ガイドライン平成 29 年 12 月 4-1 障がい者等の便所内の動作例 杖使用者 ( 片マヒ ) 脳血管障がいなどにより 身体の片側の機能がマヒしている場合 姿勢保持のために体を預けられる手すりが有効です 1 便器に近づき 手すりのそばに杖を置きます POINT 便器の前

5. がん患者さんの在宅医療 介護等の基礎知識 財団法人名古屋市療養サービス事業団名古屋市西区訪問看護ステーション所長訪問看護認定看護師村井満美子 講義の狙い がん患者さんの在宅医療と在宅医療 療養を支える資源について学ぶ 訪問看護の利用の仕方について学ぶ 事例を通してより良い在宅医療のあり方を学ぶ

Q3 回復期リハ病棟の施設基準とは? A3 標榜科名リハビリテーション科を標榜していること 医師病棟ごとに常勤の専任医を 1 名以上配置すること PT OT 看護職員 看護補助者 夜勤看護職員 夜勤看護補助者 リハ施設基準 病室床面積 廊下幅 その他の構造設備 リハ実施体制 日常生活機能評価 地方社

2) 各質問項目における留意点 導入質問 留意点 A B もの忘れが多いと感じますか 1 年前と比べてもの忘れが増えたと感じますか 導入の質問家族や介護者から見て, 対象者の もの忘れ が現在多いと感じるかどうか ( 目立つかどうか ), その程度を確認する. 対象者本人の回答で評価する. 導入の質

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日常生活機能評価 評価の手引き 1. 評価票の記入は 院内研修を受けたものが行うこと なお 院内研修は 所定の研修を修了したもの あるいは評価に習熟したものが行う研修であることが望ましい 2. 評価票の記入にあたっては 下記の等に従って実施すること 3. 評価の対象は 回復期リハビリテーション病棟に

加算 栄養改善加算 ( 月 2 回を限度 ) 栄養スクリーニング加算 口腔機能向上加算 ( 月 2 回を限度 ) 5 円 重度療養管理加算 要介護 であって 別に厚生労働大が定める状態である者に対して 医学的管理のもと 通所リハビリテーションを行った場合 100 円 中重度者ケア体制加算

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

(3) 貴事業所の併設サービス (MA) 福祉用具事業所の併設サービスについて 最も多いのは 住宅改修 (80.0%) 次いで 居宅介護支援 (25.0%) であった 0% 50% 100% 1 住宅改修 居宅介護支援 訪問介護 訪問看護

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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221 新潟県長岡市 齋藤氏【自治体における組織横断的な連携~精神障害者の地域移行を通して~】

Q3 妊娠や出産でかかった費用も対象になりますか? A3 対象になります 妊娠と診断されてから定期的に受ける妊婦検診 検査費用や出産の為の入院代は医療費控除の対象になります ただし 自治体からもらった検診費用の補助金や 健康保険組合等からもらった出産育児一時金などの金額は差し引いて考えてください Q

わたしたちのやりたいケア 介護の知識50

<資料 その1>

基本チェックリストの概要 総合事業の実施に伴い 要介護 要支援認定申請に加え 基本チェックリストを活用する流れが設けられました 基本チェックリストは 従来のような二次予防事業対象者の把握のためという活用方法ではなく 相談窓口において 必ずしも認定を受けなくても 必要なサービスが利用できるよう 本人の

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

統合失調症患者の状態と退院可能性 (2) 自傷他害奇妙な姿勢 0% 20% 40% 60% 80% 100% ないない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 尐ない 中程度 高い 時々 毎日 症状なし 幻覚 0% 20% 40% 60% 80% 100% 症状

杉戸町高齢者実態調査

ホームの概要 名 称住宅型有料老人ホーム桜美苑岩木 所在地弘前市大字駒越字村元 開設日平成 24 年 11 月 5 日定員 35 名 ( 個室 35 室 ) 電話番号 空室確認 ( 吉本 ) 運営法人から入居を考えている方へのメッセージ

モニタリング表 利用者氏名 : 担当者 : 訪問年月年月 ~ 年月 1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 5か月目 6か月目サービス種別 ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) 短期目標内容 種別内容 実施状況 満足度 達成度 ケアプランの評価 実施状況

Microsoft Word - Q&A(訪問リハ).doc

Transcription:

NO 疾患名 年齢 性別 介護度等 1 脳梗塞 6 0 代 女性要介護 3 2 脳梗塞 8 0 代 男性要介護 2 3 脳梗塞 7 0 代 男性要支援 2 4 脳梗塞 ほか 8 0 代 男性要介護 3 5 脳内出血 7 0 代 男性要介護 4 6 脳性麻痺 4 0 代 男性 医療 7 大腿骨頚部骨折 6 0 代 女性要支援 2 8 大腿骨頚部骨折 8 0 代 女性要介護 2 9 大腿切断 5 0 代 男性 医療 1 0 腰部脊柱管狭窄症 6 0 代 男性要支援 2 1 1 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 6 0 代 女性要介護 2 1 2 末期がん 6 0 代 男性要介護 1 1 3 頚髄損傷 3 0 代 男性 医療 1 4 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) その1 5 0 代 男性 医療 1 5 その2 平成 25 年度リハビリテーション専門職による在宅支援の会企画会議作成 - 0 -

1 訪問リハ導入で, 家族の介護負担の軽減, 自身の活動の広がりが図れた事例 脳梗塞 ( 中程度の右片麻痺 )(60 代女性 ) 経過 脳梗塞と診断され A 病院に入院 1 ヶ月後リハ目的で B 病院に転院し,6 ヶ月後自宅に退院しました 退院後はすぐに訪問リハを導入しています 疾患 : 脳血管疾患保険 : 介護保険 ( 要介護 3) 紹介 : 医療機関 中程度の右片麻痺で, 感覚は悪い バランスが悪く, 歩行は 4 点杖と短下肢装具を使用し可能だが, 軽介助が必要で, また, 椅子からの立ち上がりや階段昇降は介助が必要だった 排泄や入浴にも夫や長男の介助が必要だった 短期 : 屋内歩行 (4 点杖, 短下肢装具 ) 自立 階段昇降は見守りで安定 生活全般の夫の介助量の軽減 長期 : 台所での調理動作獲得 コタツに入りテレビを見る 段差昇降練習, 屋内外歩行練習, 床上動作練習, 調理動作練習 実店舗での買い物練習, 日常生活活動練習 ( トイレ, 入浴 ) ( 環境調整 ) 居間 寝室間の 15cm の段差に, 高さ 6cm の補助台を作成 居間の椅子はクッションを変え, 高さを高くした 調理道具は, 釘付きまな板を作成 バスボード, シャワーチェア, 浴槽台の福祉用具を導入した 期間 4 ヶ月 終了後は通所リハに移行 平らなところは 4 点杖 + 短下肢装具での歩行がほぼ自立 また, 夜間のポータブルトイレの使用も自力で行うことが増えた 床上の立ち上がり, 座り動作は夫の介助で可能となり, 冬場にコタツに入れるようになった 夫との外出の機会が増え, 大型スーパーや美容院に行くようになった できることが増えた 夫に面倒をかけることが減ってうれしい 夫 ) 腰痛持ちだったけど, だいぶ楽になった CM) 動きがよくなりましたね 自宅の環境調整と, 自宅でのリハの実施により, 実生活に活かせる機能が獲得されました そのことが家族の介護負担の軽減につながり, 生活範囲にも広がりが出ています - 1 -

2 退院後半年で寝たきりになったが, 訪問リハの実施により活動が再開できた事例 脳梗塞 ( 左片麻痺 )(80 代男性 ) 経過 80 歳で脳梗塞を発症 麻痺は軽度で, 入浴, 階段昇降以外は自立して退院しています 退院半年が経過し, 徐々に動きが悪くなり介助場面も増えていきました 疾患 : 脳血管疾患保険 : 介護保険 ( 要介護 2) 紹介 : 医療機関 日中は椅子やベッドで休み, テレビを見ていることが多く, 身体を動か す機会が少ない状況だった 一人でできることも 妻に助けを求めることが増えてきていた 短期 : 運動不足の解消長期 : 屋外を散歩できるようになる 介助にて屋外歩行訓練 その際, 庭の植木の手入れ ( 水やり ) を行うよ うにした 屋内で毎日行える自主運動を指導 定着するように毎回確認した 期間 週 1 回 40 分 5 ヶ月 屋外歩行が徐々に安定し, 毎日一人で植木の手入れを行うようになる その他に入浴動作も安定し, 一人で出来るようになった 入院中は毎日リハビリがあったが, 退院後は動くのがおっくうになってしまった また歩けるようになり良かった 植木の手入れは自分の役割なのでこれからも続けていきたい 移動能力が高かったため, 退院後のサービス利用にはつながらなかった事例です 活動量の低下とともに廃用性の機能低下が見られはじめた段階でケアマネジャーが訪問リハを紹介したのは良いタイミングでした 運動不足の原因である 意欲の低下 を 趣味 役割 につなげていくことで 活動性が改善しました - 2 -

3 訪問リハと通所リハが協力し, 役割や楽しみを拡大した事例 脳梗塞 ( 左片麻痺 )(70 代男性 ) 経過 脳梗塞を発症し A 病院に入院 リハ目的で B 病院に転院し,6 ヶ月後, 自宅に退院しました 退院直後から通所リハの利用を開始しています 退院 4 ヶ月後, リハビリテーションを目的に訪問看護を利用しました 疾患 : 脳血管疾患保険 : 介護保険 ( 要支援 2) 紹介 : ケアマネジャー 中等度の左片麻痺で, 左肩に痛みがあったが, 補助的に左手を使うことができた 日常生活は, 肩の痛みのため, 入浴, 更衣動作の一部に介助を必要としていた 歩行は, 自宅内は杖無しで, 屋外は T 字杖を使用し自立していた 右下肢への荷重が優位となるため, 疲れやすく, 外出に不安があった 階段昇降は手すり使用で可能だった 主な介護者は 60 代の妻 短期 : 階段を安全に上がることができる 近所が散歩できるようになる 長期 : 映画を観に出掛けたい 左上下肢ストレッチ 立ち上がり, バランス練習, 床上動作などを通して左下肢への荷重練習 屋外歩行練習と合わせて上着の着脱, 玄関の段差昇降訓練 自主トレーニングとしてストレッチの指導 通所リハのリハスタッフと連絡を取り, 階段昇降は通所リハで実施してもらう 期間 2 年間 左肩痛の消失 自宅内の日常生活活動は自立 布団をたたむ, ゴミを捨てるなど役割を持つようになった 週に数回妻の運転で外出し, 階段のある映画館に行けるようになった 地域のイベントや老人クラブなどにも積極的に参加している 肩の痛みが無くなった 映画も観に行けるようになって自信がついた 妻 ) 一人でできることが増え助かる 外出が多くて忙しいくらいだ 左肩の痛みやバランスの不均衡が改善されたことにより 生活機能は大幅に改善されています また 通所リハとの連携により 階段昇降にも自信が付きました その結果 生活の楽しみが充実しています - 3 -

4 病状の変化に応じたリハビリテーションを提供し, 状態の維持を図っている事例 一過性脳梗塞脊柱管狭窄症骨粗鬆症加齢性黄斑変性症緑内障高血圧症アルツハイマー型認知症 (80 代男性 ) 経過 高血圧症で K 病院に通院中にアルツハイマー型認知症と診断, 服薬していました 1 年前, 一過性脳梗塞で入院しましたが, 保存的治療で退院しましたが, 同月インフルエンザで高熱を出して以降寝たきり状態になりました 疾患 : 脳血管疾患他保険 : 介護保険 ( 要介護 3) 紹介 : ケアマネジャー 視力は明暗が分かる程度 指示理解は良好 食事はベッドをギャジアップし, 自力で何とか摂取できている 排泄 ( オムツ使用 ), 入浴, 整容, 衣類の着脱は全介助 ベッド上臥位からの起き上がりは自力で可能だが, 座位保持時に体幹の後屈が見られる 体幹前屈に恐怖感を持っている 動作指導により手すりにつかまって立ち上がることはできる 介護者は妻で, 二人暮らし 妻は腰痛, 狭心症により通院中で, 排泄介助が負担になっている 短期 : 食卓 (5m ほど ) までの歩行獲得 起き上がり, 立ち上がり動作の安定と自立 長期 : トイレまでの歩行の安定性の獲得 1 下肢筋力訓練,2 寝返りの練習 3 体幹前屈の感覚を促すための端座位のままベッドサイドの横移動 4 立ち上がり訓練,5 立位バランス訓練 6 杖歩行, つかまり歩行訓練, 及び, 壁 柱 家具などの位置の把握 期間 訪問リハ週 2 回 /40 分 8 ヶ月目より週 3 回 10 ヶ月継続中 体調の変動はあるが,3 ヶ月で, 介助でトイレまで歩行可能となる 日 中はトイレ, 夜間はポータブルトイレ使用となり, 長期目標は達成した 妻より更なる歩行耐久性の向上と, 車の移乗練習の希望があり訪問を継 続し, 介助で散歩ができるまでになったが, 日内変動の波が大きくなり, トイレまでの歩行が困難な日もあった 8 ヶ月めに胆嚢炎を発症し, 再度寝たきりとなり, デイサービスは中止 訪問リハを週 3 回に増やし, 立ち上がりが出来るようになるまで回復 デイサービスも再開し, 現在に至る これからもよろしくお願いします 家族 ) デイサービスに行けるようになり, 助かりました CM) 奥さんが介護する状況で, 在宅生活が続いていることが素晴らしいです 高齢者は多くの疾患を併発しており, その悪化により, 身体機能の低下が著しくなります 疾患の改善とともに, 一時的に低下していた身体機能も改善できることがあるので, リハ職とともにその見通しを検討することが望まれます - 4 -

5 痛みにより退院後 1 ヶ月で寝たきりになったが, 自宅環境でのリハビリで, 活動が広がった事例 脳内出血 ( 重度の左片麻痺 )(70 代男性 ) 経過 入院時は毎日リハビリをしており, 車いす移乗も軽介助でできていました 自宅に退院しましたが, 痛みのため, 寝たきりに近い状態の生活になりました 疾患 : 脳血管疾患保険 : 介護保険 ( 要介護 4) 紹介 : ケアマネジャー 麻痺側に痛みがあり自分では身体を動かせない状態だった 妻がベッドから起こすことができず, ベッド状で 1 ヶ月ほど寝たきりの生活をしていた 短期 : 介助にてベッドで起きていられる時間が長くなる 長期 : 妻の介助にて車いすに乗り出掛けられる 麻痺側の関節可動域訓練にて痛みの軽減を図る 本人への動作指導 妻への介助方法指導 期間 6 ヶ月 妻の介助で, ベッドで起きられるようになった 徐々に車いすに移乗もでき, 一緒に台所で食事が取れるようになった 実際に分からない所を聞けるので良かった CM) 退院後すぐにリハビリに入ってもらえば良かった デイサービスの利用も考えたい 退院直後から訪問リハの導入をすれば良かったと思われる事例です 痛みがあると動きにくく, 寝たきりに陥りやすくなりますが, その悪循環を解消し, 生活のしやすさを工夫することで, 生活が一転しています - 5 -

6 成人になった脳性麻痺の方に, 筋緊張コントロールの再学習を図り, 介護負担の軽減を図った事例 脳性麻痺 ( アテトーゼ型四肢麻痺 )(40 代男性 ) 経過 元々, 緊張の強いタイプでしたが, 加齢とともにさらに筋緊張が高くなり, 自分の手で首を圧迫してしまったりすることがありました 車いすは足こぎで操作していました, 最近は難しくなっていました 疾患 : 脳性麻痺 保険 : 医療 紹介 : 本人 家族 日常生活全てが全介助だったが, 介助に協力しようとすると逆に全身が 硬くなってしまう傾向があった 作業所では, 足で書道を行っていたが, 座位が不安定になり, うまく書けなくなった 短期 : 介助法を検討し, 介助者に協力出来る 長期 : 電動車いすを屋内自走できるようになる 座位の安定 全身の緊張を高めないで動く練習 介助者と一緒に日常生活活動の練習 ( 福祉用具 環境調整 ) 電動車いす( 足操作 ) の作製, シーティングの調整 書字用自助具の作成 期間 6 ヶ月 移乗時に介助者とタイミングを合わせて立ち上がりが出来るようになっ た 電動車いすを作成したが, 実用的に操作できる場所は限られた 自走用車いすに前もたれ用テーブルを取り付け, 再び自走が可能となった 家族 ) 介助が少し楽になった 作業所職員 ) 書道が介助や座り直しせずに出来るようになり, 職員がそばを離れられるようになった 脳性麻痺のリハビリテーションは幼少期が重要と思われがちですが, 成人になっても, 筋緊張の調整や, 環境調整は重要です また, 車いすやシーティングの工夫により, 自分でできる活動も増えています - 6 -

7 自宅での生活に不安があったため, 退院直後から訪問リハにつながった事例 大腿骨頚部骨折 (60 代女性 ) 経過 転倒により受傷しました 急性期病院に入院し, 地域連携パス ( 注 1) により一般病院に転院し, リハビリを実施後自宅退院となっています 疾患 : 外傷 ( 骨折 ) 保険 : 介護保険 ( 要支援 2) 紹介 : 医療機関 杖歩行が見守り ~ 自立で生活に不安があった 短期 : 退院後の日常生活が安心して暮らせる 長期 : 転倒しないで, 屋外 ( 近隣 ) の散歩ができる 環境調整と不安解消のためのコミュニケーション 筋力トレーニング, ストレッチ 屋外 屋内歩行訓練 期間 週 1 回 (40 分 ~60 分 )3 ヶ月間 歩容が改善し, 歩行が安定した 転倒無く安全に暮らせるようになった 危険箇所を把握でき, 回避できるようになった 目標を決め, 短期間で終了できて良かった ( 注 1) 地域連携パスとは 急性期病院から回復期病院を経て自宅に帰り, かかりつけ医にかかるような診療計画 自宅での生活に不安がありましたが, 歩行に必要な環境調整や筋活動を調整した上で リハ職と一緒に屋内外の歩行を行うことにより自信がつきました, その結果, 生活上安全な移動が出来るようになっています 7

8 病院では積極的にリハの対象にならなかったが, 自宅環境でのリハで, 活動の拡大が図られた事例 大腿骨頚部骨折 (80 代女性 ) 経過 自宅で転倒して受傷しました 高齢であることから手術は行わず, 保存的に治療しました 入院中は, 積極的にリハビリテーションは行えず退院しています 疾患 : 外傷 ( 骨折 ) 保険 : 介護保険 ( 要介護 2) 紹介 : ケアマネジャー 元々, 変形性膝関節症で痛みがあった ベッドから車いすへの移乗は家族の見守りで行っていたが, 時々ブレーキをかけ忘れることがあった 短期 : 一人で, 車いすでトイレまで行けるようになる 長期 : 一人で, 歩いてトイレまで行けるようになる 下肢筋力トレーニング 立位訓練 歩行訓練 ( ベッド柵 ~ 歩行器 ~ 杖 ) 期間 6 ヶ月 歩行が徐々に安定していき, それとともに家族と出かける機会も増えた 美術館に行ったのをきっかけに以前から趣味だった絵画をはじめた あきらめなくて良かった 骨折の保存療法では入院中のリハは積極的には行えず, 退院に至る事例があります 退院後, 痛みが落ち着いた時期にリハを導入したことで, 歩行が出来るようになり, 趣味活動の再開など生活の広がりにつながっています 8

9 切断 を受け入れられなかった方が, 義足と車いすを併用した生活が出来るようになった事例 外傷による大腿切断 (50 代男性 ) 経過 けがで A 病院に入院し大腿部を切断しました 病院では治療用義足で歩行訓練,ADL 練習を行い退院しています 移動は車いす可能でしたが, 通院が難しく, 訪問によるリハビリテーションの紹介になりました 疾患 : 外傷 ( 切断 ) 保険 : 医療 紹介 : 医療機関 義足と杖を利用し, 歩行は, 屋内は見守りでできたが, 車いすを利用していた 座位でもバランスを崩す事があり, 入浴は介助が必要だった 立位では日常生活活動は行えない状態だった 歩行の機会が減っており, 体重が増加する可能性があった 短期 : 近隣を杖歩行で移動できる 歩道の傾斜や段差の昇降ができる 長期 : バランス能力, 筋力を向上させて, 歩行や ADL 動作の自立を目指す 拘縮予防 筋力強化運動 バランス強化運動 歩行練習 立位での日常生活活動の可能性検討 車いす生活の環境調整アドバイス 期間 6 ヶ月 杖歩行で近隣に散歩が出来るようになった 車への乗り降りや入浴動作が安定した 立位での日常生活活動の獲得には至らなかったので, 車いすでの生活環境を整えるアドバイスを行った 退院したときは障害を受け入れられなかったが, 実際に自宅でリハビリをしていくことで, 車いす生活と, 歩く生活をリハビリの人と一緒に考えられた 車いすと義足をうまく使い分けて生活していきたい 自宅での生活に不安がありましたが, 訪問リハの利用により, 一緒に新しい生活スタイルを考えられ, 義足の利用と車いすを併用する生活の見通しがつけられたようです 9

10 両下肢麻痺になっても, 杖や装具を使って歩くことを維持している事例 腰部脊柱管狭窄症 ( 両下肢筋力低下 ), 慢性腎不全 (60 代男性 ) 経過 突然歩けなくなり, 診断を受けましたが, 慢性腎不全のため手術ができず保存療法となりました 右下垂足 ( 足が下がってしまう状態 ) に対しては装具を使用し, 両ロフストランド杖にて何とか短距離は歩行が可能でした 疾患 : 脊椎疾患保険 : 介護保険 ( 要支援 2) 紹介 : 医療機関 両下肢の筋力低下が著明で, 特に足部と殿部の筋力が低下していた 日常生活はおおよそ自立しているが, 自宅周辺は坂が多く, 屋外歩行は駐車場程度まで 耐久性が低く, 転倒の危険があった 足部は, 運動している感覚や温度, 痛みの感じ方も低下していた 短期 : 自主トレーニングの習慣化長期 : 転倒無く自宅周辺を歩くことができ, 妻と一緒に外出を楽しむことができる 下肢, 足部, 体幹の柔軟性向上 ( ストレッチ等 ) 足指や足部の動きを再学習 筋力強化 立位バランス練習 期間 6 ヶ月継続中 自主トレーニングメニューの提供 屋外は伝い歩き ( 時々独歩 ) が可能になった 自宅周辺は坂を含めて散歩できるようになった 転倒は,1 度もなく過ごしている 本人 妻 ) 自己流の運動をしていた時より効果があった 少しずつ良くな っていくのを実感できている CM) 元々意欲がある方なので, このままできる所まで良くなってもらいたい 脊髄圧迫による麻痺のため, 改善を期待する積極的なリハではありませんが, 残存能力を最大限に引き出せるよう, 下肢の自己認識能力を高めるが効果的でした また 自主トレーニングにつなげたことも重要です 10

11 呼吸不全により活動時の息苦しさがあったが, 運動と環境調整により生活しやすくなった事例 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) (60 代女性 ) 経過 3 年程前に発症し, 在宅酸素 (HOT) を導入したため, 訪問看護を利用していました 1 年程前に訪問看護師から紹介があり訪問リハを開始しています 疾患 : 呼吸器疾患保険 : 介護保険 ( 要介護 2) 紹介 : 訪問看護 本人からは髪を洗うのがひどい, 動くと苦しくなるという訴え 肩の可動域制限, 筋力低下に加え, 動くと息苦しくなっていた 動くと息苦しくなる 動かない 動けなくなるという状態だった 入浴は, 特に洗髪で腕が重くなり, 息苦しさで休憩が頻回になるため, 3 時間かかり,1~2 週に 1 回程度の頻度であった 酸素流量を自己判断で調整していることが息苦しさの一因となっていた 短期 : 肩の可動域, 筋力向上により洗髪を楽にする 酸素流量を守る 自主リハビリを行うことにより息苦しさを軽減し, 活動量を向上さ せる 長期 : 入浴環境の整備によりさらに楽に入浴できるようになる 入浴時間の短縮, 頻度の向上 洗髪動作を想定した肩の可動域訓練及び筋力強化訓練 それら運動の実施による活動量の向上 自主トレーニングメニューの作成 ( 環境調整 ) 入浴環境の調整 ( シャワーチェア, シャンプーハット, 手すりの提案 ) 期間 6 ヶ月 リハビリは身体機能面のアプローチというイメージを持っている方が多いが, まず, 洗髪や動作時の息苦しさを軽減することを目的にリハを実施したことにより,PT を信頼し, 環境面へのアプローチを受け入れてくれるようになった その結果入浴動作が楽になった 髪を洗うのが楽になった 入浴の頻度が増え, 時間も減って助かった 呼吸器疾患は, 麻痺などが無いため, リハビリテーションの対象と考える方が少ないと思いますが, 運動量のコントロールや日常生活の工夫などにより生活のしやすさが得られることがあります 今回は 息苦しさの軽減 を軸にしたプログラムが信頼関係を高め 成果を上げています - 11 -

12 末期がんであったが, 本人 家族が日常生活を楽に行える方法の提案ができた事例 膵臓がん 多発肝転移 (60 代男性 ) 経過 昨年診断され,A 病院に入院し抗がん剤治療を行いましたが治療効果が得られず, 在宅で終末期医療を希望され, 退院しました 食欲不振や体力低下によるふらつきなどが見られたため, 訪問リハを希望しています 疾患 : 悪性腫瘍保険 : 介護保険 ( 要介護 1) 紹介 : 医療機関 妻と二人暮らし 頑固で自尊心の強い性格 ベッド上での起居動作や屋内歩行は可能だが, 倦怠感があり長く起きていられない 入浴は体調のいい時に妻の介助で行うが, 妻は介助方法を知らず負担を感じていた 呼吸や循環動態は安定していた 福祉用具の活用や動き方を学び, 負担の少ない生活を送る 1 ケアマネジャー, 福祉用具業者と訪問し, 浴室 トイレ 廊下などの動き方を確認し, 環境整備を検討した 予後と改修できる日程を確認し, 手すりの設置を行うことにした 歩行時のふらつきを軽減するための歩行器を導入した 2 妻に対し, ポジショニング ( 安楽姿勢の取り方 ), 介助方法を指導し, 負担の軽減を図った 3 歩行困難になってからは四肢の自 他動運動, 車いす座位での気分転換を図った 期間 週 2 回 1 ヶ月半 介入から 1 ヶ月は, 自力でトイレ歩行, 自宅浴室での入浴が行えた 歩行困難になっても, 車いすで外の空気を吸うことで笑顔が見られた 本人 ) まだ若いのでなるべく自分で自分の事ができて良かった 家族 ) 初めての介護で不安だったけど, コツを知ったらだいぶ楽になっ た 末期がんで余命 2 ヶ月の診断でしたが, 訪問リハを導入し, できるだけ日常生活を自分でできるよう, また, 妻の介護が楽になるよう福祉用具の導入や住宅改修による環境調整, 介助方法のコツなどをアドバイスし, 自宅での療養生活において身体状況の変化に合わせて支援した事例です - 12 -

13 頚随損傷により介護される生活であったが, 訪問リハの導入により, 活動に変化が見られた事例 頚随損傷による四肢麻痺 (C6BⅡ)(30 代男性 ) 経過 仕事中の事故 ( 落下物 ) で受傷しています 入院中は, 元々の怖がりの性格と筋力のなさからリハビリが思うように進まず, 生活の大部分に介助を必要としていました 疾患 : 外傷 ( 脊髄損傷 ) 保険 : 医療 紹介 : 保健師 退院から 1 年後に訪問開始 車いす自走は何とかできるが移乗 ( リフトの操作 ), 更衣などに介助を要 するため, 日中ほとんどベッド上で過ごす 麻痺のない肩周囲も廃用のため筋力が低下しており, また, 体幹, 下肢 の柔軟性も低下していた 精神的にも自分には何もできないと悲観していた 自分でできそうなこともヘルパーに頼りっぱなしで, 一人で日中を過ご すことができなかった 短期 : ペルパーを使って外出し, 衣類, 食べる物を自分で買う 長期 : ヘルパーに準備を手伝ってもらい, 友人と遊びに出掛ける帰宅したら自分でリフトを使い就寝できる ストレッチ ( 麻痺域の柔軟性を改善し, 起居動作や更衣を楽にする ) 筋力トレーニング ( 非麻痺域 ) リフト操作練習 ( ベッド上臥位からの起き上がり 車いすへの移乗 ) 更衣 ( 主に靴の着脱 ) 練習 ヘルパーとの外出訓練 ( 鞄を持つ 外に出て鍵をかけるなどの一連動作 ) 同じ障害を持つ仲間 ( ツインバスケ ( 車いすバスケ )) の紹介 期間 2 年間 最初は意欲が低く, 自分は何もできない とあきらめていたが, 障害者 スポーツへの参加をきっかけに, 自分と同じ状態の人が, 自立した生活 を送っていることを理解し, 自分でできることを増やしていった 外出準備のみヘルパーが入るが, その他の時間は一人または友人と過ご すことができるようになった 最終的にヘルパーの指示と見守りで, 電動車いすで外出すること, 帰宅 後は一人でベッドに戻ることができたが, 身体の柔軟性は低下したまま で, 更衣等の自立は困難であった 身体が硬くなる前にリハビリを受ければ良かった 若くして受傷しており 自分では何もできない という状態から, 訪問リハの活用, 障害者スポーツとの出会いをきっかけに, 意欲が高まり, 自身でできる活動が増えています 訪問リハの利用が退院して 1 年経ってからであり, 早期の訪問リハ導入が望まれた方です - 13 -

14ALS による病状の変化に伴う機能低下 ADL 低下に対し, 工夫をしながら長期にサポートした事例 ( その 1) ALS( 筋萎縮性側索硬化症 )(50 代男性 ) 経過 平成 年に転倒が増え歩行困難になり,ALS と診断されました その後, 訪問看護, リハビリが開始され, 自宅で過ごしましたが, 病状の進行のより, 入院になりました 疾患 : 神経筋疾患保険 : 介護保険 ( 要介護 1) 紹介 : 医療機関 発話, 食事は可能 起き上がりに時間がかかり, ベッドで過ごすことが 多い 車いす, ポータブルトイレへの移乗は可能であったが, 転倒したことも あり, 移動は車いす 短期 : 起き上がりや立ち上がりの安定長期 : 安全にポータブルトイレに移乗し排泄ができる 座って家族と過ごす時間を増やす 1 頚部 四肢 体幹ストレッチ 2 筋力強化運動 3 立ち上がり, 歩行器での歩行訓練 4 新たな福祉機器導入 車いす変更, 座圧分散クッション導入 5 ベッドの機能を利用した動作練習 リクライニング機能を利用した起き上がり動作練習 高さ調節機能を利用した移乗動作練習 期間 週 2 回 60 分 4 ヶ月 ベッドの機能を利用し起き上がり, 移乗動作ができるようになった 安楽な姿勢で過ごせるようになり, 居間で座って過ごす時間が増えた また, 自主トレーニングを行うようになった ポータブルトイレでの排泄は自分で行っていたが, 病状の進行により徐々に妻の介助を要するようになった 徐々に動くことが大変になっている 運動をしないと, 体が動かなくなるのではないかと不安に感じる 電動ベッドの使い方や, 福祉用具を教えてもらえるので助かる ( 病状の進行に伴う入院 - 入院期間 3 ヶ月 ) その 2 へ - 14 -

15ALS による病状の変化に伴う機能低下 ADL 低下に対し, 工夫をしながら長期にサポートした事例 ( その 2) ALS( 筋萎縮性側索硬化症 )(50 代男性 ) 経過 病状が進行し,3 ヶ月の入院を経て, 再度在宅での療養生活になりました 疾患 : 神経筋疾患保険 : 介護保険 ( 要介護 5) 紹介 : 医療機関 ( 病状の進行に伴う入院 - 入院期間 3 ヶ月 ) 再訪問時の様子 退院時 発話は困難で, 筆談 ジェスチャーでのコミュニケーション 全身の筋萎縮が進み,ADL は全介助 座位で足部のチアノーゼが見られる 痰が多く 1~2 時間毎に吸引が必要 短期 : 関節可動域の維持上肢機能の維持長期 : 車いすで過ごす時間を作る コミュニケーションの維持 1 関節可動域訓練 ( 四肢 頚部 胸郭 ) 2 上肢機能運動 3 呼吸介助, 排痰介助 4 リクライニング車いすへの離床 他職種と協力し, 身体状況の変化に応じたコミュニケーション手段の紹介 変更 期間 週 2 回 60 分 10 ヶ月 ベッド上での臥床時間が増えたが, ベッドの背もたれを起こしてテレビを見たり, ひげそりをそることは続けていた 車いす離床を続けることで, 足部のチアノーゼは軽減し,1 時間程度の離床は可能となった 徐々に上肢機能が低下し, ベッド上での整容や筆談は困難になり, 意思伝達装置や指さしによるコミュニケーションカードの導入となった どうしてこんな病気になったんだろう 車いすに座る時間をなるべく持ちたい ALS は, 病状の進行により,ADL 能力が変化するため, 機能訓練だけでなく, その時々に応じた生活上の工夫や環境の調整が求められます また, 他の関係者とチームとして, ご本人 ご家族の気持ちに寄り添いながら, 協力体制を持ち, 支援することが大切です - 15 -