(2) 自動車騒音及び道路交通振動対策に係る法体系自動車騒音及び道路交通振動対策に係る法律としては 昭和 42 年に制定された公害対策基本法 ( 平成 5 年より環境基本法 ) に基づく施策を実施するため 昭和 4 3 年に騒音規制法 昭和 51 年に振動規制法が制定された 自動車騒音に係る環境基準

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Ⅳ-2

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計画書

Ⅳ 騒音・振動の状況

単道調査第 号国道208号

単道調査第 号国道208号

Microsoft Word - 02上越市新CC_評価書_第2章地域概況_ doc

2 道路交通振動の測定結果全ての地点で昼間 夜間とも要請限度を下回った No 路線名測定地点 要請限度適否状況 昼間 夜間 1 一般国道 16 号線東逸見町 1 丁目 19 先 2 横浜横須賀道路阿部倉 32-7 先 3 横浜横須賀道路吉井 3 丁目 21-1 先 4 一般国道 134 号線大津町


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3 騒音に関する規制 (1) 騒音規制法 ア特定工場に関する規制 ( ア ) 規制地域の種別 a 規制区域の種別 第 1 種区域第 2 種区域第 3 種区域第 4 種区域 良好な住居の環境を保全するため 特に静穏の保持を必要とする区域 住居の用に供されているため 静穏の保持を必要とする区域 住居の用

(告示)新旧対照表

Microsoft Word - プレスリリース_2015

Microsoft Word - HP掲載用【最終版】

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資料 2-1 環境騒音現地調査結果 資料 2-1 環境騒音現地調査結果 騒音現地調査結果のうち 環境騒音の平日の調査結果は表 に 土曜の調査結 果は表 に 休日の調査結果は表 に示すとおりである 表 2-1-1(1) 環境騒音調査結果 ( 平日 )( 1) 調査地

車両の規制値 ) に示す協定規則第 51 号と同様の規制値とします なお 規制値は フェーズ 1 フェーズ 2 と 2 段階で強化されます ロ. 追加騒音規定 (ASEP) 要件 新たな加速走行騒音試験法の試験条件から外れたエンジン回転数で走行する場合に不適当な騒音の上昇を抑えることを目的として 乗

(2) 騒音 振動の防止対策 1 工場 事業場の規制基準工場 事業場の騒音及び振動は 騒音規制法 振動規制法及び静岡県生活環境の 保全等に関する条例によって規制されており 市長 ( 平成 23 年度までは県知事 ) が生活環境を保全する必要があるとして指定した地域内にあって 騒音や振動の発生が著しい

1 環境推進事業

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表 区域の区分 区域の区分第一種区域第二種区域第三種区域第四種区域 該当地域 都市計画法 ( 昭和 43 年法律第 100 号 ) 第 2 章の規定により定められた第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域都市計画法第 2 章の規定により定められた第一種中高層住居専用地域 第二種

尼崎市告示第 95 号騒音規制法の規定に基づく規制値息の指定及び区域の区分について騒音規制法第 3 条第 1 項の規定に基づき 特定工場等において発生する騒音及び特定建設佐合に伴って発生する騒音について規制する地域として 次の表の左欄に掲げる地域を指定し かつ その地域を同表の右欄に掲げる区域に区分

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Taro-04目次

Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

1 吾妻町 平成18年3月27日に東村と合併し東吾妻町になりました 2 六合村 平成22年3月28日に中之条町に編入しました 5.2-2



Microsoft Word - H22.11環境審議会資料3

と認めるときは 当該規制地域の周辺地域を管轄する市町村長の意見を聴くものとする (4) 規制地域の指定等の公示 ( 法第 6 条 ) 規制地域の指定をし 及び規制基準を定める( 変更 規制地域の指定の解除 規制基準を廃止 ) ときは 環境省令で定めるところ ( 省令第 7 条 広報に掲載 ) により

配慮事項 1 鉛の使用量 ( バッテリーに使用されているものを除く ) が可能な限り削減されていること 2 資源有効利用促進法の判断の基準を踏まえ 製品の長寿命化及び省資源化又は部品の再使用若しくは材料の再生利用のための設計上の工夫がなされていること 特に 希少金属類の減量化や再生利用のための設計上

(Microsoft Word -

PowerPoint プレゼンテーション

中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書【神奈川県】

平成 28 年度能代市騒音 振動調査 ( 抜粋 ) 指定地域の騒音調査 調査地点 : 能代市二ツ井町下野家後 二ツ井公民館裏駐車場 調査実施日 : 平成 28 年 11 月 7 日 10:00 ~ 平成 28 年 11 月 8 日 10:00 環境基準について 一般環境における環境基準値

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

騒音・振動の環境基準(要請限度)について

表 -1 平成 28 年度常時監視の評価区間及び基準点対象道路道路評価区間測定地点 ( 基準点 ) 車線数 ( 通称名 ) 種別始点 / 終点住所 / 用途地域国道 246 号線青葉台 3-1 青葉台 ( 玉川通り ) 8 国道青葉台 3-6 商業地域中根 1-24 八雲

リニア中央新幹線の騒音に係る 環境基準の類型の当てはめ方針について

自動車のエネルギー消費効率の算定等に関する省令に規定する国土交通大臣が告示で定める方法 ( 平成十八年三月十七日国土交通省告示第三百五十号 ) (10 15モード燃費値及びJC08モード燃費値の算定方法) 第一条自動車のエネルギー消費効率の算定等に関する省令 ( 昭和 54 年通商産業省 運輸省令第

対象道路 ( 通称名 ) 表 -1 車線数 国道 246 号線 ( 玉川通り ) 6 国道 渋谷経堂線 ( 淡島通り ) 4 平成 27 年度常時監視の評価区間及び基準点 道路 評価区間 測定地点 ( 基準点 ) 種別 始点 / 終点 住所 / 用途地域 4 都道 2 都道 4 都道 2 都道 都道

旧(現行)

私達の生活には 様々な種類の騒音が存在しています 音の大きさに限らず 地域や時間 帯によっては どのような音も騒音 になる可能性があります 平成 27 年度苦情件数の割合 鉄道 0.4% 騒音に関する地方公共団体への苦情件数は近年高い水準で横ばい傾向にあり その中でも 工場 事業場や建設作業から発生

エコカー減税グリーン化特例(自動車税 軽自動車税)(自動車税 軽自動車税)環境性能割車体課税の見直し ( 自動車重量税 自動車取得税 自動車税 軽自動車税 ) トラック バス タクシーについては 営自格差 を堅持するとともに 一部見直しを行った上で エコカー減税 グリーン化特例を 2 年間延長 また

騒音・振動

都市計画法に基づく手続きの予定スケジュール 岩手県事前協議 平成 8 年 5 月 ~7 月 住民説明会 平成 8 年 8 月 9 日 都市計画案の縦覧 ( 意見書の提出期間 ) 平成 8 年 9 月 5 日 ~9 月 0 日 釜石市都市計画審議会 平成 8 年 0 月中旬 岩手県本協議 平成 8 年

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表 新幹線鉄道騒音に係る環境基準 地域の類型環境基準該当地域 ( 都市計画法に定める用途 ) Ⅰ Ⅱ 70 デシベル以下 75 デシベル以下 備考トンネル上部 河川敷 工業専用地域等については適用されない 第 1 種 第 2 種低層住居専用地域 第 1 種 第 2 種中高層住居専用地域

資料 7-1 特殊車両の通行に関する指導取締要領の一部改正について 国土交通省関東地方整備局道路部交通対策課 1 (1) 特殊車両通行許可制度 2

自動車取得税の 税率の特例 ( 法附則第 12 条の 2 の 2 第 12 条の 2 の 3 第 12 条の 2 の 5) 電気自動車 ( 燃料電池自動車を含む ) 天然ガス自動車 対象車両新車中古車 平成 30 年排出ガス規制適合又は平成 21 年排出ガス規制 NOx10% 以上低減 プラグインハ

調布都市計画深大寺通り沿道観光関連産業保護育成地区の概要

平成 30 年 1 月現在禁無断転載 複製 7 平成 29 年度の税制改正の概要について エコカー減税 ( 自動車重量税 自動車取得税 ) の概要 適用期間 自動車取得税( 取得税 ): 平成 29 年 4 月 1 日 ~ 平成 31 年 3 月 31 日 自動車重量税( 重量税 ): 平成 29

Ⅲ 大 気 汚 染

指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

騒音・振動

とした 工事は 週 6 日 8 時 ~18 時の時間帯に実施する計画である 1,600 稼動台数 ( 台 / 月 ) 1, 月目 2 月目 3 月目 4 月目 5 月目 6 月目 7 月目 8 月目 9 月目 10 月目 11 月目 12 月目 13 月目 14 月目

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第 2 部 自動車騒音 道路交通振動調査結果

第 4 章騒音 振動 第 1 節騒音 振動の現状騒音 振動に共通して言えることは 共に感覚的 心理的なもので 人によってそれぞれ感じ方に違いがあり その影響が発生源とその周辺の地域に限られるなど 局地的な場合が多いという特徴があります また 騒音 振動の原因については 以前では工場及び事業場 建設作

速度規制の目的と現状 警察庁交通局 1


平成 29 年度自動車取得税の軽減措置について 平成 29 年度の自動車取得税の軽減措置について 次のとおり変更がありました 平成 29 年 4 月岐阜県 エコカー減税 及び 中古車の取得に係る課税標準の特例措置 の対象範囲を平成 32 年度燃費基準の下で見直し 政策インセンティブ機能を強化した上で

用途地域の指定のない地域の建築形態規制\(素案\)

(2) 交通公害の概要 ( ア ) 交通公害自動車 鉄道 航空機等による交通が 私たちの生活に不可欠なことは言うまでもありません これら交通の発達は 人口の都市集中と物流の飛躍的増大など多くの社会的効用を生み出した反面 大気汚染や騒音 振動などの交通公害を引き起こし 大きな社会問題となりました 本市

< 新車新規登録等時における自動車重量税の税額 > 平成 30 年 5 月 1 日以降に新車新規登録をする乗用車 ( 軽自動車及びハイブリッド自動車を除く ) については 排ガス規制要件を満たし かつ平成 27 年度燃費基準 +10% を達成している車両については 納付すべき税額がとなります 1.

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

< 軽量車 ( 車両総重量.5t 以下のバス トラック )> 天然ガス自動車 30 規制適合又はポスト新長期規制からOx0% 低減 ガガソソリリンンハ自イ動ブ車リッド自動車 平成 30 年排出ガス基準 50% 低減達成車又は平成 7 年排出ガス基準 75% 低減達成車 ( ) かつ 平成 7 年度燃

藤沢の環境

第29回地域活性化WG 資料

abiko.xps

1. 特定施設の届出書について 騒音 振動に係る特定施設設置届出書は 圧縮機や送風機等の工場又は事業場に設置される施設のうち 特に著しい騒音又は振動を発生させる施設のことを特定施設と定め 騒音規制法第 6 条第 1 項 振動規制法第 6 条第 1 項 和歌山県公害防止条例第 24 条 ( 第 25

国土交通省自動車交通局プレスリリース

スライド 1

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平成 31 年度の軽自動車税の税率について 平成 31 年度の軽自動車税は下記のとおりとなりますのでご確認ください 原動機付自転車 小型特殊自動車 二輪の小型自動車 軽二輪 区分 税率 原動機付自転車 小型特殊自動車 50cc 以下 90cc 以下 125cc 以下三輪以上のもの ( ミニカー )

Master_0103_Pdf.xls

Master_0103_Pdf.xls

都市計画の概要

筑西市の環境

下関市環境白書-資料編-(Ⅱ環境の状況(3騒音・振動))

Master_0103_Pdf.xls

通行禁止道路 について 道路標識又は道路標示によるもの 対象にするもの 車両通行止め道路 根拠規定道路標識 道路標示 ( 例 ) 道路交通法第 8 条第 1 項 自転車及び歩行者用道路 標識 302 同法第 8 条第 1 項 標識 325 の 3 歩行者用道路 同法第 8 条第 1 項 標識 325

自動車税 納税義務者 ( 法 123) 1 自動車の所有者に課税します ( 所有者課税 ) なお 割賦販売などで売主が自動車の所有権を留保している場合は 買主を自動車の所有者とみなして課税します 2 国または地方公共団体等が所有する自動車の貸与を受けてその自動車を使用する場合は その使用者が納税義務

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11下関市環境白書-資料編-(Ⅱ環境の状況(3騒音・振動))

大型建設機械の輸送に係る規制について

額をいう 以下この項において同じ )が 当該徴収期間の満了の日までに必要となる当該公社管理道路に係る第四項各号に掲げる費用の額の合計額から当該徴収期間の満了の日までに得ることとなる当該公社管理道路に係る第三項に規定する収入の額の合計額に相当する額を控除した額を超えない額とすること 二公社管理道路のう

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Ⅰ 用途地域指定の基本方針 1 用途地域別 市街地像 と指定の基本方針 1 2 境界の設定 4 3 用途地域見直しの時期 5 4 その他の地域地区や地区計画の活用 6 Ⅱ 用途地域の指定基準 第一種低層住居専用地域 7 第二種低層住居専用地域 9 第一種中高層住居専用地域 11 第二種中高層住居専用

資料 四輪車の加速走行騒音規制について ( 乗用車 小型車 ) 現行加速走行騒音試験法の課題 新加速走行騒音試験法の概要 国内走行実態との比較による新加速走行騒音試験法の検証 1

筑豊広域都市計画用途地域の変更 ( 鞍手町決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する 種類 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域 面積 約 45ha 約 29ha 建築物の容積率 8/10 以下 8/10 以下 建築物の建蔽率 5/10

新車販売台数のシェア 分析の前提条件 燃費 [km/l] 燃料種別新車販売台数のシェアは 自動車産業戦略 の平成 42 年度のシェアに向かって線形に変化し 技術開発等により乗用車販売平均燃費も改善すると仮定 2 この仮定を踏まえつつ 平成 27 年度燃費基準と平成 32 年度燃費基準の

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参考資料参考資料第 4 章 騒音に関する環境基準 騒音に関係する環境基準としては 一般地域 道路に面する地域に適用する 騒音に係る環境基準 飛行場周辺に適用される 航空機騒音に係る環境基準 新幹線鉄道沿線に適用される 新幹線鉄道騒音に係る環境基準 の3つが定められています そのうち

Transcription:

自動車騒音 振動対策の現状 (1) 自動車騒音及び道路交通振動対策の体系自動車本体からの騒音は エンジン 吸排気系 駆動系 タイヤ等から発生し 交通量 車種構成 速度 道路構造 沿道土地利用等の各種要因が関与して 沿道の自動車騒音問題を発生させている また 振動についても 自動車重量 走行条件及び路面の平坦性 舗装構造等の道路構造等の要因が作用して問題を発生させている これらの騒音 振動問題の対策は 騒音 振動の発生 伝達過程に対応して 発生源対策 交通流対策 道路構造対策及び沿道対策に分類される 自動車騒音対策の体系を図 3-3-1に示す 発生源対策 自動車構造の改善 交通流対策道路網の整備 物流の合理化 旅客輸送の合理化 自動車騒音対策 交通規制等道路構造対策基本構造遮へい施設の設置環境施設帯等の設置 路面の改良等 その他 沿道対策緩衝空間の設置 緩衝建築物の配置 沿道住宅の防音化 環境教育 啓発 図 3-3-1 自動車騒音対策の体系 - 97 -

(2) 自動車騒音及び道路交通振動対策に係る法体系自動車騒音及び道路交通振動対策に係る法律としては 昭和 42 年に制定された公害対策基本法 ( 平成 5 年より環境基本法 ) に基づく施策を実施するため 昭和 4 3 年に騒音規制法 昭和 51 年に振動規制法が制定された 自動車騒音に係る環境基準については 公害対策基本法に基づき 人の健康を保護し 生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準として昭和 46 年に制定された その後 平成 10 年 5 月の 騒音の評価手法等の在り方について の中央環境審議会答申を受けて 平成 10 年 9 月に 騒音レベルの中央値 (L 50 ) から等価騒音レベル (L :eq ) への評価手法の変更及び基準値等の改正がなされている ( 平成 11 年 4 月 1 日施行 ) 騒音規制法においては 昭和 45 年の改正によって自動車騒音が規制対象に追加され 自動車単体から発生する騒音に関して 自動車騒音の大きさの許容限度 が定められた また 自動車騒音が環境省令で定める限度 ( 要請限度 ) を超え 道路周辺の生活環境が著しく損なわれていると市町村長が認める場合に 都道府県公安委員会に対し交通規制等の措置をとるべきことの要請や 道路管理者に対し道路構造の改善等に関する意見を述べることができるものとされている なお 要請限度についても 環境基準の改正に続いて 平成 12 年 3 月に等価騒音レベルへの評価手法の変更及び基準値等の改正がなされたところである ( 平成 12 年 4 月 1 日施行 ) 一方 自動車騒音防止対策の推進を図るため 道路環境保全のための道路用地の取得ならびに管理に関する基準について ( 昭和 49 年建設省通達 ) 及び 高速自動車国道等における騒音に係る障害の防止について ( 昭和 51 年建設省通達 ) 等が定められ 道路管理者において 環境施設帯の設置及び民家等の防音工事助成が進められてきた また 幹線道路の周辺を中心として 自動車騒音により生じる障害の防止と適切かつ合理的な土地利用を図り もって円滑な道路交通の確保と良好な市街地の形成に資するため 幹線道路の沿道の整備に関する法律 が昭和 55 年に制定され 平成 8 年には沿道整備計画の拡充 沿道の整備を促進するための措置の拡充等の改正が行われている 道路交通振動については 振動規制法において道路交通振動の要請限度が定められている これらの法体系を下記に示す - 98 -

環境基本法 騒音規制法 環境基準の設定 (16) 規制の措置 (21-1) 自動車騒音の定義 (2-4) 騒音に係る環境基準 騒音規制法 振動規制法 自動車騒音の限度 ( 要請限度 ) (17) 自動車騒音の大きさの許容限度 交通規制の要請 (17-1) 道路構造の改善等に関する意見 (17-3) (16) 環境大臣への報告 (18-2) 自動車騒音の常時監視 (18) 公表 (19) 振動規制法 道路運送車両法 道路交通法 道路交通振動の定義 (2-4) 道路交通振動の限度 ( 要請限度 ) (16) 自動車及び原動機付自転車の定義 (2-2 3) 道路運送車両の保安基準 (40 41 44) 道路運送車両の整備 (47 48 54) 道路運送車両の検査 (59 62 63) 整備不良車の運転禁止等 (62 63) 公安委員会の交通規制 (4-1) 道路補修等の要請 (16-1) 交通規制の要請 (16-1) 道路管理者の措置 (16-3) 騒音防止装置 (41) 消音器 (44) 交通公害防止の交通規制 (110-21) 注 ( ) 内の数字は 各法律の条項を示す - 99 -

(3) 自動車騒音の許容限度自動車本体の騒音発生量については 騒音規制法第 16 条により自動車騒音の大きさの許容限度を定めることとなっており この許容限度は自動車の装置や構造等と密接不可分の関係にあることから 道路運送車両法に基づく保安基準により確保されることとなっている 許容限度については 昭和 46 年に定常走行騒音 排気騒音及び加速走行騒音に対する規制が導入された その後 これらの騒音について逐次規制強化がなされてきたが 特に 昭和 51 年 6 月の中央公害対策審議会の答申に基づく昭和 54 年以降の加速走行騒音の規制強化においては 昭和 46 年規制と比較して6~11 デシベルの大幅な低減が行われた また 不正改造等による騒音を抑止するため 従来の排気騒音測定方法に代えて 街頭における騒音測定が容易な近接排気騒音測定方法による規制が 昭和 61 年から平成元年までの間に段階的に全車種に対して導入されてきた また 中央公害対策審議会に平成 3 年 6 月に諮問された 今後の自動車騒音低減対策のあり方について の中間答申が平成 4 年 11 月に行われ 加速走行騒音について許容限度設定目標値が示された 車種により1 ~3デシベル低減を図ることとしており 達成時期については 車種によって6 年以内又は10 年以内に達成するよう努めるものとしている このうち 6 年以内に達成するものとされた車種については平成 8 年 12 月に 10 年以内に達成するよう努めるものとされた車種については平成 9 年から平成 12 年までの3 回の告示により 答申の許容限度設定目標値に沿った形で 許容限度の改正が行われた 加速走行騒音の規制基準の推移を図 3-3-3に示す さらに 環境基本法の制定により新たに中央環境審議会が設置されたことに伴い 改めて平成 5 年 11 月に諮問された 今後の自動車騒音低減対策のあり方について ( 自動車単体対策関係 ) の答申が平成 7 年 2 月に行われ 定常走行騒音及び近接排気騒音の低減のための許容限度設定目標値が示された 定常走行騒音については 新車について昭和 46 年規制と比較して1~6.1デシベル低減を図り 近接排気騒音については 使用過程車を含め車種により3~11デシベル低減を図ることとしており 達成時期についてはいずれも平成 4 年の中間答申から 6 年以内又は10 年以内に達成するよう努めるものとされた 加速走行騒音と同様に 6 年以内に達成するものとされた車種については平成 8 年 12 月に 10 年以内に達成するよう努めるものとするとされた車種については平成 9 年から平成 12 年の3 回の告示によって 答申の許容限度設定目標値に沿った形で 許容限度の改正が行われた 定常走行騒音及び近接排気騒音の車種別の規制強化の推移を図 3-3-4に示す - 100 -

1 乗用車 5 二輪自動車 ( 小型 ) 84 テ シヘ ル 46/4(46 年規制 ) 86 テ シヘ ル 46/4 (46 年規制 ) 82テ シヘ ル 81テ シヘ ル 78テ シヘ ル 76テ シヘ ル 57/10(57 年規制 ) 52/1(52 年規制 ) 54/1 ガソリン車 54/4 ディーゼル車 (54 年規制 ) H10/10 乗車定員 6 人以下 (H10 年規制 ) 83 テ シヘ ル 78 テ シヘ ル 75 テ シヘ ル 51/1 (51 年規制 ) 54/4 (54 年規制 ) 62/10 (62 年規制 ) 76 テ シヘ ル H11/10 乗車定員 6 人超 (H11 年規制 ) 73 テ シヘ ル 5% H13/10 (H13 年規制 ) 2 大型車 5 二輪自動車 ( 軽 ) 92 テ シヘ ル 46/4(46 年規制 ) 84 テ シヘ ル 46/4 (46 年規制 ) 89テ シヘ ル 86テ シヘ ル 83テ シヘ ル 51/1 (51 年規制 ) 54/1 ガソリン車 (54 年規制 ) 54/4 ディーゼル車 59/10 大型バス (59 年規制 ) 61/12 全輪駆動車 トラクター及びクレーン車 83テ シヘ ル 78テ シヘ ル 79% 51/1 (51 年規制 ) 54/4 (54 年規制 ) 81テ シヘ ル 82テ シヘ ル 81テ シヘ ル 10% H10/10 大型バス (H10 年規制 ) H13/10 全輪駆動車 トラクター及びクレーン車 (H13 年規制 ) H13/10 大型トラック (H13 年規制 ) 75テ シヘ ル 73テ シヘ ル 60/10 (60 年規制 ) H10/10 (H10 年規制 ) 3 中型車 7 原動機付自転車 ( 第一種 ) 89 テ シヘ ル 46/4(46 年規制 ) 80 テ シヘ ル 46/4 (46 年規制 ) 87テ シヘ ル 86テ シヘ ル 83テ シヘ ル 51/1(51 年規制 ) 54/1 ガソリン車 (54 年規制 ) 54/4 ディーゼル車 58/10 (58 年規制 ) 79 テ シヘ ル 75 テ シヘ ル 32% 79% 51/1 (51 年規制 ) 54/4 (54 年規制 ) 80 テ シヘ ル H12/10 中型バス (H12 年規制 ) 72 テ シヘ ル 59/1 (59 年規制 ) 81 テ シヘ ル 80 テ シヘ ル H13/10 全輪駆動車 (H13 年規制 ) H13/10 中型トラック (H13 年規制 ) 71 テ シヘ ル H10/10 (H10 年規制 ) 4 小型車 8 原動機付自転車 ( 第二種 ) 85 テ シヘ ル 46/4(46 年規制 ) 82 テ シヘ ル 46/4 (46 年規制 ) 83 テ シヘ ル 52/1(52 年規制 ) 79 テ シヘ ル 51/1 (51 年規制 ) 81 テ シヘ ル 40% 54/1 ガソリン車 54/4 ディーゼル車 (54 年規制 ) 75 テ シヘ ル 54/4 (54 年規制 ) 78 テ シヘ ル 76 テ シヘ ル 59/10 小型トラック バス (59 年規制 ) 60/10 全輪駆動車 (60 年規制 ) H11/10 車両総重量 1.7t 以下 ( 軽自動車以外 ) ボンネット型軽自動車 (H11 年規制 ) 72 テ シヘ ル 71 テ シヘ ル 10% 61/10 (61 年規制 ) H13/10 (H13 年規制 ) 76 テ シヘ ル H12/10 車両総重量 1.7t 超 ( 軽自動車以外 ) キャブオーバ型 ( ボンネット型以外 ) の軽自動車 (H12 年規制 ) 注 1 規制値を音のエネルギーに換算し 46 年規制を とした 図 3-3-3 加速走行騒音の規制基準 - 101 -

定常走行騒音近接排気騒音 1 大型車 80テ シヘ ル (84.0テ シヘ ル) 82 テ シヘ ル 2.0 83 テ シヘ ル 1.0 82 テ シヘ ル 2.0 2 中型車 78テ シヘ ル (84.0テ シヘ ル) 79 テ シヘ ル 3.0 80 テ シヘ ル 2.0 79 テ シヘ ル 3.0 3 小型車 74テ シヘ ル (78.0テ シヘ ル) 74 テ シヘ ル 4.0 74 テ シヘ ル 4.0 4 乗用車 70テ シヘ ル (74.0テ シヘ ル) 72テ シヘ ル 2.0 72 テ シヘ ル 2.0 5 二輪自動車 74テ シヘ ル (78.1テ シヘ ル) (75.1テ シヘ ル) 71テ シヘ ル 4.1 72 テ シヘ ル 6.1 79% 40% 40% バス H10/10(H10 年規制 ) 全輪駆動車 トラック クレーン車 H13/10( 平成 13 年規制 ) トラック H13/10 (H13 年規制 ) 全輪駆動車以外のバス H12/10(H12 年規制 ) 全輪駆動車 H13/10(H13 年規制 ) 全輪駆動車以外のトラック H13/10(H13 年規制 ) 車両総重量 1.7t 以下 ( 軽自動車以外 ) ボンネット型自動車 H11/10(H11 年規制 ) 車両総重量 1.7t 超 ( 軽自動車以外 ) キャブオーバ型 ( ボンネット型以外 ) の軽自動車 H12/10(H12 年規制 ) 6 原動機付自転車 70テ シヘ ル (71.1テ シヘ ル) (69.6テ シヘ ル) 65テ シヘ ル 4.6 68 テ シヘ ル 3.1 39% 35% 49% 乗車定員 6 人以下 H10/10(H10 年規制 ) 乗車定員 6 人超 H11/10(H11 年規制 ) 軽二輪車 H10/10(H10 年規制 ) 小型二輪車 H13/10(H13 年規制 ) 第一種 H10/10(H10 年規制 ) 第二種 H13/10(H13 年規制 ) 注 ) 1 規制値を音のエネルギーに換算し 昭和 46 年規制値を とした 2 S46 年規制の ( ) 内の数値は 定速度及び測定位置の変更による現行規制値の換算値を示す 3 内は S46 年規制値の換算値からの削減量を示す 4 測定方法は付属資料 3-14 参照 1 大型車 107 テ シヘ ル 99 テ シヘ ル 8 99 テ シヘ ル 8 99 テ シヘ ル 8 2 中型車 105 テ シヘ ル 98 テ シヘ ル 7 98 テ シヘ ル 7 3 小型車 103 テ シヘ ル 97 テ シヘ ル 6 97 テ シヘ ル 6 4 乗用車 103 テ シヘ ル 100 テ シヘ ル 96 テ シヘ ル 7 100 テ シヘ ル 3 96 テ シヘ ル 7 5 二輪自動車 99 テ シヘ ル 94 テ シヘ ル 5 94 テ シヘ ル 5 バス H10/10(H10 年規制 ) トラック H13/10 (H13 年規制 ) H 元 /6(H 元年規制 ) 全輪駆動車 トラック クレーン車 H13/10( 平成 13 年規制 ) H 元 /6(H 元年規制 ) 全輪駆動車以外のバス H12/10(H12 年規制 ) 全輪駆動車全輪駆動車以外のトラック H13/10(H13 年規制 ) H 元 /6(H 元年規制 ) 車両総重量 1.7t 以下 ( 軽自動車以外 ) ボンネット型軽自動車 H11/10(H11 年規制 ) 車両総重量 1.7t 以下 ( 軽自動車以外 ) キャブオーバ型 ( ボンネット型以外 ) の軽自動車 H12/10(H12 年規制 ) 32% 32% 6 原動機付自転車 95 テ シヘ ル 84 テ シヘ ル 11 90 テ シヘ ル 5 S63/6(S63 年規制 ) リヤエンジン車乗車定員 6 人以下 H10/10(H10 年規制 ) リヤエンジン車以外 リヤエンジン車乗車定員 6 人超 H10/10(H10 年規制 ) リヤエンジン車以外 32% 軽二輪車 H10/10(H10 年規制 ) S61/6(S61 年規制 ) 小型二輪車 H13/10(H13 年規制 ) 第一種 H10/10(H10 年規制 ) 第二種 H13/10(H13 年規制 ) S61/6(S61 年規制 ) 注 ) 1 規制値を音のエネルギーに換算し 昭和 46 年規制値を とした 2 内は S46 年規制値の換算値からの削減量を示す 3 測定方法は付属資料 3-14 参照 図 3-3-4 定常走行騒音及び近接排気騒音の規制強化の推移 - 102 -

(4) 自動車騒音 道路交通振動の要請限度騒音規制法第 17 条において 市町村長が騒音規制法第 21 条の2に基づく測定を行った場合において 自動車騒音が環境省令で定める限度 ( 要請限度 ) を超え 道路周辺の生活環境が著しく損なわれていると認める場合に 都道府県公安委員会に対し信号機や道路標識の設置 通行禁止や速度制限等の道路交通法の規定による措置をとるべきことを要請するものとされている また 測定を行った場合において必要があると認めるときは 道路管理者に対し当該道路の構造改善などについて意見を述べることができる 要請限度は騒音規制法第 17 条に基づき環境省令において定められており 平成 12 年 3 月には等価騒音レベルへの騒音の評価手法の変更等の改正がなされている ( 表 3-3-1 参照 ) 道路交通振動については 振動規制法第 16 条の規定に基づき 表 3-3-2のとおり 道路交通振動の要請限度が定められている 要請限度を超えている場合には 市町村長は道路管理者に対し 振動防止のための舗装 維持または修繕の措置の要請 また 公安委員会には交通規制の措置を要請することができる さらに 同条第 3 項では道路管理者は必要に応じそれらの措置をとることとなっている 表 3-3-1 自動車騒音の要請限度 等価騒音レベル ( 単位 : デシベル ) 区域の区分 昼間 時間の区分 夜間 a 区域及び b 区域のうち 1 車線を有する道路に面する区域 65 55 a 区域のうち 2 車線以上の車線を有する道路に面する区域 70 65 b 区域のうち 2 車線以上の車線を有する道路に面する区域及び c 区域のうち車線を有する道路に面する区域 75 70 幹線交通を担う道路に近接する区域 (2 車線以下の車線を有する道路の場合は道路の敷地の境界線から 15m 2 車線を超える車線を有する道路の場合は道路の敷地の境界線から 20m までの範囲 ) に係る限度は 昼間においては 75 デシベル 夜間においては 70 デシベル 注 1 区域の区分 a 区域 : 第 1 種低層住居専用地域 第 2 種低層住居専用地域 第 1 種中高層住居専用地域 第 2 種中高層住居専用地域 b 区域 : 第 1 種住居地域 第 2 種住居地域 準住居地域 用途地域の指定のない地域 c 区域 : 近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 注 2 時間の区分昼間 : 午前 6 時 ~ 午後 10 時夜間 : 午後 10 時 ~ 翌日の午前 6 時 - 103 -

表 3-3-2 道路交通振動の要請限度 80% レンジの上端値 ( 単位 : デシベル ) 区域の区分用途地域昼間夜間 第 1 2 種低層住居専用地域 第 1 2 種中高層住居専用地 第 1 種区域 域 第 1 2 種住居地域 準住居地域 用途地域の指定のな い地域 65 60 第 2 種区域近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 70 65 注 1 昼間 : 午前 6 時 ~ 午後 9 時 夜間 : 午後 9 時 ~ 翌日の午前 6 時 - 104 -