力学 A 金曜 限 : 松田 微分方程式の解き方 微分方程式の解き方のところが分からなかったという声が多いので プリントにまとめます 数学的に厳密な話はしていないので 詳しくは数学の常微分方程式を扱っているテキストを参照してください また os s は既知とします. 微分方程式の分類 常微分方程式とは 独立変数 と その関数 その有限次の導関数 がみたす方程式 F,,, = のことです 次までの導関数を含む方程式を 次の常微分方程式 あるいは 階の常微分方程式 と呼びます 通常 力学では 次の微分方程式までしか出てきません 力学の基本方程式が F = と 時間に対して 次の微分までしか含んでいないからです 独立変数がつではなく複数あるときには それぞれの独立変数についての偏導関数がみたす方程式を考えることになります これを偏微分方程式といいますが ここでは扱いません 以降 常微分方程式を単に微分方程式と呼びます F,,. が関数と導関数に対して 次式になっている微分方程式を 線形微分方程式と呼びます は 次式ではなくてもよいことに注意しましょう 線形微分方程式は 一般に f と書けますが ここでそれぞれの導関数の係数 が定数になっている方程式を 定数係数の線形微分方程式といいます また f
の右辺の f が になっている を 斉次 線形 微分方程式といいます. 定数係数線形微分方程式の解き方. 微分演算子と微分多項式 定数係数の線形微分方程式は 一般に f の形に書くことができます で割って最高次の導関数の係数をにしました ここで 見やすくするために 微分演算子 / を と書くことにしましょう すると / は / は と書くことができます このとき左辺は P f と書けます ここで P は 微分演算子の多項式で これ自身も演算子になっています これを微分多項式と呼びます を微分するときのことを考えると これを繰り返して 一般には P P が成り立つことが分かります
. 定数係数斉次線形微分方程式の解き方定数係数斉次線形微分方程式は 微分演算子を使って 一般に P と書くことができます このとき 微分多項式 P に対応する 多項式 P の因数分解を行うと見通しがよくなります 簡単な微分方程式から順に見ていきましょう 一番簡単な微分方程式は = です もちろん この解は = は定数 です 一般に ただし,,, は定数 と解くことができます では 次に = を考えてみましょう 先ほどの公式を使えば となりますね 行目から 行目は両辺に左から を掛け 行目から 行目へは先ほどの公式を使っています を掛けるときに右から掛けないように注意しましょう 微分演算子 はその右側にある関数すべてに掛かりますから 右から掛けてしまうと全く違う等式をいきなり持ち出したことになります 同様に = を考えてみると と解くことができます
次に =, ただし を考えます つねに が成り立ちますから この方程式の解 も と分解して書けるはずです 第 項を 第 項を と置きましょう すると となります よって は = の解であり は = の解であるということが分かりました まとめると = の解 は = の解 と = の解 との和 つまり = + と書けることになります 一般に PQ =, P, Q は互いに素な多項式 と書けるとき この方程式の解は = + と書くことができて そのとき は P = の解 は Q = の解 となります 力学では ほとんどの場合 次の微分方程式までしか出てきませんから 結局 以下のようにまとめられます = = = ただし = + = = + ここで や が複素数のときはどうなるのでしょう? この と を と置くと 微分方程式の解は と書けます このとき, も複素数の定数です 実際に物理の問題として微分方程式を解くときには 初期条件から, を決めると自動的に が常に実数になります ですからあまり心配する必要はないのですが ここでは実数解の形を求めておきましょう
さきほどの定数を, と書いたとします すると s os s os s os s os s os s os s os s os ですから この実数部は s os R B A A, B は実数の定数 となります これを公式として覚えてしまってもいいでしょう 例 : 次方程式 の解は, なので この微分方程式の解は, は定数 7 次方程式 7 の解は なので この微分方程式の実数解は s os B A A, B は定数
. 定数係数非斉次線形微分方程式の解き方 非斉次線形微分方程式 P f の解 は 斉次微分方程式 P の解 X と 非斉時微分方程式の解の一つ を用いて = X + と書けます このとき を非斉時微分方程式の特解といいます 斉次微分方程式の解 X の求め方は前節で述べました を求める一般的な方法はあるのですが 現実的にはとても大変です むしろ よく出てくる形について どう求めるかを覚えてしまったほうが得です 最も簡単な場合は P は定数 となっているときです = = = = ですから P が成り立ちます つまりこのとき P ならば = /P となります また P ならば多項式 P は P= p Q, Q は Q である多項式 と書けるはずで Q = の解の一つが /Q であることを考 えると p が導かれます Q p! 次に f が の多項式になっている場合を考えます まず = の場合 右辺の f が 次の多項式の場合でも同じです が成り立ちますから 上の式の右辺が + 次の微分を含んでいることに注意 これを にほどこして つまり が = の一つの解になります 上のやり方をベースにして P = の場合を考えます もし P ならば P で両辺を割って P = とすることができます そのとき P = Q Q は微分多項式 と書きなおすことができます Q = の場合を考えると 上と同様に Q Q Q が成り立つので これを にほどこして Q Q Q Q P Q Q つまり Q Q が Q = の一つの解になります
もし P ならば P = p Q Q は Q である多項式 と書けるはずので P = Q p = と考えて p を求め そのあとで p 回積分すれば一つの解を求めることができます 例 : 上の式の 行目から 行目 行目から 行目へは 以上の項を落としています 多項式が に対して 次なので 次以上の微分がゼロになりますから 最後のパターンは P = f が の多項式 指数関数になっている のときです P P を用いて この微分方程式を変形します P P P となるので 前に説明した方法で を求めることができます 上の考え方は P = os などと f が の多項式 三角関数 にな っているときにも使うことができます このときは os s を思い出して まず P = という方程式を解きます 求められる解は = の多項式 という形をしていますが この解を虚部と実部に分けてその対応する部分だけをとりだせば 上の例の os の場合には実部を取り出せば それがもともとの方程式の解になっています
例 : 例 : ここで は / os / s となる角である