政策課題分析シリーズ16(付注)

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( 第 1 段階 ) 報酬比例部分はそのまま定額部分を段階的に廃止 2 年ごとに 1 歳ずつ定額部分が消える ( 女性はすべてプラス 5 年 ) 報酬比例部分 定額部分 S16 S16 S18 S20 S22 4/1 前 4/2 ~4/2 4/2 4/2 4/2 ~~~

再任用と年金加入の関係をまとめると次のようになる ( 都道府県によって勤務形態は異なる ) 再任用の勤務形態フルタイム勤務 3/4 1/2 週の勤務時間 38 時間 45 分 29 時間 19 時間 15 分 共済年金 厚生年金 (2016 年 9 月 30 日まで ) 加入する年金 (2015 年

一元化後における退職共済年金および老齢厚生年金の在職支給停止 65 歳未満の場合の年金の支給停止計算方法 ( 低在老 ) 試算表 1 年金と賃金の合算額が 28 万を超えた場合に 年金額の支給停止 ( これを 低在老 といいます ) が行われます 年金と賃金の合算額 (c) が 28 万以下の場合は

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スライド 1

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2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

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150130【物価2.7%版】プレス案(年金+0.9%)

問題の背景 高齢者を取り巻く状況の変化 少子高齢化の急速な進展 2015 年までの労働力人口の減少 厚生年金の支給開始年齢の段階的引き上げ 少なくとも 年金開始年齢までは働くことのできる 社会 制度づくり ( 企業への負担 ) 会社にとっての問題点 そしてベストな対策対策が必要に!! 2

障害基礎年金 障害厚生年金 労災補償年金の属性別受給内容 以下の表に 個人事業主 法人経営者 個人事業の労働者 法人会社の労働者別に障害基礎年金 障害厚生年金 障害補償年金を受給できるか できないかを一覧表にしてみました 国民年金厚生年金労災 障害基礎年金障害厚生年金障害補償年金 1 個人事業主 2

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平成 30 年 1 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 6 千億円 (1.3%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

平成 30 年 2 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 7 千億円 (1.4%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

2. 年金額改定の仕組み 年金額はその実質的な価値を維持するため 毎年度 物価や賃金の変動率に応じて改定される 具体的には 既に年金を受給している 既裁定者 は物価変動率に応じて改定され 年金を受給し始める 新規裁定者 は名目手取り賃金変動率に応じて改定される ( 図表 2 上 ) また 現在は 少

平成25年4月から9月までの年金額は

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はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

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被用者年金一元化法

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(2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職 再就職 老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 ( 一部又は全額支給停止 ) 3 年金決定請求 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありますの

52 (2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業 無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職再就職老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 3 年金決定請求 ( 一部又は全額支給停止 ) 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありま

労働法令のポイント に賞与が分割して支払われた場合は 分割した分をまとめて 1 回としてカウントし また 臨時的に当該年に限り 4 回以上支払われたことが明らかな賞与については 支払い回数にカウントしない ( 賞与 として取り扱われ に該当しない ) ものとされている 本来 賞与 として取り扱われる

年金・社会保険セミナー

図 1 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 65 歳 生年月日 60 歳到達年度 特別支給の 男性 S24.4.2~S 平成 21~24 年度 女性 S29.4.2~S 平成 26~29 年度 男性 S28.4.2~S 女性 S33.4.2~S35.

労災年金のスライド

平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

特例法による年金記録修正における想定問

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老齢基礎年金 老齢基礎年金は 国民年金の加入者であった方の老後の保障として給付され 65 歳になったときに支給されます 老齢基礎年金は 保険料納付済期間 ( 厚生年金保険や共済組合の加入期間を含む ) と保険料免除期間などを合算した資格期間が 10 年以上ある場合に 終身にわたって受け取ることができ

60 歳代前半に比べてデータが乏しいが 60 歳代前半についての推定結果を利用したシミュレ ーション的な手法によって 簡単な分析を行った 第 5 節で 60 歳代後半の在職老齢年金の 仕組み 分析方法について述べ 分析結果を示す 最後に 第 6 節で本稿の結論を述べる 第 2 節在職老齢年金 高年齢

平成 28 年 9 月度実施実技試験 損保顧客資産相談業務 139

表 2 イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けることができます 支給要件 a 組合員期間が1 年以上あること b 組合員期間等が25 年以上あること (P.23の表 1 参照 ) c

平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

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政策課題分析シリーズ16(本文3)

中小企業の退職金制度への ご提案について


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他の所得による制限と雇用保険受給による年金の停止 公務員として再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額停止となり 特別 ( 本来 ) 支給の老齢厚生年金の一部または全部に制限がかかることがあります なお 民間に再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額支給されますが

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退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ


強制加入被保険者(法7) ケース1

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無年金・低年金の状況等について

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はしがき 配偶者控除 と 配偶者特別控除 は 昭和 36 年と昭和 62 年の税制改正で導入された歴史ある制度です ここ数年 配偶者控除の改正について様々な議論が行われてきましたが 平成 29 年度税制改正において 就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

あえて年収を抑える559万人

厚生年金 健康保険の強制適用となる者の推計 粗い推計 民間給与実態統計調査 ( 平成 22 年 ) 国税庁 5,479 万人 ( 年間平均 ) 厚生年金 健康保険の強制被保険者の可能性が高い者の総数は 5,479 万人 - 約 681 万人 - 約 120 万人 = 約 4,678 万人 従業員五人

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

平成16年度社会保険事業の概況

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2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

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年金改革の骨格に関する方向性と論点について

( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

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いずれも 賃金上昇率により保険料負担額や年金給付額を65 歳時点の価格に換算し 年金給付総額を保険料負担総額で除した 給付負担倍率 の試算結果である なお 厚生年金保険料は労使折半であるが 以下では 全ての試算で負担額に事業主負担は含んでいない 図表 年財政検証の経済前提 将来の経済状

平成25年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

平成16年度社会保険事業の概況

現役時代に国民年金 厚生年金に加入していた者は 一部を除き6 歳以上で老齢基礎年金 老齢厚生年金を受給することができる 4 老齢基礎年金の額は 年度は満額で年額 78, 円 ( 月額 6,8 円 ) であるが 保険料を納付していない期間があればその期間に応じて減額される 一方 老齢厚生年金の額は現役

ったと判断します なお 一時的に認定基準月額以上の収入がある月があっても 認定基準年額を超えるまでの間は認定できます また 勤務した月の給与が翌月以降に支払われる場合でも 原則 勤務月の収入として取扱います 継続して認定できる事例 認定基準月額未満であるので 継続して認定できます 認定基準月額以上の

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目 次 1 平成 30 年度の年金額について 問 1 今年度は年金額の改定はないのですか 1 問 2 年金が下がっているのですが なぜですか 1 問 3 マクロ経済スライドとは どういうものですか 3 問 4 マクロ経済スライドによる年金額調整とは どういうものですか また 平成 30 年度の年金額

Web 版 Vol.69( 通巻 714 号 ) 図表 1 年金生活者支援給付金の概要 高齢者への給付金 ( 老齢年金生活者支援給付金 ) 何回かご覧になっている資料だと思いますので 支給要件 や 保険料納付済期間に基づく給付額 など制度の概要 ( 基本的事項 ) につ

表紙

12 ページ, 図表 ,930 円 保険料納付済月数 + 全額免除月数 1/2+4 分の 3 免除月数 5/8+ 半額免除月数 3/4+4 分の 1 免除月数 7/8 ( 出所 ) 厚生労働省 老齢年金ガイド平成 2730 年度版 より筆者作成 40 年 ( 加入可能年数

厚生局受付番号 : 東北 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 東北 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求期間 1について 当該期間のうち請求者のA 社における平成 21 年 9 月 1 日から平成 22 年 12 月 1 日までの期間の標準報酬月額を訂正することが

改訂正表 横断縦断

参考資料 1 厚生年金及び企業年金連合会における国の被保険者記録との突き合わせの実施状況について ( 平成 23 年 3 月末時点 ) 厚生年金は 厚生年金の一部を国に代わって支給するとともに さらに企業の実情に応じた独自の上乗せ給付を行うことにより 従業員に対してより手厚い老後所得を保障することを

児童扶養手当制度について 児童扶養手当制度は 父母の離婚などにより 父又は母と生計を同じくしていない児童 を育成されている家庭 ( ひとり親家庭 ) 等の生活の安定と自立を助け 児童の福祉の増進 を図るための国の制度です 受給できる方 手当を受けることができる人は 次の条件に当てはまる 18 歳に達

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平成16年度社会保険事業の概況

Ⅰ 調査の概要 1. 調査の目的 本調査は 今後の公的年金制度について議論を行うにあたって 自営業者 被用者 非就業者を通じた横断的な所得に関する実態を総合的に把握し その議論に資する基礎資料を得ることを目的とする なお 本調査は 平成 22 年公的年金加入状況等調査 の特別調査として 当該調査の調

平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

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実技試験 ( 個人資産相談業務 ) 次の設例に基づいて 下記の各問 ( 問 1 ~ 問 3 ) に答えなさい 設例 Aさん (33 歳 ) および妻 Bさん (29 歳 ) は 民間企業に勤める会社員である 平成 29 年 3 月に第 1 子を出産予定の妻 Bさんは 産前産後休業および育児休業を取得

新規裁定当該期間 ( 月又は年度 ) 中に新たに裁定され 年金受給権を得た者が対象であり 年金額については裁定された時点で決定された年金額 ( 年額 ) となっている なお 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が65 歳に到達した以降 老齢基礎年金及び老齢厚生年金 ( 本来支給もしくは繰下げ支給 ) を

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EU、製品包装容量・サイズ規制を緩和

(2) 報酬日額の算出方法休業給付の給付日額を算出する際の 標準報酬日額 の算定は 標準報酬月額の1/22 支給割合 となりますが 比較の対象となる 報酬日額 については 次表の区分に応じて算出します 報酬日額の算出方法 ( 手当等の金額に乗じる率 ) 区分手当等の種類算出に用いる率 日々の勤務に対

年金生活者の実質可処分所得はどう変わってきたか

Transcription:

基本月額+総報酬月額相当額 が28 万円超付注 付注 1: 在職老齢年金制度の仕組みについて既述の通り 在職老齢年金制度とは 60 歳以降に厚生年金保険に加入しつつ老齢厚生年金を受給する場合において 基本月額 74 と総報酬月額相当額 75 に応じ 老齢厚生年金の受給額の一部あるいは全部が支給停止される制度である 支給停止額が決定される仕組みは 60 歳から 64 歳までの場合と 65 歳以上の場合で異なっており 後者の支給停止のメカニズムは前者よりも緩やかに設計されている 制度の詳細な仕組みは図表付 1 で説明される通りである また図表付 2は 総報酬月額相当額の増加に応じ 在職老齢年金制度による調整後の年金支給月額と総報酬月額相当額の合計値がどう変化するのかを示したものである なお 在職老齢年金の支給停止基準額は年度が切り替わるタイミングで変更される場合がある 本稿で用いた支給停止基準額は 分析対象期間の概ね中央付近にあたる 平成 22 年度のものを利用した 160~64 歳のケース 図表付 1: 在職老齢年金の仕組み 合計額総報酬月額相当額支給停止額 ( 年額 ) 基本月額 + 総報酬月額相当額 が 28 万円以下 なし ( 全額支給 ) 基本月額が 28 万円以下 基本月額が 28 万円超 47 万円以下 47 万円超 47 万円以下 47 万円超 {( 総報酬月額相当額 + 基本月額 - 28 万円 ) 2)} 12 {(47 万円 + 基本月額 -28 万円 ) 2) +( 総報酬月額相当額 -47 万円 )} 12 ( 総報酬月額相当額 2) 12 {47 万円 2+ 総報酬月額相当額 - 47 万円 )} 12 74 加給年金額及び繰下げ受給による増額を除いた老齢厚生年金の月額 75 毎月の賃金 ( 標準報酬月額 ) と直近 1 年間の賞与 ( 標準賞与額 ) の総額を 12 で割った額とを合計した額 53

265 歳以上のケース 合計額支給停止額 ( 年額 ) 基本月額 + 総報酬月額相当額 が 47 万円以下 なし ( 全額支給 ) 基本月額 + 総報酬月額相当額 が 47 万円超 {( 総報酬月額相当額 + 基本月額 - 47 万円 ) 2)} 12 ( 備考 ) 日本年金機構資料 全国電子情報技術産業厚生年金基金ウェブサイトにより作成 160~64 歳のケース 図表付 2: 在職老齢年金のシミュレーション ( 基本月額を 10 万円と仮定 ) (AあるいはBの金額 万円) 70 60 50 47 40 37.5 30 28 20 10 0 A: 基本月額と総報酬月額相当額の合計額 ( 年金が支給停止されない場合 ) B: 在職老齢年金制度による調整後の年金支給月額と総報酬月額相当額の合計額 ( 年金が支給停止される場合 ) 0 5 10 15 18 20 25 30 35 37 40 45 50 55 ( 総報酬月額相当額 万円 ) 265 歳以上のケース (AあるいはBの金額 万円) 70 A: 基本月額と総報酬月額相当額の合計額 60 ( 年金が支給停止されない場合 ) 50 47 40 30 20 10 0 B: 在職老齢年金制度による調整後の年金支給月額と総報酬月額相当額の合計額 ( 年金が支給停止される場合 ) 37 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 ( 総報酬月額相当額 万円 ) ( 備考 ) 日本年金機構資料により作成 54

付注 2: 期待失業給付の計算方法原則的には フルタイム期待賃金 76 を日額ベースに換算した上で 図表付 3の通りに基本手当日額を計算し これを月次化したものを期待失業給付の数値とした 基本手当日額には 上限額と下限額が設定されており 厚生労働省 毎月勤労統計 の平均定期給与額の増減に基づき 毎年 8 月 1 日にその額は改定される 本稿では 分析対象期間の概ね中央付近にあたる 2009 年 8 月 1 日 ~2010 年 7 月 31 日に適用されていた計算式を利用した 例外として 前年の就業状態が非就業 ( 就業希望あり なし ) のサンプル および前年の就業状態がパートタイムかつ労働時間が週 20 時間未満のサンプルの数値はゼロとした 図表付 3: 基本手当日額の計算式 160~64 歳 期待賃金日額 (w) 2,050 円未満 2,050 円以上 4,040 円未満 4,040 円以上 10,470 円以下 10,470 円超 14,890 円以下 14,890 円超 265 歳以上 期待賃金日額 (w) 2,050 円未満 2,050 円以上 4,040 円未満 4,040 円以上 11,680 円以下 11,680 円超 12,580 円以下 12,580 円超 ( 備考 ) 厚生労働省資料により作成 基本手当日額 (y) 1,640 0.8 7 131,160 128,600 { 0.05 4,188 のいずれか低い方の額 0.45 6,700 基本手当日額 (y) 1,640 0.8 3 73,240 76,400 0.5 6,290 76 就業状態がフルタイムのサンプルについては 調査時点のフルタイム期待賃金に基づいて計算した 一方 就業状態がフルタイム以外のサンプルに関しては 2005 年のフルタイム期待賃金に基づいて計算した 55

77 付注 3: 本来もらえる年金額の逆算方法 (1) 在職老齢年金が 0 を超えるケース 就業に伴って減額される前の年金額 すなわち本来年金額は 先行研究である小川 (1998) などと同様 在職老齢年金制度の仕組みに基づき 在職老齢年金と総報酬月額相当額 ( 以下 単に賃金と表記 ) のデータを用いて逆算した 具体的には 在職老齢年金 z と賃金 w を用いて 減額前の本来年金 a を以下の計算式に当て はめて算出した 在職老齢年金制度によれば 年金減額 a z は以下の通りに示すことが可能である (i)60 歳 ~64 歳のケース a 28の場合 a z max 0.5 w a 28,0 max 0.5 w 47,0 1 両辺を 2 倍すると 2 a z max w a 28, 0 max w 47,0 両辺からa zを引くと a z max w a 28, 0 a z max w 47,0 a z max w a 28 a z, 0 a z max w 47,0 a z max w z 28, 0 a z max w 47,0 2 ここで 年金受給額が減額される場合 a zという関係が常に成り立つため 右辺の0 a z 項はマイナスとなる 減額後の年金受給額の最小値は制度上ゼロである点を踏まえると 0 a z 項を 0に差し替えても問題はない したがって 2は以下のように表現できる a z max w z 28, 0 max w 47,0 3 a 28 の場合 a z 0.5w max 0.5 w 47,0 4 ここで a 28の場合とa 28の場合を区別するためには 3の右辺と4の右辺を比較した上で より低い方を選択すればよい これは a 28の場合 1の右辺 -4の右辺 0.5 a 28 0のため 3の右辺 4 式の右辺が成り立ち またa 28の場合 1の右辺 -4の右辺 0.5 a 28 0のため 3の右辺 4の右辺が成り立つためである 77 以下の説明は 付注 1 と同様 平成 22 年度の制度に基づく 56

る まとめると 60 歳 ~64 歳のケースでは 以下の式で本来年金を逆算すれば算出可能であ a z min max w z 28, 0 max w 47,0, 0.5w max 0.5 w 47,0 (ii)65 歳以上のケース 在職老齢年金制度における年金減額 a z は以下の通り表記できる 両辺を 2 倍すると a z max 0.5 w a 47,0 2 a z max w a 47,0 両辺から a z を引くと a z max w a 47,0 a z a z max w a 47 a z, 0 a z a z max w z 47,0 a z 5 60~64 歳のケースと同様 在職老齢年金制度により年金受給額が減額される場合 a z という関係が常に成り立つため 右辺の0 a z 項はマイナスとなる また 減額後の年金受給額の最小値は制度上ゼロである点を踏まえると 0 a z を 0に差し替えても問題はなく 5は以下のように表現できる a z max w z 47,0 したがって 65 歳以上のケースでは以下の式で本来の年金額が逆算可能である a z max w z 47,0 ただし 65 歳以上のケースでは老齢基礎年金を考慮した計算手順を行う必要がある すなわち 老齢基礎年金は原則的な支給開始年齢が 65 歳と定められており 在職老齢年金制度の仕組みによって年金が減額されることもない 調査票から直接引き出せるのは 公的年金の受給金額の総額のみである それゆえ 本ケースでは まずzから老齢基礎年金を差し引いて 57

老齢厚生年金に該当する部分を計算する 次に 賃金と老齢厚生年金に基づいて ( 老齢基礎年金を含まない ) 本来年金を逆算する そして この本来年金に老齢基礎年金を加算することで ( 老齢基礎年金を含む ) 本来年金を表現することが可能となる なお 老齢基礎年金の金額には 厚生労働省 厚生年金保険 国民年金事業の概況 ( 各年度 ) における 国民年金受給権者の平均年金月額の推移 を利用した (2) 在職老齢年金が 0 または未回答のケース在職老齢年金が 0 あるいは未回答の場合は 上記の式で本来年金額を逆算することはできない そのため 別の手段を用いて本来年金の値を計算した 具体的には 厚生労働省 厚生年金保険 国民年金事業の概況 ( 各年度 ) における 厚生年金保険老齢年金受給権者 ( 男子 ) の状況 ( 平均年金月額 ) を利用した 60 歳 ~64 歳のサンプルに対しては 分析期間 (2005 年 ~2015 年 ) 中に 特別支給の老齢厚生年金の定額部分 報酬比例部分の支給開始年齢の双方が引き上げられた事情を踏まえ 調査時期別および年齢別に場合分けをしつつ 本来年金の値を代入した 例えば 2007 年 ~ 2009 年の期間 定額部分の支給開始年齢は 63 歳 報酬比例部分の支給開始年齢は 60 歳であった このため 同期間中に報酬比例部分と定額部分の双方を受給できる 63~64 歳のサンプル また報酬比例部分のみ受給できる 60~62 歳のサンプルの本来年金を比較すると 前者は後者を 8 万円ほど上回る 一方 65 歳以上のサンプルの本来年金を計算する際には 厚生労働省 厚生年金保険 国民年金事業の概況 ( 各年度 ) における 厚生年金保険老齢年金受給権者状況の推移 ( 男子 ) における 65 歳以上の平均年金月額を代入した 58

付注 4: 特別支給の老齢厚生年金の受給ケース別試算ここでは二つのケースを考え 現実の支給開始制度の場合と比較した試算を行い 結果を図表付 4に整理した 一つ目 ( ケース1) は 特別支給の老齢厚生年金が存在せず 65 歳まで公的年金の受給額がゼロであったと想定したケースである 分析に用いたサンプルの多くは 60 代前半に特別支給の老齢厚生年金制度を受給していたことから これらがすべてゼロになることが就業選択に及ぼす影響は相当程度大きい 例えば フルタイム就業の選択確率は平均的にみて 4.9%pt 程度押し上げ 代わりにパートタイムでは 4.8%pt 押下げられるとの結果が得られた 就業希望のない非就業の選択確率も小幅に上昇するとの結果になったが これは年金減額に伴う機会費用上昇の影響が パートタイムの選択確率に相対的に大きな影響を及ぼす一方 就業希望のない非就業を選ぶことに伴う機会費用にはそれほど大きく影響しないことを反映している 失業の場合は 年金がなくなると失業保険給付を受けるようになるが 年金額の方が大きい場合が多いと考えられ 相対的に不利な選択肢となることから 選択確率が低下すると考えられる 二つ目 ( ケース2) は 現在段階的に導入されることが決まっている支給開始年齢の引上げタイミングが 実際の予定より5 年前倒しであったと想定するケースである この場合には 段階的な引上げとなることから ケース1と比べて就業選択への影響度合いは相当程度緩和され フルタイムで 1.6%pt 引上げ パートタイムでは 1.2%pt 押下げられ 非就業にはほとんど影響しないとの結果が得られた 図表付 4 構造型就業選択関数推計結果に基づく推定就業確率の変化 (60-64 歳 特別支給の老齢厚生年金の受給ケース別試算 実際の制度と比較した差 ) 10 8 6 4 2 0-2 -4-6 -8-10 現行制度下の就業確率と比較した差 (%pt) 非就業 ( 就業希望なし ) フルタイムパートタイム非就業 ( 就業希望あり ) ケース1 ケース2 59

( 備考 )1. 表 2-2-3 の推計結果を用いて試算 2. ケース 1: 特別支給の老齢厚生年金が存在しないケース 3. ケース 2: 支給開始年齢の引上げタイミングが 5 年前倒しとなるケース 4. 各ケースでの老齢厚生年金の受給の詳細は図表付注 5 参照 図表付 5: 特別支給の老齢厚生年金の受給ケース 1 現実に適用された支給開始年齢制度に基づいたケース 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 2 特別支給の老齢厚生年金が存在しないケース ( ケース 1) 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 3 支給開始年齢の引き上げタイミングが 5 年前倒しとなるケース ( ケース 2) 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 ( 備考 )1. 日本年金機構ウェブサイト等により作成 2. 記号の意味は以下の通り : 原則的に定額部分および報酬比例部分の双方を受給するケース : 原則的に報酬比例部分のみを受給するケース : 原則的に定額部分および報酬比例部分の双方を受給しないケース空欄 : 分析対象としないケース ( 例 :2006 年時点のサンプルの年齢は高くとも 60 歳なので 61 歳以上の分析はできない ) 60