生物物理化学 1
セントラルドグマ (central doguma) DA から蛋白質が作られるまでの道筋 フランシス クリックが提唱した 原核生物と真核生物では 若干関与するタンパク質が異なるが 基本的には同じメカニズムで転写 翻訳 タンパク合成が行われる 原核生物 : 核膜が無い ( 構造的に区別出来る核を持たない ) 細胞 ( これを原核細胞という ) から成る生物で 細菌類や藍藻類がこれに属する 真核生物 : 核膜で囲まれた明確な核を持つ細胞 ( これを真核細胞という ) から成り 細胞分裂の時に染色体構造を生じる生物 細菌類 藍藻類以外の全ての生物
DA の主溝と副溝 副溝 主溝 3
Fe II ヘモグロビンは鉄を含むポルフィン環を 1 つ持つユニットが 4 つで構成されている 4
デオキシヘモグロビンの構造 5
赤血球の成分の 65% は水分であり,34% がヘモグロビンである. 6
タンパク質の一次構造 タンパク質を構成する要素 (5 ページ ) アミノ酸 : 炭素にカルボキシル基 アミノ基 側鎖と水素が結合している 側鎖の種類によりアミノ酸が異なる また 中心炭素に 4 つの異なる基が結合している ( グリシンを除く ) ので 立体異性体が存在する アミノ酸の場合 RS 表示ではなく LD 表記がなされる 天然のアミノ酸は L 体に限られる 2 C R C D アラニン L アラニン 7
分子の構造パラメータ (parameters of molecular structure) (A) 結合長 (2 原子間の距離,bond length) (B) 結合角 (ABC のなす角,bond angle) (C) 二面角 (ABC 平面と BCD 平面の角度, dihedral angle) 3 つのパラメーでタンパク質の立体構造を決定する. 8
タンパク質の一次構造 (7 ページ ) 20 種類のアミノ酸 非極性 ( 疎水性 ) アミノ酸 C 3 ( アラニン Ala) C(C 3 ) 2 ( バリン Val) 2 C(C 3 ) 2 ( ロイシン Leu) C(C 3 )(C 2 5 )( イソロイシン Ile) C 2 C 2 SC 3 ( メチオニン Met) C 2 C 6 5 ( フェニルアラニン Phe) 極性非荷電アミノ酸 ( グリシン Gly) C 2 ( セリン Ser) C(C 2 )( トレオニン Thr) C 2 S( システイン Cys) C 2 C 2 ( アスパラジン Asn) C 2 C 2 C 2 ( グルタミン Gln) 2 C C 3 C ( チロシン,Tyr) トリプトッファン Trp プロリン Pro 酸性アミノ酸 C 2 C( アスパラギン酸 Asp) C 2 C 2 C( グルタミン酸 Glu) 塩基性アミノ酸 C 2 C 2 C 2 C 2 2 ( リシン Lys) C 2 C 2 C 2 (=) 2 ( アルギニン Arg) 2 C ヒスチジン is 9
タンパク質の一次構造 酸性アミノ酸 C 2 C( アスパラギン酸 Asp) C 2 C 2 C( グルタミン酸 Glu) 10
タンパク質の一次構造 (7 ページ ) 20 種類のアミノ酸 非極性 ( 疎水性 ) アミノ酸 C 3 ( アラニン Ala) C(C 3 ) 2 ( バリン Val) 2 C(C 3 ) 2 ( ロイシン Leu) C(C 3 )(C 2 5 )( イソロイシン Ile) C 2 C 2 SC 3 ( メチオニン Met) C 2 C 6 5 ( フェニルアラニン Phe) C 3 C トリプトッファン Trp プロリン Pro 11
タンパク質の一次構造 極性非荷電アミノ酸 ( グリシン Gly) C 2 ( セリン Ser) C(C 2 )( トレオニン Thr) C 2 S( システイン Cys) C 2 C 2 ( アスパラジン Asn) C 2 C 2 C 2 ( グルタミン Gln) 2 C ( チロシン,Tyr) 12
タンパク質の一次構造 塩基性アミノ酸 C 2 C 2 C 2 C 2 2 ( リシン Lys) C 2 C 2 C 2 (=) 2 ( アルギニン Arg) 2 C ヒスチジン is 13
タンパク質の一次構造 ( 重縮合 : アスパラテーム ) アスパラギン酸 フェニルアラニン サール社の開発したアスパルテームは左に示す通りの構造を持ち 砂糖の 200 倍という甘さを示す アセチル化されている 有機化学美術館 :http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/yuuki.html 14
タンパク質における結合 ( システインのジスルフィド結合 13 ページ ) システイン ジスルフィド結合 オキシトシン : 母乳の放出を促す作用のあるホルモン 有機化学美術館 :http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/yuuki.html 15
タンパク質の一次構造 ペプチド結合の生成 R 1 R 2 R 1 R 2 + 2 ペプチド結合 アミノ末端 カルボキシル末端 R 1 R i R n n 16
タンパク質の一次構造 タンパク質におけるアミノ酸配列を一次構造という 1 MET AS ILE PE GLU MET LEU ARG ILE ASP GLU GLY LEU 2 ARG LEU LYS ILE TYR LYS ASP TR GLU GLY TYR TYR TR 3 ILE GLY ILE GLY IS LEU LEU TR LYS SER PR SER LEU 17
タンパク質の一次構造 エドマン法による末端アミノ酸の決定法ー C S + R 1 R i n R n - C S R 1 R i n R n フェニルイソチオシナート ペプチド フェニルチオカルバミル タンパク質 + C S + CR 1 + R 1 2- アニリノ 5- チアゾリノン誘導体 R i n-1 R n C CR 1 C S + CR 1 + 2 - + C S R 1-2 S 3- フェニル 2- チオヒダントイン誘導体 18
タンパク質の一次構造 アミノ酸シークエンサー 末端アミノ酸のシークエンスに加えて チオヒダントイン法 ( 化学分解 ) による C 末端アミノ酸配列のシークエンス (100pmol 以上のサンプルで 最大 3 残基 ) が可能 末端アミノ酸のシークエンスは 10pmol 以上の標準サンプルで 10 残基以上のシークエンスが可能 19
構造解析タンパク質の原子座標 (protein coordinates) ATM 1 VAL A 1 101.601 38.534-1.962 1.00 53.29 ATM 2 CA VAL A 1 103.062 38.513-2.159 1.00 47.99 C ATM 3 C VAL A 1 103.354 38.323-3.656 1.00 43.68 C ATM 4 VAL A 1 103.025 37.252-4.204 1.00 48.40 ATM 5 CB VAL A 1 103.800 37.438-1.355 1.00 50.88 C ATM 6 CG1 VAL A 1 105.274 37.822-1.182 1.00 46.89 C ATM 7 CG2 VAL A 1 103.166 37.064-0.034 1.00 61.95 C ATM 8 LEU A 2 103.962 39.357-4.220 1.00 40.40 ATM 9 CA LEU A 2 104.276 39.328-5.665 1.00 35.83 C ATM 10 C LEU A 2 105.482 38.451-5.963 1.00 34.34 C ATM 11 LEU A 2 106.575 38.644-5.401 1.00 38.15 ATM 12 CB LEU A 2 104.396 40.769-6.186 1.00 19.71 C ATM 13 CG LEU A 2 103.175 41.676-6.005 1.00 16.01 C ATM 14 CD1 LEU A 2 103.509 43.080-6.464 1.00 25.30 C ATM 15 CD2 LEU A 2 102.047 41.113-6.821 1.00 13.69 C 省略 ATM 4512 CE1 IS D 146 71.911 62.242-5.290 1.00 38.19 C ATM 4513 E2 IS D 146 71.360 62.007-4.130 1.00 34.15 ATM 4514 XT IS D 146 74.219 58.700-6.876 1.00 18.18 20
タンパク質の高次構造 一次構造 (Primary structure) アミノ酸の配列 二次構造 (Secondary Structure) α ーへリックス ( -helix) β シート ( -sheet) 三次構造 (Tertiary Structure) タンパク質のポリペプチド鎖全体の立体構造で α ーへリックスや β シートなどが集まったもの サブユニットと呼ばれる 四次構造 (Quaternary Structure) サブユニットといい その配置のことを四次構造と言う http://en.wikipedia.org/wiki/protein_structure より 21
タンパク質の高次構造 (Levels of protein structure) 高次構造を支える結合 (1) 水素結合 (hydrogen bond): 後述する α ーへリックスや β シートの形成に大きく働いている C 22
タンパク質の高次構造 1. 二次構造 :α ヘリックス (23 ページ ) ELIX 1 1 ILE 3 GLU 11 1 23
タンパク質の高次構造 2. 二次構造 :β シート (25 ページ ) 24
タンパク質の高次構造 タンパク質に働く力 (2) イオン結合 (ionic bond) 酸性または塩基性アミノ酸が関与 酵素と基質の結合に寄与 (3) 疎水性相互作用 (hydrophobic interaction) 疎水性の残基が集合しようとして働く力 水中で油分が丸くなる力 cf. hydrophilic interaction( 親水性相互作用 ) (4) ファンデアファールス力 (van der Waals force) 誘起双極子間に働く弱い力 ( ポリエチレンラップとガ ラス容器に張り付くことを考える ) 25
ペプチドの平面性 ペプチド C- 結合は二重結合性を帯びており, C- 結合は固定されているため, 自由に回転することはできない. したがって, ポリペプチド主鎖においては, 1 アミノ酸あたり -C と C -C の 2 つの結合について考えればよい. この主鎖における 2 つの二面角をそれぞれ と呼ぶ. 26
Ramachandran プロット 2 つの設計変数 と の組み合わせによっては, 立体障害が生じる. そのため と は, 独立に自由な値をとれるわけではなく, 限られた と の組み合わせだけが許される. 実際のタンパク質中の と がどのような値をとっているのかを示したものに右図のような Ramachandran プロットがある. これは, 横軸に f, 縦軸に y をとった平面上に, 1 つ 1 つのアミノ酸についての二面角データをプロットしたものである. 27
Ramachandran プロット Ramachandran プロットには2 次構造と知られているφ,ψ 値も示している. 大きくみて3 つの領域が許されており, それらはそれぞれ, 右巻きαヘリックス (αr.) に対応する (φ,ψ)=(-60,-60 ) 付近の領域,β 構造 (β) に対応する (-70, -80 ) 付近の領域, および左巻きαヘリックス (αl) に対応する (60,60 ) 付近の領域である.Pro では側鎖がペプチドの窒素に結合しているため,φのとりうる範囲はさらに限定され固定されている. 28
Α へリックスの Ramachandran プロット 180 120 60 Psi 0-180 -120-60 0 60 120 180-60 -120-180 Phi Ramachandran plot 29
タンパク質の X 線構造解析 30
W12(Spring 8) で解析された糖転移酵素の立体構造 31
タンパク質の高次構造 二次構造 (Secondary structure) α ーへリックス β シート 三次構造 (Tertiary Structure) タンパク質のポリペプチド鎖全体の立体構造で α ーへリックスや β シートなどが集まったもの 四次構造 (Quaternary Structure) 集合したポリペプチド鎖をサブユニットといい その配置のことを四次構造と言う 32
タンパク質の三次構造 ージスルフィド結合ー タンパク質上のシステイン残基の側鎖間で S-S 結合 ( ジスルフィド結合 ) が形成される場合がある 必ずしもすべての結合が S-S 結合を作るわけではない C 2 S S C 2 C 2 S S C 2 33
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タンパク質における結合 ( システインのジスルフィド結合 13 ページ ) システイン ジスルフィド結合 オキシトシン : 母乳の放出を促す作用のあるホルモン 有機化学美術館 :http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/yuuki.html 35
タンパク質の三次構造 ージスルフィド結合ー タンパク質上のシステイン残基の側鎖間で S-S 結合 ( ジスルフィド結合 ) が形成される場合がある 必ずしもすべての結合が S-S 結合を作るわけではない C 2 S S C 2 C 2 S リゾチーム S C 2 36
タンパク質の高次構造ーインスリン 三次構造 サブユニット構造ー インスリンは A 鎖 B 鎖からできている 二つの鎖は ジスルフィド結合で結ばれている 37
タンパク質の高次構造 ( プロリン : コラーゲン ) プロリン ヒドロキシプロリン コラーゲン (3 本鎖 ) 腱 骨 ( 骨はコラーゲンでできた網目の隙間にリン酸カルシウムの結晶を詰め込んだもの ) 壊血病 有機化学美術館 :http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/yuuki.html 38
タンパク質の高次構造 BSE( 狂牛病 ) プルシナーは 1982 年 265 個のアミノ酸から成るプリオンタンパク質を分離した アミノ酸配列を調べてみると それは健康な人間の体内で常に生産されている ごく普通のタンパクだった 有機化学美術館 :http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/yuuki.html 39
タンパク質の高次構造ー camp 受容体三次構造 ドメイン構造ー 小ドメイン ドメインとは 構造的に独立性の高い単位を言う camp 受容タンパク質は 2 つのドメインから 1 つのユニットを作っている 大ドメイン 40
タンパク質の高次構造 二次構造 α ーへリックス β シート 三次構造タンパク質のポリペプチド鎖全体の立体構造で α ーへリックスや β シートなどが集まったもの 四次構造集合したポリペプチド鎖をサブユニットといい その配置のことを四次構造と言う 41
タンパク質の高次構造ー camp 受容体三次構造 サブユニット構造ー サブブユニット単独を 単量体 サブユニットが 2 個結合したものを 2 量体という 図は同種 2 量体を示している 42
赤血球の成分の 65% は水分であり,34% がヘモグロビンである. 43
Fe II ヘモグロビンは鉄を含むポルフィン環を 1 つ持つユニットが 4 つで構成されている 44
タンパク質の高次構造 二次構造の組み合わせ アルコールデヒドロゲナーゼ 〇アルコールデヒドロゲナーゼ アルコー ル脱水素酵素 は エタノールを アセトア ルデヒドに酸化する 〇二日酔いを引き起こすのはエタノール ではなく アセトアルデヒドが体内に蓄積 されているため 〇アセトアルデヒド脱水素酵素が 肝臓内 にでアセトアルデヒドを酢酸に分解する タンパク質 DAの構造と機能 45 有機化学美術館 http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/yuuki.html
タンパク質の高次構造 1 二次構造 ロイシンジッパー ロイシンジッパーは2本の長 いα-ヘリックスから成り そ れぞれのヘリックスには6つ おきにロイシンが配置されて 側鎖はヘリックスの横に一列 に並ぶ このロイシン同士が 文字通りジッパーのように噛 み合い 2本のヘリックスを 束ねあわせ まるで2本の箸 を突っ込むようにDAの溝に入 り込み 情報を読みとる タンパク質 DAの構造と機能 46 有機化学美術館 http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/yuuki.html