果が期待できる 既往報告 では 調査研究を基にドライブ環境の向上に必要な項目や海外の参考事例について考察してきた 本報告は 既往調査研究 において整理したこれら必要項目について 有効な向上策を把握する目的で新た に調査を行った 本文では前提となる既往報告内容も含めて 今回の調査結果について考察を述べ

Similar documents
北海道ドライブ観光促進社会実験 実施結果 1 例N 3を表示凡アプリ利用者の属性 実験期間中 1,211 人の外国人観光客が北海道内でアプリ Drive Hokkaido! を利用 ( 実験期間中の全道の外国人レンタカー貸渡台数 19,543 台の約 6% に相当 ) 国 地域別では香港 シンガポー

平成 29 年 1 月 25 日 北海道ドライブ観光パス社会実験 ( 仮称 ) のパートナーを募集! ~ 民間アプリを活用し外国人レンタカー利用者のデータを収集 ~ 北海道開発局では 平成 29 年度に 北海道ドライブ観光パス社会実験 ( 仮称 ) を実施する予定です 今般 スマートフォンのアプリケ

中国韓国シアレーシアランスメリカネガルイツギリスナダ取組 ➀ 英語で通行止め情報をリアルタイム発信別紙 1 外国人ドライバーへのアンケートで 91% が道路の通行規制情報等の提供を重視 北海道地区道路情報 ( 英語サイト ) を開設し 道路の通行規制情報を提供 (PC スマホ) 英語サイトでは 外国

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

P.1 平成 28 年度タイ市場調査結果 北海道観光成 市場誘客促進事業 ( タイ市場 ) 概要編 公益社団法 北海道観光振興機構

Microsoft Word - H180119コンパクトシティ説明用_仙台市_.doc

<4D F736F F F696E74202D20288DB791D B836792B28DB88C8B89CA288CF68A4A94C529288A5497AA94C E93785F72312E >

2. 本市の上期観光入込客数について平成 27 年度上期観光入込客数は 総数 377,300 人で 前年の 351,600 人より 25,700 人 7.3% の増となった その内訳として 道内客が 84,900 人で 前年の 94,200 人より 9,300 人 9.9% の減 道外客が 292,

<4D F736F F F696E74202D E E096BE8E9197BF B998488AC28BAB89DB2E B8CDD8AB B83685D>

平成 25 年度道内クリエイティブビジネス先進事例等調査事業委託業務 道内在住外国人の北海道に対する印象等調査結果 [ 対面式又は WEB] ( 概要版 ) 平成 26 年 2 月 北海道経済部産業振興課 ( 受託先 :Neeth 株式会社 )

訪日外国人消費動向調査1

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

北海道観光の基礎データ ( 観光入込客数 ) 観光入込客数のうち 約 9 割が道内客 道外客は 1 割 外国人観光客は 1.2% 平成 23 年度の観光入込客数は 4,612 万人となった ( 前年度比 90.0%) 平成 23 年 3 月の東日本大震災等の影響による国内外の観光需要の落ち込みが大き

この理由の一つとしては 同基準 解説 における解説において 案内標識の設置方式は一律には決め難い としながらも 一連のシステムとして経路案内を行うもの 一般には同一の方式 ( 片持式 ) によることが望ましい と示されていることが考えられる この記載については 我が国の狭い道路事情や沿道の利用状況を

第2章マレーシア人海外旅行市場の現状

堺市新金岡地区の自転車通行環境整備のアンケート 交通量調査結果について 堺市新金岡地区において 歩行者 自転車利用者が安心して通行できる安全なまちづく り を目指し 自転車通行環境の整備を行いました 自転車通行環境モデル地区において 平成 22 年 ~ 平成 23 年に自転車道 歩道の視覚 分離の整

<4D F736F F F696E74202D F CC8CBB8FF DC82C682DF816A2E B8CDD8AB B83685D>

14_(参考資料5)経済波及効果・サイクリング客数等の基礎的なデータ収集_180317(セット)

Microsoft Word 北の道ナビ_論文_最終版.doc

日本でビジネスを始めるなら、神戸で。

スマートICの事業費の基準について

7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

社会通信教育に関する実態調査 報告書

<4D F736F F F696E74202D E9197BF33817A959F89AA8CA78ACF8CF590558BBB82C9954B977682C88E7B8DF C4816A F4390B3>

(1) 沖縄観光のこれまでの推移 ( 入域観光客数 ) 55 万 9 千人 ( 昭和 47 年度 ) 717 万人 ( 平成 26 年度 12.8 倍 ) ( 観光収入 ) 324 億円 ( 昭和 47 年度 ) 5,342 億円 ( 平成 26 年度 16.5 倍 ) ( 万人 ) 800 観光入

2. 現状と課題 3 大津市の観光地としての課題 大津市の観光地として成長するには強みを磨き上げていく事と並行して 他の観光地と比較し課題を明らかにする事が大切です 大津市の観光地としての課題は 複数の調査結果をまとめ 次の5つであると考えています 1 一人あたりの来訪者の現地小遣いが低い 2 来訪

「教育資金贈与信託」、資産の世代間移行を後押し

1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

2 おもてなしの推進 本県を訪れた旅行者がやすらぎと感動を覚え 再び訪れたくなる魅力ある地域づくりを進めるため 地域への誇りと愛着に基づくおもてなしを県民総参加により推進します 1 満足度 ( アンケート調査で非常に満足と答えた観光客の割合 ) 45% 以上 2 リピーター率 67% 以上 おもてな

平成 30 年度上期観光入込客数状況について Ⅰ. 本市の上期観光入込客数の概要について 平成 30 年度上期観光入込客数は 総数 380,100 人で 前年の 399,700 人より 19,600 人 4.9% の 減となった (1) 道内客 道外客の状況 道内客が 98,200 人で 前年の 9

「dカーシェア」、“カーシェア時代におけるクルマの使い方”意識調査を実施

PowerPoint Presentation

( 北海道観光 PR キャラクターキュンちゃん ) 目次 1 北海道観光の現状 (1) 観光入込客数の推移 1 (2) 観光客の動態 5 (3) 観光産業の状況 11 2 北海道の観光振興施策 平成 3 年度観光局の施策体系 16 参考資料 観光入込客数( 延べ人数 ) の推移 その他の観光統計指標

Q2. 海外旅行にいくなら下記のどの形態で行きたいですか [SA] ガイド付きパック旅行 ( 自由行動あり ) % ガイド付きパック旅行 ( 自由行動なし ) % 航空券とホテルがセットになったパック旅行 ( ガイドなし ) % 航空券とホテルを別々に自分で

訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート 調査の概要 訪日外国人旅行者を対象に 旅行中に困ったこと 受入環境 ( 多言語対応 通信環境 公共交通等 ) へのニーズ 満足度等に係るアンケートを実施した 訪日外国人利用者の多い成田国際空港 東京国際空港 関西国際空港を中心とした空港

DBJ 北海道経済ミニレポート 2013/12/3 (No.13) 株式会社日本政策投資銀行北海道支店支店長関根久修担当 : 企画調査課門田 TEL 著作権 (C)Development Bank

<4D F736F F F696E74202D2081A68F4390B A E616C817E CF6955C975C92E8817A F C88D7E93AE8CFC5F8DD08A518AD C789C192B28DB8838C837C815B836788C4202D B2E70707

1. 調査の背景 目的 (1) 本調査の背景 1 自動走行システムに関する技術開発が活発化する中 自動走行システムの機能や性能限界等に関する消費者の認識状況 自動走行システムの普及に必要な社会的受容性への正しい理解など 解消すべき不安 ( リスク ) についての事前調査および議論が広範かつ十分に深ま

1 見出し1

<4D F736F F D F18D908F91817A966B8A4393B982C6938C966B82CC8D4C88E698418C6782C982E682E997B78D738EF E8F6F92B28DB85F31353

○ 訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備事業

スライド 1

Ⅰ 観光振興計画制定の背景 1 観光による地域振興 観光立国推進基本法 に基づき策定された 観光立国推進基本計画 の中で 観光立国の実現は地域経済の活性化 雇用機会の増大 国民の健康の増進 潤いのある豊かな生活環境の創造 国際相互理解の増進等の意義を有するものである と位置づけられています また 東

暴風雪災害から身を守るために~雪氷災害の減災技術に関する研究~

交通模擬車両 路温計測 ( 熱電対 ) 氷膜路面 t =.5 ~ 1.mm 無散布 g/m 2 g/m 2 g/m 2 g/m 2 g/m 2 1m 5m KP=.5 KP=. KP=.4 KP=.55 KP=.7 KP=.85 図 -1 試験コースレイアウト 2 曲線区間約 1

140327子ども用ヘルメット調査リリース(最終稿).pptx

1 見出し1

1 見出し1

Microsoft PowerPoint - 3-5_田村_.ppt

表1


PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D AE8A4F8D4C8D9095A CC8A FF38BB52E646F63>

スライド 1

鹿児島県観光動向調査 鹿児島県 PR 観光戦略部観光課 平成 31 年 3 月の観光客の動向 1 概要平成 31 年 3 月における調査対象ホテル 旅館 76 施設の宿泊客数 ( 宿泊延べ人員 ) は 合計 309,924 人で 前年同月比 4.1% 減となった このうち外国人は 41,123 人で

1. 調査の目的 物価モニター調査の概要 原油価格や為替レートなどの動向が生活関連物資等の価格に及ぼす影響 物価動向についての意識等を正確 迅速に把握し 消費者等へタイムリーな情報提供を行う ( 参考 )URL:

スライド 1

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

【論文】

関経連_事業報告書CS4.indd

資料 5-2 クールジャパンの推進 平成 27 年 1 月 26 日 総務省

【論文】

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF EE682E882DC82C682DF816988C4816A816A2E B8CDD8AB B83685D>

1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)

稲沢市の観光に関するインターネット調査調査項目 未定稿 1 回答者の属性 Q1 あなたの性別 1 男性 2 女性 1 つだけ選択 Q2 あなたの年齢 1 10 歳代 2 20 歳代 3 30 歳代 4 40 歳代 5 50 歳代 6 60 歳以上 1 つだけ選択 Q3 あなたの職業 1つだけ選択 1

台湾144 香港 来日回数 5 回目以上 が他の国 地域と比較して多い (42.9%) 同行者 家族 親族 が他の国 地域と比較して多い (38.7%) 観光 レジャー 目的での来訪が多い(79.1%) パッケージツアー での来訪が多い(46.0%) 旅行会社で申し込んだ 割合が他の国 地域と比較し

Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

第 1 編基本的な考え方 経済活力の低下 (1) 経済成長の鈍化 三次産業主体で高い道内シェアを占める札幌市 その経済活動は低迷 高度経済成長期から順調に伸びてきた市内総生産額でありますが 近年は不景気や生産年齢人口の伸び悩みから低迷しています 近年の実質経済成長率は 北海道 札幌市とも

平成 26 年度海外市場探求奨学金報告書 機械創造工学課程 4 年高桑勇太 探求テーマ スペインにおける自動車市場の探求 実務訓練期間 2014 年 9 月 1 日 2015 年 2 月 7 日 実務訓練先 スペイン ( バルセロナ ): カタルーニャ工科大学 概要近年, 日本の自動車企業の海外進出

問 1 あなたは, 景観について関心をお持ちですか? 1 非常に関心を持っている 関心を持っている 関心を持っていない 全く関心を持っていない % 5 全く関心を持っていない 0.6% 1.1% 1 非常に関心を

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

観光・サービス分科会 本編

3. 国 地域別調査結果 (1) 中国国籍 問 2. あなたの性別 年齢を教えてください 性別 中国国籍では 女性 が 56.3% 男性 が 43.7% となっています 年齢 中国国籍で最も多いのは 30 歳代 で 42.2% 次いで 20 歳代 25.6% 40 歳代 17.1% となっています


<4D F736F F F696E74202D C83728E8B92AE8AC28BAB82C68E8B92AE91D C98AD682B782E9837D815B F B835E C837294D E89E695D2816A2E707074>

調査 計画 設計部門 :No.15 インバウンドの道路利用調査について 斉藤秀樹 1 1 近畿地方整備局京都国道事務所管理第二課 ( 京都市下京区西洞院通塩小路下る 南不動堂町 808) 我が国において観光産業分野は成長分野として位置付けられ 国土交通省観光庁を中心としたビジットジ

PowerPoint プレゼンテーション

日本企業による国外での環境への取り組みに係る

Microsoft PowerPoint - REP01_04.ppt

2. 電線電柱類の景観向上効果に関する被験者実験 図 -1 に示す 3 つの実験を実施した 以下に 各実験方法と結果を示す (1) 無電柱化による景観向上の効果 a) 実験の概要 図 -1-(1) 北海道の農村 自然域の中でも 視対象となるランドマークがある農村 自然域の景観写真と その比較対象とす

中国語放送の満足度 実態調査 宿泊施設における中国語放送サービス調査 2011 年株式会社大富

1.海外旅行中のインターネット接続で 最も多く利用されるのは 現地の公衆無料 Wi-Fi 海外旅行時 どのようにインターネットを利用することが多かったですか 当てはまるものを全て選択してください (N=360) 現地の公衆無料Wi-Fiを見つけて接続していた ポケットWi-Fiをレンタ

<4D F736F F F696E74202D F4390B38DCF816A B2B2B817B817B945F90858FC891E C48C8F8EC08E7B95F18D908F912E >

untitled

交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

Uモニ  アンケート集計結果

北海道観光入込客数調査の内容と留意事項 1 北海道観光入込客数調査について本調査は 観光庁が定めた 観光入込客統計に関する共通基準 に準じて平成 22 年度に道が改正した 北海道観光入込客数調査要領 に基づき 観光入込客数などを推計したものです 2 調査内容 (1) 観光入込客数 ( 実人数 ) 市

Microsoft Word - 46.JTBグループで九州・北海道エリアに初オープンとなる訪日旅行者向け交流拠点 (4).docx

3. 京都府へ来た旅行者の総合的満足度 京都府への旅行者で 満足度が全国平均より高くなっている項目は 食 特産品 大人が楽し めるスポット ホスピタリティ となっている 資料 : じゃらん旅行調査 4. 京都府全域と宇治市の観光入込客の推移 京都府全域と宇治市の観光入込客数の推移をみると 京都府 宇

本章では 衝突被害軽減ブレーキ 車線逸脱警報 装置 等の自動車に備えられている運転支援装置の特性 Ⅻ. 運転支援装置を 備えるトラックの 適切な運転方法 と使い方を理解した運転の重要性について整理しています 指導においては 装置を過信し 事故に至るケースがあることを理解させましょう また 運転支援装


5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

Microsoft Word _表紙.doc

<4D F736F F D2095BD90AC E93788E968BC68C7689E688C4>

Microsoft Word _MICE_Q&A(最終案)

平成 25 年 2013 年 2013 加賀市観光 加賀市観光統計 統計 長期推移 大聖寺川 流し舟 舟 片山津温泉 花火大会 山中温泉 鶴仙渓川床 川床 加佐の岬 岬 山代温泉 大田楽 =========================== 目 次 ========================

第 9 回料理体験を通じた地方の魅力発信事業 ( 石川県 ) アンケート結果 1 属性 (1) 性別 (2) 年齢 アンケート回答者数 29 名 ( 参加者 30 名 ) 7 人 24% 22 人 76% 女性 男性 0 人 0% 0 人 0% 0 人 0% 0 人 0% 8 人 28% 2 人 7

2 インバウンドに関する旅館調査 調査対象 中国地方の旅館 (154 件 ) 外国人宿泊者 海外旅行会社 ランドオペレーター 先進旅館ヒアリング 21 件 課題旅館の客室稼働率が30% 増加する外国人観光客を受け入れ 稼働率をUPさせたい 調査の概要旅館の取組状況の把握と 外国人のニーズを把握し そ

<288DC58F4994C5816A8E528C6091E58A E815B C837C815B DEC90AC E786C7378>

Transcription:

平成 23 年度 国際競争力の高いロードツーリズムの実現に向けて 来道外国人ト ライハ ーから視たト ライフ 環境の評価と考察 ( 独 ) 土木研究所寒地土木研究所地域景観ユニット 高田尚人同上松田泰明 国際競争力の高い魅力ある観光地づくり が国の主要施策の一つとされる中 北海道ではレンタカーによる外国人ドライブ観光が急増し 地域への経済波及効果も大きい そのため 国際的な視点から国際競争力の高いロードツーリズムを実現することが重要となっている これまでの調査結果から 来道外国人にとって魅力的なドライブ環境の創出のために必要なものとして 沿道景観や事前の情報提供などの項目を整理してきた 今回 整理した項目について新たに調査を実施し 外国人ドライブ観光客などの評価や課題について把握 / 考察を行ったので 過年度成果も含めて報告する キーワード : ドライブ観光 観光 景観 地域交流 連携 地域活性化 1. はじめに 北海道では 農林水産業と並び観光が最も重要な産業の一つとなっている そのため 新たな北海道総合開発計画 (2008 年 7 月 ) では 国際競争力の高い魅力ある観光地づくり が主要施策の一つに謳われ 社会資本整備における観光への貢献が強く求められている 一方 近年の邦人の来道観光入込客数が伸び悩む中 香港や韓国などの東アジアやオーストラリアからの外国人観光客が増加している ( 図 -1) また 旅行形態が団体から個人へ移行してきており 2) 特にレンタカーを利用するドライブ観光が急増している ( 図 -2) 今後の東アジアの経済発展を考えると外国人ドライブ観光は更に増加すると見込まれる 政府の 新成長戦略 においても 国際観光の振興による地域活性化 を目指しており これに貢献する外国人ドライブ観光客を対象とした 自動車を利用する移 北海道の観光入込客数 ( 道外客 ) 実数 ( 万人 ) ( 千人 ) 800 800 742 711 689 675 750 700 650 600 550 500 外国人 514 632 627 638 635 635 427 279 294 236 591 659 649 628 道外客 平成 22 年度 (2010 度 ) から新方式により調査 1) 図 -1 北海道の観光入り込み客数の推移 597 521 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 700 600 500 400 300 200 ( 年度 ) 訪日外国人来道者数 実数 動環境 ( 以下 ドライブ環境 ) の向上は重要と言える また 外国人ドライブ観光客にとっては様々なバリアが予想されるが その対策は邦人ドライブ観光客にとっても有益な対策と考えられる 例えば 北海道同様 自然が観光資源であるニュージーランドでは外国人ドライブ観光を通じた地域振興を推進しており 3) 年間約 250 万人の外国人観光客のうち約 24% の約 60 万人がレンタカードライブ観光客であった 4) 一方 北海道では年間約 74 万人の外国人観光客 1) のうち約 4.6% の約 3.4 万人がレンタカードライブ観光客と推計される ( 平成 22 年度 ) これらを比較すると今後北海道のレンタカードライブ観光は成長する余地が大きいと考えられる また ニュージーランドの調査研究 3) では 外国人ドライブ観光客は富裕層が多く 経済波及効果も大きい とされ 北海道庁の経済効果調査 5) においても外国人観光客全般の観光消費額が高いという同様の傾向が得られている このことからも 地域への経済効 ( 台数 ) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 288 345 479 1,325 2003 2004 2005 2006 2,962 2007 5,418 2008 千歳空港レンタカー協会及び札幌レンタカー協会 北海道地区レンタカー協会連合会調べ 8,695 2009 11,398 2010 ( 年 ) 図 -2 来道外国人へのレンタカー貸出台数

果が期待できる 既往報告 では 調査研究を基にドライブ環境の向上に必要な項目や海外の参考事例について考察してきた 本報告は 既往調査研究 において整理したこれら必要項目について 有効な向上策を把握する目的で新た に調査を行った 本文では前提となる既往報告内容も含めて 今回の調査結果について考察を述べるものとする ンガポール以外の国を含めた来道外国人ドライブ観光客全般を対象とした Web アンケート調査 ( 調査 1) を行った 次に ドライブ環境の向上につながる具体的な項目を把握する目的で 北海道をドライブし終えた外国人観光客を対象とする来道者対面アンケート調査 ( 調査 2) 及び北海道でのドライブ経験の有無により比較する Web アンケート比較調査 ( 調査 3) を行った 2. 外国人ドライブ観光客の評価に関する調査概要 (1) 既往調査の概要以下に既往調査の主な概要を示す モニターツアー調査( 平成 18 年 6 月 ~11 月 ) 6) 対象 : 主にシンガポールからのレンタカー観光客目的 : 外国人ドライブ観光客のドライブ環境に対する大枠の評価の把握 有識者調査( 平成 20 年 9 月 ~12 月 ) 8) 対象 : 韓国 シンガポール 台湾の有識者 ( 旅行会社社員や雑誌社社員 ) 目的 : 現地を実走し 実際のドライブ環境に対する問題点及び課題などの抽出 (2) 調査概要調査概要を表 -1 にまとめる 前述の既往調査などの結果 が対象者や対象国が限られたものであるため シ Web 調査 ( 調査 1) 来道者対面調査 ( 調査 2) Web 比較調査 ( 調査 3) 表 -1 アンケート調査概要 期間 : 平成 19 年 2 月 ~11 月対象 : 一般ドライブ観光経験者回答数 :92サンプル国籍 : 中国 ( 香港 )57.6% 米国 4.3% 台湾 4.3% シンガポール3.3% 豪州 3.3% ほか実施主体 : 当研究所調査内容 : 既往調査において限られていた対象者や対象国を来道外国人の一般的な出身国に広げてニーズや課題を確認した期間 : 平成 20 年 8 月 ~ 平成 21 年 2 月対象 : 直接来道されたドライブ観光客回答数 :379 サンプル国籍 : 香港 7 韓国 7.7% シンガポール 4.2% 台湾 2.9% その他 11.9% ほか実施主体 : 北海道開発局 ( 当研究所協力 ) 調査内容 : 調査 1で確認した調査結果を基に 実際の現場における取り組みの参考となる 具体的なニーズや評価を把握した ( 主に観光地や情報提供について ) 期間 : 平成 22 年 5 月 ~10 月対象 : 一般の外国人観光客全般回答数 :218 サンプル国籍 : 香港 57.0% 韓国 8.0% シンガポール5.0% 台湾 21.0% その他 8.0% ほか実施主体 : 当研究所調査内容 : 調査 1 及び2の調査結果を基に 実際の現場における取り組みの参考となる 具体的な質問を 北海道でのドライブ経験の有無で違いがあるかどうかを確認した 3. 外国人ドライブ観光客の評価に関する調査結果 これまでの調査研究 を基に 外国人ドライブ観光客から視たドライブ環境に関する様々な項目のうち 重要と考えられる主な項目を以下のように整理した 本報告では調査結果についてこの項目を中心に述べる 現地での運転支援レンタカー走行時に必要性の高い道路標識やカーナビなどでの案内誘導や走行中の交通安全に関する項目 情報提供主にドライブ計画時における交通法規や高速道路の利用方法 経路案内などのドライブ情報及び天候情報 観光情報の提供に関する項目 沿道景観や休憩施設重要な観光資源であり外国人ドライブ観光の目的の一つである沿道景観及びドライブ途中の立ち寄り施設としてニーズの高い休憩施設に関する項目 (1) 現地での運転支援に関する評価 a) これまでに把握している主な事項 標識について大方分かりやすいと評価されている 案内誘導の対策を行う場合 標識の外国語標記も必要だが それ以上に外国語対応のカーナビ及びドライブマップの整備が有効とされた 左側通行など自国と異なるルールや 一時停止などの国際標識と異なる表示は理解されにくく 危険 b) 今回の主な調査結果北海道のドライブ環境全体の評価として調査 2より 北海道の道路の運転しやすさ に対し 外国人ドライブ観光客の95% 以上が ( とても ) 運転しやすい と回答した ( 図 -3) 更に 案内誘導を行う上で重要と考えられる 日本の交通標識のわかりやすさ に対し 90% 以上が ( とても ) わかりやすい と回答した ( 図 -4) とても運転しにくかった 0.3% 運転しにくかった 0.5% どちらでもない 3.7% とても運転しやすかった 40.4% 運転しやすかった 55.1% 図 -3 北海道の道路の運転しやすさ ( 調査 2) とてもわかりにくかった 0.3% わかりにくかった 3.4% どちらでもないとてもわかり 5.3% やすかった 24.0% わかりやすかった 55.1% 図 -4 日本の交通標識のわかりやすさ ( 調査 2)

次に 調査 3 より道路標識に対する満足度を 走行環境に対する満足度の中で 他の走行環境の項目と比較した ( 図 -5) その結果 わかりやすい道路標識 に約 40% が 大変満足 と評価したが 他の項目と比較しその割合は少なく 逆に約 10% が 大変不満 と回答し 他の項目よりも割合が多かった 次に 調査 3 より北海道でのドライブ経験者における道路標識の具体的な対策に関する評価を把握した その結果 外国人ドライブ観光客にもわかりやすい道路案内標識の効果的な対策 ( 図 -6) は ピクトグラムを利用 路線番号を付加 とされた しかし ローマ字の併記 は 全く効果はない あまり効果はない との回答が約 20% と 他の項目と比較しやや多かった 標識の数を増やす 対策は 大変効果がある との回答が約 40% と他の項目と比較すると少なく どちらともいえない が約 24% と比較的多かった さらに 標識を大きくしてみやすくする 対策は 約 57% が 大変効果がある とした一方 他の項目ではあまり見られない 全く効果が無い が約 3% あった 次に 本報告では図示していないが 道路標識とともに案内誘導に重要なカーナビに関し 調査 1 では旅行計画時の不安事項として カーナビ搭載の有無 が最も多く 旅行中の カーナビによる情報収集 へのニーズも高かった しかし カーナビ利用の満足度について 外国人ドライブ観光客の評価は 満足 も多いが 不満 わかりやすい道路標識 8.3% 8.3% 高速道路 8.3% 13.9% ネットワーク 安全な走行環境 4.2% 9.7% 快適な休憩施設 5.6% 6.9% 1.4% 沿道景観 6.9% 25.0% 26.4% 34.7% 37.5% 61.1% 61.1% 56.9% 38.9% 37.5% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 大変不満やや不満どちらともいえないやや満足大変満足 図 -5 走行環境に対する満足度 ( 経験者 )( 調査 3) ローマ字の併記 12.5% 5.6% 15.3% ピクトグラムを利用 8.3% 5.6% 路線番号を付加 18.1% 路線の走行方向を付加 18.1% 標識の数を増やす 4.2% 23.6% 標識を大きくして 11.1% みやすくする 33.3% 26.4% 33.3% 36.1% 5 56.9% 45.8% 36.1% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全く効果はない あまり効果はない どちらともいえない やや効果がある 大変効果がある 図 -6 外国人にも分かりやすい道路標識対策の効果 ( 経験者 )( 調査 3) 足 も他の項目と比較すると多かった また 利用しやすさについて調査 2 より カーナビの役立ち度 カーナビの利用方法の分かりやすさ の満足度は高かった c) 調査結果の考察走行環境について全般的に不満は高くないが 標識のわかりやすさに対し 大変不満 が若干みられることから 今後も改善が必要な項目であり 適切な対策はドライブ環境の更なる満足度向上につながると考えられる その 道路標識の具体的な対策としては ローマ字の併記 よりも ピクトグラムを利用 路線番号を付加 が効果的と評価された これは北海道に来る外国人ドライバーの多くは香港や台湾などの漢字を理解できる東アジアの観光客であるためと考えられる また 標識を大きくしてみやすくする が効果的と評価されたが これは 英語を主言語とする方などは 現状のローマ字表記が漢字に比べ小さいため ローマ字表記の大型化を指していると考えられ 標識自体の大型化は求めていないと考えられる 逆に大型化は効果が無いと評価した理由は 漢字が十分に理解できるため標識の大型化は必要ないと判断されたと考えられる これらを踏まえると 道路標識の対策は数量の増加や大型化ではなく 表示内容などの改善によるわかりやすさの向上が求められていると考えられる 次に 利用者はカーナビによる運転支援を大きく期待しており 主にカーナビを利用し標識を補助的に使用していると考えられる それは カーナビに対するニーズが特に高いことや 既往調査時 6) の自由回答において標識に関する改善意見はほとんど無く カーナビに関する強い改善要望が多数あげられたからである そのため カーナビの機能向上などの対策は重要となる また カーナビの対策実施の重要性は 以下のようなことからも高いと考えられる すでに道路標識に対して理解度と満足度が高いこと 既往調査 6) の自由意見でカーナビの情報更新 / 外国語対応などのシステムの更新ニーズが高いこと 標識改善のためには 公共投資が必要となること (2) 情報提供に関する評価 a) これまでに把握している主な事項 旅行計画段階に必要な情報が入手できることが一番重要とされている その情報は 交通ルールや観光地までの距離や時間などのドライブ情報である 事前に交通ルールや高速道路の利用方法などのドライブ関連情報や 観光に必要な休憩などの立ち寄り場所の情報の外国語での積極的な提供が重要 情報の提供手段はインターネットでの発信が効果的 b) 今回の主な調査結果調査 1より情報提供に関する全体的なニーズとして 外国人ドライブ観光客が 旅行前に入手したい情報 ( 図 -7) は 景色の美しい場所 観光地 観光施

設 などの 観光情報 と同様に 気象 天気 通行止め 目的地までのルート 所要時間 などの 道路 天候情報 とされた また 調査 2 より情報を入手する際の 情報提供手段の重要度 は 北海道でのドライブ経験者未経験者ともに 90% 以上が インターネット と回答し 次いで 市販のガイドブックや旅行雑誌 ロードマップ が多かった ( 図 -8) 次に 調査 3 より提供される具体的な情報内容の満足度は 交通ルールやマナー をはじめ 大変満足 と 気象 天気通行止め道路の渋滞 ( 凍結などの ) 路面状況目的地までのルート 所要時間トイレ 休憩施設情報土産品 特産物等の情報体験観光の情報観光地 観光施設の情報飲食店の情報宿泊施設の情報景色の美しい場所の情報開花時期やスキー場開設などの季節時期地域イベント情報その他無回答 道路 天候情報 観光情報 市販のガイドブックや旅行雑誌 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 2.2% 10.9% 17.4% 20.7% 20.7% 34.8% 44.6% 50.0% 50.0% 47.8% 47.8% 41.3% 53.3% 42.4% 図 -7 旅行前に入手したい情報 ( 調査 1) ロードマップ テレビ番組 インターネット 旅行会社 観光イベント 知人 友人からの情報 59.8% 57.6% 80.6% 85.6% 81.9% 93.2% 47.3% 91.7% 93.2% 45.2% 56.9% 63.0% 59.7% 75.3% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 経験者 未経験者 図 -8 旅行前の情報提供手段重要度 ( 大変重要 + やや重要 の割合 )( 調査 3) 交通ルールやマナー 5.6% 16.7% 道路案内標識の見方 9.7% 9.7% モデルルート 12.5% 目的地までの経路 5.6% 4.2% 目的地までの所要時間 4.2% 8.3% 5.6% 景観のよい場所 11.1% 9.7% 休憩施設の場所 4.2% 13.9% 宿泊施設の場所 電話番号 6.9% 18.1% 43.1% 38.9% 45.8% 51.4% 事故の起きやすい場所 1.4% 8.3% 16.7% 16.7% 6.9% 23.6% 18.1% 25.0% 23.6% 29.2% 38.9% 31.9% 50.0% 11.1% 11.1% 飲食店の場所や電話番号 9.7% 9.7% 34.7% 31.9% 13.9% 1.4% ガソリンスタンドの場所や電話番号 8.3% 15.3% 20.8% 13.9% 4.2% 5.6% 6.9% 6.9% 0% 50% 100% 大変不満 やや不満 どちらともいえない やや満足 大変満足 利用しなかった 図 -9 旅行前の情報内容に対する満足度 ( 経験者 )( 調査 3) の評価が全体的に少ない 大変不満 との評価は 交通ルールやマナー 目的地までの所要時間 休憩施設の場所 の項目で他と比較して多かった ( 図 -9) また 調査 1 より入手したい情報としてドライブ途中の立ち寄り場所の情報である トイレ 休憩施設情報 が約 45% ある ( 図 -7) しかし 調査 3 より 休憩施設の場所 の情報提供に対する満足度は高くない ( 図 -8) その他の調査結果として 旅行前の情報内容に対する満足度は 交通ルール マナー が 道路案内標識の見方 よりも低く評価された ( 図 -9) 次に 調査 1 より旅行中に入手したい情報ニーズは 道路 天候情報 と 観光情報 が同程度あるが ( 図 -7) 図示はしていないが実際に入手困難な情報と評価されたのは 道路 天候情報 の方がやや多かった c) 調査結果の考察情報の提供方法についてインターネットが効果的であるが 近年スマートフォンなどの高機能携帯電話やパソコンの小型化など 情報受信環境が急激に変化してきており 環境の変化に対応した情報提供方法を検討する必要があると考えられる また 以下の項目がドライブ環境の満足度を向上させることにつながると考えられる トイレや休憩施設の情報ニーズを満たすものとして 公共施設であり無料で利用できる道の駅があげられる しかし 道の駅は日本特有の施設であり外国人に対し認知度が低いことから 道の駅に関する情報提供を適切に行うことが効果的であり重要 漢字を理解する方が多いため標識自体の情報よりも国により異なる交通ルール マナーの情報提供を積極的に行うこと 旅行中の情報提供は 観光情報 だけではなく 道路 天候情報 を入手しやすく提供すること これらについて有効な提供手法としては 観光案内やルート案内に併せて 一緒にルート上の様々な情報 ( 天候 / 道路 / 地域情報など ) が得られる仕組みが考えられる 例えば 北の道ナビ 9) における 距離と時間検索 システムはこのシステムを試行しており アクセス数も増加していることから効果的と考えられる (3) 沿道景観と休憩施設に関する評価 a) これまでに把握している主な事項 沿道景観を楽しみながらドライブ観光を行うこと自体が 北海道観光の目的の一つ 東南アジアの有識者から 自然景観や農村景観など北海道の沿道景観は特に素晴らしい と評価されており 沿道景観の保全と更なる活用が重要 沿道景観はドライブ観光全体の満足度に最も影響が大きい ( 旅行満足度に最も相関度が高い ) b) 今回の主な調査結果調査 1より北海道観光の目的は様々な項目のうち 自

然 農村 歴史景観 や 運転そのもの との回答が多かった ( 図 -10) 調査 3 より観光目的として最も多かった 自然 農村 歴史景観 などの沿道景観の魅力を高める場合 効果的な対策として ( 図 -11) 北海道ドライブの経験者未経験者ともに ビューポイントパーキングの設置 が最も多かった また 未経験者は 電柱 電線などの移動や撤去 屋外広告物の移動や撤去 が効果的と回答した 経験者は 道路付属物の改善 街路樹の整備 が効果的と回答した 次に 調査 1 よりドライブ途中の重要な休憩施設である道の駅に関して 外国人ドライブ観光客の約 70% が利用しているが 外国語での情報提供については 抵抗 不安 を感じるとされた そこで 調査 3 において情報提供以外に関する休憩施設に備わる諸機能の重要性について調査した結果 場所のわかりやすさ トイレ などは全般的に重要度が高く 経験者にとって沿道の 休憩施設 の重要性は未経験者よりも高かった c) 調査結果の考察沿道景観について 観光目的の一つとされ 高い評価もされていることから 沿道景観を保全及び向上することが大変重要と言える 特に ビューポイントパーキングの設置 は沿道景観の魅力を高める対策として効果が高いとされ 適切な対策を行うことが必要と考えられる 次に沿道景観改善対策について 未経験者は一般的に景観を阻害するとされる 電線 電柱等 / 屋外広告物の撤去や移動 を効果があると評価した しかし 実際に北海道をドライブした事のある経験者は 電線電柱等 / 屋外広告物 よりも 道路付属物 の方が景観を阻害していると感じたと考えられる これは 積雪寒冷地特 自然 農村 歴史景観まち歩き観光歴史 文化北海道の気候 ( 涼しい夏 冬の雪 ) 温泉食事 食材 特産品テーマパークスキーアウトドア ( スキー以外 ) お祭りやイベント運転そのもの友人訪問その他 0% 20% 40% 60% 80% 100% 22.4% 94.1% 20.0% 45.9% 69.4% 72.9% 16.5% 16.5% 16.5% 68.2% 7.1% 7.1% 図 -10 過去の北海道観光の目的 ( 調査 1) 電柱 電線等の移動や撤去 67.8% 屋外広告物の移動や撤去 29.2% 51.4% 道路付属物の移動や撤去 43.8% 道路付属物の改善街路樹の整備 43.2% 45.2% 58.3% 69.4% 沿道の花植えヒ ューホ イントハ ーキンク の設置 63.9% 65.8% 88.9% 79.5% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 経験者 未経験者 図 -11 沿道景観改善対策の効果 ( 大変効果がある + やや効果がある の割合 )( 調査 3) 有の道路付属物も多いことが考えられるが 10) これらの適正箇所での設置や不要箇所での撤去などを検討する必要があるのではないか 更に 思っていたよりも街中に緑が少ないと感じ 街路樹の整備 を選択したと考えられる このため街路樹整備を行うと沿道の魅力向上に効果的と考えられる 次に休憩施設に関して 経験者の 快適な休憩施設 及び 休憩スペース の重要度が高くなったのは 実際のドライブ経験の中で北海道の移動距離は長いと感じたからと考えられる これに対応するため 休憩施設として整備されている道の駅の快適性を向上させることが重要と考えられる また 不安解消のため 道の駅など情報拠点における外国語の対応が今後必要と考えられる (4) 交通ルール マナーに関する利用者の評価図示していないが これまでの研究の成果及び今回の調査結果から 交通安全に関わる交通ルール マナーについても考察を行った 既往の調査結果 では 旅行前の不安として 交通ルール マナー との回答が少なくなかった 今回の調査 ( 調査 1) でも 約 40% が不安と回答した 次に どのようなルール マナーに不安を感じているのか 具体的に調査 ( 調査 2 3) を行った その結果調査 2 では 日本の交通ルールの中で 特に注意した交通ルール と 分かりにくかった交通ルール として 制限速度 駐車禁止区域 が共にあげられた また 分かりにくかった交通ルール として 一方通行 進入禁止 があげられた 更に 調査 3 ではドライブ経験の有無での違いを比較すると ドライブ観光時の不安として 未経験者は 交通標識 日本人の運転マナー があげられた しかし 経験者ではその項目の割合は未経験者よりも少なく 目的地までの所要時間 が未経験者よりも大きかった これらのことから 外国人ドライブ観光客の不安解消のため 制限速度 駐車禁止区域 などの交通ルール マナーに関する十分な情報提供を行い周知することが必要と考えられる 更に既往調査 6) の自由意見では 郊外部での規制速度の低さ に対する不満の意見が多くみられたことから 安全に配慮した上で速度規制の緩和を行うことも一つの対策になると考えられる 一方 事故などに直結する 一方通行 進入禁止 については 特に十分な情報を提供し周知することが重要となる しかし 香港やシンガポールなどの主な来道外国人の出身国と標識の表示が一致又は似ていることから 標識の表示内容自体への理解は高いと考えられ 見やすさや設置場所などその他の項目について改善や情報提供を行うことが効果的と考えられる また 情報提供時期は旅行計画時の不安が大きいことから 事前の提供が効果的と考えられる

4. 海外の参考事例 前章までを踏まえ 海外のドライブ観光振興の先進地域における参考取り組み事例を調査した その調査結果のうち 代表的なもののみを示す 沿道景観について ( 写真 -1) 米国では沿道景観向上のため 地域の特性に応じた柔軟な道路設計や 行政と地域住民が連携して景観形成の取り組みを行っている 沿道景観と運転支援の両立 ( 図 -12) ニュージーランドでは路外逸脱を前提とした安全対策として緩衝帯が設置されている これは 衝突事故の減少とともに景観形成にも効果があるとされている 道路景観形成における柔軟な設計ガイドライン 11) 写真 -1 米国での取り組み事例 沿道景観ガイドライン ( 緩衝地帯の設置 ) 12) 図 -12 ニュージーランドでの取り組み事例 は考えにくく 逆に利便性が多少悪くても魅力的な観光資源には来訪すると考えられるからである ルート毎の効果的な向上対策の検討の必要性その魅力向上にあたっては 外国人ドライブ観光客のニーズが多様なことや それぞれのルートにより状況が異なることから ルート毎に魅力を向上させる対策も異なってくると考えられる そのため ルート毎で効果的な魅力向上対策を検討することが必要となる ユーザー評価が向上対策に反映されるシステムの構築 効果的な向上対策を検討するためには 外国人ドライブ観光客のドライブ環境に対する評価が向上対策に反映されるシステムが有効と考えられる 関係機関の連携と一元的なサービスの提供 前述のシステムを構築するためには 国 ( 開発局など )/ 地方自治体 ( 道や市町村 )/ 地域の活動団体など ( 観光協会など ) の連携が必要となる それは 外国人ドライブ観光客のニーズが多様となっているためでもある 例えば ニーズの高い天候 / 道路 / 観光情報の提供を行う場合 外国人ドライブ観光客の母国語で 一つのホームページから提供することが効果的と考えられる 5. 全体考察 これまで 運転支援 情報提供 沿道景観と休憩施設 交通ルール マナーの項目について考察を行ってきたが 全体を通じて以下のように考察した 経済波及効果の高さを共有認識に 外国人ドライブ観光客は 経済波及効果が大きく地域振興へも寄与し重要性が高い このことを行政や民間の関係機関が十分に認識することが必要となる ドライブ環境の観光資源としての魅力向上 魅力向上対策の整理と優先度ドライブ環境の魅力向上対策は 大きく 2 つに整理できる 一つ目は不安解消などのドライブ環境の利便性向上で 二つ目は観光資源としてのドライブ環境自体の魅力向上である 一例として 前者は天候 / 道路 / 観光情報の提供や道路標識の整備などであり 後者は沿道景観の向上や道の駅等の休憩施設の快適性向上などである これらドライブ環境の利便性向上と魅力向上の二つを考えたとき 標識の多言語化などの利便性向上対策が話題となるが 後者の魅力向上の方がより重要と考えられる その理由としてまず 一つ目の対策である現状の走行環境及び情報の提供内容などについて 外国人ドライブ観光客の不満が多くないこと 次に 一つ目の利便性が十分で二つ目の観光資源であるドライブ環境自体の魅力が無いと考えた場合 外国人ドライブ観光客が来ること 謝辞 : アンケート調査などにご協力いただいた外国人観光客の皆様や 自治体などの関係各機関の皆様に深く感謝いたします 参考文献 1) 北海道観光入込客数調査 : 北海道経済部観光局 2) 北海道観光の現況 : 平成 23 年 12 月北海道経済部観光局 3) Land Trans port Safety Authority Tourist Road Safety in Otago and Southland :2004. http://www.itsa.govt.nz/research/overseastourists/index.html 4) 各国 地域情報 : 外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nz/data.html 5) 北海道観光産業経済効果調査 : 北海道庁ホームページ http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/keizaikoukatyousa.h tm 6) 松田 松島 大谷 : 北海道における外国人ドライブ観光のニーズと課題 北海道開発技術研究発表会 2007 年 2 月 7) 松山 松田 加治屋 : 国際競争力のあるロードツーリズムの実現に向けて 北海道開発技術研究発表会 2008 年 2 月 8) 高田 松田 樫尾 : 国際競争力の高いロードツーリズムの振興に向けて 北海道開発技術研究発表会 2010 年 2 月 9) 北の道ナビ : 北海道道路情報化研究会監修 寒地土木研究所運営 http://northern-road.jp/navi/ 10) 三好 松田 加治屋 : 北海道における道路付属施設と景観向上策 寒地土木研究所月報 675 P42-52 2009.8 11) 道路景観形成における柔軟な設計について ( 米国 ) : Flexibility in Highway Design. 12) 沿道景観ガイドライン ( ニュージーランド ) : Guidelines for Highway Landscaping.