目 次 第 Ⅰ 章研究の基本的な考え方 1 研究主題について 外 1 2 研究の目標 外 研究の仮説 外 研究の構想 外 研究構想図 外 - 4 第 Ⅱ 章研究の実際と考察 1 A 小学校 外 B 小学校 外 10 3 C 小学校 外 14 第 Ⅲ 章

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平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

いろいろな衣装を知ろう

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

6 年 No.8 You can see Daibutsu! 1/7 単元の目標 主な言語材料 できることを紹介する表現や感情を表す表現が分かる 修学旅行でできることについて具体物などを見せながら伝え合う 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり できることについ

保健体育科学習指導案

6 年 No.22 my summer vacation. 1/8 単元の目標 主な言語材料 過去の表し方に気付く 夏休みの思い出について, 楽しかったことなどを伝え合う 夏休みの思い出について, 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり, 他者に伝えるなどの目的

(3) 児童観 本学級の児童数は 36 人で, 素直で学習意欲が高く, 学習課題に熱心に取り組み, 多くの児童が積極的に発表することができる 各教科の学習で取り組んでいるペアやグループ学習では, それぞれの意見を意欲的に伝え合うことができる しかしながら, 自分の考えや意見になかなか自信が持てない児

うな活動を工夫して設定していく そして様々なバリエーションを体験させる中で何度も want との出会いを児童が繰り返し 自然と want への理解を深めたり want を使 って思いを伝えたりできるようにしたい 単元の目標 積極的にアルファベットの大文字を読んだり I want. の表現を使って 進

Hi, friends!1 Lesson 7

第 6 学年外国語活動指導案 日時平成 25 年 10 月 4 日 ( 金 )5 校時場所 2 階ワークルーム指導者 HRT 佐藤香里 1 単元名 Hi,friends!2 Lesson5 Let s go to Italy. 2 単元の目標 自分の思いがはっきり伝わるように おすすめの国について発

6 年 No.8 You can see Daibutsu! 1/7 単元の目標 主な言語材料 本時の目標 できることを紹介する表現や感情を表す表現が分かる 修学旅行でできることについて具体物などを見せながら伝え合う 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり でき

Hi, friends!2 Lesson 1

Hi, friends!1 Lesson3

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< 児童の実態 > 男子 23 名, 女子 12 名, 計 35 名の学級である 男女の仲がよく, 休み時間など活発に遊んでいる様子が見られる いろいろなことに興味を持ち, 集中して努力することができる 最上級生として, 学校の中での活躍も見られるようになっている 学習に対する意欲は高くなってきてい

5学年 Lesson8「時間割を作ろう」

外国語活動(5年)学習指導案

も徐々に英語の単語で答えるようになり 文章で答えようとする児童も現れてくるようになった 音声を大切にしながら繰り返し聞かせることの成果を感じている 本単元では 授業のウォームアップとして Sit Down Game を行う 担任と児童のやりとりにおいて 職業を表す単語を繰り返し聞かせていく 歌の間に

児童同士のペアトークやグループ活動などを取り入れる そして自分と友だちの考えの共通点や相違点などに気付かせることで, 自分の考えを伝えることの必要性を感じさせたり, 相手に伝わりやすい表現の仕方を考えさせたりする さらに, 今年度は学級担任の英語使用量の向上を目指した取組を進めており, ジェスチャー

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Microsoft Word - H30å�¦ç¿™æ„⁄尔桋+å−€é€‹é¨”西少;æfl¹.doc

外国語活動の実践 外国語活動におけるコミュニケーションを大切にした活動の工夫 1 単元名 5 年数で遊ぼう ~ How many?~ ( 教材 Hi,friends! 1 文部科学省) 2 目標 積極的に数を数えたり, 尋ねたりしようとする 1~20の数の言い方や数の尋ね方に慣れ親しむ 言語には,

指導案の形式について       2010

このような研究を進める中で はじめは英語での質問に日本語で答えていた児童も徐々に英語の単語で答えるようになり 文章で答えようとする児童も現れてくるようになった 音声を大切にしながら繰り返し聞かせることの成果を感じている 本単元では 授業のウォームアップとして Sit Down Game を行う 担任

平成 29 年 10 月 23 日 ( 月 ) 第 2 校時尾道市立日比崎小学校第 6 学年 1 組外国語科指導者 HRT 遠崎且典 JTE 片山奈弥津 単元名 台湾の友達との交流を深めよう ~Welcome to Japan.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 異文化理

単元「英語の世界へようこそ」   英語で自己紹介

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新学習指導要領を具現化した新教材の解説

6 年 No.12 英語劇をしよう (2/7) 英語での 桃太郎 のお話を理解し 音読する 導 あいさつをす 挨拶の後 Rows and Columns を交え 天気や時 入 候の確認 既習事項の確認をす (T1,T2) ペンマンシップ ペンマンシップ教材を用いて アルファベットの ジングル絵カー

第 3 学年 3 組外国語活動指導案平成 30 年 11 月 14 日 ( 水 )5 校時指導者飯島加奈子 ( 英語専科 ) 場所 3-3 教室 1 単元名 What s this? ~ 松江のおすすめクイズを作ろう ~( Let s try! 1 Unit8) 2 単元の目標 コミュニケーションへ

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5. 評価規準評価の観点コミュニケーションへの関心 意欲 態度外国語への慣れ 親しみ言語や文化に関する気づき 主な評価規準 積極的に表情やジェスチャーを加えて 自分の思いを表現している 言葉だけでなく表情やジェスチャーを加えて コミュニケーションすることの大切さを知る 様々な感情や様子を表す表現に慣

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新潟市立亀田西中学校

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

Hi, friends!1 Lesson9

算数科学習指導案

3 身近な動作やスポーツ 音楽 遊び等の できる できない という表現を使いながら楽しくゲームやクイズに参加している 6 本単元における研究主題に迫るための手だて (1) 指導方法の工夫ア自分の思いを選択して話す活動単元の第 3 時 第 4 時の活動では 慣れ親しんできた語彙や表現を使い 自分の思い

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

第 9 章 外国語 第 1 教科目標, 評価の観点及びその趣旨等 1 教科目標外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う 2 評価の観点及びその趣旨

平成 29 年度志真志小学校の取り組み 1 研究主題 主体的に学ぶ意欲を育てる学習指導の工夫 ~ 聞くこと 話すことの体験活動を通したコミュニケーション能力の育成を目指して ~ 2 研究主題設定の理由小学校学習指導要領の外国語活動では 小学校段階での音声言語による聞くこと話すことを中心としたコミュニ

5 年 No.9 Happy birthday! 誕生日を祝おう! 2/7 自分から進んで誕生日を尋ねたり 自分の誕生日を伝えたりしようとする 自分の知らない人の誕生日を知りたくなるように有名人 になりきる Activitey を取り入れる より多くの人に自分の英語が伝わる喜びを味わわせる 〇誕生日

英語科学習指導案

Microsoft Word - 小学校第6学年国語科「鳥獣戯画を読む」

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

学びをつなぐ教育の視点から Hi, friends! 1 Lesson7 What s this? ある物について積極的にそれが何かと尋ねたり 答えたりしようとするコミュニケーションへの関心 意欲 態度 ある物が何かと尋ねたり 答えたりする表現への慣れ親しみ 日本語と英語の共通点や相違点から ことば

Water Sunshine

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2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

(2) 児童観 ( 省略 ) (3) 教材観本単元では 様々な数の言い方や尋ね方に触れさせていく 韓国語や中国語で 3 を表す言葉の音声が日本語と似ている点や 日本語では ものの数を表すときに様々な助数詞がつく点など 日本語と似ているところや違いを知ることで 言葉の面白さや豊かさに気付かせたい [

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単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

文部科学省作成 新学習指導要領対応 外国語教材’We Can!’(小学校高学年用)説明資料

6 年 No.22 my summer vacation 夏休みの思い出を紹介しよう! 1/8 単元の目標 主な言語材料 本時の目標 夏休みに行った場所や食べた物 楽しんだこと 感想などを表す表現が分かる 過去の表現が分かり 夏休みに行った場所や食べた物 楽しんだこと 感想などを伝え合う また 夏休

6 年 No.44 I want to go to France. 1/7 単元の目標 主な言語材料 本時の目標 おすすめの海外旅行の紹介の仕方や行きたい旅行やその理由を伝える表現が分かる 海外旅行を紹介して勧めたり 行きたい旅行を理由を含めて伝えたりする 海外旅行について簡単な語句や基本的な表現で

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Microsoft Word - 英語科指導案 公開研 2学年_H _.docm

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

学級担任が T1 として授業を進められる環境の工夫 寿都町立寿都小学校 掲示物の工夫 教室環境の工夫 イングリッシュルーム設置の目的 学級担任によるT1の授業で 多様な学習形態で学習することにより 英語に対する児童の意欲を高めることができるようにする イングリッシュルーム活用の頻度 第 3~6 学年

グリーン家の人々

【資料3-2-5】論点に関する参考資料

小学生の英語学習に関する調査

解答類型

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

いきたいと考える 第二に ビデオに撮ったインタビューの様子を繰り返し見て振り返ることで パターンに沿った質問だけでなく 自分なりの質問を考える活動に発展させていきたい そのために ビデオ視聴による振り返りを3 回行う また 自己評価だけでなく 他者評価により互いの良さを確認することで 話すことへの自

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

4 展開計画 ( 全 5 時間 ) 時テーマ ねらい活動 内容使用教材 1 タンザニアを知ろう! No.1 アフリカの途上国 タンザニア という国について知る 興味を持ち どんな文化なのかどんな生活をしているのかを自ら調べようとする タンザニアについての基本的な情報を聞く ワークシートパワーポイント

ている それらを取り入れたルーブリックを生徒に提示することにより 前回の反省点を改善し より具体的な目標を持って今回のパフォーマンスに取り組むことができると考える 同に そのような流れを繰り返すことにより 次回のパフォーマンス評価へとつながっていくものと考えている () 本単元で重点的に育成をめざす

内容 児童 経験したことや調べたことから選んで話す 内容 ( 考え ) を分かりやすく話す はっきりした発音で声の大きさを考えて話す 丁寧な言葉を使って話す 相手の顔を見ながら話す 大事なこと

2 単元の目標 動物の言い方に興味をもち, 楽しんで発話する 動物の言い方に慣れ親しむ 動物の言い方を知り, 日本語と英語との言い方の違いに気付く 3 単元の内容 主としてコミュニケーションに関すること 主として言語や文化に関すること アニマルランドでクイズに答えたり友達と一緒に動物の名前を言ったり

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ICTを軸にした小中連携

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

第 2 学年 1 組英語科学習指導案 日時平成 30 年 11 月 2 日 ( 金 ) 5 校時 (14:00~14:50) 場所第 2 学習室指導者教諭天津貴志 1. 育成する能力 学習指導要領内容 (4) イ 身近な話題について 事実や自分の考え 気持ちなどを整理し 簡単な語句や文を用いてまとま

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座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

○数学科 2年 連立方程式

指導案の形式について       2010

4 単元の評価規準 コミュニケーションへの関心 意欲 態度 外国語表現の能力 外国語理解の能力 言語や文化についての知識 理解 与えられた話題に対し 聞いたり読んだりした 1 比較構文の用法を理解 て, ペアで協力して積極 こと, 学んだことや経 している 的に自分の意見や考えを 験したことに基づき

24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

生徒の活動

5 年 No.15 Can do you it? できることを紹介しよう 1/7 単元の目標 主な言語材料 本時の目標 できることやできないことを尋ねたり答えたりする表現が分かる まとまった話を聞いて 具体的な情報を聞き取るとともに 第三者についてできること できないことを含めて紹介する できること

Lesson1 My name is~. How are you? 簡単なあいさつや気分を表す表現に慣れ親しむ ジェスチャーゲームやを通して 動物の名前の表現に親しむ 学活 道徳 人間関係作り 学級愛自分らしさ 外国語活動 ABC タイム 英語の音声の慣れ親しみ 挨拶のしかた 数 色の表 道徳 体育

4. 単元の実際 習得 (1) 三部構成のモデル文 ゲームなんてやめなさい を提示し 子どもの意識とのズレを生む 実践を行った4 年生のクラス 38 名全員が何らかのゲームをもっていることを確認し 子どもがゲームについて感じている楽しさを十分掘り起こす その上で はじめ なか おわり の形式で書かれ

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

第 5 学年外国語科学習指導案 1 単元名 She can run fast.( 新教材 We Can!1 Unit5) Who is your hero? ( 新教材 We Can!1 Unit9) HRT 早川優子 (5 年 1 組 ) HRT 公仁 (5 年 2 組 ) NS ポペルカグレゴリ

平成29年度 中学校英語科教育 B校の実践

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

5. 単元について本単元は,2 年生 1 学期に学習した ともこさんはどこかな から引き続いての 話す 聞く の学習である ともこさんはどこかな では, 大事なことを落とさずに話したり聞いたりできるようにすることをねらいとして学習してきた 本単元では, これに加えて互いの話をしっかり聞いてやり取りを

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

第 5 学年外国語活動指導案 日置市立伊集院小学校平成 21 年 6 月 25 日 ( 木 )5 校時 4 組男子 15 名女子 17 名計 32 名指導者長谷川仁 1 単元名 数で遊ぼう 2 単元について (1) 単元の位置とねらい本学級の児童は,5 年生になって 英語ノート を使った学習を始めて

第1学年国語科学習指導案

3 学校教育におけるJSLカリキュラム(中学校編)(国語科)4.指導案 6 報告文を書いて発表しよう

Transcription:

平成 27 年度研究紀要 ( 第 984 号 ) G9-01 中学校外国語科へのゆるやかな移行を図る 小学校外国語活動の学習指導 - 読むこと 書くこと を取り入れた活動の工夫を通して - 平成 25 年文部科学省は グローバル化に対応した英語教育改革実施計画 において小 中 高等学校を通じた英語教育の抜本的充実を図ることとした 小学校における英語教育の拡充強化, 中 高等学校における英語教育の高度化をめざし様々な取り組みや準備がなされている 本研究室では, 小中のゆるやかな移行 を図ることをめざし, 小学校外国語活動において 読むこと 書くこと を取り入れた活動を位置づけ, 学習展開に 課題の設定, 内容( 学ばせること ) の選定, 慣れ親しませ方 といった3 点の工夫を加えながら授業実践を行った その結果, 児童は楽しんで英語を読んだり書いたりするようになった 福岡市教育センター外国語活動, 外国語科研究室

目 次 第 Ⅰ 章研究の基本的な考え方 1 研究主題について 外 1 2 研究の目標 外 - 3 3 研究の仮説 外 - 3 4 研究の構想 外 - 3 5 研究構想図 外 - 4 第 Ⅱ 章研究の実際と考察 1 A 小学校 外 - 5 2 B 小学校 外 10 3 C 小学校 外 14 第 Ⅲ 章研究の成果と課題 1 研究の成果 外 18 2 研究の課題 外 19 資料等 外 20

第 I 章研究の基本的な考え方 1 研究主題について (1) 主題設定の理由ア社会的動向から平成 25 年 12 月, 文部科学省は グローバル化に対応した英語教育改革実施計画 において初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育環境作りを進めるため, 小学校における英語教育の拡充強化, 中 高等学校における英語教育の高度化等, 小 中 高等学校を通じた英語教育の抜本的充実を図ることとした 社会のグローバル化の進展の中で, 英語運用能力のいっそうの充実は我が国にとってきわめて重要な課題である グローバル化した社会の中で生活していくためには, 英語の知識や技能の習得のみならず, 思考力 判断力 表現力などを備えることが求められる また, 情報や考えなどを積極的に発信し, 相手に伝えようとしたり, 相手のことを分かろうとしたりしなければならない そして, 平成 26 年 9 月の 英語教育の在り方に関する有識者会議 の提言において, 小学校高学年の教科としての目標のイメージが示されたが, その中に アルファベットや単語に慣れ親しみ, 英語を読むことに対する興味を育てる アルファベットを書くことに慣れ親しみ, 英語を書くことに対する興味を育てる の二つが設けられている このことからも, 小学校段階で 読むこと 書くこと を取り入れ, 児童に中学校外国語科への準備をさせることは非常に意義深いものであると考えた イ福岡市の取り組みからアジアの交流拠点都市をめざす福岡市にとって, 異文化を背景にもつ人々とコミュニケーションを図り, 国際社会に貢献する人材の育成は大変重要である 福岡市では 新しいふくおかの教育計画 の後期実施計画を平成 25 年にとりまとめた なかでも, アクティブイングリッシュ推進事業では, 外国語活動 外国語の授業の充実, 英語教育を推進する人材育成, 国際交流 体験活動の充実を進めてきた さらに今年度からは 国際教育礎 ( いしずえ ) プラン と銘打ち, 小中高連携推進モデル地区において小中高連携, 小学校英語教科化の準備, ネイティブスピーカー (NS) の重点配置, 中高オールイングリッシュ授業を開始している 本研究では, 小学校外国語活動に 読むこと 書くこと を取り入れ, 英語の読み書きを楽しむ児童を育てていくことで, 中学校外国語科でも意欲的に学ぶ生徒へと繋げたい ウ児童生徒の実態から本研究を始めるにあたり, 小学校外国語活動について小学校児童, 中学校生徒を対象にアンケート調査を行った結果 ( 図 1), 全員が外国語活動を好きだと感じていた その理由については, 英語を使ったゲームやクイズが楽しい ゲストティーチャー (GT) の話を聞いたり GT と一緒に活動したりするのが楽しい というものである また,80% を超える児童が 英語の文字や単語, 文を読めるようになりたい 書けるようになりたい と考えている ところが, 中学校でのアンケートでは, 小学生が意欲的であった書く活動に対し 英作文に自信がない と否定的に回答する生徒が 80% もいた そう答えた生徒達に対し後日個別に聞き取りをしたところ, 外国語活動には楽しんで参加していたものの, 外国語科では覚えるべきことや, 読み書きしなければならないことが急に増えたことで英語の授業に対する意欲が下がっていったということであった 外 - 1

小学校段階での 読むこと 書くこと に対する意欲を活かし, 中学校での学習に資する小学校外国語活動の在り方について考える上で, 新学習指導要領に先立ち 読むこと 書くこと を取り図 1 アンケート結果入れた活動に取り組むことでいくつかの工夫を試し, その可能性と課題を明らかにすることは意義深いものと考える (2) 主題および副主題の意味中学校外国語科へのゆるやかな移行を図る小学校外国語活動の学習指導とは, 小学校外国語活動の, 楽しみながら慣れ親しんだり, 表現したりすることでコミュニケーション能力を育んでいくという基本は大切にしながらも, 読み書きを楽しむ児童をめざし中学校で学ぶことを見据えた 読むこと 書くこと の内容を取り入れた学習を仕組むことである 小学校外国語活動では, 聞くこと 話すこと を中心とした活動が仕組まれているのに対し, 中学校ではそれに 読むこと 書くこと が加わり,4 技能の定着が求められる アンケート結果からも分かるように, 小学校の外国語活動は楽しむことが出来ているが, 中学校の英語の授業に関しては不安を感じている児童が多い 実際, 特に中学校の1 学期において文字に対する負担感が大きく, 英語に対して苦手意識をもつ要因になっていると考えられる その解消をめざすためには, 小中の学びのゆるやかな移行を図る外国語活動の学習指導をする必要があると結論づけられる 現在, 小学校では現行の学習指導要領に基づき, 表 1の通り, 主として音声面を中心とし, 文字や単語を書く活動, それを読む活動はあまり行われていない 学習指導要領解説では 例えば, アルファベットの活字体の大文字および小文字に触れる段階にとどめるなど と書かれている しかし, 小学校から中学校へのゆるやかな移行には, 読むこと 書くこと を取り入れた活動が必要であると考えた では, そういった活動では, どういった活動を意味するのだろうか ここの研究では, 児童の行う 読むこと 書くこと とは次項の表 2の内容を指すものとする 表 1 小学校外国語活動の指導内容 ( 学習指導要領より ) 第 2 内容外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることができるよう, 次の事項について指導する (2) 積極的に外国語を聞いたり, 話したりすること第 3 指導計画の作成と内容の取り扱いイ外国語でのコミュニケーションを体験させる際には, 音声面を中心とし, アルファベットなどの文字や単語の取り扱いについては, 児童の学習負担に配慮しつつ, 音声によるコミュニケーションを補助するものとして用いること 外 - 2

読むことアルファベットを名前で声に出して読む単語を見て絵や綴りから意味を理解する単語の意味を理解しながら声に出して読む写真やイラストに書かれた文字を声に出して読む 表 2 児童の行う 読むこと 書くこと の内容 書くことアルファベットをなぞる 四線に書く意味を理解して単語を書く, 書き写す空欄のある英文に自分の言いたい語句を書く自分の思いや伝えたいことを英語で書く このように, ここで言う 読むこと 書くこと とは, 一文字ずつのアルファベットを知ることに加え, 意味のある言葉や文として英語の文字を読んだり書いたりすることである 現行の学習指導要領では積極的には取り扱わないことになっているが, 本研究では言葉への関心や語順の違いへの気づきを含めた読み書きを取り扱う 読むこと 書くこと を取り入れた活動の工夫とは, 小学校外国語活動の 相手意識をもってコミュニケーション活動をする, 楽しんで自然に慣れ親しむ という良さを大切にしながら, 読むこと 書くこと を取り入れ, それらへの意欲を高める活動にするために 課題の設定, 内容( 学ばせること ) の選定, 慣れ親しませ方 の3 点を工夫することである 2 研究の目標 読むこと 書くこと を取り入れた活動の工夫を通して, 中学校外国語科へのゆるやかな移行を図る小学校外国語活動の学習指導の在り方を明らかにする めざす子どもの姿 読むこと 書くこと を取り入れた活動の工夫によって, 以下のように読んだり書いたりすることを楽しむ姿 身の回りの英単語の意味を知りたがる 自分で書いた単語をもとに自分の思いを伝えることが出来る 音として知っている単語の綴りを知りたがる 既習の語句を英語で書こうとする 3 研究の仮説小学校外国語活動の学習指導において, 次の3 点から 読むこと 書くこと を取り入れた活動の工夫を行えば, 児童が読んだり書いたりすることを楽しむことにつながり, 中学校外国語科へのゆるやかな移行が図られるであろう 1 学校, 学級の実態に即し, 意欲を高められる課題の設定 2 中学校外国語科との連続性を意識した 読むこと 書くこと の内容の選定 3 読むこと 書くこと への慣れ親しませ方 4 研究の構想 (1) 学校, 学級の実態に即し, 意欲を高められる課題の設定最終的に児童が 読むこと 書くこと を楽しんでコミュニケーション活動に生かそうとするには, 単元を通して課題意識を保つことが重要である そのために, 英語を使う必然性のある課題を設定する 単に友達とのゲームに英語を使うのではなく, 学校, 学級の実態に応じて, 自分の思いを伝える相手に GT や外国人の友達, 中学校の NS などを設定することで英語を使ったコミュニケーションが必須となる場面を設ける (2) 中学校外国語科との連続性を意識した 読むこと 書くこと の内容の選定 外 - 3

中学校で出会う 読むこと 書くこと への抵抗感をなくすには, 小学校段階においてアルファベッ トへの興味関心をもたせたり, 英語と日本語の語順の違いに気付かせたりする必要がある そのために, 中学校 1 年生の1 学期に学ぶことを中心に, 内容に系統性をもたせて段階的に取り組むことが重要である 各学校の実態に応じて取り組むべきであるが, 本研究では以下のように設定した ( 表 3) 読むこと 書くこと 表 3 中学校外国語科との連続性を意識した内容 ( 文字指導 文法 ) 5 年生 6 年生 期待される姿 アルファベットの大文字を読む アルファベットの小文字を読む 身の回りの英単語の意味を知りた 身近なものを指す単語を読む コミュニケーション活動で使った英文を がる 読む 自分で書いた単語をもとに自分の 聞く活動の一助として英文を読む 思いを伝えることが出来る アルファベットの大文字を書く 身近なものを指す単語を書く アルファベットの小文字を書く コミュニケーション活動で使った英文を書く ( 空欄補充可 ) 音として知っている単語の綴りを知りたがる 既習の語句を英語で書こうとする (3) 読むこと 書くこと への慣れ親しませ方児童がコミュニケーション活動において楽しんで自分の思いを書いたり相手の書いたものを読んだりしようとするために, 具体的には, 読むこと 書くこと を取り入れた活動を行う際に次の3 点を工夫する 〇文字が活動のヒントとなるような教材を準備すること〇使う絵カードや文カードも常に文字 語順を意識したものとすること〇 聞くこと 話すこと とのつながりを意識したものとすること 5 研究構想図 中学校外国語科へのゆるやかな移行 読んだり書いたりすることを楽しむ児童 内容 小学校 6 年生 アルファベットの小文字を読む コミュニケーション活動で使った英文を読む 聞く活動の一助として英文を読む アルファベットの小文字を書く コミュニケーション活動で使った英文を書く ( 空欄補充可 ) 小学校 5 年生 アルファベットの大文字を読む 身近なものを指す単語を読む アルファベットの大文字を書く 身近なものを指す単語を書く 読むこと 書くこと 紹介カードを見ながら話している 自分の思いや伝えたいことを英語で書いている 空欄のある英文に自分の言いたい言葉を書いている 単語の意味を理解しながら声に出して読んでいる 意味を理解して単語を書く, 書き写している 単語を見て絵や綴りから意味を理解している アルファベットをなぞる 四線に書いている アルファベットを名前で声に出して読んでいる 手立て 学校, 学級の実態に即し, 意欲を高められる課題の設定 中学校外国語科との連続性を意識した 読むこと 書くこと の内容の選定 読むこと 書くこと への慣れ親しませ方 中学生の課題 ( 現状 ) 綴りから発音が分からない四線に合わせて書けない 似た文字を書き間違える 図 2 研究構想図 書くことへの意欲がない 外 - 4

第 Ⅱ 章研究の実際と考察 1 A 小学校第 6 学年 友達を旅行に誘おう ~Let s go to Italy.~ について活動の工夫課題の設定 GT や友達におすすめの場所を紹介する 内容の選定 読むこと : アルファベットの大文字や小文字を読む 書くこと : アルファベットの大文字や小文字を四線に書く 慣れ親しませ方文字が活動のヒントとなるような教材を準備すること (1) 本学級の児童の実態本学級の児童は, Hi, friends! 2 を主体とした学習を行ってきた アルファベットの小文字を読むだけでなく, 書く活動も行った アルファベットの小文字を口ずさみながら意欲的に書く姿が見られた 児童にアンケートをとったところ, 外国語活動は好きですか という質問に対して, はい と答えた児童は 80% 以上で, 英語をつかって友達や GT と活動するのが楽しい 英語で伝わるとうれしい 等とその理由を挙げ, ほとんどの児童が外国語活動を楽しみにして授業に臨んでいることがわかった その一方で いいえ と答えた児童は, その理由を 自信がないから 難しいから と答えており, 英語を表現することに対して抵抗感があることがわかる 英語をもっと書きたいですか の質問に対しては,90% 以上が はい と答えており, 書くことで英語がもっと伝わりやすくなりそうだから 中学校では英語を書くからもっと書きたい などの理由を挙げ, 本学級の児童は文字があることで安心して外国語活動ができると考えていることが分かった ほとんどの児童が 英語を書いてみたい と意欲的である 英語表現を使う際, 英語を書くことでさらに興味 関心をもって外国語活動に取り組むのではないかと分かった (2) 課題の設定 Hi, friends! 2 Lesson 5 の導入段階で, 児童がデジタル教材で国旗や世界の特色から世界の国について興味をもち, 世界の特色のよさに気付ける場面を設定する また,GT による出身国の紹介や, 日本人教師による GT へのおすすめの場所紹介スピーチを聞くことを通して, 場所の紹介をする表現を学ぶ さらに, 目的意識, 相手意識をもたせるために,GT に児童のおすすめの場所を Let s go to. You can see (eat) ~. を使って紹介する活動を設ける (3) 内容の選定単元目標に加えて, 読むこと では, アルファベットや単語を読んだり,GT や友達に場所を紹介する場合にカードに書かれた文字を見ながら読んだりする活動を設定した 書くこと では, 国名のアルファベットの大文字や小文字をなぞり書きしたり, 紹介カードに国名や理由を書いたりする活動を設けた (4) 読むこと 書くこと への慣れ親しませ方導入段階や展開段階で, デジタル教材を使って単語を提示したり, 活動で必要な英語表現を提示したりする 児童は, 聞くだけでなく, 文字を見ることでさらに学習内容を理解しやすくなると考えられる その際, アルファベットの大文字や小文字を意識させるために四線を用いる 文字を手掛かりに相手の伝えたいことがよく分かり, 安心して英語表現に慣れ親しむことができると考えられる 外 - 5

(5) 本時の指導について本単元の指導においては, 導入段階 でグループでの 国あてクイズ を通して, 世界の国には, 特色があることや自分の知らない国があることに気付かせる また, アルファベット順に世界の国の音を聞かせ, 日本語の国名と英語の国名の音の違いに気付かせることやアルファベットとその読み方について知らせることが考えられる 次に 展開段階 では, ゲームやチャンツを通して, 紹介する表現に慣れ親しませる おすすめの場所 人物推理ゲーム では, 理由から場所を推理させたり, どの先生の紹介なのか推理させたりする 推理させる場合にデジタル教材で写真と文字を提示することで, 理由を理解しやすくなると考えられる おすすめの場所アルファベットゲーム では, 自分の紹介する場所を GT に確認してもらい, 国旗カードを得る 得た国旗カードにアルファベットカードを貼ったり, 文字を書いたりすることで紹介カードを作るようにする 次時の自分の思いがはっきり伝わるために紹介カードを完成させようとする意識をもたせながら, 紹介カードをつくらせる 終末段階 では, 紹介カードに場所や理由を文字で表すことで, 安心して紹介できるようになると考えられる また, ペアで自分のおすすめの場所を友達や GT に紹介させることで, 友達の紹介の仕方を聞き, 自信をもって紹介できるようになると考えられる 児童に達成感や満足感を味わわせることができるようにする 各段階で課題の設定を意識させ, 文字を 読むこと 書くこと に必然性をもたせ, 慣れ親しませ方を工夫することで, 文字を読み書きすることが当たり前になり, 自然と児童が 読みたい, 書きたい と意欲をもつようになるだろう このように 読むこと 書くこと の活動が, 英語を話すことに自信のない児童が意欲的に英語で表現する姿へとつながり, 中学校へのゆるやかな移行を実現するものと考えられる (6) 単元の目標 自分の思いがはっきり伝わるように, おすすめの場所について紹介したり, 友達の紹介をうなずきながら反応したりしようとする ( コミュニケーションへの関心 意欲 態度 ) おすすめの場所とその理由を紹介する表現に慣れ親しむ ( 外国語への慣れ親しみ ) 世界の国の特色について興味をもつとともに, 世界の特色に気付く ( 言語や文化に関する気付き ) (7) 単元計画 ( 全 5 時間 ) 段階 時 ねらい 評価の観点 コ慣気 活動名 / 評価規準 表現例 導入 1 世界の国には, それぞれに特色があることに気付き, 世界の国の言い方を知る 活動名 国あてクイズ 評価規準世界の国に興味をもち, その国には世界遺産などの特色があることに気付いている 世界の国の言い方を知ろうとしている 読むこと アルファベット順の国名を読もうとしている You can see(eat). What country? Hint, please. It s. 展開 2 おすすめの場所やその理由について紹介する表現に慣れ親しむ 活動名 おすすめの場所推理ゲーム 評価規準おすすめの場所やその理由を紹介する英語表現に慣れ親しもうとしている 読む 書くこと おすすめの場所のアルファベットを読み, なぞり書きしようとしている You can see(eat). What country? Hint, please. It s. 外 - 6

3 おすすめの場所やその理由について紹介する表現に慣れ親しむ 活動名 おすすめの人物推理ゲーム 評価規準おすすめの場所やその理由を紹介する英語表現に慣れ親しもうとしている 読むこと 人物になりきっておすすめの表現を読もうとしている Let s go to. You can see(eat). Nice country. Let s go. 4 本時 おすすめの場所やその理由について尋ねたり, 応えたりする表現に慣れ親しむ 活動名 おすすめの場所アルファベットゲーム 評価規準おすすめの場所や理由を尋ねたり, 応えたりする表現に慣れ親しもうとしている 読む 書くこと 自分のおすすめの場所のアルファベットを読み, 書こうとしている Do you have? Yes, I do. Small or big? No, I don t. Here you are. Thank you. Sorry. Good bye. 終末 5 おすすめの場所を紹介する 活動名 おすすめの場所を紹介しよう 評価規準英語表現をつかって, 友達と GT に紹介しようとしている 読むこと 紹介カードに書いている文字を手掛かりに紹介しようとしている You can see (eat). What country? ( 国名 ). That s right. No, it isn t. ( アルファベット ). Let s go to ( 国名 ) (8) 授業の実際 写真 2 世界の国名 活動内容 導入段階 (1/5 時 ) 世界の国に興味をもち, その国には世界遺産などの特色があることに気付き, 世界の国の言い方を知ったり, 単元の見通しをもったりする What country? Australia That s right. A u s t r a l i a Australia. 資料 2 第 1 時のふり返りカード 写真 1 国あてクイズ Brazil China 考察等ア導入段階導入段階では, 世界の国に興味をもち, その国には世界遺産などの特色があることに気付くとともに, 世界の国の言い方を知ることをねらいとした またこの単元の最終目標を提示し, 見通しをもたせるようにした そのために, デジタル教材で提示した国の特色からグループで 国あてゲーム をした ( 写真 1) 次に, アルファベット順の世界の国の音を聞き, アルファベットと音の関係について知る活動を行った ( 写真 2) 読むこと 日本語と英語の音の違いや文字と音をつなげて読む活動を仕組んだ ( 考察 1) 読むこと デジタル教材の国の特色や国旗から, 国あてゲーム をし, 国名を発音する際に文字から, 日本語と英語の音の違いがわかり, 気付くことができた また, アルファベットの順の国名と国旗から国をあてる際にアルファベットを読み, 国名を予想した児童がいた ( 資料 1) 文字を手掛かりとし, 国名が発音しやすかったと考えられる このように, 文字見て発音する方が, 自信をもって世界の国を言えた 外 - 7

展開段階 (2/5~4/5) チャンツやゲームを通しておすすめの場所やその理由をについて紹介する表現に慣れ親しむ 写真 3 なぞり書きする児童 資料 3 第 2 時の児童のふり返り 資料 2 第 2 時ワークシート 写真 4 ペアでアルファベットカードを集める児童 写真 5 国旗カードに国名を書く児童 資料 4 第 4 時児童のふり返り イ展開段階展開段階では, チャンツや活動を通して場所や理由について紹介する表現に慣れ親しむことをねらいとした そのために, 様々な活動を行った 場所や人物を推理するゲームで, デジタル教材で, 理由から場所を推理した 書くこと 国名の文字と, アルファベットの音を意識し, プリントで国名のなぞり書きをした ( 資料 2) 読む 書くこと おすすめの場所のアルファベットゲーム では, 集めたアルファベットカードを GT に確認してもらい, 国旗カードを得て場所を言ったり書いたりし, 紹介カードを完成させるようにした ( 考察 2) 書くこと 英語で聞くだけでなく, 文字を手がかりにすることで先生達のおすすめ場所の理由がわかりやすくなった また, 場所の回答後, プリントで国名をなぞり書きできるようにしたため, 全員がなぞり書きできた ( 写真 3) アルファベットを読みながら四線に書くことで, さらに文字への認識が高まった ( 資料 3) 読むこと ペアでお店屋さんとお客さんとなり, 協力しながらアルファベットを尋ねたり伝えたりし, 自分の紹介する場所のカードを集めることができた ( 写真 4) 集めたカードを GT に読み, 紹介する場所の言い方を確認してもらうことを通して, 自信をもって紹介できた 書くこと 国旗カードを得た児童の中には, 紹介カードを完成させようと四線に進んで国名を書いた ( 写真 5) 終末段階 (5/5 時 ) 自分のおすすめの場所とその理由について,GT や友達に積極的に紹介したり, 友達のおすすめの場所を聞いて, 反応したりする ウ終末段階終末段階では, 第 4 時のペアで前半と後半に分けて, 自分の思いが伝わるように友達に声をかけたり, 友達の紹介に対して反応してメモをとったりし合う場を設けた ( 写真 6) 読むこと 迷ったり, 忘れたりした場合に紹介カードに書いた文字が手立てとなり, 自信をもって紹介できるようにし, 児童に達成感や満足感を味わわせるようにした 写真 6 GT や友達におすすめの場所を紹介する児童 外 - 8

資料 5 第 5 時の児童のふり返り 資料 6 単元を通した児童のふり返り ( 考察 3) 相手にわかりやすいやすいように紹介カードに写真を貼っただけでなく, 相手に伝えやすいように場所や理由を英単語で書くことができた 読むこと 紹介カードに場所や理由を英語で書いてあることで, 児童が英単語を手掛かりとし, 自信をもって GT や友達に紹介できた また, 音と文字で紹介することで相手が紹介する内容を理解しやすくなった 自信をもって紹介できたことで, 児童がさらに達成感や満足感を味わうことができた ( 資料 5) 単元をふり返った感想から, 読むこと や 書くこと の活動を通して, 前単元のアルファベットの読み方や書き方を思い出し, 苦手意識のあったアルファベットを書くことが, 少し自信になったことや文字を書くことがおもしろくて楽しかったことが分かった ( 資料 6) (9) 成果と課題約 80% の児童が 読んだり書いたりすることが楽しい と回答した 導入段階で, 教師が GT へ紹介カードを使って紹介することを通して, 児童に単元のゴールの姿を捉えさせた 教師が GT に紹介する場面を見て, 英語を必然的に用いらなければならず,GT へ紹介する場合に文字を手掛かりにすれば, 自信をもって紹介できることが分かった そのことが, 課題の設定の工夫が, 児童の 読みたい, 書きたい という意欲付けになったと考えられる デジタル教材を使って単語を提示したり, 活動で必要な英語表現を提示したりしたため, 約 90% の児童が, 英語の文字や単語が手掛かりとなり, 英語が分かった とした 聞くだけでなく, 文字を見ることで,GT の伝えたいことをわかり, 学習内容を理解することができ, 意欲的に文字を読む姿になった また, 既習のアルファベットの大文字や小文字を読んで四線に書いたり, アルファベットの読みと位置を再確認したりする内容の選定を行った 約 90% の児童が 自信をもって国旗カードに英語の文字や単語を書くことができた とし, 全員が紹介カードに文字を書いたことで達成感を味わい, 文字を書くことが楽しい という回答につながったと考えられる 課題としては, 読むこと でローマ字読みになってしまう児童がおり,GT を活用し英語の発音をすること, 書くこと でアルファベットの大文字と小文字の大きさの区別ができない児童や四線の位置がわからない児童がおり, 大文字と小文字を四線に正確に書く手立てについて検討していく必要がある 外 - 9

2 B 小学校第 5 学年 アルファベットをさがそう ~ What do you want? ~ について活動の工夫課題の設定外国人の元クラスメイトNさんから来た手紙を読み, 返事を書く 内容の選定 読むこと : アルファベットの大文字で書かれた手紙を読む 書くこと : アルファベットの大文字で英単語を書く 慣れ親しませ方使う絵カードや文カードも常に文字 語順を意識したものとすること (1) 本学級の児童の実態本学級の児童は, これまで毎回 GT との TT 授業で Hi,friends! 1 をもとに外国語活動に取り組んできている GT がいることで, 外国語を使う必要感や相手意識をもって外国語活動を楽しんで行っている ( 本学級の 100% の児童が, 外国語活動が好きと答えている ) これまで,GT の国をはじめ外国のあいさつやじゃんけんを通して外国の文化に触れたり, 身近なものの名前や数, 好きなものを伝える英語表現に慣れ親しんだり, アイコンタクトをしてあいさつをしたりジェスチャーをつけて相手に感情や様子を表したりしてコミュニケーションを図ったりする活動をしてきている 本学級の児童で特筆すべきなのが,6 月中旬から 1 か月アメリカの同学年の児童 N さんと学校生活を共にしたことまた APCC アジア太平洋子ども会議でクック諸島から本校を訪れた児童と交流したことである 本学級の児童はその経験の中で, 外国語活動の中ではゲームやクイズを通して活動を友だちと楽しむことができたが, 言語の違う友だちとは自分の本当に伝えたいことはなかなか伝わらず, 言語だけではなくジェスチャーや絵などの非言語が大切であると感じている そして, 少しでも英語表現を用いて伝わったうれしい経験からもっと外国語に慣れ親しんで言語で自分のことを話したり書いたりして伝えたいと考えている児童が多い (2) 課題の設定課題把握の段階で 読んでみたい 書いてみたい と思う, 児童の実態に即した課題として, 一ヶ月間本学級で過ごしていたアメリカの友達からの手紙に対して返事を書くことを設定する これは英語でなくては目的が果たせないという必然性が有り, かつ今まで慣れ親しんだ表現 (I like ) を使って自分の思いを伝えることができる課題であると考える (3) 内容の選定通常の単元目標に加え, アルファベットの大文字を読むこと 書くこと, 身近なものを指す単語を読むこと 書くことを含めた 特に身近なものを指す単語に関しては, 既習のものを多く授業に取り入れることとした (4) 読むこと 書くこと への慣れ親しませ方本小学校では四月当初から授業で提示する絵カードや文カード, さらに板書をする際にはアルファベットを四線上において提示してきた 本単元でも継続してその取り組みを行った また, 文字を活動のヒントとさせるために伝言ゲームで英単語を伝える時にメモを取ってもかまわないようにした (5) 本時の指導について本学級の児童は前単元までに, 身近なものの名前や数, 好きなものを伝える英語表現に慣れ親しんでいる 6 月中旬から 1 か月アメリカの同学年の児童と学校生活を共にしており, その経験の中で, 外国語活動の中ではゲームやクイズを通して活動を友だちと楽しむことができたが, 言語の違う友だちとは自分の本当に伝えたいことはなかなか伝わらず, 言語だけではなくジェスチャーや絵などの非言語が大切であると感じている そして, 英語表現を用いて伝わったうれしい経験からもっと外国語に慣れ親しんで言語で自分のことを話したり書いたりして伝えたいと考えている児童が多い N さんの書いていたアルファベットに対して興味関心をもっていて, ローマ字の学習をもとに読もうとしたり書いて伝えようとしたりしていたが難しさを感じていた 本時までに, 第 1 時では, 身の回りには様々なところでアルファベットの文字が使われていることに気付き, アルファベットの読み方を知る段階においては,N さんの手紙と出会わせた N さんの手紙には 5 の 2 とともに過ごしてきて, 好きになったものやこと が書いてあり 返事が欲しい と伝えている 返事を出すために まずはアルファベットの文字をについて知ること が大事であることに気付いている 外 - 10

第 2 時ではアルファベットの文字の形や音に慣れ親しむために, パズルゲームや文字列を集めるトランプのような文字集めゲームを行った その際欲しいものをたずねたり答えたりする表現にも慣れ親しんでいる ゲームで用いる言葉 ( 文字列 ) は, 意味のあるもののやりとりを意識し全て N さんの好きになったものの言葉を使った 本時ではさらにアルファベットの文字の形や音, 欲しいものをたずねたり答えたりする表現に慣れ親しむ そのために意欲的にかつ正確にアルファベットの文字を集めることができるよう,N さんの好きなものの文字列を使いその意味を GT から教えてもらうという活動を設定する 一斉で発声させる, グループでゲームに取り組むなど, うまくできなくても負担にならず苦手意識をもたせないよう配慮し, 読むこと書くことへとつながるよう文字を認識して相手に伝える機会も設ける 最後にみんなで集めた N さんの好きなもの を紹介し合う N さんの手紙の内容がさらに分かったことで改めて返事を出すこと, そこで改めて自分の好きなものの紹介をすることを確認し次時への意欲付けとする (6) 単元の目標 アルファベットの大文字を読んだり, 欲しいものを尋ねたり答えたりしようとする ( コミュニケーションへの関心 意欲 態度 ) アルファベットの文字と読み方とを一致させ欲しいものを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しむ ( 外国語への慣れ親しみ ) 身の回りにアルファベットの大文字で表現されているものがあることに気付く ( 言語や文化に関する気付き ) (7) 単元計画 ( 全 5 時間 ) 時 1 ねらい 身の回りには様々なところにアルファベットの文字が使われていることに気付き, アルファベットの読み方を知る 評価の観点コ慣気 活動 / 評価規準 活動名 A~Z の文字を見つけよう ポインティングゲーム 評価規準アルファベットの大文字に興味をもち, 絵や写真の中からそれらを探そうとしている 表現例 A~Z のアルファベットの大文字 Point the alphabet. That s right. 2 アルファベットの大文字とその読み方を一致させるとともに, 欲しいものを尋ねたり答えたりする表現を知るとともに, その表現に慣れ親しむ 活動名 アルファベットづくりゲーム A~Z のアルファベットの大文字 評価規準英語表現を使い, 自分の欲しいアルファベットを伝えようとしている What do you want? The card, please. 3 本時 アルファベットの大文字とその読み方を一致させるとともに, 欲しいものを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しむ 活動名 N さんの好きなものを知ろうゲーム 評価規準英語表現を使って, 欲しいものを尋ねたり答えたりしている A~Z のアルファベットの大文字 What do you want? The card, please. 外 - 11

4 欲しいものを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しむ 活動名 カード集めゲーム 評価規準自分の欲しいものを伝えたり, 相手の欲しいものをしっかりと聞いたりしている A~Z のアルファベットの大文字 What do you want? The card, please. 5 自らアルファベットの大文字を読もうとし, 欲しいものを尋ねたり答えたりしながら, できた自分の好きなものの言葉を伝えようとしている 活動名 アルファベットで自分の好きなものを表そう 評価規準自分に必要なアルファベットをたくさんの友達に関わりながら集めようとしたり, 自分の好きなものを表現物に表し, 伝えようとしたりしている A~Z のアルファベットの大文字 What do you want? The card, please. Here you are. Thank you. Sorry. Goodbye. I like~. (8) 授業の実際本学級の児童は前単元までに, 身近なものの名前や数, 好きなものを伝える英語表現に慣れ親しんでいる 6 月中旬から 1 か月アメリカの同学年の児童 (N さん ) と学校生活を共にしており, その経験の中で, 外国語活動の中ではゲームやクイズを通して活動を友だちと楽しむことができたが, 言語の違う友だちとは自分の本当に伝えたいことはなかなか伝わらず, 言語だけではなくジェスチャーや絵などの非言語が大切であると感じている そして, 英語表現を用いて伝わったうれしい経験からもっと外国語に慣れ親しんで言語で自分のことを話したり書いたりして伝えたいと考えている児童が多い N さんの書いていたアルファベットに対して興味関心をもっていて, ローマ字の学習をもとに読もうとしたり書いて伝えようとしたりしていたが難しさを感じていた 本時までに, 第 1 時では, 身の回りには様々なところでアルファベットの文字が使われていることに気付き, アルファベットの読み方を知る段階においては,N さんの手紙と出会わせた N さんの手紙には 5 の 2 とともに過ごしてきて, 好きになったものやこと が書いてあり 返事が欲しい と伝えている 返事を出すために まずはアルファベットの文字をについて知ること が大事であることに気付いている 第 2 時ではアルファベットの文字の形や音に慣れ親しむために, パズルゲームや文字列を集めるトランプのような文字集めゲームを行った その際欲しいものをたずねたり答えたりする表現にも慣れ親しんでいる ゲームで用いる言葉 ( 文字列 ) は, 意味のあるもののやりとりを意識し全て N さんの好きになったものの言葉を使った 本時ではさらにアルファベットの文字の形や音, 欲しいものをたずねたり答えたりする表現に慣れ親しむ そのために意欲的にかつ正確にアルファベットの文字を集めることができるよう,N さんの好きなものの文字列を使いその意味を GT から教えてもらうという活動を設定する 一斉で発声させる, グループでゲームに取り組むなど, うまくできなくても負担にならず苦手意識をもたせないよう配慮し, 読むこと書くことへとつながるよう文字を認識して相手に伝える機会も設ける 最後にみんなで集めた N さんの好きなもの を紹介し合う N さんの手紙の内容がさらに分かったことで改めて返事を出すこと, そこで改めて自分の好きなものの紹介をすることを確認し次時への意欲付けとする 外 - 12

過程児童の活動教師の支援 ( 担任 GT) 教材 評価場面 あいさつ (2) ウォームアップ (5) めあての確認 (5) 1 あいさつをする Hello, everyone. How are you? 2 GT と一緒にABCソングを歌う 3 めあてを確かめる 前時の活動を思い出せるように, チャンツをする Let s do the chant. What do you want? The card please. Today s aim is this. 教師用カード デジタル教材 欲しいものを尋ねたり答えたりする表現を使ってアルファベットゲームをしよう 4 GT が発音するアルファベットの文字を聞き取りながら文字の形と音を確かめる アルファベットの大文字とその読み方を確認する 教師用カード 巻末児童用アルファベットカード 5 前半後半に分かれて, 班で協力してゲームをする ( お店形式 ) N さんの好きなものを知ろう ゲームの進め方のデモンストレーションをする What do you want? The card please. コミュニケーション活動 (24) (1) 列をつくって チェーンゲーム をする (GT が持ってきて欲しいアルファベットを 先頭に伝え, それを列で伝言し, 最後の人が小さいアルファベットカードを選んだり書いたりしたものを班で確認する ) (2)(1) で確認した言葉をさらにお店からもらい,GT のいる黒板に貼ると,GT か はっきりとした態度で欲しいものを尋ねたり答えたりしている子どもや, 相手の答えによく反応している児童をほめる 友達とゲームをしている場面 欲しいものを尋ねたり答えたりしている ( 外国語への慣れ親しみ ) ふり返り (8) ら意味が分かる絵を横に貼ってもらえる 6 Nさんの好きなものが出揃ったらみんなで確かめ, 好きなものを書きとめる ( 日本語でも英語でもよい ) 7 ふり返りカードに記入し, 感想を交流する 日本語でも英語でもよいことを伝える 1 欲しい物を尋ねたり答えたりするときの表現を使おうとしましたか 2 友達が欲しい物を渡すことができましたか ふり返りカード あいさつ (1) 8 あいさつをする Thank you. That s all for today. 外 - 13

3 C 小学校第 6 学年 中学校の先生に自己紹介しよう について活動の工夫課題の設定来年入学する中学校にいるネイティブスピーカー (NS) の先生に対して手紙を書く内容の選定これまでの外国語活動で使った I am 〇〇. I like 〇〇. の表現慣れ親しませ方 聞くこと から 読むこと, 話すこと から 書くこと (1) 本学級の児童の実態本研究において, 当該授業は中学校教員が小学校において出前授業をすることを想定しているものである そのため, 事前の調査や授業参観等は行っていない 担任の先生方には外国語活動の時間で最近どのような内容を児童たちが学んだのかを確認した程度である 具体的には, 児童たちが後述する NS の自己紹介で主たる英語表現として用いる I like 〇〇. を以前学んでいるか, そして児童たちが英語で使える単語 ( 果物, スポーツ, 季節等 ) の確認を行った この検証授業では, 上記活動の工夫をふまえて中学校教員が小学校で授業をすることで, 児童が英語を読み書きすることに中学校入学前に触れさせる これにより, 児童に文字の有用性を知らしめるとともにもっと学びたいという意識をもたせる そうすることで, 児童は文字の読み書きを楽しみ, よってゆるやかな移行を図るものである (2) 課題の設定中学校の NS に対して手紙を書くという課題は以下の点において中学校外国語科へのゆるやかな移行を助けるものであると考える まず, 本小学校と中学校では, 普段は NS や教員を相互に送り込んでの外国語活動 外国語科の授業は行われていない そのため,6 年生の児童たちは中学校にあがるまでどのような先生に学ぶのかを知ることはない そこで, 彼らが中学校に入学した際に授業を担当する NS からの自己紹介原稿を児童たちに渡すことで, 来年英語を習う先生のことを知りたいという欲求を利用し, 英文を読みたい, 理解したいという意欲を高めることができる また, その場にいない外国人に対して手紙を英語で書く, という課題は, 英語を使うこと, 英語を書くことに必然性を持たせることとなる (3) 内容の選定本出前授業では, 既習の表現,I am 〇〇. I like 〇〇. のみを扱うものとする 児童たちがすでに慣れ親しんでいる表現を使わせることで 読むこと, 書くこと に集中させることができる さらに, これらの表現は中学校 1 年生の1 学期に学ぶ内容であるため, 外国語活動と外国語科が連続したものであり, 外国語活動で学習した内容は中学校で役に立つのだ, ということを味わわせることもできる (4) 慣れ親しませ方授業の初めには NS の I am 〇〇. や I like 〇〇. を使った自己紹介を聞かせた 次に, 小学校 5 年生の時に同じ表現を使っておこなった音声面での自己紹介を友達同士で行わせた 英語を苦手とする児童も友達の表現や NS の表現をまねることで自分の好きなものを相手に伝える表現の復習がで 外 - 14

きる また, 唐突に NS からの手紙を読み, それに対する返事を書く, という活動にせず, これま でに学んできた 聞くこと, 話すこと を活動に取り入れることで, 読むこと, 書くこと に対 してもより慣れ親しみやすく感じさせることが出来る (5) 本授業の指導について本授業においては, 小学校外国語活動で行われる 聞くこと と 話すこと を, 中学校英語で新しく始まる 読むこと と 書くこと に拡張していく 題材として自己紹介を取り上げ, 中学校 NS の自己紹介を聞くことから読むことへと繋げ, 友達に話して行う自己紹介から NS に向けて手紙を書くことへと繋げていく (6) 目標 英語で自分の好きなものを紹介する ( コミュニケーションへの関心 意欲 態度 ) 文字を使った自己紹介に慣れ親しむ ( 外国語への慣れ親しみ ) (7) 単元計画 ( 全 1 時間 ) 段評価の観点時ねらい階コ慣気中学校の NS に手 - 1 紙を書く 活動 / 評価規準 活動名 Let s introduce yourselves to the junior high school teacher. 表現例 I am 名前. I like 〇〇. (8) 授業の実際 導入 活動の内容 (1) 中学校教師の自己紹介を聞く (2) めあての確認 Let s introduce yourselves to the junior high school teacher. 考察等ア導入 (1) 児童たちと初めて対面したあと, 英語と日本語を織り交ぜて自己紹介をした (2) 黒板に英語でめあてを書き, 日本語でこの時間に行うことを確認した 聞くこと と 読むこと (1)NS による自己紹介を聞く 写真 7 ビデオ提示はタブレットを使用 (2) 聞こえた言葉を発表する (3) プリントを見ながら再度聞く イ NS の自己紹介この場面ではまず, 事前に撮影しておいた中学校の NS による自己紹介のビデオを見せた その後どのような話をしていたか発表させたところ, 児童たちはところどころに聞き間違いがあるものの, 以前聞いたことのある単語や日本語になっている単語等は聞き取ることができていた 次に,NS の自己紹介を書き起こしたプリントを配布して再度同じビデオを見る機会を設けた すると, あ, 違った とか, 〇〇だと思った 外 - 15

資料 7 児童たちの感想 話すこと と 書くこと (1) 友達同士で自己紹介を練習する (2) 穴埋めプリントで自己紹介の手紙を書く 写真 8 手紙を書く児童たち資料 8 児童たちの感想 けど だった などと, 理解の程度が深まったことを表す声があちらこちらで聞こえた その後で, 改めて NS の話から分かったことを聞くと, おおむね正確に理解できていた ( 考察 ) 児童の感想に見られるように, 初めてまとまった内容の英文を読む機会を与えられた児童たちはそれをただ読むだけでも楽しむことができ, 更にそれを分かる喜びを味わっていた また, 何回も聞いていると分かった, という児童たちは原稿を見ながらスピーチを聞くことで内容の理解が深まったと言うことを表しており, 文字の有用性を感じたものと考えることができる ウ自己紹介本時の主たる活動として,NS に向けた自己紹介の手紙を書く活動を最後に行った その前に, 小学校外国語活動で児童たちが行ったことのある音声面での自己紹介を友達と行わせた 授業後のアンケートを見ると,9 割を超える児童が友達に自己紹介ができたと答えていた 小中のゆるやかな移行を図る上でこの授業におけるこの復習活動は大切なものである 音声面での活動のあと, 名前や好きなものだけを空欄にした自己紹介のプリントを配布した その際, 自分で全部を書きたい人には白紙の便箋も準備していることを伝え, 特に英語が好きな児童へのさらなる動機付けとした 自分の好きなものを英語で書けない児童にはローマ字で書いても, 教師に綴りを聞いて書いても良い, としたが, ほとんどの児童が意欲的に英語の綴りを質問していた ( 考察 ) はじめから文字を書くという活動にせず, 復習として音声での自己紹介を行ったことで, 児童たちは過去に外国語活動で行った活動を思い出し, 文字を書くという活動にスムーズに移行できていた また, 穴埋めのプリントと白紙の便箋を用意したことで, 活動のゴールが2 段階の難易度で設定され, 英語が苦手な児童も得意な児童もそれぞれの目指すゴールに対して積極的に取り組む 外 - 16

様子が見られた また, 感想には文字を書くことが楽しかった, もっと書きたいなど, 中学校外国語科の授業にも積極的に取り組むであろう意識の高まりが見られた (9) 成果と課題中学校へのゆるやかな移行をめざした出前授業という形で, 中学校教員が, 英語を読み書きすることを楽しむ児童を育てるために何をできるかを探ってきた 本出前授業の結果, すべての児童が NS への手紙を書ききり, 全体の 70% を超える児童が 英語を読んだり書いたりして, 中学校の英語の授業に対する不安が減った というアンケート項目に対し肯定的に答えた さらに, 外国語活動でもっと英語を読んだり書いたりしたい という設問には 80% 以上が肯定的に答えた これは, 外国語活動に文字の読み書きを導入する際に行った,3つの工夫, すなわち, 相手意識をもたせるために来年入学する中学校にいる NS に対して手紙を書くという課題設定の工夫, これまでに学んだ表現を用いるという内容選定の工夫, 聞く活動から読む活動へ, 話す活動から書く活動へと四技能を関連付けて読み書きを導入するという慣れ親しませ方の工夫が組み合わさって働き, 児童が英語を読んだり書いたりすることを楽しむことができたからだと考える 事実, 多くの児童は NS に自分の好きなものを伝えるために書きたい英単語の綴りを質問してきた これは, 来年度出会う外国人教師をコミュニケーションの相手に据えることで, 英語を使う必然性を児童が自然と感じたからに他ならない また,NS の自己紹介ビデオを聞くだけでは分からなかった, という約 33% の児童のうち, その 30% は原稿を読むことで分かったとアンケートで答えた さらに, 音声での自己紹介を友達相手にできた ( 児童の 90% 以上 ) という成功体験には, 今まで経験したことのない, 英語で手紙を書くというチャレンジに対し, 児童を積極的にさせる力があったはずである 英語を書く必然性と, 適度な難易度をふまえた本出前授業が中学校外国語科とのゆるやかな移行への一助となるものと考える また, 授業そのものの事前の準備としてはプリントの印刷と NS の自己紹介撮影のみしか行っていない研究であるため, 出前授業に行かなくてはならない中学校の先生方, また, 小学校卒業前に中学校英語とつながる活動をしたいとお考えの小学校の先生方へ向けたひとつのアイディアの提案となればうれしい 課題としては, まず, アルファベットを書く際に, 文字の高さをそろえられない児童が多くいたことである 学習指導要領上は小学校 3 年生のローマ字以降英字を書く指導を受ける機会がないという実情を考えると, 本出前授業 1コマでは文字の復習をする時間は足らず, アルファベットの書き方, 読み方について押さえるために1コマの事前活動ができるとより児童の意欲を高めることができたであろうと考える そうすることでアルファベットに戸惑っていた児童もより安心して書く活動に取り組めるようになるだろう また, 英会話教室や塾に通っている児童の中には,I like 〇〇. にとらわれずに自分の好きなことを書きたがっているものがいた 今回はそこまでの能力をもつ児童がいることを想定していなかったため, 今後機会があればそのような児童向けの活動も準備していきたい 外 - 17

第 Ⅲ 章成果と課題 1 研究の成果本研究では, 読むこと 書くこと を取り入れた活動の工夫を小学校外国語活動で行い, 中学校外国語科へのゆるやかな移行を試みてきた (1) 学校, 学級の実態に即し, 意欲を高められる課題の設定実証授業後のアンケートによると, 英語の文字や単語, 文を書けるようになりたい という質問に対して肯定的に答える児童が 10 ポイント近く増加した 児童たちは中学校入学前からアルファベットや英文に対して慣れ親しむことができ, 我々のめざす中学校へのゆるやかな移行につながる第一歩とすることが出来たと考える 英語を使う必然性を持たせるために,A 小学校では,GT や友達に自分がおすすめする場所を英語で紹介するスピーチに必要な語句を書くという課題を,B 小学校においては, 一学期に日本に短期滞在していた外国人の友達から来た手紙に対して返事を書くという課題を,C 小学校では来年 4 月に入る中学校に在籍している NS に対して自己紹介の手紙を書くという課題を設定したことが有効であったと考えられる このように英語を必然的に使わざるを得ない課題を学校や生徒の実態に合わせて設定する工夫により, 児童たちの ぜひ書きたい, 書けるようになりたい という意欲を強めることができたと考えられる (2) 中学校外国語科との連続性を意識した 読むこと 書くこと の内容の選定学習指導要領が新しくなるとどの単元でも 読むこと 書くこと を指導していくことになると思われるが, 現行の学習指導要領のもとで文字の指導を行う際には平易な内容の単元で実施すると良いことが分かった めやすとして中学校 1 年で学ぶ内容を選択すると, 児童に過度な負担が及ばないことが分かった 本来小学校では積極的には取り扱わないとされている 読むこと 書くこと を取り入れる単元を選ぶにあたり, 元々 Hi, friends! で学ぶ内容の中から, 中学校 1 年で学ぶものを中心に選んだ 児童が 読むこと 書くこと をいやがらず, 楽しんで英語を読み書きできたのはこれらの工夫によるものだとわかった また,B 小学校では, 本研究を念頭に4 月当初から児童に提示する文字はすべて四線にのせて書いておいた 現学習指導要領の枠内でも, 正しい文字の高さを示すこの工夫を行うことで, 中学校入学後の文字に対する負担感を和らげることができるのではないだろうか (3) 読むこと 書くこと への慣れ親しませ方本研究の検証授業では, どの小学校の児童も意欲的に英語を読んだり書いたりする活動に取り組む様子が見られた A 小学校では, 文字が活動のヒントとなるような教材を準備した これまでは英語でスピーチをする際に話す内容を忘れてしまうと言葉が続かなかったり, 自信のなさから声が小さくなったりする児童がいたが, ヒントとなる語句を見ながら話しても良いとした授業ではこれらの問題点は解決された B 小学校においては活動の中でメモをとる場面を設定し, その時に日本語を使っても, アルファベットを使っても良いようにした すると, すべての児童がアルファベットを使ってメモをとり, 文字を書きたい という児童たちの考えは, アンケートに対する回答だけではなく, 本心であることを示している C 小学校では活動に際し, 同じ表現を使って聞く活動をしてから読む活動を行い, 話す活動をしてから書く活動へと移った このような工夫を行うことで, 手紙を書いた児童自身が作品の出来に驚くほど, 抵抗感なく書くという活動に適応することができていた このよ 外 - 18

うな活動を繰り返すことで児童は中学校の英語の授業にも対応して自律的に学習に取り組むことが出来るであろうと考える (4) まとめ各小学校で行ったアンケートから, 読むこと 書くこと を取り入れた授業によって, 文字の有用性を感じたり, 英語を読んだり書いたりすることを楽しめた児童がたくさんいた また, 早く中学校に進学して英語の授業で頑張りたいという感想を書く児童も多数いた 以上のことから, 小学校外国語活動で 読むこと 書くこと を取り入れた活動の工夫を行うことは児童に対して文字の有用性を気付かせることにつながり, 英語を楽しんで読んだり書いたりすることを味わわせることができるといえる ひいては, 中学校外国語科へのゆるやかな移行の実現のための一助となると我々は結論づける 2 研究の課題中学校外国語との連続性を意識した 読むこと 書くこと の内容の選定に関して, 取り上げるべきであったと思われることがある V や Z など, 中学校で学ぶアメリカ式の発音と, 日本でよく言われる発音の違いについて, 思った以上に児童の理解ができていなかった 文字を読み書きする活動を外国語活動で取り入れる際には文字の形と英語での発音を改めて一致させる場面が必要であろう 読むこと 書くこと への慣れ親しませ方については, 文字と音の関係についての指導が不足していた 例えばアルファベットカードを集めて国名を作る際, アルファベットの指導にとどまらず, 文字が集まって単語となり, 意味を持つということを押さえた方が良かったであろう 同じ A という文字でも単語によって読み方が変わることを押さえることができていなかった また, 小文字の高さと四線の関係について時間をかけて意識させる必要があることも分かった 外 - 19

資料等引用文献 1 文部科学省 小学校学習指導要領解説外国語活動編東洋館出版社 ( 平成 20 年 ) 2 文部科学省 中学校学習指導要領解説外国語編 開隆堂出版社 ( 平成 20 年 ) 参考文献 1 文部科学省 小学校学習指導要領解説外国語活動編東洋館出版社 ( 平成 20 年 ) 2 文部科学省 中学校学習指導要領解説外国語編 開隆堂出版社 ( 平成 20 年 ) 3 福岡市教育委員会 新しいふくおかの教育計画 ( 平成 25 年 ) 4 直山木綿子 初等教育資料 2015 年 4 月 東洋館出版社 ( 平成 27 年 ) 5 文部科学省 Hi, friends! 1 2 東京書籍 ( 平成 24 年 ) 研修員梶原真紀 ( 原小学校教諭 ) 野田清生 ( 片江小学校教諭 ) 松下周 ( 箱崎清松中学校教諭 ) 研究指導者横溝紳一郎 ( 西南女学院大学教授 ) 岸本隆幸 ( 研修 研究課指導主事 ) 山村俊介 ( 研修 研究課主任指導主事 ) 外 - 20