258 日本の年金制度は 法律で強制加入となる年金 企業が任意に実施できる年金 個人が任意に加入できる年金の3つに分けられます 以下では これらの3つに分けて順に 年金と税金 年金にはどのようなものがあるか 年金制度の体系の概要 国民年金基金 国民年金第 1 号被保険者 法律で強制加入となる年金 国民年金 ( 基礎年金 ) 国民年金は 20 歳以上 60 歳未満の全ての国内居住者を主な被保険者として 老齢 障害 死亡に関して必要な給付を行い 健全な国民生活の維持 向上に役立てることを目的としています 全ての国内居住者を対象とした年金制度の基礎となる年金ですので 基礎年金ともいいます 国民年金の被保険者の種別は 次の表のようになっており 20 歳未満または60 個人年金 11-1 年金制度を説明し 最後に 企業が任意に実施できる年金 と 個人が任意に加入できる年金 の両方の性質を持つ確定拠出年金について説明します 企業型 確定拠出年金 厚生年 年金払い退職 金基金など 給付 厚生年金保険 国民年金 ( 基礎年金 ) 民間企業の従業員等 公務員等 国民年金 国民年金第 2 号被保険者 第 3 号被保険者 法律で強制加入となる年金 企業が任意に実施できる年金 個人が任意に加入できる年金 規約によってはにも加入できる場合があります ( 詳しくは 261 ページ参照 ) 歳以上でも厚生年金の被保険者となっている場合は 国民年金の第 2 号被保険者となります 国民年金の保険料を被保険者が直接支払う必要があるのは 第 1 号被保険者だけです 第 2 号被保険者および第 3 号被保険者の保険料相当額は厚生年金の制度を通じて間接的に支払うものとなっています 条件 例 第 1 号被保険者第 2 号被保険者第 3 号被保険者 20 歳以上 60 歳未満の国内居住者で第 2 号被保険者 第 3 号被保険者以外の者 自営業者 自営業者の配偶者 無職の人 学生など 厚生年金 ( 旧共済年金を含む ) 厚生年金は 民間企業の従業員や公務員が加入し 老齢 障害 死亡に関して必要な給付を受ける制度です 一定要件を満たす企業において一定の勤務条件で働く人は法律により必ず厚生年金に加入することとなっています 厚生年金の加入者は 自動的に国民年金の第 2 号被保険者となります 厚生年金の保険料は報酬 ( 給与 賞与等 ) に対して一定の保険料率を乗じた金額で 労使折半で負担します なお 従来の共済年金は 2015 年 10 月に厚生年金に統一されました 共済年 企業が任意に実施できる年金 (DB) は 原則として給付 額を固定した企業年金制度です 英語の Defined Benefit の頭文字をとってDBとも呼ばれます 掛金は原則として企業が拠出します 固定の給付額を賄うために拠出すべき掛金は資産運用の成果により変動しますが その責任は企業が負います は 原則として拠出額を固定した企業年金で 資産運用方法は従業員が選択する制度です 詳しくは 261ページで説明します 厚生年金基金 ( 調整年金 ) 厚生年金基金は 厚生年金に上乗せし 厚生年金の被保険者 年金 財形と税金の話 220 歳以上 60 歳未満の第 2 号被保険者の被扶養配偶者民間企業の従業員や公務員の被扶養配偶者金と厚生年金の制度的差異は 経過措置を経て厚生年金に揃えて解消されていく予定となっています 年金払い退職給付共済年金の支給額は 報酬や勤続年数が同じであっても厚生年金より多く設計されており 厚生年金と比べ上乗せされている部分は 職域部分 と呼ばれていました 2015 年 10 月に共済年金が厚生年金に統合された際に この 職域部分 に代えて新たに年金払い退職給付が設けられました 年金払い退職給付の掛金は報酬 ( 給与 賞与等 ) に対して一定の保険料率を乗じた金額で 労使折半で負担します て年金を支給するための基金で 企業が厚生年金基金を設立し 厚生年金の一部を国に代わって運用するものです かつては 基金の運用実績が高く 厚生年金基金の加入者は厚生年金を上回る年金額を受給できました しかし 近年は基金の運用成果が芳しくなく 厚生年金と同額の年金額を支給することさえ危ぶまれる基金も少なくありません このため 2014 年 4 月 1 日以後 厚生年金基金の新設は認められず 2019 年 4 月 1 日以後は 代行資産保全の観点から設定した基準を満たせない基金については 厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いた上で解散命令を発動できることとしています さらに なお存続する基 259 民間企業の従業員 公務員など 018年度改正 国民年金の被保険者種別所得税住民税株式N
260 金についても 政府が2014 年 4 月 1 日以後 10 年以内に解散するか他制度に移行するよう検討し 速やかに法制上の措置を講じるものとしています 中小企業退職金共済制度中小企業退職金共済制度とは 中小企業退職金共済法に基づき 中小企業の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し 中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の振興を図る制度です この制度は 独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本 個人が任意に加入できる年金 個人年金保険個人年金保険とは 生命保険会社が提供する個人年金保険で 個人が生命保険会社 証券会社 銀行 信託銀行などを通じて私的に契約するものです 年金の給付額や給付期間等の内容により 様々な種類の個人年金があります 保険料を積み立て その積立金と運用収益を年金のかたちで受け取るもので 保険型と貯蓄型の2 種類に分かれます 保険型は 被保険者が生存している限り年金を受け取ることができる終身年金 被保険者の生存 死亡にかかわらず5 年あるいは10 年など一定期間年金を受け取ることができる確定年金 被保険者が生存している場合に限り一定期間年金を受け取ることができる有期年金などの種類があります 貯蓄型は 積立預金と同じで利息分が支払額に加算されるかたちとなります 国民年金基金国民年金基金とは 自営業者などの国民年金第 1 号被保険者 ( 259ページ ) を対象に 国民年金の上乗せ支給を行う公的な年金制度です 部 ( 中退共 ) が運営しています 事業主が中退共と退職金共済契約を結び 毎月の掛金を金融機関に納付します 従業員が60 歳未満で退職したときは 退職金が一時金で支払われます 60 歳以上で退職した場合は 退職金の支給方法を一時金または年金 ( 分割払い ) およびその併用から選択できます 自社年金自社年金とは 企業が独自に金融機関と契約して 年金を運用 管理するものです 社内年金ともいいます 国民年金第 1 号被保険者は 国民年金に加入するだけでは老後に受け取れる年金額が基礎年金部分に限られ 厚生年金にも加入する第 2 号被保険者と比べて 大幅に少なくなります この差額分を解消するために 厚生年金などに相当する国民年金基金に任意加入できる制度が設けられています 国民年金第 1 号被保険者は 後述する (ideco) にも加入することができますが 掛金の限度額は国民年金基金と (ideco) について 合計で年額 81 万 6,000 円以内となっています なお 国民年金基金は 加入時に予定利回りが固定され将来の年金給付額が原則として決まっている点が (ideco) との大きな違いです (ideco) (ideco) は 老後をより豊かなものとするため 個人が自助努力で掛金を拠出し 自ら資産運用方法を選択する制度です 詳しくは 261ページで詳しく説明します 財形年金貯蓄 財形年金貯蓄は 民間企業の従業員などが 在職中に給与天引きで資金を積み 確定拠出年金 (DC ideco) 確定拠出年金は 拠出額が確定している一方 給付額は運用成果によって変動する年金です 英語のDefined Contribution の頭文字をとってDCとも呼ばれます 確定拠出年金には企業型と個人型があります は 企業が従業員のために掛金を拠出する企業年金の一種です 掛金の拠出は原則として企業だけですが 規約によっては従業員も任意で掛金を拠出することができます ( マッチング拠出 ) 一方 は 加入者自身が掛金を拠出し 自助努力で老後のための資金を積み立て運用することができる制度です 元々は自営業者や企業年金制度のない会社員等を対象とした制度としてスタートしましたが 2017 年 1 月に加入対象者の範囲が大幅に拡充し 現在では 20 歳以上 60 歳未満の国内居住者であれば 原則として企業型か個人型のいずれかの確定拠出年金に加入できるようになりました ( 両方に加入できる場合もあります ) なお 加入対象者が大幅に拡充されることに合わせ 確定拠出年金普及 推進協議会にての愛称が ideco( イデコ ) に決定されました 加入対象者と拠出限度額確定拠出年金の加入対象者と拠出限度額は 262ページの表のようになります 拠出限度額は 2017 年 12 月 31 日までは月額で定められていましたが 2018 年 1 月 1 日以後は年額に変更されました これに伴い 掛金の拠出も毎月に限ら 2立て 60 歳以後に年金として払出しを受ける制度です 詳しくは 271ページで説明します ず 年単位で拠出時期を柔軟化させることが可能になりました 運用方法の指図企業または運営管理機関 ( 加入者の個人別資産の記録 通知など および加入者が行う運用の指図のとりまとめなどを行う機関 ) は 投資信託 預貯金 保険商品などの中から運用商品を選定します その際には 原則としてリスク リターン特性の異なる3 本 35 本の運用商品を選定することとなっています 加入者は 選定された運用商品の中から商品を選び 運用を指図します 加入者は 保有している運用商品を他の運用商品に預け替える ( スイッチングする ) 指図を行うことが可能で この際に商品の売却益が出ても所得税は課税されません また 運用商品に利子 配当等が支払われても所得税は課税されません ( 特別法人税は2020 年 3 月 31 日まで課税が凍結されています ) なお 加入者から個人別の管理資産に対する運用の指図が無い場合に 加入者から運用の指図があるまで運営管理機関が運用方法を指定する ( 指定運用方法を定める ) ことができます 指定運用方法を定めるにあたっては 企業型においては労使協議の実施 個人型においては運営管理機関から国民年金基金連合会への選定した商品とその理由の届出などの手続きが必要となっています 年金資産の持ち運び ( ポータビリティ ) 加入者が離転職した場合には それま 261 018年度改正所得税住民税株式N
262 で積み立てていた年金資産を他の制度に持ち運ぶ ( 移す ) ことが可能です 具体的にどの制度に持ち運べるかは263ページを参照して下さい 給付給付の形態としては 老齢給付金 ( 年金または一時金 ) 障害給付金( 年金また 確定拠出年金の加入対象者と拠出限度額 国民年金の資格区分 企業年金の加入状況 加入可否 は一時金 ) 死亡一時金 および脱退一時金となります 老齢給付金は 加入期間が10 年以上である場合には60 歳以上で受けることができ それ以外の場合でも 遅くとも65 歳から受給できます 老齢給付金の受給は70 歳までに開始する必要があります 規約の種類 拠出限度額 国民年金第 1 号 1 被保険者 国民年金第 2 号 3 被保険者 国民年金第 3 号被保険者 1 2 国家公務員共済 地方公務員共済のいずれかに加入 厚生年金基金 私学共済 石炭鉱業年金基金のいずれかに加入 3 1 2 のいずれにも該当しない (ideco) 加入可否 マッチング拠出を認める規約 B 個人型の同時加入を認める規約 C B いずれにも該当しない規約 4 年額 33 万円 ( 月あたり2.75 万円 ) 年額 18.6 万円 ( 月あたり1.55 万円 ) 年額 33 万円 ( 月あたり2.75 万円 ) 左記 2 でに加入していない場合 マッチング拠出を認める規約 B 個人型の同時加入を認める規約 C B いずれにも該当しない規約 4 年額 66 万円 ( 月あたり5.5 万円 ) 年額 42 万円 ( 月あたり3.5 万円 ) 年額 66 万円 ( 月あたり5.5 万円 ) 左記 3 でに加入していない場合 拠出限度額 年額 81.6 万円 ( 月あたり 6.8 万円 ) 2 年額 24 万円 ( 月あたり 2 万円 ) 5 年額 27.6 万円 ( 月あたり2.3 万円 ) 年額 27.6 万円 ( 月あたり 2.3 万円 ) 1 農業者年金基金の加入者 および国民年金保険料につき免除を受けているか未納である者を除く 2 国民年金基金の掛金または国民年金の付加保険料を支払う者は 拠出限度額はそれらとの合算で年額 81.6 万円 ( 月あたり 6.8 万円 ) 3 原則 60 歳以上の者を除く ( に限り 60 歳未満から継続勤務している者は規約に定めがあれば最長 65 歳まで加入し掛金拠出が可能 ) 4 マッチング拠出を行う場合は 企業と従業員の拠出額の合計額が表記の金額以内であり かつ 従業員の拠出額が 企業の拠出額の同額以下である必要がある 5 中小事業主が掛金を上乗せする中小事業主掛金納付制度を導入している場合は 企業と従業員の拠出額の合計額が年額 27.6 万円 ( 月あたり 2.3 万円 ) 以内 ( ただし 企業のみの拠出とすることは不可 ) Q 年金制度間の資産の持ち運び ( ポータビリティ ) 今まで勤めてきた企業には企業年金がなく で老後の資産を蓄えてきました 転職先の企業ではを実施していますが 転職先の企業年金にこれまでで蓄えてきた資産を持ち運ぶことはできますか? 転職先の企業年金が規約等で認めていれば 持ち運ぶことができます 勤め先や働き方が変わっても継続して老後のための資産を蓄えていくことができるように なるべく年金制度の間で資産を持ち運びできるようにする ( ポータビリティを確保する ) 制度改正が近年進められてきました 年金制度間の資産の持ち運びの可否は 持ち運び元の制度と持ち運び先の制度の組み合わせにより 次の表のように示されます 年金資産の持ち運び時に税金は課されず 持ち運び先の制度における給付時まで課税は繰り延べられます 持ち運び先の制度で一時金として給付を受ける場合 退職所得控除額計算上の勤続年数は持ち運び元の制度における加入期間等と通算されます 年金制度間の資産の持ち運びの可否 (2018 年 5 月現在 ) 退職金共済持ち運び元の制度 中小企業退職金共済 持ち運び先の制度 中小企業 持ち運び可能 持ち運び不可 制度実施企業における制度変更時に限り持ち運び可能 ( 転職による持ち運びは不可 ) は制度上持ち運び可能であることを示していますが 持ち運び先の企業における規約等によっては持ち運びができない場合もあります 263 2018年度改正所得税住民税株式N
264 年金にかかる税金 掛金拠出時の税金 加入者が拠出した年金の掛金については 原則 所得控除の対象になります たとえば 公的年金 ( 国民年金 厚生年金 国民年金基金 ) や厚生年金基金については 加入者が拠出した掛金の全額が社会保険料控除の対象になります 加入者と生計を同じくする親族が拠出することになっている社会保険料で 加入者自身が拠出したものについても控除の対象になります は 加入者の拠出分につき生命保険料控除の対象となり 支払金額に応じて控除されます 生命保険契約などに基づく個人年金 ( 保険型 ) も 掛金拠出時の取扱い 加入者拠出 支払保険料につき生命保険料控除などの対象となります については 拠出額の全額が加入者本人の小規模企業共済等掛金控除の対象になります 中小事業主掛金納付制度を導入している場合における中小事業主掛金は全額当該中小事業主の損金または必要経費となります では 事業主の拠出分については全額当該企業の損金または必要経費となります マッチング拠出における加入者拠出分については 拠出額の全額が加入者本人の小規模企業共済等掛金控除の対象となります 事業主拠出 国民年金全額社会保険料控除 厚生年金厚生年金基金 全額社会保険料控除 国民年金基金全額社会保険料控除 1 生命保険料控除 ( 上限あり ) 中小企業退職金共済 確定拠出年金 企業型 個人型 個人年金 ( 保険型 ) 全額小規模企業共済等掛金控除 全額小規模企業共済等掛金控除 2 生命保険料控除 ( 上限あり ) 1 一般生命保険料 ( 30 ページ参照 ) の区分になります 2 商品により 一般生命保険料または個人年金保険料 ( 30 ページ参照 ) の区分になります 給付時の税金 年金制度からの給付は 原則として年金として受け取りますが 制度によっては一時金が支給される ( 一時金の支給を選択できる ) 場合があります 年金制度からの給付時の課税の概要 国民年金厚生年金共済年金 厚生年金基金 年金 雑所得 ( 公的年金等控除の適用あり ) 障害 遺族年金は非課税 雑所得 ( 公的年金等控除の適用あり ) 障害 遺族年金は非課税 雑所得 ( 加入者拠出相当分を除く ) ( 公的年金等控除の適用あり ) 遺族年金は相続税障害年金は非課税 中小企業退職金共済雑所得 ( 公的年金等控除の適用あり ) 確定拠出年金 ( 企業型 個人型 ) 雑所得 ( 公的年金等控除の適用あり ) 障害年金は非課税 公的年金等の給付金の課税方法 公的年金等の給付による所得は 雑所得として総合課税されます 公的年金等以外の雑所得 の金額は 公的年金等以外の総収入金額から必要経 税法上 公的年金等とは 主に次の年金をいいます 税法上の 公的年金等 には 国民年金などの公的年金のみなら 2各種年金制度からの給付についての課税概要は次の表の通りです 年金として受給するか 一時金として受給するかにより所得区分が異なる場合があります 一時金 退職所得 ( 退職所得控除の適用あり ) 障害 遺族一時金は非課税退職所得 ( 加入者拠出相当分を除く ) ( 退職所得控除の適用あり ) 遺族一時金は相続税障害一時金は非課税退職所得 ( 退職所得控除の適用あり ) 遺族一時金は相続税退職所得 ( 退職所得控除の適用あり ) 遺族一時金は相続税障害一時金は非課税費を差し引いた額となりますが 公的年金等による雑所得 の金額は その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を差し引いた金額となります ず や確定拠出年金などの企業年金も含まれます 265 国民年金基金雑所得 ( 公的年金等控除の適用あり ) 遺族一時金は非課税 個人年金 ( 保険型 ) 運用益部分は雑所得運用益部分は一時所得 個人年金 ( 貯蓄型 ) 運用益部分は利子所得運用益部分は利子所得 財形年金貯蓄非課税要件外払出しの運用益部分は利子所得等 死亡退職金と同様の取扱い ( 法定相続人数 500 万円の非課税枠あり ) 018年度改正所得税公的年金等による雑所得の金額 =( 公的年金等の収入金額 ) ( 公的年金等控除額 ) 住民税株式N
266 1 社会保険または共済制度に基づく公的な制度から支給される年金 ( 国民年金 厚生年金の老齢年金 国民年金基金からの年金 退職共済年金など ) 2 社外積立型の企業年金 ( 厚生年金基金 確定拠出年金からの老齢給付金 中小企業退職金共済など ) 3 恩給 過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金 ( 恩給 企業内の自社年金 ) 公的年金等控除額は 収入金額と年齢に応じて定められています 退職所得となる一時金の課税方法 確定拠出年金 中小企業退職金共済などからの給付について 一時金による支給を選択した場合は 原則として退職所得として課税されます 退職所得の金額は 以下の算式により算出されます 年金制度からの一時金を受け取る人が 具体的には以下の速算表を利用して計算した額となります 公的年金等控除額の速算表 (2019 年分までの所得税 2020 年度分までの住民税 ) 受給者の年齢その年中の公的年金等の収入金額公的年金等控除額 65 歳未満 65 歳以上 130 万円以下 130 万円超 410 万円以下 410 万円超 770 万円以下 770 万円超 330 万円以下 330 万円超 410 万円以下 410 万円超 770 万円以下 770 万円超 1 65 歳未満か以上かの判定はその年の 12 月 31 日の年齢によります 2 2020 年分以後の所得税 2021 年度分以後の住民税については 5 ページ参照 退職所得の計算式 70 万円収入金額 25%+ 37.5 万円収入金額 15%+ 78.5 万円収入金額 5%+155.5 万円 120 万円収入金額 25%+ 37.5 万円収入金額 15%+ 78.5 万円収入金額 5%+155.5 万円 退職金も受け取る場合 退職金や一時金を受け取る年ごとに退職所得を計算します ( 同じ年に受け取る場合は合算します ) 退職所得控除額を計算する際には 一時金に係る加入期間等と退職金に係る勤続年数が重複する部分について原則として調整が行われます ( 19ページ参照 ) 退職所得の金額 =( 一時金 退職金の収入金額 退職所得控除額 ) 1/2 退職所得控除額の計算式 勤続年数または加入期間等 退職所得控除額 2 年以下 80 万円 2 年超 20 年以下 40 万円 勤続年数 20 年超 800 万円 +70 万円 ( 勤続年数 -20 年 ) 非課税となる給付金など国民年金 厚生年金 厚生年金基金の遺族年金や障害年金および 確定拠出年金の障害年金は非課税となります 公的年金等の給付と確定申告公的年金等の金額が一定額以上の場合には その支払いの際に所得税が源泉徴収されます したがって 受け取った年金額は 所得税が差し引かれた後の金額となっています 源泉徴収額は 一定の算式に基づいて算出されます 年金受給者の場合 給与所得者と異なり年末調整は行われません したがって 年金受給者は基本的に確定申告をする必要があり 雑所得として申告することになります ( 確定申告書には日本年金機構などから送られてくる公的年金等の源泉徴収票を添付する必要があります ) ただし すべての年金受給者が確定申告しなければならないわけではありません ( 公的年金等に係る確定申告不要制度 ) 年金受給者の年間の公的年金等の収入金額が400 万円以下で その年の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20 万 年金 財形と税金の話 の遺族年金は 相続税の対象となります 厚生年金基金 中小企業退職金共済 確定拠出年金の退職に基づく一時金は 公的年金等とならず退職所得となります 円以下であるときは 所得税について確定申告が不要です また 公的年金等を受けながら働いている給与所得者の場合 給与収入が2,000 万円以下で かつ 給与所得 退職所得以外の所得 ( 公的年金等は公的年金等控除後の所得 ) が20 万円以下なら 所得税を確定申告する義務はありません ただし 源泉微収の対象とならない公的年金等の支給を受ける者は 確定申告が必要です なお 遺族年金 障害年金については 所得税は非課税ですので 確定申告をする必要がありません 医療費控除 寡婦控除 住宅ローン減税等の適用を受ける人あるいは年末調整を受けずに会社を退職された人などは 確定申告により源泉徴収された所得税の還付を受けることができます 267 2018年度改正所得税住民税株式N