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化合物 が 5% の収率で得られた ( 図 1 19 20 ) 1 20 P(PPh 3) 2Cl 2, Cu Et 3, s. DM rlux, 12 h C C 21 P(PPh 3) 2Cl 2, Cu Et 3, s. DM rlux, 12 h 5 % P(PPh 3) 2Cl 2, Cu Et 3, s. DM rlux, 12 h 図 19 2 M KO q. CCl 3, MO r.t., 2 h 3 % (3 stps) 次に DC 誘導体 (5 ~ 7) の合成計画を図 5 に示した すなわち テトラブロム体を調製し 次にアニリン誘導体とのカルバゾール環形成反応を行うと言う計画である そこで この計画の鍵反応となるカルバゾール環形成反応の予備実験をかねて まず 図 5 下部の方法で比較化合物 8~10 の合成を行った 出発原料は 市販の 2,2 - ジブロモビフェニル 22 である これに p 位に目的とする官能基を有するアニリン誘導体 23 と 2 を用いて それぞれ野崎らの条件で反応を行った ( 図 上部 ) C C C 22 2 t u 2 C 23 2 P 2() 3, t uo, t u 3P * 25 i) n uli, s. T Cu, L- prolin, K 2CO 3 i) s. DMSO rlux, 2 h 11 2 52 % 10 s. T, r.t., ovrnight 2 O O 8 (%) 28 % t u * K. ozki t l., Angw. Chm. nt. E., 2003, 3, 2051-2053. OAc, MC r.t., 1 h 2 図 conc. 2SO, O 2 EtO 90 o C, 0.5 h 93 % 92 % 28 29 30 i) 9 (2%) へと誘導した トリハロゲン体 31 は 伊与らの方法 すなわち n- ブチルリチウムと 2 価の塩化銅を用いたホモカップリング反応を行い 2,2 -, テトラブロモビフェニル 32 へと導いた さらに 得られた 32 は 溶媒を無水 T に変えて 31 から 32 の反応と同様の試薬を用いてホモカップリング反応を行った その結果 中心骨格のテトラブロム体 33 を調製することが出来た Li, s. T -78 o C, 2 h ii) 2, s. T -78 o C r.t., ovrnight 98 % C 2 5 : = t u : = C 7 : = uli, CuCl 2* s. Et 2O -78 o C, h r.t., ovrnight uli, CuCl 2 * s. T -78 o C, h 3 % 57 % 31 32 33 * M. yo t l., J. Chm. Soc., Pr kin Tr ns. 1, 2001, 159-15. 2 P(0) 図 7 8 : = t u 9 : = C 図 5 10 : = その結果 比較化合物 8 と 9 を得ることが出来た 従って DC 誘導体の合成の鍵反応が望み通り進行することが確認されたので 当初の計画に従って合成を進める事にした なお 比較化合物 10 の合成は この時点で相当するアニリン誘導体が入手できなかったので 図 上部に示した別ルートで行った すなわち カルバゾール 11 と p- ブロモヨードベンゼン 25 との縮合反応でブロム体 2 を調製し 得られた 2 をリチオ化したのち ジメシチルボランフロリド を反応させることにより得ることが出来た DC 誘導体 (5~7) の合成については まず テトラブロモ体 33 の調製を行った ( 図 7) 出発原料に p ブロモアニリン 28 を用い - ブロモスクシンイミドを作用させ臭素化した そして 得られた 29 のエタノール溶液に濃硫酸と亜硝酸ナトリウムを加え脱アミノ化を行い 1,3 ジブロモベンゼン 30 へと導いた 続いて 得られた 30 をリチオ化した後 ヨウ素化し トリハロゲン体 31 目的化合物 5 と の合成は それぞれの p 位に目的とするアクセプター官能基を有するアニリン (23 2) を用い パラジウム触媒を用いた野崎らの条件に従ってカルバゾール閉環反応を行い それぞれ 25% と 38% の収率で合成することが出来た ( 図 8) 33 2 2 23 t u P 2() 3, t uo, t u 3P 2 C 25 % 38 % P 2 () 3, t uo, t u 3 P 図 8 目的化合物 7 の合成に関して まず 予備実験と同様にハロゲン体 3 を調製し リチ t u C 5 t u C

オ化したのち ジメシチルボランフロリド を反応させることにより合成することを考えた しかし 前駆体となるハロゲン体 3 の調製を試みたが 3 を得ることは出来なかった 次に ハロゲン体 3 をニトロ体 35 から誘導する事で考え ニトロ体 35 の調製を試みたが 35 も得ることは出来なかった ( 図 9) CCl3 1 M (300 Mz, δ (CDCl 3 )) C c C C c 2O 2 ( = or ) 33 P 2 () 3, t uo, t u 3 P 3 図 11 2 O 2 P 2 () 3, t uo, t u 3 P O 2 O 2 35 2 38 % 2 28 3 uction 図 9 1) n uli, s. T 2) P 2() 3, t uo, t u 3P Snmyr ction 33 7 図 10 7 1) n uli, s. T 2), s. T, r.t., ovrnight そこで アニリン誘導体 3 を調製し 目的化合物 5 および と同様に テトラブロモ体 33 とのカルバゾール環形成反応を行う合成経路を検討した ( 図 10) アニリン誘導体 3 は p- ブロモアニリン 28 から 38% で調製することが出来たので 野崎らの条件を用いてカルバゾール閉環反応を行った しかしながら 現在の所 目的化合物 7 の合成には至っていない 以上 種の C 誘導体および 2 種の DC 誘導体の合成が完了したので まず それらの構造確認をした ここでは例として C 誘導体 と DC 誘導体の について説明する 図 11 に C 誘導体 の 1 M を示した 四角で囲った部分を拡大すると ベンゾニトリル部のプロトン ( ) が 7.7 ppm 付近に観測された 次に 中心の C 骨格の各プロトンは プロトン () が 8.30 ppm にシングレット プロトン () が 8.3 ppm にダブレット プロトン (c) が 7.8 ppm にダブルオブダブレット そして プロトン () が 7.9 ppm にダブレットとして観測された 従って 化合物 が対称性の良い望む構造をしていることが確認できた 次に 図 12 に DC 誘導体 の 1 M を示した 四角で囲った部分を拡大すると ベンゾニトリル部のプロトン ( ) のシグナルがそれぞれ 7.7 ~ 8.00 ppm 付近に観測され 中心の DC 骨格のプロトン (c ) のシグナルが 7.1 ~ 7.8 ppm にかけて図に帰属したように それぞれに考えられるカップリングパターンで観測された 以上の結果から 化合物 もまた対称性の良い望む構造をしていることが確認できた 合成した C 誘導体と DC 誘導体の発光特 CCl 3 1 M (300 Mz, δ (CDCl3)) C c 図 1 12 性について説明する まず C 誘導体については 図 13 に 基本骨格 C と C 誘導体 (1 3 ) のクロロホルム溶液の蛍光スペクトルを示した これらスペクトルから明らかなように 基本骨格 C よりもドナーまたはアクセプターユニットを導入した C 誘導体の方が優れた発光特性を示すことが分かった 特に ドナーユニットを導入した 1 と 3 の発光極大波長 (λ m ) がより長波長にシフトし 蛍光量子収率 (Φ ) も 基本骨格 C はもちろんのこと アクセプターユニットを導入した よりも向上することがわかった 次に DC 誘導体については DC 誘導体 (5 ) と比較化合物 (8 9) の発光特性を比べた 図 17 に示したスペクトルから明らかなように 比較化合物であるカルバゾール誘導体 (8 9) に比べ それらが背中合わせで縮環した構造を持つ DC 誘導体 (5 ) の方がより長波長で発光し 大きな蛍光量子収率を示すことが分かった 以上の結果に加え 固体状態での発光特性 C c

発光強度 蛍光スペクトル ( クロロホルム溶液 ) C : = λm = 37 nm, Φ = 0.2 1 : = λ m = 17 nm, Φ = 0.1 3 : = λm = 18 nm, Φ = 0.5 れ 期待した発光特性の向上が見られなかった思われる ( 図 1 下部 ) DT 計算 <T o p v iw > C <Si viw > (rom ) : = C λ m = 0 nm, Φ = 0.7 350 00 50 500 波長 (nm) 発光強度 300 350 00 50 500 550 00 compoun C 1 3 DC 5 8 9 波長 (nm) 図 13 CCl 3 5 : = t u λ m = 5 nmφ = 0.50 : = C λm = 3 nmφ = 0.51 8 : = t u λ m = 352 nmφ = 0.0 9 : = C λ m = 0 nmφ = 0.35 も加えて 表 1 にまとめた 表 1 から明らかなように C 誘導体において 先程も述べたように いずれの誘導体も クロロホルム溶液状態では基本骨格 C よりも発光極大波長が長波長シフトし 蛍光量子収率の増大がみられた 固体状態では 発光極大波長がさらに長波長に観測されたが 蛍光量子収率については 3 のみに増大がみられた 一方 DC 誘導体においては クロロホルム溶液状態 固体状態ともにドナー アクセプター修飾による明確な発光特性の向上は見られなかった 表 1 各種誘導体の発光特性 ( クロロホルム溶液状態 固体状態 ) Soli λs (nm) logε λm (nm) Φ λm (nm) 3 3.98 37 0.2 03 0.17 393.05 17 0.1 0 0.1 399.0 18 0.5 58 0.39 39 3.9 0 0.7 0.01 20.32 0.55 523 0.17 22.12 5 0.50 52 0.13 13 3.85 3 0.51 512 0.03 32.0 352 0.0 2 0.0 337.31 0 0.35 39 0.08 Φ DC < T o p v iw > < S i v i w > (rom ) 図 1 以上 本研究課題では 優れた発光材料の創製を目指し C と DC を基本骨格とした新たな含窒素 π 共役系化合物を分子設計し その合成に成功するとともにそれらの発光特性を明らかにした 5. 主な発表論文等 ( 研究代表者 研究分担者及び連携研究者には下線 ) 雑誌論文 ( 計 1 件 ) 山口仁宏 天然物有機化学者がなぜ有機発光体? 化学 ( 化学同人 ), 査読無 201,9 巻 2 号 32-37 学会発表 ( 計 0 件 ). 研究組織 (1) 研究代表者山口仁宏 (YAMAGUC, Yoshihiro) 近畿大学 理工学部 教授研究者番号 :3020037 以上の結果は DT 計算による各々の骨格の最安定構造から次のように考えられる まず C 骨格は 赤い矢印の方向から見た側面図から明らかなように ほぼ平面である 従って ドナー アクセプター修飾による骨格への電子的効果が有効であったと思われる ( 図 1 上部 ) 一方 DC 骨格では 青矢印から見た側面図から明らかなように 二つのカルバゾール環が同一平面上になく さらに - フェニル基もそれぞれのカルバゾール環に対してねじれた状態になっている 従って - フェニル基への官能基導入による骨格への電子的効果が 殆どなかったと考えら