日暖畜報 53(1): 25-29, 2010 原著論文 ( 一般論文 ) 佐賀県黒毛和種牛におけるサイログロブリン遺伝子プロモーター領域の 1 塩基置換と枝肉形質との関連性 林田瑠美子 礒兼妙子 片渕直人 1 大坪利豪 1 和田康彦 佐賀大学農学部 1 佐賀県畜産試験場 ( 受付 2009 年 8 月 28 日 ; 受理 2009 年 10 月 2 日 ) 要約ウシのサイログロブリン遺伝子のプロモーター領域に 1 塩基置換 (C/T) が存在し, その SNP と脂肪交雑との間に関連性が存在することが報告されており, 脂肪交雑の候補遺伝子の 1 つとして注目されている. そこで, 佐賀県で生産された黒毛和種の種雄牛および繁殖雌牛と, 佐賀県産種雄牛の糸晴栄の去勢息牛について, この 1 塩基置換と枝肉形質との関連性を検討した. 種雄牛と繁殖雌牛の遺伝子型は CC 7 頭,CT 19 頭,TT 16 頭であった. 遺伝子型の効果はロース芯面積について 5% 水準で有意であり,CT 型が CC 型に対して有意に大きなロース芯面積を持つことが示された. 糸晴栄の去勢息牛の遺伝子型は CC 型 44 頭,CT 型 117 頭,TT 型 71 頭であった. 分散分析の結果, 遺伝子型の効果は全ての形質において有意性が認められなかった. 日本暖地畜産学会報 53(1): 25-29, 2010 キーワード : 黒毛和種, 脂肪交雑, サイログロブリン,SNP, 枝肉形質 緒言これまで肉牛の改良では, 現場後代検定によって産肉成績を収集し, それらのデータと血縁情報などにもとづいてアニマルモデル BLUP 法で種畜の育種価を推定し, その育種価推定値を用いて種畜の選抜や計画交配を行ってきた. しかし, このような現場後代検定法は後代の生産 育成に時間とコストがかかること, 負の遺伝相関のある形質を同時に改良できないなどの問題点があった. 近年, ウシにおいても DNA マーカーの開発や全ゲノム塩基配列の解読が進み, 多くの研究グループによって QTL 解析が実施されるようになってきた (Mizoshita ら 2004,Mizoguchi ら 2005,Takasuga ら 2007). そして, それらの QTL 解析の結果から, 経済形質に関与する QTL の存在が示唆される染色体領域が特定され, 候補遺伝子の探索が進められている. ウシの 14 番染色体に位置するサイログロブリン (TG) 遺伝子は, 甲状腺の上皮細胞で生合成され甲状腺ホルモンの合成に関与する遺伝子である. 甲状腺ホルモンは脂質を含む様々な物質の代謝に関与しているために,TG 遺伝子は皮下脂肪厚や筋肉内脂肪含量, 脂肪交雑, 牛乳における乳脂率などの遺伝変異の候補遺伝子と考えられている. Barendse(1999) は TG 遺伝子のプロモーター領域 上の転写開始点上流 537bp に 1 塩基多型 (SNP) を同定し, その SNP(TG5) が脂肪交雑と関連していることを報告した. 一方,Casas ら (2005) はこの TG5 が皮下脂肪厚とロース芯面積に関連しており, 遺伝子型が CC の場合だと,CT や TT に比べて高い脂肪交雑を示すことを報告した. その後, 彼らは 3 つの集団において TG 遺伝子領域内の新たな 5 個の SNP と TG5 の合計 6 つの SNP について枝肉形質との関連性を調べた結果, 母方祖父が和牛であるサブ集団においてのみ TG5 が脂肪交雑に対して 5% 水準で有意な効果を持つことを報告している (Casas ら 2007). さらに,Gan ら (2008) は TG 遺伝子の 3 非翻訳領域の SNP が脂肪交雑と関連していることを報告している. そこで本研究では, 佐賀県における黒毛和種集団において TG5 の SNP によるマーカーアシスト選抜が可能かどうかを検討するため, 佐賀県で生産された黒毛和種の種雄牛と繁殖基礎雌牛について TG5 と枝肉形質の育種価推定値との関連性について検討した. また, 佐賀県産種雄牛の糸晴栄の去勢息牛についても,TG5 と枝肉形質との関連性について検討した. 材料と方法材料としては, 佐賀県産黒毛和種の種雄牛 19 頭, 繁殖雌牛 23 頭および佐賀県産種雄牛の糸晴栄およ 連絡者 : 和田康彦 (tel fax:0952-28-8787,e-mail:ywada@cc.saga-u.ac.jp) 25
林田 礒兼 片渕 大坪 和田 BMS (kg) (cm 2 ) (cm) (cm) 707 38.16 1.3800** 0.0128 1.6992 2.9018** TG5 1016 96.25* 0.2342 0.1528 2.9042 0.4101 41697 518.25 6.1609 9.9758 28.5679 6.5324 * ; P<0.05. ** ; P<0.01. びその去勢息牛 232 頭を使用した. 各個体の全血から DNA を抽出し,PCR のテンプレートとした. PCR の反応系は 25 µl の系で (TaKaRa Ex Taq Hot Start version DNA polymerase,0.025 U/µL,10 Ex Taq buffer(mg 2+ plus),dntp ミックス ( 各 200 µm) (TaKaRa,Shiga,Japan),TG5 プライマーセット (TG5U2 GGGGATGACTACGAGTATGACTG,TG5D1 GTGAAAATCTTGTGGAGGCTGTA; 各 0.8 µm)), 反応条件は最初の熱変性が 95 5 分,95 30 秒,61 30 秒,72 1 分を 40 サイクル繰り返し,72 で 10 分間の伸長反応を行った. PCR 産物は Mbo I で制限酵素処理を行った. その時の反応系は 20 µl の系で (1 U,10 バッファー (TaKaRa,Shiga,Japan)),37 で 3 時間インキュベートし完全消化した. この制限酵素処理産物を 3.0% アガロースゲルで電気泳動し, 遺伝子型を判定した. 種雄牛および繁殖雌牛の育種価推定値は全国和牛登録協会で 2009 年 4 月に算出されたものを利用した. 算出のために用いたデータは, 枝肉記録を持つ肥育牛 36266 頭および, 枝肉記録を持つ個体から昭和 50 年 ( 生年 ) まで血統を遡って出現する血縁個体 ( 種雄牛 872 頭 雌牛 33409 頭 ) である. 統計モデルには, 変量効果として個体育種価, 母数効果として性, 出荷年次, 出荷先, 肥育地, 出荷時月齢への 2 次回帰, 近交係数への 1 次回帰を取り上げた. 分析対象形質は枝肉 6 形質の枝肉重量, ロース芯面積, バラの厚さ, 皮下脂肪厚, 歩留基準値, 牛脂肪交雑基準 (BMS) とした. これらの枝肉形質の育種価推定値に対して, 種雄牛か繁殖雌牛かを示すグループ効果と TG5 の遺伝子型を主効果とする分散分析を実施し, 遺伝子型と枝肉形質の育種価推定値との間の関連性について検討した. 糸晴栄の去勢息牛については産肉成績を目的変数とし, 母数効果として,TG5 の遺伝子型, 子牛生産地域, 肥育地域, 生年, 生月, 枝肉市場および屠殺時日齢への 1 次回帰をモデルに含めた. 分析対象形質は, 枝肉重量, ロース芯面積, バラの厚さ, 皮下脂肪厚, 歩留基準値,BMS, 肉の光沢, 牛肉色基準 (BCS), 肉の色沢等級, 肉のしまり, 肉のきめ, 肉のきめしまり等級, 脂肪の光沢, 脂肪の色沢, 肉質 等級とした. これらの枝肉形質値は ( 社 ) 日本食肉格付協会 (http://www.jmga.or.jp/) の牛枝肉取引規格にもとづいて格付職員によって格付されたものである. なお, 枝肉市場によってはデータの収集をしていない形質もあり, また個体によっても一部の形質値が欠測している場合があった. 最終的な分析頭数は枝肉重量と BMS で 213 頭, ロース芯面積, バラの厚さ, 皮下脂肪厚で 212 頭, 枝肉等級で 208 頭, 歩留基準値で 162 頭,BCS で 207 頭, 肉の光沢で 102 頭, 肉の色沢で 164 頭, 肉のしまりと肉のきめで 142 頭, きめしまり等級で 166 頭, 脂肪の光沢で 100 頭, 脂肪の色沢で 160 頭であった. 結果佐賀県産種雄牛および繁殖雌牛 42 頭の TG5 のタイピング結果は,CC 型 7 頭,CT 型 19 頭,TT 型 16 頭であった. 表 1 に遺伝子型と佐賀県産種雄牛および繁殖雌牛の育種価推定値について分散分析を行った結果を示した. ロース芯面積に 5% 水準で有意性が認められ, ダンカンの多重範囲検定の結果より,CT 型が CC 型に対して有意に大きなロース芯面積を持つことが示された ( 表 2). 糸晴栄の去勢息牛の TG5 のタイピング結果は,CC 型 44 頭,CT 型 117 頭,TT 型 71 頭であった. 表 3 に糸晴栄の去勢息牛の枝肉形質に対して分散分析を行った結果を示した. 糸晴栄の去勢息牛においては, 肥育地域の効果が枝肉重量, ロース芯面積, バラの厚さ, 皮下脂肪厚,BCS, 肉の光沢, 肉の色沢, 肉 TG5 CC CT TT 4.001 a 8.332 b 6.804 ab a, b ; (P<0.05). (cm 2 ) 26
サイログロブリン遺伝子変異と枝肉形質との関連 (kg) BMS BCS (cm 2 ) (cm) (cm) 213 212 212 212 162 213 207 102 164 142 142 166 100 160 208 1742 14.2 0.026 0.313 0.964 0.72 0.172 0.951 0.077 0.588 1.095 0.5 0.075 0.0488 0.256 4061 69.7 0.51 0.297 1.582 3.39 5.702 7.998 0.364 0.857 0.78 0.873 0.3626** 0.1483 0.527 7851* 128.0* 1.441** 0.934** 2.35 7.74 10.165** 14.184** 1.442** 1.499* 1.590** 2.029** 0.2537* 0.1875 1.008 879 112.9 0.253 0.674 1.931 1.08 1.225 0.631 0.047 1.173 0.752 0.203 0.0711 0.04 0.218 3287 81.1 0.884 0.249 1.439 3.65 2.636 6.305 1.025* 0.5 0.232 0.558 0.1289 0.2025 0.538 16814** 199.2** 2.619** 1.266** 2.909 6.88 5.895** 2.598 1.623** 1.652* 1.453* 2.075** 0.3288* 0.2203 1.640** 12208 0 0.696 0.945 4.928 3.92 0.315 0.114 0.632 0.393 0 0.343 0.063 0.157 0.257 1957 10973.8 0.597 0.338 1.664 2.84 47.64 33.738 0.526 0.651 0.56 0.626 0.1226 0.1155 0.591 ; beef marbling standard number, ; beef color standard number, * ; P<0.05, ** ; P<0.01. のしまり, 肉のきめ, 肉のきめしまり等級, 脂肪の光沢で, 枝肉市場の効果が枝肉重量, ロース芯面積, バラの厚さ, 皮下脂肪厚,BCS, 肉の色沢, 肉のしまり, 肉のきめ, 肉のきめしまり等級, 脂肪の光沢, 枝肉等級の各形質で有意性が認められた. 一方,TG5 の遺伝子型の効果については全ての枝肉形質において有意性は認められなかった. 考察 Moore ら (2003) は 14 番染色体についてコマーシャルラインの肉牛の皮下脂肪厚に対して高精度の IBD QTL マッピングを実施し,TG よりも 10 cm 程度セントロメア側の CSSM66 マーカー周辺に皮下脂肪厚に関与する QTL が存在することを示した. また, Thaller ら (2003) は 14 番染色体の DGAT1 の SNP と TG5 について筋肉内脂肪含量について調査したところ,DGAT1 の SNP はジャーマンホルスタインの半腱様筋で,TG5 はジャーマンホルスタインの最長筋で有意な効果があることを報告している. このように 14 番染色体については, 緒言で示した Barendse(1999) の特許や Barendse ら (2004),Casas ら (2005,2007),Gan ら (2008) も含めて TG 遺伝子から DGAT1 遺伝子にかけての領域で, 脂肪交雑や筋肉内脂肪含量, 皮下脂肪厚に対する関連性が数多く報告されている (Wibowo ら 2008). 佐賀県黒毛和種牛においては, 和田ら (2009) が EDG1 遺伝子領域の SNP と種雄牛および繁殖雌牛の育種価推定値との間の関連性を分析した結果,BMS で 1% 水準, ロース芯面積で 5% 水準の有意性が認められたことを報告している. 今回,TG5 の SNP について同様の分析を行ったが,BMS などの脂肪関連形質については TG5 との間に有意性は認められなかった. 一方, 本研究において TG5 の SNP は EDG1 と同様にロース芯面積で 5% 水準の有意性が認められた. Stone ら (1999) は Bos indicus x Bos taurus の交雑家系を用いた QTL 解析の結果,14 番染色体にロース芯面積の QTL を発見しており, その QTL 位置は TG 遺伝子領域のやや q 腕側とされている. これらのことから, ウシ 14 番染色体の TG 遺伝子の周辺には, 脂肪交雑や筋肉内脂肪含量, 皮下脂肪厚に対する QTL とは別に, ロース芯面積の QTL が存在し, 佐賀県の黒毛和種集団においては後者のロース芯面積の QTL に遺伝変異が存在している可能性が示唆された. 佐賀県産種雄牛および繁殖雌牛の育種価推定値においては,CT 型が CC 型に対して有意に大きなロース芯面積を持つことが示された. 今回の分析からは詳細は不明であるが, このロース芯面積の QTL にはヘテローシス効果が存在する可能性がある. 27
林田 礒兼 片渕 大坪 和田 また, 糸晴栄を父親とする去勢息牛については, TG5 と枝肉形質の間に有意な関連性は認められなかった. これは育種価推定時と異なり, 頭数が少ないために, 環境要因を十分に取り除くことができていないのではないかと考えられる. 今後, 解析頭数を増やすとともに, 他の半きょうだい家系についても解析を進めて, 本 QTL の詳細について検討していく予定である. 謝辞本研究の一部は畜産技術協会委託研究費の補助を受けた. 文献 Barendse W. 1999. Assessing lipid metabolism. International patent application PCT/AU98/00882, international patent publication WO 99/23248. Barendse W, Bunch R, Thromas M, Armitage S, Baud S, Donaldson N. 2004. The TG5 thyroglobulin gene test for a marbling quantitative trait loci evaluated in feedlot cattle. Australian Journal of Experimental Agriculture, 44:669-674. Casas E, White SN, Riley DG, Smith TPL, Brenneman RA, Olson TA, Johnson DD, Coleman SW, Bennett GL, Chase Jr. CC. 2005. Assessment of single nucleotide polymorphisms in genes residing on chromosomes 14 and 29 for association with carcass composition traits in Bos indicus cattle. Journal of Animal Science, 83:13-19. Casas E, White SN, Shackelford SD, Wheeler TL, Koohmaraie M, Bennett GL, Smith TPL. 2007. Assessing the association of single nucleotide polymorphisms at the thyroglobulin gene with carcass traits in beef cattle. Journal of Animal Science, 85:2807-2814. Gan Q-F, Zhang L-P, Li J-Y, Hou G-Y, Li H-D, Gao X, Ren H-Y, Chen J-B, Xu S-Z. 2008. Association analysis of thyroglobulin gene variants with carcass and meat quality traits in beef cattle. Journal of Applied Genetics, 49: 251-255. Mizoguchi Y, Watanabe T, Fujinaka K, Iwamoto E, Sugimoto Y. 2005. Mapping of quantitative trait loci for carcass traits in a Japanese Black (Wagyu) cattle population. Animal Genetics, 37: 51-54. Mizoshita K, Watanabe T, Hayashi H, Kubota C, Yamakuchi H, Todoroki J, Sugimoto Y. 2004. Quantitative trait loci analysis for growth and carcass traits in a half-sib family of purebred Japanese Black (Wagyu) cattle. Journal of Animal Science, 83:3415-3420. Moore SS, Li C, Basarab J, Snelling WM, Kneeland J, Murdoch B, Hansen C, Benkel B. 2003. Fine-mapping of quantitative trait loci and assessment of positional candidate genes for backfat on bovine chromosome 14 in a commercial line of Bos taurus. Journal of Animal Science, 81:1919-1925. Stone RT, Keele JW, Shackelford SD, Kappes SM, Koohmaraie M. 1999. A primary screen of the bovine genome for quantitative trait loci affecting carcass and growth traits. Journal of Animal Science, 77:1379-1384. Takasuga A, Watanabe T, Mizoguchi Y, Hirano T, Ihara N, Takano A, Yokouchi K, Fujikawa A, Chiba K, Kobayashi N, Tatsuda K, Oe T, Furukawa-Kuroiwa M, Nishimura-Abe A, Fujita T, Inoue K, Mizoshita K, Ogino A, Sugimoto Y. 2007. Identification of bovine QTL for growth and carcass traits in Japanese Black cattle by replication and identical-by-descent mapping. Mammalian Genome, 18:125-136. Thaller G, Kühin C, Winter A, Ewald G, Bellmann O, Wegner J, Zühlke H, Fries R. 2003. DGAT1, a new positional and functional candidate gene for intramuscular fat deposition in cattle. Animal Genetics, 34:354-357. 和田康彦 林田瑠美子 礒兼妙子 片渕直人 大坪利豪 山田宜永 佐々木義之. 2009. 佐賀黒毛和種牛における EDG1 遺伝子の 1 塩基置換と枝肉形質との関連性. 日本暖地畜産学会報, 52(2):37-41. Wibowo TA, Gaskins CT, Newberry RC, Thorgaard GH, Michal JJ, Jiang Z. 2008. Genome assembly anchored QTL map of bovine chromosome 14. International Journal of Biological Sciences, 4:406-414. 28
サイログロブリン遺伝子変異と枝肉形質との関連 Abstract Association of a Single Nucleotide Polymorphism in Thyroglobulin Gene with Carcass Traits in Japanese Black Cattle of Saga Prefecture Rumiko HAYASHIDA, Taeko ISOKANE, Naoto KATAFUCHI 1, Toshitake OTSUBO 1 and Yasuhiko WADA Faculuty of Agriculture, Saga University, Japan 1 Saga Prefectural Livestock Experiment Station, Japan Correspondence: Yasuhiko WADA (tel fax: +81-(0)952-28-8787, e-mail: ywada@cc.saga-u.ac.jp) The bovine thyroglobulin gene on chromosome 14 is a candidate for the marbling score and other carcass traits. In this study, we analyzed the association of the single nucleotide polymorphism(snp) of the thyroglobulin gene (TG5) with the predicted breeding values of carcass traits in Japanese Black sires and dams of Saga prefecture. In addition, we also analyzed the relationship between TG5 and the carcass traits using Japanese Black steers of Itoharusakae. Genotyping 42 sires and dams for the SNP revealed 7 animals homozygous for C allele, 19 animals heterozygous for C allele and T allele, and 16 animals homozygous for T allele. Statistically significant differences were detected in the predicted breeding values for rib eye area (P<0.05). The predicted breeding values for rib eye area were significantly higher in the CT heterozygote than the CC homozygote. Genotyping 232 steers of the Itoharusakae revealed 44 animals homozygous for C allele, 117 animals heterozygous for C allele and T allele, and 71 animals homozygous for T allele. Statistically significant difference for the SNP genotype was not detected in all carcass traits. Journal of Warm Regional Society of Animal Science, Japan 53(1): 25-29, 2010 Key words : Japanese Black, marbling score, thyroglobulin gene, SNP, carcass trait 29