救急総合診療センター臨床実習の手引き 2012 年 6 月 29 日 version 2.1 スケジュール 別紙予定表参照 2 グループが合同で救命救急センターと救急総合診療センターを 2 週間でローテーション午後 (13-17 時 ) は 2 グループ合同午前および夜間は 1 週目救命 2 週目救総グループと 1 週目救総 2 週目救命グループに分割 実習内容 午前 (9-12 時 ) 救総グループのみ月 : 症候へのアプローチ この手引きを元に 夜間救急外来実習の準備火 ~ 金 : 夜間実習明け土 : 救急総合診療センター補習 臨床実習期間内に十分な実習ができなかった学生は 追加で実習 午後 (13-17 時 ) 共通 1 週目 : 救命救急センター 2 週目 : 救急総合診療センター水曜日の 13-15 時 ( 救命での抄読会 ) を除き 全員救総で実習月 : 教授とのグループディスカッション ( 昼食付き )+ミニレクチャー 1 火 : ミニレクチャー 2+ミニレクチャー 3 水 : リサーチカンファレンス木 : ミニレクチャー 4+ミニレクチャー 5 金 : 蘇生術演習 + 実習のまとめ 夜間 (18- 翌朝 9 時 ) 救総グループのみ月 ~ 木曜日にかけて交代で 2 名ずつ夜間救急外来実習を行う (4 名 /1 グループであれば 2 名 /1 日ずつ ) 月曜日の 症候へのアプローチ の時間帯に学生間の日程を決定し 学務課で学生当直室の予約を行う 1 日ごとの交代が望ましい ( 月と水もしくは火と木 ) 1
曜日 学生名 1 学生名 2 月 日 ( 月 ) 月 日 ( 火 ) 月 日 ( 水 ) 月 日 ( 木 ) 当番 ( 夜間救急外来実習習入り ) の学生 18 時までに学生当直室の鍵を受け取り 当直室の準備を行う 1 週目救命 2 週目救総グループは 2 週目月曜日のグループディスカッション時に 1 週目救総 2 週目救命グループは1 週目月曜日の救急医学オリエンテーション終了後に学生用スクラブ (1 学生 1 週間に 1 着 ) の貸し出しを受け 貸し出し簿に記名する ( ) 救急総合診療センター医局 ( 研究棟 1 階東端 ) にて 院内 PHS の貸し出しを受け夕食を済ませてから 18 時に救急外来カンファレンス室 ( 防災センター横 ) に集合連絡用の携帯電話もしくは院内 PHS を持参 18 時に夜間担当教員と顔合わせを行い 連絡先を交換救急搬送 ( もしくは救急外来受診 ) 患者の連絡が夜間担当教員からあれば 救急外来で患者の診療を行う 1 患者につき 1 名の臨床実習生を主たる担当 (= 主担当実習生 ) として 患者を割り当てる主担当実習生は 救急外来から患者が退出するまで担当医として実習する主担当実習生は オーバーナイトベッドに入床した患者の担当医となる主たる担当でない臨床実習生も 積極的に診療に参加し 主担当実習生を支援する 連絡用 PHS は翌朝の申し送りの際に 担当指導教員に返却する 学生用スクラブは 1 週間の実習終了日の 10:00 までに 救急総合診療センター医局に返 却し 返却欄にサインをする 2
臨床実習学生の責務 プロフェッショナルとしての態度身だしなみ 患者や医療従事者とのコミュニケーション医療面接患者のみならず 救急隊や患者家族などからの情報収集身体診察診断に必要な所見のみならず 広く身体診察全般を行う ( 患者の緊急性が高いと教員が判断した場合 必要な所見に限定することもある ) 臨床推論医療面接と身体診察から論理的に矛盾のない診断 病態を考えるワーキングプレゼンテーション救急外来で医療面接と身体診察から必要な情報を手短 (5 分以内 ) に教員に伝え 自分の考えた臨床推論を確認する 経過観察救急外来での経過観察やオーバーナイトベッド入床の際には 定期的に患者を観察し 定期的に教員への報告やカルテ記載を行う専門診療科に引き継がれた場合 専門診療科での検査 ( カテーテル検査 内視鏡 ) や手術などにも同伴するカルテ記載医療面接や身体診察から得られた情報 その他の情報 ( 臨床検査や画像検査 治療経過 ) を詳細に記録し 臨床推論についても記載する経過観察や専門診療科での検査 手術で得られた情報についても記載するケースプレゼンテーション夜間救急外来実習明けの朝 8 時 30 分からの引き継ぎカンファレンスに参加し 自分が主たる担当となった患者について ケースプレゼンテーションを 何も見ずに (= 暗記した状態で ) 系統立てて 5 分間で行う ( 下記参照 ) 上記については 主担当実習生を中心に 他の臨床実習生も協力して担当するが 少なくと もカルテ記載とケースプレゼンテーションは主担当実習生は必ず実施する 3
ケースプレゼンテーション ケースプレゼンテーションを聞くだけで 医師の臨床能力はすぐ分かる ( 森本剛 ) 救急総合診療センターではケースプレゼンテーションを臨床実習のコアと位置づけています 適切な医療面接と身体診察から得られた情報を きちんと整理し 臨床推論と結びつけられたケースプレゼンテーションを繰り返すことで 医学知識と臨床経験が結びつけられ 診断能力が向上します シンクロナイズド ケースプレゼンテーション synchronized case presentation ケースプレゼンテーションの際に ケースプレゼンター ( 臨床実習生 研修医 ) とアテンディン グ ( 教員 ) が鑑別診断を潜在的に共有しながら ケースプレゼンターは鑑別診断を提示する代 わりに関連する病歴や身体所見の有無を報告し アテンディングは報告された病歴や身体所 見からケースレプレゼンターが考えている疾患を推定する また アテンディングが鑑別診断 を挙げる代わりに 関連する病歴や身体所見の有無を尋ね ケースプレゼンターはその病歴 や身体所見の背後にある疾患の可能性に気づく これらを繰り返しながらケースプレゼンテ ーションを進めることで 双方が症例に対する理解を深め アテンディングの診断能力がケー スプ レゼン ター にコピ ーさ れ て いく 4
ケースプレゼンテーションの要領 5 分間 おおよその目安 2 分 30 秒 病歴 1 分 身体所見 1 分 基本的な検査所見や治療経過 30 秒 考えている疾患や今後の方針 基本的な流れ 1) 基本的な患者背景 2) 現病歴 3) 関連する患者背景 ( 既往歴 家族歴 生活歴 薬剤歴 アレルギー歴 ) 4) バイタルサイン 5) 関連する身体所見 6) 関連する検査所見 7) 考えている疾患と今後の方針 ( 実施済みの治療 ) 実際的な技術 1) 基本的な患者背景患者の年齢 性別に加え 8) の考えている疾患に関連する重要な既往歴や薬剤歴などはここに含める例 22 歳に SLE の診断を受けて プレドニンを服用中の 35 歳女性 2) 現病歴近畿大学は基礎疾患の多い患者が多く どこまでが既往歴で どこまでが現病歴か分かりにくいことが多い 基本的には 定常状態で生活していたときから 救急外来を受診するきっかけになった体調の変化から受診に至るまでの経過が 初めて聞いた人でもイメージがつくように報告する 脚本が書けることをイメージする 3) 関連する患者背景 ( 既往歴 家族歴 生活歴 薬剤歴 アレルギー歴 ) 8) の考えている疾患に関連する背景をピックアップして報告する 例 鬱病を考えていれば 職場は営業で 例 肝疾患を考えていれば 家族に B 型 C 型肝炎はいません 5
4) バイタルサイン呼吸数が忘れやすいので 診察の際に意識して診察しておく 異常値があれば その原因を考えておく 例 血圧 150/60 大動脈弁狭窄症の可能性は? 5) 関連する身体所見 すべて報告する必要はなく 8) に関連する陰性所見 (~ がない ) を十分に報告する 6) 関連する検査所見 すべて報告する必要はなく 8) に関連する所見や 重症度や治療方針に関連する要素 ( 腎機能など ) について選択的に報告する 7) 考えている疾患と今後の方針 ( 実施済みの治療 ) 主たる疾患や鑑別診断だけでなく 原因となる疾患や状態 今後予測される状態も考え る 救急外来や他の診療科で行われた治療などについて 簡潔に報告する コツ 暗記する際に 検査結果などを正確に覚える必要はない CRE が文脈上重要であれば 少し上昇していることが伝わることが重要であり 1.5 とか 1.7 の違いは重要ではない 陽性所見 ( ある 所見 ) だけでなく 疾患の可能性に関連する陰性所見 ( ~がない 所見 ) も重要である ( 例 下痢がない 頭痛がない 心雑音がない 輸血歴がない ) 数をこなすことが上達には最も重要であり 救急総合診療センターで経験した症例だけでなく 他の診療科で経験した症例についても 学生同士で練習することを勧める そのため 月曜日午前の 症候へのアプローチ の時間に 過去にローテーションした症例を元に ケースプレゼンテーション原稿を数例作成し 発表の練習をする 6
臨床実習の自己評価 夜間臨床実習担当日 1 月日 ( 曜日 ) 2 月日 ( 曜日 ) 主担当患者数 人 どれか一つに をつける 項目 十分に 達成 できた ある程度達成できた どちらでもない あまり達成できなかった 全く達成 でき なかった プロフェッショナルとしての態度 医療面接 身体診察 臨床推論 ワーキングプレゼンテーション 経過観察 カルテ記載 ケースプレゼンテーション 実習の感想 ( 自由記載 ) * 足りない場合は 裏面を使うこと 学年 ( ) 班 ( ) 番号 ( ) 氏名 ( ) 7