3 税目 3. 国税 ( 所得税 ) 土地建物等の分離課税の譲渡所得の見直し 土地建物等の譲渡損益の課税方式を累進税率による 所有期間を考慮した N 分 N 乗方式 とし 他の所得との損益通算及び譲渡損失の繰越控除を認めべきである 土地建物等の譲渡所得に対する課税は他の所得と分離して行われているが

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法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

平成23年度税制改正の主要項目

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

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給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

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1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

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ワコープラネット/標準テンプレート

(0830時点)PR版

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

はじめに税理士法では 日本税理士会連合会及び税理士会は 税務行政その他租税又は税理士に関する制度について 権限のある官公署に建議し 又はその諮問に答申することができると規定されており わが会では この規定に基づき 税制改正に関する建議書を毎年取りまとめている 税務に関する専門家として 独立した公正な

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

5 事業用の車両等を売却 ( 譲渡 ) した場合の売却益 ( 譲渡益 ) 売却損 ( 譲渡損 ) については 事業所得とはならない 総合課税の譲渡所得 ( 土地 建物以外 ) の扱いになり 所有期間 (5 年超か以下か ) によって長期譲渡所得 短期譲渡所得に区分される 6 使用可能期間が1 年未満

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

相続税の改正 -平成23年度税制改正大綱

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

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投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

【表紙】

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

上場株式等の配当等に対する課税

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法人税 faq

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

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2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

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作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

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下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

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e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

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1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

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野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

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平成 28 年度税制改正要望項目 1. 働く者のより豊かな生活の実現に向けて (1) 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 (2) 財形非課税限度額の引き上げ等 (3) 給与所得者に対する選択納税制度の導入 2. 損保グループ産業の健全な発展に向けて (1) 火災保険等に係る異常危険準備金制度

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

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(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

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平成 30 年度の税制改正に関する要望 一般社団法人全国建設業協会会長近藤晴貞 平素は 建設業界に対し一方ならぬご配慮を賜り 厚く御礼申し上げます 平成 29 年度公共事業関係の当初予算は ほぼ横ばいながら 5 年連続の微増となりました また 国土交通省関係予算では 当初予算で初となる ゼロ国債 を

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平成 27 年度税制改正要望項目 1. 働く者のより豊かな生活の実現に向けて (1) 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃 (2) 財形非課税限度額の引き上げ等 (3) 給与所得者に対する選択納税制度の導入 2. 損保グループ産業の健全な発展に向けて (1) 損害保険業に係る消費税制上の課題解

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本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H27 課税期間の基準期間における課税売上高を確 の判定 014 認したか H27 事業年度を変更している場合等 前々事業年 015 度が1 年未満の場合の基準期間を確認したか ( 法人の場合 ) H27 基準期間が1 年でない場合

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投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

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労働基準法が改正されます

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1 税目 3. 国税 ( 所得税 ) 給与所得者に対する課税のあり方の見直し 1. 一定額以上の高額な給与収入については 給与所得控除額に限度額を定めるべきである 2. 給与所得者に対する課税については 年末調整と確定申告との選択制とすべきである 3. 特定支出控除を拡充し 給与所得者が確定申告を行う機会を増やすべきである 現在の給与所得控除額は上限なく比例的に認められている しかし 一定額以上の高額な給与収入の場合 限界的に増加した部分の収入について経費が比例的に増加するとは必ずしも言えず 実態を反映しているとは考えられない また 給与所得者は自ら申告を行う機会が尐ないため 給与所得控除の存在や所得計算の構造を知らず 納税者としての意識が必ずしも高くない また 給与の支払者に本人や家族に関する情報を提出することが必要であり プライバシー保護の観点から問題点を指摘する意見もある 給与所得控除額に限度額を設けることにより 給与所得控除の金額がより実態に即した内容となる 給与所得者が年末調整と確定申告を選択できるような環境を整備することにより 勤務給与所得者の納税者意識の向上に資することができ 個人のプライバシー保護を図ることにもつながる 2 税目 3. 国税 ( 所得税 ) 不動産所得に係る損益通算を制限する特例措置の廃止 不動産所得に係る損益通算を制限する特例措置は 早急に廃止するべきである この制度は 地価高騰や過度の節税への対策として設けられたものであるが 土地等に係る負債利子によって生じた不動産所得の損失の金額については 平成 4 年分以後は損益通算が認められていない このような損益通算の制限を行うことは 所得のないところに課税する結果となる この制度を廃止することにより 法人税では平成 10 年度に廃止された新規取得土地等に係る負債利子の特例との整合性が保たれることになる 1 / 9 ページ

3 税目 3. 国税 ( 所得税 ) 土地建物等の分離課税の譲渡所得の見直し 土地建物等の譲渡損益の課税方式を累進税率による 所有期間を考慮した N 分 N 乗方式 とし 他の所得との損益通算及び譲渡損失の繰越控除を認めべきである 土地建物等の譲渡所得に対する課税は他の所得と分離して行われているが 保有期間中のキャピタルゲイン課税を平準化する必要はあるものの 低率の単一税率によることは所得の再分配の観点からは必ずしも適当とは言えない また 土地建物等の譲渡損失と他の所得 譲渡益と他の損失について損益通算が認められていないため 担税力のない部分に対しても課税されている このため 例えば 事業用土地と事業収益は一体のものであるにもかかわらず 事業所得の損失額を事業用土地の売却で補う場合には 損益通算規制のために資金繰りに支障が生じることとなる これらの問題を解決するために 土地建物等の譲渡損益は 所有期間を考慮した N 分 N 乗方式 により他の所得及び損失と損益通算をした上で 累進税率を適用することにより 上記の弊害が除去又は軽減される この方法によると 累進税率適用所得と比例税率適用所得を単純に損益通算する場合よりも課税上の弊害は尐ないと考えられる また 居住用財産の譲渡損失については 住宅借入金等の有無を問わず 通常の土地建物等の譲渡損失として取り扱うことが適切である 4 税目 3. 国税 ( 所得税 ) 退職所得控除の見直し 勤続 1 年当たりの退職所得控除額を勤続年数に関係なく一定額とするとともに 退職所得の 2 分の 1 課税方式を見直すべきである 勤労者の生活様式や就労形態は多様化しており 日本の雇用慣行としての終身雇用制度は大きく変化している また 退職金の代わりに給料や賞与を増額している企業もある こうした就労期間や支給形態の変化に対して現行の退職所得の課税制度は十分に対応していない状態である 勤続年数に応じた方式に変更することにより 就労期間の長短による課税上の開差の減尐に資することが可能となる 2 / 9 ページ

< 要望フォーマット > 5 税目 1. 国税 ( 法人税 ) 中小法人等に対する軽減税率適用の対象となる所得金額の引き上げ 青色 欠損金額の繰越控除期間の延長 中小法人等に対する軽減税率適用の対象となる所得金額を引き上げ 青色欠損金額の繰越控除期間を延長すべきである 中小法人等に対する軽減税率を大幅に引き下げることが検討されているが 個人所得税との均衡を失することが懸念される また 中小企業の約 7 割が欠損法人である現況に鑑みて 尐なくとも中小法人等に係る青色欠損金額の繰越控除期間を延長すべきである それにより 中小法人等の内部留保を図ることができる 6 税目 1. 国税 ( 法人税 ) 受取配当等の益金不算入制度の見直し 連結納税制度の創設に伴う税収減の財源措置として 連結法人株式等及び関連法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係る配当等の益金不算入割合が 80% から 50% に引き下げられた この益金不算入割合を 100% に引き上げるべきである 支払法人側で既に課税済みの配当等について受取法人側でも課税することは 二重課税の状態となっている この二重課税の状態を解消するために 益金不算入割合を 100% に引き上げるべきである 益金不算入割合を 100% に引き上げることにより 上記の二重課税となっている状態を解消することになる また グループ企業間における配当が活発に行われることも期待される 3 / 9 ページ

< 要望フォーマット > 7 税目 1. 国税 ( 法人税 ) 退職給与引当金及び賞与引当金の繰入れについての損金算入 退職給与引当金及び賞与引当金の繰入れについて損金算入を認めるべきである 労働協約が締結されていたり 就業規則や退職金規程等が定められていたりする場合において その事業年度において認識される追加的な退職金要支給額は 将来において支出される蓋然性が高いものであり 企業にとっては従業員に対する確定債務的な要素を有している また 賞与引当金についても負債性が認められるものである さらに 会社計算規則 や 中小企業の会計に関する指針 においてもこれらの引当金の計上が求められている 適正な期間損益計算を課税所得に反映させることは 税負担の平準化にも有効である 8 税目 1. 国税 ( 法人税 ) 交際費課税における交際費等の範囲の見直し等 交際費課税における交際費等の範囲を見直し 社会通念上必要な交際費等の支出は原則として損金算入するとともに 定額控除限度額内の 10% 課税制度は即時に廃止すべきである 交際費であっても事業活動に必要なものは金額の多寡にかかわらず損金算入されるべきであり 金額基準などにより形式的に交際費等かどうかを判断すべきものではない 例えば 社会通念上必要とされる慶弔費等は交際費課税の対象外とするなどの交際費等の範囲の見直しは 本来の交際費課税の趣旨に即したものである 交際費課税による税負担増を意識しつつ事業を行っている企業もある 交際費の範囲が見直され 定額控除限度額内の 10% 課税制度が廃止されることにより 企業の支出 消費活動の促進に資することが期待できる 4 / 9 ページ

9 税目国税 ( 所得税 法人税 ) 尐額減価償却資産の取得価額基準の引上げ 尐額減価償却資産の損金算入制度における取得価額基準は 10 万円未満とされ 20 万円未満の減価償却資産については 3 年間にわたって損金算入を行う一括償却資産制度がある さらに 中小企業者に対しては 平成 24 年 3 月までの間 年間の損金算入金額の上限を 300 万円として取得価額 30 万円未満の減価償却資産につき取得時に全額損金算入することが認められている これらの制度を統一し 尐額減価償却資産の取得価額基準を 30 万円未満とし 年間の上限に関係なく損金の額に算入されるようにすべきである 税制の簡素化の観点から これらの制度を統合することは妥当である 上限を設けていることは 企業の経済活動の制約になっているとも考えられる 金額基準を 30 万円とし 上限を撤廃することは 設備投資を行い 新たな資産を取得しようとする企業を支援することにつながる 10 税目国税 ( 所得税 法人税 相続税 ) 同族会社等の行為計算の否認規定の内容の明確化 同族会社等の行為計算の否認規定における 税の負担を不当に減尐させる結果 の意義を法令で明確にすべきである また 法令において意義を明確に示すことが困難である場合は 尐なくとも具体例を示すべきである 私法上有効であるが不自然 不合理な行為で主として租税軽減を目的に行われるものに対処するため また 個別立法による租税回避行為の規制は機動的でなく単発的となるため このような包括的な租税回避行為の否認規定が置かれている しかし この規定は課税要件が明確化されているとは言えず 納税者は常に不安定な状況に置かれていることになる この状態を解消することが必要である 同族会社等の行為計算の否認規定における 税の負担を不当に減尐させる結果 の意義を法令で明確化したり 具体例が示されたりすることは 納税者の予測可能性に資することとなる 5 / 9 ページ

< 要望フォーマット > 11 税目 国税 ( 相続税 ) 取引相場のない株式等の評価の適正化 課税時期前 3 年以内に取得した土地建物等を通常の取引価額により評価する取扱いを廃止するとともに 評価会社が退職給付債務を負っている場合は 一定額を負債として認めるべきである 取引相場のない株式等の評価については 財産評価基本通達の改正により適正化が図られてきたが 現在でも純資産価額方式において 評価会社の財政状態を十分に反映していない点が存在する これらを改正することで 取引相場のない株式等を純資産価額方式により評価するに際して 評価会社の財政状態の実態により即したものになる 12 税目 国税 ( 法人税 相続税 ) 同族関係者 特別関係者の範囲の見直し 同族関係者 特別関係者の範囲を個別に規定し 実態に即した課税要件を定めるべきである 法人税法 相続税法等において 同族関係者及び特別関係者の範囲を定める場合は 民法上の親族概念が借用されているが 現在の社会情勢から相当に乖離していると言わざるを得ない 同族会社の判定 特定同族会社の判定 非上場株式の納税猶予制度における納税猶予の取消事由などに 親族概念が用いられているが 制度の趣旨に合致した範囲に限定することが必要である 例えば 取引相場のない株式等の評価に際しての同族関係者の範囲は 配偶者 直系血族 兄弟姉妹及び 1 親等姻族程度が適切である 現行の同族関係者の範囲は 民法の親族概念に基づき 配偶者 6 親等内血族及び 3 親等内姻族となっている 上記の見直しにより 現在の社会情勢から乖離している同族関係者の範囲を縮減することになる 6 / 9 ページ

13 税目 12. 消費税消費税の基準期間制度の廃止 基準期間制度による弊害を解決するために 当該課税期間における課税売上高が 1,000 万円を超えていれば原則として課税事業者となるようにし 1,000 万円以下であれば申告を行うかどうかを選択できる制度とすべきである 簡易課税制度についても その課税期間の申告時に選択することができる制度とすべきである 前々年又は前々事業年度を基準期間として当該課税期間の納税義務を判定する現行の制度では その課税期間の課税売上高が多額であっても免税事業者となったり 反対に その課税期間の課税売上高が 1,000 万円以下であっても納税義務が生じることとなったりするような不合理な現象が生ずる また 免税事業者が課税事業者を選択する場合の届出書の効力発生時期は 提出日の属する課税期間の翌課税期間以降であり 常に 1 年ないし 2 年先の状況を予測しなければならない この判断をすべての中小事業者に求めるには無理がある これらを改正することにより 公平な消費税制度の構築に資することとなる 14 税目 12. 消費税消費税の仕入税額控除の方式の見直し 課税売上割合が 95% 以上の事業者は 非課税売上に対応する課税仕入額に係る消費税についてその全額を仕入税額控除の対象とすることができる また 課税売上割合が 95% 未満の事業者には 課税仕入れに係る消費税額のうち 課税売上割合に相当する金額を仕入控除税額とする一括比例配分方式が認められている これらの制度を廃止又は段階的に縮小すべきである なお 事務負担の面において 一定の中小企業には特例として存置することの検討も必要である 上記制度は 事務負担を軽減する見地から設けられたものであるが 消費税は通常の会計処理の中で自動的に処理されるのが通例であり 適正な課税の見地から問題がある これらの改正により 実態に即した課税が可能となる 7 / 9 ページ

15 税目 12. 消費税仕入税額控除に係る帳簿等への記載要件の緩和 仕入税額控除に係る帳簿等への記載要件を緩和すべきである 例えば 取引の内容が検証できる請求書等が保存されており かつ その請求書等が税務調査時に提示される場合には 必要な記載を満たした帳簿が保存されているものとして取り扱われるような規定等が設けられるべきである 仕入税額控除が認められるためには 記載要件を満たした帳簿及び請求書等を保存することが要件となっているが 記載事項が多く 納税者に過重な事務負担を求めることとなっている 現在普及している記帳制度の下においては 帳簿と請求書等の突合が容易であり 帳簿への記載要件を緩和しても 要件を満たした請求書等の保存により課税仕入れの事実の検証は可能である 記載要件緩和により 事務負担の軽減に資することとなる 16 税目 国税 ( 相続税 ) 非上場株式等に係る贈与税及び相続税の納税猶予制度における諸要件の 緩和 非上場株式等に係る贈与税及び相続税の納税猶予制度における諸要件を緩和すべきである 非上場株式等に係る贈与税及び相続税の納税猶予制度の利用が低調である まず 経営承継円滑化法で認定された会社となるための事務手続きが煩雑である 次に 80% の雇用確保要件を維持するために かえって経営の継続が困難となるのではないかと懸念する経営者もいる さらに 納税猶予が打ち切られ猶予された税額に猶予期間に係る利子税を合わせて納付しなければならないが 万が一の場合の税負担も制度選択を躊躇させる要因となっている 制度が広範に利用されるためにも 諸要件の見直しが必要である これらの改善により 制度利用の促進が期待される 8 / 9 ページ

< 要望フォーマット > 17 税目 地方税 ( 事業税 ) 中小法人に対する事業税の外形標準課税の導入 中小法人に対する事業税の外形標準課税の導入は時期尚早であり 反対である 外形標準課税は当面は資本金が 1 億円を超える法人だけが対象とされているが 課税上の問題や執行上の課題など解決すべき事項も多い また 大法人に比べて欠損法人の割合が大きく担税力に乏しい中小法人に多大な事務を負担させることは適切ではない 実施された場合には 結果的に担税力の乏しい中小法人のみならず 欠損法人にも課税されることになり かえって課税の公平性が損なわれるおそれがある 9 / 9 ページ