平成 26 年 5 月 3 級 FP 技能検定 / 実技試験 < 保険顧客資産相談業務 > 解答と解説 合格基準 50 点満点で 30 点以上 第 1 問 番号 問 1 問 2 問 3 正解 2 2 3 配点 3 4 3 < 問 1> 正解 2 2) が正しい 学生でも 20 歳以上であれば 国民年金の第 1 号被保険者として国民年金保険料を支払わなければならないが ( 親などの世帯主ではなく ) 被保険者本人の前年の所得が一定額以下の場合, 申請により, 在学中の国民年金保険料の納付が猶予される これが国民年金保険料の学生納付特例制度である 納付が猶予された期間は, 老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが 年金額を計算する際の期間には算入されないので 年金額はその分少なくなる しかし 社会人になって収入を得るようになってから 猶予された保険料を 10 年前まで遡って追納することができる これにより 年金額を増やすことができる < 問 2> 正解 2 2) が正しい 老齢基礎年金の年金額は 20 歳から 60 歳になるまでの 40 年間保険料を支払った場合に 満額の年金額がもらえる仕組みで 未納期間等がある場合には その分年金額が減額され る 具体的な計算式は 下記の通りであるが 付加保険料 ( 月額 400 円 ) を納付していた場 合は 年金額に 200 円 付加保険料納付月数 が加算される 保険料納付済月数 ( 注 2) 満額の老齢基礎年金 ( 注 1) 480 月 ( 注 1) 平成 25 年 10 月時点の価額では 778,500 円 平成 26 年度の価額では 772,800 円 ( 注 2) 国民年金の保険料納付済期間 厚生年金保険の被保険者期間 共済組合の加入期間 1
の合計 ( ただし 20 歳以上 60 歳未満の期間 ) なお 保険料免除期間がある場合 本人は保険料を支払っていなくても 一定の期間が分子に加算される A さんの場合 保険料納付済月数は 国民年金保険料納付済期間 35 月 + 厚生年金保険被 保険者期間 398 月 + 厚生年金保険被保険者期間 ( 加入見込み 60 歳未満の期間 )47 月 =480 月である また 付加保険料を 35 月支払っているので 年金額 ( 平成 25 年 10 月時点の価 額 ) は 次のようになる 480 月 778,500 円 +200 円 35 月 =785,500 円 480 月 < 問 3> 正解 3 1) 適切 Aさんは 昭和 33 年 5 月生まれなので 63 歳から特別支給の老齢厚生年金の支給を受けることができる ただし 総報酬月額相当額と老齢厚生年金の月額の合計額が 28 万円を上回る場合は 在職老齢年金の仕組みにより, 年金額の一部または全部が支給停止となる 2) 適切 厚生年金保険の被保険者期間が原則として 20 年以上あり 生計を維持する 65 歳未満の配偶者がいる場合 65 歳から支給を受ける老齢厚生年金に加給年金額が加算される Aさんの場合 この要件を満たすので 妻 Bさんが 65 歳になるまで 加給年金額が加算される 3) 不適切 65 歳前に支給を受ける特別支給の老齢厚生年金については繰下げ支給の制度は適用されないが 65 歳以降の老齢厚生年金については繰り下げ支給をすることができる この場合 老齢基礎年金と同様 年金額は繰り下げた月数に応じて 1 ヵ月当たり 0.7% 増額される なお 老齢基礎年金や老齢厚生年金の繰り下げの申出は同時に行う必要はなく それぞれ希望する時期に手続きを行うことができる 第 2 問 番号 問 4 問 5 問 6 正解 2 3 3 配点 3 4 3 < 問 4> 正解 2 1 退職後も引き続き健康保険の任意継続被保険者となるためには 健康保険の被保険者資格喪失の日から 20 日以内に申し出をしなくてはならない なお 国民健康保険に加入する場合は 14 日以内に届け出をしなくてはならない 2 70 歳未満 ( 義務教育就学前を除く ) の人の医療費の一部負担金は 健康保険 国民健 2
康保険のいずれも原則として 3 割である 3 健康保険 国民健康保険のいずれも 医療機関等で同一月に支払った一部負担金等の額が一定の自己負担限度額を超えると 超えた部分が高額療養費として支給される制度がある 自己負担限度額は所得によって異なる < 問 5> 正解 3 1. 不適切 一時払終身保険には 解約返戻金の額が確定しているものと 契約後の市中金利の動向によって変動するものがある また 契約後の一定期間は解約返戻金が支払保険料を下回ることが一般的である 2. 不適切 販売窓口が銀行であっても 一時払終身保険は保険会社の商品であり 銀行が扱う預金とは異なる そのため 一時払終身保険などの保険商品は預金保険機構の保護の対象とならない ただし 生命保険会社 損害保険会社には それぞれ生命保険契約者保護機構 損害保険契約者保護機構への加入を義務づけられており 契約者を保護する仕組みがある 3. 適切 生命保険の一時払保険料は支払った年のみ生命保険料控除の対象となる 一方 何年分かの保険料を前納した場合 その年度の保険料に相当する金額が生命保険料控除の対象となる < 問 6> 正解 3 1. 適切 健康保険には病気やケガで休業した場合 傷病手当金が支給される制度があるが 国民健康保険にはない A さんが入院したときの休業の備えとして医療保険に加入するという選択肢もある 2. 適切 残された家族への責任と同時に 事業における責任も含めて死亡保障額を考える必要がある 3. 不適切 個人事業者が自分自身を契約者 被保険者とする生命保険の保険料は必要経費ではなく 所得控除である生命保険料控除が適用になるのみである 従業員を被保険者とする生命保険の掛け捨ての保険料は必要経費となるが 家族従業員は対象外である 第 3 問 番号 問 7 問 8 問 9 正解 1 2 3 配点 3 3 4 3
< 問 7> 正解 1 以下のような契約形態の養老保険は 支払った養老保険の保険料の 2 分の 1 を保険料積立金として資産計上し 残りの 2 分の 1 の金額を損金算入する 満期保険金を法人が受け取った際には それまで資産に計上していた保険料積立金を取り崩し 満期保険金と保険料積立金の差額が雑収入もしくは雑損失となる 契約者: 法人 被保険者: 全役員 全従業員 満期保険金受取人: 法人 死亡保険金受取人: 被保険者の遺族 A さんの満期保険金を X 社が受け取った場合 保険料積立金は払込保険料総額 2,800 万円の 2 分の 1 の 1,400 万円となり 受取保険金額 3,000 万円との差額の 1,600 万円が雑収入となる したがって 1) が適切 < 問 8> 正解 2 退職所得の計算式は以下の通り 退職所得 =( 退職一時金 - 退職所得控除額 ) 1/2 ( 注 ) 役員等の勤続期間が 5 年以下である人が支払いを受ける退職手当については 1/2 課税はされない 退職所得控除額の計算式は以下の通り 20 年以下 :40 万円 勤続年数 ( 最低保証 80 万円 ) 20 年超 :800 万円 +{70 万円 ( 勤続年数 -20 年 )} なお 勤続年数に1 年未満の端数があるときは たとえ1 日でも1 年として計算する よって A さんの退職所得は以下のように計算する [5,000 万円 -{800 万円 +70 万円 (31 年 -20 年 )}] 1/2=1,715 万円 < 問 9> 正解 3 1. 不適切 法人を契約者とする生命保険契約は クーリング オフの対象外である 2. 不適切 長期平準定期保険の場合 保険期間の前半 6 割に相当する期間は 支払保険料の 2 分の 1 を前払保険料として資産計上し 残りの 2 分の 1 の金額を損金算入する 後半 4 割の期間は支払保険料全額を損金算入し それまで前払保険料として資産計上していたものを残りの期間で均等に取り崩して損金算入していく 3. 適切 長期平準定期保険の仕組みとして 解約返戻金の金額は一定時期まで増加し ある時点でピークを迎えた後は徐々に減少していき 保険期間満了時にはゼロとなる 4
第 4 問 番号 問 10 問 11 問 12 正解 2 3 1 配点 3 4 3 < 問 10> 正解 2 1) 不適切 配偶者控除は 配偶者の合計所得金額が 38 万円以下の場合に適用を受けることができる 妻 Bさんの給与収入は 80 万円なので 給与所得の金額は 80 万円 -65 万円 ( 給与所得控除額 )=15 万円 で 38 万円以下である したがって Aさんは, 配偶者控除の適用を受けることができる 2) 適切 所得税において, 扶養控除の対象となるのは 1 納税者と生計を一にしている親族 ( 配偶者を除く ) 216 歳以上 3 合計所得金額が 38 万円以下などの要件を満たした場合であるが 控除額は年齢等に応じて 次のようになっている 区分 一般の控除対象扶養親族 (16 歳以上 19 歳未満 23 歳以上 70 歳未満 ) 特定扶養親族 (19 歳以上 23 歳未満 ) 控除額 38 万円 63 万円 老人扶養親族 (70 歳以上 ) 同居老親等以外の者 48 万円 同居老親等 ( 注 ) 58 万円 ( 注 ) 同居老親等とは 老人扶養親族のうち 納税者又はその配偶者の直系の尊属 ( 父母 祖父母など ) で 納税者又はその配偶者と常に同居している人をいう 長男 Cさんは アルバイトの収入が 60 万円なので 給与所得の金額は 0 円 (60 万円 -65 万円 ) 年齢は 20 歳なので 特定扶養親族に該当し, 扶養控除額 63 万円の適用を受けることができる 3) 不適切 所得税の基礎控除 ( 控除額 38 万円 ) は 誰でも適用を受けることができる < 問 11> 正解 3 給与所得の金額 : 給与所得控除額 1,300 万円 -(1,300 万円 5%+170 万円 )=1,065 万円 * 上場株式の譲渡損失は 給与所得との損益通算はできないので Aさんの平成 25 年分の総所得金額は 1,065 万円である < 問 12> 正解 1 1) が正しい 保険期間 5 年以下の一時払養老保険の満期保険金 (5 年超満期の一時払養老保険を 5 年以内に解約した場合の解約返戻金も含む ) は 金融類似商品として 20%( 復 5
興特別所得税を含むと 20.315%) 源泉分離課税の取り扱いであるが 下記の年金の解約返戻金も同様の取り扱いを受ける 一時払いの有期年金 確定年金を 5 年以内に解約した場合 平準払いの確定年金 有期年金を全期前納して 5 年以内に解約した場合他方 年金種類が終身年金の場合, 解約差益は一時所得として総合課税の対象となる 第 5 問 番号問 13 問 14 問 15 正解 1 3 2 配点 3 3 4 < 問 13> 正解 1 1) が正しい * 相続税の申告書は 相続の開始があったことを知った日の翌日から 10 ヵ月以内に, 被相続人の住所地を管轄する税務署長に提出する * 相続税の基礎控除額は 5,000 万円 +1,000 万円 法定相続人の数 ( 注 ) で計算される なお この法定相続人の数は ( イ ) 相続放棄した人も放棄しなかったものとして取り扱う ( ロ ) 養子が複数いる場合 実子がいる場合は 1 人 実子がいない場合は 2 人までしかカウントできない Aさんの相続に係る法定相続人は 妻 Bさん 長女 Cさん 養子 Dさんの 3 人であるので 基礎控除額は 5,000 万円 +1,000 万円 3 人 =8,000 万円 である ( 注 ) 平成 27 年 1 月 1 日以後の相続から 3,000 万円 +600 万円 法定相続人の数 に改正される < 問 14> 正解 3 * 相続人が受け取った生命保険金のうち その相続人に適用される非課税の金額は次の ようにして計算する その相続人の取得した死亡保険金額 500 万円 法定相続人の数 被相続人の全ての相続人が取得した死亡保険金の合計額なお 法定相続人の数には ( イ ) 相続放棄した人も含む ( ただし 放棄した者には非課 税の適用にない ) ( ロ ) 養子が複数いる場合 実子がいる場合は 1 人 実子がいない場合 は 2 人までしかカウントできない * 設例の場合 法定相続人は 妻 B さん 長女 C さん 養子 D さんの 3 人であるので非 課税限度額は 500 万円 3 人 =1,500 万円 である 保険金は 長女 C さんが 1,000 6
万円 養子 D さんが 1,500 万円を受け取ったので それぞれが控除することができる 非課税金額は 次のようになる 1,000 万円長女 Cさん : 1,500 万円 =600 万円 1,000 万円 +1,500 万円 1,500 万円養子 D さん : 1,500 万円 =900 万円 1,000 万円 +1,500 万円 < 問 15> 正解 2 * 相続税の計算において 相続税の総額 までは 誰がどのように相続するかにかかわらず 法定相続分通りに相続したものとみなして計算する 課税価格の合計額本問では 金額を明らかにしていないが 課税遺産総額 ( 課税価格の合計額 - 基礎控除額 )2 億 1,000 万円が明記されており 基礎控除額から逆算すると 2 億 9,000 万円となる 遺産に係る基礎控除額基礎控除額は 問 13 より 8,000 万円である 課税遺産総額 2 億 9,000 万円 -8,000 万円 =2 億 1,000 万円 ( この金額が設問上の前提条件として記載されている ) 相続税の総額妻 Bさんの相続税の総額の基となる税額 2 億 1,000 万円 1/2=1 億 500 万円 1 億 500 万円 40%-1,700 万円 =2,500 万円長女 Cさん 養子 Dさんそれぞれの相続税の総額の基となる税額 2 億 1,000 万円 1/2 1/2=5,250 万円 5,250 万円 30%-700 万円 =875 万円相続税の総額 2,500 万円 +875 万円 2 人 =4,250 万円 7