イ使用年数基準で更新する施設 ( ア ) 使用年数基準の設定使用年数基準で更新する施設については 将来の更新需要を把握するためにも 更新するまでの使用年数を定める必要がありますが 現時点では 施設の寿命に関する技術的な知見がないことから 独自に設定する必要があります このため あらかじめ施設を 耐久

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図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

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PowerPoint プレゼンテーション

§1 業務概要

橋 梁 長 寿 命 化 修 繕 計 画

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設 機能の見直しハード面の効率化財源確保1-3. 再配置パターン ( 手法 ) の考え方 再配置計画の検討に向けて 公共施設の再配置を う場合の基本的なパターン ( 手法 ) について整理し それらの効果についても確認していきます 施設の再配置にあたっては 厳しい財政状況の中 人口が減少傾向にあるこ

H28秋_24地方税財源


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橋梁長寿命化修繕計画 ( 案 ) 平成 25 年 3 月 那覇市役所 建設管理部道路管理課

3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

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青文字は、長谷川が修正したものです

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西川町下水道長寿命化計画 ( 西川浄化センター ) ( 様式 1) 1. 対象施設及びその選定理由 1 対象施設の概要本町の下水道事業は 平成 6 年に公共下水道事業計画の認可を受け事業に着手し その後 4 回の変更認可により下水道整備を行ってきた 平成 22 年度末の整備状況としては 行政人口 6

第26号 技術報告集

高浜町 橋梁長寿命化修繕計画 ( 第 2 期 ) 高浜町建設整備課

2) 管理数量 下水道 終末処理場には汚水と雨水用の施設があります 管理数量は次のとおりで す 表 2-26 下水道 終末処理場の管理数量 施設名種別数量備考 下水道 ( 汚水 ) 下水道 ( 雨水 ) 汚水管きょ下水道終末処理場中継ポンプ場汚水低地排水ポンプ雨水管きょ雨水低地排水ポンプ雨水ゲート

水道事業

橋りょうの予防保全型管理について

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資料 - 3 流山市浄水場運転及び維持管理等業務委託 落札者決定基準 平成 30 年 10 月 流山市上下水道局

第 3 回検討会でご意見を頂いた内容に対する対応方針 ( 案 ) 中長期保全計画の策定において 更新 修繕 といった言葉の使い分けは明確にすべき その際 部位による使い分けや ライフサイクルコストの視点を踏まえた 更新 修繕 のレベル設定にも留意すること 建物を 使える 状態に維持するという観点から

流動資産 3 流動比率 (%) 流動負債 指標の意味 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 分析の考え方 当該指標は 1 年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等がある状況を示す 100% 以上であることが必要である 一般的に 100% を下回るということは 1 年以内に現金化

対策名 1 温室効果ガスの排出の抑制等に資する設備の選択キ未利用エネルギーの活用のための設備導水 送水 配水等における管路の残存圧力等を利用した小水力発電設備の導入 概要 地形の高低差から生じる水の位置エネルギーがある場所や導水管路 送水管路 配水池入口等で余剰圧力が利用できる場所 あるいは弁の開度

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-2-

豊中市千里地区歩路橋長寿命化修繕計画 平成 29 年 8 月 豊中市

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平成23年度

平成20年度内部評価実施結果報告書《本編》

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資料 5 公共施設更新コスト試算 1 試算ケース ケース1: 旧耐震基準のうち 築 60 年以上は建替え それ以外は大規模改修 新耐震基準は老朽箇所修繕 耐用年数を 60 年と想定した場合 旧耐震基準の施設のうち 築 60 年以上の施設は 築 60 年が経過した施設から建替える 建替え対象以外の旧耐

(2 管路の耐震性 管路は 配水池などの拠点施設から需要者に水を運搬する機能を有しており 水道の安 全 安定給水において欠かすことのできない重要な施設です そのため 施設の耐震診断と 同様 管路の機能評価を検討し 合理的な管路の更新 改良を実施することが必要です 本市の上水道事業における管路布設延長

流動資産 3 流動比率 (%) 流動負債短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 当該指標は 1 年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等がある状況を示す 100% 以上であることが必要である 一般的に 100% を下回るということは 1 年以内に現金化できる資産で 1 年以内に支


構造 用途 鉄筋コンクリート造鉄骨 鉄筋コンクリート造 高品質の場合 普通の品質の場合 高品質の場合 重量鉄骨 鉄骨造 普通の品質の場合 軽量鉄骨 ブロック造れんが造 木造 学校庁舎 Y 100 以上 Y 60 以上 Y 100 以上 Y 60 以上 Y 40 以上 Y 60 以上 Y 60 以上

各取組は PDCA サイクルを回し効果を評価し 目標が達成できない見通しとなったときは さらなる総量の縮減や取組 体制の強化等 基本方針等を見直します [ 図表 40] [ 図表 40:PDCA サイクル ] 計画修正 Action 計画修正 Action Plan Check 計画等修正 Acti

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

Microsoft Word - 栃木県土地改良区運営強化推進計画(最終版)

さらに 75 歳以上の割合は 平成52年では25.2%と ており 経年化しているものを含めると3割ほど なり 4人に1人は75歳以上になると試算されて になります 管路更新の特徴としては2極化して います このことは 有収水量の減少に直結して おり では老朽化 経年化が著 いるため 将来にわたり財源

1 1,200m ,482,620m 1 323,825m 1 205,988m 114,988m 60,000m 31,000m ,837m ,158,795m ,340m 1 48,006m 1 33,016m 1,125m

4 健全度の把握及び日常的な維持管理に関する基本的な方針 健全度の把握の基本的な方針橋梁の長寿命化を図るため 定期点検要領に基づき5 年に1 回の定期点検を実施していきます また 定期点検の結果に基づく診断結果 ( 健全度 ) を長寿命化修繕計画に反映させていきます 日常的な維持管理に関する基本的な

相馬市 橋梁長寿命化修繕計画 平成 28 年 12 月 福島県 相馬市建設部土木課

たものとなっている ( 図 -1) また 水道事業審議会のメンバーは少しずつ変化するもの の 水道料金が改定されるまでに 水道事業ビジョン 経営戦略 料金改定検討の計 3 回 の水道事業審議会を経る計画となっている 図 -1 計画構造と料金改定に向けたロードマップ 業務フローを図 -2 に示す 支援

第 4 章保全に係る基準の設定 保全に係る基準の設定フロー 前章の老朽化状況の把握からの保全に係る基準の設定フローを以下に示します 老朽化状況の把握 1 躯体の健全性調査 2 躯体以外の劣化状況調査 残存耐用年数 躯体の健全性調査による残存耐用年数 構造別の目標耐用年数の設定 ( 長寿命化 ) 長寿

目次 本編 第 1 編総論 1 章総則 指針の必要性 各指針の構成と運用方法 章施設重要度の設定 重要度設定の基本方針 構造物及び管路の重要度 設備の重要度

[ 図表 35: 見直しのイメージ ] 質の高い施設 安心安全で コストの最適化 施設を安心安全に利用するため 点検 診断を実施し その結果に基づき 必要な対策を適切な時期に着実かつ効率的 効果的に実施します また これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情報を記録し 次の点検 診断等に

平成 30 年 11 月 20 日第 2 回産官協議会 ( 次世代インフラ ) 資料 4 水道分野における新技術の導入について 厚生労働省医薬 生活衛生局水道課 1

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美里町学校施設長寿命化計画 ( 案 ) 検討資料編 平成 30 年 月 美里町教育委員会

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経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

磐田市水道事業ビジョン

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第1回まちづくり評価委員会 市民部会 開催記録概要

CONTENTS

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委員 1 人 1 日平均使用水量の減少率の分析の説明がわかりせん 回帰分析法等を用いて分析するのはいかがですか 委員 長期前受金戻入についてですが 費用合計から控除するのはなぜですか 平成 26 年度から控除しているようですが 平成 25 年度の給水原価と純粋に比較できるものですか 事務局 長期前受

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建設の施工企画 特集 5 長寿命化 維持管理 リニューアル 住宅の長寿命化への取組 国土交通省住宅局住宅生産課 今後の住宅政策においては これまでの つくっては壊す フロー消費型社会から いいものをつくっ て きちんと手入れして 長く大切に使う という ストック重視型への転換を図ってい

公益財団法人和歌山市文化スポーツ振興財団 ( 財団法人和歌山市都市整備公社から名称変更 ) 経営健全化 ( 自立化推進 ) 計画 ( 平成 22 年度 ~ 平成 25 年度 ) 取組結果報告 取組結果報告における各取組の最終進捗結果の説明区分基準 A ほぼ予定どおり 若しくは予定以上に進んだ B 取



管路リスク 管路の老朽化のリスクです 経年劣化による腐食や破損などにより管路に不具合が生じるかどうかを評価するリスクです 管路に 不具合が生じると トイレが使えなくなったり 道路陥没の原因となることがあります 破損した管路 管路の破損による道路陥没 リスク評価結果 リスク評価は 下水道台帳の情報や改

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小樽市簡易水道事業経営戦略 団体名 : 小樽市 事業名 : 簡易水道事業 策定日 : 計画期間 : 平成 29 年 3 月 平成 29 年度 ~ 平成 40 年度 1. 事業概要 事業の目的 : 当市の簡易水道事業は 銭函 4 丁目及び 5 丁目の石狩湾新港地区に立地する企業に対する給水を行うことを

資料1-2 「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」(案)」(事例・参考資料等)(4/5)

資料 1 3 小規模附属物点検要領 ( 案 ) の制定について Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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内部統制ガイドラインについて 資料

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雲仙市公共施設等総合管理計画 概要版 平成 29 年 3 月 雲仙市

第 5 回懇話会資料 1 (1) 第 4 回懇話会における指摘事項 記載箇所 委員からの指摘事項 指摘の概要 資金残高について 第 4 回懇話会別冊資料 3-(4) 第 4 回懇話会での指摘事項まとめ 資料のシミュレーションでは 1 年後くらいから資金残高がマイナスとなるが 水道料金を何倍にすればマ

大阪湾広域臨海環境整備センターは、昭和57年3月に設立されて以来、30年余りにわたって、全国で唯一の府県域を超えた広域的な廃棄物の適正な最終処分を海面埋立てにより行う「フェニックス事業」を地方公共団体及び港湾管理者と一体となって推進してきたところであり

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

基本方針

国立大学法人富山大学 PPP/PFI 手法導入優先的検討要項

4-(1)-ウ①

神戸市水道局における アセットマネジメントの取り組み 平成 21 年 8 月 26 日 神戸市水道局水口和彦

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

第1章フランチャイズビジネスの基礎知識

方法論 EN-S-031(ver.1.0) サーバー設備の更新 方法論番号 EN-S-031 Ver.1.0 本方法論に基づいてプロジェクトを計画する場合は 方法論名称 サーバー設備の更新 方法論の改定が必要となる場合があるので 計画書作成前に制度管理者へ確認してください < 方法論の対象 > <

バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

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平成 29 年度企業局事業の決算概要について 別紙 1 1 業務量 損益 H30.5 野県企業局 ( 消費税抜き ) 電気事業 増減区分平成 29 年度 (A) 平成 28 年度 (B) (A-B) (A)/(B) 電力量 378 百万 kwh 376 百万 kwh 1 百万 kwh 100.3%


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2.2 各指針の位置づけ工水指針の位置づけと構成は 図 2に示すとおりであり 施設更新指針 および 耐震対策指針 を用いて 主に個別の工業用水道施設に対して 設備診断及び耐震性評価を行う 次に アセットマネジメント指針 を用いて 施設全体の診断 評価結果や財政収支見通しを踏まえた 資産管理の最適な将

第 4 章特定産業廃棄物に起因する支障除去等の内容に関する事項 4.1 特定支障除去等事業の実施に関する計画 (1) 廃棄物の飛散流出防止ア廃棄物の飛散流出防止対策当該地内への雨水浸透を抑制し 処分場からの汚染地下水の拡散防止を図るとともに 露出廃棄物の飛散流出防止を図るため 覆土工対策を実施する

第 6 章具体的施策と実施 より一層のお客さまの利便性や公平性の向上が図れます 窓口対応などのサービスに関する満足度 ( アンケート ) 2016 年度 2022 年度 2027 年度 28.4% 50% 80% アンケート調査に関するについては アンケートの実施年度と合わせてを 2016 年度とし

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

第 号議案

Transcription:

3 長寿命化 ( 更新 ) 計画 (1) 水道施設の長寿命化の必要性浄水場や配水池などの水道施設は 将来の更新需要を抑制するため 安全性を確保した上で 法定耐用年数によることなく 新たに施設の特性を踏まえた使用年数を設定し できる限り長期間使用することを原則としています このためには 補修 補強等の長寿命化対策を実施し 設定した使用年数により更新を進めることで 将来の更新需要の抑制や平準化に努めていく必要があります 図 -8 水道施設の長寿命化対策による更新需要のイメージ (2) 長寿命化 ( 更新 ) 計画の策定長寿命化 ( 更新 ) 計画を策定するために まず 日常的 定期的な点検等により蓄積してきたデータやこれまで実施してきた耐震 劣化診断等を踏まえ 330 か所の施設を 1 早期に更新を行う施設と 2 補修 補強工事等により長寿命化を行った上で新たに設定する使用年数基準で更新する施設に区分 ( 表 -8) します また 更新を実施する場合は 既存の施設規模を見直し 将来の水需要を考慮した最適な施設規模にするとともに 施設の統廃合を積極的に推進し 事業費の抑制に努めます 表 -8 施設の更新区分 ア早期に更新を行う施設 イ使用年数基準で更新する施設 施設数 :330 か所 36 か所 294 か所 ア早期に更新を行う施設維持管理上の問題等から早期に更新する必要があると判断される施設や耐震 劣化診断の結果を踏まえ 補修や補強工事を行うよりも更新を実施するほうが効果的かつ効率的と判断される施設については 使用年数基準によらず 将来の水需要の動向や施設の機能評価を考慮したダウンサイジングや統廃合等による施設規模等の見直しを行った上で 実施計画の中で計画的に更新を実施します なお 早期に更新する必要があると判断した施設の維持管理上の特徴としては 1 老朽化による劣化が顕著 21 池構造で清掃等が困難 3 急傾斜池等 自然災害の発生が予測される場所に立地している 4 配水池容量が大幅に不足している 5 その他維持管理上の問題点が顕在化している などがあり これらの状況を総合的に判断し 更新する施設を決定しています 11

イ使用年数基準で更新する施設 ( ア ) 使用年数基準の設定使用年数基準で更新する施設については 将来の更新需要を把握するためにも 更新するまでの使用年数を定める必要がありますが 現時点では 施設の寿命に関する技術的な知見がないことから 独自に設定する必要があります このため あらかじめ施設を 耐久性 と 重要度 に応じて表 -9 及び表 -10 のとおり区分し 図 -9 に示す使用年数基準に従い 施設ごとに使用年数を設定します その後に 耐震診断や劣化診断といった長寿命化対策を踏まえ 図 -12 に示すとおり使用年数基準の再設定を行っています a 施設の区分 (a) 耐久性構築物の場合 コンクリートの品質が耐久性を左右する大きな要因となりますが 高度経済成長期に建設された施設は 海砂使用 ( 塩害 ) 等の課題があることから 耐久性が低いと考えられています このような材質的な課題は 構造的な課題と異なり 補修によって機能回復できないものであることからである施設と位置付けます 表 -9 耐久性による区分 耐久性 海砂が使用された可能性が高い昭和 40 年 ~54 年 に建設された施設 その他の施設 76 か所 218 か所 これまでの耐震 劣化診断を基に設定しており 今後の診断結果により見直しを進める (b) 重要度事故リスクを考慮すると 大規模な施設は優先的に更新を行うべきであることから 水道法における施設基準の考え方に基づき 取水施設 導水施設 浄水施設 本管 ( 口径 300 粍以上 ) に接続された配水池及びポンプ所を重要と位置づけています 表 -10 重要度による区分 重要度 重要 取水 導水 浄水施設本管 ( 口径 300 粍以上 ) に接続された配水池及びホ ンフ 所 151 か所 一般その他の施設 143 か所 b 使用年数の設定使用年数の設定に際しては 最短を法定耐用年数とし 土木構造物で 60 年 建築構造物で 50 年とします また 最長の使用年数は 既存の稼働施設で最も年月が経過している牛田配水池を参考に 100 年と設定します 表 -11 使用年数の設定 使用年数 最短 法定耐用年数 建築構造物 50 年土木構造物 60 年 最長既存の稼働施設を参考に設定 100 年 12

c 使用年数基準による使用年数の設定 当初 330 か所の施設の内 早期に更新を行う施設 (36 か所 ) 以外の施設 (294 か所 ) に対して 耐久性と重要度を基に使用年数を設定すると以下のようになります なお 重要かつな施設及び一般かつな施設の使用年数は 事故リスクの観点から 最長及び最短の使用年数の中間値としています 図 -9 使用年数基準による使用年数と施設数 当初 耐久性 重要度 重要 一般 A グループ 52 か所 C グループ 99 か所 建築 50 年土木 60 年建築 75 年土木 80 年 B グループ 24 か所 使用年数 100 年 D グループ 119 か所 d 長寿命化対策による使用年数の延伸コンクリート構造物の寿命を把握するための技術的な検証として 耐震 劣化診断を実施し 施設ごとに耐震性及び耐久性を確認します また 診断の結果 必要な施設には 補修 補強工事などの長寿命化対策を実施し 対策を施すことによって耐震性及び耐久性が確保できる施設については 使用年数を延伸します 図 -10 長寿命化対策による対応 1 耐震 劣化診断の実施 耐震 劣化診断を実施し 耐震性及び耐久性が確認できる施設 2 補修 補強工事の実施 耐震 劣化診断に基づく補修 補強工事などの長寿命化対策により 耐震性及び耐久性を確保する施設 施設と位置付け使用年数を延伸 図 -11 耐震 劣化診断スケジュール 対象施設平成 22-26 年度平成 27-32 年度平成 32 年度以降 (1) 基幹施設 (36 か所 ) 1 取 浄水施設 基幹配水池 2 緊急遮断弁が設置された配水池 3 給水戸数が 5,000 戸以上の配水池とポンプ所 耐震診断 耐震補強 ( 設計 工事 ) (2) その他の一般施設 (156 か所 ) 耐震診断 耐震補強 ( 設計 工事 ) 耐震診断を必要とする 192 か所の施設が対象 更新又は廃止予定の施設や既に耐震基準を満たす施設は除く 13

( イ ) 長寿命化 ( 更新 ) 計画における施設の更新区分の流れ 330 か所の水道施設に対し 早期に更新が必要と判断した施設 (36 か所 ) については 実施計画により計画的に更新を推進し また 使用年数基準により更新を行う施設 (294 か所 ) については 設定した使用年数を目標とした長寿命化対策を推進するとともに 今後も定期的な点検や劣化状況等の確認を繰り返し行うなど 継続的な管理運営のもと 施設の長寿命化に努めます 図 -12 使用年数の設定の流れ 法定耐用年数 法定耐用年数 330 か所土木 60 年建築 50 年 早期更新の 判断 施設の内訳 取水場 9 か所浄水場 9 か所配水池 177 か所ポンプ所 135 か所計 330 か所 早期に更新する施設の抽出 早期に更新する施設 使用年数基準により更新する施設 36 か所 294 か所 各施設の使用年数 1 使用年数基準による設定 2 長寿命化対策による使用年数の延伸 使用年数基準の再設定 耐久性 重要度 重要 一般 A グループ 6 か所 (52) ( ) の数字は 当初設定の施設数 C グループ 145 か所 (99) 建築 50 年土木 60 年建築 75 年土木 80 年 B グループ 10 か所 (24) 使用年数 100 年 D グループ 133 か所 (119) 実施計画により施設更新を推進する 設定した使用年数を目標に 今後も繰り返し予防保全としての補修 補強工事など 長寿命化対策を推進する 14

(3) 長寿命化 ( 更新 ) 計画に基づく更新施設ア早期に更新する施設早期に更新する施設は 現状の配水池容量やポンプ能力等の施設能力を単純に継承するのではなく 改めて給水区域や周辺施設との関連 将来の給水人口や給水量を勘案し 施設の統廃合やダウンサイジングを考慮した更新の実施計画を策定します 表 -12 早期に更新する施設の一覧 中 長期計画施設名か所数費用 H26~H29 中期経営計画 H30~H38 計 H26~H38 府中取 浄水場神田山調整池 ポンプ所など 府中配水池虹山調整池 ポンプ所など 14 か所 ( 内廃止 5) 22 か所 ( 内廃止 6) 36 か所 ( 内廃止 11) 79 億円 95 億円 174 億円 イ使用年数基準で更新する施設早期に更新する施設以外の施設は 耐震 劣化診断により耐震性 耐久性を確認するとともに 診断に基づく補修 補強工事により耐震性 耐久性を確保し 長寿命化した使用年数基準により更新します 表 -13 使用年数基準で更新する施設の一覧 中 長期計画施設名か所数費用 H39~75 戸坂取水場など 83 か所 1,176 億円 H76~H125 福田調整池 武田山ポンプ所など 211 か所 500 億円 計 H38~H125 294 か所 1,676 億円 (4) 設備機器の更新 水道施設には ポンプ 受変電設備等の設備機器が設置されており 常に 正常に運転でき る状態を維持するため 定期的に分解補修等を実施し 長寿命化を図っています このような設備については 日常点検に基づく運転状況やこれまでの使用実績等を考慮して 法定耐用年数の 1.5~2 倍の更新周期を設定した独自の更新基準を定め 計画的に更新を実施す ることにより 健全性の確保と長寿命化による設備更新の平準化を実現しています 設備の更新周期は 施設や管路と比較して短いため 更新費用は 経常的にほぼ一定の費用 が必要になると考えており 今後も年間約 20 億円を見込んでいます 表 -14 主な設備の更新周期 ( 単位 : 年 ) 機器名称法定耐用年数水道局更新周期 高圧受変電設備 20 30 ポンプ設備 15 15~60 自家発電設備 15 30 中央監視制御装置 10 15 遠方監視制御装置 9 20 計装機器 10 20 薬品注入設備 15 30 稼働時間 点検結果等により更新周期は異なる 15

(5) 水道施設 ( 浄水場等 ) の維持保全費用水道施設の維持保全に係る費用としては 施設の更新費用のほかに 設備機器の更新費用 長寿命化を推進するための耐震 劣化診断及び耐震補強等に要する費用 そして施設を維持するための保守委託及び補修費用などの維持修繕費が必要となります これらを含めた維持保全費用の推移は図 -13 に示すとおりで 法定耐用年数で更新する場合 ( 約 4,060 億円 ) と比較し 概ね 50 年間で約 1,410 億円削減され 約 2,650 億円と試算しています 図 -13 更新需要の比較 法定耐用年数と長寿命化 ( 更新 ) 計画の比較 ( 億円 ) 800 700 600 500 400 300 200 100 0 法定耐用年数で更新する場合法定耐用年数 (2 回目 ) 法定耐用年数 (1 回目 ) 保守 補修設備更新費用 50 年間の費用 維持保全費用 約 4,060 億円 更新 ( 構築物 ) 約 1,880 億円 更新 ( 設備 ) 約 1,920 億円 保守 補修 約 260 億円 施設の老朽化等による早期更新 長寿命化対策の実施により法定耐用年数を上回る使用年数での更新 維持保全費用を抑制及び平準化 ( 億円 ) 800 700 600 500 400 300 200 100 0 長寿命化 ( 更新 ) 計画で更新する場合長寿命化更新計画 (2 回目 ) 長寿命化更新計画 (1 回目 ) 耐震 補強保守 補修設備更新費用 50 年間の費用 維持保全費用 約 2,650 億円 更新 ( 構築物 ) 約 1,350 億円 更新 ( 設備 ) 約 990 億円 保守 補修 約 260 億円 耐震 補強 約 50 億円 100 年間の費用 維持保全費用 約 4,670 億円 更新 ( 構築物 ) 約 2,100 億円 更新 ( 設備 ) 約 2,000 億円 保守 補修 約 520 億円 耐震 補強 約 50 億円 16

(6) PDCA サイクルの確立全ての施設は 周辺環境や運用状況などにより老朽化の進行度合いがことなることから 今後も定期的に 日常点検 機能診断 劣化診断などを実施することで 劣化状況の把握を行い 随時 使用年数や更新時期の再検討を行っていく必要があります 図 -14 定期的な水道施設の管理運営イメージ PDCA サイクル Plan 計画の策定 長期的な長寿命化 ( 更新 ) 計画中 長期的な経営計画 D0 計画の実施 補修 補強更新 Action 計画の見直し 使用年数の見直し点検項目 頻度等の見直し Check 施設の評価 各種点検の実施機能 劣化診断 17