第 3 回佐賀糖尿病療養指導士認定研修会 糖尿病の食事療法指導と支援聴き取りの方法 佐賀大学医学部附属病院古賀茜 2016.6.5 佐賀大学
糖尿病の食事療法とは
糖尿病の食事療法糖尿病治療に従事する医療スタッフとして 糖尿病治療の基本であり 出発点 第 1 2 の目的 そして意義 糖尿病患者が 健常者と同様の日常生活を営むのに必要な栄養素を摂取し 糖尿病の代謝異常を是正 合併症予防の発症や進展を抑制すること 1 適正なエネルギー量の食事を摂る 2 栄養素のバランスがよい食事を摂る 3 規則的な食事習慣を守る
しかし 実際の臨床現場で患者さんからよく聞く言葉に耳を傾けてみると 糖尿病の食事療法のイメージは? 美味しいものが食べられなくなる 食事制限 カロリー制限 美味しくない 大変 難しい マイナスのイメージを持つ患者さんが多い
マイナスのイメージ 患者さんが自身のこととして 食事療法や療養生活に楽しみを持ちながら取り組んでいくためには 続けていくためには どんな支援 介入が必要なのか いかに 患者さんのやる気や意欲を引き出すことができるか プラスのイメージ
指導と支援 栄養指導 医療者側が上のような印象が強い 栄養相談 支援 患者さんが気軽に相談しやすい 栄養相談 支援をすすめていく上で 大切なこと患者さんが相談しやすい環境 雰囲気作り
この 10 年間で食事療法が変わりました 平成 14 年 5 月 9 日第一刷発行 平成 25 年 11 月 1 日第一刷発行
食事療法のすすめ方 第 6 版 第 7 版
栄養支援の実際 1 患者さんの糖尿病に対する思いや受け入れを聴き取る食生活内容の把握 * 食事と血糖の関係 2 具体的な食事支援 介入 * 食事と血糖の関係 3 実践に対する聴き取りと支援 助言 患者さんの状態や理解度に合わせて 2~3 回にわけて段階的に栄養支援をすすめています
栄養支援の実際 1 患者さんの糖尿病に対する思いや受け入れを聴き取る食生活内容の把握 * 食事と血糖の関係 2 具体的な食事支援 介入 * 食事と血糖の関係 3 実践に対する聴き取りと支援 助言 患者さんの状態や理解度に合わせて 2~3 回にわけて段階的に栄養支援をすすめています
1 患者さんの糖尿病に対する思いや受け入れを聴き取る食生活内容の把握 * 食事と血糖の関係 相談しやすい環境作り 患者さんのことを知る 食生活内容 状況を的確に把握 確認する 患者さんの反応をみながら 糖尿病の基礎知識を伝える 生活背景 合併症の有無等 個々の状態を把握した上で それぞれに合った 適正なエネルギー 栄養素の配分を考えていく エネルギー摂取量の算出方法 三大栄養素の比率 コレステロール量 食物繊維 食塩量 合併症のある場合 など
食事療法の説明と指導の実際 1. 適正なエネルギー摂取量の決め方と栄養素の配分 a. 適正なエネルギー摂取量とは b. 栄養素の配分
適正なエネルギー量を知ろう! 標準体重 = 身長 (m) 身長 (m) 22 60 30 1800
栄養支援の実際 1 患者さんの糖尿病に対する思いや受け入れを聴き取る食生活内容の把握 * 食事と血糖の関係 2 具体的な食事支援 介入 * 食事と血糖の関係 3 実践に対する聴き取りと支援 助言 患者さんの状態や理解度に合わせて 2~3 回にわけて段階的に栄養支援をすすめています
2 具体的な食事支援 介入 * 食事と血糖の関係 ひとりひとりの生活に合わせて 食事療法がうまくいくように支援していく ~ 具体的な食事支援の内容 手段 ~ 糖尿病食事療法のための食品交換表 献立 盛り付け 食事記録法 ( 必要に応じて ) アルコール飲料 嗜好飲料 菓子類 間食 補食 外食 中食 偏食 不規則な食事時間 食事量の改善 過体重 ライフステージ別の年齢と食事の関係 など
食事療法の説明と指導の実際 2. 糖尿病食事療法のための食品交換表を用いる栄養指導 a. 食品交換表 b. 食事処方箋カーボカウント法 c. 交換表の使い方
~ 糖尿病食品交換表 ~ 1. 食品交換表の役割食事療法は糖尿病の治療の基本 糖尿病治療のための食品交換表 は 糖尿病の食事療法とは何か どのような食品のとり方が望ましいのか という観点から作成されている
2. 食品交換表の特徴 1 日常用いている食品のそれぞれについて それらに含まれている主な栄養素の組成より 4 群の 6 表と調味料に分類 2 各食品群に共通の単位を作り 1 単位を 80kcal と定め 1 単位に相当する各食品の重量を示している 3 各群の各表と調味料に分類した食品 1 単位当たりに含まれる栄養素量の平均を算定し 食品分類表のなかに示している
2. 食品交換表の特徴 1 日常用いている食品のそれぞれについて それらに含まれている主な栄養素の組成より 4 群の 6 表と調味料に分類 2 各食品群に共通の単位を作り 1 単位を 80kcal と定め 1 単位に相当する各食品の重量を示している 3 各群の各表と調味料に分類した食品 1 単位当たりに含まれる栄養素量の平均を算定し 食品分類表のなかに示している
1 4 群 6 表 食品交換表の特徴 4 群 6 表 + 調味料に分類
2. 食品交換表の特徴 1 日常用いている食品のそれぞれについて それらに含まれている主な栄養素の組成より 4 群の 6 表と調味料に分類 2 各食品群に共通の単位を作り 1 単位を 80kcal と定め 1 単位に相当する各食品の重量を示している 3 各群の各表と調味料に分類した食品 1 単位当たりに含まれる栄養素量の平均を算定し 食品分類表のなかに示している
21 単位 80kcal に相当する各食品の重量 ( 表 1 の場合 )
( 表 3 の場合 )
2. 食品交換表の特徴 1 日常用いている食品のそれぞれについて それらに含まれている主な栄養素の組成より 4 群の 6 表と調味料に分類 2 各食品群に共通の単位を作り 1 単位を 80kcal と定め 1 単位に相当する各食品の重量を示している 3 各群の各表と調味料に分類した食品 1 単位当たりに含まれる栄養素量の平均を算定し 食品分類表のなかに示している
1 4 群 6 表 食品交換表の特徴 3 食品 1 単位に含まれる栄養素の平均 4 群 6 表 + 調味料に分類
~ カーボカウント法 ~ カーボカウントとは食事中の炭水化物量を計算することで血糖値を調整しようという考え方
カーボカウントとは 食後血糖にもっとも影響を与える
カーボカウントとは 血糖コントロールに重点をおいた 食事指導方法のひとつ 炭水化物 の量を計算し 食後の血糖値を予測する
2 つのカーボカウント 基礎カーボカウント : 初級者用食事中の炭水化物を毎食一定にすることで 食後の血糖値が一定になるよう指導するもの 応用カーボカウント : 上級者用食事中の炭水化物量を計算することで インスリンの必要量を把握 調整し 血糖コントロールに応用できるように指導するもの
基礎カーボカウントの実際 : 糖質量の計算 1 食品交換表に基づいた計算方法 朝食 表 2 表 3 表 1
応用カーボカウントの実際 栄養素別の血糖上昇イメージ
応用カーボカウントの実際 インスリン作用時間の目安
応用カーボカウントの実際 栄養素別の血糖上昇イメージ インスリン作用時間の目安
血糖値の上昇は どちらの食品を食べた時が大きいでしょうか? あんパン 唐揚げ エネルギー 279 kcal エネルギー 247kcal
血糖値の上昇は どちらの食品を食べた時が大きいでしょうか? あんパン 唐揚げ エネルギーたんぱく質脂質炭水化物 279 kcal 7.4 g 5.9 g 49.2 g エネルギー 247kcal たんぱく質 10.4g 脂質 17.7g 炭水化物 9.3 g
食品交換表 とカーボカウントのメリットとデメリット 食品交換表 カーボカウント 体重管理有効無効 栄養バランス有効無効 計算方法煩雑煩雑 食後血糖コントロール困難有効 次の食前血糖コントロール困難バランスよく食べれば有効
食事療法の説明と指導の実際 3. 献立と盛り付けの指導 a. 献立 b. 盛り付け
~ 献立 ~ 食品交換表に基づいてバランスを図る
食事療法の説明と指導の実際 4. 食品の計量と目安量の指導 a. 食品の計量 b. 目安量
食事療法の説明と指導の実際 5. 食事療法の評価と指導 a. 食事の記録法の指導 b. 食事内容の過不足の指導 c. 評価と指導
食事療法の説明と指導の実際 6. アルコール飲料 嗜好飲料 菓子の指導 a. アルコール飲料 b. 嗜好飲料 菓子 c. 健康食品 サプリメント
食事療法の説明と指導の実際 7. 間食 補食の指導 a. 間食 b. 補食 8. 外食 中食の指導
食事療法の説明と指導の実際 9. 偏食 不規則な食事時間 食事量改善の相談 a. 偏食はどうするか b. 不規則な食事時間への対応はどうするか c. 食事量の改善はどうするか 10. 過体重 年齢 労働量と食事の関係を指導 a. 体重と食事 b. 年齢と食事 c. 労働量 ( 運動 ) と食事
栄養支援の実際 1 患者さんの糖尿病に対する思いや受け入れを聴き取る食生活内容の把握 * 食事と血糖の関係 2 具体的な食事支援 介入 * 食事と血糖の関係 3 実践に対する聴き取りと支援 助言 患者さんの状態や理解度に合わせて 2~3 回にわけて段階的に栄養支援をすすめています
3 実践に対する聴き取りと支援 助言 実践できたかどうか どんなことが難しかったか取り組みやすかったかを聴き取る 患者さんの反応 思いの変化に着目する 具体的な支援 アドバイスを行っていく 患者さんの生活状況や検査データ等を確認しながら 栄養量の見直しを行い その時の状況に合わせた支援をすすめていく必要がある
食事療法の説明と指導の実際 11. 食事療法の開始と維持 : 支援のポイント食事療法は 日々患者が実行することであり その実行度を高めるためには セルフケア行動を獲得できるよう援助が必要である 栄養指導にあたっても 患者の視点に立ち 行動変化ステージに応じた共に考える栄養指導を行わなければならない