(Microsoft PowerPoint \220H\222\206\223\305\201i\220H\210\300\210\317\201j)

Similar documents
 

Microsoft PowerPoint 食中毒(山梨).ppt

年次別 主な病原体別の食中毒事件数の推移 * 腸管出血性大腸菌を含む

Microsoft PowerPoint - 食中毒って何?

<4D F736F F F696E74202D20834A D836F834E835E815B C E52967B81698E9696B18BC78F4390B3816A2E70707

Microsoft PowerPoint - 富山生食による食中毒0811.pptx


滋賀県のHACCP推進の取組み

PowerPoint プレゼンテーション

(*) ノロウイルス : 冬期に流行する人の感染性胃腸炎の原因ウィルスで 調理従事者がノロウイルスに感染していた場合に その人を介してノロウイルスに汚染された食品を食べたり または汚染されていた二枚貝を 生あるいは十分に加熱調理しないで食べることにより食中毒を起こす ( イ ) サルモネラ * 食中

平成 27 年 3 月 4 日農林水産省消費 安全局 平成 27 年度食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス モニタリング年次計画 1. 基本的な考え方食品安全行政にリスクアナリシスが導入され 科学に基づいた行政の推進が必要となっています このため 農林水産省は 食品の安全性

平成 30 年東京都食中毒発生状況 ( 速報値 ) 平成 30 年 8 月 31 日現在 8 月末までの都内の食中毒の発生状況が 東京都から公表されました 昨年と比較すると 件数では 30% 増 患者数では 46% 減となっています 最近 10 年間の平均と比較すると 患者数はほぼ同じですが発生件数

Microsoft Word - QA通知0928.doc

Microsoft Word - Q&A(セット).docx

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 資料3【厚労省】【1102差し替え】151117ノロウイルス【リスコミ名古屋,横浜】.pptx

(案)

<4D F736F F F696E74202D20345F87408DC58BDF82CC C594AD90B68FF38BB58E9697E182C98A7782D4838A E82CC82C282AB82A082A295FB2E707074>

<95CA955C E94AD90B68FF38BB5816A2E786C7378>

(Microsoft PowerPoint - \220H\222\206\223\ \214\335\212\267\203\202\201[\203h)

サルモネラ食中毒とは? 症状は? 食後 6~48 時間で おう吐 腹痛 下痢 発熱など 乳幼児や高齢者は 症状が重くなることもある 原因になりやすい食品は? 加熱不足の卵 肉などが原因になりやすい 生の肉に使った包丁で切った調理済みの食品も原因に 害虫やペットが 菌を食品に付けてしまうことも ( 農

(4) 薬剤耐性菌の特性解析に関する研究薬剤耐性菌の特性解析に関する知見を収集するため 以下の研究を実施する 1 家畜への抗菌性物質の使用と耐性菌の出現に明確な関連性がない家畜集団における薬剤耐性菌の出現又はこれが維持されるメカニズムについての研究 2 食品中における薬剤耐性菌の生残性や増殖性等の生

生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 食肉販売業用 ) 導入手引書 本ガイダンスでは まず メニュー調査表 と 調理工程表 によりそれぞれの施設の 危害要因分析 を行い 次にこの手引書の 衛生管理点検表 を HACCP の考え方を取り入れた 衛生管理計画 とし それを用いて モニタリング 記録の

youkou

食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

菌名原因食品及び感染したときの症状特徴 黄色ブドウ球菌 原因食品 : 弁当 おにぎりなど潜伏期間 :1~5 時間症状 : 吐き気 おう吐 下痢 腹痛などの症状が現れます ヒトや動物の化膿した傷口やおできなどに存在し 食品に付着し増殖するときに毒素を作ります 毒素は熱や乾燥に強い性質があります ウエル

「葛根湯医者」はヤブ医者?

卵及び卵製品の高度化基準

< F2D E969688EA90C4815E959492B792CA926D2E6A7464>

Microsoft PowerPoint - 補足資料(セット版-2).ppt

Q&A(各自治体宛)

第4章

スライド タイトルなし

<4D F736F F F696E74202D208D9197A789718CA E9197BF97708CDC8F5C8C4E462E B8CDD8AB B83685D>

目について以下の結果を得た 各社の加熱製品の自主基準は 衛生規範 と同じ一般生菌数 /g 以下 大腸菌 黄色ブドウ球菌はともに陰性 未加熱製品等の一般生菌数は /g 以下であった また 大腸菌群は大手スーパーの加熱製品については陰性 刺身などの未加熱製品については

衛生管理マニュアル 記載例

近年患者数が多く公衆衛生上の重要性が増しているノロウイルスについて ヒトへの 感染経路における食品 ( カキを中心とした二枚貝とその他の食品別 ) の寄与率やヒトの 症状の有無による食品への汚染の程度を明らかにする研を実施する 2 調査事業 (1) 食品用器具 容器包装に用いられる化学物質のリスク評

規格基準食品衛生法に基づき 食品や添加物等について一定の安全レベルを確保するために定められた規格や基準で 規格基準に合わない食品等は製造 使用 販売等が禁止されています 寄生虫他の動物に寄生し栄養分をとり生活する生物であり 食中毒の原因となるものではアニサキスやクドア セプテンプンクタータなどがあり

設問 4 ノロウイルスに関する次の記述のうち 誤っているものを 1 つ選べ 1 ノロウイルスは 冬季を中心に年間を通して胃腸炎を起こし 特に 保育園 学校 福祉施設などでは 集団発生になりやすい傾向がある 2 ノロウイルスは ヒトの腸管内で増殖し ノロウイルスの感染者のふん便 1g 中には 100

参考資料 1 野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドライン 平成 26 年 5 月 鳥獣保護法の改正に伴い 今後 野生鳥獣の捕獲数が増加し 食用としての利活用が増加する見込みであり 食用に供される野生鳥獣肉の安全性の確保を推進していく必要がある 1 1 平成 26 年 5 月 22 日参議院環境委員会附

平成 29 年度食品安全モニター課題報告 食品の安全性に関する意識等について I. 食品の安全性に係る危害要因等について 問 1 A~G に掲げる事項についてリスクの観点からあなたはどう思いますか それぞれ の事項について 選択肢 1~6 の中から 1 つずつ選んでください 事項 A 環境問題 B

ICAC2012 記録集5-9.indd

<4D F736F F D C58A C18F A C A>

牛・豚処理工程の変更に伴う枝肉細菌汚染の変動について

HACCP 自主点検リスト ( 一般食品 ) 別添 1-2 手順番号 1 HACCP チームの編成 項目 評価 ( ) HACCP チームは編成できましたか ( 従業員が少数の場合 チームは必ずしも複数名である必要はありません また 外部の人材を活用することもできます ) HACCP チームには製品

<4D F736F F F696E74202D E392E33308D758F4B89EF288AB490F590AB88DD92B0898A29205B8CDD8AB B83685D>

平成23年度「食肉の生食等に関する実態調査委託」報告書概要

<4D F736F F F696E74202D D E9197BF817A C CF88F589EF88F38DFC97702E >

2 食中毒ってなんですか? 飲食物を摂取することによって起きる 急性の胃腸障害を主症状とする健康障害のこと 大部分の食中毒事例は ある種の微生物により発生 ただし 原因 ( 病因物質 ) によっては 主症状が胃腸障害以外のものもある 昔は 食あたり とも呼ばれていた

Microsoft PowerPoint - 成果発表会(縮小版) [互換モード]

PowerPoint プレゼンテーション

表 1-2. コーデックスガイドライン (Codex Guidelines)2018 年 2 月現在 78 ガイドライン コーデックスガイドラインは 食品の安全性 品質 取込み可能性を確実にするために 証拠に基づいて 情報と助言を推奨手順と同時に提供するものである ガイドラインタイトル策定 部会 最

3. 実施期間 平成 24 年 7 月 11 日 ~7 月 24 日 4. 対象 食品安全モニター 470 名 有効回答数 344 名 ( 有効回答率 :73.2%) 1) 食品安全モニターの回答者数の内訳 1 男女別 : 回答者数 割合 全体 344 人 10% 178 人 51.7% 166 人

Microsoft Word - ④ H23用語集

図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満

食品衛生の窓

はじめに 食中毒とは 食中毒を起こす微生物が付着して増殖した飲食物や 有毒又は有毒な化学物質 ( 自然毒 ) が含まれている飲食物を摂取することによって起こる健康障害です 東京都では 毎年 100 件程度発生する食中毒ですが 食中毒の大部分を占めるのは微生物による食中毒です このたび 食品衛生に関わ

食品安全委員会の構成 食品安全委員会は 7 人の委員から構成されています 食品安全委員会委員 12 の専門調査会と 5 つの WG 企画等 : 企画 緊急時対応 リスクコミュニケ - ション 企画等 ( 企画 リスクコミュニケーション 緊急時対応 ) 化学物質系 : 農薬 添加物など 生物系 : 微

④26用語集

食品表示基準における販売形態ごとの適用範囲について

生食用鮮魚介類等の加工時における殺菌料等の使用について 平成 25 年 3 月食品安全部 1. 経緯食品への添加物の使用については 食品衛生法第 11 条第 1 項に基づく 食品 添加物等の規格基準 ( 昭和 34 年厚生省告示第 370 号 以下 規格基準 という ) の第 2 添加物の部において

!YAK Sample 教材! 問題 2 セレウス菌 27 セレウス菌は 短い潜伏期間で嘔吐を主徴とするタイプと より長い潜伏期間で下痢を主徴とするタイプの2 つの型があり それらの発症にはいずれも毒素が関与している (94 70) 黄色ブドウ球菌 28 Staphylococcus aureus

1 施設設備の衛生管理 1-1 食品取扱室の清掃及び保守点検 < 認証基準 > 床 内壁 天井 窓 照明器具 換気扇 手洗い設備及び排水溝の清掃手順 保守点検方法が定められていること 床及び排水溝の清掃は1 日に1 回以上 その他の清掃はそれぞれ清掃の頻度の記載があること 保守点検頻度の記載があるこ

東京都内の保健所 ( 都内自治体数 :23 区 26 市 5 町 8 村 ) 西多摩保健所 秋川地域センター 多摩立川保健所 多摩小平保健所 特別区 (23 区 ) 八王子市保健所 町田市保健所 保健所数 :23 区 2 市 6 都 (2 地区センター ) 南多摩保健所 武蔵野三鷹地域センター 多摩

1.9.1 管理基準の遵守状況を連続的又は相当の頻度で確認をするためのモニタリングの方法を設定し その文書を作成すること 十分なモニタリング頻度を設定することまた 設定した理由を整理しておくこと モニタリングに関する全ての文書と記録は モニタリングを行う担当者及び責任者による

品質管理初級者1

ファクトシート 作成日 : 平成 23 年 11 月 24 日 エルシニア症 (Yersiniosis) 1 エルシニア症とは エルシニア症は Yersinia 属菌の中で一般的に食中毒菌として知られる Yersinia enterocolitica と仮性結核菌として知られる Yersinia p

生活衛生営業 HACCP ガイダンス ( 旅館業用 ) 導入手引書 旅館業用衛生管理点検表 1 個人衛生管理点検記録個人衛生管理は 従事者の感染症対策を中心に基準条例 8 の従事者に係る衛生管理の項目を始業時点検として次の項目を確認する (1) 従事者は 下痢 嘔吐等の体調不良がないことを確認し 症

HACCPの概要と一般的衛生管理

(Microsoft Word - \220H\202\306\214\222\215N10\224N4\214\216\215\206\214\264\215e.doc)

<4D F736F F D AAE90AC94C B835794D48D8682C882B5816A915395B68CB48D652E646F63>

食品安全モニター課題報告 食品の安全性に関する意識等について ( 平成 25 年 8 月実施 ) の結果 ( 概要 ) 食品安全委員会は 食品の安全性について また 食品安全委員会のリスク評価や食品安全行政について一定の理解を可能とする科学的知識を有する者 ( 大学等で食品に関係の深い学問を履修した

H24/08/00

Microsoft Word - ( 通知決裁)HACCP票通知鑑

食品安全基本法第 21 条第 1 項に規定する基本的事項 平成 24 年 6 月 29 日閣議決定 食品安全基本法 ( 平成 15 年法律第 48 号 以下 法 という ) は 食品の安全性の確保についての基本理念として 国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に 食品供給行程の各段階に

スライド 1

Microsoft Word - 0

目次 1. 実施期間 1 ページ 2. 実施範囲 1 ページ 3. 実施体制と関係機関との連携 1 ページ 4. 監視指導対象業種と監視数 1 ページ 5. 監視時の指導事項 1 ページ 6. 重点的に実施した監視指導事項 1 ページ 7. 継続的に実施した監視指導事項 2 ページ 8. 食品の収去

Microsoft Word - ⑥30用語集(パブコメ案)

PowerPoint プレゼンテーション

背景 消費者の食品の安全性に対する関心 要求は 平成 7 年の腸管出血性大腸菌 O157による食中毒事件を機に一気に高まり 消費者は 安心して食べられる安全な食品 を強く求めています このような消費者の要望に応えるため 食品業界では食品の安全性の確保のため世界的に有効な衛生管理手法として認められてい

HACCP-tohu

そういった中で 世界的にも例えばヨーロッパの方でBSEの大きな問題がありました 世界各国の様々な経験から 食品の安全確保について新しい考え方に基づいて体制や仕組みが変わってきているということです 1つの考え方としてポイントとなるのは 国民の健康保護を何よりも優先すべきだということです 産業振興や生産

家族の健康を脅かす 食中毒予防ガイド 一般

Microsoft PowerPoint - 県保健医療大学RC120717資料

<945F96F B3816A2E786264>

平成 31 年度新宿区食品衛生監視指導計画案に対する意見募集結果について 1 意見募集期間 平成 31 年 1 月 25 日 ( 金 ) から 2 月 8 日 ( 金 ) まで 2 実施方法 (1) 平成 31 年 1 月 25 日号広報しんじゅく及びホームページへ意見募集案内を掲載 (2) 衛生課

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

Microsoft Word - エンテロバクターサカザキ.doc

まとめとして 図 1 のように 第 21 回の感染の過程 第 22 回で触れました感染全体に関する3つの要因をここでは 3つのポイントとして大きな円で括りまとめました このようにいつかの過程も 大きく分けると以下の 3つのポイントになります 感染のしくみにおける3つのポイント Ⅰ. 病原体 : 感染

( 別記報告様式 1 ) 記載例 2 感染症等 ( 疑 ) 発生報告票 1 報告年月日 平成 1 9 年 4 月 1 日 ( 日 ) 1 5 時 0 0 分現在 2 施設等の名称 学校法人 函館学院 函館保健所幼稚園 ( 種 別 ) ( 私立幼稚園 ) 4 報 告 者 職 氏 名 園 長 名 函 館

<4D F736F F F696E74202D20358FCD B68AC7979D C B8CDD8AB B83685D>

Microsoft PowerPoint - ™mfiIfl�™B‘á−QŁfl›ï.ppt

項目 薬剤耐性 (AMR) 対策アクションプランについて 耐性菌の基礎知識 薬剤耐性モニタリング (JVARM) の成績 コリスチン耐性について 薬剤耐性菌のリスク分析 動物用医薬品の慎重使用について 2

表 2 衛生研究所 保健所別菌株検出数 ( 医療機関を含む ) 内訳 衛生研究所保健所試験検査課県中支所会津支所郡山市いわき市 総計 喫食者 接触者 従事者食品 3 3 拭きとり総計 遺伝子型別解析遺伝子型別解析は, デンカ生研の病

参考 < これまでの合同会合における検討経緯 > 1 第 1 回合同会合 ( 平成 15 年 1 月 21 日 ) 了承事項 1 平成 14 年末に都道府県及びインターネットを通じて行った調査で情報提供のあった資材のうち 食酢 重曹 及び 天敵 ( 使用される場所の周辺で採取されたもの ) の 3

最近の食中毒の話題

HACCPの概要と一般的衛生管理

センターたより4月号.indd

2001年(平成13年)10月1日創刊  2007年(平成19年) 1月1日発行

Transcription:

平成 22 年 1 月 29 日 科学の目 で守る 食品の安全 食中毒原因微生物のリスク評価 内閣府食品安全委員会事務局 1

食品安全委員会について 2

食品安全委員会の設置 平成 15 年 7 月 食品安全基本法成立 ( 平成 平成 15 年 5 月 ) 法の理念理念は国民国民の健康保護健康保護が最も重要 食品食品安全行政安全行政にリスクリスク分析手法分析手法を導入 リスクリスク評価評価を行う機関機関としてとして食品安全委員会食品安全委員会を管理官庁からから独立独立してして内閣府内閣府に設置 3

4 リスクコミュニケーション消費者 事業者など関係者全員が理解し 納得できるように話合う厚生労働省 農林水産省等費用対効果費用対効果費用対効果費用対効果食べてもべてもべてもべても安全安全安全安全なようになようになようになようにルールルールルールルールを決めてめてめてめて 監視監視監視監視するするするする食品安全委員会科学的科学的科学的科学的食べてもべてもべてもべても安全安全安全安全かどうかかどうかかどうかかどうか調べてべてべてべて 決めるめるめるめるリスク評価リスク管理客観的客観的客観的客観的中立中立中立中立公正公正公正公正技術的可能性技術的可能性技術的可能性技術的可能性政策的政策的政策的政策的不安不安不安不安などなどなどなど国民感情国民感情国民感情国民感情食品食品食品食品の安全安全安全安全を守る仕組仕組仕組仕組み 4

食品安全委員会の構成 7 人の委員委員と約 200 名の専門委員専門委員からから構成構成 企画 14 の専門調査会 緊急時対応 リスクコミュニケーション 食品安全委員会委員 7 名 化学物質系グループ : 農薬 添加物添加物など生物系グループ : 微生物 プリオンプリオンなど新食品グループ : 遺伝子組換えなど 専門委員 :212 名 事務局 ( 職員 56 名 技術参与 32 名 ) 平成 22 年 1 月現在 専門家が 農薬農薬 添加物添加物 食中毒食中毒 BSE 遺伝子組換遺伝子組換えなど 食品食品の安全性安全性を科学的科学的に調べてべて評価評価 5

食中毒原因微生物のリスク評価について 6

食中毒原因微生物のリスク評価の経過 年月事項 H16. 12 食品安全委員会が自ら行う食中毒原因微生物のリスク評価について 1 評価指針を決めること 2 優先順位を決めること 3 個別の食中毒原因微生物について評価することを決定 H18. 6 微生物 ウイルス合同専門調査会で評価指針 ( 案 ) を決定 H19. 7 意見交換会を踏まえ 優先案件 4 案件の絞り込み後 鶏肉中のカンピロバクター ( ジェジュニ / コリ ) のリスク評価を行うことを決定 H21. 4 WG(8 回 ) を経て 微生物ウイルス専門調査会で評価書 ( 案 ) をとりまとめ H21. 5 食品安全委員会に評価書 ( 案 ) を報告 パブリックコメント開始 H21. 6 食品安全委員会にカンピロバクターカンピロバクターの評価書を報告 了承 評価書を厚生労働省 農林水産省に通知 ( 適切なリスク管理措置の検討を要請 ) 残る優先案件 : 牛肉を主とする食肉中の腸管出血性大腸菌 7 鶏卵中のサルモネラ カキを中心とするニ枚貝中のノロウイルス 7

食中毒原因微生物カンピロバクターによる食中毒 < 特徴 > 家畜 家禽類の腸管内に生息し 食肉 ( 特に鶏肉 ) 臓器や飲料水を汚染 乾燥にきわめて弱く 通常の加熱調理で死滅 ( 平成 20 年患者数 3071 人 死者 0 人 ( 食中毒統計 )) < 症状 > 潜伏期は 1~7 日と長い 発熱 倦怠感 頭痛 吐き気 腹痛 下痢 血便等 少ない菌量でも発症 ) 電子顕微鏡写真 細長いらせん状のらせん菌 < 食品安全委員会事務局資料 > < 過去の原因食品 > 食肉 ( 特に鶏肉 ) 飲料水 生野菜 牛 乳など 潜伏期間が長いので 判明しないことも多い 8

食中毒原因微生物の 食品汚染経路 汚染頻度 : 初期値汚染菌数 : 初期値 2 次汚染拡大殺菌による減少 変化無し温度により増加 交差汚染で拡大増加 減少 生産農場 加工加工場 製造場 流通問屋 市場量販店 小売店 調理 消費飲食店家庭 群感染率 初期菌数 殺菌加工率 殺菌効率 温度 時間 混合頻度 個数 調理法 消費頻度 消費量 9

カンピロバクターについて 1 農場段階 鶏 牛 豚などの健常家畜の腸管内に生息 特に鶏に対しては病原性を示さない 一方でカンピロバクターを防除する有効な手法がない 現場においては カンピロバクターのみを対象とした対策を行うことが困難 10

カンピロバクターについて 2 食鳥処理工程 機械化された処理の工程で 腸内容物の鶏肉への汚染防止は困難 鶏は 処理羽数が膨大であることから 個体単位での交差汚染防止対策は困難 連続して流れる処理工程全般を通じた衛生対策が必要であるが 多くの設備 人を介した作業であるため カンピロバクターの交差汚染を防除する有効な手法がない 11

カンピロバクターについて 3 調理 消費段階 加熱に対する感受性が高く 加熱による食中毒防止対策が最も有効 しかし家庭や飲食店では 必ずしも十分な加熱調理が行われておらず 生食や加熱不十分な調理が増えつつある わが国の生食文化の影響もあり 加熱調理の普及啓発により十分な効果を得ることが困難 サラダ等への調理中の交差汚染による食中毒発生も問題 12

鶏肉中のカンピロバクターの リスク評価の目的 我が国の鶏肉がカンピロバクターに汚染していることから 現状ではどのくらいの健康被害が起こりうるのか 考えられる対策をとった場合に健康被害がどのくらい減るのか を生産から食鳥処理 消費に至る過程に沿って推定すること 13

カンピロバクターによる農場の汚染及び鶏の感染状況 文献 農場鶏検査数陽性数 % 検査数陽性数 % 伊藤 (1985) 6 4 66.7 46 13 28.3 Ono et al.(1999) 20 15 75.0 1,068 778 72.8 品川 (2004a) 24 22 91.7 162 125 77.2 品川 (2004b) 23 17 73.9 99 91 91.9 農林水産省 (2006) 331 130 39.3 3,683 852 23.1 中馬 (2007) 184 84 45.7 2,943 386 13.1 合計 588 272 46.3 8,001 2,245 28.1 14

カンピロバクターによる 国内流通している鶏肉の汚染状況 ( 単位 : 羽 ) 検体名 検体数 陽性数 汚染率 (%) 鶏肉 ( 国産 ) 73 54 74% 鶏肉 ( 不明 ) 5 1 20% 国産鶏肉 50 48 96% 鶏レバー 33 26 79% 鶏手羽先 32 27 84% 鶏もも肉 4 2 50% 鶏むね肉 1 0 0% 冷蔵鶏肉 201 144 72% 生もも肉 3 3 100% 生むね肉 3 3 100% 生砂ずり 3 3 100% 鶏皮付きモモ肉 10 9 90% 鶏皮付きモモ肉 16 13 81% 鶏むね肉 40 21 53% 鶏もも肉 39 24 62% 鶏手羽先 データの一部 21 4 19% 15

鶏肉の生食頻度のアンケート結果 非加熱喫食 ( 生食 ) 割合 区分回答割合する 19.5 家庭しない 80.5 する 16.8 飲食店等しない 83.2 鶏肉の喫食喫食頻度 家庭 飲食店どちらかででも鶏肉を生食する人 : 29%( 約 3,700 万 ) ( 単位 : 食 / 年 ) 加熱生食十分不充分合計 ( 喫食 ) RTE あり ( 喫食 ) RTE なし ( 二次汚染 ) 自分で鶏肉 1.5 0.4 16.9 48.1 66.8 鶏肉は人気の食材! 家調理鶏内臓肉 0.4 0.0 4.6 13.4 18.4 庭家族が鶏肉 2.0 0.7 58.3 61.0 調理鶏内臓肉 0.6 0.1 17.2 17.9 生食される割合は5% 鶏肉 3.6 0.2 27.1 30.9 外食 弁当等鶏内臓肉 2.7 0.0 7.6 10.3 合計 10.9 1.4 193.1 205.4 一人が年間 200 回も食べている 16 16

鶏肉中のカンピロバクターの 感染確率の推定結果 生食する人 一食当たりの感染確率の平均値 : 家庭で 1.97% 飲食店で 5.36% 年間平均感染回数 : 3.42 回 / 人 生食しない人 一食当たりの感染確率の平均値 : 家庭で 0.20% 飲食店で 0.07% 年間平均感染回数 : 0.36 回 / 人 注 : ここでの 感染 はヒトの腸管粘膜に到着し 定着後増殖することを意味し かならずしも発症を意味していない 17

鶏肉中のカンピロバクターの 想定される対策 農場段階 農場での汚染率の低減 ( 衛生管理の強化 ) 食鳥処理場 食鳥処理場での区分処理 ( 汚染農場の鶏と非汚染農場の鶏とを区分して処理 ) 食鳥処理場での塩素濃度管理の徹底 調理 消費段階 生食割合の低減 調理時の加熱不十分割合の低減 調理時の交差汚染割合の低減 18

リスク評価結果 : 対策の効果 各段階の対策対策の組み合わせによるわせによるリスクリスク低減効果 ( 日本の感染者数感染者数の低減率 ) 順位対策低減率 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 食鳥の区分処理 + 生食割合の低減 + 塩素濃度管理の徹底 88.4% 食鳥の区分処理 + 農場汚染率低減 + 塩素濃度管理の徹底 87.5 食鳥の区分処理 + 農場汚染率低減 84.0 食鳥の区分処理 + 生食割合の低減 83.5 生食割合の低減 + 塩素濃度管理の徹底 78.7 生食割合の低減 69.6 食鳥の区分処理 + 調理時交差汚染割合の低減 + 塩素濃度管理の徹底 58.3 食鳥の区分処理 + 加熱不十分割合の低減 + 塩素濃度管理の徹底 55.9 食鳥の区分処理 + 調理時交差汚染割合の低減 48.7 食鳥の区分処理 + 加熱不十分割合の低減 44.1 調理時交差汚染割合の低減 + 塩素濃度管理の徹底 26.3 農場汚染率低減 + 塩素濃度管理の徹底 26.2 加熱不十分割合の低減 + 塩素濃度管理の徹底 21.6 調理時交差汚染割合の低減 9.4 農場汚染率低減 6.1 加熱不十分割合の低減 0.2 低減率は各指標各指標を 80% 低減させたさせた場合場合のリスクリスク低減効果低減効果を示している 19

カンピロバクターによる食中毒被害を受けないように 私たちができる対策 食生活では 鶏肉を 生食しない が最も効果的 加熱調理を徹底する (65 以上で数分 ) 生肉が他の食品に触れないようする 調理器具は熱湯消毒して乾燥させる 20