分教室授業研究会 事前研修

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3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント


1 対象児童 省略 2 児童の実態 省略 発達障害 情緒障害通級指導教室自立活動学習指導案 コミュニケーションに課題のある児童の指導 平成 30 年 11 月 6 日 ( 火 ) 第 5 校時 3 指導観これまでに通級指導教室では 落ち着いた環境の中で 精神的安定を図り 本来持っている能力を発揮し

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回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

第 9 章 外国語 第 1 教科目標, 評価の観点及びその趣旨等 1 教科目標外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う 2 評価の観点及びその趣旨

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

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必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

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ICTを軸にした小中連携

自己紹介をしよう

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

(2) 記録用サポートブックの作り方 記録用サポートブックは 一般様式 を使って書きます 一般様式 は 項目 本人の状況 支援方法 の 3 つの枠からできています 様式一般様式支援者 : 場所 : 日付 : < 項目 > 例 ) 話を聞く( 授業中 ) 使い ポイント 方 気になるな 困ったな と思

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

使用上の注意 はじめに ( 必ずお読みください ) この SIGN FOR CLASSROOM の英語の動画資料について 作成の意図の詳細は 2 ページ以降に示されているので できるだけすべてを読んでいただきたい 要約 このビデオは 聴覚障がいを持つ生徒たちに英語を教える時 見てわかる会話を表 出さ

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英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

自立活動の内容

教科 : 外国語科目 : コミュニケーション英語 Ⅰ 別紙 1 話すこと 学習指導要領ウ聞いたり読んだりしたこと 学んだことや経験したことに基づき 情報や考えなどについて 話し合ったり意見の交換をしたりする 都立工芸高校学力スタンダード 300~600 語程度の教科書の文章の内容を理解した後に 英語

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

5 単元の評価規準と学習活動における具体の評価規準 単元の評価規準 学習活動における具体の評価規準 ア関心 意欲 態度イ読む能力ウ知識 理解 本文の読解を通じて 科学 について改めて問い直し 新たな視点で考えようとすることができる 学習指導要領 国語総合 3- (6)- ウ -( オ ) 1 科学

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難聴児童の伝える力を 高めるための指導の工夫 -iPadを活用した取り組みを通して-

生徒用プリント ( 裏 ) なぜ 2 人はケンカになってしまったのだろう? ( 詳細編 ) ユウコは アツコが学校を休んだので心配している 具合の確認と明日一緒に登校しようという誘いであった そのため ユウコはアツコからの いいよ を 明日は登校できるものと判断した 一方 アツコはユウコに対して 心

授業概要と課題 第 1 回 オリエンテェーション 授業内容の説明と予定 指定された幼児さんびか 聖書絵本について事後学習する 第 2 回 宗教教育について 宗教と教育の関係を考える 次回の授業内容を事前学習し 聖書劇で扱う絵本を選択する 第 3 回 キリスト教保育とは 1 キリスト教保育の理念と目的

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

単元の目標 カレーライスを作ることに興味 関心をもち, 進んで活動する カレーライスの作り方を調べ, 作り方, 材料, 用具を発表することができる カレーライス作りの活動を通して, 食材を知ったり, 道具を使う仕事にふれたりして, 生活経験を豊かにする 人との関わりを通してコミュニケーション能力を身

6 年 No.22 my summer vacation. 1/8 単元の目標 主な言語材料 過去の表し方に気付く 夏休みの思い出について, 楽しかったことなどを伝え合う 夏休みの思い出について, 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり, 他者に伝えるなどの目的

資料5 親の会が主体となって構築した発達障害児のための教材・教具データベース

A Research on Can-do Abilities and Ways of Teaching across Korea, China, and Japan

いきたいと考える 第二に ビデオに撮ったインタビューの様子を繰り返し見て振り返ることで パターンに沿った質問だけでなく 自分なりの質問を考える活動に発展させていきたい そのために ビデオ視聴による振り返りを3 回行う また 自己評価だけでなく 他者評価により互いの良さを確認することで 話すことへの自

指導内容科目国語総合の具体的な指導目標評価の観点 方法 読むこと 書くこと 対象を的確に説明したり描写したりするなど 適切な表現の下かを考えて読む 常用漢字の大体を読み 書くことができ 文や文章の中で使うことができる 与えられた題材に即して 自分が体験したことや考えたこと 身の回りのことなどから 相

基本方針 これまでも幼稚園は幼稚園教育要領に 保育園は保育所保育指針に基づいた幼児教育 保育を展開してきた また 平成 20 年 3 月の大幅な改定により 3 歳児から5 歳児の教育に関する内容では整合性が図られている しかし 統一されたカリキュラムがないことで 幼稚園と保育園の内容に違いがあるかの

5. 評価規準評価の観点コミュニケーションへの関心 意欲 態度外国語への慣れ 親しみ言語や文化に関する気づき 主な評価規準 積極的に表情やジェスチャーを加えて 自分の思いを表現している 言葉だけでなく表情やジェスチャーを加えて コミュニケーションすることの大切さを知る 様々な感情や様子を表す表現に慣

5 年 No.64 英語劇をしよう (2/8) まとまった話を聞いて内容を理解することができる 主な言語料 して天気や日時などの確認をす 教 1 本時のめあてを知 Peach Boy を詳しく聞いてみよう物語を聞く (3 回目 ) 登場人物全体について聞かせ 聞き取れた単語をカタカナでもいいので書き

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

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平成15年度 家庭科 年間指導・評価計画

の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平

総合的な探究の時間 は 何を 何のために学ぶ学習なのか? 総合的な探究の時間 は与えられたテーマから みなさんが自分で 課題 を見つけて調べる学習です 総合的な探究の時間 ( 総合的な学習の時間 ) には教科書がありません だから 自分で調べるべき課題を設定し 自分の力で探究学習 ( 調べ学習 )

< 児童の実態 > 男子 23 名, 女子 12 名, 計 35 名の学級である 男女の仲がよく, 休み時間など活発に遊んでいる様子が見られる いろいろなことに興味を持ち, 集中して努力することができる 最上級生として, 学校の中での活躍も見られるようになっている 学習に対する意欲は高くなってきてい

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

看護部 : 教育理念 目標 目的 理念 看護部理念に基づき組織の中での自分の位置づけを明らかにし 主体的によりよい看護実践ができる看護職員を育成する 目標 看護職員の個々の学習ニーズを尊重し 専門職業人として成長 発達を支援するための教育環境を提供する 目的 1 看護専門職として 質の高いケアを提供

群教セ I01-08 平 集 特 情緒障害 中学校自閉症 情緒障害特別支援学級における人と関わる意識を高める支援の工夫 自己肯定感を高めるための振り返りと ソーシャルスキルトレーニングを通して 特別研修員田子賢一 Ⅰ 研究テーマ設定の理由 自閉症 情緒障害特別支援学級の生徒は 社会生活

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

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外国語活動の実践 外国語活動におけるコミュニケーションを大切にした活動の工夫 1 単元名 5 年数で遊ぼう ~ How many?~ ( 教材 Hi,friends! 1 文部科学省) 2 目標 積極的に数を数えたり, 尋ねたりしようとする 1~20の数の言い方や数の尋ね方に慣れ親しむ 言語には,

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

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高等部3年 社会学習指導案

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

TTのテーマ

案3                            ⑤なかまの誘い方(小学校低学年)

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6 指導計画 (7 時間扱い ) (1) 単元の 1: 字手紙 のねらいの確認と受取人決定指導計画 2: 手紙の基本知識の確認と書くことの内容の整理 3: 時候の挨拶作成 ひと文字練習と下書き 4: ひと文字練習と下書き 5: 相互評価 推敲 ( 本時 ) 6: 推敲および清書 7: 清書と宛名書き

特別な支援を必要とする 子どもの受け入れと対応


平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

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3 情緒障害 選択性かん黙等のある児童生徒については 情緒障害の状態になった時期や その要因などに応じて中心となる指導内容が異なります 例えば カウンセリング等を中心とする時期 緊張を和らげるための指導を行う時期 学習空白による遅れなどを補いながら心理的な不安定さに応じた指導を行って自信を回復する時

17 石川県 事業計画書

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

ている それらを取り入れたルーブリックを生徒に提示することにより 前回の反省点を改善し より具体的な目標を持って今回のパフォーマンスに取り組むことができると考える 同に そのような流れを繰り返すことにより 次回のパフォーマンス評価へとつながっていくものと考えている () 本単元で重点的に育成をめざす

学習者用デジタル教材リスト 国語 1 年 国語 1 年上コンテンツ上 8 あいさつをしよう 8 関連ページ 内容 趣旨など 場面の様子を想像する ( 音声付 場面や状況に合わせた言葉遣いの確認 ) 国語 1 年上 コンテンツ 上 10 じこしょうかいをしよう 10 場面の様子を想像する ( 音声付

4 展開計画 ( 全 5 時間 ) 時テーマ ねらい活動 内容使用教材 1 タンザニアを知ろう! No.1 アフリカの途上国 タンザニア という国について知る 興味を持ち どんな文化なのかどんな生活をしているのかを自ら調べようとする タンザニアについての基本的な情報を聞く ワークシートパワーポイント

4. 聴き取り調査の基礎技能聴き取り調査では面接の基礎技能である かかわり技能 と 傾聴技能 を主に用いることになります かかわり技能は 面接者が協力者との信頼関係を構築するために 観察を基礎とする身体的 心理的に関わる方法のこと 例えば 面接者が視線をあわせる行為 面接者が興味をもって聴いているこ


(2) 計画学習課題 学習内容 時間 連立方程式とその解 二元一次方程式とその解の意味 2 連立方程式とその解の意味 ( 本時 1/2) 連立方程式の解き方 文字の消去の意味 加減法による連立方程式の解き方 5 代入法による連立方程式の解き方 連立方程式の利用 問題を解決するために 2つの文字を使っ

Taro-H29 教育課程編成届3

会話の中では感覚的にそれほど 違い を意識して使っているものではないと考え 今回は 同じ can を用いての表現として一連の学習として扱うことにした また 語 学習得において 自分の表現したいこと がはじめにあり それを何とか表現しよ うとする過程を通して初めて自分の言葉として言語を獲得できるという

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県和歌山市 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

平成 29 年 10 月 23 日 ( 月 ) 第 2 校時尾道市立日比崎小学校第 6 学年 1 組外国語科指導者 HRT 遠崎且典 JTE 片山奈弥津 単元名 台湾の友達との交流を深めよう ~Welcome to Japan.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 異文化理

Transcription:

職員研修会 1 インリアル アプローチ学習会 日時 H22.4.20( 火 ) 15:30~ 場所 2 階学習室 1 ねらい コミュニケーションのアプローチ法や技法を学び 児童生徒の微細なサインを読みとる力を向上さ せ, 授業に生かす 2 インリアル アプローチについて (1) INREALの歴史 In-class Reactive Language therapy 1974: アメリカ ( クラスの中での反応的かかわりによる言語学習の推進 ) Inter Reactive Learning and Communication 1984: アメリカ ( 相互に反応しあうことで学習とコミュニケーションを促進する ) Inter Reactive Learning 1994: アメリカ (2) 日本におけるインリアル (1985: 日本 INREAL 協会 ) Inter Reactive Learning and Communication( 相互に反応しあうことで, 学習とコミュニケーションを促進する ) の略で, 相互的反応による, コミュニケーション能力の支援のこと 話し言葉だけではなく視線, 表情, 身振り等非言語行動もコミュニケーション行動としてとらえる インリアルでは, 子どもから始める力 ( 主導権 ) をもつことを目標にしているため, 大人からの開始を尐なくし, リアクティブ ( 反応的 ) にすることで, 子どもが始めるチャンスを与えていく 子ども自身が開始の効力, つまり応じてもらえることに気づくことがコミュニケーションに自信をもつきっかけになる そのためにまず, 子どもを取り巻くコミュニケーション環境を変えていくという発想の元に行われる この意味で大人は重要なコミュニケーション環境であり, 大人が自分の役割を自覚する必要を強調している (3) 基本理念 一人の人間として認め, その人のもつ潜在能力を信じ, 主体性を重視しようというごく当たり前のこ とを基本理念として掲げている 1) 自由な遊びや会話の場面を通じて 子どもの言語やコミュケーション能力を引き出そう 2) 規範のテストにとらわれず 実際のコミュニケーションの場面から子どもの能力を評価しよう 3) 子どもから遊びやコミュニケーションを始められる力を育てよう 4) 上記実現のためにセラピストの質を向上させよう (3) 特徴

1) ことばの獲得は ひとつの社会的特徴であり こどもは現実のコミュニケーションの体験を通じて言語の意味や使い方を学ぶ そのため インリアルでは ことばの遅れを持つ子どもをコミュニケーション障害としてとらえる 2) どんな子どももコミュニケーションをしようとしている存在である 話し言葉だけではなく視線 表情 身振り等非言語行動もコミュニケーション手段としてとらえる 3) 子どもは人との豊かなコミュニケーションの楽しさを経験することで コミュニケーションへの意欲や基礎的能力を育て 自分の持っている潜在能力を十分発揮できるようになる 4) ことばについては表象機能だけでなく 言語が人との相互作用のための媒介として持つ伝達機能も重視する また 自発的 機能的使用や文脈 場面での適切な使用といった観点も含めて評価 指導する 5) コミュニケーションの指導には 問題を持つ子どもだけではなく もう一方の担い手である大人の要因も相互客観的に評価する このためにかかわりの場面をビデオに録画し 分析シートを用いて大人のかかわりや言葉かけが適切なものであるかを検討していく (4) コミュニケーションの原則 1) 子どもの発達レベルに合わせる 2) 会話や遊びの主導権を子どもに持たせる 3) 相手が始められるように待ち時間を取る 4) 子どものリズムに合わせる 5) ターンテーキング ( やりとり ) を行う 6) 会話や遊びを共有し コミュニケーションを楽しむ (5) 大人の基本姿勢 SOUL Silence( 静かに見守ること ) 子どもが場面に慣れ, 自分から行動を始められるまで静かに見守る Observation( よく観察すること ) 何を考え, 何をしているのかよく観察する コミュニケーション能力 情緒 社会性 認知 運動などについて能力や状態を観察する Understanding( 深く理解すること ) 観察し, 感じたことから, 子どものコミュニケーションの問題について理解し, 何が援助できるか考える Listening( 耳を傾けること ) 子どものことばやそれ以外のサインに十分, 耳を傾ける (6) 大人のことばかけ ( 言語心理学的技法 ) 1) ミラリング子どもの行動をそのまままねる 2) モニタリング子どもの音声や言葉をそのまままねる 3) パラレル トーク子どもの行動や気持ちを言語化する 4) セルフ トーク大人自身の行動や気持ちを言語化する

5) リフレクティング子どもの言い誤りを正しく言い直して聞かせる 6) エキスパンション子どもの言葉を意味的 文法的に広げて返す 7) モデリング子どもに新しい言葉のモデルを示す 3 インリアル アプローチの具体的方法 基本姿勢の確率ビデオ録画 ( ビデオ録画に慣れる ) マクロ分析 ( 大人のかかわりを中心に評価 ) 目標設定 (SOULを中心に目標設定 ) 子どもの問題に応じたかかわりの確立ビデオ録画 マクロ分析 ( 子どもの言語 コミュニケーションの問題を評価 ) ミクロ分析 ( 子どもと大人の両者の行動分析, ことばかけの分析 さまざまな障害やコミュニケーションの問題に合わせた治療的アプローチ * マクロ分析 : ビデオ画面全体を通して, 大人と子どものコミュニケーションが成立しているかどうかを基本に見ていく 大人の基本姿勢が守られているかといった大人側の評価や, コミュニケーション能力を中心とした子ども側の評価を行う * ミクロ分析 : ビデオ場面の一部を取り出し, 子どもと大人の行動や言葉を時間軸に沿って書き出したトランスクリプト ( 継時的記録 ) を作成して行う 大人の具体的な言葉かけの適切性やそれが子どもにどう伝わったかなどを細かく検討する (1) マクロ分析シート 評 価 目標設定 場面設定 A さん 教 師 音のする方向を見ようとする 言葉の統一ができている 教師の動きに視線を向けることがある 言葉をかけてから反応を十分に待つことができ 活動の後に笑顔や発声が見られる ている 教師の動きを感じて笑顔になることがあるが, 右側からアプローチして, 右手の動きを見逃す 要求表現には達していない ことがある 人を意識してはいるが, やりとりには至って 自発的な動きに対して言語で気持ちを代弁する いない ことが尐ない 好きな活動の中で教師との遊びを通して, 遊びの楽しさや人とかかわる楽しさを経験する 教師からの働きかけに気づく 腕の動きや発声による伝達手段を知る 歌に合わせた手遊びやかけ声に合わせたゆらゆら遊びをする 生徒の表情や動きをよく観察する 腕の動きや発声に気をつけながら, タイミングよく言葉をかける 自発的な動きに対して, 気持ちを言語化して返す 具体的方法 SOULを守る はっきりとした口調でゆっくりと言葉をかける 言葉をかけてから尐し間をおき, 表情の変化や発声 腕の動きをよく見る 活動の始まりと終わりをはっきりさせる

< 大人側の評価 > 1あなたは反応的にかかわっていますか 子どものリズムに合わせていますか 子どもの開始を待っていますか 子どものすることをよく見ていますか 子どものことばに耳を傾けていますか 子どもの意図や気持ちをよく理解していますか 2 子どもと遊びを共有していますか 子どもと同じ遊びを共有していますか 子どもとの遊びを楽しんでいますか 子どもが考えられるよう待っていますか 遊びが発展できるようなモデルを示していますか 3 子どものレベルに合ったことばかけをしていますか 指示的( 命令 禁止 質問 ) ことばかけが多すぎませんか 子どもを認めることばをかけていますか 早口ではありませんか ことばが多すぎたり, 長すぎませんか 子どもにわかりやすい内容ですか 4 楽しい雰囲気を提供していますか 表情豊かに楽しそうにかかわっていますか ジェスチャーや指さし等を使ってことばの理解を助けていますか 声は大きすぎませんか( 威圧感を与えていませんか ) 声は小さすぎませんか( よく伝わっていますか ) (2) ミクロ分析シート 指導年月日 H16.10 ビデオ録画 2 回目 何をやるの? 大人の氏名と子どもの関係佐藤美奈子 分析年月日 H16.11.02 カウンターナンバー 担任教師 伝達意図 A さん ( トランスクリプト ) 教師伝達意図適切な反応の例 教師の動きをじっと見ている ゆらゆらやる? と言う ゆらゆら遊びやろうか? やりたいよ! しばらくして笑う やるよ と言い抱っこして揺らす やりたいんだね やるよ 楽しいね 笑う もう一回ゆらゆらやる? と言う 楽しかったんだね またやってみようか もっとやりたい! 右手を伸ばす やろうね と言い抱っこして揺らす やりたいんだね やるよ 楽しかった もっとやりたいよ 笑う 右手を伸ばす 楽しいね と言う 楽しかったんだね 楽しかったんだね もっとやろうね

5 コミュニケーション発達の理解 (1) コミュニケーションの段階 1) 聞き手効果段階 ( 発達年齢 :0ヶ月 ~10ヶ月 ) < 特徴 > 自分の行動に対する効果を知り, その結果に興味をもって関わるようになる うまく伝わることの成功感や楽しさを味わう コミュニケーションのスタイルを学ぶ( 交代で話す, 相手の意図を理解する, やり取りを続けようとする ) 物の永続性( 物が見えなくなっても存在し続けるということ ), 因果関係 ( ~したら~になった といった関係 ), 手段 - 目的関係 ( ある目的を達成するために何らかの媒体を利用すること ), 三項関係 ( 自分と何らかの物と相手といった関係の理解 ) などコミュニケーション発達を支える認知的な課題を獲得する 2) 意図的伝達の段階 ( 発達年齢 :10ヶ月 ~12ヶ月 ) < 特徴 > 伝達の目的が尐なくとも2つに分化していく 原命令 物 や サービス を手に入れるために 人を使う ような内容の手段 ( 取って やってちょうだい 等を意味するもの) 原平叙 人の注意 を自分に向けさせるために 物 を使うような内容の手段 ( こっち向いて 見て 等を意味するもの ) 伝達手段を複合化して, 時間差で使えるようになる 視線( 誰に ) + 発声( 何を ) + 行為( どうする ) が時間差( 例えば, 声を出してから指差しをする 等 ) で使える 視線 発声 や 行為 のそれぞれが徐々にことばに置き換わっていく 社会的な伝達手段を用いるようになる 渡す, 見せる, 指さすといった社会的な身振りを獲得する 3) 命題伝達の段階 ( 発達年齢 :12 ヶ月 ~16 ヶ月 ) 意図的伝達の段階に見られた伝達手段に単語 ( ことば ) が加わる (2) コミュニケーション評価 < 観点 > 1) 志向性 : コミュニケーション発達の基礎となる内容であり, 本人の要求や関心の向く方向性 2) 理解 : ことばや身振りの理解の様子 3) 表出 : ことばや身振りによる表出の様子 4) 学習の基礎 : 集中力, 注意力, 持続力といった, 学習の基礎となる力 5) 主な認知発達 : 物の永続性, 因果関係, 手段 - 目的関係といったコミュニケーション発達との関係が深いとされる内容を理解しているかどうか 参考 引用文献 : インリアル アプローチ ; 竹田契一, 里見恵子 (1994) 障害の重い子どものコミュニケーション評価と目標設定 ; 坂口しおり (2006)