( S ( ) ) - S ( t ) = F w () 時間領域 S (t) では, 送信アンテナからの直接波とグランドプレーンや周囲の反射物による反射波が受信アンテナに到達する様子を時系列で確認できる STEP- 時系列で示された直接波と反射波はその到達時刻で分離することが可能となる ここでは単

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( S ( ) ) - S ( t ) = F w () 時間領域 S (t) では, 送信アンテナからの直接波とグランドプレーンや周囲の反射物による反射波が受信アンテナに到達する様子を時系列で確認できる STEP- 時系列で示された直接波と反射波はその到達時刻で分離することが可能となる ここでは単純にグランドプレーンからの反射波が到達する時刻以降の振幅をゼロに置き換えることにより, 直接波成分のみの S direct (t) とする STEP- このS direct (t) に, 式 () で示すフーリエ変換を行い, 周波数領域 S direct (ω) を得る ( S ( ) ) S ( w ) F t direct = direct () 送信アンテナ EUT 図 受信アンテナ α グランドプレーン EMI 測定の配置 m~m STEP-から STEP-までの操作を 本のアンテナを使用するアンテナ法で行い, 通りの送受信アンテナの組み合わせによる S direct,ij (ω) ( i,j =,,, i j) を得る STEP- 式 () を用いてそれぞれの位置の自由空間 AFα i を算出する ) 送信側 受信側 () () () () AF α i = jh e Z l ds - jb d S direct, ik direct, jk ( w ) S ( w ) direct, ji ( w ) () 直接波 ( i, j, k =,,, i ¹ j ¹ k ) 反射波 d : それぞれの一のアンテナ間距離 h : 真空中の波動インピーダンス Z : 測定系のインピーダンス b : 自由空間の端数 (= π/λ) 図 AFα の評価配置 ここで, 元の配置 ( 図 ) に戻して考えると, 図 においてアンテナの偏波面を垂直で測定した結果は本来の水平偏波の AFα h, 水平偏波で測定した結果は本来の垂直偏波の AFα v となる. AFαの検証 AFα の検証にはアンテナの取扱説明書 ),6) に示されて いる水平方向でアンテナを回転させた時の指向性から AFαを求め比較する この時,E 面の指向性から得た値は垂直偏波時の AFα h に,H 面の指向性から得た値は水平偏波時の AFα v となる 表 評価したアンテナ No. メーカ型番周波数範囲 A A A A Schwarzbeck Mess-Elektronik Schwarzbeck Mess-Elektronik Schwarzbeck Mess-Elektronik UBAA9 + UBAA9 VHA9 +BBA96 A EATON 96 UHALP98A MHz ~ MHz MHz ~ MHz MHz ~ MHz MHz ~ MHz 実験. 使用機器と実験配置表 に示す 種類 本のアンテナについて評価した アンテナ法で行うため, グループ(A,A,A ), グループ(A,A,A ), グループ(A,A,A ) の グループを構成した VNA はアンリツ製 MS66A を用い, 受信帯域幅 khz, ポイント数 点で測定した VNA のキャリブレーションは, アンテナのバランホルダと接続するケ ーブルの端点で行った 送信アンテナと送受信アンテナの距離は, 図 中の () の位置で m, グランドプレーンからの高さは 6m に設定した. 実験結果アンテナ A および A ~A の AFαの結果を図 ~6 に示す アンテナ A と A については取扱説明書に示されている指向性データから図 中の受信アンテナの位置 - P -

() に相当する回転角の時の値を読み取り, 図, 中に示す 実験結果は図 中の受信アンテナの位置 ()~() のそれぞれの設定でメーカの値とほぼ一致しており, 今回の評価方法は有効であると考える.. 水平偏波図 中の受信アンテナ位置 () の AFαと位置 ()~() の各位置の AFαとの差分をΔAFαとする バイコニカルアンテナの A と A は図 (a), 図 (a) に示すようにΔAFα であり,EMI 測定の基準アンテナのダイポールアンテナと整合がとれている 一方, ログペリオディックアンテナの A と A は図 (a), 図 6(a) で示すように, 図 中の位置 () から位置 () へ移動すると ΔAFαは大きくなり, 仰角 αが大きくなると感度が悪くなることがわかる 例えば, アンテナ A のΔAFαは, 周波数 MHzの時に位置 () では db, 位置 () では.8dB, 位置 () では.6dB である また, 位置 () の時のΔAFαをアンテナ A ~A 間で比較すると, 周波数 MHz の時は, バイコニカルアンテナ A は.dB,A は.dB であるのに対し, ログペリオディックアンテナ A は.dB であり, 周波数 MHz の時は,A は.dB,A は.dB に対し,A は.9dB, A は.dB, 周波数 6MHz の時は,A は.dB,A は.dB,A は.dB であった アンテナの違いによって ΔAFαに差があることがわかる 今回の評価では, ログペリオディックアンテナのΔAFαの最大値はおよそ db であった.. 垂直偏波全てのアンテナで仰角 αが大きくなるとδafαは大きくなっている 基準となるダイポールアンテナについてΔAFαをエレメント長の影響を無視して単純に cosα で近似すると, 図 中の位置 () と位置 () のΔAFαは db となる それに対して実験値は, 周波数 MHz の時は, A は.dB,A は.6dB,A は.dB であり, 周波数 MHz の時は,A は.8dB,A は.6dB,A は.dB, A は 6.dB, 周波数 6MHz の時は,A は.9dB,A は 7.dB,A は 7.7dB であった バイコニカルアンテナの ΔAFαの最大値はおよそ 6dB, ログペリオディックアンテナのΔAFαの最大値はおよそ 8dB であった また, バイコニカルアンテナの A と A は図 (b), 図 (b) でアンテナの有効周波数の上限付近で AFαが収束する傾向がみられる 指向性パターンの変化に起因するものと推測するが, 今後検討する EMI 測定結果への影響についての考察ここで,AFαが実際の EMI 測定結果に及ぼす影響について考察する () () () () 6 6 () () () () 6 8 6 8 (a) 水平偏波 (b) 垂図 バイコニカルアンテナ UBAA9+BBVU9 の AFα Frequency (a) 水平偏波 (MHz) (b) 垂図 バイコニカルアンテナ VHA9+BBA96 の AFα - P -

6 8 6 8 (a) 水平偏波 (b) 垂直偏波 図 ログペリオディックアンテナ UHALP98A の AFα () () () () 6 8 () () () () 6 8 (a) 水平偏波 (b) 垂直偏波 図 6 ログペリオディックアンテナ 96 の AFα m m 6 8 6 8 図 7 最大値を記録する受信アンテナの高さ 図 8 最大値を記録する受信アンテナの高さ ( 送信アンテナ高さ m, 水平偏波 ) ( 送信アンテナ高さ m, 垂直偏波 ) m m 図 で EUT を送信アンテナに置き換え, その高さを m に固定する 受信アンテナを高さ m から m まで移動させた時のサイトアッテネーションの計算で, 受信レベルが最大となる受信アンテナの高さ (h_max) の理論値は, 水平偏波は図 7, 垂直偏波では図 8のようになる. 水平偏波, 距離 mの場合バイコニカルアンテナ A と A はダイポールアンテナと等しくΔAFα であるので結果には影響しない ログペリオディックアンテナの場合,h_max=m の時はα= で影響は無い h_max>m となる場合,ΔAFα - P -

であるので検討する 例えば, 周波数 MHz の時, h_max=.6m であり, この時のΔAFαは,A はおよそ.6dB,A はおよそ.dB である h_max の高さで測定したとすると, ダイポールアンテナでの測定値よりもそれぞれのΔAFα 分低い値となる. 水平偏波, 距離 mの場合バイコニカルアンテナ A と A はΔAFα であるので距離 m の時と同様に結果には影響しない ログペリオディックアンテナの場合,h_max=m の時はα= で影響は無い h_max>m の場合, 例えば, 周波数 9MHz では,h_max=.9m で, この時のΔAFαは, A はおよそ.dB であり,A はおよそ.6dB である h_max の高さで測定した場合, ダイポールアンテナと比較した時にΔAFα 分の差が生じる 図 9に示したこの時のハイトパターンによると, 高さ.9m と m の減衰量の差はわずか.dB である アンテナ位置を高くすると AFαが大きくなりアンテナの感度が悪くなるため, 高さ m で測定した値が最大値となることが考えられる. 垂直偏波, 距離 mの場合図 8の計算結果から周波数 MHz と 6MHz の場合について検討する MHz の場合,h_max は.78m となる この時のダイポールアンテナのΔAFαは.dB と計算される これに対して, アンテナ A のΔAFαはおよそ.7dB,A は.dB,A は.6dB であり,h_max で測定した場合, アンテナ A と A との比較では約 db の差が生じ, ダイポールアンテナと A との比較では.dB の差となる 6MHz の場合,h_max=.78m で, この時のダイポールアンテナのΔAFαは.dB になる アンテナ A の ΔAFαはおよそ.dB,A は.6dB,A は.dB である 図 に示したこの時のハイトパターンによると, 高さ.78m と m の減衰量の差は.8dB であるため, ダイポールアンテナとアンテナ A を用いた測定ではおよそ h_max 付近で, アンテナ A と A を用いた測定では高さ m の時の値を最大値とすることが考えられる アンテナが異なると最大値を観測する高さが大きく異なる場合が想定される. 垂直偏波, 距離 mの場合図 8から周波数 MHz の場合について検討する MHz の時の h_max は.96m で, この時のダイポールアンテナのΔAFαは.dB になる アンテナ A の ΔAFαはおよそ.7dB,A は.6dB,A は.dB である h_max で測定した場合, アンテナ A と A では.dB の差が生じ, ダイポールアンテナと A との比較では.7dB の差となる まとめ EMI 測定用広帯域アンテナの仰角指向性の評価方法とその評価結果について検討を行い, 以下の結果を得た () 提案する評価方法で得られた特性値はメーカの提示 図 9 ハイトパターン (9MHz, 送信側高さ m, 送受信間距離 m, 水平 ) - - Attenuation (db) - - - - Attenuation (db) 図 ハイトパターン (6MHz, 送信側高さ m, 送受信間距離 m, 垂直 ) する指向性とほぼ一致し, 提案手法に妥当性がある () 測定距離 m で, 受信アンテナの高さが m の時と m の時の AFαの差は, 水平偏波ではバイコニカルアンテナはおおむね db であるのに対し, 評価したログペリオディックアンテナは最大 db 程度である 垂直偏波ではバイコニカルアンテナが最大およそ 6dB, ログペリオディックアンテナは最大およそ 8dB であった () この仰角指向性が EMI 測定結果に及ぼす影響は, 電界強度レベルで db 程度と見積もる また, 電磁波ノイズの最大値を測定する受信アンテナの高さはアンテナによって異なることが考えられる 参考文献 ) 輕部俊幸, 黒川悟, 廣瀬雅信. タイムドメイン処理を用いたアンテナ法による広帯域バイコニカルアンテナのアンテナ係数の導出. 信学ソ大.B--6,p.99, Sep.7 ) 輕部俊幸, 黒川悟, 廣瀬雅信. タイムドメイン計算法を用いた広帯域バイコニカルアンテナの自由空間アンテナ係数の導出. 長野工技センター研報 No.,p.P-P6, (8) ) 黒川悟, 廣瀬雅信, 小宮山耕二. 時間領域 アンテナ - P -

法によるログペリオディックアンテナの自由空間アンテナ係数測定. 信学ソ大.B--7,p., Sep.7 ) S.Ishigami, H.Iida, T.Iwasaki. Measurements of complex antenna factor by the near-field -antenna method. IEEE Trans. Electromagn. Compat., vol.8,no., -, (996) ) Schwarzbeck Mess-Elektronik VHA9B 取扱説明書 6) Schwarzbeck Mess-Elektronik UHALP98A 取扱説明書 - P 6 -