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Transcription:

認知症アセスメントシートの紹介 ~ 認知症高齢者へ使用してみて ~ セージュ新ことに リハビリテーション課大羅佳代

認知症アセスメントシート 日本作業療法士協会にて作成 在宅で生活している認知症高齢者 その家族にとってよりよい生活を行うためのケアプランにつなげる目的 第 版まで完成

使用方法 各項目について 4 段階の評価をする IADL 基本動作 移動能力 4 6 物盗られ つじつまの合わない話 7 日内リズムの障害 8

項 目 点 点 程 点 度 点 小計 合計 4 6 7 8 基本動作および移動能力 物盗られ つじつまの合わない話 洗濯 自立 一部介助 半介助 全介助 買い物 自立 一部介助 半介助 全介助 9 がある 徘徊 異食 放尿 放便 弄便 盗られ妄想 作話 ( つじつまの合わない話 ) 日内リズムの障害 せん妄 火の取り扱い 移動 独歩 杖 歩行器 平行棒 他者とのトラブル 暴力 暴言 破壊行為 言いがかりや説明に対する否定 ゆがんだ解釈 まとわりついたり 同じ質問を何度も繰り返す 収集癖 物隠し 幻覚 自立 立位保持 できる 掴まって自立 他者介助で可能 できない 立ち上がり できる 掴まって自立 他者介助で可能 できない 4 自立 一部介助 一部介助 嚥下障害 食事形態 普通食 キザミ 極キザミ ペースト 半介助 半介助 全介助 全介助 4 食事動作 自立 一部介助 半介助 全介助

認知症の類型化 基本動作及び移動能力 物盗られ つじつまの合わない話 系列

B: とりつくろい 穏やかタイプ IADL の低下が目立つ 身体機能面もほとんど問題ないが 時折杖歩行 介助歩行など不安定な方もいる コミュニケーションもさほど問題なく行なえることが多い ただ 記憶障害 見当識障害 遂行機能などの低下が次第に見られてきており それらの機能を求められる場面以外では特に問題なく穏やかに過ごしているが 在宅やデイケア場面などで必要以上に能力を求められたりすることで 不安が強くなったり うろうろと動き回ることもある しかしトラブルに発展することは少ない MMSE は 点台 ~ 点台が半数以上

A: ちょっとした物忘れタイプ 物盗られ つじつまの合わない話 認知症の類型化 基本動作及び移動能力 系列 境界認知症のタイプ ADL はほとんどの方が自立しているが IADL の自立度には個人差がある 作業活動や レクなどにはほぼ興味を持って参加している 特に問題があるわけではないが よく分かっている分 周囲の状況で不安になることもある MMSE も 点以上が半数以上を占める 要介護度は未申請 ~ 要支援 レベルが多くを占める 基本方針 : 本人の希望 興味を把握しできることはどんどんして もらう 生活リズムの整備 調整に重点を置く

C: 体は元気 不安の強いタイプ 物盗られ つじつまの合わない話 認知症の類型化 基本動作及び移動能力 系列 IADL の低下は著明 ADL も食事と移動以外は中等度に障害されている が強く それに伴う落ち着きのなさや何度も同じことを確認してくるなどの行為が目立つ 自分なりに色々と考え事を巡らせている様子だがまとまらず さらにを強めている 生活リズムの崩れは少ない 落ち着いている時はコミュニケーションも取れる MMSE は 点台前後が半数を占める 基本方針 : 介護拒否 帰宅要求などの問題行動への対処をチーム で話し合う 対応のコツを捉え 関わる物全て統一し てあたる 事故の予防策も必要

D: 周囲との摩擦が多いタイプ 物盗られ つじつまの合わない話 認知症の類型化 基本動作及び移動能力 系列 認知症で最も頻繁に現れるタイプ 周囲の関心はかなり低下しており コミュニケーションも取りにくいことが多い その為トラブルは頻発 体は元気な事が多いので徘徊は多く 精神世界をイメージする事が難しい 異食やトイレ以外での排泄も見られる事がある ケアへの拒否も強い ADL は移動と食事以外は介助の度合いが大きい MMSE は一桁がほとんど 基本方針 : 理屈が通らない事が多いので 刺激になる人 物 声などは極力なくす 集団への拒否がある場合は

E: 体も弱って 混乱も強いタイプ 物盗られ つじつまの合わない話 認知症の類型化 基本動作及び移動能力 系列 C タイプから認知症状が進行し さらに生活リズムの崩れが出現し始めている状態 せん妄や昼夜逆転による覚醒度の変動があるが じっとしているということもなく ぼやーっとした意識状態で動くことで転倒も増えてくる から来る訴えもあるが よほど本人の理解が得られないとコミュニケーションも取れないことが多くなってくる 昼夜に不安定な歩行で歩くことなどもあり 介護者の心身の負担感も大きくなることが予想される MMSE は ~ 点半ばと範囲が広い 基本方針 : 転倒への人的 環境的配慮が必要

F: ひっそり ごそごそタイプ 物盗られ つじつまの合わない話 認知症の類型化 基本動作及び移動能力 系列 ADL IADL 関連は食事は若干自立している方もいるが ほぼ全ての動作において半介助 全介助が必要 車椅子使用者も多い しかし 寝たきりではないので動こうとしたり 知らない間に動いているということもある が悪く 食形態の配慮や食事介助のときに注意を要する方もいる 自発性が低下しており 関わりが少ないとウトウトしていることも多い MMSE は一桁がほとんど 基本方針 : 精神機能低下に対する関わり ベッド周囲の環境 調整が必要 認知症以外の疾患に注意 特に廃 用症候群に陥りやすい状況なので注意

症例 主病名 : アルコール依存症 晩発性アルツハイマー型認知症年齢 :68 歳現病歴 :H 年 月 4 日 太田病院より当施設へ入所 短期記憶 見当識が著明に低下しているが身体面 日常生活において大きな問題は見られない 徐々に認知面は低下してきており 徘徊やトイレ以外での排泄 他者とのトラブルなども増えてきている 薬物コントロールが必要 HDS-R は 点 ( 入所時は 点 )

基本動作および移動能力 項 火の取り扱い 目 移動 独歩 杖 歩行器 平行棒 点 洗濯 自立 一部介助 半介助 全介助 買い物 自立 一部介助 半介助 全介助 8 自立 立位保持 できる 掴まって自立 他者介助で可能 できない 立ち上がり できる 掴まって自立 他者介助で可能 できない 自立 点 一部介助 一部介助 程 点 半介助 半介助 度 点 全介助 全介助 小計 合計 他者とのトラブル 暴力 暴言 破壊行為 言いがかりや説明に対する否定 ゆがんだ解釈 4 4 がある 徘徊 7 まとわりついたり 同じ質問を何度も繰り返す 6 7 8 物盗られ つじつまの合わない話 異食 放尿 放便 弄便 収集癖 盗られ妄想 作話 ( つじつまの合わない話 ) 物隠し 日内リズムの障害 せん妄 幻覚 嚥下障害 食事形態 普通食 キザミ 極キザミ ペースト 食事動作 自立 一部介助 半介助 全介助

認知症の類型化 基本動作及び移動能力 IADL で突出した傾向 移動能力は保たれており 日内リズムの崩れはない 物盗られ つじつまの合わない話 系列 C の 体は元気 不安の強いタイプ

ケアのポイント 周囲の状況の変化や出来ないことへの混乱が強まる 本人の納得のいかない制止は 思い込みを強めることも 個人で対応すると負担が 皆で統一したケアを 活動のポイント 活動に落ち着いて参加することが難しくなってくる 安心感や居場所作りを心がけ さりげなく隣で得意作業をしていると意欲を見せることもある 活動提供方法の工夫をする

症例 主病名 : 老年性認知症年齢 :97 歳現病歴 : 平成 8 年 月 6 日 一般病院より当施設入所 すでに認知症の進行あり 不穏 奇声 暴言 暴力がみられた 穏やかな時は日常会話レベルも可能だが 事実と異なることが多い 歩行は困難にて車椅子使用 他 ADL も全介助から部分介助レベル 肺炎で入院後さらに身体機能の低下がみられ 排泄は二人介助レベルとなっている HDS-R は実施困難

4 基本動作および移動能力 程 度 項目小計合計 点 点 点 点 洗濯 自立 一部介助 半介助 全介助 買い物 自立 一部介助 半介助 全介助 9 火の取り扱い 自立 一部介助 半介助 全介助 立位保持 できる 掴まって自立 他者介助で可能 できない 立ち上がり できる 掴まって自立 他者介助で可能 できない 7 移動 独歩 杖 歩行器 平行棒 自立 一部介助 半介助 全介助 他者とのトラブル 暴力 暴言 破壊行為 6 言いがかりや説明に対する否定 ゆがんだ解釈 がある 徘徊 4 まとわりついたり 同じ質問を何度も繰り返す 異食 放尿 放便 弄便 収集癖 6 物盗られ つじつまの合わない話 盗られ妄想 作話 ( つじつまの合わない話 ) 物隠し 7 8 日内リズムの障害 せん妄 幻覚 嚥下障害 食事形態 普通食 キザミ 極キザミ ペースト 食事動作 自立 一部介助 半介助 全介助

認知症の類型化 基本動作及び移動能力 IADL 基本動作および移動能力 の項目でやや突出した傾向 物盗られ つじつまの合わない話 系列 E の 体も弱って 混乱も強いタイプ

ケアのポイント 生活の乱れ 身体ケアの増加が見られる 活動のポイント 感覚的活動 ( 音楽 映画 ) は導入しやすい 混乱が強く落ち着きがなければただ側に居るだけでもいい 集団を遠巻きに眺める事もいい 事前に好みを調べておくと良い 体操 軽作業 ( 口出し 見る含め ) 等

まとめ メリット 在宅生活の認知症高齢者とその家族のために作られたもの 様々な職種の共通言語として使いやすい 認知症高齢者の総合的な能力評価ができ 方針が立てやすい 継時的な変化を追いやすいデメリット 典型例に当てはまらない場合がある

考察 類型化項目の点数化が難しい 質問紙法が対象とならない方 精神疾患を併せ持っている方にも使用できる 典型例に無理やり当てはめるのは危険 類似した典型例がない場合 無理に当てはめない イメージ作りが目的今後は 継続して使用し 問題点等ないか検討