比治山大学紀要 第 21 号 2014 Bul. Hijiyama Univ. No.21, 2014 233 食事バランスガイド を踏まえた栄養バランスのとれる 食事づくりのための 献立の型紙 づくり The Way to Make Patterns of Menus with The Japanese Food Guide Spinning Top for The Diet Counseling. 小田 光子 杉 菜摘 佐名木由美子 横山しつよ 丹羽 真理 Mitsuko ODA, Natsumi SUGI, Yumiko SANAGI, Shitsuyo YOKOYAMA and Mari TANBA The Japanese Food Guide Spinning Top is has Been promoted by the Japanese Ministry of Health, Labor and Welfare and the Japanese Ministry of Agriculture as a tool to teach people how to choose a well balanced diet in recent years. Furthermore, many people are getting interested in cooking unsexualy. Thus, the government tried to create strategies to promote the patterns of menus for people who do not know how to choose a well balanced diet. As a result, the government formed models of balanced diets as examples. Also, the models are described using SV which is used the Japanese Food Guide Consequently, the relationship between diners and the people who provide meals is growing closer than before. Also, the Japanese Food Guide Spinning Top will be used more the food industry and the field of education. 緒言 2000年3月 厚生労働省 農林水産省 文部科学省の3省で策定した 多様な視点からの望ましい 食生活のあり方を示した 食生活指針1 の普及を図るため この指針を具体的な行動に結びつける ための実践ツールとして 2005年6月 日本版フードガイド 食事バランスガイド 2 が策定された この 食事バランスガイド は 喫食者が料理を選択する際 必要なエネルギー量を摂取し 栄養バ ランスのとれた食事をする上で分かりやすいツールとして 栄養相談 栄養教育等に広く活用されて きた 2012年12月 全国20歳以上3,000人を対象とした 食育に関する意識調査 3 によると 食事 バランスガイド 2 を活用している人は33.2 と 数ある指針のうち最も高率で 喫食者が栄養バラ ンスのとれた自分にあった量の料理を選択する上で大きな成果を挙げてきた 一方 近年のグルメ志向の風潮がある中で料理番組も引きを切らず放送され 男女を問わず料理づ くりに興味関心をもつ人が増える傾向にある こうした状況から わが国における健康的な食の推進を図るためには 何をどれだけ組み合わせて 食べればよいかを知って栄養バランスよく料理を選択できる力に加え 健康づくりのための栄養バラ ンスのとれた料理が作れる力を養う必要がある このため 栄養士 管理栄養士が栄養の指導を行う際 広く普及している喫食者のための料理の選 択ツール 食事バランスガイド 2 と連動した 献立の型紙 を作成し これに基づいたメニュー の提示や提供を行いながら指導すれば どのように食品を組み合わせれば栄養バランスの取れた料理
234 小田 光子 杉 菜摘 佐名木由美子 横山しつよ 丹羽 真理 ができるか具体的に教示できるため 栄養バランスの良い料理を作るための基礎知識 技術の習得に つながり 健康づくりのための栄養バランスのとれた料理づくり力が醸成できる しかし これまで 早渕仁美らの 日本人の食事摂取基準 2010年版 に基づく食事バランスガイドのサービング数設 定方法の検討 4 や 料理の組合せ方からみた食べ方 評価のための料理分類方法 5 に関する検 討はなされているものの 食事バランスガイド 2 と連動した栄養バランスのとれた料理づくりの ための 献立の型紙 は検討されていない そこで 栄養バランスのよい料理を選択できる力に加え 栄養バランスのとれた料理づくり力の醸 成につながる 簡単で活用しやすい 献立の型紙 の作成を試みた 方法 2011年11月19日 社 栄養士会主催の栄養士 管理栄養士を対象とした栄養ケア ステーション人 材登録研修会に 献立作成のあり方 に関する講演を依頼されたのをきっかけに 栄養バランスのと れた料理を作る力の醸成や栄養士 管理栄養士の指導に役立てられる資料とするべく 広く普及して いる喫食者のための料理の選択ツール 食事バランスガイド 2 と連動した 献立の型紙 6 の検 討を試み発表した この検討に当たっては 日本人の食事摂取基準 2010年版 7 を参考とした ため 今回 2014年3月発表の 日本人の食事摂取基準 2015年版 8 に基づき 前述の人材登録 研修会で発表した 献立の型紙 6 に再度検討を加え 今回の 献立の型紙 を作成した 作成方 法を以下に示す 1 献立の型紙 の表記法 献立の型紙 は 食事バランスガイド 2 の料理区分に食材となる食品群を括弧書きで付記し て表すこととした 朝 昼 夕の3食ごとに摂取する料理区分としては 食事バランスガイド 2 のとおり主食 米 ご飯 パン 麺 主菜 肉 魚 卵 大豆とその製品 副菜 野菜 きのこ 芋 海藻 とした また その他1日で摂取する料理区分として 牛乳 乳製品 果物を加え5項目とし た さらに 食材であって料理でないため 食事バランスガイド 2 に示されていない油脂類につ いては 料理する上で重要な食材であり 脂質の過不足を避ける上でも重要な食品群であるため こ の1項目を追加区分した 2 献立の型紙 のエネルギー目標量 献立の型紙 のエネルギー目標量は 食事バランスガイド 2 の基本形2,000±200kcalとした 3 献立の型紙 の料理区分 食品群 別の目標値の設定 使用食品の数量が明示されていないと 料理づくりにつながらないため 献立の型紙 とはならず 献立の栄養価等の算出や献立の標準化も不可能なため 使用食品群として数量を明示する必要がある そこで 標準的な給与量として米国等で用いられているServingの概念を用いて策定された 食事 バランスガイド 2 で示されている単位Serving 以下 SV つ に基づき 料理区分 食品群 別に1食分の重量を換算して 目標値の設定を試みた 目標値には 献立の型紙 として必要な重 量だけでなく 食事バランスガイド 2 に基づいた栄養指導がしやすいようにSV つ 量を併記す ることにした 各料理区分 食品群 別に1食分の重量を換算するに当たっては 食事バランスガイド 2 日 本食品標準成分表2010 9 および富岡ら10 が示している 食品群別荷重平均成分表 を参考資料と
食事バランスガイド を踏まえた栄養バランスのとれる食事づくりのための 献立の型紙 づくり 235 して各料理区分 食品群 の栄養価計算を行い 献立の型紙 のもとになる食品群別重量を算出した 算出に当たっては 日本人の食事摂取基準 2015年版 8 で示されているたんぱく質エネルギー 比13 20 脂質エネルギー比20 30 炭水化物エネルギー比50 65 を用いた 結果 1 献立の型紙 1食分 の分量の設定 献立の型紙 1食分 の分量を表1に示す 主食 米 ご飯 パン 麺 主菜 肉 魚 卵 大豆とその製品 副菜 野菜 きのこ 芋 海 藻 その他1日で摂取する食品である牛乳 乳製品 果物の1食分の分量については 食事バラン スガイド 2 の基本形2,000±200kcalで示されているSV つ の1日分量を朝 昼 夕の3食におよ そ3等分した量とした すなわち 主食 米 ご飯 パン 麺 は2SV つ 副菜 野菜 きのこ 芋 海藻 を1.7SV つ 主菜 肉 魚 卵 大豆とその製品は1 1.7SV つ 牛乳 乳製品SV つ 果物SV つ とした なお 油脂類の1食分の分量については 3 1食当たりの料理区分 食品群 ごとの食品重量 の設定の考え方 内容 の項で示す 表1 食事バランスガイドを踏まえた 献立の型紙 の1食分の分量 料理区分 食品群 主食 米 ご飯 パン 麺 副菜 野菜 きのこ 芋 海藻 主菜 肉 魚 卵 大豆とその製品 2 献立の型紙 1食分の分量 参考 食事バランスガイド 1日分の分量 SV つ SV つ 2 5 7 1.7 5 6 1 1.7 3 5 牛乳 乳製品 2 果物 2 油脂類 1SVに相当する食品重量SV 1 料理区分 食品群 ごとに含まれる1SV つ の栄養量 1SV つ に相当する食品重量の算定に必要な フードガイド 仮称 検討会報告書 以下 フー ドガイド 11 の 食事バランスガイド 2 において 各料理区分の量的な基準及び数量の考え方 で示されている 料理区分ごとに含まれる1SV つ 栄養量 を表2に示す 表2 料理区分 食品群 ごとに含まれる1SV つ の栄養量 料理区分 食品群 1SV つ の栄養量等 主食 米 ご飯 パン 麺 炭水化物およそ40g 副菜 野菜 きのこ 芋 海藻 ビタミン ミネラル 食物繊維などを含む主材料の重量およそ70g 主菜 肉 魚 卵 大豆とその製品 たんぱく質およそ6g 牛乳 乳製品 カルシウムおよそ100 果物 ビタミンC ミネラル 食物繊維などを含む主材料の重量およそ 100g 油脂類
小田 236 光子 杉 菜摘 佐名木由美子 横山しつよ 丹羽 真理 2 1SV つ に相当する各料理区分 食品群 ごとの食品重量の設定 1SV つ に相当する各料理区分 食品群 ごとの食品重量を表3に示す 表3に示す主食 主菜については フードガイド 11 の各料理区分の量的な基準及び数量の考 え方で示されている栄養量に基づき食品重量を設定することとし 主食 主菜の各食品群の食品重 量を算定したので その手順を以下に示す なお 副菜 野菜 牛乳 乳製品 果物については フードガイド 11 で主材料の重量とし て提示されている重量をそのまま引用した 表3 1SV つ に相当する各料理区分 食品群 ごとの食品重量 料理区分 主食 副菜 主菜 牛乳 乳製品 果 物 食品群 米 パン 麺 野菜 肉 魚 卵 豆腐 1SV つ の食品重量 米50g ご飯100g 食パン ロールパン85g 茹でうどん185g 蒸中華麺140g 70g 35g 30g 50g 90g 牛乳100cc 100g ①主食 米 ご飯 パン 麺 重量の算定手順 フードガイド 11 に示されている料理区分 食品群 ごとの1SV つ に含まれる栄養量を 日 本食品標準成分表2010 9 を用いて算出し 主食 米 ご飯 パン 麺 の1SV つ の炭水化物量 40gから主食 米 ご飯 パン 麺 の重量を算定すると 精白米100g中の炭水化物は77.1gである ことから 主食となる精白米の1SV つ は50g 40g 77.1g 100g 51.9g 丸めて50g となった 一方 ご飯の重量を示した方が分かりやすい場合もあることから ご飯の1SV つ の重量も 算出し ご飯の重量も併記することにした ご飯100g中の炭水化物は37.1gであるので ご飯1SV つ を同様に算定すると丸め値で100g 40g 37.1g 100g 107.8g 丸めて100g 食パンおよびロー ルパンについても 100g当たり炭水化物は各々 46.7g 48.6gであることから 食パンおよびロール パンの1SV つ の重量は丸め値でともに85g 40g 46.7g 100g 85.7g 丸めて85g 40g 48.6g 100g 82.3g 丸めて85g となった 茹でうどん及び中華麺の100g当たり炭水化物は各々 21.6g 29.2gであることから 1SV つ の重量は茹でうどん185g 40g 21.6g 100g 185.2g 丸めて 185g 茹で中華そば140g 40g 29.2g 100g 137.0g 丸めて140g となった ②主菜 肉 魚 卵 大豆とその製品 重量の算定手順 主菜重量の算定に当たっても フードガイド 11 に示されている主菜の1SV つ のたんぱ く質量6gに基づいて算定した 肉はその種類によって100g当たりのたんぱく質量が異なるので 食品群別荷重平均成分表 10 のデータを活用すると 肉100g当たりのたんぱく質は18.5gである 従って 肉の1SV つ は 32g 6g 18.5g 100g 32.4g 丸めて30g となった 同様に魚100g当たりのたんぱく質は22.3gであることから 魚の1SV つ は30g 6g 22.3g 100g 27g 丸めて30g となった 卵100g当たりのたんぱく質は12.3gであることから 卵の1SV つ は50g 6g 12.3g 100g 48.8g 丸めて50g となった 豆腐100g当たりのたんぱく質は6.6gであることから 豆腐の1SV つ は90g 6g 6.6g 100g 90.9g 丸めて90g となった
食事バランスガイド を踏まえた栄養バランスのとれる食事づくりのための 献立の型紙 づくり 237 3 1食当たりの料理区分 食品群 ごとの食品重量の設定の考え方 内容 献立の型紙の策定に当たって 料理区分 食品群 ごとの1食当たりの食品重量の設定の考え方 内容を以下に示す ①主食の設定 食事バランスガイド 2 の基本形に沿って主食の量を設定すると 食事バランスガイド 2 の主食は1日5 7SV つ であることから 1食当たりの主食量を2SV つ として 表3を もとに米 ごはん 食パン ロールパン 茹でうどん 蒸中華麺の食品重量を各々 100g 200g 170g 370g 280gに設定した 献立の型紙 として1食当たり主食量を2SV つ としたものの 性 年齢が同じでも推定エ ネルギー必要量は一人ひとり異なり 個人間変動 また同一人でも日によって異なる 個人内変動 このため 主食の設定に当たっては 日本人の食事摂取基準 2015年版 8 に基づいた栄養 管理を行うよう 腹八分目 適正体重維持量 を付記し 適切な体重を維持できるよう 一人ひ とりに適した主食の量 として調整するべきことであることを示した ②副菜 野菜 きのこ いも 海藻 の設定 副菜についても 食事バランスガイド の基本形に沿って副菜の量を設定する場合 1日5 6SV つ であること また 健康日本21 第2次 12 では1日350gを目標としていることを 考慮し 1食当たりの 献立の型紙 で副菜となる野菜については1.7SV つ に設定した すな わち1SV つ は野菜重量で70gであることから 1食当たりの野菜重量を丸め値で120gとし カ ロチン ビタミンC 鉄等の補給の観点を踏まえ 120gのうち緑黄色野菜30g その他の野菜90gに 設定した ③主菜 肉 魚 卵 大豆とその製品 の設定 食事バランスガイド 2 の主菜 食事バランスガイドの基本形に沿って主菜の量を設定すると は1日3 5SV つ であることから 1食当たり主菜1 1.7SV つ となる しかし 主菜には 肉 魚 卵 大豆とその製品があり 1SV つ の食品重量は表3に示す とおり 肉35g 魚35g 卵50g 大豆とその製品90gと主菜の種類によって異なるため 主菜の種 類ごとに1食当たりの献立の型紙を策定するとなると 面倒で 献立の型紙 普及する上でマイ ナスとなる そこで できるだけ簡便にするため 主菜として肉 魚 卵 大豆とその製品いずれも同じ重量 で示すことにし 1食当たり60 70gに設定した その根拠として 平成24年国民健康 栄養調査 13 の食品群別摂取量の年次推移をみると 近 年の肉と魚の1日当たり摂取量は 平成17年 19年に肉 魚とも80g強で 平成20年はともに約 78g 平成21年 23年は肉が約83g 魚が約73g 平成24年には肉88.9g 魚70.0gの摂取状況で また 平成17年以降卵は約34g 豆類は56 60g摂取しており わが国では肉 魚 卵 豆類などの色々 なたんぱく質源を摂取している食習慣があること よりよく栄養バランスをとるうえでも 嗜好を 満足させるうえでも 朝食 昼食 夕食の主菜の食材は 同じ種類のものとならないことも重要で ある こうした観点から 昼食 夕食時にそれぞれ肉や魚のいずれかを60 70g摂取するとすれば この2食で4SV つ 摂取することとなる また 朝は 卵や味噌汁の豆腐と納豆で60 70g摂取 すればおよそ1SV つ となり 1日合計すれば主菜5SV つ となる また 1日のうちの2 食にそれぞれ卵または大豆とその製品を60 70g 1SV つ ずつ食べ 残り1食を肉または魚 を60 70g 2SV つ 食べたとしても1日4SV つ となり 食事バランスガイド 2 の基 本形で示す3 5SV つ の条件にあてはまる 以上のことから 主菜 食材 として肉 魚 卵 大豆とその製品いずれも1食当たり同じ食品重量60 70gに設定した
小田 238 光子 杉 表4 料理区分 食品群 主食 米 魚 主菜 肉 卵又は豆類 野菜 牛乳 果物 合計 菜摘 佐名木由美子 横山しつよ 丹羽 各食品群の脂質量 1食あたり 重量 g 真理 100 60 70 60 120 70 70 SV つ 2つ 5つ 脂質量 g 0.7 4.6 7.8 6.2 1食当たり 6.2 1.7 0 2.6 0 9.5 注 主菜1食当たりの脂質量は 1日当たりの魚 肉 卵又は豆類の脂質量合計を3食で等分し6.2gとした 表5 料理区分 食品群 献立の型紙 1食当たりの料理区分 食品群 ごとの食品重量 食品重量 主食 副菜 主菜 米100g ご飯200g パン170g(6枚切2 3枚) うどん370g(1 2袋) 麺 中華麺280g(1 2袋) 腹八分目 適正体重維持量 緑黄色野菜 30g(1日100g) その他の野菜 90g 肉 60 70g 魚 主菜は1日にできるだけ色々な 卵 種類の食材を組合わせることが 豆腐 望ましい 食事バランスガイドSV つ 米 パン 油脂類 牛乳 乳製品 果 物 2 ①肉又は魚を60 70gが2つ 卵又は豆腐60 70gが 1つ ②3食のうち2食を肉と魚各々 60 70gで4つ 1食を 卵 豆腐 納豆のいずれかを60 70gで1つ 以上合計 5つ 7g(1日20g 大匙1.5杯) 14g(1日42g 大匙3杯) 牛乳70cc(1日200cc) 70g(1日200g) 1日2SV つ 1日2SV つ ④牛乳 乳製品の設定 牛乳 乳製品についても 食事バランスガイド 2 の基本形に沿って設定すると 1日200g 2 SV つ であることから 1食当たりの 献立の型紙 の牛乳 乳製品をSV つ の70gと した しかし 牛乳は 1食ごとに70gずつ摂取してもよいが 多くの場合飲料として摂取されている ことから 1日でまとめて200g摂取も可能なように設定した ⑤果物の設定 同様に 果物も 食事バランスガイド 2 の基本形に沿って設定すると 1日当たり200g 2 SV つ となることから 1食当たりの 献立の型紙 の果物の量はSV つ の70gとした ただし 食習慣として必ずしも3度の食事で食べるとは限らないので 間食も含め1日で200g摂 取すればよいことも付記した ⑥油脂類の設定 油脂類は食品群であって料理区分には当たらないため 食事バランスガイド 2 には掲載され ていない このため 油脂類以外の食品群の食品重量の脂質量を 食品群別加重平均成分表 10 を用いて算出すると 表4に示すように合計が9.5gとなった さらに 献立の型紙 のエネルギー目標量とした2,200±200kcalの1食分のエネルギー量を 730kcalとし そのうち脂質のエネルギー量を 日本人の食事摂取基準 2015年版 8 のとおり20 30 とすると 脂質量16.2g 24.3g 730kcal 0.2 9kcal 16.2g 730kcal 0.3 9kcal 24.3g
食事バランスガイド を踏まえた栄養バランスのとれる食事づくりのための 献立の型紙 づくり 239 となる この16.2 24.3gから前述した油脂類以外の食品群の脂質量の合計9.5g 表4参照 を差し 引くと 脂質量は7 14g 16.2g-9.5g=6.7g 丸め値7g 24.3g-9.5g=14.8g 丸め値14g となった 4 献立の型紙の策定 前述した1食当たり食品群ごとの食品重量の設定の考え方 内容に基づき 策定した献立の型紙 を表5に示す 考察 2011年11月19日 社 広島県栄養士会が栄養ケア ステーション研修会として 栄養ケア ステー ション事業に携わる栄養の指導者として登録している栄養士 管理栄養士を対象に 県民対象調理教 室の進め方 をテーマに開催した この開催に当たって 献立のたて方を盛り込んだ講演を依頼されたことを契機に 食事バランス 献立の型紙 6 ガイド 2 を踏まえた 献立の型紙 を示せば 一般住民への指導に役立つと考え の検討に着手した これを原型として 2014年3月発表の 日本人の食事摂取基準 2015年版 8 に基づき修正したのが 今回報告する 献立の型紙 である その当時の研修会の参加者からは 献立をたてる際 何を基準に作成すればよいか悩みながら行っ ていたが この 献立の型紙 は分かりやすく 利用しやすい また 栄養相談にも活用できる 等 の声が聞かれ 今後 栄養士 管理栄養士が献立作成時や栄養相談の際等 広く活用できる資料であ ることが示唆された このことから この 献立の型紙 は こうした食と栄養の専門職である栄養士 管理栄養士によ る活用にとどまらず 一般住民が何をどれだけ組み合わせて1食の料理を作ればよいか 献立作成上 活用できるツールとなり 健康づくりのための栄養バランスのとれた料理づくり力が培われ わが国 における健康的な食の推進を図る一助となるうる ただし 糖尿病等の疾病のリスクのある患者には 日本人の食事摂取基準 2015年版 8 で示されているように 各疾患ごとの治療ガイドラインに従っ て栄養管理を行わなければならないため このような大まかな 献立の型紙 は活用できないが 健 康人がこの 献立の型紙 を活用して 献立の型紙 で提示している各食品群を組み合わせた献立 を作成すれば 栄養バランスの取れた料理づくりが可能となり 健康人へのポピュレーションアプロー チとして有効なツールとなる 一生にわたり三度三度の食事をするうえでは 栄養価計算などによる煩わしい栄養バランスのとれ た献立作成のやり方では 一般住民にとって実践性に欠け 継続性も期待できないが この 献立の 型紙 は 当てはめるだけの簡単なツールなので すぐに覚えられ 食材購入の際にもこの 献立の 型紙 を思い描きながら 食材を調達することができ 実践性や継続性が期待できる 従って この 献立の型紙 が栄養指導や相談を通じて 一般住民に広がれば 健康日本21 第2次 12 が目指 す生活習慣病の予防につながると考える 普及状況や活用上の問題点等については 今後機会があれば調査を行い この 献立の型紙 の普 及に向け 健康な食事づくり 健康な食べ方をするうえでのツールとして認められるよう 活用上の 問題点や課題があれば改善していきたい 参考文献 1 厚生労働省 文部科学省 農林水産省 食生活指針 2000.3 2 厚生労働省 農林水産省 食事バランスガイド 2005.6
240 小田光子 杉菜摘 佐名木由美子 横山しつよ 丹羽真理 3) 内閣府 : 食育に関する意識調査 (2014.5) 4) 早渕仁美, 松永泰子, 永原真奈見, 吉池信男 : 日本人の食事摂取基準(2010 年版 ) に基づく食事バランスガイドのサービング数設定方法の検討, 栄養学雑誌,68(3),193-200(2010) 5) 早渕仁美, 久野真奈見, 松永泰子, 料理の組合せ方からみた食べ方 評価のための料理分類方法栄養学雑誌,61(4),235-242(2003) 6) 小田光子 : 献立の型紙 ( 栄養ケア ステーション人材登録研修会資料 - 県民対象調理教室の進め方 ~ 献立作成から調理実習まで )(2011.11) 7) 日本人の食事摂取基準 (2010 年版 ) 策定検討報告会 : 第一出版 (2009.9) 8) 日本人の食事摂取基準 (2015 年版 ) 策定検討報告会 : 日本人の食事摂取基準 (2015 年版 ) (2014.3) 9) 科学技術 学術審議会資源調査分科会 : 日本食品標準成分表 2010,(2010.11) 10) 富岡和夫, 君羅満, 吉田和子, 市川陽子, 佐藤玲子, 神戸絹代, 東川尅美, 濱田義和, 笹田陽子, 清水典子, 相良多喜子, 冨田教代, 西川貴子 : 給食経営管理実務ガイドブック,pp82, 同文書院 (2012.4) 11) 厚生労働省 : フードガイド ( 仮称 ) 検討会報告書 食事バランスガイド,(2005.11) 12) 厚生労働省 : 健康日本 21( 第 2 次 )(2012.7) 13) 厚生労働省 : 平成 24 年国民健康 栄養調査報告 (2014.3) キーワード 献立の型紙, 食事バランスガイド, 基本型 2200±200kcal, 栄養バランス, 適切な食事量 小田光子 ( 健康栄養学部 ) 杉菜摘 ( 元比治山大学短期大学部 ) 佐名木由美子 ( 健康栄養学部 ) 横山しつよ ( 健康栄養学部 ) 丹羽真理 ( 比治山大学短期大学部 ) (2014. 10. 31 受理 )