第 5 学年理科 花のつくり 学習指導案 ~ 花の多様性を花式図を用いて考える ~ 西村佳寿美 和泉市立国府小学校 1. 日時 平成 25 年 月 日 ( ) 第 時限 2. 場所 理科室 3. 学年 組 5 年 組 ( 名 ) 4. 単元名 花のつくり 5. 単元目標 アブラナや春の花を調べ, めしべ おしべの特徴を見つけることができるようにする また, 花 びらが散った後, めしべの実になるところが育って, 種子ができることを調べられるようにする 6. 教材観児童は3 年生で, 植物の種子を土にまいて発芽させ, 育つ順序や体のつくりについて学習している 5 年生では 年間を通して設定したテーマ 受けつがれる生命 の中に位置づけ, 両性花で開花 凋落 実の育ちのようすが一度に見られるアブラナを素材に,4 月に学習を設定した 植物の受粉と結実の関係については 3. 花から実へ で, 単性花のオモチャカボチャを素材として詳しく扱うが, 本単元では, 花のつくりについて調べ 生殖器官としての花の機能に気づくとともに, 生命が受け継がれていく自然の素晴らしさに触れて, 今後の学習に臨めるようにしたい 7. 児童観 5 年生の児童は,3 年生で 植物の育ちとつくり 植物の一生 を学習し, ホウセンカ, マリーゴールド, ヒマワリの観察を行っている しかし, 花のつくりについての知識は個人差があり, おしべ めしべは知っていても, がくがわからなかったり, 花によっておしべの数が違うことなども知らない児童が多い 5 年生では, 受けつがれる生命 をテーマに, 花のつくりや植物の発芽の条件や成長の学習を行う この学習を通して, 花のつくりや形や数の違い 同じところ 違うところなどを調べ, より花のつくりについて理解できるようにと考えている また, 児童は, 理科の実験観察は興味をもち活動することができる しかし,1 人ひとりの思考 表現力の差は大きく,1 人では問題解決が難しい児童もいる そこで, 個人で考え作業する場面と, グループで協力して思考する場面を取り入れる展開を考えた グループの中で役割担をし, 協力しながら活動することによって, 思考が難しい児童も楽しく学習に参加できるようにしたい 6-1
8. 指導観花を咲かせているアブラナの株全体のようすから, 花のどの部が変化して実になるかを意識して, 花のつくりを調べていく展開とした また, タンポポなど春の花とアブラナを比較観察をし, 断面図や花式図を取り入れ, 花のつくりについてより理解させたい さらに 結実のしくみを詳しく調べる準備のために オモチャカボチャの栽培を始めるようにした 9. 単元の系統性 3 年植物を調べよう 4 年生き物のくらし 5 年受けつがれる生命 6 年生物どうしのつながり 2 たねをまこう 植物の育ちとつくり 植物の一生 3 チョウを育てよう いろいろなこん虫のかんさつ 1 身近なしぜんのかんさつ 1 春の自然 夏の自然 秋の自然 冬の自然 生き物の 1 年間 6 ヒトの体のつくりと運動 花のつくり 1. 植物の発芽と成長 3. 花から実へ 2. メダカのたんじょう 9. ヒトのたんじょう 2. 植物のつくりとはたらき 3 ヒトや動物の体のつくりとはたらき 4 生物どうしのつながり 10 自然とともに生きる 中学 1 年 (1) 植物の生活と種類 ア生物の観察 イ植物の体のつくりと働き ウ植物の仲間 中学 2 年 中学 3 年 (3) 動物の生活と生物の変遷 ア生物と細胞 イ動物の体のつくりと働き ウ動物の仲間 エ生物の変遷と進化 (5) 生命の連続性 ア生物の成長と殖え方 イ遺伝の規則性と遺伝子 (7) 自然と人間 ア生物と環境 イ自然の恵みと災害 ウ自然環境の保全と化学技術の利用 6-2
10. 単元の評価規準関心 意欲 態度 思考 表現 技能 知識 理解 アブラナの花や春の花に興味を持ち, しらべようとしている 計画をたてオモチャカボチャの種子をまいたり, 世話をする計画を立てようとしている ( 行動観察 発言析 ) アブラナの花を観察し, 気づいたことを発表し, 自の考えを表現している 他の花を観察し, アブラナと同じところや違いなどの予想 仮説をもち, 表現している ( 発言析 記録析 ) 虫眼鏡, ピンセットなどの器具を正しく使って, めしべ おしべの特徴を見つけて見け, 結果を記録している ( 行動観察 記録析 ) アブラナの花には,1 つの花にめしべやおしべがあり, 花びらが散った後, めしべが育って実になることを理解している ( 記録析 ペーパーテスト ) 11. 単元の指導と評価の計画 ( 全 3 時間 ) 時学習内容主な評価規準 4 観点 第 1 時第 1 次第 2 時 ( 本時 ) 花のつくり [ 観察 1] アブラナの花のつくり花のつくり [ 観察 2] 春の花のつくり 第 2 次第 1 時種子をまこう アブラナの花のつくりに興味をもち調べようとしている 虫眼鏡, ピンセットなどの器具を正しく使い めしべ おしべ の特徴を見つけて見け, 結果を記録している 観察実験の技能 アブラナの花には,1つの花にめしべやおしべがあり, 花びらが散った後, めしべが育って 実になることを理解している 知識 理解 グループでアブラナの観察結果を交流している 科学的な思考 表現 春の花のつくりに興味をもち調べようとしている 虫眼鏡, ピンセットなどの器具を正しく使い めしべ おしべ の特徴を見つけて見け, 結果を記録している 観察実験の技能 アブラナの花と同じところ, 違うところを予想し仮説を立てて, 自の考えをもち観察している また, グループで観察結果を交流している 科学的な思考 表現 オモチャカボチャの種子をまいたり 世話をする計画を立てようとしている 12. 本時の展開 (1) 本時の目標 花のつくりについて興味を持ち アブラナの花と比べることができる タンポポの花の観察を行い, 花の特徴である,[ がく 花びら おしべ めしべ ] を調べ, 結果を記録することができる グループで タンポポの観察結果を交流することができる 6-3
(2) 本時の評価規準 タンポポの花のつくりに興味をもち調べようとしている 虫眼鏡, ピンセットなどの器具を正しく使い めしべ おしべ の特徴を見つけて見け, 結果を記録している 観察実験の技能 タンポポの花には,1つの花にめしべやおしべがあり, めしべが育って実になることを理している 知識 理解 アブラナとタンポポの違いを比べている グループでタンポポの観察結果を交流している 科学的な思考 表現 (3) 本時で扱う教材使用図書は, 教科書 : 啓林館 わくわく理科 5, ワークシート (4) 学習過程第 1 時 ~ 第 2 時 ( 第 1 時 ) 時間 学習内容 学習活動 指導上の留意点及び理解の不十な児童へのてだて等 評価規準 評価方法 導 春の花について話し合う 身の回りに咲いている春の花を * 積極的に自の意見を 入 思い出させる 発表できる 5 花のつくりについて名前 アブラナの花の拡大図を提示し を確認する 名前の確認をさせる 本時の問題を知る アブラナの花を観察して 花のつくりや実のなるところを探そう ワークシートに記入する ワークシートに本時の問題 観察 展 方法を記入させる 観察方法 記入方法の説明 花の解方法 ワークシートの記 開 を聞く 入方法 花式図について テレビ に図を掲示し 説明する 35 * アブラナの花のつくり に興味をもち調べよう としている * 虫眼鏡, ピンセットなど アブラナの花を個人で観 実になるところはどこか 考えさ の器具を正しく使い め 察し ワークシートに記入 せながら作業をさせる しべ おしべ の特徴を する ピンセットの使い方や観察の仕 見つけて見け, 結果を 方など 机間指導する 記録している 観察実験の技能 6-4
黒板のアブラナの解図 * 作業は 10 でするようにタイマ * 積極的に自の意見を 花式図に各部の名前を ーを使う 発表できる 記入する アブラナの花を調べて 気 がついたことを発表する 実になるところを探そう グループ活動 グループで アブラナ全体 アブラナの株の上と下の部の * アブラナの花には,1 つ を観察する めしべのふく 違いに気づかせる の花にめしべやおしべ らんだ部を切って 気づ があり, 花びらが散った いたことをホワイトボー 後, めしべのもとが育っ ドに記入する て実になることを理解 ホワイトボードに記入し している たことを黒板にはり 各グ 知識 理解 ループごとに発表する * グループでアブラナの 観察結果を交流している 科学的な思考 表現 ま ふりかえり 課題に対しての考察 疑問 調べ * 花の観察結果から 気づ と ワークシートに記入する てみたいこと わかったことを考 いたことをワークシー め えさせる トに書くことができて 5 いるか 科学的な思考 表現 第 2 時 ( 本時 ) 時間 学習内容 学習活動 指導上の留意点及び理解の不十な児童へのてだて等 評価規準 評価方法 導 前時の学習 花のつくり 花の部の名前の図を掲示し発 * 積極的に自の意見を 入 についてふりかえる 問する 発表できる 5 本時の問題を知る タンポポを観察して アブラナの花との比較をし 花の特徴や実になるところを探そう ワークシートに記入する ワークシートに本時の問題 観察方法を記入させる 科について 大きく類させることから 仲間の花を考えさせる 6-5
アブラナの花は アブラナ テレビで掲示した花について考 * 興味を持って仲間を見 科 タンポポはキク科な えさせる つけようとしている ど 植物は科によって大き どの花が何科かを教える 展 く類されることを知る 花びらの形が似ているものはな テレビで提示した花の仲 いかをヒントとして考えさせる 開 間を考える キク科の特徴である頭状花序や 科の名前をヒントに考え 舌状花 管状花などを説明し ヒ * タンポポの花のつくり 35 る マワリも同じ仲間であることを に興味をもち調べよう 教える としている キク科のタンポポやヒマ * タンポポの舌状花は 小さいので ワリの特徴を知る 解せずに観察するようにさせ * 虫眼鏡, ピンセットなど る の器具を正しく使い め タンポポの花を個人で観 ( 虫眼鏡 ) しべ おしべ の特徴を 察し ワークシートに記入 見つけて見け, 結果を する アブラナとの違いを考えさせな 記録している がら作業をさせる 観察実験の技能 グループごとに 実体顕微 グループに 1 台実体顕微鏡を置 * グループでの観察結果 鏡でタンポポの舌状花を観 き タンポポの舌状花が観察でき を交流している 察する るようにしておく ( 実体顕微鏡 科学的な思考 表現 アブラナの花との違いを の数によって 2 つのグループに 考える ( 実になるところ ) 1 台などにする ) タンポポの花を調べて 気 がついたことをグループ でまとめて発表する ま ふりかえり 問題に対しての考察 疑問 調べ * 花の観察結果から 気づ と ワークシートに記入する てみたいこと わかったことを考 いたことをワークシー め えさせる トに書くことができて 5 いるか 科学的な思考 表現 6-6
(5) 板書計画第 1 時 月 日 ( ) アブラナの花を観察して 花のつくりや実のなるところを探そう 予想花には実になるところがある 計画アブラナの花のどの部が実になるのか花を解して調べる 観察 1アブラナの花のつくり花式図 観察 2アブラナ 上につぼみがある 下の方に実がある めしべの中に実がある 考察花びらが散った後 めしべのふくらんだ部が育って実になる アブラナの花以外の花のつくりは結果がく4 枚花びら4 枚おしべ6 本どうなっているのだろうか めしべ1 本 2 本短いおしべがあった 同じところ 違うところを調べよう 第 2 時 ( 本時 ) 月 日 ( ) タンポポを観察して花の特徴や実になるところや アブラナとの違いを探そう 観察 予想花の形がちがっても おしべ めしべ 実になる ところは同じようにある 計画タンポポの花を観察して 花のつくりを調べる 結果舌状花に がく 花びら おしべ タンポポの特徴キク科 めしべ 実になる子房があった 頭状花序 小さな花が枝先に集まったもの 考察めしべのところに実になるしぼうが 舌状花 ( タンポポは 小さい舌状花の集まり ) あった 花のつくりは 小さな花が タンポポのグループ以外のキク科には たくさん集まっていて アブラナと 舌状花と管状花がある ( ヒマワリなど ) つくりがちがう しぼうのつく場所はどこかな 種子はどんな条件で芽を出すのだろう 6-7
13. 授業研究中に行った実験等資料 (1) 花式図を授業に取り入れるために, 参考資料を集めた 図 2 理科ねっとわーくより 図 1 理科ねっとわーくのデジタル素材の中から, いろいろな花のつくり を教材として活用した アブラナの花を解し, 花のつくりを観察する際にも活用できる 花式図が色けされて簡単な図で表されているので, わかりやすく, 児童には, 花式図の説明をして, 花の部の名前と合わせて繰り返し確認をすれば, 花のつくりに関しても定着するのではないかと考える ( 図 1.2) ワークシートの花式図に, 色をつけたり, 花の部の名前を記入 させたりする ( 図 3) ( がく 緑, 花びら ピンク, おしべ 黄色, めしべ オレンジ ) 図 3 タンポポの花式図 ( 自作 ) (2) 花のつくりを学習題材にするにあたり, いくつかの花を用意し, 解実験 観察を行った 図 6 図 4 図 5 6-8
ナス科のペチュニアを解すると, 花弁におしべがくっついている状態であった ( 図 4.5.6) ナス科の花は, 花弁におしべがくっついている特徴があり, 花式図は, 点で花弁とおしべをくっついていることを示す また, 花弁も合弁化で花弁がくっついているので, 点で示している ( 図 7) 図 7 ペチュニアの花式図 ( 自作 ) キク科のタンポポの舌状花を観察したが, 小さすぎてピンセットで解することが難しく, 授業の中で子どもができる作業としては, 舌状花を虫眼鏡で観察し, がく 花びら おしべ めしべを見け そのまま図 8 テープではらせるとよい ( 図 8) 実体顕微鏡で観察すると, めしべの先がふたつにわかれているところや, おしべがめしべのまわりにあることなどがわかる 顕微鏡の使い方はまだ学習していないので, 教師が実体顕微鏡をセットし, 観察ができるようにすると, よりわかりやすい ( 図 9) 図 9 キク科のキバナコスモスタンポポと同じく, 管状花は小さくて観察が難しい 実体顕微鏡で観察すると おしべやおしべについたたくさんの花粉や めしべ が確認できる ( 図 10.11.12) 図 10 図 11 図 12 6-9
14. 本時のワークシート 6-10
引用 参考文献 (1) 理科ねっとわーく http://www.rikanet.jst.go.jp (2) 山川史郎 : 小学館の図鑑 NEO 植物 (2009) (3) 並河治 岩瀬徹 川名興 : 野外観察ハンドブック校庭の花 (1995) 6-11