心肺機能停止傷病者の救命率等の状況 総務省消防庁救急企画室 1

Similar documents
救急蘇生統計 (2008 年 ) ( ポイント ) 1. 心肺機能停止傷病者の1ヵ月後の生存率及び社会復帰率は年々上昇 2008 年中に救急搬送された心肺機能停止傷病者搬送人員のうち 心原性かつ一般市民により目撃のあった症例の1ヵ月後生存率は 10.4% と過去 4 か年のうち最も高く 2005 年

ウツタイン様式を活用した救命効果の検証

平成 25 年版救急 救助の現況 ポイント 1. 救急業務実施体制 1) 平成 25 年 4 月現在 消防本部は 770 本部で 全ての消防本部において救急業務が実施されている 全国 1,720 市町村のうち 1,685 市町村 (790 市 735 町 160 村 ) において消防本部による救急業

平成 26 年 12 月 19 日 消防庁 平成 26 年版救急 救助の現況 消防庁では 全国の救急業務及び救助業務の実施状況等について 毎年調査を実施しております 今般 平成 26 年版救急 救助の現況 ( 救急蘇生統計を含む ) を取りまとめましたので 公表します 1 救急出動件数及び搬送人員と

消防救第 86 号 医政指発 0330 第 1 号 平成 22 年 3 月 30 日 各都道府県消防 防災主管部 ( 局 ) 長殿衛生主管部 ( 局 ) 長殿 消防庁救急企画室長 厚生労働省医政局指導課長 消防機関における自動体外式除細動器 (AED) の取扱いについて 今般 平成 21 年度厚生労

平成 29 年中の救急出動件数等 ( 速報値 ) の公表 平成 30 年 3 月 14 日 消防庁 平成 29 年中の救急出動件数等の速報値を取りまとめましたので公表します U 救急出動件数 搬送人員とも過去最多 平成 29 年中の救急自動車による救急出動件数は 634 万 2,096 件 ( 対前

<4D F736F F D CA926D817A8EA98CC8928D8ECB82AA89C2945

高等学校「保健」補助教材「災害の発生と安全・健康~3.11を忘れない~」 第3章

Microsoft Word - 最終(参考全文)非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について(平成25年9月)

プロトコール 1 内容 プロトコール1が症例登録で追加されます プロトコール 1にチェックありの場合 左記表示 プロトコール 2 ECPRやPCIデータを中心とした追加プロトコール プロトコール 2 内容 プロトコール2が症例登録で追加されます プロトコール 2にチェックありの場合 左記表示 プロト

PowerPoint プレゼンテーション

ウツタイン様式調査オンライン処理システム

平成18年8月  日

国士舘大学審査学位論文 病院外心停止症例における救急救命士によるアドレナリ ン投与時期と脳機能予後との関連についての検討 植田広樹

Microsoft PowerPoint - G2010AED(レジュメ)


<4D F736F F D208E9197BF30362D36958D985E81468C5B94AD8E9197BF88C B95B6816A2E646F6378>

PowerPoint プレゼンテーション

平成 30 年度救急業務のあり方に関する検討会報告書の概要 消防庁救急企画室 はじめに 消防庁救急企画室では 高齢化を背景として救急需要が増大する中 救急車の適正利用の推進や救急業務の円滑な実施と質の向上等 救急業務を安定的かつ持続的に提供し救命率の向上を図ることを目的に 平成 30 年度救急業務の


セントラル警備保障株式会社

<4D F736F F F696E74202D E9197BF345F91E63389F18DEC8BC EF81698A6D92E894C5816A2E >

モニタリングと電気ショック

Ⅰ. 一次検証 1) 一次検証者 消防本部で任命された救急技術指導者または同等の指導能力を有する者 2) 検証範囲全搬送事例参考 ) 神奈川県におけるメディカルコントロール体制推進方針 消防機関による事後検証消防機関においては 検証医師による医学的観点からの事後検証を受ける前に 全ての事例について救

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

平成22年度厚生労働科学研究費補助金(特別研究事業)

各都道府県消防防災主管部 ( 局 ) 長殿 事務連絡平成 23 年 2 月 18 日 消防庁救急企画室長 半自動除細動器の不具合事案について 平素より救急行政にご理解ご協力いただき お礼申し上げます 別添のとおり 滋賀県より半自動除細動器の不具合事案についての情報提供がありましたので 貴都道府県内の

新年度スタート!正しい救急車の利用方法と応急手当を知ろう

03.【資料2】今後の救急救命処置のあり方と運用について

資料 2 救急 集中治療の終末期対応 ~3 学会合同ガイドライン作成の経緯を含めて ~ 日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野 ( 同附属病院高度救命救急センター ) 横田裕行 経済 財政一体改革推進委員会第 15 回社会保障 WG( )

速く : 少なくとも 100 回 / 分絶え間なく : 中断を最小限にする可能ならば硬いものの上で CPR を行う 脱気できるマットレスであれば CPR 中は脱気する 胸骨圧迫部位は胸骨の下半分 胸の真ん中 を目安とする 毎回の胸骨圧迫の後で完全に胸壁が元の位置に戻るように圧迫を解除する 複数の救助

昼間 ( 月 ~ 土 9:00~18:30) 授業期間中 学内での救急対応連絡の流れ 急病人 けが人発生! 参考 タクシーで搬送する場合 1 発見者意識の確認 意識の確認 反応はあるか? 大阪第一交通 ( 富田林 ) 反応なし 2 通報 救急車の要請 (1

<4D F736F F D20322D31312D308BDF93A190E690B695F18D90>

救急隊員等におけるBLSアルゴリズム

資料 1 自動体外式除細動器 (AED) とは 心臓が心室細動を起こし心肺停止になった場合に 心臓に電気ショックを与え 心臓を正常に戻す ( 除細動する ) 医療機器 AED は 薬事法 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) の 高度管理医療機器 及び 特定保守管理医療機器 に指定 ( 平成 1


厚生労働科学研究費補助金 (地域健康危機管理研究事業)

<4D F736F F D20322D E937895F18D908DC58F C CE32E646F63>

目次 第 1 章除細動器とは 1-1 目的 1-2 適応 1-3 出力方法 1-4CPR ファースト 第 2 章除細動器の構造 2-1 内部構造 2-2 外部構造 2-3 パドルの種類 第 3 章除細動器の使用方法 3-1 パドルまたはパッドをあてる位置について 3-2 非同期式除細動 3-3 同期

平成12年

私のリビングウィル 自分らしい最期を迎えるために あなたが病気や事故で意思表示できなくなっても最期まであなたの意思を尊重した治療を行います リビングウィル とは? リビングウィルとは 生前に発効される遺書 のことです 通常の遺書は 亡くなった後に発効されますが リビングウィルは 生きていても意思表示

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

<4D F736F F F696E74202D E81798E9197BF33817A8FAC8E998B7E8B7D88E397C391CC90A782CC8CBB8FF32E >

論文の和文概要

日本内科学会雑誌第105巻第11号

7119 未実施団体に対するアンケート調査の結果 実施しない理由として 事業の費用対効果や 医療面に対するメリットが明確でないとの意見があったことから 医療機関の負担軽減効果や医療費の適正化の効果について定量的に分析を行いました また 利用率向上のためには 住民の認知度を高めることが重要であることか

平成 27 年の救急出動件数等 ( 速報 ) 消防庁

もくじ 火災の概要 第 表 火災発生状況 ( 過去 5 年間 ) 第 表 市町別火災発生状況 4 第 3 表 月別火災発生状況 6 第 4 表 出火原因別火災発生状況 7 第 5 表 覚知状況 7 救急の概要 8 救助の概要 8 第 6 表 救急発生状況 ( 過去 年間 ) 9 第 7 表 市町別救

Microsoft Word - 都道府県向け報告書

Microsoft PowerPoint - 資料4_救急(ガイドライン)

< VF / pulseless VT のシナリオ 1 > 想定急性心筋梗塞からの VF 目の前でVFになった場合 ほとんどが 1 回の除細動で戻る 状況設定外来待合室を通りかかったとき 60 代の男性が胸を押さえて目の前で倒れた 背景 ( 聞かれたら答える ): 糖尿病 高血圧で通院中 シナリオオ

1 正常洞調律 ;NSR(Normal Sinus Rhythm) 最初は正常洞調律です P 波があり R-R 間隔が正常で心拍数は 60~100 回 / 分 モニター心電図ではわかりにくいのですが P-Q 時間は 0.2 秒以内 QRS 群は 0.1 秒以内 ST 部分は基線に戻っています 2 S

蘇生をしない指示(DNR)に関する指針

4 呼吸の確認 傷病者が 普段どおりの呼吸 をしているかどうかを確認します 傷病者のそばに座り 10 秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て 普段どおりの呼吸 をしているか判断します ( 図 10) 反応はないが 普段どおりの呼吸 がある場合は 様子を見ながら応援や救急隊の到着を待ちます 次の

消防業務賠償責任保険に関する Q&A 1 主契約について Q1 1: 再燃火災による事故も対象になるのですか? A1 1: 対象となります 但し あくまでも消防本部側に過失または重過失があり 賠償責任を負担するケースとなります 消防本部の過失認定は 極めて難しい判断を伴いますので 過去の判例や裁判所

平成 30 年 6 月 5 日奈良県消防救急課消防救急係担当 : 倉田 中村直通 : 内線 : 熱中症による救急搬送状況について 直近一週間の熱中症による救急搬送は 7 人でした 熱中症は適切な予防をすれば防ぐこともできます 一人ひとりが 熱中症予防の正しい

2. 延命措置への対応 1) 終末期と判断した後の対応医療チームは患者および患者の意思を良く理解している家族や関係者 ( 以下 家族らという ) に対して 患者が上記 1)~4) に該当する状態で病状が絶対的に予後不良であり 治療を続けても救命の見込みが全くなく これ以上の措置は患者にとって最善の治

二複雑な検査を必要とすることなく 消防庁長官が別に定める装備資器材を用いて行う処置であること ( 平三消庁告四 一部改正 ) ( 観察等 ) 第五条救急隊員は 応急処置を行う前に 傷病者の症状に応じて 次の表の上欄に掲げる事項について下欄に掲げるところに従い傷病者の観察等を行うものとする 区分 方法

CCU で扱っている疾患としては 心筋梗塞を含む冠動脈疾患 重症心不全 致死性不整脈 大動脈疾患 肺血栓塞栓症 劇症型心筋炎など あらゆる循環器救急疾患に 24 時間対応できる体制を整えており 内訳としては ( 図 2) に示すように心筋梗塞を含む冠動脈疾患 急性大動脈解離を含む血管疾患 心不全など

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

課題名

自殺予防に関する調査結果報告書

スポーツ紀要小峯・小粥・稲垣(校了).indd

平成 26 年 3 月 28 日 消防庁 平成 25 年の救急出動件数等 ( 速報 ) の公表 平成 25 年における救急出動件数等の速報を取りまとめましたので公表します 救急出動件数 搬送人員とも過去最多を記録 平成 25 年中の救急自動車による救急出動件数は 591 万 5,956 件 ( 対前

Microsoft PowerPoint 指標の定義[version1.4_1].ppt [互換モード]

心疾患患による死亡亡数等 平成 28 年において 全国国で約 20 万人が心疾疾患を原因として死亡しており 死死亡数全体の 15.2% を占占め 死亡順順位の第 2 位であります このうち本県の死亡死亡数は 1,324 人となっています 本県県の死亡率 ( 人口 10 万対 ) は 概概ね全国より高

平成 26 年の救急出動件数等 ( 速報 ) 消防庁

ACLS ガイドラインは 5 年ごとに改変 更新されている Key changes from the 2005 ACLS Guidelines CPR の質 カプノグラフィー 2010 年 2

目 次 1. 研究者名簿 2 2. 分担研究報告書 研究要旨 3 A. 研究目的 3 B. 研究方法 3 C. 研究結果 4 D. 考察 4 E. 結論 4 F. 健康危険情報 4 G. 研究発表 4 H. 知的財産権の出願 登録情報 4 谷川 1

千葉夏号 Vol.43 発行所 / 日本赤十字社千葉県支部 千葉市中央区千葉港 5-7 TEL FAX

スライド 1

心房細動1章[ ].indd

Microsoft Word - 興生ICLSコーステキスト改訂7版.doc

目次 第 1 節救急業務の理解 1 1. 救急業務における通信指令員の役割 1 (1) 心停止の予防 1 (2) 心停止の認識と早期通報 3 (3) 口頭指導 3 2. 救急業務の現状 4 (1) 救急搬送件数と将来推計 4 ア救急 救助に関する通報の状況 4 イ救急件数 搬送人員の推移 5 ウ平成

<4D F736F F D F9D95618ED282CC94C EF393FC82EA8EC08E7B8AEE8F C9F93A289EF95F18D908F B A97768E862E646F6378>

PowerPoint プレゼンテーション

救急の定義等 救急業務救急業務とは 災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入りする場所において生じた事故 又は政令で定める場合における災害による事故等に準ずる事故その他の事由で政令で定めるものによる傷病者のうち 医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを 救急隊によって医療機関そ

目 次 1. 研究者名簿 2 2. 分担研究報告書 研究要旨 3 A. 研究目的 3 B. 研究方法 3 C. 研究結果 4 D. 考察 4 E. 結論 4 F. 健康危険情報 4 G. 研究発表 4 H. 知的財産権の出願 登録情報 4 谷川 1

Microsoft Word (長谷)

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

埼玉県東部地域 MC 協議会 院外心肺停止プロトコール 平成 28 年 7 月 7 日改訂 活動時間の目安 0:00 傷病者接触 C P A C P R 開始 A E D 装着 解 析 1 ショック適応 ショック非適応 ガ イ ド ショック実施 1 特定行為指示要請収容依頼 器具を用いた気道確保の実

<4D F736F F D E835A83588A948EAE89EF8ED C091538CA48F4389EF838C837C815B E646F6378>

1. 平成 22 年中の火災概要 平成 22 年中の火災件数は100 件であり 昨年の124 件と比較し 24 件の減少になります 月平均では1ヶ月当り8 件の火災が発生しており 1 週間では1.6 件の火災が発生したことになります 火災の種別ごとの発生件数は 建物火災 46 件 林野火災 6 件

<4D F736F F D E58B4B96CD93C18EEA8DD08A518E9E82C982A882AF82E98D4C88E68D718BF38FC E89878EC08E7B97768D6A>

578 Vol. 130 (2010) Fig. 1. Cardiopulmonary Resuscitation (CPR) Procedures in Daini Okamoto General Hospital の確認を行うこととなる (Fig. 1). 3. CPR 対応までの流れ病院での


PowerPoint プレゼンテーション

統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る


Microsoft PowerPoint - 【資料3】届出マニュアル改訂について

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

もくじ 目的 P. 3 指導の原則 P. 3 指導内容一覧 P. 4 開会式 一次救命処置 P. 6 気管挿管と除細動 P. 10 気管挿管と気道管理 P. 10 除細動と心停止時のモニター診断 P. 15 心停止への対応 1 P. 18 心停止アルゴリズム解説 P. 18 実習 P. 20 内科救

<944D92868FC75F8F578C D834F F E F1817A35302E786C736D>

平成 23 年度 ( 財 ) 救急振興財団調査研究助成事業 通報内容における院外心肺停止のキーワードに沿った胸骨圧迫の口頭指導のありかたに関する研究 研究報告書 奈良県立医科大学救急医学教室 福島英賢

Clinical Training 2007

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

平成 28 年 4 月 1 日現在の救急業務実施体制 消防本部数 救急業務実施市町村 救急業務未実施町村 救急隊数うち救急救命士運用隊数 救急隊員数 救急救命士資格を保有している消防職員数うち救急隊員として活動している救急救命士数 733 本部 第 1 表参照 1,690 市町村 第 3 表参照 2

4 年齢階級別の死因山形県の平成 28 年の死因順位は 20 歳から 34 歳までの各階級において自殺が1 位となっているほか 64 歳までの各階級においても死因順位の上位にあり おおむね全国と同様の傾向が見られます < 表 7> 年齢階級別の死因順位 死亡者数 ( 山形県 ) 年齢階級 総死亡者数

学校内での蘇生は若い人が主な対象であり 比較的健康な集団であるのが特徴である し かし既往に心臓病や不整脈の症状がある人もおり 普段は正常でもスポーツ時 課外活動な どで重い病状が出ることがある また後述するように野球 サッカーのような球技で胸にボしんとうールが当たり 心臓震盪で急変し 心停止に至る

高松市消防局庁達 11 号 各 課 各消防署 高松市応急手当普及啓発活動実施要綱を次のとおり改める 平成 28 年 12 月 1 日 高松市消防局長河西洋一 高松市応急手当普及啓発活動実施要綱 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 ) 第 2 章普及啓発活動 ( 第 2 条 - 第 10 条 ) 第

Transcription:

心肺機能停止傷病者の救命率等の状況 総務省消防庁救急企画室 1

はじめに ウツタイン様式 とは 心肺機能停止症例をその原因別( 心臓に原因があるものかそれ以外か ) に分類するとともに 心肺停止時点の目撃の有無 バイスタンダー ( その場に居合わせた人 ) や救急隊員による心肺蘇生の有無やその開始時期 初期心電図の波形や除細動の有無などに応じて傷病者の経過を詳細に記録することにより 地域間 国際間での蘇生率等の統計比較を可能とする調査統計様式であり 1990 年にノルウェーの ウツタイン修道院 で開催された国際蘇生会議において提唱されたものである 消防庁では 平成 17 年 1 月より 救急救命処置等による救命効果の客観的 医学的な把握や評価 地域間 国際間の比較 検証をより正確に行うため 消防庁救急調査オンライン処理システムにて収集を実施している 平成 18 年 9 月には 平成 17 年 (2005 年 ) 中のデータを基に様々な条件下での救急救命処置の生存率への効果の分析を行い 暫定的な結果を試行解析例としてとりまとめ また 平成 19 年 9 月には 平成 17 年 (2005 年 ) 中のデータ及び平成 18 年 (2006 年 ) 中の速報データを基に 結果をとりまとめたところである しかしながら 平成 19 年度に発足した ウツタイン統計活用検討会 において データのクリーニング方法や公表のあり方について さらに検討を進めるべきであるとの指摘がなされ 消防庁としては 平成 20 年度に 救急統計活用検討会ウツタイン統計作業部会 を設置し 引き続き検討を実施している 平成 20 年度の検討の中で より質の高いウツタイン統計データを確保するために データのクリーニングについての基本方針が示されたことを受け 消防庁としては 平成 17 年 (2005 年 ) からの全てのウツタインデータを改めて見直し 全てのウツタイン統計データの再集計を行った さらに 救急救命士が行う救急救命処置の効果等について データに基づくより適切な客観的評価を行っていくために 1 か月後の生存率だけではなく 新たに 社会復帰率等を集計し その結果について 取りまとめたものである 2

目 次 はじめに 2 第一章用語の定義及び収集方法について 1. ウツタイン様式とは 6 2. 各用語の定義について 6 3. 収集方法 データクリーニング基本方針について 9 第二章集計結果について 総論 1. 収集データ数について 11 2. 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例 12 3. 2. のうち 一般市民による応急手当の実施の有無別 12 4. 2. のうち 救急隊員による心肺蘇生の開始時点別 13 5. 2. のうち 救急隊活動時における除細動実施の有無別 14 6. 2. のうち 一般市民による除細動の実施の有無別 14 7. 2. のうち 都道府県別 (3か年集計値) 14 8. 全症例のうち 都道府県別の一般市民による除細動実施件数 15 各集計結果 ( 別紙 ) 1. 別紙 1 心肺機能停止傷病者全搬送人員のうち 性別件数 2. 別紙 1-1 心肺機能停止傷病者全搬送人員のうち 年齢区分別件数 3. 別紙 1-2 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の性別及び年齢区分別件数と1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 3

4. 別紙 2 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された 症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 5. 別紙 2-1 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 初期心電図波形がVF 及び無脈性 VTであった症例の 1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 6. 別紙 3 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 一般市民による応急手当が行われた場合の1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 7. 別紙 3-1 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 初期心電図波形がVF 及び無脈性 VTであった症例の一般市民による応急手当が行われた場合の1か月後生存率及び 1か月後社会復帰率 8. 別紙 4 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 救急隊員による心肺蘇生の開始時点における1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 9. 別紙 4-1 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 初期心電図波形がVF 及び無脈性 VTであった症例の救急隊員による心肺蘇生の開始時点における1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 10. 別紙 4-2 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 救急隊員による心肺蘇生の開始時点における1か月後生存率及び1か月後社会復帰率及び心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 初期心電図波形がVF 及び無脈性 VTであった症例の救急隊員による心肺蘇生の開始時点における1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 (3か年集計) 11. 別紙 5 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 救急隊活動時における除細動実施症例の1か月後 生存率及び 1 か月後社会復帰率 4

12. 別紙 5-1 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 初期心電図波形がVF 及び無脈性 VTであった症例の救急隊活動時における除細動実施症例の1か月後生存率及び1 か月後社会復帰率 13. 別紙 6 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 一般市民による除細動が行われた場合の1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 14. 別紙 6-1 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 初期心電図波形がVF 及び無脈性 VTであった症例の一般市民による除細動が行われた場合の1か月後生存率及び1 か月後社会復帰率 15. 別紙 7 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の1か月後生存率及び1か月後社会復帰率 (3か年集計 都道府県別 ) 16. 別紙 7-1 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち 初期心電図波形がVF 及び無脈性 VTであった症例の1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 (3 か年集計 都道府県別 ) 17. 別紙 8 心肺機能停止傷病者全搬送人員のうち 一般市民により除細動が実施された件数 ( 都道府県別 ) 5

第一章 用語の定義及び収集方法について 1. ウツタイン様式とは ウツタイン様式 とは 心肺機能停止症例について地域間 国際間での蘇生率等の統計比較を可能とするために その原因別 ( 心臓に原因があるものかそれ以外か) の分類 心肺機能停止時点の目撃の有無 バイスタンダー ( その場に居合わせた人 ) や救急隊員による心肺蘇生の有無やその開始時期 除細動の有無などに応じた傷病者の経過の記録に関するガイドライン 1990 年にノルウェーの ウツタイン修道院 で開催された国際蘇生会議において提唱されたことからこのように呼ばれる 救急搬送の対象となった心肺機能停止症例について 海外では 都市や地域単位 病院単位で導入した例はあるものの 国単位で情報収集するのはわが国が初めてである 2. 各用語の定義について 心肺機能停止脈拍が触知出来ない 反応が無い ( 意識が無い ) 無呼吸あるいはあえぎ呼吸( 死戦期呼吸 ) で 確認される心臓機能の機械的な活動の停止をいう VF VT( 脈なし ) 症例 VF: 心室細動 (Ventricular Fibrillation) VT( 脈なし ): 無脈性心室頻拍 (Pulseless Ventricular Tachycardia) AED AED: 自動体外式除細動器 (Automated External Defibrillator) 小型の機器で 傷病者の胸に貼ったパッドから自動的に心臓の状態を判断し もし心室細動や無脈性心室頻拍の不整脈があったと判断された場合は 電気ショックを心臓に与える機能を持っている 6

一般市民による応急手当胸骨圧迫 人工呼吸等の心肺蘇生法及びAEDによる除細動の実施をいう 胸骨圧迫 人工呼吸 除細動のいずれかが実施された場合に 一般市民による応急手当あり としている 一般市民による目撃心肺機能停止の瞬間を目撃 または音を聞いた人のことをいう 目撃 または音を聞いた に該当する例は 次のとおりである 家族の目前で 倒れた ぐったりした 等 また 物音を聞いてすぐに駆けつけたところ倒れていた場合 交通事故等の目撃者からの通報で 救急隊 ( 救急隊と連携して出場した消防隊も含む 以下同じ ) 到着時には心肺機能停止状態であった場合 通報時 通報者が生存を確認できたが 救急隊到着時には心肺機能停止状態であった場合 除細動実施症例 AED 又は除細動器において 除細動が必要と判断され 実施したもの 除細動未実施症例 AED 又は除細動器において 除細動が必要でないと判断されたもの 又は A EDを装着していないもの 救急隊等救急隊もしくは救急隊と連携して出場した消防隊をいう 初期心電図波形救急隊等が傷病者に接触し 最初に確認した心電図波形をいう 救急隊到着前に 一般市民により除細動が行われ 傷病者の心拍が再開した症例については 心電図波形上 VF VT( 脈なし ) が救急隊によって確認されないため 初期心電図波形が VF VT( 脈なし ) には含まれない 7

社会復帰者脳機能カテゴリー (CPC) 全身機能カテゴリー(OPC) が共に1 又は2であったものをいう CPC OPC グラスゴー ピッツバーグ脳機能 全身機能カテゴリー (The Glasgow Pittsburg Outcome Categories) は 心肺蘇生が成功した傷病者のその後の生活の質 (QOL: Quality of Life) を評価するために広く用いられている分類法であり その項目は 以下のとおりである 脳機能カテゴリー (CPC:Cerebral Performance Categories) 脳に関する機能を評価する分類法をいう 全身機能カテゴリー (0PC:Overall Performance Categories) 脳および脳以外の状態も類別し 身体全体としての機能を評価する分類法をいう 脳機能カテゴリー (CPC) (1) CPC1: 機能良好意識は清明 普通の生活ができ 労働が可能である 障害があるが軽度の構音障害 脳神経障害 不完全麻痺などの軽い神経障害あるいは精神障害まで (2) CPC2: 中等度障害意識あり 保護された状況でパートタイムの仕事ができ 介助なしに着替え 旅行 炊事などの日常生活ができる 片麻痺 痙攣失調 構音障害 嚥下障害 記銘力障害 精神障害など (3) CPC3: 高度障害意識あり 脳の障害により 日常生活に介助を必要とする 少なくとも認識力は低下している 高度な記銘力障害や痴呆 Lookedin 症候群のように目でのみ意思表示ができるなど (4) CPC4: 昏睡昏睡 植物状態 意識レベルは低下 認識力欠如 周囲との会話や精神的交流も欠如 (5) CPC5: 死亡 若しくは脳死 全身機能カテゴリー (OPC) (1) OPC1: 機能良好健康で意識清明 正常な生活を営む CPC1であるとともに脳以外の原因による軽度の障害 (2) OPC2: 中等度障害意識あり CPC2の状態 あるいは脳以外の原因による中等度の障害 若しくは両者の合併 介助なしに着替え 旅行 炊事などの日常生活ができる 保護された状況でパートタイムの仕事ができるが厳しい仕事はできない (3) OPC3: 高度障害意識あり CPC3の状態 あるいは脳以外の原因による高度の障害 若しくは両者の合併 日常生活に介助が必要 (4) OPC4: 昏睡 CPC4に同じ (5) OPC5: 死亡 もしくは脳死 CPC5に同じ 8

3. 収集方法 データクリーニング基本方針について 収集方法全国の消防本部が ウツタイン様式オンライン入力要領 に従ってデータを収集し 収集したデータを次のいずれかの方法により消防庁システムへ登録する ア ) 消防庁オンラインシステムの登録画面にデータを直接入力し そのデータを登録する イ ) 国が提供している 救急調査オフライン処理システム の登録画面にデータを入力し そのデータを消防庁オンラインシステムに登録する ウ ) 消防本部が独自に保有する統計システムを用いてデータを入力し 消防庁オンラインシステムに整合するようにデータ変換したものを登録する 収集項目 事例 No 発生年月日 年 月 日 性別 男 女 年齢 救急救命士乗車 あり なし 医師の乗車 あり なし 医師の2 次救命処置 あり なし 1. 心停止の目撃 目撃 または音を聞いた 時 分 家族 その他のバイスタンダー ( 友人 同僚 通行人 その他 ) 消防隊 救急隊 ( 救急救命士隊 ) 既に心肺機能停止 ( 発見時 ) 2. バイスタンダー CPR あり ( 心臓マッサージ 人工呼吸 市民等による除細動 ) なし バイスタンダー CPRまたは市民等による除細動開始時刻 時 分 確定 推定 不明 口頭指導あり 3. 初期心電図波形 VF( 心室細動 ) Pulseless VT( 無脈性心室頻拍 ) PEA( 無脈性電気的活動 ) 心静止 その他 ( ) 4. 救急救命処置等の内容 除細動 ( 二相性 単相性 ) 初回除細動実施時刻 時 分施行回数 回 実施者 救急救命士 救急隊員 消防職員 その他 気道確保 特定行為器具使用 ( LM 食道閉鎖式エアウェイ 気管内チューブ ) 静脈路確保 薬剤投与 初回投与時刻 時 分投与回数 回 5. 時間経過 覚知 時 分現着 時 分 接触 時 分 CPR 開始 時 分病院収容 時 分 6. 心停止の推定原因 心原性 : 確定 除外診断による心原性 非心原性 : 脳血管障害 呼吸器系疾患 悪性腫瘍 外因性 その他 ( ) 7. 転帰及び予後 病院収容前の心拍再開 あり なし初回心拍再開時刻 時 分 1ヶ月予後 ( 回答 : あり なし ) 1ヶ月生存 あり なし 脳機能カテゴリー (CPC) CPC1 機能良好 CPC2 中等度障害 CPC3 高度障害 CPC4 昏睡 CPC5 死亡 もしくは脳死 全身機能カテゴリー (OPC) OPC1 機能良好 OPC2 中等度障害 OPC3 高度障害 OPC4 昏睡 OPC5 死亡 もしくは脳死 9

データクリーニング基本方針 報告のあったデータを以下の方針に基づき 精査し 平成 17 年からの全てのウツタインデータを改めて見直し 全てのウツタイン統計データの再集計を行った ア ) システムやコンバートによるエラーであることが明らかであるものについては 修正可能であれば修正 又は 各消防本部に確認し修正する イ ) 各消防本部別 各項目別のエラー件数が それぞれの消防本部における心肺機能停止症例数からみて25% 以上だった場合 当該消防本部に確認し修正する ウ ) 最終的には都道府県にてデータを確認 10

第二章 集計結果について 1. 収集データ数について心肺機能停止傷病者全搬送人員のうち 心原性の心肺機能停止症例 さらにそのうち 一般市民により目撃があった症例の3か年の推移は以下のとおりである 心肺機能停止傷病者全搬送人員数 うち 心原性の心肺機能停止症例 2005 年 102,738 56,412 54.9% 17,882 17.4% 2006 年 105,942 57,182 54.0% 18,897 17.8% 2007 年 109,461 59,001 53.9% 19,707 18.0% 心肺機能停止傷病者全搬送人員の性別 年齢区分別にみると 性別では 男性が約 6 割を占めており 年齢区分別では 80 歳代が最も多くなっている ( 別表 1 及び 1-1 参照 ) また 心原性かつ一般市民に目撃された症例によると 症例数では 80 歳代が最も多く 生存率では 10 歳代が最も高くなっている ( 別表 1-2 参照 ) 割合 うち 心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例 男女合計 2005 年 61,375 41,363 102,738 2006 年 62,908 43,034 105,942 2007 年 64,086 45,375 109,461 割合 2005 年 2006 年 2007 年合計 0~9 1,304 1,276 1,592 4,172 10~19 874 879 884 2,637 年齢区分 20~29 2,217 2,259 2,158 6,634 30~39 3,116 3,328 3,359 9,803 40~49 4,699 4,680 4,875 14,254 50~59 10,022 10,448 10,137 30,607 60~69 15,821 15,610 15,778 47,209 70~79 26,560 27,009 27,159 80,728 80~89 27,567 28,962 30,848 87,377 90~99 10,222 11,119 12,143 33,484 100~ 335 371 466 1,172 その他 1 1 62 64 合計 102,738 105,942 109,461 318,141 11

3 か年集計 年齢区分 合計 総件数 心原性かつ一般市民により目撃あり症例数 人数 うち 男性 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 1 か月後生存率 1 か月後社会復帰率 うち 女性 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 1 か月後生存率 1 か月後社会復帰率 0~9 4,172 268 154 22 14.3% 13 8.4% 114 17 14.9% 5 4.4% 10~19 2,637 263 192 65 33.9% 42 21.9% 71 27 38.0% 19 26.8% 20~29 6,634 515 416 78 18.8% 54 13.0% 99 22 22.2% 13 13.1% 30~39 9,803 1,240 992 181 18.2% 123 12.4% 248 50 20.2% 35 14.1% 40~49 14,254 2,366 1,885 295 15.6% 208 11.0% 481 86 17.9% 52 10.8% 50~59 30,607 5,833 4,664 741 15.9% 479 10.3% 1,169 154 13.2% 85 7.3% 60~69 47,209 9,333 7,127 961 13. 5% 536 7.5% 2,206 222 10.1% 106 4.8% 70~79 80,728 15,008 10,198 787 7.7% 351 3.4% 4,810 316 6.6% 143 3.0% 80~89 87,377 15,154 7,794 384 4.9% 119 1.5% 7,360 319 4.3% 114 1.5% 90~99 33,484 6,276 2,139 59 2.8% 22 1.0% 4,137 98 2.4% 32 0.8% 100~ 1,172 219 54 0 0.0% 0 0.0% 165 1 0.6% 0 0.0% その他 64 11 7 1-1 - 4 0-0 318,141 56,486 35,622 3,574 10.0% 1,948 5.5% 20,864 1,312 6.3% 604 2.9% 人数 - 2. 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例一般市民により目撃された心原性症例のうちの1か月後生存者数及び1か月後社会復帰者数について3か年の推移は以下のとおり年々その割合が上昇している ( 別紙 2 及び2-1 参照 ) 心原性でかつ心肺機能停止の時点が 一般市民により目撃された症例 1か月後生存者数 1か月後生存率 1か月後社会復帰者数 1か月後社会復帰率 2005 年 17,882 1,282 7.2% 587 3.3% 2006 年 18,897 1,591 8.4% 768 4.1% 2007 年 19,707 2,013 10.2% 1,195 6.1% 3. 2. のうち 一般市民による応急手当の実施の有無別一般市民による応急手当が行われた場合の 1 か月後生存率は 2005 年 8.6% 2006 年 10.1% 2007 年 12.2% で 行われなかった場合と比べて それぞれ約 1.4 倍 (2.4 ポイント ) 約 1.4 倍 (2.9 ポイント ) 約 1.5 倍 (3.8 ポイント ) 高くなっている ( 別紙 3 及び 3-1 参照 ) 心原性でかつ心肺停止の時点が一般市民により目撃された症例 うち 一般市民による応急処置あり 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 うち 一般市民による応急処置なし 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 1 か月後生存率 1 か月後社会復帰率 1 か月後生存率 1 か月後社会復帰率 2005 年 17,882 7,335 631 8.6% 334 4.6% 10,547 651 6.2% 253 2.4% 2006 年 18,897 8,108 819 10.1% 456 5.6% 10,789 772 7.2% 312 2.9% 2007 年 19,707 9,376 1,141 12.2% 738 7.9% 10,330 872 8.4% 457 4.4% 12

4. 2. のうち 救急隊員による心肺蘇生の開始時点における時間区分別 救急隊員による心肺蘇生の開始時点についてみると 心肺機能停止時点が目 撃されてから3 分以内なら1か月後生存率は 2005 年 11.3% 2006 年 12.6% 2007 年 14.5% に対し 15 分以上なら 2005 年 2.9% 2006 年 3.1% 2007 年 4.8% となっており 早期の心肺蘇生の重要性が明らかとなっている ( 別紙 4 及び 4-1 4-2 参照 ) 救急隊員による心肺蘇生の開始時点における時間区分ごとの件数 2005 年データ 1か月後生存者数 1か月後社会復帰者数 1か月後生存率 1か月後社会復帰率 3 分以内 1,226 138 11.3% 81 6.6% 3 分 ~5 分 1,084 117 10.8% 60 5.5% 5 分 ~10 分 5,401 527 9.8% 247 4.6% 10~15 分 5,701 348 6.1% 137 2.4% 15 分以上救急隊によるCPRなし 4,373 46 129 2.9% 44 1.0% 不明 51 救急隊員による心肺蘇生の開始時点における時間区分ごとの件数 2006 年データ 1か月後生存者数 1か月後社会復帰者数 1か月後生存率 1か月後社会復帰率 3 分以内 1,377 174 12.6% 101 7.3% 3 分 ~5 分 1,278 149 11.7% 78 6.1% 5 分 ~10 分 5,793 654 11.3% 322 5.6% 10~15 分 5,903 414 7.0% 175 3.0% 15 分以上 4,417 139 3.1% 42 1.0% 救急隊によるCPRなし 103 不明 26 救急隊員による心肺蘇生の開始時点における時間区分ごとの件数 2007 年データ 1か月後生存者数 1か月後社会復帰者数 1か月後生存率 1か月後社会復帰率 3 分以内 1,341 194 14.5% 117 8.7% 3 分 ~ 5 分 ~10 分 5,909 769 13.0% 469 7.9% 10~ 15 分 5 分 1,223 150 12.3% 90 7.4% 15 分 5,924 477 8.1% 254 4.3% 以上 4,522 216 4.8% 90 2.0% 救急隊によるCPRなし 698 不明 90 13

5. 2. のうち 救急隊活動時における除細動実施の有無別救急隊活動時における除細動実施症例の1か月後生存率は 2005 年 17.6% 2006 年 20.3% 2007 年 24.1% であり 行われなかった場合と比べて それぞれ約 5.2 倍 (14.2 ポイント ) 約 5.3 倍 (16.5 ポイント ) 約 4.7 倍 (19.0 ポイント ) 高くなっている ( 別紙 5 及び 5-1 参照 ) 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例 うち 救急隊活動時における除細動実施数 うち 救急隊活動時における除細動未実施数 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 1 か月後生存率 1 か月後社会復帰率 1 か月後生存率 1 か月後社会復帰率 2005 年 17,882 4,770 838 17.6% 436 9.1% 13,112 444 3.4% 151 1.2% 2006 年 18,897 5,309 1,076 20.3% 568 10.7% 13,588 515 3.8% 200 1.5% 2007 年 19,707 5,367 1,291 24.1% 845 15.7% 13,843 702 5.1% 341 2.5% 6. 2. のうち 一般市民による除細動の実施の有無別一般市民による除細動が行われた場合の1か月後生存率は 2005 年 26.1% 2006 年 33.3% 2007 年 42.5% で 行われなかった場合と比べて それぞれ約 3.8 倍 (19.0 ポイント ) 約 4.1 倍 (25.1 ポイント ) 約 4.4 倍 (32.8 ポイント ) 高くなっている ( 別紙 6 及び 6-1 参照 ) 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例 うち 一般市民による除細動が実施された件数 うち 一般市民による除細動が実施されなかった件数 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 1 か月後生存者数 1 か月後社会復帰者数 200 1か月後 1か月後 1か月後 1か月後 生存率 社会復帰率 生存率 社会復帰率 5 年 17,882 46 12 26.1% 11 23.9% 17,836 1,270 7.1% 576 3.2% 2006 年 18,897 144 48 33.3% 42 29.2% 18,753 1,543 8.2% 726 3.9% 2007 年 19,707 287 122 42.5% 102 35.5% 19,420 1,891 9.7% 1,093 5.6% 7. 2. のうち 都道府県別 (3か年集計値) ウツタイン様式の導入にあたっては その効果のひとつとして各地域の救急医療システムの比較が可能になるということがあるが 一般市民により目撃された心原性症例のうちの 1 か月後生存率及び社会復帰率について都道府県別に集計すると 母集団が少ない都道府県があるため データのブレが大きく適切な比較ができないという問題があるところ 14

そのため 今回 3か年分のデータを合わせて都道府県別に集計しましたが 都道府県別で正確な比較をするには まだまだ母集団が少ないこと 更にデータの精度を向上させる必要があること等から 救急統計活用検討会ウツタイン統計作業部会において 都道府県別に単純比較を行うことについては適切でないと指摘されているところであり データを活用する際には十分に注意を払う必要がある さらに都道府県別の母集団が少なくなるため また 救急隊到着前に 一般市民により除細動が行われ 傷病者の心拍が再開した症例については除かれるため データの取り扱いには 一層注意を払う必要があるが データの精度を標準化する目的で 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT 症例のものについても都道府県別に集計を行っている ( 別紙 7 及び 7-1 参照 ) 8. 全症例のうち 都道府県別の一般市民による除細動実施件数年々 AED( 自動体外式除細動器 ) が公共施設や事業所等さまざまな個所に配備されてきていることから 一般市民による除細動の件数は 2005 年の 92 件 2006 年 264 件 2007 年 486 件と着実に増加している ( 別紙 8 参照 ) 15

別紙 1 心肺機能停止傷病者全搬送人員のうち 性別件数 1

別紙 1 1 心肺機能停止傷病者全搬送人員のうち 年齢区分別件数 3 か年集計 2

別紙 1 2 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の性別及び年齢区分別件数と 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 男性 女性 3

別紙 2 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 4

別紙 2 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の 1 ヶ月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 5

別紙 2 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 6

別紙 2 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 2005 年 7

別紙 2 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 2006 年 8

別紙 2 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 2007 年 9

別紙 3 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による応急手当が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 10

別紙 3 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による応急手当が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 11

別紙 3 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による応急手当が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 12

別紙 3 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による応急手当が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 13

別紙 3 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による応急手当が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 14

別紙 3 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による応急手当が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 15

別紙 4 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 16

別紙 4 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 17

別紙 4 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 18

別紙 4 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 19

別紙 4 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 20

別紙 4 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 21

別紙 4 2 心肺機能停止が目撃された時点から救急隊による心肺蘇生が開始された時間区分別 ( 三か年集計 ) 一般市民により心肺機能停止の時点が目撃された心原性の心肺機能停止症例のうち 救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 (2005 年 ~2007 年の 3 か年分 ) 上記のうち 初期心電図波形が VF 及び VT であった症例の救急隊員による心肺蘇生の開始時点における 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 (2005 年 ~2007 年の 3 か年分 ) 22

別紙 5 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊活動時における除細動実施症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 23

別紙 5 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊活動時における除細動実施症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 24

別紙 5 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊活動時における除細動実施症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 25

別紙 5 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊活動時における除細動実施症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 26

別紙 5 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊活動時における除細動実施症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 27

別紙 5 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち救急隊活動時における除細動実施症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 28

別紙 6 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による除細動が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 29

別紙 6 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による除細動が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 30

別紙 6 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による除細動が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 31

別紙 6 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2005 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による除細動が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 32

別紙 6 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2006 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による除細動が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 33

別紙 6 1 初期心電図波形が VF 又は無脈性 VT であったもの 2007 年 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例のうち一般市民による除細動が行われた場合の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 34

別紙 7 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 (3 か年集計 都道府県別 ) 35

別紙 7 詳細 36

別紙 7 1 心原性でかつ心肺機能停止の時点が一般市民により目撃された初期心電図波形が VF 又は VT( 脈なし ) 症例の 1 か月後生存率及び 1 か月後社会復帰率 (3 か年集計 都道府県別 ) 37

別紙 7 1 詳細 38

別紙 8 心肺機能停止傷病者全搬送人員のうち 一般市民により除細動が実施された件数 ( 都道府県別 ) 39