土木学会論文集 A1( 構造 地震工学 Vol. ), 73, No. 1, , 鋼床版縦横リブ交差部構造の高疲労強度化 横関耕一 1 横山薫 2 冨永知徳 3 三木千壽 4 1 正会員新日鐵住金鉄鋼研究所鋼構造研究部 ( 千葉県富津市新富 20-1) E

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鋼床版縦横リブ交差部構造の高疲労強度化 横関耕一 1 横山薫 2 冨永知徳 3 三木千壽 4 1 正会員新日鐵住金鉄鋼研究所鋼構造研究部 ( 293-8511 千葉県富津市新富 2-1) E-mail: okoeki.4dg.kohichi@jp.nssmc.com 2 正会員東京都市大学講師総合研究所 ( 158-82 東京都世田谷区等々力 8 丁目 15-1) E-mail: okoama@tcu.ac.jp 3 正会員新日鐵住金鉄鋼研究所鋼構造研究部 ( 293-8511 千葉県富津市新富 2-1) E-mail: tominaga.q4n.tomonori@jp.nssmc.com 4 フェロー会員東京都市大学学長 ( 158-8557 東京都世田谷区玉堤 1 丁目 28-1) E-mail: cmiki@tcu.ac.jp 高疲労強度の鋼床版縦横リブ交差部を見いだすため, 縦リブ形状および横リブスリット有無を変更したいくつかの交差部を対象に, 有限要素解析 (FEA) を用いて, 疲労に対して支配的となる載荷位置を確かめたうえで疲労強度を評価 比較した. その結果, 何れの交差部形式でも支配的となる載荷ケースは, 着目する交差部直上を中心とした荷重配置ではないこと, 縦リブに U リブおよび平リブを用いた鋼床版では, 横リブウェブのスリット省略によって局部応力範囲が 75%,58% 低減されることがわかった. さらに U リブを同断面積の V リブに変更することで, スリットを省略した交差部の局部応力範囲が 39% 低減された. Ke Words : fatigue, orthotropic steel deck, load position, slit, local stress 1. はじめに鋼床版は長大橋や都市内高架橋等に多く使われている. しかし近年では, 重交通路線にある鋼床版において多数の疲労き裂発生が報告されており 1)~3), 対策が必要とされている. 実橋での調査 1) によれば, 疲労き裂発生個所は, 縦横リブ交差部が最も多く, 全体の4 割を占めており, 縦横リブ交差部における疲労対策は特に重要な課題と言える. そこで本研究では, 高疲労強度の縦横リブ交差部を見いだすため, 鋼床版縦横リブ交差部の疲労性能に及ぼす縦リブ形状とスリット有無の影響を評価した. 縦横リブ交差部では, 横リブを組立, 溶接する際の製作性を確保する目的 4) で横リブウェブの上下にスカラップを設けているが, その端部から多数の疲労き裂が発生している. 上側スカラップは, 疲労強度改善のために, 省略する構造が提案, 基準化された 5). 一方で下側スカラップ ( 以下, スリット ) 周辺の疲労強度改善のためには, スリット形状の変更 6)~8), 部材の付加 9)~11) などの提案がこれまでなされてきた. ここで, スリットを省略した構造 ( 以下, スリット無交差部 ) も, 溶接ギャップ管理等の製作管理をすることで製作可能である. スリット無交差部は, 縦リブをUもしくは平リブとしたどちらの場 合でも, スリット有交差部に比して発生応力が低減されると報告されており 12), 13), 疲労耐久性に優れることが期待できる. しかしながら, 既往の研究では, スリット有, 無とした各交差部の疲労にとって最も厳しい載荷状態が明らかにされていない. 縦横リブ交差部で発生する応力は, 着目する交差部を成すリブに対して直近の位置への載荷ではなく, 偏心載荷となるような離間した位置への載荷によって, 最大, 最小になる場合がある 14), 15). 実橋での載荷位置は様々となるが, 前記の載荷位置に載荷した場合の応力状態が支配的となり疲労損傷を発生させていると考えられる. これは縦横リブ交差部を成すリブでは面外変形が発生しているため 14), 16) と考えられる. これらの載荷位置を把握しないで行った疲労検討結果では, 疲労き裂発生位置も疲労強度も実橋と異なることは著者の一人によって1995 年に指摘されている 14). そこで本研究では, 縦リブ形状およびスリットの有無を変更したいくつかの構造を対象に, 載荷位置の移動を網羅的に考慮した有限要素解析 (FEA) によって最も厳しい載荷状態を明らかにしたうえで, 疲労強度の評価 比較を行うことを目的とした. 26

2. 評価に用いる応力と疲労設計曲線 本研究では, 様々な形状の縦横リブ交差部の疲労性能を評価, 比較するため, 継手形状による応力集中を考慮することができる構造ホットスポット応力 ( 以下, ホットスポット応力 ) を用いて溶接部の応力を評価した. ホットスポット応力は国際溶接学会の疲労設計指針 17) に従い, 次式によって算出した. 1.67 h 3..4t 4mm.67, 3. 1.t 8mm 1. 12mm, (1a) (1b) ここで, 右辺のは鋼板表面の溶接止端直角方向の応力, その添え字は止端から応力参照点までの距離,t は鋼板の板厚を示す. 式 (1a),(1b) はそれぞれ, 鋼板表面, 鋼板コバ面と溶接金属との交点からなる止端が対象である場合に用いた. 図 -1 中に前者を (A) または (), 後者を (B) で示す. 曲げ応力下にある溶接継手の疲労強度は膜応力下のそれに比して高くなることが知られ, これを疲労評価に反映するため, 曲げ応力を低減補正する場合がある. 低減係数として,Lotsberg and Sigurdsson 18) は試験結果から.6,Fischer and Fricke 19) はき裂進展解析から.7, 日本鋼構造協会の指針 ( 以下,JSS) 2) は設計計算に用いる値として.8を提案している. 本研究では安全側評価となる.8 を選択した. 疲労強度に及ぼす鋼板厚の影響は古くから検討されており, 多くの基準や指針に反映されている. しかし JSS 2) では, 板厚 tが25mmより厚い場合に,(t/25).25 によって疲労強度を割り戻すとしており, その他の基準や指針でも基準板厚より厚い板における疲労強度の減少のみを考慮するものが多い. 一方でGurne 21),Kihl and Sarkani 22), 第 4 著者ら 23) の検討では,25mmより薄い板において疲労強度の上昇が確認されている. そこで本研究では板厚効果を全板厚に適用することとした. 以上を考慮し, 本研究では下式によってホットスポット応力を補正した. 補正したホットスポット応力に対する疲労設計曲線は,JSS 2) を参考にE 等級とした. ' h h,m b.25 t / 25 m.8 b obv rev / 2 / 2 obv rev (2a) (2b) (2c) ここで, m, b はそれぞれ, ホットスポット応力の膜応力, 曲げ応力成分であり, obv, rev から算出した. obv, rev はそれぞれ表面, 裏面のホットスポット応力を表す. (A) (B) 図 -1 溶接止端の分類 表 -1 調査対象交差部とその解析モデル 交差部 / モデル名 縦リブ スリット 要素数 US U 有 92649 UN U 無 41752 VN V 無 2928 PS 平 有 52424 PN 平 無 32713 3. 縦横リブ交差部の解析方法 (1) モデル解析対象とする縦横リブ交差部は表 -1に示す5 形式である. 解析モデルの概要, 形状は図 -2, 図 -3に示す通りであり, モデルUS,UN,VNでは中央の縦リブと横リブとの交差部, モデルPS,PNでは主桁に隣接する縦リブを除いた4つの縦リブと横リブとの交差部を評価対象とした. モデルは各部材の変形を再現できるよう, 文献 24) を参考に縦リブ3 本以上, 横リブ3~4 本を含むようにした. さらに主桁の両端を単純支持し, 主桁のたわみが発生するようにした. 図 -4に縦横リブ交差部の詳細図を示す.U リブは国内で多く使われる幅 32, 高さ24, 板厚 6mmの断面とした. VリブはUリブで発生する断面せん断変形 12) の抑制を狙って用い, スリット無交差部のみ検討した.VリブはU リブと同等の板厚, 曲げ加工半径, 同程度の断面積となる断面とした. 平リブは, 国内で多く使われる高さ 23mm, 板厚 11mmのバルブリブと同程度の断面係数となる断面とした. ここで断面係数は縦リブとデッキプレート有効幅との合計断面の値を用いた. 本研究ではスリット無交差部の製作を可能にするため, バルブリブでなく平リブを用いた. 交差部 USのスリット形状は鋼道路橋の疲労設計指針 5) に記載される標準構造とした. 交差部 PSのスリット形状は, 既往の調査 25) を参考に, スリット下端での疲労損傷を抑える目的で半径を45mmとした. 閉断面リブを用いたモデルの横リブ間隔は, 一般的な寸法の最大である25mmとした. 一方で開断面リブを用いた鋼床版の横リブ間隔は, 閉断面リブを用いた鋼床版のそれに比して小さく,2mm 程度以下となる場合が多い. そこで, 開断面リブを用いたモデルでは, 一般的な横リブ間隔の範囲とし, かつモデル外寸を閉断面リブモデルと揃えるため, 横リブ間隔を1667mmとした. () 27

15 25 4 21 15 2 532=16 2 2 532=16 2 16 16 ソールプレート 単位 :mm 側面図 7 7 ダイアフラムスリット着目交差部 12 9 2 3 9 正面図 (US, UNの場合, ただしUNの場合はスリット無 ) 図 -2 モデルUS, UN, VN 16 3 16 3 着目交差部 3 9 正面図 (VNの場合) D B A 15 1667 1667 1667 15 12 2 532=16 2 12 2 532=16 2 D 単位 :mm 12 9 着目交差部 2 ソールプレート B A 3 9 側面図 B-B 断面 ( モデルPNの着目部 ) 図 -3 モデル PS, PN( 両モデルで形状は同一だが着目交差部が異なる ) 5 5 16 7 3 16 スリット着目交差部 3 9 A-A, -, D-D 断面 ( モデルPSの着目部 ) A1 (A2) 側面図正面図 (a) 交差部 USの詳細図, 着目溶接止端 6 32 R4 R66 24 2 A1 (A2) 16 16 B1 A1 (B2) (A2) (2) (1) R45 A2 A1 A1 (A2) 側面図正面図側面図正面図 (d) 交差部 PSの詳細図, 着目溶接止端 (e) 交差部 PNの詳細図, 着目溶接止端図 -4 縦横リブ交差部の詳細, 着目溶接止端 2 A2 1 A1 6 32 R4 側面図正面図 (b) 交差部 UNの詳細図, 着目溶接止端 24 2 1 32 R4 A1 A2 A1 (A2) 側面図正面図 (c) 交差部 VNの詳細図, 着目溶接止端 6 28 単位 :mm 括弧内は裏面の意味 U,Vリブ内には横リブ交差部から橋軸方向に4mm の位置に密閉ダイアフラムを設置した. 密閉ダイアフラムは現場継手部に防食の目的で設置されるものであり, 既往の縦横リブ交差部構造の応力を増加させることがわかっている 12). そこで本研究においても一般的な位置にダイアフラムを設置し, その影響を検討した. 溶接脚長は交差部 PNの縦リブと横リブとの溶接部では8mm, それ以外の箇所では6mmとした. 交差部 PNは, 溶接ギャップを2mmと通常より大きくすることで製作性を確保し, その際の溶接のど厚を確保するため溶接脚長を必要に応じて増加させることを想定した. アスファルト舗装が, 鋼床版の発生応力に影響を及ぼすことが分かっているが, 一方でその解析モデル中での考慮方法が十分に明らかでないことから, 本研究ではア スファルト舗装を考慮しないこととした. アスファルト舗装を考慮した場合には, 基本的には発生応力が減少するため, 本研究では安全側の検討を行ったと言える. (2) 着目する溶接止端各縦横リブ交差部に含まれる溶接止端のうち応力が集中する箇所 ( ホットスポット ) を図 -4に矢印で示し, A~の記号で名称付けた. 溶接止端に沿った複数の矢印は, 溶接止端に沿ったどこかがホットスポットとなることを示す. 縦リブと横リブとの溶接部の横リブ側止端を A, 縦リブ側止端をと定義し, 交差部 PSの場合には加えて, 横リブとデッキプレートとのまわし溶接部の横リブ側止端をBとした. 止端 Bと対になるデッキプレート側止端は, 疲労き裂発生がほとんど報告されていない 1) た 28

荷重モデル 着目交差部 荷重位置 単位 :mm (a) モデルUS,UN,VNに対する荷重位置図 -5 載荷位置 (b) モデル PS,PN に対する荷重位置 1.8 1 =18mm : 板厚重複部 : 溶接部 : 平板部 t : 板厚 a: 溶接脚長 t X シェル要素 t+a 支持点 節点 t+2a (a) 全体図 (b) 縦横リブ交差部 (X 部 ) 拡大 (c) 溶接部の板厚 図 -6 解析モデル PN の様子 め, 着目対象から除外した. (3) 載荷方法荷重は, 道路橋示方書 26) のT 荷重を参考に1kNとし, 図 -5に示すダブルタイヤを模した接地面へ等分布荷重で与えた.T 荷重は実際の車両が持つ複数の車軸を1 軸に集約して単純化したものであり, 実際の荷重とは異なるが, 本研究では載荷位置と着目部の応力との関係を明確にするため, 単純化した荷重モデルを用いた. 荷重の位置を図 -5(a),(b) の様に, 橋軸および橋軸直角方向に移動させた. 荷重の橋軸方向の位置は, 縦横リブ交差部を として, 解析モデル US,UN,VNの場合には ±12mmの区間を2mmピッチ, 解析モデルPS,PNの場合には ±8mmの区間を1mmピッチで動かした. 橋軸直角方向の位置は, 試験体中心をとして, 全ての解析モデルで,±8mm の区間を16mmピッチで動かした. ここで荷重の位置は, ダブルタイヤ荷重の中心を示す. 図 -6に有限要素モデルの様子を示す. 鋼の応力ひずみ関係は線形弾性とし, 弾性率は25kN/mm 2, ポアソン比は.3とした. 支持点は主桁端部の垂直補剛材と主桁下フランジとの交点とし, 橋軸および橋軸直角方向に単純支持となるようにした. 荷重はデッキプレート上面に圧力として与えた. 応力が集中すると考えられる着目溶接止端近傍の要素は, サイズを板厚の.2 倍, 形状を正方形に近づけるよう制御し, かつ要素の2 辺の方向が溶接止端の法線に近づくよう配置した ( 図 -6(b)). さらに着目溶接止端近傍では, 既往の検討 27) を参考に溶接部の板厚を増厚し, 剛性の変化を再現した ( 図 -6(c)). なお, モデルPSとPNは同形状だが, 着目部が異なるため, 要素形状が異なる別モデルである. ホットスポット応力を算出する際には, 内挿によって算出された節点位置での表面応力を参照し, 各表面応力の溶接止端法線方向成分を用いた. (4) 有限要素解析の条件前述のモデルを,4 節点低減積分シェル要素を用いてモデル化し,Abaqus6.13を用いて有限要素解析を行った. 29

交差部 PN の疲労強度 PR1 溶接止端 A1(' h ) PR1 溶接止端 A2(' h ) PR1 溶接止端 1(' h ) : 載荷ケース 1(' 1, u,' 1, b ) 載荷ケース 2(' 2, u,' 2, b ) 載荷ケース 3( 3, u, 3, b ) : 節点 1(' 1, 1 ) 節点 2(' 1, 2 ) 節点 3(' 1, 3 ) : (a) 最も疲労強度が低いと考えられる溶接止端の決定 (b) 最大, 最小載荷ケース決定 ' h =' ma -' min 図 -7 解析結果の整理方法 ( 交差部 PN の場合 ) (c) 溶接止端に沿ったホットスポット応力分布の最大, 最小値の決定 載荷ケース 1 ' 2,24 A1 ' 1,1 ' 1,24 ' 2,1 ' 1,2 ' 2,2 最大 (' 2 着目 ' 1,3 ' 2,3 h ' 最大 (' 1,u ) [N/mm 最小 (' 1,b ) 着目縦リブ最小 (' 2,b ) 2 単位 :mm 4 (a) 載荷ケース1での (b) 載荷ケース2での 載荷ケース2 ホットスポット応力分布 ホットスポット応力分布 図 -8 溶接止端に沿ったホットスポット応力分布からの最大および最小代表応力の選定 4. 解析結果と考察 (1) 解析結果の整理方法本研究では, 各交差部の疲労性能を図 -7に示す3つの過程によって評価した. 評価過程は, 交差部が含む複数の溶接止端のうち, 最も疲労強度が低いと考えられる溶接止端の選定 ( 図 -7(a)), 各溶接止端のホットスポット応力範囲を決定するための載荷位置の探索 ( 図 -7(b)), さらに各載荷ケースでの各溶接止端のホットスポット応力の決定 ( 図 -7(c)) から成る. 実際の評価は図 -7(c),(b), (a) の順で行った. 以下に各過程を詳述する. 図 -8に交差部 PNの溶接止端 A1が含む各節点で算出されたホットスポット応力を,2 つの載荷ケースの場合において示す. 載荷ケース1と 2とでは, 溶接止端に沿ったホットスポット応力分布が最大, 最小となる節点が異なった. このため, 着目節点を固定した場合には, ホットスポット応力の最大, 最小値を見逃してしまう. そこで本研究では溶接止端に沿ったホットスポット応力分布の最大, 最小値を溶接止端のホットスポット応力として扱うこととした. すなわち載荷ケースをi=1~n, 溶接止端が含む節点をj=1~mとすると, 各節点でのホットスポット応力 ' h の値は次式のn m 個が算出される. ' i, j ' ' ' 1,1 2,1 n,1, ', ', ' 1,2 2,2 n,2,.., ',.., ',.., ' 1, m, 2, m, n, m これらの値から次式の様に溶接止端に沿ったホットスポット応力の最大値 (' i, u ), 最小値 (' i, b ) を選出した. (3) ' ' i,u i,b ma ' min ' i,1 i,1, ', ' i,2 i,2,.., ',.., ' i, m i, m (4a) (4b) ただし着目溶接止端が図 -1に示した(B) の様に鋼板コバ面と溶接部との交点である場合は, 溶接止端に含まれる節点は1つであり,' i, u =' i, b =' i, 1 となる. 続いて,' i, u,' i, b を全載荷ケースで求め, 次式の様に移動載荷下で発生するホットスポット応力の最大値 (' ma ), 最小値 (' min ), 範囲 (' h ) を決定した. ' ' ma min ' ' h ma ' min ' ma 1,u 1,b ', ', ' min 2,u 2,b,.., ',.., ' n,b n,u (5a) (5b) (5c) 以降では' ma,' min を溶接止端の最大, 最小ホットスポット応力と呼称し, それらの応力を発生させる載荷ケースでの荷重の位置をPOS ma,pos min と呼称する. ここでPOS ma,pos min はダブルタイヤ荷重の載荷面の中心位置であり, その位置に荷重は存在しない. なお, 図 -8の載荷ケース1,2 はそれぞれ最大, 最小ホットスポット応力を発生させる載荷ケースであった. 以上で求まるホットスポット応力範囲は, 溶接止端に含まれる各節点において発生しうるホットスポット応力範囲と同じかより大きい値となる. しかし解析モデルでは厳密に再現しきれない実際の溶接止端において, 発生する応力範囲をどちらの手法で評価すべきかは明らかとなっていないため, 本研究では安全側の評価となる上式 (5c) を用いた. 21

-8 12 [mm] 8 着目交差部 -8 12 [mm] 8-8 12 [mm] 8 横リブ [mm] [mm] [mm] ダイアフラム -12-12 -12 着目溶接止端 (a) US, 止端 の影響面 (b) UN, 止端 2の影響面 (c) VN, 止端 2の影響面 ' h 1 POS ma ' ma を得る荷重の中心位置 ) -8 8 [mm] 8-8 8 [mm] 8-1 POS min ' min を得る荷重の中心位置 ) ダイアフラムが無い側にのみ移動載荷した場合の POS ma ダイアフラムが無い側にのみ移動載荷した場合の POS min [mm] -8 (d) PS, 止端 B2の影響面 [mm] -8 (e) PN, 止端 1の影響面 図 -9 縦横リブ交差部に含まれる溶接止端のホットスポット応力影響面 (2) 載荷位置と発生応力の関係図 -9に荷重の位置と溶接止端のホットスポット応力との関係 ( 影響面 ) を示す. 影響面の, 軸はダブルタイヤ荷重の中心位置, 軸は着目溶接止端の' i, u,' i, b のどちらか絶対値が大きい方とした. 着目溶接止端は交差部 PSを除いて, 縦横リブ溶接部の縦リブ側止端 (,1, 2), 交差部 PSでは横リブとデッキプレートとの溶接部の横リブ側止端 (B2) とした.(5) にて後述のように, これらの着目溶接止端は各モデル中でホットスポット応力範囲が最大となる溶接止端であった. 影響面に重ねて各溶接止端に対するPOS ma,pos min をそれぞれ実線の, で示す. スリット有交差部および交差部 UNでは,POS ma, POS min は, 着目する交差部の中心から橋軸方向にも橋軸直角方向にも離れた位置であり, かつ両者の橋軸直角方向の位置が異なった ( 図 -9(a),(b),(d)). 例えば交差部 USに対するPOS ma,pos min は縦リブ中心軸上から橋軸直角方向に ±32mm, 横リブから橋軸方向にダイアフラムがある側に8mmの位置であった ( 図 -9(a)). 一方で交差部 VN,PNでは,POS min は着目する縦リブの中心軸上となった. ただしPOS ma,pos min の橋軸直角方向の位置が異なる点は, 交差部 VN,PNでも同様であった. 何れの交差部形式においてもPOS ma,pos min の橋軸直 211

角方向の位置は異なった. このことから, 実橋の溶接止端に発生しうる応力範囲は定点疲労載荷試験や輪荷重走行試験では再現できないと言える. ここで輪荷重走行試験とは一定荷重を橋軸方向の1 線上に往復させながら載荷する疲労試験を指す. 例えば交差部 USの溶接止端 の場合, 最大ホットスポット応力を発生させる載荷ケースでの定点載荷で発生する' h は, 最大, 最小ホットスポット応力の両方を考慮した' h に比して56% しかなかった. 加えて, 交差部形式によってPOS ma,pos min が異なる位置であったことから, 縦横リブ交差部の構造を検討する場合には, 交差部形式ごとに着目溶接止端に対する POS ma,pos min を調査する必要があると言える. POS ma,pos min が着目する交差部の中心から橋軸方向にもその直角方向にも離間した位置となる場合があった. その要因は, 図 -11に示す縦リブの回転および断面変形や, 図 -12に示す横リブのせん断変形と考えられる. これらの変形については (4) にて後述する. [mm] -8 12 8 [mm] -12 1 (a) UN, 止端 1の影響面 -8 [mm] 8 着目交差部 ダイアフラム横リブ 2 着目溶接止端 (b) UN, 止端 2の影響面 (3) ダイアフラムが縦横リブ交差部の応力に及ぼす影響 Uリブを用いた交差部形式では, その溶接止端に発生する応力がダイアフラムの有無によって異なった. 前節 (2) に示した交差部 USの溶接止端 の影響面 ( 図 -9(a)) にダイアフラムが無い側のみで載荷位置を移動させた場合のPOS ma,pos min を点線の, で示す. ここでダイアフラムが無い側とは, 試験体を中央の横リブで分割した場合のダイアフラムが無い側半分を示す. ダイアフラムが無い側のPOS ma,pos min は橋軸直角方向に縦リブの中心軸上から +16mm,-32mmの位置であった. ダイアフラムが有る側のPOS ma,pos min は橋軸直角方向に縦リブの中心軸上から-32mm,+32mmの位置であり, ダイアフラムの有無によってPOS ma,pos min の縦リブに対する橋軸直角方向位置の符号が逆転していた. 図 -1(a),(b) に交差部 UNのダイアフラムがある側, 無い側の縦リブ側止端 (1,2) の影響面を示す. 後者は図 -9(b) と同じ図であるが, 比較のために再度示す. ダイアフラムがある側のPOS min は, 縦リブの中心軸上であったが, ダイアフラムが無い側のそれは縦リブの中心軸上から橋軸直角方向に16mm 離れた位置であった. 一方で交差部 VNの影響面にはダイアフラムの有無の影響がほとんど見られなかった. 図 -1(c),(d) に交差部 VNのダイアフラムがある側, 無い側の縦リブ側止端 (1, 2) の影響面を示す. どちらの溶接止端に対するPOS min も縦リブの中心軸上であった. 以上から,Uリブを用いた場合, 縦横リブ交差部の応力はダイアフラムの有無に影響されるが,Vリブを用いた場合には影響がほとんど無いと考えられる. この要因は, 縦リブにダイアフラムが無く, 縦リブに対して偏心載荷をした場合に,U リブは図 -11(f) の様に断面がひし形 -8 12 [mm] -12 1 (c) VN, 止端 1の影響面 ' h 1-1 [mm] 8-8 POS ma ' ma を得る荷重の中心位置 ) POS min ' min を得る荷重の中心位置 ) [mm] 8 2 (d) VN, 止端 2の影響面 図 -1 ダイアフラムの有無が影響面に及ぼす影響 212

ダイアフラム ダイアフラム 着目縦リブ (a) 載荷位置, 断面図位置 ( ダイアフラム有 ) 着目縦リブ (b) 載荷位置, 断面図位置 ( ダイアフラム無 ) 127-99 下フランジの変位 -3 16 =mm 断面 =-4mm 断面 =-8mm 断面 =mm 断面 =4mm 断面 =8mm 断面 (c) 交差部 USの変形状態 ( ダイアフラム有 ) (d) 交差部 USの変形状態 ( ダイアフラム無 ) -26-29 -57 8 =mm 断面 =-4mm 断面 =-8mm 断面 =mm 断面 =4mm 断面 =8mm 断面 (e) 交差部 UNの変形状態 ( ダイアフラム有 ) (f) 交差部 UNの変形状態 ( ダイアフラム無 ) -23-23 =mm 断面 =-4mm 断面 =-8mm 断面 =mm 断面 =4mm 断面 =8mm 断面 (g) 交差部 VNの変形状態 ( ダイアフラム有 ) (h) 交差部 VNの変形状態 ( ダイアフラム無 ) 図 -11 閉断面縦リブを用いたモデルの変形状態 ( 変形表示倍率 :2) に変形するが,V リブは図 -11(h) の様に比較的, 断面形状を保持するためと考えられる. これらの断面変形と, その縦横リブ交差部の応力に及ぼす影響については次節 (4) にて後述する. (4) 各交差部の変形状態図 -11にモデルUS,UN,VNの偏心載荷時の変形図を示す. 載荷位置は交差部 USの止端 のホットスポット応力が最大 (=' ma ) となる位置, およびその横リブを挟んだ対称位置とした ( 図 -11(a),(b)). 変形図は横リブ位置 (=mm), 載荷位置 (=±8mm), それらの中間位置 (= ±4mm) の断面について示す. 横リブ位置の変形図中には溶接止端 の' i, u,' i, b のどちらか絶対値が大きい方の値も示す. 交差部 USの溶接止端 ではUリブ断面が回転するように変形した際に, スリット端部でUリブが面外変形し, ホットスポット応力が最大 (=' ma ) となった ( 図 -11(c)). =-4mm 断面では, 既往文献 12) と同様に, ダイアフラムによって断面形状が保持されたUリブが, 反時計まわりに回転する様に変形し,U リブ下フランジが 軸正方向に変位していた. 横リブ位置断面では, スリット端部でU リブが面外変形しており, 面外変形方向に応じて引張, 圧縮のホットスポット応力が発生していた. 以上から, 橋軸直角方向に変位するUリブを横リブが拘束するため, スリット端部に局所的なUリブの面外変形が起き, 溶接止端に大きな応力を発生させたと考えられる. このため,Uリブに対して偏心載荷するケースが溶接止端 に対するPOS ma,pos min となったと考えられる ( 図 -9(a)). 一方でダイアフラムが無い場合は,Uリブの断面がひし形にせん断変形していた ( 図 -11(d)).=4mm 断面ではUリブ断面がせん断変形し,U リブ下フランジはダイアフラムがある場合 ( 図 -11(c)) と逆に, 軸負方向に変位していた. ダイアフラムの有無によってU リブ下フランジの変位方向が逆転するため, ダイアフラムのある側と無い側の影響面は様子が異なり, 両領域でのPOS ma,pos min の橋軸直角方向の位置が逆転したと考えられる ( 図 -9(a)). 交差部 UNでは, 交差部 USで見られたスリット端部でのUリブの面外変形はなかったが, ダイアフラムの有無によって変形状態が異なる点は交差部 USと同様であった ( 図 -11(e),(f)). 横リブ位置ではスリットが無いため, 213

載荷位置 95-5 -8-67 着目縦リブ PR2 PR3 PR4 PR5 スリット両縁の変位差 (b) 交差部 PSの変形状態 (a) 載荷位置 -22-23 -19 13 PR2 PR3 PR4 PR5 (c) 交差部 PNの変形状態 図 -12 開断面縦リブを用いたモデルの変形状態 ( 変形表示倍率 :3) Uリブの面外変形は発生しなかった. ダイアフラムがある場合には左右のUリブ角部のホットスポット応力が近い値であった ( 図 -11(e)). 一方でダイアフラムが無い場合には=4mm 断面においてUリブ下フランジが 軸負向に変位しており, 横リブ交差部では 軸負側のUリブ角部に-57N/mm 2 と, ダイアフラムがある場合に比して2 倍近いホットスポット応力が発生していた ( 図 -11(f)). ただしその絶対値は, 交差部 USの溶接止端 のホットスポット応力 ( 図 -11(c)) に比して55% 小さかった. 交差部 UNでは, 交差部 USで見られたスリット端部でのUリブの面外変形が発生しないため, 応力発生が抑えられたと考えられる. 交差部 UNのPOS min ( 図 -9(b)) がU リブに対して偏心載荷位置であったのは,Uリブの断面がひし形にせん断変形した場合に鉛直変形量が大きくなる側のUリブ角部に大きなホットスポット応力を発生させるためであり, ダイアフラムによって断面せん断変形が抑制されるかどうかで影響面 ( 図 -1(a), (b)) の様子が異なったと考えられる. 交差部 VNはダイアフラムの有無によらずVリブ下フランジの橋軸直角方向の変位が 軸正方向であり, 発生ホットスポット応力もほとんど同様であった ( 図 -11(g),(h)). Vリブ断面は三角形のため, せん断変形が起きにくい. そのため交差部 VNのPOS min ( 図 -1(c), (d)) はダイアフラムの有無によらず,Vリブの中心軸上であったと考えられる. 次節 (5) にて後述するが, 交差部 VNのホットスポット応力範囲は交差部 UNのそれに比して39% 小さい. これはせん断変形による応力増加が無いためと考えられる. 図 -12に交差部 PS,PNの横リブ位置断面の変形図と, それぞれ止端 B,A の応力を示す. 交差部 PSでは止端 Bで最も大きな' h を得たが, 交差部 PNには止端 Bが存在しないため, その代わりとして止端 Bと同様に横リブウェブ側溶接止端である止端 Aを選択した. 載荷位置は交差部 PSに対するPOS ma とした. 交差部 PSでは横リブスリット部で鉛直変位に段差が 発生したが, 交差部 PNでは横リブウェブが連続化したために, そのような変形は起きなかった. 次節 (5) にて後述するが交差部 PNのホットスポット応力範囲は交差部 PS のそれに比して58% 小さかった. 交差部 PSの溶接止端 Bでは横リブウェブのスリット部のせん断変形をデッキプレートが拘束することで応力が発生していたと考えられる. そのため, 横リブウェブのせん断変形を誘起する様な, 着目交差部を成す縦リブに対する偏心載荷位置がPOS ma,pos min となったと考えられる ( 図 -9(d)). 一方で交差部 PNでは, 大きな応力が発生する溶接止端 Bが無いため, ホットスポット応力範囲が抑えられたと考えられる. (5) 各交差部形式の疲労強度の比較 a) 応力範囲が最大となる溶接止端の選定各交差部形式において最も疲労強度が低いと考えられる溶接止端を選定し, それらの溶接止端の疲労性能を比較することで, 各交差部形式の疲労性能を比較する. 図 -13に調査対象とする全ての溶接止端の応力範囲を示す. この応力範囲は, 式 (5c) に示す' h であり,POS ma, POS min へ交互に載荷した際に, 溶接止端に発生するホットスポット応力範囲である. 例えば交差部 PN, リブ2, 溶接止端 Bの' h は, 図 -8に示す2つの載荷位置へ交互に載荷した際のホットスポット応力範囲である. 交差部 US, UN,VNに含まれる各溶接止端の応力は, ダイアフラムの有無によって異なるため, ダイアフラムがある側, 無い側で載荷位置が移動した場合の応力範囲をそれぞれ図 -13(a) に示す. また応力範囲を構成する引張, 圧縮応力と, それぞれに占める曲げ, 膜成分を示す. 各交差部に含まれる溶接止端のうち応力範囲が最大となるのは, 交差部 US,UN,VNでは溶接止端, 交差部 PS,PNでは 軸負側の主桁から2 本目の縦リブと横リブとの交差部の溶接止端 B, であった. これらの溶接止端を図 -9に着目溶接止端として示した. ただし, 交差部 US 214

h ' 2 着目リブ UN US VN A 引張 A A 曲げ A 溶接止端 1 引張 膜 A 圧縮 A 曲げ A A A 圧縮 膜 ダイアフラム有 無 有 無 有 無 US UN VN (a) 交差部 US, UN, VNのホットスポット応力範囲 h ' 2 1 2345 2345 図 -13 各溶接止端のホットスポット応力範囲の比較 2345 リブ番号 1 2 3 4 5 6 PS B PN A A 溶接止端 2345 2345 A B A PS PN (b) 交差部 PS, PNのホットスポット応力範囲 では, ダイアフラムが無い場合には溶接止端 Aの応力範囲が溶接止端 のそれに比して大きくなった. b) 各縦横リブ交差部の応力範囲, 応力比の比較表 -2に各交差部形式で最も疲労強度が低いと考えられる溶接止端の応力範囲および,' min を' ma で除した値 ( 応力比 ) を示す. 交差部 US,UN,VNの応力範囲と応力比については, ダイアフラムがある場合, 無い場合のそれぞれの値を示す. 交差部 UNを交差部 USと比較すると, 応力範囲が75% 小さく, 応力比が6.93 下回っていた. ただし, ダイアフラムがある場合の比較結果である. 一方でダイアフラム無の場合で同様の比較を行うと, 応力範囲は1% 大きく, 応力比は1.42 下回っていた. このことから,Uリブを用いた場合には, スリット有交差部からスリット無交差部に変更することで, ダイアフラム付近の縦横リブ交差部では大幅に疲労強度が向上すると考えられる. スリット有交差部での応力発生要因は, 前述の様に, 橋軸直角方向に変位するU リブを横リブが拘束した際にスリット端部で起きるUリブの局所的な面外変形であり, スリット無交差部ではそうした変形が抑制されるため, 疲労強度が向上すると考えられる. 交差部 UNは交差部 USに比して応力比が小さいく, この特長も疲労強度向上に寄与すると考えられる. 交差部 USでの応力はUリブの橋軸直角方向の変位によって引起こされるため, 載荷位置が橋軸直角方向に反転することで, 変形および発生応力も正負反転し, 比較的高い応力比が得られると考えられる. Vリブを用いたスリット無交差部 (VN) の応力範囲, 応力比は今回検討した全交差部のうち最も小さくなった. その応力範囲は49N/mm 2 とE 等級の一定振幅での疲労限度以下であり, それらの値はダイアフラムの影響をほとんど受けなかった. 交差部 VNを交差部 UNと比較すると, 表 -2 各縦横リブ交差部の応力範囲と応力比 交差部 最大応力範囲 ( 応力比 ) ダイアフラム有ダイアフラム無 US 226 (-.78) 79 (-2.96) UN 57 (-7.71) 8 (-4.38) VN 48 (-7.78) 49 (-7.92) PS - 184 (-.93) PN - 77 (-2.85) 応力範囲が39% 小さく, 応力比が3.54 下回っていた. これはダイアフラムが無い場合の比較結果である. このことから, 交差部 VNは今回検討した交差部のうちで最も疲労強度が高く, かつT 荷重では疲労き裂が発生しないと考えられる. 交差部 UNに比して交差部 VNの応力範囲, 応力比が減少した要因は, 前述の様に縦リブの断面せん断変形が抑制されたためと考えられる. 平リブを用いた場合, スリット無交差部 (PN) の応力範囲, 応力比はスリット有交差部 (PS) のそれらに比して -58%,-1.55であった. 前節 (4) に示したようにスリットを省略し, 溶接止端 Bが無くなったことによって応力範囲が低減できたと考えられる. このことから, 平リブを用いた場合も, スリット有交差部からスリット無交差部に変更することで大幅に疲労強度が向上すると考えられる. 5. 結論 本研究では, 有限要素解析 (FEA) を用いて, 鋼床版縦横リブ交差部の疲労性能に及ぼす, 縦リブ形状及びスリット有無の影響を検討した. 板厚と曲げが疲労強度に及ぼす影響を考慮したうえで, 載荷位置と溶接止端に発生 215

する応力の関係を把握し, 縦横リブ交差部の疲労性能を評価した. 得られた結果を以下で述べる. 1) 何れの縦横リブ交差部形式においても, 縦横リブ交差部に最大, 最小ホットスポット応力を発生させる載荷ケースでは, 荷重の中心位置は, 着目する縦横リブ交差部直上には無い. またその位置はリブ形状およびスリット有無によって変化する. 2) Uリブ, 平リブを用いた場合, スリット有交差部のスリット端部ではそれぞれ,Uリブ, デッキプレートが面外変形し, スリット端部の溶接部に応力を発生させている. しかし, スリット無交差部では面外変形の発生が無く,Uリブ, 平リブを用いたスリット有交差部に比してホットスポット応力範囲がそれぞれ,75%,58% 小さくなった. ただしUリブ内には横リブから4mm の位置に密閉ダイアフラムを設置した. 3) Uリブと横リブとの交差部で発生するホットスポット応力範囲はダイアフラムによってUリブ断面のせん断変形が抑制されるかどうかによって変化し, スリット有交差部ではダイアフラム有の場合に発生応力範囲が大きくなり, スリット無交差部ではその逆であった. 4) Vリブはダイアフラムが無い場合でも断面変形が抑制され,Vリブ, スリット無交差部のホットスポット応力範囲はUリブ, スリット無交差部のそれに比して39% 小さかった. 本研究では単純化した荷重モデルを用いた. 得られた影響面の形状から, 複数車両並走の影響は, 本研究の単純化した荷重による結果と比較して十分に小さいと予想できているが, その定量的評価は今後の課題である. 謝辞 : 本研究は東京都市大学総合研究所 都市基盤施設の再生工学センター に設置された 取替用高性能鋼床版パネル開発研究会 による検討結果である. 会員会社は下記の通りである. ここに謝意を表する. 以下, 会員会社 :IHIインフラシステム, エム エムブリッジ, 川田工業, 神戸製鋼, 駒井ハルテック,JFEエンジニアリング,JFEスチール, 三井造船鉄構エンジニアリング, 宮地エンジニアリング, 横河ブリッジ, 新日鐵住金. 参考文献 1) 土木学会鋼構造委員会 : 鋼床版の疲労 [21 年改定版 ], 丸善出版,21. 2) Miki,., Konishi, T., Tokida, H. and Sasaki, K.: Inspection and retrofitting of fatigue damaged orthotropic steel deck, Proceedings of the 2nd International onference on Fatigue and Fracture in the Infrastructure, 29.7. 3) Gurne, T.: Fatigue of steel bridge deck, TRL State of the Art Review, 8, HMSO Publishing, 1992. 4) Fiedler, E.: The development of the orthotropic roadwa-plate in German, Stahlbau, Vol. 78, No. 8, pp. 562-576, 29. 5) 日本道路協会 : 鋼道路橋の疲労設計指針, 丸善,212. 6) 杉山裕樹, 田畑晶子, 春日井俊博, 石井博典, 井口進, 清川昇悟, 池末和隆 : 鋼床版の U リブ - 横リブ交差部における下側スリット部の疲労耐久性向上構造の検討, 土木学会論文集 A1, Vol. 7, No. 1, pp. 18-3, 214. 7) 判治剛, 加藤啓都, 舘石和雄, 崔誠珉, 平山繁幸 : 閉断面リブを有する鋼床版の横リブスリット部の局部応力特性, 構造工学論文集 A, Vol. 59A, pp. 781-789, 213. 8) 田畑晶子, 杉山裕樹, 金治英貞, 石井博典, 坂野昌弘 : バルブリブ鋼床版の横リブ交差部の構造改良, 土木学会年次学術講演会概要集,I-29, 212. 9) 森永真朗, 磯上知良, 千葉照男 : 東京港臨海大橋 ( 仮称 ) における技術開発とコスト縮減 ( 第 3 回 ) 上部工の構造検討 (2), 橋梁と基礎,Vol. 42, No. 1, pp. 4-45, 28. 1) Seran, K. and Khaem, D.: Steel orthotropic bo girder on the New Alfred Zampa Suspension Bridge across the arquine Strait first in the US, Proceeding of the 24 Orthotropic Bridge onference, pp. 177-188, 24. 11) 山岡大輔, 坂野昌弘, 夏秋義広, 野中砂男, 中川圭正, 中村香澄 :A 橋タイプの鋼床版バルブリブと横リブ交差部の疲労挙動と損傷対策, 構造工学論文集 A, Vol. 56, pp. 838-849, 21. 12) 勝俣盛, 小笠原照夫, 町田文孝, 川瀬篤志, 溝江慶久 : 合理化鋼床版の U リブ 横桁交差部の局部応力特性について, 構造工学論文集,Vol. 45A, pp. 1241-1252, 1999. 13) 岩崎雅紀, 寺尾圭史, 深沢誠 : 開断面縦リブを使用した鋼床版横リブの疲労損傷防止検討, 構造工学論文集 A, Vol. 38, No. 3, pp. 121-129, 1992. 14) 三木千壽, 館石和雄, 奥川淳志, 藤井裕司 : 鋼床版縦リブ 横リブ交差部の局部応力と疲労強度, 土木学会論文集,No. 519/I-32, pp. 127-137, 1995. 15) Yokoeki, K. and Miki,.: Fatigue evaluation for longitudinal-to-transverse rib connection of orthotropic steel deck b using structural hot spot stress, Welding in the World, Vol. 6, No. 1, pp. 83-92, 215. 16) 館石和雄, 竹之内博之, 三木千壽 : 鋼橋部材交差部に生じる局部応力の発生メカニズムと要因分析, 土木学会論文集,No. 57/I-3, pp. 19-119, 1995. 17) Hobbacher, A.: Recommendations for Fatigue Design of Welded Joints and omponents, The Welding Research ouncil, New York, 29. 18) Lotsberg, I. and Sigurdsson, G.: Hot spot stress S-N curve for fatigue analsis of plated structures, Journal of Offshore Mechanics and Arctic Engineering, Vol. 128, pp. 33-336, 26 19) Fischer,. and Fricke, W.: onsideration of stress gradient effects for comple structures in local fatigue approaches, IIW document, XIII-2543-14, 214. 2) 日本鋼構造協会 : 鋼構造物の疲労設計指針 同解説, 技報堂出版,212. 21) Gurne, T. R.: Thickness Effect in `Relativel Thin' Welded Joints, The Welding Institute, ambridge, 1997 22) Kihl, D. P. and Sarkani, S.: Thickness effects on the fatigue strength of welded steel cruciforms, International Journal of Fatigue, Vol. 19, No. 1, pp.s311-s316, 1997. 23) 三木千壽, 森猛, 阪本謙二, 柏木洋之 : 前面隅肉溶接継手の疲労強度に対する継手寸法の影響, 構造工学論文集,Vol. 33A, pp. 393-42, 1987. 216

24) 菅沼久忠, 三木千壽 : 鋼床版のデッキプレートとトラフリブ間の縦方向溶接部の疲労に対する EFFETIVE NOTH STRESS による評価, 土木学会論文集 A, Vol. 63, No. 1, pp. 35-42, 27. 25) 益子直人, 若林登, 仲野孝洋 : バルブプレートを有する鋼床版の疲労き裂の傾向分析, 土木学会第 68 回年次講演会概要集,I-576, 213. 26) 日本道路協会 : 道路橋示方書 (I 共通編,II 鋼橋編 ) 同解説, 丸善,212. 27) 町田進, 的場正明, 吉成仁志, 西村隆一 : ホットスポット応力基準による疲労強度評価 ( 第 3 報 ) FEM による評価, 日本造船学会論文集,No. 171, pp. 477-484, 1992. (216. 8. 1 受付 ) FATIGUE ENHANEMENT OF LONGITUDINAL-TO-TRANSVERSE RIB ONNETION IN ORTHOTROPI STEEL DEK Koichi YOKOZEKI, Kaoru YOKOYAMA, Tomonori TOMINAGA and hitoshi MIKI This paper investigates fatigue strength of the longitudinal-to-transverse rib connections between U, V, or plate ribs and slit or non-slit transverse rib webs in orthotropic steel decks. Fatigue strength of the each connection was evaluated under the severest load positions which take traffic load moving into account. As results, the severest load positions were clarified to be not upon but some awa from the target connections. hanging the slit connection to the non-slit connection reduced the local stress ranges on the connections with the U and the plate ribs b 75 and 58%. In addition, the local stress range of the non-slit connection with the V rib was lower than that with the U rib b 39%. 217