結核に対する結核菌 LAMP 法の検査特性 (150226) 肺炎の治療の前に喀痰の検査を施行 これを機会に結核菌 LAMP 法の検査特性について調べ てみることにした 比較的新しい論文を簡単に流し読みしてみることにした 文献 1 では感度が 98% 特異度が 78.3% と記載されている real-time fluorescence quantitative PCR (Q-PCR). の感度が 96.0% 特異度が 82.6% とされている 感度がやや高いような気もするが いずれにしても リアルタイム PCR に匹敵するような検査特性を持っていると言えそうだ In light of MTB in sputum, the real-time fluorescence LAMP method yielded a sensitivity of 98.0% and a specificity of 78.3%, compared to Q-PCR assay, which yielded a sensitivity of 96.0% and a specificity of 82.6% for PTB diagnosis. ( 参考文献 1 より引用 ) 文献 2 では感度が 70.67% 特異度は 98.32% としている 当然と言えば当然だが 喀痰は複数回 採取した方が感度を上げるのに役に立つ スポットで採取した 1 検体だと 70% 台だが 3 検体だと 90% 弱に上昇している The results showed that the sensitivity of the PURE-LAMP test based on spot sputum for MTB detection was 70.67%, while the sensitivity of the PURE-LAMP test based on spot sputum for MTB detection in smear positive and culture positive patients and smear negative and culture positive patients was 92.12% and 53.81%, respectively. The specificity of PURE-LAMP based on spot sputum for MTB detection was 98.32%. The sensitivity and specificity of the PURE-LAMP test based on three sputa combination for MTB detection was 88.80% and 96.86%, respectively.
( 参考文献 2 より引用 ) 文献 3 はメタ解析 このまとめでは 感度 80.0% 特異度 96.0% としている この数値を用いて尤度比を計算してみる 一般的には除外より確定診断に有用と言えそうだ 陽性尤度比 80.0/(100-96.0)=20 陰性尤度比 (100-80.0)/96.0=0.21 The summary estimate was 80.0% (95%CI, 78.0%-83.0%) for sensitivity, 96.0% (95%CI, 95.0%-97.0%) for specificity and 119.85/0.9633 for DOR/AUC in pulmonary TB.
( 参考文献 3 より引用 ) ネット上のソースから得た情報 これでも どちらかといえば特異的な検査であることが示されて いる ( 参考文献 4 より引用 ) その他 大事そうなところを抜き出してみる
比較的多くの結核菌が検体中に含まれていることが 塗抹陽性 の条件であり ある程度病気が進行していないと多くの結核菌を排出する事態にはなりません 4) 事実本邦では比較的早めに受診される例が多いと思われ 結核患者のうち塗抹陽性となるのはおよそ半分に過ぎません 4) 診断感度上の問題を解決するには一般に感度の高い培養検査を実施しますが よく知られているように結核菌の培養には時間がかかるため 特に菌量の少ない検体では迅速診断上の問題が発生します 4) 上記の問題点を解決してくれる診断法として最も有用なのが遺伝子を人為的に短時間で増幅する 核酸増幅法 であることは周知の事実です 4) ただしほとんどの方法は複雑な機器を必要としたりバイオセーフティ上の制約などがあるため 一部の病院や大手の検査センターでのみ実施されているのが現状です 4) 最近 複雑な機器を使用しなくても短時間で核酸を増幅できる方法として 栄研化学により LAMP(Loop-mediated isothermal amplifi cation) 法と呼ばれる方法が開発されました 4) このキットは PURE (Procedure for Ultra Rapid Extraction) 法と呼ばれる非常にシンプルで迅速な核酸抽出キットと併せて使用するようデザインされており 検体受領から結果の報告までが1 時間以内で終了します 4) この LAMP 法による結核菌検出キットは特異性が高く 基本的に結核菌以外の抗酸菌は増幅しません 4) LAMP キットを未処理検体に用いた場合 ( 直接 LAMP) 塗抹陽性 培養結核菌陽性検体における診断感度は 98.2% (95%CI:94.9-99.4) でした 同様に塗抹陰性 培養結核菌陽性検体では 55.6% (95%CI:43.4-68.0) でした これらの診断感度はアンプリコア ( ロシュダイアグノスティクス ) および TRCRapidM.TB( 東ソー ) と同等であり 有意な差を認めませんでした 4) リアルタイム PCR も LAMP 法も検査の値段は同じようだ D023 微生物核酸同定 定量検査 8 インフルエンザ核酸検出 抗酸菌核酸同定 結核菌群核酸検出 410 点判断料 : 微生物学的検査判断料 150 点 検査も重要だけれど 良い検体をとったり 複数回の検査をすることも重要と思う 結核はやっ ぱり 除外したい疾患の代表だ
参考文献 1. Cao D, Hu L, Lin M, Li M, Ye Z, Sun H, Huang J, Yang H, Tian J. Real-time fluorescence Loop-Mediated Isothermal Amplification (LAMP) for rapid and reliable diagnosis of pulmonary tuberculosis. J Microbiol Methods. 2015 Feb;109:74-8. doi:10.1016/j.mimet.2014.12.013. Epub 2014 Dec 20. PubMed PMID: 25533219. 2. Ou X, Li Q, Xia H, Pang Y, Wang S, Zhao B, Song Y, Zhou Y, Zheng Y, Zhang Z, Zhang Z, Li J, Dong H, Zhang J, Kam KM, Chi J, Huan S, Chin DP, Zhao Y. Diagnostic accuracy of the PURE-LAMP test for pulmonary tuberculosis at the county-level laboratory in China. PLoS One. 2014 May 1;9(5):e94544. doi:10.1371/journal.pone.0094544. ecollection 2014. PubMed PMID: 24788724; PubMed Central PMCID: PMC4006777. 3. Yuan LY, Li Y, Wang M, Ke ZQ, Xu WZ. Rapid and effective diagnosis of pulmonary tuberculosis with novel and sensitive loop-mediated isothermal amplification (LAMP) assay in clinical samples: a meta-analysis. J Infect Chemother. 2014 Feb;20(2):86-92. doi: 10.1016/j.jiac.2013.07.003. Epub 2013 Dec 11. PubMed PMID: 24462417. 4. 御手洗聡. LAMP 法を使った結核迅速診断キット. 公益財団法人結核予防会ホームページ. http://www.jata.or.jp/rit/rj/339p11.pdf