アンテナ狭小化に伴う方位分解能劣化 の改善と東京湾での評価結果 - 民需等の利活用拡大を目指して - 直線 4 アレイ ( 八木 ) 菱形 4 アレイ ( ダイポール ) 伊藤浩之, 千葉修, 小海尊宏, 大西喬之 *1 山田寛喜 *2 長野日本無線 ( 株 ) *1 新潟大学 *2 08 年 12 月 17 日 08 年海洋レーダ研究集会 No.1
目次 1. はじめに : 海洋レーダの課題 2. 検討 1: 実験目的 方法 3. 検討 1: 実験結果 4. 検討 1: 考察 5. 検討 1: 成果と課題 6. 検討 2: 改善検討方法 7. 検討 2: 改善手法の概要 8. 検討 2: 改善手法の適用 9. 検討 2: 適用効果の確認. 検討 2: 成果と課題 11. まとめ ( 総括 ) 検討 1: アレイ素子配置の変更実験 検討 2: 方位分解能劣化の改善検討 No.2
1. はじめに 海洋レーダの課題 受信 :DBF アレイアンテナ (8 素子直線アレイ ) 広い敷地 (69m) 利点 : 高方位分解能欠点 : 敷地確保が困難 アンテナ設置例 DBF:Digital Beam Forming 狭小敷地に対応課題 : アンテナ狭小化 No.3
検討 1: アレイ素子配置の変更実験 No.4
2. 検討 1: 実験目的 方法 狭小化の方法 アレイ素子数の削減 狭小化の問題点 様々な敷地 ( 大きさ 形状 ) に対応 + アレイ素子配置の変更 アンテナ狭小化 ビーム幅が広がる 方位分解能低下 = 狭小化と観測精度のトレードオフ 実験目的 視線方向流速において 観測精度の低下を実観測により確認して利用可能なアンテナ狭小化範囲を検討 No.5
2. 検討 1: 実験目的 方法 場所東京湾海洋レーダ千葉局 ( 既設局 ) アンテナ 周波数 24.5MHz 波長 =12.2m 東京湾 船橋局 東京湾海洋レーダ観測範囲 千葉局 0 m 4.0 観測方向 追加設置最大 1.5 既設受信アンテナ 既設送信アンテナ 試験用受信アンテナ 通常観測 試験観測 No.6
2. 検討 1: 実験目的 方法 試験用アンテナ 敷地面積 : 半分以下へ 敷地形状 : 柔軟に対応可に 名称 配置形状 評価方法 ( ) 観測方向 各配置 4 時間観測について 素子間隔 d 開口長 L d L 8 素子 4 素子アレイ 配置形状 3 種類素子間隔 0.25λ~0.5λ 直線配置菱形配置台形配置 d d 流速散布図 L 0.25 0.3 0.4 0.5 0.25 0.3 0.5 0.3 0.75~1.5 0.35~0.71 0.6 視線方向流速を相関解析 基準 : 通常観測比較 : 従来直線試験観測アレイ狭小化 L 比較試験観測 幅の短い敷地に対応 基準通常観測変形敷地に対応 No.7
3. 検討 1: 実験結果 ( 流速の相関図 ) 相関の高い結果 直線配置 d=0.3 (L=0.9 ) 相関の低い結果 菱形配置 d=0.3 (L=0.42 ) 試験観測の流速 (m/s) 0.5 0-0.5-0.5 0 通常観測の流速 (m/s) 0.5 相関係数 0.90 相関係数 0.49 0.5 偏差 ±0.1m/s ±0.1m/s 以内にほぼ入っている 試験観測の流速 (m/s) 0 ±0.1m/s 以内に入らないデータあり -0.5-0.5 0 通常観測の流速 (m/s) 0.5 No.8
4. 検討 1: 考察 相関係数の変化 相関係数 1.0 0.8 0.6 0.4 直線配置菱形配置台形配置 0 1 2 アンテナ開口長 L 狭小化 開口長 - 相関係数 0.7 0.9 観測精度 : 狭小化とともに相関係数 0.8 以上相関が低下を許容すると 直線配置 : L=0.9 まで菱形配置 : L=0.7 まで 観測精度と狭小化のトレードオフ 狭小化配置利用の可能性 No.9
5. 検討 1: 成果と課題 成果 狭小化アンテナ : + 8 素子 4 素子アレイアレイ素子配置の変更 課題 流況観測において 従来開口長 L=4 直線配置 :L=0.9 まで菱形配置 :L=0.7 まで狭小化アンテナ利用の可能性 様々な状況を考慮した検討 ( 流れ 波浪 地形的影響等 ) 観測精度を高める信号処理方式の検討 No.
検討 2: 方位分解能劣化の改善検討 No.11
6. 検討 2: 改善検討方法 問題点 アンテナ本数削減すると 方位分解性能が劣化する 海象情報の観測精度が落ちてしまう 現状は方位分解処理に DBF 法を用いている アンテナ本数削減しても方位分解性能を保てる方法が必要 目的アンテナ本数を削減しても DBF 法より高い方位分解性能が期待できるCapon 法を海洋レーダに適用すること 実施内容 Capon 法を海洋レーダへ効果的に適用させる手法の検討 Capon 法の適用効果についての確認 No.12
7. 検討 2: 改善手法 (Capon( 法 ) の概要 Capon 法は ある方向へメインローブを向けると同時に それ以外 Capon 法は DBF 法よりも高い方位分解性能を得ることができるの方向からの出力への寄与を最小限にする手法 受信アンテナ 4 8 本方位分解処理 Capon DBF 法 θ i 方向観測時の最適ウェイト式 ( 到来波数 3 観測方位 0 方向 ) DBF 法 到来波 1: -37.5 到来波 2: 0 到来波 3: 22.5 アンテナゲイン (db) 0 - - メインローブメインローブ 走査方位 =0 度 Capon 法 - - -90 - - 0 90 方位 (deg) メインローブが若干サイドローブの影響メインローブ サイドローブ到来波の方向に対してヌル向けられているを受けているの拡がりにより 影響がよが向けられ 影響を最小限り顕著となっているにしている 入力信号 ( 到来波情報 ) に関わる部分 DBF 法は入力信号に関わらず一定のビームパターンを形成するが Capon 法は入力信号によりビームパターンが変化する No.13
7. 検討 2: 改善手法 (Capon( 法 ) の概要 Capon 法がその高い方位分解効果を発揮するためには 適用領域の到来波の個数が少ないことが望ましいという特徴がある 0 視線 受信局から見ると -90 海上陸上 海上の表層流 受信局において表層流は多数の視線方向の到来波として捉えられる これでは Capon 法の効果を十分に発揮させられない 受信局 視線方向の到来波として捉えられる Capon 法を効果的に適用するための一工夫が必要 No.14
8. 検討 2: 改善手法 (Capon( 法 ) の適用 Capon 法を海洋レーダへ効果的に適用するための検討信号処理手順を工夫して Capon 法適用させる領域を細分化する 多数の到来波 Capon 法適用視線流速毎に分離観測距離毎に分離多数の到来波 ( メインローブ0 度方向 ) 観測距離毎に分離 視線流速毎に分離 Capon 法の適用 同距離の到来波を抽出 同視線流速の到来波を抽出 細分化した各領域に Capon 法を適用する Capon 法適用の手順 No.15
9. 検討 2: 適用効果の確認 Capon 法適用効果の確認 東京湾 既設海洋レーダ ( 受信アンテナ 8 本 ) で 取得した視線流速値との相関係数比較 DBF 法 Capon 法 配置 2 ANT1 配置 1 ANT2 ANT3 視線流速値の相関係数 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 配置 11(0.71λ) (8.65m) 配置 2(0.42λ) (5.19m) アンテナ開口長 L=0.42λ(5.19m) ANT4 アンテナ開口長 L=0.71λ(8.65m) 受信アンテナ 4 本 狭小設置図 アンテナ数削減 狭小配置の 2 例において Capon 法による改善効果が見られた No.16
. 検討 2: 成果と課題 成果 海洋レーダに Capon 法を効果的に適用させるための 信号処理手順を検討し評価した アンテナアレイ数を削減し 狭小配置した 2 つの事例による流況観測おいて 従来の DBF 法に対して Capon 法の改善効果を確認することができた 課題 検証事例がまだ少ないため 様々な海洋状態およびアンテナのアレイ数 配置についても効果の検証を行う必要がある No.17
まとめ ( 総括 ) No.18
11. まとめ ( 総括 ) アンテナ狭小化に関する検討および実験 評価のまとめ (1) 現行の直線 8 素子アレイ 4 素子アレイ + アレイ素子配置の変更 流況観測において 狭小化アンテナ利用の可能性 (2) アンテナ狭小化に伴う方位分解能劣化 Capon 法適用を評価 実験事例において 従来 DBF 法に対して Capon 法による改善効果を確認 用途や敷地制約に応じた狭小化アンテナ利用の可能性が広がり民需等の利活用拡大が期待される No.19
11. まとめ ( 総括 ) 狭小化アンテナのサイズ比較例 1 9.2MHz 帯は参考比較 1MHz 帯は参考周波数として 実現できた場合の比較 2 台形 4 アレイのアレイ開口長 1.0λ は実験評価にないが d=0.5λ として含めた アンテナ配置 配置図例 アレイ開口長 (L) 周波数帯ごとのアレイ全長 (L) 9.2MHz 1 24.5MHz 41.9MHz 1MHz 1 (λ=32.6m) (λ=12.2m) (λ=7.2m) (λ=2m) 直線 8 アレイ ( 標準 ) d L 3.5λ (d=0.5λ) 114.1m 42.7m 25.2m 7m 直線 4 アレイ d L 1.5λ (d=0.5λ) 0.9λ (d=0.3λ) 48.9m 18.3m.8m 3m 29.3m 11m 6.5m 1.8m 台形 4 アレイ 2 d L 1.0λ (d=0.5λ) 32.6m 12.2m 7.2m 2m d 菱形 4 アレイ L 0.7λ (d=0.5λ) 23.1m 8.7m 5.1m 1.4m 狭小 No.
ご清聴ありがとうございました No.21
参考資料 : ドップラスペクトル出力結果例 1 既設 8 本 DBF( 通常観測 ) と直線 4 本 0.5λ の DBF と Capon の結果比較 8 本 DBF 15:00 観測 8 本 DBF 16:00 観測 直線 4 本 0.5λDBF 15:15 観測 直線 4 本 0.5λCapon 15:15 観測 直線 4 本 0.5λDBF/Capon 比較 15:15 観測 DBF Capon No.22
参考資料 : ドップラスペクトル出力結果例 2 既設 8 本 DBF( 通常観測 ) と直線 4 本 0.3λ の DBF と Capon の結果比較 8 本 DBF 16:00 観測 8 本 DBF 17:00 観測 直線 4 本 0.3λDBF 16:15 観測 直線 4 本 0.3λCapon 16:15 観測 直線 4 本 0.3λDBF/Capon 比較 16:15 観測 DBF Capon No.23
参考資料 : ドップラスペクトル出力結果例 3 既設 8 本 DBF( 通常観測 ) と菱形 4 本 0.5λ の DBF と Capon の結果比較 8 本 DBF 14:00 観測 8 本 DBF 15:00 観測 菱形 4 本 0.5λDBF 14:15 観測 菱形 4 本 0.5λCapon 14:15 観測 菱形 4 本 0.5λDBF/Capon 比較 14:15 観測 DBF Capon No.24