214 年 6 月 4 日これからの国際協力と日本の ODA - 現地の視点から考える - 途上国と日本が win-win となる ODA のあり方 戸堂康之早稲田大学政治経済学術院教授 1 万ドル 35 3 25 2 15 1 5 主要国 ODA 供与純額の推移 米国英国フランス日本ドイツ スウェーデン 198 1982 1984 1986 1988 199 1992 1994 1996 1998 2 22 24 26 28 21 212 OECD QWIDS, http://stats.oecd.org/qwids/ 2
1.2 1.8.6.4.2 主要国 ODA 供与純額の対 GDP 比 (%) スウェーデン 英国フランス日本ドイツ米国 198 1982 1984 1986 1988 199 1992 1994 1996 1998 2 22 24 26 28 21 212 OECD QWIDS, http://stats.oecd.org/qwids/ World Bank, World Development Indicators. 3 日本のこれからの経済協力 ( 開発途上国に対する資金協力や技術協力 ) に対する世論 6 5 4 ( 内閣府外交に関する世論調査 ) 現在程度でよい % 3 2 積極的に進めるべきだ 1 なるべく少なくすべきだ 198 1985 199 1995 2 25 21 4
日本の経済協力を 積極的に進めるべきだ とした回答 7 者の理由 ( 内閣府外交に関する世論調査 ) % 6 5 4 3 2 1 世界平和に貢献 人道上の義務 環境問題に貢献 外交上重要 エネルギー安定供給 日本企業の海外進出を含め 日本経済の成長に資するから : 41.7%(21 年のみ ) 経済協力は日本の外交政策を進める上での重要な手段だから開発途上国の環境問題などの解決のため 日本の技術と経験を生かすべきだから開発途上国の安定に貢献し 世界の平和に役立つから先進国として開発途上国を助けるのは人道上の義務だから開発途上国の政治的安定と経済的発展なしに日本の経済的発展はないから開発途上国に対する経済援助はエネルギー資源などの安定供給の確保に資するから 5 ODA をどのような観点から実施すべきか エネルギー資源などの安定供給の確保 1 2 3 4 5 6 国際社会での日本への信頼の向上 先進国として人道上の義務 国際的責任 東日本大震災の際の支援に応える 企業の海外展開など日本経済に貢献 外交政策を進める上での重要な手段 中国などに対し 日本の存在感を確保 実施すべきでない 内閣府 外交に関する世論調査 213 年 6
2 年以上に及ぶ日本経済の停滞 ODA の拡大を求めない国民の世論 ODA が減少 (GDP 比 ) ( 他の先進国は増加 ) 国民は日本経済 外交にも貢献する ODA を要望 日本と途上国が win win となる ODA を拡大すべき 7 日本と途上国が経済的に win win となる ODA とは? ODA ODA の直接効果 企業の海外進出を通じて成長を促進 直接投資輸出輸入 途上国 知識の伝播を通じて成長を促進 ODA の間接効果 8
良品平均的効果不インドネシア鋳造企業に対する JICA の技術援助 (1999 24) Todo (211) 日本人専門家による技術指導 Win 日系企業の進出 インドネシア鋳造企業 6 年分の技術進歩 Win 裾野産業の発展 JICA 技術援助の効果 Todo (211) 率の変化不良品率の変-1 1 2.8.6.4.2 受けていない企業 平均 技術援助を受けた企業 技術援助の 率化.2 率平均.4 1.6
エチオピアにおける JICA による参加型森林管理計画 1985 年以降 森林の 4% が消失 11 Todo and Takahashi (212) Takahashi and Todo (213, 214) 森林組合の設立 農業技術指導 森林コーヒー認証 日系企業の進出 森林コーヒーの輸入 Win 森林減少の阻止所得向上森林コーヒーの生産 Win 12
日本の援助が日本からの直接投資を誘引することは データでも示されている (Kimura & Todo, 21) 日本からの援助 日本からの直接投資 先兵効果 情報伝達 ビジネス習慣移植 投資リスク低下 アジアへの投資の 6% を援助が誘引 13 直接投資が途上国の経済成長を ( 条件付きで ) 促進することも データでも示されている 日本からの援助 日本からの直接投資 途上国の経済成長 条件が整えば成り立つ 教育レベル (Borensztein et al. 1998) 金融制度 (Hermes and Lensink, 23) 研究開発を伴う投資 (Todo and Miyamoto, 26) 14
すでに win win の ODA が実現している とは言え 国民の 日本にも貢献する ODA への期待がより高まっている 日本経済は国際化が遅れて停滞中 やるべきことその 1 現在行われている ODA に対して定量的な評価をより積極的に行うことで日本国民 途上国国民の理解を得る やるべきことその 2 日本経済の国際化に貢献する ODA をより積極的に行うことで国民の理解を得る 途上国経済の成長により貢献する 15 14 12 1 8 6 4 2 日本経済のグローバル化の遅れが経済停滞の大きな原因の 1 つ 輸出 /GDP(1%) 対内直接投資 /GDP(%) 対外直接投資 /GDP(%) 出典 : World Development Indicators(26~211 年の平均 ) 16
JICA による政府開発援助 ODA を通じた支援 中堅 中小企業 JICA の支援 : ニーズ調査案件調査 BOP ビジネス準備 事例 : 沖縄エネテックモルディブ等で太陽光発電システムの導入の可能性を調査 ODA 案件提案 新興国中間層 BOP( 貧困層ボリュームゾーン ) 17 日本の中小企業には 潜在的な国際競争力があるが 国内にとどまっているものが多い 企業数 5 1 15 2 25 非グローバル企業 臥龍企業 ODA によって国際化を促進 1 2 3 4 一人当たり付加価値 ( 万円 ) 企業数 5 1 15 2 25 グローバル企業 1 2 3 4 一人当たり付加価値 ( 万円 ) 従業員一人当たり付加価値額 ( 万円 ) 中小企業庁 国際化と企業活動に関するアンケート調査 (29 年 12 月実施, 製造 非製造業中小企業 3513 社 ) による分析 18
途上国への資金流入量に占める ODA のシェア 9 8 7 6 5 4 3 2 1 198 1982 1984 1986 1988 199 1992 1994 1996 1998 2 22 24 26 28 21 212 World Development Indicators 19 多様なつながりが経済成長の源泉 ODA は世界の多様なつながりを築く 1 つの手段 現地の視点で考え ても 日本企業の国際化に貢献する ODA は必要 有効 2
参考文献 Borensztein, E., J. De Gregorio, and J. W. Lee (1998), How Does Foreign Direct Investment Affect Economic Growth? Journal of International Economics, 45(1), 115 135. Hermes, Niels and Robert Lensink (23), Foreign Direct Investment, Financial Development and Economic Growth, Journal of Development Studies, 4(1), 142 163. Kimura, Hidemi and Yasuyuki Todo (21), Is Foreign Aid a Vanguard of FDI? A Gravity Equation Approach, World Development, 38(4), pp. 482 497. Todo, Yasuyuki (211), "Impacts of Aid Funded Technical Assistance Programs: Firm Level Evidence from the Indonesian Foundry Industry," World Development, 39(3), pp. 351 362. Todo, Yasuyuki, and Koji Miyamoto (26), Knowledge Spillovers from Foreign Direct Investment and the Role of R&D Activities: Evidence from Indonesia, Economic Development and Cultural Change, 55, 173 2. Todo, Yasuyuki and Ryo Takahashi (212) "Impact of Farmer Field Schools on Agricultural Income and Skills: Evidence from an Aid Funded Project in Rural Ethiopia," Journal of International Development, 25(3), 362 381. Takahashi, Ryo and Yasuyuki Todo (214), The impact of a shade coffee certification program on forest conservation using remote sensing and household data, Environmental Impact Assessment Review, 44, 76 81. Takahashi, Ryo and Yasuyuki Todo (213), The Impact of a Shade Coffee Certification Program on Forest Conservation: A Case Study from a Wild Coffee Forest in Ethiopia, Journal of Environmental Management, 13(3), 48 54, 213. 21