税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 テーマ 1 居住者 非居住者判定テーマ 2 課税範囲についてテー

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( 外国 ) 同上 ケース ( ) 相続人が取得した全 2 財産に対して課税 ( 外国 ) 国内財産に対しての み課税 ケース ( ) 相続人が取得した全 3 財産に対して課税 ( 外国 ) 同上 ( 平成 25 年度税制改正より ) ケース ( ) 被相続人 相続人いず 4 れも 5 年超居住の場

第 8 章 税 金 外国人の方であっても, 一定の要件に当てはまる場合には, 税金を納める必要があります 例えば, 日本国内で働いて得た収入があると, 原則として所得税を納めなければなりません また,1 月 1 日現在で日本に住所がある方は, 前年の所得について課税される住民税を納めなければなりませ

2. 改正の趣旨 背景 国内に住所を有しないことにより相続税 贈与税の課税を免れる租税回避行為を抑制するため 平成 12 年度改正 ( 相続人 受贈者の国籍による納税義務判定の導入 ) 平成 25 年度改正 ( 相続人 受贈者が日本国籍なしの場合の課税強化 ) が行われてきた 平成 29 年度改正で

[Q20] 扶養控除等申告書が提出された際に その申告書に記載された国外居住親族に係る 親族関係書類 が提示されず 事後に提示された場合 いつから扶養控除等を適用して源泉徴収税額を計算すればよいのですか 9 [Q21] 給与所得者の配偶者控除等申告書を提出する場合には 親族関係書類 を提出又は提示す

用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 意義 所得税法 ( 所法 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) をいいます 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行令 ( 昭和 40 年政令第 96 号 ) をいいます 改正所令 所得税法施行令の一

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

ジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した 又は受領することとなることを明らかにする書類 注意事項 1 送金関係書類については 原本に限らずその写しも送金関係書類として取り扱うことが

1 基本項目 ⑴ 所轄税務署長給与の支払者の所在地 ( 住所 ) の所轄税務署名を入力します 所轄税務署が不明な場合 国税庁ホームページ にある 税務署を検索 で郵便番号等による検索ができますので 参照してください ⑵ 給与の支払者の法人番号この欄には 申告書を受理した給

国外転出時課税制度(出国税)の導入

退職金についての市県民税はどうなるの? 私は平成 28 年 4 月に退職しました 勤続 30 年で退職金は 2,100 万円ですがこの退職 金に対する市県民税はいくらですか 通常の市県民税の課税は前年中の所得に対し翌年課税されるしくみになっていますが 退職金に対する課税については 他の所得と分離して

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目次 1. 年末調整とは 2. 平成 30 年分の留意点 3. 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書の書き方 4. 給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方 5. 給与所得者の保険料控除申告書の書き方 2

平成19年度市民税のしおり

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

与等の支払者 ) から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに 次に掲げる事項を記載した申告書を 当該給与等の支払者を経由して その給与等に係る所得税の納税地 第一章第五節 の所轄税務署長に提出しなければならない ( 法 1941 措法 41の162 41の172 規 731) ( 一 ) 当該

外国人をめぐる税務 ( 目次 ) 第 1 章居住形態の判定 1 第 2 章租税条約の適用 17 第 3 章外国人の雇用 24 第 4 章ストックオプションに対する課税 35

法関係法人税法関係 zeimu QA テーマ分類別索引 法人税

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

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2018年度改正 相続税・贈与税外国人納税義務の見直し

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

~ 改正の変遷 ~ (1) 平成 12 年度改正前相続人 受贈者がの場合には 国内財産のみ課税 (2) 平成 12 年度改正後 平成 25 年度改正前平成 12 年度改正 : 相続人 受贈者について国籍主義を導入 H12 年度改正 : 国内財産 国外財産ともに課税 相続人 受贈者 相続人 受贈者 被

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

ビジネス・タックス・ロー・ニューズレター


平成 30 年分給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( マル扶 ) の手引き 平成 29 年末に記載する際は 平成 30 年 1 月 1 日時点の情報を書きましょう 平成 30 年の年末調整にて再度記入する際は 平成 30 年 12 月 31 日時点の情報に書き換えます X A 9/19

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

スライド 1

目次 はじめに 1 1 居住者と非居住者との区分 1 2 恒久的施設 (PE) の定義と理解の必要性 5 3 所得税法上の恒久的施設の定義 7 4 所得税法上の 出国 とはどのような場合をいうのか 13 5 年の途中で出国 再入国をした場合の所得控除の取扱い 17 6 国税庁質疑応答事例より 22

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非


〇本事例集は 平成 31 年 3 月を期限とした個人の確定申告について 国税通則法関連 ( 所得税 の納税地を含む ) の 誤りやすい事例 について取りまとめています 〇本事例集は 誤りやすい事例 を載せた後に 正しい解釈 処理方法を提示しています なお 無用 な文字数 ページ数の増加を避けるため

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Ⅳ 所得控除 Section 1 雑損控除 医療費控除 60 Section 2 生命保険料控除 地震保険料控除等 65 Section 3 寄附金控除 障害者控除等 70 Section 4 配偶者 ( 特別 ) 控除 扶養控除等 75 Ⅴ 税額の計算と税額控除 Section 1 所得税額等の計

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

2. 扶養控除申告概要 2.1. 扶養控除等の内容扶養控除等の内容とその確認にあたっての具体的な注意事項は 以下のとおりです (1) 同一生計配偶者所得者と生計を一にする配偶者 ( 青色事業専従者として給与の支払を受ける人および白色事業専従者を除きます ) で合計所得金額が380,000 円以下 (

2017年度税制改正 相続税・贈与税国外財産に対する納税義務の範囲の見直し

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

供託者等の住所 氏名または名称および個人番号または法人番 号は 供託者等の口座管理機関から日本銀行に対して 課税事 務のために提供される 2 所得税の徴収 納 入 利付国債の利子または割引国債等 ( 国庫短期証券のうち その銘柄の価格競争入札における募入最低価格 ( 額面金額 100 円当り ) が


次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

目次 1. 平成 30 年改正対応 ( 平成 31 年 1 月リリース予定 ) (1) 改正内容 (2) 様式変更 (3) 画面イメージ (4) 帳票イメージ 1-2. 電子申告 (1) 様式変更 (2) メッセージボックスセキュリティ強化 (3) 納付手続き手順の変更 2. 注意事項 1

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

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Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

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作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

申告者と配偶者の合計所得金額の入力フォーム 申告者 ( 給与の支払いを受ける人 ) の事業所得 雑所得 配当所得 不動産所得 その他の所得の収入金額と必要経費を入力して合計所得金額を計算します 申告者の合計所得金額が 900 万円を超えると 配偶者控除または配偶者特別控除の控除額が変動します 申告者

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 所得税法 ( 所法 ) 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行規則 ( 所規 ) 租税特別措置法 ( 措法 ) 国税通則法 ( 通法 ) 国税通則法施行令 ( 通令 ) 国税通則法施行規則 ( 通規 ) 金融商品取

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東京太郎様 Inheritance Report 相続診断書 弁護士法人 税理士法人リーガル東京 平成 30 年 8 月 20 日作成

フィリピンの税務実務 第1 回 最終源泉税の基礎と最近の動向

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平成 30 年度 ( 平成 29 年分 ) 給与支払報告書 ( 個人別明細書 ) の記載方法及び注意事項 1 支払を受ける者の住所 給与の支払を受ける者 ( 以下, 受給者といいます ) の平成 30 年 1 月 1 日現在の住所を記載してください なお, 平成 29 年中に退職された受給者について

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

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平成 31 年度 ( 平成 30 年分 ) 給与支払報告書 ( 個人別明細書 ) の記載例 京都 株式会社の課長で, 平成 31 年 1 月 1 日現在において京都市中京区に住所がある 御池太郎さんの個人別明細書の記載例です 給与 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町 番地 オイケ

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

確定給付企業年金 給付事務 第2章 第3節 一時金給付事務 一時金と税金

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Ⅰ 電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し 電子書籍 音楽 広告の配信などの電気通信回線 ( インターネット等 ) を介して行われる役務の提供を 電気通信利用役務の提供 と位置付け その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するかどうかの判定基準 ( 内外判定基準 ) が 役務の

( 二 ) その年中に支払った社会保険料 ( 給与等から控除されるものを除く ) の金額 小規模企業共済等掛金 ( 給与等から控除されるものを除く ) の額及び次に掲げる事項イその年中に支払った種類別の社会保険料の金額 ( 給与等から控除されるものを除く ) 及びその支払の相手方の名称ロ社会保険料の

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(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

第 2 金融資産性所得に対する個人住民税の課税時期と課税団体についての検討 1 年の途中で出国した者のキャピタルゲインに対する個人住民税の課税のあ り方 (1) 非居住者に対する個人所得課税の基本的な仕組みについて非居住者に対する個人所得課税については 個人住民税 ( 地方税 ) と所得税 ( 国税

平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

Ⅰ 年の中途で行う年末調整の対象となる人 年末調整は 原則として給与の支払者に 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( 以下 扶養控除等申告書 といいます ) を提出している人について その年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますので 通常は12 月に行うこととなりますが 次に掲

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

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平成 29 年度税制改正解説国際課税 ~ 外国子会社合算税制の改正 2 4. 外国子会社合算税制の適用フローチャート 改正前 合算課税の適用対象となる内国法人等の判定 用語解説 丸数字は左のフローチャートと対応 合算対象法人における判定 1 外国法人の株式を 10% 以上保有しているか? 合算所得な

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

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13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

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税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 1 回 2 回 3 回 1 2 3 4 5 6 7 8 テーマ 1 居住者 非居住者判定テーマ 2 課税範囲についてテーマ 3 国内源泉所得の範囲テーマ 4 恒久的施設テーマ 5 租税条約 テーマ 6 実務上の留意点 テーマ 1 非居住者となるタイミングテーマ 2 出国時年末調整テーマ 3 準確定申告及び確定申告テーマ 4 非居住者の納税地テーマ 5 役員の取り扱いテーマ 6 住民税の取り扱い テーマ 1 出国後の給与課税についてテーマ 2 出国年度の所得税計算テーマ 3 海外勤務期間中の確定申告テーマ 4 海外勤務期間の所得税計算 テーマ 1 帰国時の取り扱いテーマ 2 帰国者の各種所得控除テーマ 3 帰国後の住民税の取り扱いテーマ 4 帰国年度の所得税計算 テーマ 1 納税管理人とはテーマ 2 納税管理人の手続 テーマ 1 来日外国人の課税範囲テーマ 2 来日外国人に固有の論点 テーマ 1 短期滞在者免税テーマ 2 研修生受入に係る税務テーマ 3 留学生アルバイトに係る税務 テーマ 1 国外転出時課税の概要テーマ 2 国外転出時課税詳細 海外勤務者の国際税務の取り扱いのベースとなる居住者 非居住者の判定と それぞれの課税範囲について学習します 国内で勤務をしていた方が 海外勤務となった際の出国時の取り扱いについて学習します 海外勤務となった場合の海外勤務期間中の取り扱いについて学習します 海外勤務から帰国して国内勤務となった際の取り扱いについて学習します 出国及び海外勤務期間中に納税事務を行う納税管理人について学習します 外国人が来日して居住者となった際の取り扱いについて学習します 短期滞在者 研修生及び留学生に関する税務の取り扱いについて学習します 居住者が国外に転出する際の国外転出時課税について学習します 講義内容については変更になる場合があります 予めご了承ください

税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 CONTENTS 1 非居住者判定及び課税所得範囲 テーマ 1 居住者 非居住者判定 2 どのような基準で居住者 非居住者と判定されるか テーマ 2 課税範囲について 6 居住者と非居住者の課税範囲の違いについて テーマ 3 国内源泉所得の範囲 8 非居住者でも日本の税金を課される国内源泉所得とは テーマ 4 恒久的施設 10 恒久的施設 (P/E) とは テーマ 5 租税条約 12 国内法と租税条約との関係 テーマ 6 実務上の留意点 14 居住判定及び課税所得についての実務上の留意点 2 海外勤務者の税務 Ⅰ( 出国関連 ) テーマ 1 非居住者となるタイミング 22 居住者はいつから非居住者となるか テーマ 2 出国時年末調整 26 居住者が非居住者となる場合の年末調整とは テーマ 3 準確定申告及び確定申告 30 居住者が非居住者となる場合の確定申告とは

テーマ 4 非居住者の納税地 34 非居住者が日本の税金を課される場合の納税地 テーマ 5 役員の取り扱い 38 出国する者が役員である場合 テーマ 6 住民税の取り扱い 40 出国して非居住者となった際の住民税は 3 海外勤務者の税務 Ⅱ ( 海外勤務期間 ) テーマ 1 出国後の給与課税について 44 出国後に支払われる給与の取り扱い テーマ 2 出国年度の所得税計算 50 出国年度の所得税額計算ケーススタディ テーマ 3 海外勤務期間中の確定申告 54 海外勤務中に確定申告が必要な場合の手続 テーマ 4 海外勤務期間の所得税計算 60 海外勤務期間の所得税額計算ケーススタディ 4 海外勤務者の税務 Ⅲ( 帰国年度 ) テーマ 1 帰国時の取り扱い 66 帰国した際の税務の手続及び課税関係 テーマ 2 帰国者の各種所得控除 72 帰国年度の控除の取り扱いはどうなるか テーマ 3 帰国後の住民税の取り扱い 74 帰国した際の手続き及び課税関係 テーマ 4 帰国年度の所得税計算 76 帰国年度における所得税額計算ケーススタディ

5 納税管理人 テーマ 1 納税管理人とは 80 納税管理人の役割とは テーマ 2 納税管理人の手続 84 納税管理人が行う手続きとは 6 居住外国人に関する税務 テーマ 1 来日外国人の課税範囲 86 来日した外国人に対する日本の課税範囲について テーマ 2 来日外国人に固有の論点 92 本邦の所得税において来日外国人に固有の論点とは 7 短期滞在者及び研修生等の税務 テーマ 1 短期滞在者免税 98 183 日ルールとは ( 国内法と租税条約 ) テーマ 2 研修生受入に係る税務 102 企業が研修生を受け入れた場合の所得税について テーマ 3 留学生アルバイトに係る税務 104 海外からの留学生をアルバイトとして雇用した場合 8 国外転出時課税制度 テーマ 1 国外転出時課税の概要 108 国外転出時課税は 3 つの種類がある テーマ 2 国外転出時課税詳細 110 国外転出をする場合の課税の詳細

1 Theme 居住者 非居住者判定 どのような基準で居住者 非居住者と判定されるか 1. 居住者と非居住者の課税範囲の違い居住者は 日本国内で稼得した所得のみならず 世界中のどこで稼得した所得であっても 原則としてその全てについて日本の所得税又は法人税が課されることとなります (*) それに対し 非居住者や外国法人は 日本国内で事業を行い あるいは日本国内の資産に投資を行ったことなどにより稼得した 国内源泉所得 についてのみ 日本の所得税又は法人税が課されることとなります 居住者に該当するか それとも非居住者に該当するかによって 課税される所得の範囲が異なるため まずは 居住者 非居住者 の判定を行うことが必要となります 居住区分と課税範囲 居住区分所得の種類課税範囲 居住者 (*) 国内源泉所得 国外源泉所得 課税 課税 国内源泉所得課税非居住者国外源泉所得非課税 (*) 但し 居住者のうち 非永住者 に該当する者については 国内源泉所得以外の所得 ( 国外源泉所得 ) のうち 国外で支払を受け 又は日本国内へ送金されないものについては 日本で課税されないこととなっています

2. 居住者 非居住者判定居住者とは居住者とは 日本国内に住所を有し 又は現在まで引き続いて 1 年以上居所を有する者と規定されています (*) 非居住者とは非居住者とは 居住者以外の者と規定されています すなわち 日本国内に住所を有さない 又は居所を有する期間が 1 年未満の者が非居住者とされます (*) 居住者については 非永住者以外 ( 永住者 ) と非永住者の区分がされており 非永住者とは居住者のう ち 日本国籍を有しておらず かつ過去 10 年以内において日本国内に住所又は居所を有していた期間の 合計が 5 年以下の者が該当します 個人の納税義務者の区分 納税義務者 定義 永住者 非永住者以外の居住者 個人 居住者 国内に住所を有する又は国内に引き続いて1 年以上居所を有する 居住者のうち (1) 日本国籍を有していない かつ 非永住者 (2) 過去 10 年以内において 日本国内に住所又は居所 を有していた期間の合計 が 5 年以下 国内に住所を有さない 非居住者 かつ 国内に引き続いて 1 年以上居所を有しない

3. 住所とは民法上の規定住所については 所得税法において特に定義がないため 民法上の住所の規定 ( 民法 22 条 ) を借用し 各人の生活の本拠 をもってその者の住所と判断することとなります 所得税基本通達また 所得税基本通達において 住所とは各人の生活の本拠をいい 生活の本拠であるかどうかは 客観的事実 において判定することとされています 客観的事実 として実務上は以下の事項を総合検討したうえで 生活の本拠が国内にあるか否かの判定を行うこととなりますその者の住所はどこかどういう職業についているか国内で生計を一にする配偶者や親族がどこにいるか所有資産の所在はどこか等 4. 居所とは居所 ( 民法 23 条 ) についても所得税法において規定はありませんが 一般的概念からは 居所とは生活の本拠というほどの密着度の高いものではないが 相当の期間継続して居住し生活を営んでいる場合の当該場所が居所と考えられています

5. 住所の推定とは国内に住所を有すると推定する場合国内に居住することとなった個人が次のいずれかに該当する場合には その者は 国内に住所を有する者 ( 居住者 ) と推定されることとなります その者が国内において 継続して1 年以上居住することを通常必要とする職業を有すること その者が日本の国籍を有し かつ その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし その者が国内において継続して1 年以上居住するものと推測するに足りる事実があること 国内に住所を有しないと推定する場合 国外に居住することとなった個人が次のいずれかに該当する場合には その者は 国内に住所を有しない 者 ( 非居住者 ) と推定されることとなります その者が国外において 継続して1 年以上居住することを通常必要とする職業を有すること その者が外国の国籍を有し又はその外国に永住する許可を受けており かつ その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないこと その他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし その者が再び国内に帰り 主として国内に居住すると推測に足りる事実がないこと