税調第20回総会 資料2-1

Similar documents
税調第20回総会 資料2-2

スライド 1

税が課税される所得を生み出す事業活動に使われているか否かを基準に損金算入規制を設けていると考えられます 株式などの出資の取得のために資金を使った場合, 株式から生じる配当やキャピタルゲインは資本参加免税により非課税となります このケースでは, オランダでの課税所得を生じないことが想定されるため, 出

第8回税制調査会 総8-5

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

第7回国際課税DG 際D7-3

1. dia

海運関係事項

24年度税制改正(案)の解説

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

平成23年度税制改正の主要項目

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

【表紙】

# 05 マエストロの解説 マエストロの解説 複雑になりすぎた 法人税をもう 一度勉強しよう グループ関連企業に対する過大な支払利息を 計上することによる租税回避を防止する措置と して これまでの移転価格税制及び過少資本税 制に加え 平成 24 年度改正で 過大支払利子 税制が設けられた 主要先進国

第3回国際課税ディスカッショングループ 際D3-5

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

平成 31 年度 税制改正 平成 31 年 4 月 財務省

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

公益法人の寄附金税制について

<4D F736F F F696E74202D2095BD90AC E937888D38CA98F F D8E968D80816A5F8DC58F492E >

Microsoft Word - 02手引(説明).doc

TAC2017.indb

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

平成 31 年度 税制改正 ( 案 ) のポイント このパンフレットは 平成 31 年度税制改正の大綱 ( 平成 30 年 12 月 21 日閣議決定 ) 及び 所得税法等の一部を改正する法律案 ( 平成 31 年 2 月 5 日閣議決定 ) の内容を分かりやすくまとめたものです 法案成立前の内容で

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

PowerPoint プレゼンテーション

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

2017 年度第 1 四半期業績の概要 年 8 月 9 日 日本生命保険相互会社

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

平成19年度税制改正.xls

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

第4回税制調査会 総4-1

< F31322D89FC90B390C C18F578D8692C7985E5B315D2E6A74>

「BEPSプロジェクト最終報告書の概要と実務への影響」

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想


1. 国際的二重課税の発生理由と態様 3 税を行っていますが 諸外国においても 一般に 我が国の場合と同様に 国だけでなく地方公共団体も独自に課税権を有していますので 国の段階と地方公共団体の段階とで重複して 国際的二重課税 が生ずることとなっています 国際的二重課税 とは 基本的には このように捉

PowerPoint プレゼンテーション

(0830時点)PR版

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

不動産の移転等のかかる主要な税制 不動産の移転等にかかる主要な税制は以下のとおりである ここに示した税制については その時点以降は法令等が変更されることになどより 変更される可能性がある また 実務上の法令の解釈 適用については 所管省庁 弁護士 税理士 会計士などの専門家の確認が必要となり 記載さ

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

第12回税制調査会 国際課税(説明資料)

税調第4回連結 資料1-2

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

第2回法人課税ディスカッショングループ 法D2-1

法人税制改正詳解 CONTENTS はしがき 第 1 章平成 23 年 12 月改正 第 1 節 法人税率の引下げ 2 1 改正の趣旨及び内容 2 2 税率引下げの必要性 5 3 実効税率の計算への改正の影響 7 4 適用関係 8 5 実効税率と復興特別法人税との関係 8 6 法

検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

米国税制改革法の概要と経済効果

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

スライド 1

東京電力エナジーパートナー

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

PowerPoint プレゼンテーション

平成16年版 真島のわかる社労士

2018年 租税法基礎答練1回

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

外形標準課税に係る

⑴ 政策目的本件は, 我が国において開発資金のための国際連帯税 ( 国際貢献税 ) を導入し, 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 等, 国際的な開発目標の達成に対応 貢献するために, 世界の開発需要に対応し得る幅広い開発資金を調達するもの これは, 外務省政策評価, 基本目標 Ⅵ 経済協

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

4. 附加価値への試みと挫折 現行事業税へ昭和 24 年 (1949 年 ) 第一次シャウプ勧告事業税の課税標準について 原料等 他の事業から購入したものの価値に その企業が附加したところの額である とし 課税標準を事業の所得によるのではなく 附加価値を採用すべきである旨勧告昭和 25 年 (194

外国税額控除 この取り扱いは 平成 21 年度税制改正の 海外子会社の配当の益金不算入制度 ( 法法 23 条の 2) により廃止されました 原則として 平成 21 年 4 月 1 日以降に開始する親会社の事業年度から適用されます ( 附則 6) ただし 租税負担率 25% 以下の軽課税国に所在する

 

経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

4 地方公営企業会計基準の見直しの影響 ( 概要 ) 地方公営企業会計基準の見直しのため 平成 23 年度に地方公営企業法施行令等を改正し その改正内容が平成 26 年度予算 決算から全面的に適用となっている (1) 見直しの趣旨 昭和 41 年以来大きな改正がなされていない地方公営企業会計制度と国

2019 年度版 2019 年度版 CPE カリキュラム一覧表 4. 税務 学習成果 税務に関連する理論及び諸規定を適用する 大分類 40 総論 必須 税務 小分類 ( 研修コード ) 01 租税法概論 ( 4001 ) 租税法入門 税法総論 1. 租税の意義 種類とその役割 2. 租税法の法体系及

表1.eps

Chapter 1 Chapter 2

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

40 総論 01 租税法概 租税制度総論 必須 税務 論 1. 公認会計士と税務業務 ( 4001 ) 2. 税理士制度 3. 税務官庁の組織 4. 不服申立て 税務訴訟 5. 税務調査と否認の処理 6. 処罰法 7. その他 02 税制の動 向 ( 4002 ) 税制改正一般改正税法の研究 将来税

Microsoft Word - News_Letter_Tax-Vol.43.docx

Ⅰ 平成 24 年度高鍋町財務書類の公表について 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示された 基準モデル

消費税 : 課税の適正化について 1 ( これまでの取組み等 ) 1. 総論 社会保障 税一体改革成案 ( 平成 23 年 6 月 30 日政府 与党社会保障改革検討本部決定 ) においては 消費税制度の信頼性を確保するための一層の課税の適正化を行う こととされている ( 参考 ) 平成 23 年度

の中に法人税率をOECD 諸国の平均である25 % 程度の水準まで引き下げる提案が含まれている 米国は多大な財政赤字を抱えているため, 米国議会のPAYGOと呼ばれる原則方針により抜本的な税制改正は財政のバランスが取れていなければならず, 提案書には税率引下げに必要な財源確保の提案や見積が含まれてい

第4回税制調査会 総4-1

<4D F736F F D2095AA82A982E882E282B782A289F090E A815B C58CF889CA81762E646F6378>

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

TAX LAW NEWSLETTER 日米租税条約の改正と実務上の留意点 2013 年 9 月号 (Vol.2) Ⅰ. はじめに Ⅱ. 改正議定書に基づく主な改正ポイント Ⅲ. 改正前後の留意点 Ⅳ. 利子の源泉地国免税を利用したタックスプランニングと過大支払利子税制等 森 濱田松本法律事務所 弁護

Transcription:

平 3 0. 1 1. 7 総 2 0-2 説明資料 国際課税について 平成 30 年 11 月 7 日 ( 水 ) 財務省

目次 BEPS プロジェクト の勧告を踏まえた国際課税のあり方に関する論点整理 ( 平成 28 年 11 月 14 日 )[ 抄 ] 3 1. 過大支払利子税制 BEPS 行動 4 最終報告書の概要等 5 参考 第三者への利子の支払いにおけるBEPS( 行動 4 最終報告書パラ3をもとに作成 ) 6 BEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容と日本の過大支払利子税制 7 参考 主要国における利子控除制限制度の概要 8 参考 我が国における利子を用いたBEPS 事例 1( デットプッシュダウン ) 9 参考 我が国における利子を用いたBEPS 事例 2( 負債による資金調達と非課税所得 ) 10 参考 国際収支統計における 直接投資( 負債 ) 及び その他投資 の状況 11 2. 移転価格税制 移転価格税制の概要 13 BEPS 行動 8の勧告のポイント 14 BEPS 行動 8: 移転価格算定方法の整備 (DCF 法 ) 15 BEPS 行動 8: 評価困難な無形資産 (Hard-To-Value Intangibles:HTVI) への対応 16 参考 評価困難な無形資産(HTVI) アプローチに係る移転価格ガイドライン等の関連規定 ( 抄 仮訳 ) 17 参考 世界の特許保有件数上位 50 社の国別の状況 日本の知財使用料収支の推移 18

BEPS プロジェクト の勧告を踏まえた国際課税のあり方に関する論点整理 ( 平成 28 年 11 月 14 日 )[ 抄 ] 1. 今後の国際課税改革に当たっての基本的視点 日本企業の健全な海外展開や国際競争力向上に貢献しつつ 租税回避を適切に防止できるよう制度を見直すことが必要 日本が BEPSプロジェクト の合意事項の着実な実施に範を示し 租税回避防止に向けたグローバルな取組みをリードすることが必要 2. 個別の制度設計に当たっての留意点 < 移転価格税制 > BEPSプロジェクト 最終報告書の内容 及び今後改訂される OECD 移転価格ガイドライン を踏まえて 今後 日本の 移転価格税制 見直しを検討することが必要 < 過大支払利子税制 > 過大支払利子税制 を見直すに当たっては 現在 50% である閾値引下げの必要性と程度 及び適用対象や特別ルール等について BEPSプロジェクト 最終報告書の勧告を踏まえた検討が必要

1. 過大支払利子税制

BEPS 行動 4 最終報告書の概要等 問題意識 利子は 国際的なタックスプランニングで利用できる利益移転技術のうち 最も簡単なものの一つ 多国籍企業グループが利子を用いたタックスプランニングを行うことができることにより 競争上歪みが生じ 資本所有中立性にネガティブな影響を与える また これにより税収が減少し 税制の完全性に影響が生じうる 利子を用いた税源浸食 利益移転が生ずる場合として 関連者間借入を用いて過大な利子の損金算入を生じさせるケースや 企業グループ内の高課税法人に第三者借入を集めるケース (6 頁参照 ) などが挙げられる 勧告 上記の問題に対抗するため 企業の純支払利子の損金算入を利子 税 償却前所得 (EBITDA)( ) の 10%~30% に制限する 利子控除制限制度の導入を勧告 EBITDA : Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization 同制度は 適用が容易であり 企業の課税所得に利子の損金算入を直接リンクさせることで利子を用いたタックスプランニングに対して相当程度堅固となるとしている

参考 第三者への利子の支払いにおける BEPS ( 行動 4 最終報告書パラ 3 をもとに作成 ) 国際企業グループにおいて 100 の資金需要があり 10 の資金コスト ( 利子 ) を支払う事例 第三者借入であっても それをいずれの国の法人が行うかの選択により 所得移転を生じさせ グループ全体の税負担を引き下げることができる 事例 1 事例 2 A 国 ( 税率 30%) B 国 ( 税率 10%) A 国 ( 税率 30%) B 国 ( 税率 10%) 法人 A 1 貸付 (100) 第三者 第三者負債 外国子会社 2 利子 (10) 所得 ( 10) 税負担 ( 1) 100 の資金需要 所得 ( 10) 税負担 ( 3) 第三者負債 法人 A 1 貸付 (100) 2 出資や 関連会社株式の譲渡対価等の形で資金移転 (100) 3 利子 (10) 第三者 外国子会社 所得 0 税負担 (0) 100 の資金需要 事例 1 と比較し グループ全体で税負担減 ( 2)

BEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容と日本の過大支払利子税制 BEPS 行動 4 では 純支払利子の損金算入を EBITDA の 10%~30% に制限する 利子控除制限制度の導入を勧告 平成 24 年度税制改正において導入した日本の 過大支払利子税制 は同様の考え方に基づく制度であるが 対象となる利子やEBITDA( 調整所得 ) の定義 基準値についてBEPS 勧告と異なっており 検討が必要 その際 通常の経済活動に与える影響等にも配慮しつつ BEPSリスクに的確に対応できるよう検討していく必要 BEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容 固定比率ルール 企業 A の EBITDA(2) ( ) 損金算入限度額 純支払利子額 (1) 企業 A の EBITDA [10~30%] (3) 損金算入可 損金不算入 その他 当期の税額 当期税引後所得金額 減価償却費 等 EBITDA= 税引後当期所得 + 純支払利子 + 減価償却費 + 特別償却 + 当期税額 ( 非課税所得を含まない ) 日本の過大支払利子税制におけるBEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容との主な相違点 1 対象とする利子 : 関連者純支払利子等の額のみ 2 調整所得 (EBITDA): 国内外の受取配当益金不算入額を含む 3 基準値 :50%

参考 主要国における利子控除制限制度の概要 2018 年 11 月 1 日現在 ( 未定稿 ) 項目 国名 日本アメリカイギリスドイツフランス 通称 ( 導入年 ) 過大支払利子税制 (2012 年 ) 利子控除制限制度 (2018 年 ) ( 注 1) 利子控除制限制度 (2017 年 ) 利子控除制限制度 (2008 年 ) 過少資本税制 (1991 年 ) 基本的な仕組み 損金不算入の対象となる利子の支払先 法人の関連者等への純支払利子のうち 調整所得の一定割合の額を超える部分は 損金不算入 調整所得の一定割合を超える純支払利子は 損金不算入 調整所得の一定割合を超える純支払利子は 損金不算入 調整所得の一定割合を超える純支払利子は 損金不算入 原則として関連者限定なし限定なし限定なし 原則として関連者 調整所得の一定割合等を超える関連者等への純支払利子は 損金不算入 調整所得の定義 損金不算入額 課税所得に 純支払利子 償却費 受取配当益金不算入額等を加算 関連者純支払利子等の額 ( ) のうち調整所得金額の 50% を超える部分の金額 日本で課税対象とならない関連者等に対する支払利子等の額から一定の受取利子等を控除したもの 課税所得に 純支払利子 償却 ( 注 2) 費等を加算ただし 2022 年 1 月 1 日以降開始する課税年度は償却費等を加算しない (EBIT 相当額 ) 調整所得の 30% を超える部分の金額 課税所得に 純支払利子 償却費等を加算 調整所得の30% を超える純 ( 注 3) 支払利子 課税所得に 純支払利子 償却費等を加算 調整所得の 30% を超える純支払利子 課税所得に 純支払利子 償却費等を加算 関連者等への支払利子が調整所得の 25% 超であり かつ 出資 / 負債比率等にかかる基準等を超える場合に これらの基準を超える支払利子 利子控除制限制度を巡る動向 EU は 調整所得金額の 30% までに限り純支払利子を損金算入できる旨の利子控除制限ルールを含む 租税回避防止指令を採択 これにより EU 加盟国は 2018 年 12 月 31 日 ( 同ルールと同等に有効なルールを有する EU 加盟国は 遅くとも 2024 年 1 月 1 日 ) までに 同ルールを立法 公布しなければならない なお フランスは 同 EU 指令に基づく利子控除制限ルールを導入するための税制改正案が 2018 年財政法案に盛り込まれ 本年 9 月に国会提出されている ( 注 1)2017 年まではアーニング ストリッピング ルール (1989 年導入 ) に基づき 対象となる利子の支払先が関連者等に限定されていたが 2018 年 1 月 1 日以降開始する課税年度より 対象範囲を含め 全面的に制度が改編された ( 負債資本比率 (1.5: 1 以下 ) による適用除外も撤廃 ) ( 注 2) 調整所得の計算にかかる財務省規則は現時点で未公表 改正前のルール (Treasury regulation 1.163(j)-2(f)) においては 100% 益金不算入とされる持株比率 80% 超の株式以外の株式配当の益金不算入額に限り加算されることとされていた ( 注 3) グループ全体による外部に対する純利子費用額のグループ調整所得に対する比率を 固定比率 (30%) の代替比率として使用することも可能 ( グループ比率ルール ) いずれも 控除できる利子費用の額をグループ全体の純利子費用の額に制限する修正デット キャップ ルールの対象となる ( 注 4) 各国とも 負債資本比率や純支払利子額等に基づいて 一定の適用除外要件が設けられている

参考 我が国における利子を用いた BEPS 事例 1( デットプッシュダウン ) 実際の事例を抽象化したもの BEPS 行動 4 は 支払利子を用いた BEPS が生ずる場合として グループ内の高課税法人に第三者からの負債を集中させることを指摘 日本における実際の事例としては 例えば 中税率国の親会社が抱える第三者負債を 日本の法人に移転 (*) すること等により 日本からの利益移転を行い グループ全体の税負担を圧縮していると考えられるケースが見受けられた * この場合 日本法人が第三者 関連者から借り入れた資金を関連者株式の譲渡対価の形で 非課税で中税率国の親会社に還流させ 親会社の負債を返済することで 実質的に 日本法人に負債を移転していると考えられる 甲国 取引前 取引 取引後 中税率国 資本参加免税制度あり 本取引の翌年度に利子控除制限ルール導入 5 返済 1000 億円 甲国における利子控除制限ルールの適用回避も目的の 1 つ? 日本 事業子会社 損金算入 親会社 A 100% 保有 統括会社 B 100% 保有 新規設立 C 社 支払利子 多額の負債 甲国内における事業買収資金として借り入れたもの 第三者からの資金調達 ( 社債発行 借入 ) 3 融資 社債発行 1000 億円 1 出資 500 億円 2 融資 500 億円 B 社 A 社 関連者 (A 社 ) 及び第三者から調達した資金を全て A 社に環流 C 社 4B 社株式対価 2000 億円 多額の負債 資本参加免税で非課税? 第三者からの資金調達 ( 社債発行 借入 ) 支払利子 事業子会社 支払利子 親会社 A 損金算入 新規設立 C 社 配当 統括会社 B 負債が減少 多額の第三者 関連者負債 C 社の負債及び資本 500 1000 500 相対的に税率が高い国への負債押しつけ? ( デットプッシュダウン ) 国外関連者借入 第三者借入 A 社からの出資 C 社には B 社配当以外にも 課税対象となる一定の収益あり C 社は 本取引の数年後に B 社及び傘下の事業会社と連結納税を開始