税調第20回総会 資料2-1

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3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

第3回国際課税ディスカッショングループ 際D3-5

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

平成 31 年度 税制改正 平成 31 年 4 月 財務省

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の


上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

第12回税制調査会 国際課税(説明資料)

検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

米国税制改革法の概要と経済効果

スライド 1

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

Ⅰ 平成 24 年度高鍋町財務書類の公表について 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示された 基準モデル

<4D F736F F D2095AA82A982E882E282B782A289F090E A815B C58CF889CA81762E646F6378>

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

Transcription:

平 3 0. 1 1. 7 総 2 0-2 説明資料 国際課税について 平成 30 年 11 月 7 日 ( 水 ) 財務省

目次 BEPS プロジェクト の勧告を踏まえた国際課税のあり方に関する論点整理 ( 平成 28 年 11 月 14 日 )[ 抄 ] 3 1. 過大支払利子税制 BEPS 行動 4 最終報告書の概要等 5 参考 第三者への利子の支払いにおけるBEPS( 行動 4 最終報告書パラ3をもとに作成 ) 6 BEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容と日本の過大支払利子税制 7 参考 主要国における利子控除制限制度の概要 8 参考 我が国における利子を用いたBEPS 事例 1( デットプッシュダウン ) 9 参考 我が国における利子を用いたBEPS 事例 2( 負債による資金調達と非課税所得 ) 10 参考 国際収支統計における 直接投資( 負債 ) 及び その他投資 の状況 11 2. 移転価格税制 移転価格税制の概要 13 BEPS 行動 8の勧告のポイント 14 BEPS 行動 8: 移転価格算定方法の整備 (DCF 法 ) 15 BEPS 行動 8: 評価困難な無形資産 (Hard-To-Value Intangibles:HTVI) への対応 16 参考 評価困難な無形資産(HTVI) アプローチに係る移転価格ガイドライン等の関連規定 ( 抄 仮訳 ) 17 参考 世界の特許保有件数上位 50 社の国別の状況 日本の知財使用料収支の推移 18

BEPS プロジェクト の勧告を踏まえた国際課税のあり方に関する論点整理 ( 平成 28 年 11 月 14 日 )[ 抄 ] 1. 今後の国際課税改革に当たっての基本的視点 日本企業の健全な海外展開や国際競争力向上に貢献しつつ 租税回避を適切に防止できるよう制度を見直すことが必要 日本が BEPSプロジェクト の合意事項の着実な実施に範を示し 租税回避防止に向けたグローバルな取組みをリードすることが必要 2. 個別の制度設計に当たっての留意点 < 移転価格税制 > BEPSプロジェクト 最終報告書の内容 及び今後改訂される OECD 移転価格ガイドライン を踏まえて 今後 日本の 移転価格税制 見直しを検討することが必要 < 過大支払利子税制 > 過大支払利子税制 を見直すに当たっては 現在 50% である閾値引下げの必要性と程度 及び適用対象や特別ルール等について BEPSプロジェクト 最終報告書の勧告を踏まえた検討が必要

1. 過大支払利子税制

BEPS 行動 4 最終報告書の概要等 問題意識 利子は 国際的なタックスプランニングで利用できる利益移転技術のうち 最も簡単なものの一つ 多国籍企業グループが利子を用いたタックスプランニングを行うことができることにより 競争上歪みが生じ 資本所有中立性にネガティブな影響を与える また これにより税収が減少し 税制の完全性に影響が生じうる 利子を用いた税源浸食 利益移転が生ずる場合として 関連者間借入を用いて過大な利子の損金算入を生じさせるケースや 企業グループ内の高課税法人に第三者借入を集めるケース (6 頁参照 ) などが挙げられる 勧告 上記の問題に対抗するため 企業の純支払利子の損金算入を利子 税 償却前所得 (EBITDA)( ) の 10%~30% に制限する 利子控除制限制度の導入を勧告 EBITDA : Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization 同制度は 適用が容易であり 企業の課税所得に利子の損金算入を直接リンクさせることで利子を用いたタックスプランニングに対して相当程度堅固となるとしている

参考 第三者への利子の支払いにおける BEPS ( 行動 4 最終報告書パラ 3 をもとに作成 ) 国際企業グループにおいて 100 の資金需要があり 10 の資金コスト ( 利子 ) を支払う事例 第三者借入であっても それをいずれの国の法人が行うかの選択により 所得移転を生じさせ グループ全体の税負担を引き下げることができる 事例 1 事例 2 A 国 ( 税率 30%) B 国 ( 税率 10%) A 国 ( 税率 30%) B 国 ( 税率 10%) 法人 A 1 貸付 (100) 第三者 第三者負債 外国子会社 2 利子 (10) 所得 ( 10) 税負担 ( 1) 100 の資金需要 所得 ( 10) 税負担 ( 3) 第三者負債 法人 A 1 貸付 (100) 2 出資や 関連会社株式の譲渡対価等の形で資金移転 (100) 3 利子 (10) 第三者 外国子会社 所得 0 税負担 (0) 100 の資金需要 事例 1 と比較し グループ全体で税負担減 ( 2)

BEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容と日本の過大支払利子税制 BEPS 行動 4 では 純支払利子の損金算入を EBITDA の 10%~30% に制限する 利子控除制限制度の導入を勧告 平成 24 年度税制改正において導入した日本の 過大支払利子税制 は同様の考え方に基づく制度であるが 対象となる利子やEBITDA( 調整所得 ) の定義 基準値についてBEPS 勧告と異なっており 検討が必要 その際 通常の経済活動に与える影響等にも配慮しつつ BEPSリスクに的確に対応できるよう検討していく必要 BEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容 固定比率ルール 企業 A の EBITDA(2) ( ) 損金算入限度額 純支払利子額 (1) 企業 A の EBITDA [10~30%] (3) 損金算入可 損金不算入 その他 当期の税額 当期税引後所得金額 減価償却費 等 EBITDA= 税引後当期所得 + 純支払利子 + 減価償却費 + 特別償却 + 当期税額 ( 非課税所得を含まない ) 日本の過大支払利子税制におけるBEPS 行動 4 最終報告書の勧告内容との主な相違点 1 対象とする利子 : 関連者純支払利子等の額のみ 2 調整所得 (EBITDA): 国内外の受取配当益金不算入額を含む 3 基準値 :50%

参考 主要国における利子控除制限制度の概要 2018 年 11 月 1 日現在 ( 未定稿 ) 項目 国名 日本アメリカイギリスドイツフランス 通称 ( 導入年 ) 過大支払利子税制 (2012 年 ) 利子控除制限制度 (2018 年 ) ( 注 1) 利子控除制限制度 (2017 年 ) 利子控除制限制度 (2008 年 ) 過少資本税制 (1991 年 ) 基本的な仕組み 損金不算入の対象となる利子の支払先 法人の関連者等への純支払利子のうち 調整所得の一定割合の額を超える部分は 損金不算入 調整所得の一定割合を超える純支払利子は 損金不算入 調整所得の一定割合を超える純支払利子は 損金不算入 調整所得の一定割合を超える純支払利子は 損金不算入 原則として関連者限定なし限定なし限定なし 原則として関連者 調整所得の一定割合等を超える関連者等への純支払利子は 損金不算入 調整所得の定義 損金不算入額 課税所得に 純支払利子 償却費 受取配当益金不算入額等を加算 関連者純支払利子等の額 ( ) のうち調整所得金額の 50% を超える部分の金額 日本で課税対象とならない関連者等に対する支払利子等の額から一定の受取利子等を控除したもの 課税所得に 純支払利子 償却 ( 注 2) 費等を加算ただし 2022 年 1 月 1 日以降開始する課税年度は償却費等を加算しない (EBIT 相当額 ) 調整所得の 30% を超える部分の金額 課税所得に 純支払利子 償却費等を加算 調整所得の30% を超える純 ( 注 3) 支払利子 課税所得に 純支払利子 償却費等を加算 調整所得の 30% を超える純支払利子 課税所得に 純支払利子 償却費等を加算 関連者等への支払利子が調整所得の 25% 超であり かつ 出資 / 負債比率等にかかる基準等を超える場合に これらの基準を超える支払利子 利子控除制限制度を巡る動向 EU は 調整所得金額の 30% までに限り純支払利子を損金算入できる旨の利子控除制限ルールを含む 租税回避防止指令を採択 これにより EU 加盟国は 2018 年 12 月 31 日 ( 同ルールと同等に有効なルールを有する EU 加盟国は 遅くとも 2024 年 1 月 1 日 ) までに 同ルールを立法 公布しなければならない なお フランスは 同 EU 指令に基づく利子控除制限ルールを導入するための税制改正案が 2018 年財政法案に盛り込まれ 本年 9 月に国会提出されている ( 注 1)2017 年まではアーニング ストリッピング ルール (1989 年導入 ) に基づき 対象となる利子の支払先が関連者等に限定されていたが 2018 年 1 月 1 日以降開始する課税年度より 対象範囲を含め 全面的に制度が改編された ( 負債資本比率 (1.5: 1 以下 ) による適用除外も撤廃 ) ( 注 2) 調整所得の計算にかかる財務省規則は現時点で未公表 改正前のルール (Treasury regulation 1.163(j)-2(f)) においては 100% 益金不算入とされる持株比率 80% 超の株式以外の株式配当の益金不算入額に限り加算されることとされていた ( 注 3) グループ全体による外部に対する純利子費用額のグループ調整所得に対する比率を 固定比率 (30%) の代替比率として使用することも可能 ( グループ比率ルール ) いずれも 控除できる利子費用の額をグループ全体の純利子費用の額に制限する修正デット キャップ ルールの対象となる ( 注 4) 各国とも 負債資本比率や純支払利子額等に基づいて 一定の適用除外要件が設けられている

参考 我が国における利子を用いた BEPS 事例 1( デットプッシュダウン ) 実際の事例を抽象化したもの BEPS 行動 4 は 支払利子を用いた BEPS が生ずる場合として グループ内の高課税法人に第三者からの負債を集中させることを指摘 日本における実際の事例としては 例えば 中税率国の親会社が抱える第三者負債を 日本の法人に移転 (*) すること等により 日本からの利益移転を行い グループ全体の税負担を圧縮していると考えられるケースが見受けられた * この場合 日本法人が第三者 関連者から借り入れた資金を関連者株式の譲渡対価の形で 非課税で中税率国の親会社に還流させ 親会社の負債を返済することで 実質的に 日本法人に負債を移転していると考えられる 甲国 取引前 取引 取引後 中税率国 資本参加免税制度あり 本取引の翌年度に利子控除制限ルール導入 5 返済 1000 億円 甲国における利子控除制限ルールの適用回避も目的の 1 つ? 日本 事業子会社 損金算入 親会社 A 100% 保有 統括会社 B 100% 保有 新規設立 C 社 支払利子 多額の負債 甲国内における事業買収資金として借り入れたもの 第三者からの資金調達 ( 社債発行 借入 ) 3 融資 社債発行 1000 億円 1 出資 500 億円 2 融資 500 億円 B 社 A 社 関連者 (A 社 ) 及び第三者から調達した資金を全て A 社に環流 C 社 4B 社株式対価 2000 億円 多額の負債 資本参加免税で非課税? 第三者からの資金調達 ( 社債発行 借入 ) 支払利子 事業子会社 支払利子 親会社 A 損金算入 新規設立 C 社 配当 統括会社 B 負債が減少 多額の第三者 関連者負債 C 社の負債及び資本 500 1000 500 相対的に税率が高い国への負債押しつけ? ( デットプッシュダウン ) 国外関連者借入 第三者借入 A 社からの出資 C 社には B 社配当以外にも 課税対象となる一定の収益あり C 社は 本取引の数年後に B 社及び傘下の事業会社と連結納税を開始