(11) 主要機器 計測及びデータ作成に使用した機器は下表のとおりである 表 Ⅱ-5-(11)-1 主要機器一覧 作業工程 名称 数量 計測 撮影用固定翼機レーザ測距装置 GPS/IMU 装置 セスナ社製 208 型 LeicaGeosystems 社 ALS70 LeicaGeosystems 社 IPAS10 1 台 1 台 1 台 LeicaGeosystems 社 IPAS Pro/IPAS CO 1 台 データ作成 ESRI 社 ARCGIS9.3 5 台 TerraSolid 社 TerraScan 1 台 LeicaGeosystems 社 LPS 1 台 データ検証作業 GPS 測量機 Nikon Trimble 5800 1 台 125
6. 林相と積雪量に関する解析 ( 速報 ) 林相と積雪の関係は以下の関係があるとの想定の下 林相指標と積雪調査結果の解析を行 なった なお 本調査では 融雪期の積雪調査等は未実施であるため 本項で示す解析結果 は途中結果を示したものである < 林相と積雪量に関する想定 > 上空遮蔽による積雪減少 ( 密生した樹林ほど遮蔽効果が高く積雪が少ない ) 日射や風の遮蔽による融雪遅延 ( 密生した樹林ほど融雪遅延効果が高い ) 林相調査で得られた林相指標と積雪調査で得られた積雪深の観測結果から 林相と積雪量 に関する解析を行った 解析においては 林相の各指標と積雪調査において各地区とも最も 積雪深の大きかった 2 月の積雪水量との関係をプロットした プロットした図を次頁以降に 示す 以下 プロット図から考えられる林相と積雪深の関係について述べる 密度指標(ha 当たり本数 ) と積雪水量では 立木密度が高いほど積雪深が減少するという負の相関が見られることを想定していたが 想定した関係は見られなかった 十日町と宝川( 宝川 3を除く ) の収量比数では負の相関 相対幹距では正の相関が見られた 単なる立木密度だけではなく 樹高等を加味したこれら指標が 積雪との関係を示している可能性がある 収量比数 : 大 積雪遮蔽効果 : 大 積雪水量と負の相関林内の立体構造が積雪に相対幹距 : 大 積雪遮蔽効果 : 小 積雪水量と正の相関影響を与えている可能性あり 3 地区共に同様の傾向を確認できる指標は無かった 図 Ⅱ-6-1 2 月積雪調査時の林相指標と積雪水量との関係 今後 融雪調査での消雪日と林相の関係を確認することで融雪遅延効果を確認すると共に 追加調査を行なう開空度との関係について解析を行う 126
相関長坂 :- 十日町 :- 宝川 :+ 相関長坂 :- 十日町 :- 宝川 :+ 図 Ⅱ-6-2 2 月積雪調査時の林相指標と積雪水量との関係 (1/5) 127
相関長坂 :+ 十日町 :- 宝川 :-( 宝川 3 を除く ) 相関長坂 :- 十日町 : 無宝川 :+( 宝川 3 を除く ) 図 Ⅱ-6-3 2 月積雪調査時の林相指標と積雪水量との関係 (2/5) 128
相関長坂 :+ 十日町 :+ 宝川 :-( 宝川 3 を除く ) 相関長坂 : 無十日町 :- 宝川 :-( 宝川 3 を除く ) 図 Ⅱ-6-4 2 月積雪調査時の林相指標と積雪水量との関係 (3/5) 129
相関長坂 :+ 十日町 :+ 宝川 :-( 宝川 3 を除く ) 相関長坂 :+ 十日町 :- 宝川 :-( 宝川 3 を除く ) 図 Ⅱ-6-5 2 月積雪調査時の林相指標と積雪水量との関係 (4/5) 130
相関長坂 :- 十日町 :+ 宝川 :+( 宝川 3 を除く ) 図 Ⅱ-6-6 2 月積雪調査時の林相指標と積雪水量との関係 (5/5) 131
7. 検討委員会の開催 (1) 委員会開催の目的本事業の目的が効果的かつ効率的に達成できるよう検討を行うため 有識者 5 名以上からなる検討委員会を設置する (2) 気象変動へ適応した積雪地域の森林整備及び保全のあり方検討委員会の開催 1) 第 1 回検討委員会ア. 開催日時平成 28 年 1 月 25 日 ( 月 ) 13:30~15:30 イ. 委員会の有識者 序章の表 Ⅱ-3-1 のとおりである ウ. 議事第 1 回委員会の議事は以下に示す1~5とした 1 本調査の全体概要 2 林相調査について 3 積雪調査について 4 航空レーザ計測の撮影計画 5 今後のスケジュール 132
エ. 委員会での指摘内容と対応方針 第 1 回委員会での委員からの意見は表 Ⅱ-7-(2)-1)-1 のとおりであり 対応方針に基づき調査 検討を進めることとした 表 Ⅱ-7-(2)-1)-1 項目名 No 委員からの意見 対応方針等 調査地の選定 1 調査地点の名称 ( 疎林 閉鎖林等 ) を立木密度等を用いて再検討する必要がある 長坂林分 1 長坂林分 2 という名称に変更する 林分の特徴は 分析結果を表形式等にとりまとめ 林分の違いがわかるように留意します 2 調査地点はそれぞれの地域ごとに立地条件が大体同じと考えてよいのか 林相( 樹種 樹高 生育段階等 ) の面ではスギの壮齢林とし 立木密度や開空度以外の条件は原則同一条件になるように選定に努めたが 降雪特性が同一と推測される範囲内で林相の違いを優先して選定したため結果的には 立地条件を全て同一とすることはできませんでした 長坂では 50m 程度の標高差があるが 一般に 0.6 /100m といわれており 解析の際にその違いを考慮した上で評価することは可能であると考えています 3 今回の3 地区に加え標高が異なる調査地を加える必要があると考える 今回の3 地区は降雪特性が異なる場所ということで選定おり 標高を変えた調査は次のステップにあたると考えています なお 共通の降雪特性を持つ同一地域内では標高の違いが降雪量の違いに結びつくことから 標高の違いによる融雪遅延効果の違いを明らかにすることで 融雪遅延効果を高める森林整備を進めるべき場所のゾーニングの検討に役立てることを想定していま す 133
現地調査及び資料収集データ解析 4 現地での積雪密度計測の調査点数の追加を検討する 5 温度センサーによる融雪調査点数の追加を検討する 6 調査地のメタデータを整理する必要がある 7 収集した森林簿の年次を確認しておく必要がある 8 調査地の施業履歴を把握しておく必要がある 9 インターバルカメラによる時間別の解析も検討する必要がある 10 人為的に加工した全天空写真を用いた開空度解析は科学的ではないので再撮影する必要がある 11 人工常緑樹林と落葉広葉樹の比較のほうが良いのではないか 当初の計画では 3 点であったが 2 月以降の調査では 10 点程に増やします 1 月の現地調査では 8 点程度を取得済みです 追加原価(3000 円 / 個と見積り 1 箇所 5 個として約 23 万 ) が発生するため 見送る方針です なお 野口先生が設置したセンサーがあるため データ提供を受けられるようであれば解析を検討します 業務仕様書に記載のある収集資料を含め必要となる資料を整理します また 必要となる年次や来年度に追加収集が必要なのかも一覧で整理します 森林簿を整備している各機関へ確認します 宝川は森林事務所へ 十日町は森林組合へ 長坂は県有林のため金子委員へ問い合わせます 基本的に日変化を解析するが 融雪期には時間別の解析も検討したい 特定の範囲の画素値を加工することは考えていません 画像の前処理では 空である部分と空でない部分が白黒 2 値化できるような処理を行う予定です 画像から計算した開空度の傾向と 林分密度指標等の傾向とが必ずしも整合していないと考えられるため 次年度以降に撮影地点数を増やす等の補足調査を行う予定です 本事業では人工林に適切な施業を行うと融雪遅延効果が発揮されることの立証を目的としており 人工常緑緑と落葉広葉樹の比較については 次のステップにあたると考えています 134
2) 第 2 回検討委員会 ア. 開催日時 平成 28 年 3 月 11 日 ( 金 ) 13:30~15:30 イ. 委員会の有識者 序章の表 Ⅱ-3-1 のとおりである ウ. 議事第 2 回委員会の議事は以下に示す1~3とした 1 第 1 回検討委員会での指摘事項への対応方針 2 現時点までの調査結果概要と今後の方向性 3 航空レーザ計測の撮影結果 135
エ. 委員会での指摘内容と対応方針 第 2 回委員会での委員からの意見は表 Ⅱ-7-(2)-2)-2 のとおりであり 対応方針に基づき調査 検討を進めることとした 表 Ⅱ-7-(2)-2)-2 項目名 No 委員からの意見 対応方針等 現地調査及び 1 対象地の平均的な開空度を求めるために全天空写真の撮影地点 次年度以降に撮影地点数を増やす等の補足調査を行う予定です 資料収集 を増やして再整理したほうが良い 2 河川流出量は 解析に利用するのに日単位 時間単位のものが データ提供をいただく側なので 先方にそのような要望で提供依頼します あったほうが良い データ解析 3 立木密度と積雪にはどのような関係があるのか把握しているか 現時点では収量比数や相対幹距と関係がありそうな傾向です 今後の解析で検討していくこととなります 4 十日町は暖冬であったため冬の途中に雪が溶けている可能性があるので解析には留意した方が 調査結果の解析を進める際に そのような事象が起きていた可能性も踏まえて検討するようにします 良い 取りまとめ方針 5 今後の取りまとめでは 農林水産省の気候変動適応計画で挙げられている課題を念頭に置く必要がある そのような方針で進め 本事業の結果が少しでもその課題に応えられるようにしたいと考えます 136
Ⅲ. 今後の予定 1. 現時点の課題ここまで調査 解析を進めてきた中での課題は以下のとおりである 1 積雪水量については十日町 宝川では当初想定 ( 立木密度が低いと積雪量が増える ) と近い結果が得られているが 林相指標と十分に対応したものとなっていない 2 林相を表す林相指標が多いため 融雪遅延効果に影響を与えると考えられる指標を整理する必要がある 3 開空度は積雪調査結果の考察も踏まえ 画像の取得方法も含め再検討し 次年度以降に撮影地点数を増やす等の補足調査を行う 4 林相指標との関連が見られていない長坂地域において その要因の検討を行う 5 今後の融雪期の調査結果から融雪遅延効果を整理 解析する 2. 今後の調査予定来年度業務では以下の融雪期 (4~5 月 ) の調査を実施する必要がある 1 現地積雪調査 ( 積雪深 積雪密度計測 インターバルカメラのメンテナンス ) 2 宝川地区の融雪期航空レーザ計測 3. 今後の検討内容積雪地域の森林の整備及び保全のあり方を検討するため 調査結果から整理 解析すべき検討内容案を以下に示す 1 林相毎の消雪日の整理 今後の調査結果から林相毎の消雪日を確認し 裸地との差について整理する 2 林相指標と積雪水量 融雪遅延効果 ( 消雪日差 ) 積雪水量 融雪遅延効果と各種林相指標との関係を整理する 影響を与えると思われる林相指標から要因を推定する 3レーザ計測結果解析 2 時期の積雪深データから積雪深分布及び積雪減少量分布を算出する レーザ計測結果から地形に関する指標を抽出する ( 傾斜 斜面方位 標高等 ) レーザ計測結果から林相に関する指標を抽出する ( 樹木密度等 ) 地形指標が同一と考えられる地域毎に林相指標による積雪深 積雪深減少量の違いを整理する レーザ計測結果から融雪状況が異なると考えられる地域を抽出し 林相の状況を確認する ( 必要に応じて実施 ) 4 融雪遅延効果を考慮した施業手法の整理 調査結果から林相と融雪遅延の関係を整理し 施業の効果や影響について整理する 137