566 大野勝寿 1) 志村等 1) 松岡直樹 1) 社会福祉法人親善福祉協会国際親善総合病院 1) LOCI 法による BNP 測定試薬の基礎的検討 ディメンション EXL 用試薬について はじめに LOCI 法 (Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay) は他の化学発光法に比べBF 分離を必要としないため測定時間が迅速であることや検体量が微量であることなどメリットが多い検査法である 今回我々は SIEMENS 社より新たに発売されたディメンションEXL 用 B NP 測定試薬を検討する機会を得て若干の知見を得たので報告する 測定機器 試薬 測定機器にはディメンション EXL200(SIEMENS HCD 社 ) を使用し 試薬はフレックスカートリッジBNP-Vを使用した 比較対照機器にはADVIA ケンタウロスXP( SIEMENS HCD 社 ) を使用した 方法及び結果 1 同時再現性 :4 濃度のコントロール血清を各 10 重測定した結果 変動係数 (CV) は 0.81~2.24% であった 2 日差再現性 :4 濃度のコントロール血清を 10 日間測定した結果 CV は 0.77~5.03 であった 3 希釈直線性 : 高濃度の検体 を 10 段階希釈し 2 重測定した結果 原点を通り 1959pg/ml までの直線性が確認された 4 検出感度 実効感度 : 低濃度域の検体を用いて 10 段階希釈し 10 重測定したところ 検出感度は 2.6SD 法で 1.41pg/ml 実効感度は CV10% で 4.75pg/ml であった 5 共存物質の影響 : 干渉チェック A プラス ( シスメックス社 ) を用い確認したところ Bil-F Bil-C 乳ビの影響は認められなかったが 溶血ヘモグロビンにおいて低値傾向を示した 6 他法との相関 :ADVIA ケンタウロス XP との相関は N= 250 で Y=0.9745X+3.6384 であった 考察 今回 検討した LOCI 法によるディメンション EXL 用フレックスカートリッジ BNP V の基本性能は良好であった また現行 CLIA 法との相関も良好であり 今後その迅速性等を活かして夜間緊急検査などに展開できるものと思われる 連絡先 :045-813-0221( 内線 2702)
567 AIA-900 による ANP 測定法の検討 中村由佳 1) 八木道隆 1) 安藤隆 1) 鈴木晴美 1) 渡辺孝子 1) 阿部正樹 1) 杉本健一 1) 学校法人東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 1) 目的 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP) の測定は 測定機器が限定されることから主に検査センターへの外注検査として行われている 今回 ANP の院内迅速検査化を視野に 2013 年に上市された AIA 用試薬の基礎的検討を行ったので報告する 方法 測定には AIA-900( 東ソー ) を使用し 試薬 E テスト TOSOH Ⅱ(ANP) の基礎検討を行った また MI02 シオノギ ANP との相関関係およびアプロチニン加 EDTA 管 ( 専用管 ) と EDTA 管 ( 汎用管 ) における比較検討を行った 結果 1. 再現性 :2 濃度のコントロール血清による同時再現性 (n=10) は CV=3.48% 1.28% となり 日差再現性 (n=10) は CV=3.08% 1.50% となった 2. 希釈直線性 : 検量域内 (2,000pg/ml) において良好な直線性が得られた 3. 検出感度 :±2SD 法 (n=5) による検出限界は 2pg/ml であった 4. 共存物質の影響 : 干渉チェックAプラスでのビリルビン 乳びの影響は認められなかったが 溶血においてはヘモグロビン濃度に比例し測定値の低下傾向が認められた 5. 相関関係 : 対照法との相関関係 (n=53) は y=1.01x+12.29 r=0.993 となった 専用管と汎用管との相関関係 (n=53) は y=0.95x-3.51,r=0.999 となった 6. 検体の安定性 :1 専用管 汎用管それぞれを遠心後室温放置と全血室温放置とで測定値の変動 : 遠心した検体は測定値の変動は認められず 全血放置した検体では両採血管とも測定値の低下傾向が認められた 2 遠心分離後 冷蔵及び凍結保存による測定値の変動 : 冷蔵保存では 汎用管で約 24 時間後の測定値の低下が認められた 凍結保存では両採血管ともに測定を行った 14 日まで変動は認められなかった 3 遠心分離後 凍結保存し解凍後室温放置による測定値の変動 : 高値検体の汎用管で測定値の低下が認められた 結論 基礎検討では溶血ヘモグロビンによる測定値の低下が認められたが その他は良好な結果を得た 検体の安定性は 両採血管とも全血室温放置約 1 時間後から測定値に低下が認められるため 採血後速やかに遠心分離し測定する必要がある 以上の結果からも 約 20 分で結果報告が可能な本法は院内での迅速測定における有用性が高いと考えられた 連絡先 03-3603-2111( 内線 5247)
568 高感度トロポニンと BNP ACS とその他心疾患との鑑別 武藤延秋 1) 荒木誠 2) 木村裕恵 1) 伊藤富雄 1) JA 岐阜県厚生連東濃厚生病院 1) JA 岐阜県厚生連中濃厚生病院 2) はじめに 心筋トロポニンは ACS( 急性冠症候群 ) の早期発見に有用なマーカである 近年 高感度測定が可能となり ACS 以外の心筋障害に対しても微量ながら血中に放出される心筋トロポニンが測定可能になった しかし高感度測定が故に結果の判定に迷うことがある 上記のような理由から心筋トロポニン値が低値陽性となった症例に対して 心臓のストレスマーカーである BNP 値の変化との関連を調べた結果 心筋トロポニン値結果判定の一助になりうる知見を得たので報告する 方法 測定装置 ARCHITECT i1000sr 測定試薬アーキテクト トロポニン I ST アーキテクト BNP-JP トロポニン I 陽性とする基準は上記キットにおける健常人の 99% タイル値である 0.03ng/ml とした 対象 2014/3~2014/8 までに臨床医より心筋トロポニンと BNP 両方のオーダーがあった 84 症例に関しての両測定値と疾患の関係を調査した 結果 トロポニン I 陽性 84 症例中 ACS と診断された症例 が 33 件であり 残りの 51 症例中 24 症例が心不全と診断された BNP の値は ACS と診断された症例の平均値で 129.5pg/ml ACS 以外の 51 症例全体では平均値が 821.4pg/ml 心不全 24 症例のみでは 940.3pg/ml という結果となった まとめ 定量的にトロポニンと BNP を同時に測定することによって トロポニン低値陽性であっても ACS 群とその他の疾患を分類することは可能であると考える 連絡先 JA 岐阜厚生連東濃厚生病院検査科 TEL 0572-68-4111
569 測定時間の異なる 3 種類のトロポニン T 測定試薬の比較検討 小松豊 1) 森澤美恵 1) 公家逸 1) 楠瀬慶二 1) 小倉克巳 1) 高知大学医学部附属病院 1) はじめに トロポニン T 測定には 超急性期や微少心筋障害を捉えるための高感度化だけでなく 急性心筋梗塞の初期評価項目としての迅速性も要求されている 今回われわれは 測定時間の異なる 2 種類の高感度トロポニン T 測定試薬と イムノクロマト法を測定原理とした POCT 試薬について有用性の評価を行ったので報告する 対象 検討試料には 当院外来および入院患者の残余検体と 職員健診の残余検体を匿名化して用いた 試薬は ロシュ ダイアグノスティックス社のエクルーシス試薬トロポニン T hs STAT( 以下 hs-9 分法 ) エクルーシス試薬トロポニン T hs( 以下 hs-18 分法 ) カーディアック試薬トロポニン T( 以下 POCT 法 ) を用い 装置には同社の cobas e411 と cobas h232 を用いた 方法 1 相関性の検討 : 患者検体 57 件を用いて hs- 9 分法と hs-18 分法の相関性を検討した また 患者検体 46 件を用いて POCT 法と hs-9 分法 hs-18 分法との一致率を検討した 2 参考基準値の検証 : 職員健診検体 123 件を用いて hs-9 分法と hs-18 分法の参考基準値を算出した 3 結果報告時間の検証 : 患者検体 27 件を用い 検体提出から結果報告までの所要時間を計測した 結果 1 相関性の検討 :hs-9 分法と hs-18 分法では 血清 / 血漿何れの検体でも r=0.999 と良好な結果を認めた また POCT 法と hs-9 分法 hs-18 分法の一致率は共に 84.8% と若干の乖離検体を認めた 2 参考基準値の検証 : hs-9 分法および hs-18 分法の 99 パーセンタイル値は それぞれ 0.009ng/mL 0.010ng/mL であった 3 結果報告時間の検証 : 結果報告時間は平均で POCT 法が 14.4 分 hs-9 分法が 20.4 分 hs-18 分法が 29.6 分であった まとめ 一致率で POCT 法と hs-9 分法 hs-18 分法の結果に若干の乖離を認めたが POCT 法が陰性で高感度トロポニン T が陽性となる検体は認めなかった 結果報告時間は 全血測定の POCT 法が最も短かったが hs-9 分法は平均 20.4 分と 高感度トロポニン T でありながら 日本循環器学会の ST 上昇型急性心筋梗塞の診断に関するガイドライン に推奨されている Door-to-needle time:30 分以内を満足させる結果であった ( 連絡先 088-880-2693)
570 ACS における高感度トロポニン I の有用性 日置達也 1) 位田陽史 1) 小川陽生 1) 河津淑乃 1) 瀧本淳 1) 公立陶生病院 1) はじめに 近年 トロポニンの高感度測定が可能となり 急性冠症候群 (ACS) の診断に有効であると報告されている 今回 ACS リスク評価における高感度トロポニン I( 以下 hstni) の有用性について検討したので報告する 対象と方法 当院救急外来に来院し 冠動脈造影を施行した 58 例 [ 男性 38 例 / 女性 20 例 年齢中央値 70.5(64.25-77.75) 歳 ] を対象とした 検体測定は採血後 24 時間以内に実施し 以下の検討を行った 1 狭窄の有無に基づき ROC 解析を行い H-FABP hstni の比較検討を行った 2. 有意狭窄 (75% 以上の狭窄 ) を認めた症例について 発症からの経過時間別にその有用性を検討した 3. 有意狭窄を認めなかった症例に関して BNP egfr との関連や病態との対応関係を検討した なお hstni の測定装置には ARCHITECT i1000( アボットジャパン ( 株 )) 測定試薬にアーキテクト R high sensitive トロポニン I を用いた H-FABP の測定装置には BM6070( 日本電子 ( 株 )) 測定試薬にリブリア H- FABP(DS ファーマバイオメディカル ( 株 )) を用いた 結果 1. 感度 特異度は hstni 64.9%,76.2% H-FABP 75.7%,38.1% であった AUROC は hstni の方が良好な結果となった (0.773 vs 0.665) 2. 有意狭窄を認め両者で乖離を認めた症例の多くは発症から 1 時間以内の症例で H-FABP のみ陽性であった 発症から 1 時間以内の症例では hstni の陽性率が 33.3% であった 3. 有意狭窄を認めなかった症例では hstni と BNP に上昇の関連性があり hstni が高値であった多くの症例で心疾患が認められたが hstni の上昇と病態に明確な関係を認めない症例も少数存在した 考察 従来のトロポニン測定に比べ hstni は発症早期の心筋障害をとらえることが可能となった しかし 1 時間以内の超急性期の ACS では hstni が検出されない可能性が示唆された また ROC 解析から 施設ごとに cut off 値を設定することで有用性がより高くなると考えられた 結語 hstni は心筋特異性の高い優れた心筋マーカーである しかし 発症からの経過時間を考慮する必要がある また hstni は ACS だけではなく 微小心筋障害でも上昇することを考慮しなければならない 公立陶生病院 TEL 0561-82-5101