< E6F2E D5D96D F18F6F88CB978A94C E786C7378>

Similar documents
臨床試験の実施計画書作成の手引き

課題名

(目的)

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

SpO2と血液ガス

2. 研究の目的及び意義について目的 : 手根管症候群の臨床的な重症度と腱鞘滑膜に発現する炎症性のサイトカインやAGEsの関連を検討する事です 意義 : 手根管症候群の重症度と周囲組織の炎症の相関が明らかになれば 抗炎症作用を持つ薬剤が手根管症候群の治療に有用となる理由がより明らかとなると考えられま

疫学研究の病院HPによる情報公開 様式の作成について

ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

埼玉医科大学倫理委員会

<4D F736F F D20819B8CA48B868C7689E68F D A8CA9967B5F E646F63>

ICUにおける酸素療法

同意説明文書(見本)

臨床研究に関する研修会1

手順書03

群馬大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会 _ 情報公開 通知文書 人を対象とする医学系研究についての 情報公開文書 研究課題名 : がんサバイバーの出産の実際調査 はじめに近年 がん治療の進歩によりがん治療後に長期間生存できる いわゆる若年のがんサバイバーが増加しています これらのがんサバイバ

6. 研究対象者として選定された理由 当科を受診された各種慢性肝疾患の方が研究対象者に含まれます 7. 研究対象者に生じる利益 負担および予想されるリスクノベルジン錠の国内臨床試験に置ける安全性評価対象例 74 例中 23 例 (31.1%) に副作用が認められ 主な自覚症状では悪心 4 例 (5.

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

3. 本事業の詳細 3.1. 運営形態手術 治療に関する情報の登録は, 本事業に参加する施設の診療科でおこなわれます. 登録されたデータは一般社団法人 National Clinical Database ( 以下,NCD) 図 1 参照 がとりまとめます.NCD は下記の学会 専門医制度と連携して

課題名

臨床研究許可申請書の提出に際しての留意事項

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

研究概要

臨床研究に参加される研究対象者の方へ 皮膚症状を呈する膠原病における炎症性サイトカインの病態への関与について に関する研究の説明 これは臨床研究への参加についての説明文書です 本臨床研究についてわかりやすく説明しますので 内容を十分ご理解されたうえで 参加するかどうか患者さんご自身の意思でお決め下さ

後天性血友病アンケート(Homepage用)

資料1_事業実施計画書

スライド 1

基準範囲の考え方 ph 7.35~ mmHg pco2 mmhg po2 mmhg HCO3 mmol/l BE mmol/l 35~45 85~105 60> 呼吸不全 21~28-2~+3 so2(%) 95~99% 静脈 pco2=45mmhg po2=40mmhg 動脈 pco

第1 総 括 的 事 項

Microsoft Word - JONIE-TR 患者説明書.docx

臨床研究の概要および研究計画

6. 研究が終わった後 血液を他の研究に使わせてください 詳しくは ページへ 病には未解決の部分がまだ多く残っています 今後のさらなる研究のため ご協力をお願いいたします ( 必要に応じて ) バンク事業へのご協力をお願いします 遺伝子を扱う研究を推進するため 多くの人の遺伝子の情報を集めて研究に使

めまい

QA JOURNAL RADIOMETER June No. C O N T E N T S 2 6 8

は関連する学会 専門医制度と連携しており, 今後さらに拡大していきます. 日本外科学会 ( 外科専門医 ) 日本消化器外科学会 ( 消化器外科専門医 ) 消化器外科領域については, 以下の学会が 消化器外科データベース関連学会協議会 を組織して,NCD と連携する : 日本消化器外科学会, 日本肝胆

臨床研究実施計画書

JSEPTIC CE教材シリーズ 対象:レベル1 ICUで働く新人CE(1~3年目程度)

委員会記載 資料番号

診療情報を利用した臨床研究について 虎の門病院肝臓内科では 以下の臨床研究を実施しております この研究は 通常の診療で得られた記録をまとめるものです この案内をお読みになり ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方の中で ご質問がある場合 またはこの研究に 自分の診療情報を使ってほしくない とお

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

説明文書作成上の留意点

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

倫理委員会審査手順書

Microsoft Word 【医学系指針】ガイダンス(溶け込み)

酸素療法(酸素器具を学ぶ)

疫 学 研 究 許 可 申 請 書

12_モニタリングの実施に関する手順書 

ph

アンケート用「研究実施計画書」作成の手引

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

1. 研究の名称 : 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の分子病理学的研究 2. 研究組織 : 研究責任者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 准教授 百瀬修二 研究実施者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 教授 田丸淳一 埼玉医科大学総合医療センター血液内科 助教 田中佑加 基盤施設研究責任者

1. この臨床研究は患者さんの治療のためではなく 新たな診断の確立のために行われます 尿路感染症の重症度を診断する際には CRP やプロカルシトニンなどの炎症マーカーが使用されておりますが これらのマーカーは 炎症が起きてから血中に出てくるまで時間がかかったり 炎症が良くなっても血液中からなかなか消

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ

2. 転倒危険者を察知する ナースの直感 の分析研究の説明書 研究実施説明書もの忘れ外来に通院されている 患者様を対象に 転倒を察知する看護師の洞察力に関する研究のご説明を開始いたします 転倒は太ももの付け根 ( 大腿骨頸部 ) 骨折 手首の骨折の 80% 以上の原因です 大腿骨頸部骨折も手首の骨折

蘇生をしない指示(DNR)に関する指針

別紙様式第1

平成 28 年 4 月版 別紙様式 3 研究に係る利益相反状況申告書 Q&A Q1. 学内研究分担者等の氏名 Q1-1 Q1-2 Q1-3 Q1-4 質問学外の研究分担者名を記載しなくてもよいのですか? 学内研究分担者等 というのは どのような人をいうのですか? モニタリング 監査とはどのようなもの

<4D F736F F D F82A482C C B835E B83588CA48B C668DDA95B68F912E646F6378>

2. 延命措置への対応 1) 終末期と判断した後の対応医療チームは患者および患者の意思を良く理解している家族や関係者 ( 以下 家族らという ) に対して 患者が上記 1)~4) に該当する状態で病状が絶対的に予後不良であり 治療を続けても救命の見込みが全くなく これ以上の措置は患者にとって最善の治

平成29年度 第1回 臨床研究に関する研修会

PowerPoint プレゼンテーション

【押印あり】日本医学会宛

説明文書

Microsoft Word - *Xpert Flu検討 患者用説明書 修正.docx

スライド 1

群馬大学 人を対象とする医学系研究倫理審査委員会 _ 情報公開 通知文書 人を対象とする医学系研究についての 情報公開文書 研究課題名 : COPD を有する手術実施患者の術前評価と手術後に発症した呼吸器合併症の状況からの後方視的な検討 はじめに COPD は Chronic Obstructive

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

呼吸ケア 人工呼吸器の基礎 4: アラームと対応 アラーム 人工呼吸器のみならず医療機器を使用する場合 患者の状態や医療機器自体の異常を発見するために必要なのがアラームです したがって アラームが適切に設定され さらに医療従事者の耳に届く適切な音量に設定されていないと 異常の早期発見や対応の遅れにつ

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

07案3団体あて臨床研究法COI通知

再発小児 B 前駆細胞性急性リンパ性白血病におけるキメラ遺伝子の探索 ( この研究は 小児白血病リンパ腫研究グループ (JPLSG)ALL-B12 治療研究の付随研究として行われます ) 研究機関名及び研究責任者氏名 この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示す通りです 研究代表者眞田昌国立病院

Microsoft Word - B 同意説明文書 杏林EBV 三橋先生に提出用.docx

の主要な治療薬として日本ならびに世界で広く使用されている MTX の使用により 関節リウマチの臨床症状の改善 関節破壊進行抑制 QOL 改善のみならず 生命予後の改善や心血管合併症リスクが軽減されることが示されており 現在の関節リウマチ治療においては必要不可欠な薬剤である 1990 年前後から MT

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

標準業務手順 目次

平成28年度 第1回 臨床研究に関する研修会

(個人情報は他人には決して漏らしません)

研究計画書 1. 研究の名称 便中ヒトヘモグロビン分析装置 HM-JACKarc マイナーチェンジ機の性能評価 2. 研究組織について 研究責任者 : 研究実施者 : 奈良豊 ( 埼玉医科大学総合医療センター中央検査部臨床検査技師係長 ) 島田崇史 ( 埼玉医科大学総合医療センター中央検査部臨床検査

本事業の意義 実効性 ( 見直しの必要性 ) 医療情報データベース基盤整備事業 ( 平成 23 年度 ~ 10 協力医療機関 ) 日本再興戦略 ( 平成 25 年 6 月 14 日 ) 医療 介護情報の電子化の促進 医薬品の副作用データベースシステムについて データ収集の拠点となる病院の拡充や地域連

Microsoft Word - HP用 同意書・説明書 130121

青焼 1章[15-52].indd

ジャーナルクラブ 2016/4/19

目 次 1. はじめに 2. 臨床研究とは 3. 研究の目的 意義 4. 研究の対象と方法 5. 研究への自由意志参加 同意取消しの自由 6. 研究責任者 組織 7. 研究の場所 期間 8. 研究試料と情報の取り扱い 9. 研究結果の扱い 10. 研究資金源 11. 利益相反 12. 研究参加者の負

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

Microsoft PowerPoint - 呼吸管理のkimo.pptx

九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(慢性重症虚血肢(閉塞

目次 1. はじめに 1 2. 研究課題の倫理審査について 2 3. プライバシーの保護について 2 4. 提供試料の解析 / 分析等について 3 5. 研究課題と成果等の公表について 3 6. 追加の採血について 3 7. 過去の研究に提供した試料等の保管について 4 8. 試料 診療情報の提供先

4. 結果はお返ししない予定です [ 結果を開示しない場合 ] 今すぐに診療に役立てることができないため結果をお返ししない予定です ご理解く ださいますようお願いいたします 詳しくは ページへ ( 必要に応じて )5. 親権者の承諾のもと 未成年者の参加をお願いしています 詳しくは ページへ 6.

PowerPoint プレゼンテーション

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

【1

Awake ECMO

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

PowerPoint プレゼンテーション

検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

Transcription:

研究計画書 1. 研究内容平成 26 年 2 月 18 日 (1) 意義 目的 酸素は生体の恒常性維持に不可欠であるため 低酸素血症は臓器障害を惹起し, 重篤であれば死に至る 人工呼吸の大きな役割は 酸素を生体に供給することであり 人工呼吸により重症患者の救命率は大幅に改善した しかし 高濃度酸素投与は 肺障害 間質性肺線維症 無気肺 急性気管気管支炎 好中球の活性化などを惹起する可能性があり予後悪化に関連する可能性が示唆されている また 酸素投与は心拍出量を低下させ フリーラジカルを産生させることが知られており hyperoxia( 高酸素血症 ) の有害作用が COPD 患者の急性増悪時 心停止後および ICU 患者で相次いで報告されている 上記の如く高濃度酸素投与や高酸素血症の有害性を示唆する研究が存在するものの 多くの集中治療医は酸素化が保たれているのであれば FiO2 0 4 あるいは 0.6 以下は有害でないと考えている 現在のところ 2 つの目標 PaO2 の有効性 有害性を検討した RCT は存在しないため目標 PaO2 によって予後が変わるかどうか不明である 現在 本邦における人工呼吸患者に対する酸素投与方法に関する疫学情報はほとんど存在しないため, 本邦における人工呼吸中における酸素投与に関する現状や予後との関係に関する検討はいまだ行われていない また 人工呼吸の重要な役割の一つとして CO2 の調節により酸塩基平衡の維持を行うことが挙げられる 現在は 二酸化炭素濃度の上昇を許容した低用量換気が推奨されているが 集中治療患者は多臓器不全により代謝性アシドーシスを有することも多く 酸塩基平衡の管理が容易でないことも多い 酸塩基平衡に関する研究は多くは一施設の後ろ向き研究であり 人工呼吸方法に関する情報を伴ったものは存在しない 上記の如く 人工呼吸患者における酸素療法および酸塩基平衡は 患者管理上重要であるが 本邦における工呼吸患者に対する酸素投与方法あるいは酸素療法に関する多施設疫学情報はいまだ存在しない 本研究は神戸大学医学部附属病院集中治療部を研究代表機関とする多施設共同研究である 本研究の目的は 人工呼吸器設定と血液ガス分析および酸塩基平衡に関する情報を集積し 人工呼吸を要する集中治療患者における現在の人工呼吸法 酸素療法および酸塩基平衡に関する現状を明らかにし 患者予後との関係を検討することにある 本研究の遂行により 本邦の人工呼吸患者における酸素療法および酸塩基平衡に関する実態を明らかにし 酸素療法および酸塩基平衡が患者予後に与える影響を明らかにできる (2) 方法 研究のデザイン : 前向き観察研究 試料等について種類 ( および量 ): カルテから得られる患者情報 人工呼吸器設定 通常に測定される血液ガス分析器の結果 日常的に測定される生化学情報尚 人工呼吸器設定は 医療者によって適宜設定する 本研究は純粋な観察研究であり 人工呼吸器設定に介入は行わない 1) 患者基礎情報 ; 年齢 性別 身長 ICU 入室理由 人工呼吸を要する理由 慢性疾患合併の有無 ICU 入室 28 日目の患者状態 ICU 滞在中の人工呼吸期間 ICU 滞在中の腎代替療法の施行期間 患者重症度スコア (APACHE II) 2) 人工呼吸設定に関する情報と血液ガスデータ PEEP, PIP( ピーク圧 ), 分時換気量, 呼吸回数, FIO2, PH, PaCO2, PaO2, HCO3, B.E., Hb, SaO2, Na+, K+, Cl-, Ca++, Lactate( 人工呼吸開始後 8 日間 一日 3 回分 (6-10 14-18 22-2 時 ) 3) アルブミン値 ( 人工呼吸開始後 8 日間 一日 1 回分 ) 血液ガス分析は一般的に少なくとも 4-8 時間毎に測定されており その日常診療における情報を使用する アルブミン値も日常的に測定される数値を利用する 本研究のために特別な採血および検査は必要としない 採取 ( 収集 ) 方法 : 日常診療から得られる情報をカルテから収集 方法 : 日常診療から得られる情報をカルテから収集

神戸大学医学部附属病院集中治療室および本研究参加医療機関にて集積した情報により 以下の解析を行う予定である 1) 現在の人工呼吸器設定の疫学的探索 モード PEEP 一回換気量 FIO2 最大吸気圧などの人工呼吸器設定がどのように設定されいるかを記述統計する 2) 酸素療法に関する疫学的探索 ; 患者 PaO2 がどのレベルで管理されているかを記述統計する また PEEP あるいは FIO2 がどの PaO2 で変更されているかを検討することで 参加患者における PaO2 の管理範囲を推測する 3)PaO2 および FIO2 の設定変更閾値によって患者群を層別化し 各患者層で予後に有意差があるか検討する 4) 血液ガス分析およびアルブミンの値を用いて酸塩基平衡の変化を記述統計する 5) 酸塩基異常の存在する患者群と存在しない患者群に分けて 予後に有意差があるかどうか検討する 6) 酸塩基平衡異常をきたす各因子 ( 乳酸値 Na Cl など ) に着目し これらの変化と患者予後との関係を検討する (3) 評価項目 主要評価項目 患者 PaO2 に対する FIO2 の設定方法およびその予後との関係 酸塩基平衡異常における成因の検討およびその予後との関係 副評価項目 人工呼吸モード 設定の疫学情報 ( 平均一回換気量 ) 酸塩基平衡に影響を与える乳酸値クリアランスおよび主たる強イオンである Na+, Cl- の疫学情報と予後との関係 患者予後として ICU 入室後 28 日死亡 ICU 入室後 28 日間の ICU free days および ICU 入室後 28 日間の人工呼吸 free days を使用する また ICU 入室理由 人工呼吸を要した理由 ARDS の有無などでサブ解析を行う 本研究におけるICU 入室後 28 日間のICU free survival daysは ICU 入室後 28 日間のうち ICU 外で生存した期間をいう ICU 滞在期間では短期に死亡した患者では短めになる可能性もあり 患者予後の指標になりにくいため 現在 ICU 患者を対象とした研究では推奨されているOutcomeである ( 例 ;ICU 入室 5 日目に退室し その後生存退院した患者 ;ICU 入室期間 5 日間 ICU free survival days 23 日間 ; ICU 入室 5 日目に死亡した患者 ;ICU 入室期間 5 日間 ICU free survival days 0 日間 ) (4) 予想される医学上の貢献 本邦の人工呼吸患者における酸素療法および酸塩基平衡に関する実態を明らかにし 酸素療法および酸塩基平衡が患者予後に与える影響を明らかにできる 本研究結果により 今後の介入試験によって検証が妥当な仮説が提示できるか否かのを検証を行うことが可能となり 必要であれば Power 解析を行うことができる 本研究は 人工呼吸患者を対象とした適切な患者管理を検証する研究を構築するうえで必須の情報源になると思われる (5) 期間総研究期間 : 神戸大学大学院医学研究科長承認年月日から平成 26 年 12 月 27 日まで 登録期間 : 神戸大学大学院医学研究科長承認年月日から平成 26 年 11 月 30 日まで 観察期間 : 登録完了時から1ヶ月間 ( 最終症例 : 平成 26 年 12 月 27 日まで ) 神戸大学大学院医学研究科長承認後に日本集中治療学会 CTG 委員会に申請し 全国の集中治療認定施設に参加公募を行い 各参加施設の倫理委員会承認後より開始する 予定では 平成 26 年 4 月に CTG 委員会で承認後に公募を開始し 平成 26 年 9 月に研究を開始する 公募および CTG 委員会開催時期によって 研究期間が変更される可能性があるが その際には改めて連絡し修正する (6) 公開予定データベース (7) 公開できない場合 その理由 本研究は侵襲性を伴う介入研究に該当しないため データベース公開は行わない

2. 研究対象 (1) 対象者 平成 26 年 9 月 1 日から平成 26 年 11 月 30 日の期間中に神戸大学医学部附属病院集中治療室および本研究参加医療機関にて 48 時間以上人工呼吸を要する 20 歳以上の集中治療患者 (2) 選定 ( 適格 ) 基準 以下の基準を全てみたす者とする 集中治療室で気管切開を要する集中治療患者 20 歳以上 ( 年齢の上限は設けない ) (3) 除外基準 ECMO を要する患者 短時間で死亡する可能性が極めて高い患者 本研究に臨床データを用いることについて対象者 ( および代諾者 ) から取り止めの申し出があった者 (4) 症例数及びその根拠 ( 症例数 ) 全体で 600 名の症例集積を目標とし 当院ではその内 30 名の集積を目標とする 当院集中治療室で 48 時間以上人工呼吸を要する患者は月あたり約 15 名存在するため 目標症例数の達成は可能と考える ( 根拠 ) 過去の研究より ICU で 48 時間以上人工呼吸を要した患者の死亡率は 約 22% である PaO2 が 100 以上の場合 約半数の患者で PaO2 を 60-80 mmhg で許容していると仮定する 600 名の患者情報集積により, PaO2 を 60-80 mmhg で許容することが 7% の絶対死亡率上昇に関与するか否かを 80% の Power で検討することができる (5) データ提供機関 神戸大学医学部附属病院および本研究参加医療機関 他の参加医療機関について : 集中治療学会 CTG 委員会にて公募後に最終決定する CTG 委員会に申請するためには 自施設での倫理委員会での承認が必須であるため 本医学倫理委員会での承認を先行する 参加研究機関が決定した際には 日本集中治療学会 CTG 委員会承認書と共に研究機関リストを提出する (6) データの収集方法 臨床データ : 患者のカルテより収集する ( 収集する具体的なデータについては上述の 1.(2) 方法 参照 ) 3. 研究機関の名称 ( 共同研究機関含む ) 神戸大学医学部附属病院数中治療部 4. 研究参加による利益及び起こり得る危険並びに必然的に伴う不快な状態 ( 利益 ) 本研究への参加に伴って 直接対象者に利益が生じることはないが この研究の成果によっては 今後の医療および患者にとって適切な人工呼吸療法や酸塩基平衡管理の開発が期待できる ( 不利益 ) 本研究では 対象者のカルテから臨床データを収集するのみであるため 対象者に不利益や危険性が生じることはない

5. 研究終了後の対応 なし 6. 個人情報保護の方法 ( 研究対象者を特定できる場合の取扱いを含む ) 提供を受けた個人識別情報を含む研究情報は 各機関の実施責任者 ( 当院では江木盛時 ) が責任をもって連結可能匿名化する 匿名化などの個人識別情報の管理は 他のコンピューターと切り離され インターネットへの接続が不可能な専用のコンピューターを用いて行い 当該情報をコンピューターの外部記憶装置に保管して神戸大学大学院医学研究科外科系講座麻酔科学研究室において鍵のかかる保存庫に保管する 本学が他機関よりデータの提供を受ける際には データと個々の患者を識別するための対応表については 提供は受けない 7. 試 ( 資 ) 料等の廃棄 本院の患者およびデータ提供機関より集積したデータは 研究期間中は連結可能匿名化した状態で神戸大学大学院医学研究科外科系講座麻酔科学研究室において厳重に保存する 研究期間中に 患者 ( および代諾者 ) およびデータ提供機関より データ提供について 取り止めの希望を受けた場合は 当該患者個人を特定できない状態で データを廃棄する 研究終了後については 患者個人を特定できない状態 かつ復元不可能な状態で速やかにデータを廃棄する 8. 研究成果の公表 本研究の成果は 研究対象者およびその家族の氏名等個人情報が明らかにならないようにして 学会発表や学術雑誌等で公に発表することがある 9. 研究に係る資金源 本研究は 日常診療で得られる情報を集積する研究であるため 実施に資金は必要ない 10. 研究から生じる知的財産権の帰属 本研究結果の結果として特許権等が生じる場合は その権利は神戸大学および本研究参加医療機関に帰属し データ提供者には属さない 11. 研究に伴う補償の有無 ( 補償がある場合はその内容を含む ) 本研究は 対象者に侵襲性を伴う研究ではないため補償は該当しない 12. その他特になし 13. 同意を得る方法 本研究は 臨床データのみを用いる研究であり 人体から採取した試料等を用いる研究ではないため 対象者への説明および同意取得は行わないが 神戸大学大学院医学研究科外科系講座麻酔科学教室のオリジナル HP 及び院内掲示を通じて本研究実施について情報公開を行うとともに これにより 対象者 ( および代諾者 ) に当該臨床データの利用の撤回が可能となる機会を提供する

代諾者を必要とする方を本研究の対象に含めることについて (1) 研究の重要性 集中治療患者では 呼吸不全やその他の臓器障害から患者の命を守るために人工呼吸が必要となることがある しかし 集中治療患者に対する人工呼吸において どの程度の酸素濃度を提供すべきか あるいは酸塩基平衡異常に対してどのように対処すべきかは 未だ結論がでていない 人工呼吸を要する集中治療患者における酸素療法や酸塩基平衡に関する研究を行うためには 多くの患者の情報を集めた観察研究が必要となる 日本の複数の施設において 集中治療患者の情報と酸素療法および酸塩基の情報を併せて集積し これらが予後に与える影響を検討する研究を実施する際には 代諾を必要とする重篤な患者を対象とすることが必要である (2) 研究対象者の参加が本研究の実施に必要不可欠な理由及び代諾者等の選定方針 代諾者を必要とする患者を本研究の対象に含める理由 : 患者が人工呼吸を 48 時間以上要する重篤な状態であるため 代諾者の選定基準 : 患者の配偶者 成人の子 父母 成人の兄弟姉妹若しくは孫 祖父母 同居の親族又はそれらの近親者に準ずると考えられる者とする 研究実施責任者 共同研究者 神戸大学医学部附属病院数中治療部助教江木盛時神戸大学大学院医学研究科外科系講座麻酔科学分野教授溝渕知司