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資料 ISDB-T SB 信号から FM 受信機への干渉実験結果 1 実験の目的および方法 実験の目的 90~108MHz 帯のISDB-T SB 信号からFM 放送波への影響について干渉実験を行う 実験方法 FM 放送波を 89.9MHz に ISDB-T SB 信号を 90~10

まま送信する電気 OSDM-PON ( 図 2 (a)) から検討を始める. つづいて, 光信号を伝送する本来の光 OSDM-PON ( 図 2 (b)) の実現性の検討を行う. 本研究では, 検討の第 1 歩として, 次の条件でシミュレーションにより検討を行う. (1) 各ユーザ速度を 1 Gbp

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混沌系工学特論 #5

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例 e 指数関数的に減衰する信号を h( a < + a a すると, それらのラプラス変換は, H ( ) { e } e インパルス応答が h( a < ( ただし a >, U( ) { } となるシステムにステップ信号 ( y( のラプラス変換 Y () は, Y ( ) H ( ) X (

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.2GHz 帯及び TV ホワイトスペース帯における電波伝搬調査結果 (2) ) 見通し屋外電波伝搬調査 各周波数帯における到達距離およびダイバシティ効果 送受信間の距離や移動による影響を表 に示す場所で確認した 調査した結果 図 2で示すように 800MHz 帯 ホワイトスペース帯.2GHz 帯で

す 局所領域 ωk において 線形変換に用いる係数 (ak 画素の係数 (ak bk ) を算出し 入力画像の信号成分を bk ) は次式のコスト関数 E を最小化するように最適化 有さない画素に対して 式 (2) より画素値を算出する される これにより 低解像度な画像から補間によるアップサ E(

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通信網基礎

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MIMO 復調法 信号の検出方法について 2012 年 5 月 10 日 -1-

Multiple-Input Multiple-Output MIMO 同一時刻 同一周波数で信号を複数のアンテナから多重送信. 複数のアンテナから受信し信号処理を行うことで情報を復元するシステム. 使用する帯域幅が狭く, 多くの情報を送ることができる. 情報 A 信号分割 送信機 送信信号 x 1 x 2 x X h 11 h 21 h 伝送路 H 雑音 n 1 n 2 n n 受信機 受信信号 y 1 y 2 y Y 信号検出 - 複合 情報 A 図 1: 送信アンテナ つ, 受信アンテナ つの MIMO システムモデル Y HX n MIMO の送受信信号関係式 受信信号行列から送信信号行列 X を検出することで復調が可能. -2- [1][2]

MIMO の信号検出方法 復調における信号検出方法には, 様々な種類, 派生形が提案されている. ここでは数ある検出方法の中から, その一部を紹介する. ZF (Zeo-Focing) 法 MMSE (Minimum Mean Squae Eo) 法 BLAST (Bell Lab. 1Ayeed Space-Time) 法 MLD (Maximum Likelihood Detection) 法 SD (Sphee Decoding) 法 QRM-MLD (complexity-educed MLD with QR decomposition and M-algoithm ) 法 紹介外の検出方法一例 SVD (Singula Value Decomposition) 法 SIC (Successive Intefeence Cancellation) 法 PIC (Paallel Intefeence Cancellation) 法 SQRD (Soted QR Decomposition) 法 -- [2][][4]

Zeo-Focing ZF 法 受信信号ベクトルに伝送路行列 H の逆行列を乗算することで, 送信信号ベクトルを復元する方法. H 1 Y H 1 X H HX H 1 n 1 n 各受信信号に含まれている相互干渉成分を強制的に 0 とする演算. 最も演算量が少ない方法だが, 式にあるように雑音成分に関しては無視され, 時に強調されるため特性は悪い. -4- [2][4]

Minimum Mean Squae Eo MMSE 法 受信信号の行列式にウェイト行列を掛け合わせることで, 希望信号電力に対する干渉や雑音の電力比が最大になるようにする方法. ウェイト行列演算 YW YH H H HH ni 1 X 1 W H W 0 雑音が全くない場合は となり,ZF 法と同様の項. 雑音が非常に大きい場合は になる. ZF 法の線形フィルタに SN 比の項が追加され, 無線伝搬路と雑音の両方を考慮した計算になる. ZF 法より若干の特性改善効果があり, 演算量は比較的小さいが相互干渉成分は残存する. -5- [2][4]

Bell Lab. Layeed Space-Time BLAST 法 受信信号から行列成分毎に送信信号を復元する方法. 復元した信号を用いて相互干渉成分のレプリカを生成し, 受信信号から減算している. H H Q Y Q HX Q Y RX n y 1 11 y 2 0 y 0 QR 分解を用いた一例 12 22 0 H 1 2 n x x x 1 2 n 1 n 2 n q Η QR q q 伝送路の QR 分解 11 21 1 q q q 12 22 2 q q q 1 2 0 0 11 12 22 0 1 2 y x x x y / x ˆx n 2 y 2x) / 判定処理 ( ˆ 22 x ˆx 相互干渉成分レプリカ Im Re 図 2: 変調方式が 16QAM 時の信号判定 -6- 推定値から連立方程式を解き, 送信信号を求めるため, 誤り特性は最も SN 比の悪いものに依存する. SN 比の良いものから判定を行うと特性が良くなる. V-BLAST 法 (Vetical Bell Lab. Layeed Space-time) [2][4]

Maximum Likelihood Detection MLD 法 取りえる全ての送信信号に対し, 伝搬路情報を用いて受信信号点のレプリカを算出, 複素平面上で実際の受信点と最も近い受信点を探す方法である. 1 2 4 1 4 2 1 4 2 1 4 2 1 4 2 送信機側でチャネルが未知な場合, 最良の特性を得ることができる方法だが, 演算量が指数的に増加するため, これを削減する演算量削減型の MLD 法が提案されている. SD (Sphee Decoding) 法 図 :QPSK 変調方式, 多重のツリー構造 QRM-MLD (complexity-educed MLD with QR decomposition and M-algoithm ) 法 ASESS (Adaptive Selection of Suviving Symbol eplica candidates based on the maximum eliability) 法を適用した QRM-MLD 法 LSD (List Sphee Decoding) 法 [2][4] -7-

Sphee Decoding SD 法演算量削減型 MLD 法 (1) 全ての信号点と受信信号の距離を計算するのではなく, 図に示すように, 受信信号を中心とした一定の領域内にある信号点の距離だけを計算し信号を判定.MLD の演算量を削減する方法. Im 図 4:SD 法の距離計算イメージ Re 軟判定復号を行う場合は, 各ビットの信頼度情報を求める必要がある. 受信信号と最も近い信号点までの距離の他に, 少なくともそれとは異なるビットを持つ最も近い信号点までの距離を求める. Max-Log-MAP SD 法 (Max-Log-MAP Sphee Decoding) -8- [8]

complexity-educed MLD with QR decomposition and M-algoithm QRM-MLD 法演算量削減型 MLD 法 (2) QR 分解と M アルゴニズムを用いて MLD の演算量を削減する方法. 図 4:QPSK 変調方式, 多重におけるツリー構造の QRM-MLD 例 信号の判定をアンテナ数毎にステージで分け, 段階毎に処理を行う. シンボル候補と近い順にいくつかの信号を選び, 残りの候補は次のステージへは進まずに削除することで演算量を減らしている [2][4]. SNR 最大化型低演算量 QRM-MLD 送信アンテナ毎にチャネル利得の並び替を行ったQR 分解から受信信号電力を最大化, 干渉除去と信号点候補選択を行った後,QRM-MLD を行うことでフルダイバーシチ効果を得られる [6]. 高速移動時の性能劣化を抑えることができ,MMSE-QR 分解を用いれば更に利得を向上させることができる [7]. -9-

Multi-Dimensional Seach MMSE 使用 MDS 法演算量削減型 MLD 法 () MMSE 法の検出結果を起点として, 複数存在する MMSE の雑音強調方向に対して多次元探索 (MDS) を行いうことで信号点候補を検索する方法. 雑音が存在し, 実際に信号点があると思われる方向を探索するため演算量が減る [5]. 図 5: 多次元探索イメージ [9] -10-

まとめ MIMO 復調法において重要となる信号の検出方法についてそのいくつかを紹介した. 信号の検出方法には正確さや演算処理量など, 特性の違う様々な種類が存在し, 日々改良が続いている. -11-

参考文献 [1] 大鐘武雄, 小林恭考, わかりやすい MIMO システム技術, pp.1-16, pp.21-29, 株式会社オーム, 2009. [2] 浅井裕介, BT--: 大容量 高品質を実現する MIMO 伝送資料, 2009 年電子情報通信学会総合大会チュートリアル,2009. http://www.ieice.og/cs/cs/jpn/rcs09g_bt--.pdf [] 岩波保則, 岡 本 英 二, 時空間符号化 MIMO 無線通信方式に関する研究, 電気通信普及財団研究調査報告書,no.20,pp.251-259,2005 [4] 樋口健一, 岡田秀和, マルチアンテナ無線伝送技術その MIMO 多重法における信号分離技術, NTT DoCoMo テクニカル ジャーナル,vol.14,no.1,pp.66-75,2004 年 4 月. [5] ZHENG Liming,FUKAWA Kazuhiko,SUZUKI Hioshi,SUYAMA Satoshi, Nea-Optimal Signal Detection Based on the MMSE Detection Using Multi-Dimensional Seach fo Coelated MIMO Channels, IEICE Tans. on Commun.,vol.E94-B,no.8,pp.246-256, Aug 2011. [6] 吉田誠, 尾崎幸一, 高速移動通信システム向け SNR 最大化型低演算量 QRM-MLD アルゴリズムの検討, 電子情報通信学会論文誌.B, 通信,vol.J94-B,no.7,pp.868-879,2011 年 7 月. [7] 尾崎幸一, 吉田誠, MMSE-QR 分解を用いた SNR 最大化型低演算量 QRM-MLD に関する一検討, 電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集 2011 年 _ 通信 (1),pp.420,2011 年 8 月. [8] 田邉康彦, 青木亜秀,Magnus Sandell, システム要求に応じた MIMO 用受信アルゴリズム, 東芝レビュー,vol.61,no.4,pp.40-4,2006 年 4 月. [9] 清水秀夫, 格子基底縮小とその応用, JANT 第 6 回研究集会,2002 年 1 月. http://tnt.math.se.tmu.ac.jp/jant/006-shimizu.pdf -12-