TS パラメータ ダイナミック スピーカスピーカの構造構造と構成部品名称構成部品名称およびおよび解析用 TS パラメータについて 多くのダイナミック型スピーカは下図のような部品から構成されている 動作原理は フレミングの左手の法則による ( 後述 ) 固有の特性を与えるパラメータには以下のものがあり

Similar documents
2. コンデンサー 極板面積 S m 2, 極板間隔 d m で, 極板間の誘電率が ε F/m の平行板コンデンサー 容量 C F は C = ( )(23) 容量 C のコンデンサーの極板間に電圧をかけたとき 蓄えられる電荷 Q C Q = ( )(24) 蓄えられる静電エネルギー U J U

Microsoft PowerPoint - 基礎電気理論 07回目 11月30日

RLC 共振回路 概要 RLC 回路は, ラジオや通信工学, 発信器などに広く使われる. この回路の目的は, 特定の周波数のときに大きな電流を得ることである. 使い方には, 周波数を設定し外へ発する, 外部からの周波数に合わせて同調する, がある. このように, 周波数を扱うことから, 交流を考える

RMS(Root Mean Square value 実効値 ) 実効値は AC の電圧と電流両方の値を規定する 最も一般的で便利な値です AC 波形の実効値はその波形から得られる パワーのレベルを示すものであり AC 信号の最も重要な属性となります 実効値の計算は AC の電流波形と それによって

第1章 様々な運動

ÿþŸb8bn0irt

2. λ/2 73Ω 36Ω 2 LF λ/4 36kHz λ/4 36kHz 2, 200/4 = 550m ( ) 0 30m λ = 2, 200m /200 /00 λ/ dB 3. λ/4 ( ) (a) C 0 l [cm] r [cm] 2 l 0 C 0 = [F] (2

Microsoft Word - H26mse-bese-exp_no1.docx

ÿþŸb8bn0irt

ÿþŸb8bn0irt

ACモーター入門編 サンプルテキスト

(3) E-I 特性の傾きが出力コンダクタンス である 添え字 は utput( 出力 ) を意味する (4) E-BE 特性の傾きが電圧帰還率 r である 添え字 r は rrs( 逆 ) を表す 定数の値は, トランジスタの種類によって異なるばかりでなく, 同一のトランジスタでも,I, E, 周

Microsoft PowerPoint EM2_15.ppt

Microsoft Word - 2_0421

高校電磁気学 ~ 電磁誘導編 ~ 問題演習

s と Z(s) の関係 2019 年 3 月 22 日目次へ戻る s が虚軸を含む複素平面右半面の値の時 X(s) も虚軸を含む複素平面右半面の値でなけれ ばなりません その訳を探ります 本章では 受動回路をインピーダンス Z(s) にしていま す リアクタンス回路の駆動点リアクタンス X(s)

<8AEE B43979D985F F196DA C8E323893FA>

Microsoft PowerPoint EM2_15.ppt

スライド 1

( 全体 ) 年 1 月 8 日,2017/1/8 戸田昭彦 ( 参考 1G) 温度計の種類 1 次温度計 : 熱力学温度そのものの測定が可能な温度計 どれも熱エネルギー k B T を

AK XK109 答案用紙記入上の注意 : 答案用紙のマーク欄には 正答と判断したものを一つだけマークすること 第一級総合無線通信士第一級海上無線通信士 無線工学の基礎 試験問題 25 問 2 時間 30 分 A 1 図に示すように 電界の強さ E V/m が一様な電界中を電荷 Q C が電界の方向

Science of Audio Physics of Speakes Ⅲ Dynaic Speake 改 1 f (Ⅲ-5) MC で与えられる 従って C 1 4 f M より 振動系のコンプライアンスは C=4 1-4 /N となる 機械抵抗 とし

電流プローブと計測の基礎 (Tektronix 編 ) 電圧波形は違うのが当たり前 オームの法則 ( 図 1) により 電流は抵抗器によって電圧に変換することができます 電流波形を観測 するとき 電流経路に抵抗器を挿入し電圧に変換後 電圧波形として電圧プローブで観測する手法が あります この手法にお

Microsoft PowerPoint - 04.誘導起電力 [互換モード]

オペアンプの容量負荷による発振について

スライド 1

ジャイロスコープの実験

13. サーボモータ 第 13 章サーボモータ ロック付きサーボモータ 概要 ロック付きサーボモータの特性 油水対策 ケーブル サーボモータ定格回転速度 コネクタ取付

降圧コンバータIC のスナバ回路 : パワーマネジメント

Microsoft Word - サイリスタ設計

第 11 回 R, C, L で構成される回路その 3 + SPICE 演習 目標 : SPICE シミュレーションを使ってみる LR 回路の特性 C と L の両方を含む回路 共振回路 今回は講義中に SPICE シミュレーションの演習を併せて行う これまでの RC,CR 回路に加え,L と R

物理演習問題

交流 のための三角関数 1. 次の変数 t についての関数を微分しなさい ただし A および ω は定数とする 1 f(t) = sin t 2 f(t) = A sin t 3 f(t) = A sinωt 4 f(t) = A cosωt 2. 次の変数 t についての関数を積分しなさい ただし

スライド タイトルなし

高校卒程度技術 ( 電気 ) 専門試験問題 問 1 次の各問いに答えなさい なお 解答欄に計算式を記入し解答すること 円周率 π は 3.14 で計算すること (1)40[Ω] の抵抗に 5[A] の電流を流した時の電圧 [V] を求めなさい (2) 下の回路図においてa-b 間の合成抵抗 [Ω]

19年度一次基礎科目計算問題略解

2009 年 11 月 16 日版 ( 久家 ) 遠地 P 波の変位波形の作成 遠地 P 波の変位波形 ( 変位の時間関数 ) は 波線理論をもとに P U () t = S()* t E()* t P() t で近似的に計算できる * は畳み込み積分 (convolution) を表す ( 付録

補足 中学で学習したフレミング左手の法則 ( 電 磁 力 ) と関連付けると覚えやすい 電磁力は電流と磁界の外積で表される 力 F 磁 電磁力 F li 右ねじの回転の向き電 li ( l は導線の長さ ) 補足 有向線分とベクトル有向線分 : 矢印の位

例 e 指数関数的に減衰する信号を h( a < + a a すると, それらのラプラス変換は, H ( ) { e } e インパルス応答が h( a < ( ただし a >, U( ) { } となるシステムにステップ信号 ( y( のラプラス変換 Y () は, Y ( ) H ( ) X (

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D E8EA58FEA82C982E682E997CD82C68EA590AB91CC>

DMシリーズセンダスト (Fe-Si-Al) コイルの許容両端電圧 :V D はんだ処理部最大外径 :D( 縦方向 ),( 横方向 ) 最大幅 : リード全長 :=± はんだ処理境界 :=.MAX コイル品番 HDM24AQDVE 定格電流インダクタンス (khz ) 最大直流抵抗巻線仕様外形寸法

フィードバック ~ 様々な電子回路の性質 ~ 実験 (1) 目的実験 (1) では 非反転増幅器の増幅率や位相差が 回路を構成する抵抗値や入力信号の周波数によってどのように変わるのかを調べる 実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み オペアンプの + 入力端子を接地したときの出力電圧 が 0 と

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint pptx

Microsoft PowerPoint - ›žŠpfidŠÍŁÏ−·“H−w5›ñŒÚ.ppt

2. 測定対象物 ( 単層ソレノイド コイル ) 線径 mm の PEW 線を 50mmφ の塩ビパイプに 0 回スペース巻きしてコイルを作製しま した Fig. Single layer coil under test 計算によると (

スライド 1

スライド 1

Microsoft PowerPoint - 第9回電磁気学

<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

3 数値解の特性 3.1 CFL 条件 を 前の章では 波動方程式 f x= x0 = f x= x0 t f c x f =0 [1] c f 0 x= x 0 x 0 f x= x0 x 2 x 2 t [2] のように差分化して数値解を求めた ここでは このようにして得られた数値解の性質を 考

電気基礎

s とは何か 2011 年 2 月 5 日目次へ戻る 1 正弦波の微分 y=v m sin ωt を時間 t で微分します V m は正弦波の最大値です 合成関数の微分法を用い y=v m sin u u=ωt と置きますと dy dt dy du du dt d du V m sin u d dt

NJM78L00S 3 端子正定電圧電源 概要 NJM78L00S は Io=100mA の 3 端子正定電圧電源です 既存の NJM78L00 と比較し 出力電圧精度の向上 動作温度範囲の拡大 セラミックコンデンサ対応および 3.3V の出力電圧もラインアップしました 外形図 特長 出力電流 10

64 3 g=9.85 m/s 2 g=9.791 m/s 2 36, km ( ) 1 () 2 () m/s : : a) b) kg/m kg/m k

レベルシフト回路の作成

s ss s ss = ε = = s ss s (3) と表される s の要素における s s = κ = κ, =,, (4) jωε jω s は複素比誘電率に相当する物理量であり ここで PML 媒質定数を次のように定義する すなわち κξ をPML 媒質の等価比誘電率 ξ をPML 媒質の

周波数特性解析

(Microsoft Word - PLL\203f\203\202\216\221\227\277-2-\203T\203\223\203v\203\213.doc)

形式 :PDU 計装用プラグイン形変換器 M UNIT シリーズ パルス分周変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を分周 絶縁して単位パルス出力信号に変換 センサ用電源内蔵 パルス分周比は前面のスイッチで可変 出力は均等パルス オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力


JAS Journal 2015 Vol.55 No.2(3 月号 ) 特集 : カーオーディオ ハイレゾ時代に相応しい高性能スピーカー振動板の開発 三菱電機株式会社鈴木聖記 NCV という名の革新的なスピーカー振動板を開発した NCV は Nano Carbonized high Velocity

Microsoft PowerPoint - ch3

F コンデンサーの静電容量高校物理において コンデンサーは合同な 2 枚の金属板を平行に並べたものである 電池を接続すると 電圧の高い方 (+ 極 ) に接続された金属板には正の電気量 Q(C) が 低い方には負の電気量 -Q(C) が蓄積される 正負の電気量の絶対値は等しい 蓄積された電気量 Q

スライド 1

600 V系スーパージャンクション パワーMOSFET TO-247-4Lパッケージのシミュレーションによる解析

ディジタル信号処理

絶対最大定格 (T a =25 ) 項目記号定格単位 入力電圧 V IN 消費電力 P D (7805~7810) 35 (7812~7815) 35 (7818~7824) 40 TO-220F 16(T C 70 ) TO (T C 25 ) 1(Ta=25 ) V W 接合部温度

出力 V [V], 出力抵抗 [Ω] の回路が [Ω] の負荷抵抗に供給できる電力は, V = のとき最大 4 となる 有能電力は, 出力電圧が高いほど, 出力抵抗が小さいほど大きくなることがわかる 同様の関係は, 等価回路が出力インピーダンスを持つ場合も成立する 出力電圧が ˆ j t V e ω

Microsoft Word - note02.doc

第 5 章 構造振動学 棒の振動を縦振動, 捩り振動, 曲げ振動に分けて考える. 5.1 棒の縦振動と捩り振動 まっすぐな棒の縦振動の固有振動数 f[ Hz] f = l 2pL である. ただし, L [ 単位 m] は棒の長さ, [ 2 N / m ] 3 r[ 単位 Kg / m ] E r

Taro-F25理論 印刷原稿

第 5 章復調回路 古橋武 5.1 組み立て 5.2 理論 ダイオードの特性と復調波形 バイアス回路と復調波形 復調回路 (II) 5.3 倍電圧検波回路 倍電圧検波回路 (I) バイアス回路付き倍電圧検波回路 本稿の Web ページ ht

第 4 週コンボリューションその 2, 正弦波による分解 教科書 p. 16~ 目標コンボリューションの演習. 正弦波による信号の分解の考え方の理解. 正弦波の複素表現を学ぶ. 演習問題 問 1. 以下の図にならって,1 と 2 の δ 関数を図示せよ δ (t) 2

Microsoft Word - プロービングの鉄則.doc

エラー動作 スピンドル動作 スピンドルエラーの計測は 通常 複数の軸にあるセンサーによって行われる これらの計測の仕組みを理解するために これらのセンサーの 1つを検討する シングル非接触式センサーは 回転する対象物がセンサー方向またはセンサー反対方向に移動する1 軸上の対象物の変位を測定する 計測

プラグイン01_FRL-230(233,236).indd

Microsoft Word - 付録1誘導機の2軸理論.doc

elm1117hh_jp.indd

小野測器レポート「振動の減衰をあらわす係数」

サマリー Bowers & Wilkins の CM シリーズは 2006 年に発売された CM1 から発展し 時の経過とともに Bowers & Wilkins の製品ラインナップの中でも有数の充実したシリーズに成長しました そしてシリーズの一部モデルに採用された技術が大幅な進歩を遂げました 新し

名称 型名 SiC ゲートドライバー SDM1810 仕様書 適用 本仕様書は SiC-MOSFET 一体取付形 2 回路ゲートドライバー SDM1810 について適用いたします 2. 概要本ドライバーは ROHM 社製 2ch 入り 180A/1200V クラス SiC-MOSFET

形式 :WYPD 絶縁 2 出力計装用変換器 W UNIT シリーズ パルスアイソレータ ( センサ用電源付 2 出力形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を絶縁して各種のパルス出力信号に変換 オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力を用意 センサ用電源内蔵 耐電圧 2000V AC 密着

Microsoft Word - Zsp.doc

アナログ回路 I 参考資料 版 LTspice を用いたアナログ回路 I の再現 第 2 回目の内容 電通大 先進理工 坂本克好 [ 目的と内容について ] この文章の目的は 電気通信大学 先進理工学科におけるアナログ回路 I の第二回目の実験内容について LTspice を用

Microsoft PowerPoint - 集積デバイス工学7.ppt

2STB240PP(AM-2S-G-005)_02

Microsoft PowerPoint pptx

Microsoft PowerPoint - 9.Analog.ppt

Microsoft Word - 中村工大連携教材(最終 ).doc

Femtet 新機能 / 変更点のご紹介 All Rights Reserved, Copyright c Murata Software Co., Ltd.

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

DVIOUT-SS_Ma

Q

スライド 1

2STB240AA(AM-2S-H-006)_01

スライド 1

線積分.indd

Science of Audio Physics of Speakers Ⅳ Enclosures Revised はじめにスピーカーの振動板が作り出す音は前方へ放射される音圧と後方へ放射される音圧の位相が 180 度異なり 横から聴くと音圧が打ち消

Transcription:

ダイナミック スピーカスピーカの構造構造と構成部品名称構成部品名称およびおよび解析用 について 多くのダイナミック型スピーカは下図のような部品から構成されている 動作原理は フレミングの左手の法則による ( 後述 ) 固有の特性を与えるパラメータには以下のものがあり キャビネットの設計には不可欠となる (Thiele Thiele/Small parameter) 例 (Mark Audio のフルレンジスピーカユニット :Alpair6P の場合 ) ボイスコイルDC 抵抗値 R evc 3.8 (Ω Ohm) 等価インピーダンス Z e 5.8 (Ω Ohm) 最低共振周波数 F o 74.308 (Hz) 振動板面積 S d 36.32 (cm 2 ) 振動系相当容量 V as 3.696 (Ltr) 機械系コンプライアンス C 1.973 (m/n) 振動板質量 M md 2.199 (g) 振動系等価質量 M 2.325 (g) 駆動力係数 BL 2.679 (T M) 機械抵抗 R 0.32623 機械 Qファクタ Q 1.783 電気 Qファクタ Q 0.575 総合 Qファクタ Q ts 0.435 ボイスコイルのインダクタンス L evc 6.939 (uh) at 1kHz 基準能率 η 0 0.255 (%) 平均音圧 SPL o 86.65 (db) 耐入力 ( 最大入力 ) Power 15 (watts Nom) 最大リニア動作可能域 X -max 3.3 mm (1 way) R evc (R e : ボイスコイル DCR) ボイスコイルの直流抵抗値 単位はΩ(ohm) Fs( 振動系最低共振周波数 ) f 0 ( エフゼロ ) とも呼ばれ 単位はHz 振動系の最低共振周波数のこと この周波数において振動系の速度 ( 単位時間当たりの振幅 ) が最大となる コンプライアンスC が大きい ( 振動系の保持が柔らかい ) ほど あるいは振動系の等価質量 M が大きいほど 共振周波数 F s は低くなる スペックに対するばらつきは ±10% 程度 f 0 = (1/2π){1/( /(C M )} 1/2 (1-1) ω 0 = 2πf 0 = {1/(C M )} 1/2 (1-2) ω 2 0 = 1/(C M ) インピーダンス Z 0 Z 0 / 2 R evc (R e ) フレーム ( ハウジング ) スパイダー ( サスペンジョン ) エッジ ( サラウンド ) トッププレートマグネッヨーク f 0 Q = f 0 / f f Z e ダイヤフラム ( 振動板 ) キャップ ボイスコイルボビン ボイスコイル コイルのインダクタンスによりインピーダンスが上昇する 周波数 1

S d ( 振動系有効投影面積 ) コーンやダイヤフラムの有効投影面積で 単位はm2 ( 便宜上 cm 2 とする時には単位を明記 ) 振動板の形状やエッジの特性に大きく依存する 一般的には 振動板の直径にエッジ幅の 1/3~1/2 を加えた領域の面積を S d とみなす フレームの直径が同じユニットを比べると 波形エッジよりも 幅広のロール ( 半円状 ) エッジのほうが著しく S d は小さくなる ( 右図参照 ) V as ( 振動系相当気柱容量 ) 平面バッフルにユニットを装着 ( 後方を密閉しない状態 ) にして測定した振動系のスティフネス ( 動きにくさ ) に相当する気柱容量 単位はm3 ( リットルで表示もあり ) S d と同じ面積を持つ気柱ピストンを想定し ユニットの振動系によるスティフネス ( コンプライアンスの逆数 ) をこの体積で表す つまり気柱ピストンによるスティフネスが ユニットの振動系によるスティフネスと等価になる気柱体積ということになる 値が大きくなるほどスティフネスは小さく ( 保持系が柔らかく ) なり より大きなエンクロージャーが必要になる ここでV as はS 2 d に比例する V as のスペックに対するばらつきは ±20~30% 程度 Vas = ρ 0 v 2 S 2 d C (2) ρ 0 : 空気密度 1.184 kg/ m3 at 25 v : 音速 346.1 m/s at 25 SI 単位系を使った場合 計算結果は m3 になります V as をリットルで得るには 計算結果を1000 倍します 波形エッジは振動板端からエッジ端に向かって振幅が徐々に減少するが ロールエッジの場合には 振動板端の近くで振幅が収束する したがって 有効な振動領域はロールエッジの方が小さくなる C ( 振動系機械コンプライアンス ) 振動系を保持する部分の機械コンプライアンス ( スティフネスの逆数 ) 単位はm/N 単位から分かるように 一定の力を与えたときにどれだけ移動するかを表わす コンプライアンスが大きい ( 動きやすい ) ほどスティフネスは小さくなり V as は大きくなる C 1/V as M md ( 振動板質量 ) 振動板とボイスコイルの質量 単位はg またはkg (SI 単位系ではkgだが 扱いにくいのでgで表示することが多い ) M ( 振動系可動部等価質量 ) 可動部の等価質量 単位はg またはkg 振動板 ボイスコイル & ボビン キャップ およびダンパーやエッジの一部からなる可動部品のトータル質量に さらに振動系が動く事により 一緒に動かされる空気による音響負荷相当質量を含めたもの 2

TSパラメータ BL(Bl Bl) ( 駆動力係数 ) ボイスコイルギャップにおける磁場の強さと 磁場内にある巻線の長さの積 単位はT m 駆動力係数と呼ばれる l = 2πr s N r s : 平均巻き線半径 N: 巻き数 ( ターン数 ) フレミングの左手の法則に従い 均一磁界の中で長さ l の電線に電流が流れると力が生じ F = Bl Isinθ θ: 磁力線と電流の交角 ここで磁界と電流は直交しているので θ = 90 F = Bl I の力がボイスコイルに生成する トッププレー 同時に 電流が変化しない場合 ( I = 0) には 逆起電力による電磁制動がかかる F Blv (v:vc の両端に誘起する逆起電力 ) 磁気回路が強力 (B が大きい ) であれば 電磁制動も強力となり 電気的過渡応答性 (1/Q ) が大きくなる I 0 の場合の収束性が良いと言う事で過渡応答性が向上する したがって BL は電気系共振先鋭度 Q に大きな影響力を持つ BL が一定の領域 ( 磁気ギャップ ) の中にボイスコイルがあれば 駆動力 F 電流 I 即ち 電流と駆動力 & 制動力はリニアとなる (Q もリニア ) ボビンボイスコイル 関連項目 1: 駆動に伴う非線形歪を参照 N 磁束密度 B 単位 (T: テスラ ) 電流は手前から奥へ S ヨーク 駆動力は下向きに N 電流は奥から手前へ 密 粗 F ギャップ磁界の中でボイスコイル導体に手前から奥に向かって電流が流れた場合 電流により生成された磁界 ( 太矢印 ) とギャップ磁界の合成が起こり 磁界の粗密が生じる結果 磁界が均一になろうとする方向に導体に力が加えられる 3

Q ( 機械的共振先鋭度 ) F s における機械的共振先鋭度 無単位数 振動系の支持構造であるエッジやダンパーのF s における振動しやすさ 電気系を排除するため ボイスコイルは開放状態として測定する この値が大きいという事はF s で動きやすいということで 逆に言えば抑えが効きにくいという事 振動系の支持構造であるエッジやダンパーの損失 ( 駆動エネルギーが熱エネルギーに変換される ) を機械抵抗 R と置くと ±Xmax 以内が機械的リニア領域となり Q = ω 0 M /R = 2πf 0 M /R (3-1) 機械系インピーダンスの関係式は F = M dv/dt dt + (1/C ( ) vdt + R v x R md 1/C md 電気系に変換した場合 Fは電圧 質量はインダクタンス vは電流 コンプライアンスはキャパシタンス 熱損失 ( 摩擦 機械抵抗 ) は抵抗になり V = L s di/dt dt + (1/C ( s ) idt + R s i M ここで 並列接続となるため 電流は i = V/{ R s + jωl s + 1/ ( jωc s ) } = ωc s V/{ -ωc s R s + j( 1 - ω 2 L s C s ) } ゆえに i = ωc s V/{ ( ωc s R s ) 2 + ( 1 - ω 2 L s Cs ) 2 } 1/C me R me これは ω 0 = 1/ ( L s C s ) でピークを持ち そのときの値は i 0 = V/R s ω 1 と ω 2 では i が i 0 の 1/ 2 になるので ω 1 と ω 2 は以下の方程式の解となります ωc s V/{ ( ωc s R s ) 2 + ( 1 - ω 2 L s C s ) 2 } = (1/ 2) (V/R s ) この両辺を 2 乗して整理すれば 以下のように ω に関する 2 次方程式になる L s C s ω 2 ± C s R s ω - 1 = 0 ω = { ±R ± ( R s 2 + 4L s /C s ) }/( 2L s ) [ 複号任意 ] ω>0 より ω = { ±R + ( R s 2 + 4L s /C s ) }/( 2L s ) ω1 < ω2 とすると ω 1 = { -R + ( R s 2 + 4L s /C s ) }/( 2L s ) 従って ω 2 = { R + ( R s 2 + 4L s /C s ) }/( 2L s ) Δω = ω 2 - ω 1 = R s /L s Q = ω 0 /Δω = ω 0 L s /R s = 2πf 0 L s /R s この式は 電気系に変換した (3-1) 式と同じとなる 4

ちなみに電気系で並列となる場合には Z = V/I = 1/{ 1/R + 1/( jωl ) + jωc } = ωlr/{ -ωl + j( 1 - ω 2 LC )R } Δω = ω 2 - ω 1 = 1/( CR ) Q = ω 0 /Δω = ω 0 CR Q ( 電気的共振先鋭度 ) Fsにおける電気的共振先鋭度 無単位数 BL(Bl) との因果関係が大きい 負荷対象のボイスコイルに対し 駆動側が理想電流源 ( インピーダンス 0) として求めている Q = ω 0 M R e /(Bl) 2 = 2πf 0 M R e /(Bl) 2 (3-2) この式からも分かるように 磁気回路が強力であれば電気系のダンピングが十分に期待でき 過渡特性も良好となる ただし 微小変位ではこの式が成り立つが 振幅が大きくなるとノンリニアとなり あくまであくまで目安目安でしかない Q ts ( 総合共振先鋭度 ) F s における総合共振先鋭度 ( ダンピングファクタの逆数 ) 無単位数 F s での振動しやすさと考えれば良い 与えられた電気エネルギーがどれだけ共振に寄与するかの変換効率とも考えられる 電気系と機械系が並列に接続されていると見做せるため Q ts ts = (Q Q )/(Q + Q ) (3-3) L evc (L e ) ボイスコイル インダクタンスインダクタンスボイスコイルのインダクタンス成分 単位はμH ボイスコイルのインピーダンスは キャパシタンス成分が十分小さいので Z = R svc + [(ωl e ) 2 -{1/( /(ωc )} 2 ] 1/2 R svc + ωl e = R svc + 2πf 0 Le (4) svc svc svc R evc の項で示したインピーダンスのグラフで 共振周波数以上では周波数上昇に伴い緩やかに上昇しているのは このインダクタンスの影響である インダクタンスなど受動素子の値は 通常 1kHz にて規定する 5

η 0 ( 標準能率 ) を表わす 単位は % 基準入力または許容入力におけるユニットの能率を % で表したもの η 0 = {ρ 0 (Bl) 2 S 2 d }/(2πvM 2 R e ) x100 (%) (5-1) ここで ρ 0 /2πv = 5.445 10-4 ( m2 s/kg) at 25 /50%mois より η 0 = 5.445 10-4 x {(Bl) 2 Sd 2 }/(M 2 Re) また 2πf 0 /Q = (Bl) 2 /(M R e ) Vas/(v 2 C) = ρ 0 Sd 2 を代入して η 0 = V as f 0 /(v 3 M Q C ) また (1-2) 式より (2πf 0 ) 2 = 1/(C M ) η 0 = (2πf 0 ) 2 f 0 V as /(v 3 Q ) = (4π 2 /v 3 ) f0 3 V as /Q x100 (%) (5-2) as as 4π 2 /c 3 = 9.253 10-7 (s 3 /m 3 ) at 25 /25%mois 4π 2 /c 3 = 9.438 10-7 (s 3 /m 3 ) at 25 /50%mois 湿度により音速が変わる 6