がん化学療法の実際

Similar documents
<4D F736F F F696E74202D C668DDA94C C193A AA82F189BB8A7797C C6838C AC7979D30>

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

ベバシズマブ併用 FOLFOX/FOLFIRI療法

<4D F736F F F696E74202D E338C8E313493FA956C8FBC8E7396AF8CF68A4A8D758DC E592B08AE0816A>

スライド 1

用法・用量DB

<4D F736F F F696E74202D20322D CE899E82AA82F189BB8A7797C C A838B82CC96F08A E303

スライド 1

減量・コース投与期間短縮の基準

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

1)表紙14年v0

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

大腸がんレジメン一覧 大腸がん 登録番号レジメン名一般名商品名投与量ルート施行日 1 コースの期間 En-1 En-2 イリノテカンイリノテカン 80mg/m^2 DIV Day1 15 テガフール \ ギメラシル \ オテラシルカリウム ティーエスワン配合カプセル 80mg/m^2 PO Day1

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

2 成分が同一の剤形変更 例 タケプロンOD 錠 15mg タケプロンカプセル 15mg ユリーフOD 錠 4mg ユリーフ錠 4mg コカールドライシロップ 40% カロナール細粒 20% ( 粉砕 ) レボフロキサシン錠 500mg レボフロキサシン細粒 10% 患者に説明 ( 価格 服用方法等

バクスターインフューザー インターメイトは 合成ゴムから作られたバルーン式薬液リザーバーと 流量を制御する管から出来た携帯型ディスポ ザブル注入ポンプです 携帯性に優れ 電源や点滴ポールを使わずに持続注入が可能です 術後鎮痛などの急性疼痛管理 癌性疼痛管理 また その携帯性を生かして抗癌剤の持続注入

(1) 使い方 がん化学療法説明書の紹介と 使い方 1 病院において説明書を用いて患者指導する 2 患者が保険薬局に説明書を持参し薬局薬剤師が確認する また 患者が持参しない場合においても 患者の聞き取りからレジメン名が把握できる場合は 当院薬剤部ホームページより説明書を選択し印刷する 3 説明書の

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

外来化学療法における 薬剤師の役割

外来在宅化学療法の実際

膵臓癌について

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

<4D F736F F D C98EFB82DF82E9816A819C F28BC78BA68B6389EF CE936381A88B7B90EC81A890568

がんの治療

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

PowerPoint プレゼンテーション

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

201601

5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

術後AC療法

外来がん化学療法看護

過去の医薬品等の健康被害から学ぶもの

AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

フォルフォックス FOLFOX 療法を受けられる患者さんへ 監修福井大学医学部長外科学 1 教授山口明夫

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに


<4D F736F F D DB782B58AB782A6817A5F32342E342E31365F96F28DDC8E7482CC F8BC696B182CC906982DF95FB5F E312E305F2E646F63>

フッ化ピリミジン

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

<4D F736F F D2082A8926D82E782B995B68F E834E838D838A E3132>

02 入職 (1 年目 ) 2 写真 ( 脇さん ) No.1 就活している学生の皆さんへ! 私の場合は 条件がかなり限定的だったため 決めやすかったのですが 病院の特徴と薬剤科がどのような仕事内容なのかをしっかり説明して頂ける病院にしました それは 入職後に望んだ条件ではないのが分かったとしても

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

別添 1 抗不安薬 睡眠薬の処方実態についての報告 平成 23 年 11 月 1 日厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部精神 障害保健課 平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究 ( 研究代表者 : 中川敦夫国立精神 神経医療研究センタートラン

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

「             」  説明および同意書

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

<4D F736F F F696E74202D202888F38DFC AB38ED28FEE95F182CC8BA4974C82C98AD682B782E B D B2E >

鑑-H リンゼス錠他 留意事項通知の一部改正等について

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちで

Microsoft PowerPoint - 総-1-2  薬剤師の病棟業務.pptx

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

第 V 群 20 席 FOLFOX/FOLFIRI 療法における看護介入の評価と今後の課題 西病棟 S 階 瀬戸乃扶子国枝美代子井田奈緒子坂尾雅子 KeyWbrd:FOLFOX/FOLFIRI 療法大腸がん 看護介入患者指導 はじめに 昨年 曰本でオキサリプラチンが認可され 大腸がんの標準化学療法と

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

Transcription:

がん薬物療法とレジメン管理 国立がんセンター中央病院薬剤部 加藤 裕久 2007. 3. 19 平成 18 年度第 1 回がん化学療法医療チーム養成研修

Today s s Contents 国立がんセンター中央病院の概況 レジメンの概略 レジメン管理の実際 標準療法の理解

国立がんセンター中央病院の概況

国立がんセンター中央病院 National Cancer Center Hospital 病床数 600 床 診療科 24 科 病床利用率 89.7% 平均在院日数 14.6 日 診療部門 医師 270 名 薬剤部門 薬剤師 36 名 看護部門 看護師 435 名 外来患者数 1 日 1,074 名 通院治療センター 36 床

外来通院治療センター Chemotherapy Infusion Center Pharmacy (DFCI)

16 ブース 20 ブース 通院治療センター 全 36 ブース

通院治療センターにおける化学療法総数 ( 人 ) 3000 ( 国立がんセンター中央病院 ) 2500 2000 1500 外来 入院 1000 500 0 1999 年 1 月 2000 年 1 月 2001 年 1 月 2002 年 1 月 2003 年 1 月 2004 年 1 月

診療グループ別外来化学療法総数 ( 国立がんセンター中央病院 ) 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1999 年 1 月 2001 年 1 月 2003 年 1 月 その他呼吸器婦人肝胆膵血液消化器乳腺

院内滞在 186 分 (184 分 ) 患者待ち時間調査 (2006) 480 420 360 300 240 180 通治滞在 125 分 (131 分 ) 待ち合計 135 分 (145 分 ) ( ) 内は 2005 年 4 月 ~9 月の平均値 検査待ち 40 分 (33 分 ) 医師確定待ち 65 分 (65 分 ) 調製待ち + 調製時間 34 分 (52 分 ) 120 60 30 0 stayhosp staynet waitall waitlab waitdr waitpharm 時間分布 ( 分 )

レジメンの概略 Infusion Unit Pharmacy (MGH)

レジメンとは? 抗がん剤 輸液 支持療法薬 ( 制吐 剤など ) の投与に関する時系列的な 治療計画

レジメンとは? 抗がん剤 輸液 支持療法薬 ( 制吐 剤など ) の投与に関する時系列的な 治療計画 プロトコールとの混同に注意! 一般に 治験実施計画書 を指し 治験目的 デザイン 方法 統計学的考察及び組織について記述した文書

regimen:a treatment plan that specifies the dosage, the schedule, and the duration of treatment. protocol: An action plan for a clinical trial. The plan states what the study will do, how, and why. It explains how many people will be in it, who is eligible to participate, what study agents or other interventions they will be given, what tests they will receive and how often, and what information will be gathered. ( National Cancer Institute ; NCI より )

CPT-11+CDDP 療法 ( 胃がん ) CPT-11 70mg/m 2 点滴靜注 (day1, day15) CDDP 80mg/m 2 (day1) 4 週間毎 薬品名 手技 CPT-11 点滴靜注 標準投与量 day1 day15 day1 70mg/m 2 CDDP 点滴靜注 80mg/m 2 day1 からのインターバル 4 週間 投与間隔 休薬期間 インターバル

レジメン管理 Infusion Unit Pharmacy (MGH)

レジメン管理の目的 医療安全の確保 がん薬物療法の標準化 院内業務の効率化

医療エラー Dana-Farber 事件 (1994 年 11 月 ) 進行性乳がん患者 2 名 2 年目のフェローが処方 別の医師が確認 薬剤師が調製 シクロフォスファミド 4g/m 2 /4 日のところその 4 倍量を処方 看護師が点滴 1 名は死亡 もう 1 名は不可逆性の重篤な心不全を発症

抗がん剤の関わる国内医療過誤報道 ( 抜粋 ) 平成 11 年 12 月平成 12 年 6 月平成 12 年 10 月平成 14 年 4 月平成 15 年 9 月平成 15 年 9 月 シスプラチン注 120mg を 1 日投与後 3 週間以上の休薬のところ 3 日連続投与 11 日後多臓器不全と敗血症で死亡 ビンブラスチン注 5mg を 50mg と注射箋に誤処方 多臓器不全で死亡 ビンクリスチン注週 1 回投与のところ 約 1 週間連続投与 多臓器不全で死亡 パクリタキセル注 ( タキソール注 )88.8mg 投与のところ ドセタキセル注 ( タキソテール注 )88.8mg を投与 多臓器不全で死亡 シクロホスファミド注 2.9g を 2 日間投与のところ 2 倍量の 5.8g を 2 日間投与 5 日後 心不全で死亡 パクリタキセル注 ( タキソール注 )280mg を投与のところ ドセタキセル注 ( タキソテール注 )280mg を投与 多臓器不全で死亡

Q 注射用レジメンの登録 管理? 全てのレジメンが登録 管理 一部のレジメンが登録 管理 レジメンが登録 管理されていない 11 施設 9 施設 10 施設 全国がんセンター協議会施設 がん政策ネットワーク基幹医療施設 ( 合計 32 施設 ) を対象に 抗がん剤適正使用に関するアンケート調査

Q 経口レジメンの登録 管理? 全てのレジメンが登録 管理一部のレジメンが登録 管理レジメンが未登録 未管理未記入 5 施設 2 施設 21 施設 2 施設 全国がんセンター協議会施設 がん政策ネットワーク基幹医療施設 ( 合計 32 施設 ) を対象に 抗がん剤適正使用に関するアンケート調査

がん専門施設における注射用抗がん剤のレジメン登録 管理の実態 100% 91% ( 登録施設割合 ) 80% 60% 40% 20% 66% 0% 平成 15 年 12 月 平成 18 年 1 月 ( 注射用レジメンをすべてあるいは一部登録 管理している施設割合 )

レジメン管理の実際 ( 国立がんセンター中央病院 )

レジメン選択投与スケジュール 抗がん剤の用量設定

診療グループ別登録レジメン数 (2006.6 現在 ) 幹細胞移植 10 胃 10 肝胆膵 9 整形 10 脳神経 13 頭頸 1 食道 8 泌尿器 6 血液 73 皮膚 11 大腸 13 婦人 17 小児 16 乳腺 30 呼吸器 30 全レジメン数 :251

レジメン小委員会による審査過程 レジメン登録新規 変更 ( 申請医師 / グループ責任医師 ) 薬剤部長 3 各診療グループ長 4 薬物療法部長 2 1 申請レジメン小委員会事務局 ( 副薬剤部長 ) 内確認事項 倫理委員会での可否決 エビデンスの有無裁 投与量 方法等院5 6 レジメン入力担当薬剤師注射薬担当主任医薬品情報管理管理室担当主任 7 オーダーリングシステム部門 8 申請医師による確認 9 レジメンリリース

申請レジメンの審査状況 ( 平成 17 年度 ) 投与ルート (25 件 ) サマリーコメント (16 件 ) 投与量 (17 件 ) 標準値 上限値 (15 件 ) 輸液 (11 件 ) サマリーコメント (8 件 ) 点滴時間 (7 件 ) 投与時間 (5 件 ) レジメン名 (4 件 ) 取り下げ (2 件 ) 薬品名 (2 件 ) 基準日 (1 件 ) 新規レシ メン数 :49 0 10 20 30 記載不備項目数 (101 件 ) 輸液 (6 件 ) 薬品名 (4 件 ) 器具 (4 件 ) 投与ルート (3 件 ) 標準値 上限値 (2 件 ) 点滴時間 (2 件 ) インターハ ル (1 件 ) 投与時間 (10 件 ) 投与量 (9 件 ) 変更レシ メン数 :77 0 5 10 15 20 記載不備項目数 (57 件 )

400 350 300 250 200 150 100 50 0 レジメンの整理状況 乳腺大腸胃呼吸器幹細胞移植血液その他 平成 18 年 5 月平成 17 年 10 月平成 17 年 6 月平成 16 年 10 月平成 16 年 4 月平成 15 年 10 月平成 15 年 4 月平成 14 年 10 月 レジメン数 ( 件 ) 378 292 254 263 251

レジメン管理システムの留意事項 1. エビデンスに基づくレジメン 2. 診療グループ内で認知されたレジメン 3. レジメンを審査する専門委員会の設置 4. レジメン審査委員へ複数の医師 薬剤師の参加 5. 定期的なレジメン使用状況 エビデンスの強さの評価

経口抗がん剤のレジメン管理

抗がん剤の関わる国内医療過誤報道 ( 抜粋 ) 平成 14 年 3 月 UFT-E 投与中に 併用禁忌薬である TS-1 カプセルを 9 日間投与 重篤な意識障害を発現 ( 処方医は併用禁忌であることを知らず 薬剤部でもチェックされず 患者に投与された ) 平成 16 年 4 月 TS-1 カプセル投与中に 併用禁忌薬であるフルツロンカプセルを 3 日間投与 11 日後に死亡 ( 薬剤部は気付かず調剤し 患者に投与された )

ティーエスワン (TS-1 S-1) O O HN O N F HO N OH Cl + + O HN O N H N COOH テガフール ギメラシル オテラシルカリウム FT CDHP Oxo 1 : 0.4 : 1 5-FUの DPD 阻害剤 リン酸化阻害剤 プロドラッグ (5-FU 分解阻害 ) ( 下痢防止 )

TS-1 処方 新規 なし 棚表を確認 あり 継続 ミラクルにて薬歴確認 棚表にて薬歴確認 1 適応症 ( 胃 結腸 直腸 頭頚部 非小細胞肺 膵癌 ) 2 投与日数 28 日以内 3 FU 系投与暦なし 問題なし あり 投与中止後 7 日以上の間隔 < 併用禁忌薬剤 > UFTCap 顆粒ミフロール錠フルツロン Cap アンコチル錠フトラフール Cap 坐剤 5-FU 錠 注等 123 全て問題なし チェック票記入 ( 外来のみ ) 棚表作成 ( 必要事項記入 ) 1231 つでも問題がある場合は Dr. へ問い合わせ 処方変更 or 確認後 1 投与間隔 28 日連日投与で7 日以上の休薬 2 投与量同じ 問題なし 12 問題なし 増減 以下の用量を参考に Dr. 確認 減量初回量増量 休薬休薬 40mg/ 回休薬 40mg/ 回 50mg/ 回 棚表に記入 40mg/ 回 50mg/ 回 60mg/ 回 50mg/ 回 60mg/ 回 75mg/ 回 増減する場合は 1 クール毎 1 段階の増減まで 12 どちらかに問題がある場合はミラクルにて薬歴を確認の上 Dr. へ問い合わせ 処方変更又は確認後 処方せん右上にチェック 調剤 処方せん右上にチェック

抗がん剤処方監査の留意点 投与量が適正範囲に入っているか 適応症は処方と合っているか 併用禁忌薬剤を服用していないか 休薬期間は十分か 投与スケジュールは守られているか 副作用防止のための薬剤が処方されているか

標準療法の理解

レジメン審査チェックリスト の作成と活用 EBM の探索 世界 日本の標準療法の確認 ガイドライン 文献の活用

National Institutes of Health 米国国立健康研究所 http://www.nih.gov/

National Cancer Institute 米国国立がん研究所 http://cancernet.nci.nih.gov/

http://www.asco.org/ac/1,1003,_12-002138,00.asp 米国臨床腫瘍学会 Clinical Practice Guidelines Breast Gastrointestinal Cancer Genitourinary Cancer Hematologic Malignancies Lung Supportive Care and Quality of Life

http://www.ncc.go.jp/jp/index.html

がん薬物療法の理解 標準療法の理解 大腸がん

切除不能転移 再発大腸癌に対する化学療法 切除不能の転移 再発大腸癌の予後 約 8ヵ月 ( 治癒不能 ) 化学療法の目標 腫瘍増大の遅延と症状コントロール 抗がん剤を用いない対症療法と比較し 生存期間が有意に延長 ( PS 0~2 第 III 相試験 ) 国内で使用可能なレジメン (1)FOLFOX(infusional 5-FU/l-LV+oxaliplatin) (2)FOLFIRI(infusional 5-FU/l-LV+irinotecan) (3)IFL(5-FU/l-LV * +irinotecan) (4)5-FU/l-LV * または de Gramont slv5fu2 AIO *:RPMIレジメン (5)UFT/LV 錠 大腸癌治療ガイドライン医師用 2005 年版

http://www.nccn.org/ 国家統合的癌ネットワーク

FOLFOX レジメン 3 FOLFOX 4 ( 入院 2 日型 ) 5-FU bolus 400mg/m 2 5-FU bolus 400mg/m 2 Day 1 Day 2 l -Leucovorin 100mg/m 2 Oxaliplatin 85mg/m 2 5-FU 22hr infusion l-leucovorin 5-FU 22hr infusion 600 mg/m 2 100mg/m 2 600 mg/m 2 FOLFOX 6 ( 外来 1 日型 ) 5-FU bolus 400mg/m 2 Day 1 Day 2 l -Leucovorin 200mg/m 2 Oxaliplatin 100mg/m 2 5-FU 46hr infusion 2,400 mg/m 2 FOLFOX6.5/mFOLFOX6 : Oxaliplatin 85mg/m 2 FOLFOX7 : Oxaliplatin 130mg/m 2

FOLFOX6 レジメン ( 外来 1 日型 ) No 薬品名 規格投与量手技投与ルート 1 2 3 カイトリル注 3mg/3mL デカドロン注 8mg/2mL 5% ブドウ糖液 100mL アイソボリン注 25mg 5% ブドウ糖液 500mL エルプラット注 100mg 5% ブドウ糖液 250mL 1A 8mg 100mL 200mg/m 2 500mL 100mg/m 2 250mL 点滴時間 速度 day 1 中心静脈注射中心静脈メイン 1 30 分で 9:00 中心静脈注射中心静脈メイン 1 2 時間で 9:30 中心静脈注射中心静脈側管 1 120 分で 9:30 4 5FU 250mg/5mL 400mg/m 2 ワンショット静注中心静脈メイン 1 11:30 5 5FU 250mg/5mL 2400mg/m 2 中心静脈注射中心静脈メイン 1 5ml/h 11:30 生理食塩液 250mL 全量で 230mL に調製 インターメイト LV5

FOLFOX 4 と FOLFOX 6 の相違 欧米の標準レジメン FOLFOX 4 FOLFOX 4 の欠点 複雑な投与方法 外来治療は困難 FOLFOX 4 の改良 簡易化レジメン FOLFOX 6 FOLFOX 6 の利点 外来治療が可能 ( 携帯用ポンプ使用 )

消化器内科チーム FOLFOX6 療法

FOLFOX 療法への薬剤師の取組み FOLFOX のプロトコール作成 レジメン登録 ポート挿入のトレーニング 必要物品の準備 ( インフューザー ) 患者用パンフレット作成 ビデオ作成 入院パス作成 : 医師 看護師 薬剤師との共同作業 薬剤調製の改善点 :1 日調製件数の平均化 学会を通して行政 企業への大容量製剤要望書作成 他施設への情報提供 ( 説明会開催 )

国立がんセンター中央病院 FOLFIRI/FOLFOX 説明会 平成 17 年 7 月 16 日 ( 土 ) 午前 10 時 ~ 午後 1 時 / 午後 3 時 ~ 午後 6 時 プログラム 安心して外来抗がん剤治療と受けるために ( 患者さん用紹介ビデオ ) を上映 1) 病院長挨拶 2) 説明会の趣旨 3) FOLFIRI/FOLFOX の大腸がん治療での位置づけ 4) 治療の実際 1 ポート挿入 管理 / 合併症 2 病棟での指導 -パスの作成と患者指導の実際 3 外来通院治療センターでの指導 4 薬剤調製の問題と工夫 5 薬剤師による服薬指導 5) 当院での治療成績 - 安全性を中心に 1 初回治療例での安全性データ 2 非初回治療例での安全性データ 385mg/m 2 での安全性データ 6) FOLFOX/FOLFIRI 療法の実際 ( ビデオ供覧 ) 7) 質疑応答 ( 職域別 )

パンフレットを用いた薬剤管理指導 末梢神経症状約 9 割の方にみられ 冷たいものに触れたり飲食することで手足や口の周囲のしびれや痛みを感じたりします 点滴直後から 1~2 日以内に手足や口の周り のどに症状が見られ 2 週間のうちには回復します 手足症候群 (Hand-foot syndrome) 治療後数週間してから 手のひらや足底の皮膚の発赤やヒリヒリした感じ 知覚過敏 ほてりや腫れといった症状が見られることがあります

500 400 300 200 100 0 薬剤管理指導業務 05.6 月 05.8 月 05.10 月 05.12 月 06.2 月 06.4 月 06.6 月 06.8 月 入院請求件数外来指導件数 05.4 月 ( 件数 )

抗がん剤による手足症候群 Hand-Foot Syndrome (HFS) 皮膚亀裂 出血性胃潰瘍 ( カペシタビンなど ) DLF( 用量制限因子 ) 手のひらや足のうらの痛み 腫れ 発赤

エルプラット注射用 100mg 添付文書 本剤 1バイアルに 5% % ブドウ糖注射液 20~ 50mL を注入して充分に溶解する 溶解液を5% % ブドウ糖注射液に注入し 250~ 500mL として 静脈内に点滴投与する 本剤は塩化物含有溶液により分解するため 生理食塩液等の塩化物を含む輸液との配合を避けること

FOLFOX6 レジメン ( 外来 1 日型 ) No 薬品名 規格投与量手技投与ルート 1 2 3 カイトリル注 3mg/3mL デカドロン注 8mg/2mL 5% ブドウ糖液 50mL アイソボリン注 25mg 5% ブドウ糖液 500mL エルプラット注 100mg 5% ブドウ糖液 250mL 1A 8mg 100mL 200mg/m 2 500mL 100mg/m 2 250mL 点滴時間 速度 day 1 中心静脈注射中心静脈メイン 1 30 分で 9:00 中心静脈注射中心静脈メイン 1 120 分で 9:15 中心静脈注射中心静脈側管 1 120 分で 9:15 4 5FU 250mg/5mL 400mg/m 2 ワンショット静注中心静脈メイン 1 11:15 5 5FU 250mg/5mL 2400mg/m 2 中心静脈注射中心静脈メイン 1 5ml/h 11:15 生理食塩液 50 100mL 150mL インターメイト LV5

エルプラット注の生理食塩液との配合時 の安定性について オキサリプラチン残存率 (%) 100 80 60 40 20 0 100 100 100 90 90 1 3 5 10 60 180 時間 ( 分 ) 大塚ら 医療薬学 32(10) 2006

FOLFOX6 レジメン ( 外来 1 日型 ) No 薬品名 規格投与量手技投与ルート 1 2 3 カイトリル注 3mg/3mL デカドロン注 8mg/2mL 生理食塩液 50mL アイソボリン注 25mg 生理食塩液 500mL エルプラット注 100mg 5% ブドウ糖液 250mL 1A 8mg 100mL 200mg/m 2 500mL 100mg/m 2 250mL 点滴時間 速度 day 1 中心静脈注射中心静脈メイン 1 30 分で 9:00 中心静脈注射中心静脈メイン 1 120 分で 9:15 中心静脈注射中心静脈側管 1 120 分で 9:15 4 5FU 250mg/5mL 400mg/m 2 ワンショット静注中心静脈メイン 1 11:15 5 5FU 250mg/5mL 2400mg/m 2 中心静脈注射中心静脈メイン 1 5ml/h 11:15 生理食塩液 50 100mL 150mL インターメイト LV5

レジメン管理まとめ 1 2 有用なレジメン管理システムを構築するための留意事項 レジメンに関わるすべての薬剤 ( 注射剤 経口剤 ) を登録し 薬剤部門で一元管理する わかりやすい形でレジメンを登録する 3 支持療法の統一化 ( 用法 用量 投与速度等 ) を図る 4 5 治療効果が検証されたエビデンスの高いレジメンの登録に努める 登録レジメンは医師 薬剤師 看護師らに広く周知し 医療従事者間で情報を共有する