日本静脈経腸栄養学会雑誌 3 1( 2 ): :2016 特集 口から食べる を支援する栄養管理 高齢者の口腔機能が, 栄養摂取に与える影響 Impact of oral function on nutritional intake in the elderly people 池邉一典

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超高齢社会における共生を考える健康長寿の要因の探求 40 神出 楽木 健康長寿の要因の探求 41 未来共生学第 4 号 論文 高齢者疫学研究からの知見 Reich et al i, ii 神出計 ii 楽木宏実 大阪大学大学院医学系研究科 i 保健学専攻総合ヘルスプロモーション科学講座

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

研究成果報告書

[ 原著論文 ] メタボリックシンドローム該当者の年齢別要因比較 5 年間の健康診断結果より A cross primary factors comparative study of metabolic syndrome among the age. from health checkup resu

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スライド 1

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日本口腔インプラント学会 第30巻 4号

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

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図. 各要因による 9.4 年間での日英 ( イングランド ) の生存期間の差 ~ 日英高齢者の生存期間の比較研究から ~ 注 ) 調査開始時点の日英の年齢や健康状態の差を調整した上でも 9.4 年間の間に日本人が女性で319 日 男性で132 日 英国人よりも長生きをしていました グラフの数字は

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結果の概要

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フレイルのみかた

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

歯科中間報告(案)概要

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Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

内容詳細 日本人の循環器疾患危険因子と社会的要因の関連 - 国民健康 栄養調査対象者の疫学研究 NIPPON DATA2010 の結果より - POINT 無作為抽出された全国 300 地区で実施された平成 22 年国民健康 栄養調査に参加した 20 歳以上の男女 2891 人のデータを分析しました

日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

計画改訂の趣旨 社会構造が大きく変化し 少子高齢化が進む中 生活環境の改善や医療の進歩などにより 平均寿命が延びている一方で 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加しており 健康づくりや疾病予防の重要性はますます高まっています 子どもから高齢者まで すべての県民が 健やかな生活をおくるために ヘルスプロ

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

2015 年度 SFC 研究所プロジェクト補助 和食に特徴的な植物性 動物性蛋白質の健康予防効果 研究成果報告書 平成 28 年 2 月 29 日 研究代表者 : 渡辺光博 ( 政策 メディア研究科教授 ) 1

Ⅰ はじめに

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

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1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

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10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

5 患者数(万人52 15 Vol. 53 No. 2 わが国における高齢者認知症の患者数の推計要介護 ( 認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅱ 度以上 ) 認定者 4 3 認知症有病率の全国調査 受診者数 :5,386 人受診率 :68% 有病率 :15% 患者数 :462 万人 2 )22 年 21

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(Pantothenic acid, C 9 H 17 NO 5, MW: CH 3 OH HOCH 2 C CHCONHCH 2 CH 2 COOH CH 3 (Calcium pantothenate, C 18 H 32 CaN 2 O 10, MW: ) CH 3

01.【資料1】再提出:厚労省提出:高齢者がよりよい食事をするために

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

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Microsoft Word - 「黄砂とその健康影響について」小冊子180323版

平成16年12月13日

「長寿のためのコレステロール ガイドライン2010 年版」に対する声明

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健康寿命の指標

咀嚼能力と死亡リスクの関係も調べられていて 噛めない食品が 1 品目増えるとそれ だけ死亡しやすくなります 歯が 1 本減ると寿命は 2.8% 低下し 2 本だと 5.6% 5 本では 14% 寿命が減ります 噛むことは生きることであることがわかります 抜くも地獄 抜かぬも地獄 歯周病が悪化して抜歯

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特定健診の受診率は毎年上昇しており 平成 28 年度は県平均よりも 7% 高い状況 となっていますが 国が示す目標値 60% を達成するには更なる工夫や PR が必要とな っています 長与町国保の医療費は平成 25 年度から上昇していましたが 平成 28 年度は前年度より約 3 億円減少し 1 人当

Microsoft Word コーヒーと健康

高齢者の筋肉内への脂肪蓄積はサルコペニアと運動機能低下に関係する ポイント 高齢者の筋肉内に霜降り状に蓄積する脂肪 ( 筋内脂肪 ) を超音波画像を使って計測し, 高齢者の運動機能や体組成などの因子と関係するのかについて検討しました 高齢男性の筋内脂肪は,1) 筋肉の量,2) 脚の筋力指標となる椅子

2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

生活環境科学研究所研究報告第 50 巻 (2018) 費等の社会保障費の増大にもつながることから, 我が国の健康寿命の延伸は喫緊の課題である. 健康寿命の延伸にむけて, 健康日本 21( 第 2 次 ) では, 栄養 食生活, 身体活動 運動, 休養, 飲酒, 喫煙及び歯 口腔の健康に関する生活習慣

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

生活福祉研レポートの雛形

糖尿病予備群は症状がないから からだはなんともないの 糖尿病予備群と言われた事のある方のなかには まだ糖尿病になったわけじゃないから 今は食生活を改善したり 運動をしたりする必要はない と思っている人がいるかもしれません 糖尿病予備群の段階ではなんの症状もないので そう考えるのも無理はないです しか

私の食生活アセスメント

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Q1.65 歳での健康寿命に 65 を足せば 0 歳での健康寿命になりますか A1. なりません 別途 健康寿命の算定プログラム 等を用いて 0 歳での健康寿命を算定する必要があります 例えば 健康寿命の算定方法の指針 の図 4-3 の男の算定結果を見ると 健康な期間の平均が 65 歳時点では 17

スライド 1

Q1. あなたが 普段健康のために積極的に摂取している栄養成分 控えている栄養成分をお答えください ( 単数回答 ) n=1000 積極的に摂っている栄養成分 TOP5 積極的に摂っているどちらとも言えない摂取を控えている 水分 61.7% 34.1% 4.2% たんぱく質 44.7% 48.4%

調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

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全国の30 歳以上の男女を調査対象に 層化無作為に抽出した300 単位区内 ( 国民栄養調査対象地区 ) の世帯 ( 約 5,000 世帯 ) の世帯員のうち 平成 12 年 11 月 1 日現在で満 30 歳以上の者の全員を調査対象としている 調査票には 既往歴 現在の治療等の状況 自覚症状 健康


機能分類や左室駆出率, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (Brain Natriuretic peptide, BNP) などの心不全重症度とは独立した死亡や入院の予測因子であることが多くの研究で示されているものの, このような関連が示されなかったものもある. これらは, 抑うつと心不全重症度との密接な


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Ⅰ 目的わが国は世界一の超高齢社会を構成しており 筋骨格系の健康を保つことが要介護 要支援を予防するうえで重要となってきている 約 1200 万人といわれる骨粗鬆症は高齢者の疾患であり 1) 骨折は寝たきりにつながる原因疾患であり 骨折患者の介護費 医療費などは年々増加の一途であるばかりでなく 生命

データの取り扱いについて (原則)

4 年齢階級別の死因山形県の平成 28 年の死因順位は 20 歳から 34 歳までの各階級において自殺が1 位となっているほか 64 歳までの各階級においても死因順位の上位にあり おおむね全国と同様の傾向が見られます < 表 7> 年齢階級別の死因順位 死亡者数 ( 山形県 ) 年齢階級 総死亡者数

新しい介護食品 の考え方 平成 26 年 3 月 介護食品のあり方に関する検討会議 定義に関するワーキングチーム 平成 25 年 2 月より 介護関係者や学識経験者等による これからの介護食品をめぐる論点整理の会 ( 以下 論点整理の会 という ) を立ち上げ 同年 7 月に論点が取りまとめられた

(別紙様式1)

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

イギリス 起源と変遷イギリスにおける栄養調査の始まりは 年に実施された英国成人栄養調査 (Dietary Nutritional Survey of British Adults) である その後 1992 年に国民全体を代表するように設計された一連の横断調査として全国食事栄養調査

03.【資料3】超高齢化社会を見据えて、高齢者がよりよく生きるための日本人の食事を考える

目 次 1 平成 29 年愛知県生命表について 1 2 主な年齢の平均余命 2 3 寿命中位数等生命表上の生存状況 5 4 死因分析 5 (1) 死因別死亡確率 5 (2) 特定死因を除去した場合の平均余命の延び 7 平成 29 年愛知県生命表 9

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宗像市国保医療課 御中

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日本静脈経腸栄養学会雑誌 3 1( 2 ): 681-686:2016 特集 口から食べる を支援する栄養管理 高齢者の口腔機能が, 栄養摂取に与える影響 Impact of oral function on nutritional intake in the elderly people 池邉一典 Kazunori Ikebe 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯補綴学高齢者歯科学分野 Department of Prosthodontics, Gerodontology and Oral Rehabilitation, Osaka University Graduate School of Dentistry 要旨 : 高齢者では, 健康を維持し, 食生活を楽しむためには, 咀嚼機能がきわめて重要である. 本論文では, 高齢者の口のはたらき, すなわち口腔機能が, 栄養摂取, さらに健康に与える影響について, これまでのエビデンスを中心に紹介した. まとめると以下の様になる. 1. 加齢とともに歯数は減少し, 個人差も大きくなる. また, 咬合力, 味覚などの口腔機能が低下する. 2. 歯の数は, 寿命に関係する様々な因子の影響を調整した上でも, 長寿と関係がある. その歯と生存期間を結ぶ経路として, 口腔機能低下による栄養摂取の変化が考えられる. 3. 歯を失うと野菜類の摂取量が減少し, 抗酸化ビタミンや食物繊維などが不足し易い. また, タンパク質の摂取も減少する. 4. 要介護高齢者では, 咀嚼や嚥下機能は低栄養と関連がある. 5. 我々の研究より, 歯数より咬合力の方が栄養摂取 ( ビタミン, 食物繊維, タンパク質 ) や運動機能に関連することが示された. 索引用語 : 歯, 咀嚼, 栄養摂取 はじめに 食べる, 話す, 表情をつくる, というのが口のはたらきの主なものである ( 図 1). すべての動物は, 食べることによって, 栄養を摂取し, 生命を維持する. また, 話す, 表情 ( 笑顔や怒った顔 ) によってコミュニケーションをとり, 社会とつながる, というのも口の大きな役割である. そして, 特に高齢者では, 自分の歯であ れ義歯であれ, 咀嚼が最も重要であり, 健康を維持し, 食べる楽しみを与え, 長寿につながるとされている. 本稿では, 高齢者の口のはたらき, すなわち口腔機能が, 栄養摂取, ひいては健康に与える影響について, これまでのエビデンスを中心に紹介する. したがって, 私のテーマは, 特集のテーマとは若干異なり, 栄養を支援する口の機能ということになる. 1. 歯数の変化 図 1 口のはたらき 齢 ( よわい ) とは, 生まれてから経過した年数を示す言葉であるが, 歯 偏に令と書く. 古来より, 歯の数は, 分かりやすい老化の指標とされてきた. 永久歯は, 前歯が3 種類, 臼歯が4 種類, 計 7 種類あり, それが左右, 上下同数あるので 7 4 の28 本あるのはご存知のとおりで, 智歯は8 番目の歯になる. 厚生労働省の全国調査のデータ ( 図 2) に示す様に, いずれの年の調査 ( 横断調査 ) でも, 高齢の人の方が残存歯数 ( 永久歯 ) は少ない. 特に50 歳代以降, 歯数は急激に減少する. その一方で, 近年は, 同年齢の人の歯数は著しく増加している. 例えば,70 歳の平均残存歯数は, 1987 年では, 約 9 本であったが, わずか24 年後の2011 年には, 約 18 本と倍増している. これは, 学校での予防についての啓発活動, 国民の健康意識の高まり, それに歯科医師, 歯科衛生士の増加と歯科医療の普及が主な原因と考えられる. また, 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.31 No.2 2016 (681)

他の疾患や機能障害と同様に, 年齢が高くなるほど歯数も個人差が大きくなる. 例えば我々の調査でも,80 歳で20 本自分の歯が残っている人は 43% いたが, その一方で全く歯がない人 ( 無歯顎者 ) も16% いた ( 図 3). 2. 口腔機能の変化 我々の調査結果を用いて, 高齢者の口腔機能の変化を説明する. 歯はどの部位から抜けるのであろうか?80 歳時の永久歯の残存率は, 上顎に比べて下顎の方が高く, 歯種では犬歯が最も残存率が高く, 一般に大臼歯の方から歯が欠損して いくことが分かる ( 図 4). 前歯は主に噛み切るときに使われ, 奥歯 ( 臼歯 ) は, 噛み砕き, すりつぶすことが役割で, 咀嚼の中心となる. したがって, 老化とともに臼歯がなくなると, たとえ義歯を使用したとしても, 硬いものや繊維質のものを食べることが困難になる. 咬合力については, 我々は厚さ 0.1mm 未満の薄いポリエチレンフィルム (( 株 ) ジーシー, 東京 ) を噛むことによって測定している. このフィルムに上下の歯からの咬合圧が加わると, フィルム内に含まれている微小なカプセルが壊れて発色し, その濃淡と面積を専用の機器で読み取り, 咬合接触状態や咬合力を算出する. 図 2 調査年ごとの年齢と残存歯数との関係 (2011 年厚生労働省歯科疾患実態調査報告より ) 図 3 年齢群による現在歯数の違い (SONIC 研究より ) (682) 高齢者の口腔機能が, 栄養摂取に与える影響

咬合力は,70 歳,80 歳,90 歳と年齢が上がるにつれ, 急激に減少する ( 図 5). 咬合力の低下には, 歯数の減少の影響が最も大きいが, 咬筋を中心とした閉口筋群の筋力低下も, 咬合力の低下に拍車をかける. この咬合力の低下が, 食品の選択と回避を左右し, 栄養摂取に影響を及ぼす. 味覚については, 若年成人と比較して,70 歳,80 歳では,4 基本味のうち塩味, 酸味や苦味では閾値が高く, 有意差がみられたが, 甘味については, 有意差がみられなかった 1). また, 性差についても, 高齢者では, 塩味, 酸味や苦味では, 女性に比べて男性の味覚閾値が高いが, 甘味については有意差がみられなかった. この結果から, 他の味覚は老化とともに低下するが, 甘味のみは比較的維持されることが示唆された. 味覚の低下は, 食事の楽しみを奪い, 食欲不振, ひいては低栄養につながると考えられる. 年齢が上がると, 味の濃いものを好み, 味付けが濃くなると言われることがある. 塩味に対図 4 永久歯の歯種別残存率 (80 歳, 966 人,SONIC 研究より ) 図 5 年齢群による咬合力の違い (SONIC 研究より ) する味覚低下は, 高血圧と関連することも指摘されている. 歯数, 咬合力, 味覚はいずれも個人差が大きいが, 個人の口腔機能を評価し, それに応じた食事の提供が可能であれば理想的である. 3. 歯と生存年数との関係 歯数と死亡率との関係を取り上げた研究は比較的多い. ここでは, 対象者数が多く, しかも死亡率に関係する他の因子, すなわち年齢や社会経済的状況, 喫煙などの影響をできる限り統計学的に調整した多変量解析を用いた長期縦断研究を紹介する. 歯の疾患が直接死因になることはまずないにもかかわらず, 歯が少ないと短命なのはなぜか? 厚生労働省によれば, 平成 25 年度の日本人の死因は, 悪性新生物が28.5%, 心疾患が 15.5%, 肺炎が9.7%, 脳血管疾患が9.3% となっている. 死因に占める心疾患, 脳血管疾患, 肺炎の割合が, 年齢が高くなるとともに高くなっている. 歯が寿命に関係するとすれば, まずはこれらの疾患と関連があるということが考えられる. NIH(National Institutes of Health; アメリカ国立衛生研究所 ) のAbnetらは 2), 中国で40 代から 60 代の健康な約 3 万人を10~15 年追跡した. 対象者を各年代毎に, 歯数の中央値で多い群と少ない群に2 分し, その両群の死亡率を比較した. その結果, 歯の少ない群の方が, 全体としては 13%, 上部消化器がん ( 咽頭がんから胃がん ) は35%, 心疾患は28% も死亡率が高かった. Tuらは 3), イギリスの大学生約 12,600 人 ( 年齢中央値 19 歳, 男性が78%) を検診し, その57 年後, 生死と, 亡くなられた場合の死因を調べた. 学生当時, 欠損歯数が4 本以下の者 ( 智歯が4 本なかった場合も含める ) に比べて,9 本以上の者は, 循環器系疾患による死亡率が35% 高くなった. アメリカ CDC(Centers for Disease Control) のBrownは 4),18 歳以上の約 4 万人を,16 年間追跡した. その結果, ベースライン時 64 歳以下の人のうち, 無歯顎者の死亡率は19% であったのに対し, それ以外の人は10% であった. 他の社会経済的因子や生活習慣病などの影響を調整した上でも,65 歳までに無歯顎者になると, 死亡率は,1.5 倍となり, 循環器系疾患による死亡率も 1.4 倍となった. 我が国では, 九州歯科大のAnsaiらが 5), 福岡県の80 歳の地域住民約 700 人を5.5 年間追跡し, 歯数が少ないほど死亡率は高く, 特に女性でこの傾向が強かったと報告している. 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.31 No.2 2016 (683)

4. 咀嚼能力と死亡率との関係 1990 年代より, 歯周病と循環器系疾患や糖尿病との関連について多くの論文が報告されている. しかし, 咀嚼と嚥下機能が, 摂取食物や栄養を介し, 循環器系疾患に影響することは, より直接的であると考えられる. 九州歯科大のAnsaiらは 6)7),80 歳の地域住民の4 年後の死亡率について, 摂取可能食品が最も少ない群 (15のうち 4 個以下 ) は,15 食品すべて食べられると回答した群に比べ, 全死亡率は2.4 倍 6), 心血管系疾患の死亡率は4.6 倍 7) になったと報告している. 東北大のAidaらは 8), 愛知県で65 歳以上の約 4,400 人を約 4 年間追跡調査し, 残存歯が20 本以上の者に比べ,19 本以下で, しかも食べにくい食品のある者は, 心血管系疾患による死亡率が1.8 倍, 呼吸器系疾患による死亡率が1.9 倍であったと報告した. さらに,20 本以上の者と 19 本以下でも食べにくい食品のない者では, 死亡率に有意差はみられなかった. これは, 歯数より咀嚼能力 ( 自己評価 ) の方がより重要であることを示唆している. 注目すべきは, 咀嚼と死亡率との関係についての論文は, 日本の研究者によるものが大半を占めることである. ただし, 咀嚼の評価法が, いずれも被験者の自己評価であることが惜しまれる. 我々は, 咀嚼の主観的評価が, 実際に測定した客観的評価値と必ずしも一致しないことを報告している 9). 5. 義歯は健康長寿に役立つか? ドイツの Schwahnらは 10), 残存歯数が20 歯未満の約 1,800 人に対して, 約 10 年間追跡調査を行った. その結果,9 歯以上の欠損に対して, 義歯を装着せずに放置していた人は, 年齢, 性別, 教育, 収入, 夫 / 妻の有無, 口腔保健行動, 喫煙, 飲酒, 身体活動, 肥満, 高血圧, 糖尿病, 脂質異常症などの循環器系疾患に関するあらゆるリスクファクターを調整した上でも, 全死亡率は1.4 倍, 循環器系疾患による死亡率は1.9 倍になったと報告した. 6. 歯と栄養との関係 上記の様に, 咀嚼や義歯の健康長寿に対する役割は明らかである. 次に, その両者をつなぐものとして, 栄養摂取を考えてみる. 各栄養摂取量を比較するには, 年齢, 生活活動強度, BMI, 喫煙や人種 - 民族, 社会経済的状況などで調整している論文を紹介する. Hungらは 11), アメリカの 30~55 歳の8 万人以上の女性看護師を調査し, 無歯顎者 ( 全体の5.6%) は,25 歯以上の者 (61.9%) に比べて, 野菜や果物など循環器系疾患の予防に有効な食品の摂取が少なく, その一方で, 飽和脂肪酸やコレ ステロールの摂取が多く, 逆に多価不飽和脂肪酸, 食物繊維, カロテン, ビタミン Cなどが少ないとした. Nowjack-Raymerらも 12), 同じくアメリカの全国調査 (NHANES III, 約 7,000 名, 平均年齢 37.4 歳 ) の結果, 残存歯数が28 歯の群に対して, 歯の欠損のある人は, 野菜の摂取量が少なく, その結果, 食物繊維の摂取が少なく, 血清中のβ カロテン, ビタミン C 等の濃度が低いことを示した. 名古屋大のWakaiらは 13), 歯科医師 2 万人 ( 平均年齢 52 歳, 男性 92%) を調査し, 歯数の減少とともに, 野菜類, カロテン, ビタミン A,C, 乳製品の摂取が少なく, 逆に, 総摂取エネルギー, 炭水化物, 米, 菓子類は多いと報告した. この様に, 歯が少ないと野菜の摂取量が少なく, それに伴って抗酸化ビタミンや食物繊維のように, 循環器系疾患の予防に重要な栄養素の摂取が少なくなるという問題が指摘されている. 1990 年代までは, 歯の状態が悪いと, 摂取エネルギーが不足するという結果が多かった. しかし最近では, 歯の状態が悪いと, むしろ食事が高エネルギー高脂肪になり, 肥満になるという結果が多くなってきている.Osterbergらは 14), スウェーデンで, ベースライン時 55 84 歳の約 16,000 人を最長 22 年間追跡した結果, 無歯顎であった女性は, 肥満になる割合が3 倍以上になったと報告した. Zhu, Y. らは 15), アメリカの全国調査 (NHANES 2005-2008) のデータ約 9,000 人 (20~44 歳 :41%,45~64 歳 :34%, 65 歳以上 :25%) を分析し, 歯数が20 本以下の人は,28 本以上の人に比べて, 年齢や性別, 人種, 収入など社会経済的要因, 身体活動, 喫煙などを調整した上でも 食事の質 (diet quality) が低く, 果実類, 野菜類の摂取が少なく, その結果, 慢性疾患に関連するタンパク質やほとんどのビタミン類, 食物繊維, ミネラルの摂取が少なかったことを示した. Zhu, Y. らはまた 16), 同じ調査から約 5,500 人分のデータを用いて, 歯の数は, メタボリックシンドロームと関連することを示した. さらに歯の数は,BMI, 腹囲, 血圧, 空腹時血糖値と負の関係があり,H D Lコレステロールと正の関係があることを明らかにした. ただし, この関係は,64 歳以下ではみられたが,65 歳以上ではみられなかった. 上記の報告では, 歯数を対象とし, 口腔機能のみならず, 義歯使用についてのデータを分析に含めていない. 高齢者群では,20 歯以下の人が過半数を占めているので, 義歯使用の有無, さらにはそれによる咀嚼機能を評価しなければ, 口腔機能と栄養との関係は, 明らかにならない. 7. 要介護高齢者の歯と低栄養 ハワイ大学の Tamuraらは 17), 施設に入居している要介護高齢者を対象に, 低栄養に関連する要因についてシステマティックレビューを行った. その結果, 咀嚼や嚥下障害は, 年齢 (684) 高齢者の口腔機能が, 栄養摂取に与える影響

や性別 ( 女性 ), うつ傾向や認知症などとともに, 体重減少や低体重, 栄養不良などと関連があることを示した. しかし, 咀嚼や嚥下機能の評価は, いずれも客観性がなく, 妥当性が低い. 考察では, 問題点に応じた個別の対応が必要であるとし, 年齢や性別, 認知症とともに, 咀嚼機能は改善できない問題として取り上げられているが, それは, 歯科治療や口腔ケアの介入があってもはたして不可能であろうか? 8. 我々の研究結果より ここで我々の現在の取り組みを紹介させていただく. 我々は2010 年度より,70 歳 1,000 名, 80 歳 1,000 名,90 歳 300 名の地域住民を対象に, 健康長寿の要因を探索する長期縦断研究を進めている ( 図 6). この研究は, 老年心理学 ( 大阪大学人間科学研究科, 東京都健康長寿医療センター ), 老年内科学 ( 大阪大学医学系研究科, 慶応大学医学部, 東京都健康長寿医療センター ) と我々歯科補綴学 歯周病学 ( 大阪大学歯学研究科 ) との文理融合型研究である ( 図 7). 各コホートは,3 年ごとに調査を行い, 心身の健康状態の変化や死亡について情報を収集している ( 図 2). 健康長寿に関連する要因は数多く, それらは相互に複雑に影響し合っていると考えられる. それぞれの専門家が収集したデータを結合し, 交絡因子を考慮した上で, 疾患や機能障害, 長寿に何がどの程度重要なのかについて, 多角的な分析を進めている. 図 6 図 7 健康長寿の要因を探索する長期縦断研究 健康長寿についての文理融合型研究の研究組織 1) 咬合力と栄養我々の研究は 18),70 歳の人では, 社会経済的な要因を調整した上でも, 咬合力の低い人は緑黄色野菜, 魚介類の摂取が少なく, その結果, 抗酸化ビタミン, 食物繊維などの摂取が少なくなることを明らかにした. これらの栄養素が動脈硬化の予防に効果があることは, 既に多くのエビデンスが示されている. 我々の研究がこれまでの研究と異なるのは, 咬合力に注目した点で, 歯数に比べ咬合力の方が, 上記の栄養素の摂取に対して, より関連が強いことを示した. 高齢者は, 一般に残存歯が減少するが, 単に歯があること, 歯を残すことより, 義歯も含めた口腔機能維持の方がより重要であることを明らかにした点に意義がある. 2) 咬合力と運動機能咬合力と歩行速度との関連について, サルコペニアのひとつの指標である 毎秒 0.8m 以下 を指標にして分析した 19). Logistic 回帰分析の結果, 歩行速度の低下は, 女性に少なく, 年齢が高いほどで多く, 脳卒中の既往, 肥満とともに, 全身の筋力の指標とされる握力の低下, またタンパク質摂取低下と関連がみられた. また, そのような, 有意な危険因子を調整した上でも, 咬合力の低下は, 歩行速度の低下と有意な関連がみられた. さらに共分散構造分析を用いて握力を調整した上でも, 咬合力の弱い人は, タンパク質摂取の低下を介して歩行速度が遅くなることを示した. 以上のことから, 咬合力の低下が, 全身の筋力とは独立して, 下肢の運動機能低下や転倒の要因になることが示唆された. 日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol.31 No.2 2016 (685)

まとめ 今回の内容をまとめると以下の様になる. 1. 加齢とともに歯数は減少し, 個人差も大きくなる. その一方で, 近年高齢者の一人当たりの歯数は増加し続けている. 2. 高齢者は, 咬合力, 味覚などの口腔機能が低下している. 3. 歯の数は, 寿命に関係する様々な因子の影響を調整した上でも, 長寿と関係がある. 4. 歯と長寿を結ぶ経路として, 口腔機能低下による栄養摂取の変化が考えられる. 5. 歯を失うと野菜類の摂取量が減少し, 抗酸化ビタミンや食物繊維などが不足し易い. タンパク質の摂取も減少する. 6. 要介護高齢者では, 咀嚼や嚥下機能は低栄養と関連がある. 7. 我々の研究より, 歯数より咬合力の方が栄養摂取 ( ビタミン, 食物繊維, タンパク質 ) や運動機能に関連することが示された. 謝辞 本稿を作成するにあたり, ご指導, ご協力いただいた以下の先生方に, 心よりお礼を申し上げます ( 敬称略 ). 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座有床義歯補綴学 高齢者歯科学分野松田謙一, 香川良介, 多田紗弥夏, 榎木香織, 岡田匡史, 猪俣千里, 武下肇, 三原佑介, 魚田真弘, 小川泰治, 石田健, 宮下祐治, 村井俊介, 久留島悠子, 本多真理子, 浦上信太郎, 八田昂大, 久木田亮, 枦山智博, 前田芳信 大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座村上伸也, 北村正博 大阪大学大学院人間科学研究科権藤恭之, 中川威, 小園麻里菜 老年心理学 大阪大学大学院医学系研究科老年内科樂木宏実, 杉本研, 小黒亮輔, 中間千香子 大阪大学大学院医学系研究科神出計, 樺山舞, 龍野洋慶 保健学専攻 慶応大学医学部老年内科広瀬信義, 新井康通 東京都健康長寿医療センター高橋龍太郎, 石崎達郎, 増井幸恵, 稲垣宏樹 東京大学医学系研究科社会予防疫学大久保公美, 佐々木敏 北海道大学工学研究科小川まどか他多数 本論文に関する著者の利益相反なし 引用文献 1)Yoshinaka M, Ikebe K, Uota M, et al. Age and sex differences in the taste sensitivity of young adult, young-old and old-old Japanese. Geriatr Gerontol Int. 2015 Oct 23. doi: 10.1111/ggi. 12638. 2)Abnet CC, Qiao YL, Dawsey SM, et al. Tooth loss is associated with increased risk of total death and death from upper gastrointestinal cancer, heart disease, and stroke in a Chinese population-based cohort. Int J Epidemiol 34: 467-474, 2005. 3)Tu YK, Galobardes B, Smith GD, et al. Associations between tooth loss and mortality patterns in the Glasgow Alumni Cohort. Heart 93: 1098-1103, 2007. 4)Brown DW. Complete edentulism prior to the age of 65 years is associated with all-cause mortality. J Public Health Dent 69: 260-266, 2009. 5)Ansai T, Takata Y, Soh I, et al. Relationship between tooth loss and mortality in 80-year-old Japanese communitydwelling subjects. BMC Public Health 10: 386, 2010. 6)Ansai T, Takata Y, Soh I, et al. Relationship between chewing ability and 4-year mortality in a cohort of 80-yearold Japanese people. Oral Dis 13: 214-219, 2007. 7)Ansai T, Takata Y, Soh I, et al. Association of chewing ability with cardiovascular disease mortality in the 80-yearold Japanese population. Eur J Cardiovasc Prev Rehabil 15: 104-106, 2008. 8)Aida J, Kondo K, Yamamoto T, et al. Oral health and cancer, cardiovascular, and respiratory mortality of Japanese. J Dent Res 90: 1129-1135, 2011. 9)Ikebe K, Morii K, Matsuda K, et al. Discrepancy between satisfaction with mastication, food acceptability, and masticatory performance in older adults. Int J Prosthodont 20: 161-167, 2007. 10)Schwahn C, Polzer I, Haring R, et al. Missing, unreplaced teeth and risk of all-cause and cardiovascular mortality. Int J Cardiol 167: 1430-1437, 2013. 11)Hung HC, Colditz G, Joshipura KJ. The association between tooth loss and the self-reported intake of selected CVDrelated nutrients and foods among US women. Community Dent Oral Epidemiol 33: 167-173, 2005. 12)Nowjack-Raymer RE, Sheiham A. Numbers of natural teeth, diet, and nutritional status in US adults. J Dent Res 86: 1171-1175, 2007. 13)Wakai K, Naito M, Naito T, et al. Tooth loss and intakes of nutrients and foods: a nationwide survey of Japanese dentists. Community Dent Oral Epidemiol 38: 43-49, 2010. 1 4 )Osterberg T, Dey DK, Sundh V, et al. Edentulism associated with obesity: a study of four national surveys of 16 416 Swedes aged - 84 years. Acta Odontol Scand 68: 360-367, 2010. 15)Zhu Y, Hollis JH. Tooth loss and its association with dietary intake and diet quality in American adults. J Dent 42: 1428-1435, 2014. 16)Zhu Y, Hollis JH. Associations between the number of natural teeth and metabolic syndrome in adults. J Clin Periodontol 42: 113-120, 2015. 17)Tamura BK, Bell CL, Masaki KH, et al. Factors associated with weight loss, low BMI, and malnutrition among nursing home patients: a systematic review of the literature. J Am Med Dir Assoc 14: 649-655, 2013. 18)Inomata C, Ikebe K, Kagawa R, et al. Significance of occlusal force for dietary fibre and vitamin intakes in independently living 70-year-old Japanese: from SONIC Study. J Dent 42: 556-564, 2014. 19)Okada T, Ikebe K, Kagawa R, et al. Lower Protein Intake Mediates Association Between Lower Occlusal Force and Slower Walking Speed: From the Septuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians Study. J Am Geriatr Soc 63: 2382-2387, 2015. (686) 高齢者の口腔機能が, 栄養摂取に与える影響